【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。以下の記載を含めて、本明細書に記載の特性値は、以下の方法による測定値に基づくものである。
[密度]
重合前の原料成分および混合液の密度[g/cm
3](=1000kg/m
3)は、JIS Z8804:2012準拠して、また電子密度算出のための個々の重合体の密度[g/cm
3](=1000kg/m
3)測定は、JISZ8807:2012に準拠して測定した。
【0053】
[粘度]
重合前の原料混合液の粘度[Pa・s]は、JISZ:8803に従い、液体流下速度が200秒以上となる番号(例えば実施例1については200番)の細管粘度計(キャノンフェンスケ型、柴田化学機械工業(株)製)を用いて動粘度[mm
2・s]を測定し、得られた動粘度値に密度を乗じて、20℃の粘度を求めた。
【0054】
[撹拌レイノルズ数Re]
化学工学便覧(改定六版)(丸善(株)発行、1999年11月)第424頁に記載の下記式により計算した。
Re[−]=nd
2ρ/μ・・・(1)
ここで、n:撹拌翼回転数[1/s]、d=撹拌翼径[m]、ρ=被撹拌液密度
([kg/m3])、μ=被撹拌液粘度
([Pa・s])。
例えば、後述の実施例1については、撹拌翼のn=5rps、d=0.15m、重合原料液のρ=1010[kg/m
3]、μ=0.047[Pa・s]から
Re=(5.0)(0.15)
2(1010)/0.047=2.4×10
3
と計算された。
【0055】
[撹拌動力]
2枚平パドル翼の撹拌動力測定に基礎を置く、永田らの研究に基づく下式(2)(非特許文献2〜4参照)により、撹拌動力数Np[−]を求めた。
Np=A/Re
+B((10
3+1.2Re
0.66/(10
3+3.2Re
0.66))
p
・(H/D)
(0.35+b´/d)・(sinθ)
1.2・・・(2)
ここで、D:撹拌槽内径[m]、H:被撹拌液深さ[m]、b´:修正撹拌翼幅[m]=(n
pb)/2(n
p:撹拌翼枚数[−]、b:撹拌翼幅[m])、θ:撹拌翼角度[°]、A、B及びpは、実験的に求められた(2)式の定数であり、下式で整理される。
【数1】
【0056】
後記実施例及び比較例で用いたθ=90°の2枚(n
p=2)平羽根パドル翼の場合には、b´=n
pb/2=2b/2=b、(sinθ)
1.2=1となり、上記(2)式は、下記(2a)式に帰着する。またD=0.295mの円筒槽に深さH=約0.29mで収容した原料液20L(0.02m
3)を撹拌した実施例1の場合には、(1)式で求められたReを代入して、Npは、以下のように計算された。
Np=A/Re
+B((10
3+1.2Re
0.66/(10
3+3.2Re
0.66))
p
・(H/D)
(0.35+b/d)・・・(2a)
【数2】
したがって、
Np=33.38/2.4×10
3
+1.22((10
3+1.2Re
0.66/(10
3+3.2Re
0.66)
1.51
・(H/D)
(0.35+b/D) ・・・(2a)
=0.85
これより、容積v=0.02[m
3]の原料液単位容積(体積)あたりの撹拌動力Pvは以下のように計算された。
Pv=P/v=Np・ρn
3d
5/v=0.85×1010×5
3
×0.15
5/0.02=8.19/0.02=407W/m
3。
更には、撹拌時間20分(=1200秒)間における原料液単位容積あたりの撹拌エネルギーQvは以下のように計算された。
Qv=Pv×t=407×1200/1000=489kJ/m
3
【0057】
[撹拌後の原料液の外観評価]
撹拌後30分間静置した原料混合溶液5mLを10mLの透明ガラス容器に分取し、下記の観察を行った。
<気泡評価>
目視により、以下の判断基準で評価した。
A:容器内の気泡は、5個以下であった。
B:容器内の気泡は、50個以下であった。
C:カウント不可能な多数の気泡が存在した。
【0058】
<ゆらぎ評価>
判定員5人の目視評価に基づき、以下の基準で評価した。
A:全員が、均一な溶液であると判断した。
B:5人中1名または2名が、光学的不均一性を認めると判断した。
C:全員が、光学的不均一性を認めると判断した。
【0059】
[小角X線散乱測定]
散乱ベクトルq(=(4π/λ)・sinθ)=0.1〜2[1/nm]の範囲で小角X線散乱強度を測定した。qは、使用した各種X線ビームラインについて共通して測定した65.3nmの周期構造を有する鶏の腱コラーゲン(Chicken Tendon Collagen)により較正した。(参考: 非特許文献1の第207頁、第252頁。)
【0060】
上記参考文献に記載される通り、小角X線散乱測定は高分子材料の高次構造解析の手法の一つであり、相分離構造からの小角X線散乱強度は各相分離ドメインの電子密度差によって決定される。電子密度は、試料の単位体積当たりの電子数であり、各相分離ドメインの密度から計算により求められる。
【0061】
<撹拌後の原料混合液の小角X線散乱強度>
後記実施例及び比較例で得られた撹拌後且つ重合前の原料混合液については、それぞれの約0.06mLを一対の厚さ12.5μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン50H」に挟持して適宜試料を重ねる等の処置を施し、厚さ0.2mmに保持した試料に直角にX線を入射させて、小角X線照射散乱測定を行った。測定は、佐賀県立九州シンクロトロンのBL11(波長λ=0.1127nm,エネルギー:11keV)およびあいちシンクロトロン光センターのBL8S3(波長λ=0.15nm,エネルギー:8.26keVのX線散乱用ビームラインを用いて行った。
【0062】
実施例1及び比較例1で得られた撹拌後且つ重合前の原料混合液について、散乱ベクトルq=(4π・λ)sinθ(ここで、λ:照射X線波長、2θ:散乱角)=0.1〜2[1/nm]の範囲で測定した散乱強度測定値のプロットを
図1に示す。比較例1においては、q=0.17[1/nm]に相当する約40nm程度の相分離ドメインの存在が顕著に認められる。以下の、実施例及び比較例においては、q=0.17[1/nm]における比較例1の散乱強度を1とした相対散乱強度比を、重合前原料混合液の均一性の尺度として記録した。
【0063】
<共重合体における中間領域(B)の体積%>
実施例、比較例等で注型重合により成形し、リン酸緩衝剤を含む保存液中で高圧蒸気滅菌を施した直径14mm、厚さ約0.1mmのレンズ相当形状の共重合体試料を、その内部の相分離構造を解析するために、水、メタノール並びにこれらの割合の異なる混合液からなる複数の高極性溶媒、より具体的には、水/メタノールの容積比が、(1)100/0、(2)90/10、(3)80/20、(4)70/30、(5)60/40、(6)50/50、(7)40/60、(8)30/70、(9)20/80、(10)10/90および(11)0/100 、である11種の極性溶媒(使用量は共重合体の飽和膨潤を妨げない量)、にそれぞれ浸漬して所定の溶液に溶媒置換した重合体試料11種について、それぞれ小角X線照射散乱測定を行った。測定中に溶媒が蒸発しないように、膨潤重合体試料を、一対の厚さ12.5μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン50H」)に挟持して保持したものを小角X線照射散乱測定試料とした。測定は、高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所 放射光科学研究施設(Photon Factory PF)の BL6A,BL9C 、及び公益財団法人高輝度光科学研究センターが運営する大型放射光施設(SPring8)の BL40B2のX線散乱用ビームラインを用い概ね以下の条件で行った。
【0064】
使用したシンクロトロン加速X線は、波長0.1nm及び0.15nm(エネルギー12.4keVと8.26keV)を適宜使用し、膨潤体試料の中央部約200μmに直角に入射させ、試料から2〜3m離れた検出器で、散乱光子数をカウントした。
【0065】
後記実施例1及び比較例1で得られた共重合体について、直径14mmm、厚さ約0.1mmのコンタクトレンズ形状の成形体を、それぞれ上記11種の溶媒で膨潤して得られた試料(膨潤体(1)〜(11))について、散乱ベクトルq=0.1〜1.3 [1/nm]の範囲で得られた小角X線散乱強度プロファイルを
図2および3に示す。
実施例1で得られた共重合体について、上記で得られたデータを用いて、共重合体中の中間領域(B)の体積割合を求めた過程を、以下に説明する。
【0066】
このような領域計算は、上述したように本願発明者らの小角X線散乱分析およびSTEM(操作型透過電子顕微鏡)のEDS分析(エネルギー分散型スペクトル分析)を用いた微細構造解析により、上記成分(I)〜(III)の共重合により得られたシリコーンハイドロゲル共重合体は、
領域(A);マクロモノマーからなる水やメタノールをほとんど含まない領域
領域(B);領域Cと構成成分が同様であるが、領域Aの影響を受け溶媒を含み難い領域
領域(C);モノマー成分から構成される、水やメタノールを含み溶媒和する領域
からなるとの知見に基づく。このようにして確認されたシリコーンハイドロゲル共重合体の微細構造は、
図4に示すような、領域Cと領域B(A)(すなわち、領域Bで被覆された領域A)が共連続構造を示す、コアシェルシリンダーモデルで近似できる構造と推定される。
【0067】
相分離構造からの小角X線全散乱強度Qは各相分離ドメイン間の電子密度差の2乗と各ドメインの体積分率との積によって決定される。より具体的には、領域A,BおよびC、の3種の相分離領域(ドメイン)を含む相分離構造体からの小角X線散乱強度Qは、次式(3)(非特許文献5の第5446頁の式(7)に相当)の比例関係を満たす。
Q=2π
2・(Δρ
AB)
2・φAφB+(Δρ
AC)
2・φAφC
+(Δρ
BC)
2・φBφC ・・・ (3)
ここで、Δρ
AB;領域Aと領域Bの電子密度差
Δρ
AC;領域Aと領域Cの電子密度差
Δρ
BC;領域Bと領域Cの電子密度差
φA;領域Aの体積分率
φB;領域Bの体積分率
φC;領域Cの体積分率。
【0068】
上記のように、メタノール含有率の異なる多種の水/メタノール混合溶媒により膨潤された重合体試料の散乱強度プロファイルを求めるのは、溶媒中のメタノール含有率の変化による領域(c)の選択的膨潤度の変化に伴う実測散乱強度プロファイルの変化を確認し、領域(B)/領域(A)体積比χを変化させて上記(3)式により複合電子密度、したがって、これに比例する散乱強度プロファイルを計算した結果と、実測された散乱強度プロファイルとを対比し、これらが一致するχを以て、目的の領域(B)/領域(A)体積比χを決定するためである。
【0069】
電子密度は試料の単位体積当たりの電子数であり、各相分離ドメインの密度から計算により求められる。より具体手的には、アボガドロ数をN
A(=6×10
23)として、各ドメインを構成する物質X(式量:Mx、質量密度:ρmx,1モル中の電子数(=構成原子番号の総和):Nx)の電子密度ρex[N
A/cm
3]は次式で定まる。
ρex=ρmx×Nx/MX・・・(4)。
したがって、例えば上記の溶媒を構成する水およびメタノール並びに後記の実施例1で用いられる物質の電子密度ρe[N
A/cm
3]は、式料及びNxと、密度又は各々の単独重合体の密度から以下のように求められる。
・水(式量:18、密度:1.00、Nx=10):ρew=0.556、
・メタノール(式量:22、密度: 0.79、Nx:18):ρem=0.445、
・マクロマーa(ポリジメチルシロキサン単位として式量:74.16、密度:0.96、Nx=40):ρema=0.518
・ポリTRIS−MA(式量:423、密度:0.953、Nx:230):ρet=0.517
・ポリNMMP(式量:111、密度:1.20、Nx:60):ρen=0.649。
【0070】
実施例1においては、成分(I)マクロマーaを40質量部(領域(A)形成成分)、成分(II)NMMPを40質量部、成分(III)TRIS−MAを20質量部の割合で用いるため、これらの乾燥時の体積分率は、モノマー成分から構成される重合体中に占める各成分比(仕込み重量×モノマー密度)として見積もり、0.4023:0.3945:0.2032となり、また領域(B)および(C)を構成する、NMMP・TRIS−MA重合体の複合電子密度は、(0.649×0.40+0.517×0.20)/(0.40+0.20)=0.604となる。
【0071】
これらデータを基にして、実施例1の共重合体から得た膨潤重合体試料(1)〜(11)について行った、複合電子密度の計算過程を、末尾の表1に示した。
表1の計算過程及びこれを含む中間領域(B)/疎水性領域(A)体積比χ、の決定方法を以下、順次説明する。
【0072】
膨潤体(1)〜(11)の各々について、以下の操作および計算を行った。膨潤体(1)についての過程を以下に順次説明する。
I.膨潤後の直径を膨潤前の直径で除して一次元膨潤率を求め、これを3乗して、体積膨潤率=1.482を求める。
II.膨潤体中の領域Aの体積分率φAを、マクロモノマーaの乾燥時の体積比(=0.4023)/1.482=0.2715として求める。
III.膨潤体中の領域Bの体積分率φBを、領域B/領域A体積比κを仮定して計算する。κを増減しつつ、以下の全散乱強度に相当する複合電子密度を計算して、実測散乱プロファイルに基づく積分散乱強度と一致するする三領域複合電子密度を与える体積比κ=φA/φBを決定するのが、本シミュレーション計算の概要である。表1中においては、このような計算の結果として確定したκ=0.118を用いて、以下の計算を行った一連の値を表示してある。すなわち、表1において、φB=φA(=0.2715)×κ(=0.118)=0.0320となる。
IV.上記結果に基づき領域Cの体積割合φCを、1−φA−φB=0.6965として求める。
V.領域C内の溶媒の体積分率φC溶媒を、
1−1/体積膨潤率(=1.482)=0.3252として求める。
VI.領域C内のポリマーの体積分率φBポリマーを、φC(=0.6965)−φC溶媒(=0.3252)=0.3712として求める。
VII.上記V.およびVI.の結果より領域C内のポリマーと溶媒を、両者の割合の合計が1となるように分配すると、0.3712/(0.3712+0.3252)=0.5330および0.3252/(0.3712+0.3252)=0.4670となる。
VIII.したがって、領域Cの複合電子密度は、領域C(及びB)を構成するNMMP・TRIS−MA重合体の複合電子密度が0.604であり、水/メタノール(100/0)溶媒の複合電子密度が0.554であるから、0.604×0.5330+0.554×0.4670=0.5807となる。
IX.マクロモノマーaの構成する領域Aの電子密度ρeA=0.518および体積分率φA=0.2715、NMMP・TRIS−MA重合体の構成する領域Bの複合電子密度ρeB=0.604及び上記III.で求めた体積分率φB=0.0320ならびに上記V.及びVIII.で求めた領域Cの電子密度ρeC=0.5807および体積分率φC=0.6965を上記(3)式に代入すると、全散乱強度Qに相当する三領域複合電子密度Qcは次式で求まる。
Qc=2π
2・(Δρ
AB)
2・φAφB+(Δρ
AC)
2・φAφC+(Δρ
BC)
2・φBφC
=19.72×(0.518-0.604)
2×0.2715×0.0320+(0.518-0.5807)
2×0.2715×0.6965+(0.604-0.5807)
2×0.0320×0.6965
=19.72×{0.007396×0.008688+0.00393×0.1890+0.000497×0.0223}
=19.72×{0.0000643+0.007428+0.0000111}
=19.72×0.000818=0.0162
上記により水/メタノール(100/0)溶媒で膨潤させた膨潤体試料(1)の三領域複合電子密度は、0.0162と計算される。
【0073】
X.上記の計算を、同一のκ(表1では、0.118)を維持して、水メタノール比率が異なる膨潤体(2)〜(11)について繰り返すと、表1の右から第2列に記載した仮定したκ値(=0.118)における複合電子密度値の集合が得られるので、これらを、最大である膨潤体試料(1)の値で除して、規格化したものが、表1最右列の規格化電子密度である。
【0074】
XI.上記の表1に示す値は、最終的に決定されたκ=0.118についての計算結果であるが、仮定したκの値に基づく当初計算においては、当然にこれとは異なる電子密度規格値Qci(i=1〜11)の集合が得られるに過ぎないので、
図2に示す実測小角X線散乱プロファイルと照合して較正する必要がある。このためには、
図2に示す散乱強度Iqを次式(4)(非特許文献5第5447頁の式(9)に相当)に従い積分する。
【数3】
積分結果を末尾の表3に示す。
さらに上記の積分値を、最大である膨潤体(1)の積分値に対する相対値として規格化したのが表3の最右列に示す規格化積分値Qmi(i=1〜11)である。
【0075】
XII.次いで、領域(B)/領域(A)体積比κを増減しつつ、上記表1の計算を繰り返し、
Σ(Qmi−Qci)
2 (i=1〜11)
を最小とするκの値を領域(B)/領域(A)体積比κとして求める。上述したように、このようにして得られたκ=0.118を基にして一連の計算を行った結果を表1に示す。
【0076】
上記した表1の最右列に示す規格化電子密度計算値Qci及び表3に示す規格化積分値Qmiのプロットを
図5に示す。両者間の極めて良好な一致が認められ、
図4に示すようなコアシエルシリンダーモデルの正しさ、ならびにこれに基づく表1を参照して説明したようなA,BおよびCの三領域複合電子密度および領域(B)/領域(A)体積比κの計算過程の正しさが証明されたと考えられる。
【0077】
後記するように、上記実施例1と全く同じ原料混合物を用い、注型重合前の撹拌条件を変更する以外は全く同様な比較例1の製造条件で製造したレンズ相当形状のシリコーンハイドロゲル重合体試料についても、同様に領域(B)/領域(A)体積比κの算出試験を行った。表2は、決定されたκ=0.04に対応して得られた計算結果の一覧を示す。また
図3に示す比較例1の実測散乱プロファイルの積分値および規格化積分値を末尾の表4に示す。さらに表2の最右列に示す規格化電子密度計算値Qci及び表4に示す規格化積分値Qmiのプロットを
図6に示す。両者間の極めて良好な一致が認められ、比較例1においても、
図4に示すようなコアシエルシリンダーモデルの正しさ、ならびにこれに基づくA,BおよびCの三領域複合電子密度および領域(B)/領域(A)体積比κの計算過程の正しさが証明されたと考えられる。
【0078】
[レンズ成形体の評価]
後記実施例及び比較例で得られたレンズ成形体(直径14mm、中心厚さ0.08mmのコンタクトレンズ形状)を、抽出、水和およびリン酸緩衝剤を含む保存溶液中で滅菌処理した後、リン酸緩衝剤を含む保存溶液とともにレンズ容器中で1日間以上保存したものについて、以下の評価を行った。
【0079】
<<外観評価>>
容器から取り出したレンズを肉眼で観察した。
【0080】
<外観(透明性)>
5人の判定員による目視判定の結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:5人全員が、レンズは透明であると判断した。
B:5人中3名以上が、レンズは微白濁を呈し、光学製品としての使用は困難と判断した。
C:5人中全員が、レンズは白濁を呈し、光学製品としての使用に耐えないと判断した。
【0081】
<外観(気泡混入)>
10枚のレンズ試料についての目視判定の結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:気泡の混入したレンズは、1枚以下であった。
B:気泡の混入したレンズは、4枚から6枚であった。
C:すべてのレンズに気泡の混入を認めた。
【0082】
[感触]
得られたレンズ試料を手指で挟んだ際の感触を、5人の判定員が確認した結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:5人中全員が、シリコーンを含まないハイドロゲルレンズと同様の柔軟性を示すと判断した。
B:5人中3名以上が、ハイドロゲルレンズより硬いと判断した。
C:5人中全員が、ソフトレンズとして使用した場合、装用時に眼球表面をこすり、傷をつけてしまう固さであると判断した。
【0083】
[酸素透過係数]
理化精機工業(株)社製、製科研式フィルム−酸素透過率計を使用して、ISO18369-4:2006(E)に記載の電極法に準拠した、35℃の生理食塩液中でレンズの電流値を測定した。
詳しくは、米国FDA編登録名:「asmofilconA」((株)メニコン製;非特許文献6に記載の方法により測定したDk値(厚さ無限大への外挿値):129×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg)、レンズ直径(Dia):14.0mm、ベースカーブ(BC)8.60mm、度数(P)-3.00、中心厚み(CT)0.08mm、)を基準レンズとして使用し、実施例及び比較例で形成した同一形状の試料レンズについて、生理食塩水中の酸素透過量に比例する電流値を測定した。測定時の大気圧を確認の上、得られた基準レンズ並びに試料レンズについての電流値(IW及びIS)より、以下の式から試料レンズの酸素透過係数Dk値(単位: ×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg)を求めた。
Dk=W×(IS/IW)×(TS/TW)×(PW/PS)
W :基準レンズのDk値(=129×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg))
IS :試験レンズの電流値(μA)
IW :基準レンズの電流値(μA)
TS :試験レンズの厚み(mm)<0.08mm>
TW :基準レンズの厚み(mm)<0.08mm>
PS :試験レンズ測定時の大気圧(mmHg)
PW :基準レンズ測定時の大気圧(mmHg)。
【0084】
なお、Dk値は、コンタクトレンズによる酸素の目への供給遮断を緩和するためのレンズを通した酸素の透過能力を示すものであり、一般に終日装用であっては、24×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg)以上、連続装用も可能とするために、レンズ中心厚みを汎用ソフトコンタクトレンズの0.08mmであると仮定した場合、56×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg)以上、更には69.6×10
-11(cm
2 / sec)・(mLO
2 / mL×mmHg)以上であることが好ましい、とされている。
【0085】
[破断弾性率の測定]
25℃の恒温室中において、レンズ状成形体試料についての破断特性(弾性率)測定装置における試料配置状態を示す模式断面図である
図7に示すように、レンズ試料より若干小さい直径Do(=9.7mm)を有するOリングO1を上端縁に配置した円筒状試料固定用セルBに生理食塩液を満たし、ベースカーブBC(mm)をあらかじめ測定したレンズ試料CをセルBのOリングD1上に載置し,更に同じ直径Doを有するOリングO2を下端に設けたホルダーH(セルBの上側半分)で押圧してレンズ試料Cを固定し、更に試料C上に生理食塩液約0.05mLを滴下することで、試料Cを生理食塩液環境に置いた。このように試料Cを固定したセルBを昇降型強度試験機(島津製作所製「AG−IS MS型」)に設置した。この状態で試験機のモーターをオンにし、直径1/16インチの先端部PTを有する押圧針Pを、試料Cの中央部へ向けて20mm/minの速度で下降させて(
図7)、押圧針先端部PTの位置およびこれから試料Cへ加えられる荷重の変化の測定・記録による三次元破断特性評価を行った。
【0086】
なお、弾性率測定に先だって、20℃に調節された生理食塩液中でのレンズのBC(ベースカーブ、すなわちレンズの凹面側曲率半径)を、コンタクトレンズアナライザー(オプティメック社、JCF/TCU型)を用いて、ISO18369−3,2006に従って測定した。
図7の装置により測定される弾性率は、レンズの凹面側単位表面積あたりに印加される荷重(レンズへの変形応力)を、その荷重印加により起こされるレンズの歪み(−)で除して得られる値であり、下式により求めるものである。
弾性率(mN/mm
2)
=((荷重(N)/レンズ表面積(mm
2))/レンズ歪み)×1000
=((応力(N/mm
2)) /レンズ歪み)×1000・・・(5)
ここで、
図7で示されたレンズCの測定中における変形状況を説明するための模式図である
図8を参照して、射影で示したレンズCの表面積は、上記ベースカーブBC、Oリング直径Do及びレンズ内面への初期接触時の押圧針Pの先端位置h1(=(BC)−{(BC)
2−(Do/2)
2)}
1/2)を用いて、球体の部分表面積計算として下式により求められる。
レンズ表面積(mm)=2×π×(BC)×h1
=2×π×(BC)× {(BC)-((BC)
2-(Do /2)
2)
1/2)
}・・・(6)
また歪みは、レンズの径方向長さの荷重印加時の値pと初期値qとの比として、荷重印加時の押圧針Pの荷重印加時の先端位置h2を含めて、以下の式により計算される。
レンズ歪み=p/q={(Do/2)
2+(h1+h2)
2}
1/2/ {(Do/2)
2+h1
2) }
1/2・・・(7)
【0087】
<破断弾性率>
試料破断時の荷重(N)と押圧針の先端位置変化h2とから、上記(7)式により歪みを計算し、更に(6)式による表面積を(5)式に代入して変形した以下の式(5a)を用いて、破断時の弾性率を算出した。
破断弾性率(mN/mm
2)
=((破断時荷重(N)/レンズ表面積(mm
2))/破断時の歪み)×1000・・・(5a)
【0088】
<初期弾性率>
上記した破断弾性率測定時のチャートから、(7)式により0.1N加重時のレンズ歪みを算出し、荷重(0.1N)、0.1N荷重時の歪み及び上記で求めたレンズ表面積を用いて、初期弾性率を算出した。
初期弾性率(mN/mm
2)
=((荷重(0.1N)/レンズ表面積(mm
2))/0.1N荷重時の歪み)×1000
この初期弾性率は、コンタクトレンズ装用時において、眼瞼圧(0.1N)の負荷がレンズにかかった際に示す素材特性を示す指標となり、一般に、0.1〜0.5N/mm
2程度が適当とされる。
【0089】
<弾性率比>
上記で求めた破断弾性率と初期弾性率の比として、次式により弾性率比が求められる:
弾性率比=破断弾性率/初期弾性率。
本発明によるコンタクトレンズは、この弾性率比が0.8〜1.2と、1に近い値を持つことが一つの特徴である。これは、初期弾性率と破断弾性率が近い値を示し、応力緩和が一定レベルにある力学特性を持つことを意味する。コンタクトレンズのようなポリマーが変形する場合、その初期の力学挙動と破断時の力学挙動が等しいことは、すなわちレンズ中のポリマーが均質であることを示す。一般的なコンタクトレンズにおいては、変形初期の弾性率は小さくとも、変形量が大きくなった場合には不均一な架橋点間のポリマーが部分的に伸びきることで、初期に比較して大きな弾性率を示す場合がある。一方、初期時に、不均一部の中でも、架橋密度の高い部位の特性が発揮された場合、初期弾性率に比し、破断時の弾性率が小さくなる。これら外観上透明で均一なコンタクトレンズ用の材料であっても、初期弾性率、破断弾性率という観点でみると、様々な特性を有するコンタクトレンズが存在し、この両者の比を求めることでその均一性の指標とできる。
【0090】
因みに、このようにして得られる本発明の実施例に相当する上記特性を示すレンズの荷重―ひずみ曲線は模式的に
図9に代表され、後記比較例1及び4のレンズの荷重―ひずみ曲線は、それぞれ
図10および11で代表されるものと解される。
【0091】
<応力緩和係数>
弾性率測定と同様に試料を設置し、押圧針Pを下降させ、レンズ試料Cと接触させて、約0.1N/mm
2の応力(初期応力)が加わった時点から、押圧針Pをその位置に1分間保持するプログラムを稼働し、30秒経過後の応力を測定した。以下の式を用いて応力緩和係数を算出した。
応力緩和係数(%)=(A−B)/A×100
A:初期応力(=0.1N/mm
2)
B:保持後30秒後の応力(N/mm
2)
この応力緩和係数は、
8%以下の場合、レンズの反撥感が強く、レンズ装用時の装用感の悪さ、更には前眼部障害につながる恐れがある。一方、25%以上の場合、レンズの戻りが悪く、装用時の瞬目によるレンズの変形が残存しやすく、開瞼後の視界の回復の遅延につながる。
そのため、一般に8〜25%の範囲内が好ましいと考えられる。
【0092】
<<原料>>
後記の実施例及び比較例においてレンズ製造原料として以下に略称で示す化合物を用いた。
【0093】
[成分(I)]
本願発明の成分(I)に相当するマクロモノマーa〜dを以下のようにして製造した。
(マクロモノマーaの製造)
(1)反応槽へ、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと記す)2223.0g、触媒として鉄(III)アセチルアセトナート1%/アセトニトリル溶液19.2g、n-ヘキサン1496.0gを入れ、バス温度70℃設定で攪拌を開始した。両末端水酸基化ジメチルシロキサン(重合度40、水酸基当量1560g/モル、信越化学工業(株)製KF−6002)9656.9gを4回に分けて添加し、最後の添加後に70℃のまま2時間攪拌して反応させ、冷却した。
液温が55℃以下となったら、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAという)1626.0g、鉄(III)アセチルアセトナート1%/アセトニトリル溶液38.5g、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(以下、MEHQという)8.13gを反応層に添加した。反応熱による昇温が安定し、液温50℃で60分攪拌して反応させたら、バス温を70℃に設定し、適宜サンプリングを実施した。FT/IR測定により、原料中のN=C=O基に基づくピーク(2230-2320cm
-1)の消失度合から、反応の終点を判断した(液温が70℃となってから約3時間反応を継続した)。
【0094】
反応層を冷却し、n-ヘキサン約28kg、アセトニトリル12kgを加えて希釈しながら、内容物を抽出層に移送した。抽出層の液を攪拌し、室温で1時間放置し、アセトニトリル層とマクロモノマー/n―ヘキサン層の分離を目視で確認し、アセトニトリル層を排出した。その後、約9kgのアセトニトリルを加えて攪拌し、室温で1時間放置し、アセトニトリル層とマクロマー/n―ヘキサン層の分離を目視で確認し、アセトニトリル層を排出した。最終的に得られたn-ヘキサン層を回収し、30℃、15kPaの減圧度下で濃縮した。最終的には10kPaで一晩濃縮し、わずかに黄味を有する粘ちょう透明液体であり、数平均分子量が6,300のマクロモノマーaを得た。(収率80%)。
精製後のマクロモノマーaは以下のようにキャラクタライズされた。
1H−NMR(CDCl
3、δppm)
0.06(Si−CH
3,3H,m)
0.52(Si−CH
2,2H,m)
2.91(NH−C
H2,2H,d)
3.42(−O−CH
2,2H,t)
3.61(−O−CH
2,2H,m)
4.18〜4.34(−(O)CO−CH
2−,6H,m)
4.54(NH,1H,s)
4.85(NH,1H,s)
5.84(CH=,1H,dd)
6.14(CH=,1H,dd)
6.43(CH=,1H,dd)
FT/IR(cm
-1)
1262および802(Si−CH
3)
1094および1023(Si−O−Si)
1632(C=C)
1728付近(C=O、エステルおよびウレタン)
【0095】
なお、
1H−NMR分析、FT/IR分析、は、それぞれ以下の方法にて行なった。
(イ)
1H−NMR分析:フーリエ変換核磁気共鳴装置(NMR):Varian社製、GEMINI2000/400BB型。
測定核種:
1H(共鳴周波数400.42MHz)
溶媒:CDCl
3試験試料:約5〜10w/v%CDCl
3
溶液測定温度:約22℃
(ロ)FT/IR分析:
赤外吸収スペクトル装置(IR):日本分光(株)製、FT/IR−8300
方法:液膜法(KBr板を使用)
(ハ)SEC分析:
SEC装置:日本分光(株)製
カラムオーブン:日本分光(株)製、860−CO
デガッサー:日本分光(株)製、DG−980−50
ポンプ:日本分光(株)製、PU−980
検出器(RI型、UV型):日本分光(株)製、830−RI(RI型)
カラム:Waters社製、Ultrastyragel Plus MX 10
3Å(2本を直列に接続)
移動相:テトラヒドロフラン検量線:標準ポリスチレンを用いて作成。
【0096】
(マクロモノマーbの製造)
両末端水酸基化ジメチルシロキサン(重合度60、水酸基当量2330g/モル、信越化学工業(株)製KF−6003)を用いるほかはマクロモノマー(a)と同様に合成・精製を行った。こうして得られたマクロモノマーbはわずかに黄味を有する透明液体であり、数平均分子量は7,700であった。
【0097】
(マクロモノマーcの製造)
触媒として鉄(III)アセチルアセトナート、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、および溶媒としてn-ヘキサンの存在下、イソシアナートエチルメタクリレートおよび両末端水酸基化ジメチルシロキサン(重合度20、水酸基当量920g/モル、信越化学工業(株)製KF−6001)を添加し加熱攪拌した。このように合成された粗生成物を、n−ヘキサンとアセトニトリルにて抽出・洗浄し、n−ヘキサン層を回収して、減圧下にて有機溶媒ならびに低分子化合物を留去した。こうして得られたマクロモノマーcは淡黄色透明液体であり、数平均分子量は3,400であった。
【0098】
(マクロモノマーdの製造)
イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと記す)222.3g、触媒としてトリエチルアミン(TEDA)6.85gを入れ、バス温度40℃設定で攪拌を開始した。両末端水酸基化ジメチルシロキサン(重合度40、水酸基当量1480g/モル、信越化学工業(株)製KF−6002)2065gを4回に分けて添加し、最後の添加後に40℃のまま16時間攪拌して反応させ、冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAという)66.2g、TEDA0.20gを反応層に添加したほかはマクロモノマー(a)と同様に合成・精製を行った。こうして得られたマクロモノマーdは淡黄色透明液体であり、数平均分子量は13600であった。
【0099】
[成分(II)]
以下の略号で示す化合物を用いた。
NMMP:1−メチル−3−メチレン−2−ピロリジノン (式量:111、重合体密度:1.20、ρe(電子密度):0.649)
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド(式量:99、重合体密度:1.14、ρe:0.62)
GMA:グリセロールメタクリレート(式量:160、重合体密度:1.19、ρe:0.64)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(式量:116 、重合体密度:1.15、ρe:0.615)
N−VP:n−ビニルピロリドン(式量:111、重合体密度:1.17、ρe:0.63)
【0100】
[成分(III)]
以下の略号で示す化合物を用いた。
TRIS−MA:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(式量:423、重合体密度:0.95、ρe:0.518)
TRIS−A:トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルアクリレート(式量:409、重合体密度:0.95、ρe:0.52)
DI-GMA:メチルジ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリルメタクリレート(式量:423、重合体密度:1.19、ρe:0.64)
2−MTA:2−メトキシエチルアクリレート(式量:130 、重合体密度1.12、ρe:0.602)
【0101】
[その他成分]
少量で用いられる機能成分として、以下の略号で示す化合物を用いた。
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート (架橋剤)
HMPPO:2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン (光重合開始剤)。
また、実施例7では、n-BuOH(n-ブタノール)を溶媒として用いた。
【0102】
(実施例1)
マクロモノマーa40部、NMMP40部、TRIS−MA20部、EDMA0.4部およびHMPPO0.4部からなり、密度ρ=1010kg/m3、粘度μ=0.047Pa・sの原料液20Lを、内径D=0.295mの円筒槽に深さH=約0.29mで入れ、翼径d=0.15m、幅b=0.03m、翼数n
p=2の平羽根パドル翼により回転数n=5rpsで20分間撹拌して重合原料液Iを調製した。
重合原料液Iの組成を、以下の実施例及び比較例で用いた重合原料液II〜Xとともに後記表5にまとめて示す。
【0103】
上記で得られた重合原料液Iを、コンタクトレンズ形状を有する鋳型(ポリプロピレン製、鋳型サイズは、水和処理後、直径14mm及び中心厚さ0.08mm及びベースカーブBC=8.60mm))内に注入し、次いで、この鋳型に高圧水銀ランプ(2kW)を使用してUV光を20分照射して光重合を行った。重合後、鋳型から取り出してコンタクトレンズ形状、あるいはフィルム形状の重合体を得た。当該重合体を蒸留水に浸漬し平衡となるまで膨潤させた後、リン酸緩衝剤を含む溶液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)した。
【0104】
得られたコンタクトレンズ形状の成形体について、上記した各種特性評価を行った。
上記実施例1の概要ならびに評価結果を、以下の実施例、比較例とともに、まとめて、後記表6に示す。
【0105】
(実施例2〜10および比較例1〜4)
原料液組成および撹拌条件を表6に記載するように変更する以外は、実施例1と同様にして、重合原料液を調製し、引き続き実施例1と同様に、重合、レンズ状成形体の製造および評価を行った。
なお、溶媒としてn-ブタノールを含む原料混合物を使用した実施例7については、水和後に他の実施例等と同一寸法となる寸法の型を用い、重合後の成形体については、エタノールにて一旦膨潤させた上で蒸留水に浸漬し、平衡となるまで浸漬させ、更に、リン酸緩衝剤を含む溶液中で高圧蒸気滅菌を行った後、各種評価に供した。
【0106】
上記実施例及び比較例の概要及び結果をまとめて後記表6に示す。