特許第6351388号(P6351388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351388セファロレントゲン装置及びノイズ低減方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351388
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】セファロレントゲン装置及びノイズ低減方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20180625BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   A61B6/14 313
   A61B6/00 350P
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-116540(P2014-116540)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-229001(P2015-229001A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信生
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−046438(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/128213(WO,A1)
【文献】 特開2012−196316(JP,A)
【文献】 特許第4777456(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 −6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を放射するX線源と、被写体を透過したX線を検出してX線画像として側方セファロ原画像を出力するX線検出手段と、前記側方セファロ原画像に所定の画像処理を施して側方セファロ画像を生成する画像処理手段とを備えたセファロレントゲン装置であって、
前記画像処理手段は、
前記側方セファロ原画像を基に、画像全体のエッジを強調するのではなく画像の一部分であって顔面平面(Fp)を含む領域の画像のエッジを強調した第1画像を生成する第1画像生成手段と、
前記側方セファロ原画像に対して画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する第2画像生成手段と、
前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記側方セファロ画像を生成する画像合成手段と、
を備えることを特徴とするセファロレントゲン装置。
【請求項2】
前記第1画像生成手段は、
前記側方セファロ原画像の一部分である顔面平面(Fp)を含む領域の軟組織を強調するように当該側方セファロ原画像の画像全体の濃度を調整することで顔面平面抽出画像を生成し、この顔面平面抽出画像のエッジを抽出した顔面平面抽出エッジ画像を前記第1画像として生成することを特徴とする請求項1に記載のセファロレントゲン装置。
【請求項3】
前記第2画像生成手段は、
前記側方セファロ原画像に対して画像全体のコントラスト比が読影上良好になるように画像の濃度を調整する画像処理を施したコントラスト変換画像を前記第2画像として生成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセファロレントゲン装置。
【請求項4】
前記画像全体の画像の濃度を調整する画像処理は、対数変換、ガンマ補正、及びトーンカーブ補正から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のセファロレントゲン装置。
【請求項5】
X線を放射するX線源と、被写体を透過したX線を検出してX線画像として側方セファロ原画像を出力するX線検出手段と、前記側方セファロ原画像に所定の画像処理を施して側方セファロ画像を生成する画像処理手段とを備えたセファロレントゲン装置におけるノイズ低減方法であって、
前記画像処理手段は、
前記側方セファロ原画像を基に、画像全体のエッジを強調するのではなく画像の一部分であって顔面平面(Fp)を含む領域の画像のエッジを強調した第1画像を生成する第1画像生成ステップと、
前記側方セファロ原画像に対して画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する第2画像生成ステップと、
前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記側方セファロ画像を生成する画像合成ステップと、
を有することを特徴とするセファロレントゲン装置におけるノイズ低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セファロレントゲン装置及びノイズ低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矯正歯科の歯科治療のために、正面頭部X線規格写真(正面セファロ:Postero-anterior cephalogram:PA)や、側方頭部X線規格写真(側方セファロ:lateral cephalogram:LA)が用いられている。例えば、側方セファロが取得されると、ドクターが、側方セファロのレントゲン写真において、顔面頭蓋の解剖学的形状をトレースして、図6に示すような投射図600を作成し、多数のセファロ計測点(例えばS点、A点等)を同定して記入する。
【0003】
投射図600において、後頭部側(図6において左側)には、S点(名称:セラ)等が記入される。ここで、こめかみ周辺にはS点を含む多数の計測点がある。一方、頭部の前面側(図6において右側)には、A点(名称:A点)、ANS点(名称:前鼻棘)、N点(名称:ナジオン)、Pog点(名称:ポゴニオン)等が記入される。N点とPog点とを結ぶ線は顔面平面Fpと呼ばれ計測面となっている。なお、実際の投射図には、基準平面、他の計測面、他の計測点が存在するが図6にはその一部を例示した。
【0004】
そして、側方セファロで対象とする被写体(患者)の頭部において、例えば鼻骨周辺、口唇、皮膚等の主として前面側(図6において右側)に配置された軟組織部分と、歯牙や側頭骨等を含む主として後頭部の側(図6において左側)に配置された大部分の硬組織部分とでは、X線の透過率が大きく異なっている。
【0005】
そのため、被写体の頭部において、A点等の骨密度の低い軟組織部分が明瞭になるようにX線曝射条件を調整して撮影すると、S点等の骨密度の高い硬組織部分についてはX線が透過しにくくなりレントゲン写真では真っ白になってしまう。
逆に、S点等の骨密度の高い硬組織部分が明瞭になるようにX線強度を上げて撮影すると、A点等の骨密度の低い軟組織部分についてはX線が透過しやすくなりレントゲン写真では黒くなって見えなくなってしまう。
【0006】
一方で、図6に示すような投射図600を作成するためには、例えばS点等の硬組織部分と、A点やN点等の軟組織部分と、の両方が明瞭に表示された1枚のセファロが必要である。なお、セファロ診断では図6に示すような投射図600を作成する必要があるため、左側だけのセファロ画像と右側だけのセファロ画像とをX線曝射条件を変えて個別に撮影して撮影後に2つの画像を繋げて1枚にすることはドクターにとって手間がかかり、診断に支障をきたすゆえ現実的ではない。
【0007】
そこで、従来、例えば側方セファロ撮影時に、軟組織フィルタと呼ばれる金属片を配置して、頭部の前面側(図6において右側)に入射するX線ビームを物理的に遮ることで、例えばS点等の硬組織部分とA点やN点等の軟組織部分との両方が明瞭に表示されたセファロ画像を得る方法があった。
【0008】
また、側方セファロを取得するために、X線ビームを物理的に遮るのではなく画像処理により軟組織部分を覆うデジタルフィルタを用いる方法があった(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術では、ドクター(オペレータ)は用意された多数のフィルタの中から、被写体の軟組織と硬組織との境界の形状に最も近い形状を有する一枚のフィルタを選び出す必要があるがその作業の負担を軽減することを課題としている。
【0009】
なお、頭蓋骨周辺の硬組織及び軟組織の双方の画像取得を目的とした技術ではないが、画像補償フィルタの従来技術が特許文献2に開示されている。この特許文献2に開示された画像処理方法は、表示画像のすべてに対して画像処理を施すのではなく、コントラストが必要な部分にのみコントラストをつけることを課題としている。そして、元データから処理対象範囲を求めて、その対象範囲の領域について算出した補償処理値データを、微細情報を残した元データから減算することで、補償済画像データを生成する。この補償済画像データは、対象範囲の領域以外の微細情報を保ったまま、対象範囲のダイナミックレンジのみをデータ補償する。
【0010】
ただし、特許文献2に開示された技術は、例えば腹部単純X線検査用のX線診断装置において、小腸内のガス等により被写体中(腸内)に画素値の高い領域が部分的に発生しているときに、画像処理により微細情報のコントラストを良好にするものであり、歯科用の側方セファロに単純に適用できるものではない。なお、内科等の医療関係者は、患者にイレウス(消化管閉塞)の疑いがある場合、小腸等の腹部単純X線検査を実施し、腹部ガス像の状態をチェックしている。このとき患者は立位の状態で写真(正面)が撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−196316号公報
【特許文献2】特許第4777456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
X線ビームを物理的に遮る従来方法では、軟組織フィルタ(金属片)をレントゲン装置に固定して位置決めしているため、撮影時に患者が顎を引いたりした場合、X線ビームの照射位置がずれてしまう。また、撮影時に患者が正しい姿勢であっても、顔の形状やサイズに個人差があるため、X線ビームの照射位置がずれてしまうことがある。このように、軟組織フィルタで遮ったX線ビームの照射位置が被写体においてずれてしまうと、例えばS点等の硬組織部分とA点やN点等の軟組織部分との両方が明瞭に表示されたセファロ画像を得ることができなかった。また、この方法では、セファロレントゲン写真に不具合が発生したときに何度も撮り直しを行うことができなかった。
【0013】
一方、X線ビームを物理的に遮るのではなく、患者の頭部の前面部が空間上で位置するであろう3次元位置を予測して、その予測位置に合わせてセファロ画像上の位置座標を予め決めておき、その位置座標をソフトウェアで指定して頭部の前面部にだけフィルタを掛ける画像処理手法が考えられる。この手法ならば、骨密度の高い硬組織部分の画像が明瞭で、かつ骨密度の低い前面部等の軟組織部分を明るく表示させることが可能であると思われる。しかしながら、この手法では、例えば撮影時に患者が顎を引いた場合、軟組織部分を覆うと予測したはずのフィルタの位置から顎が後頭部側にずれるため、元々明るい硬組織部分(後頭部側の部分)がさらに明るくなって白飛びの現象が起きてしまうことになる。よって、ドクターが例えばS点等の硬組織部分の計測点を読影する際の妨げになってしまう。
【0014】
また、特許文献1に記載の技術では、頭部の形状が被写体ごとに異なることを前提としており、被写体ごとに適したフィルタの外縁を決定するために、ドクターが、ポイント指定手段で側方セファロ画像の所定のポイントを指定する操作を、患者ごと且つ撮影ごとにしなければならなかった。そのため、撮影の操作の手間がかかっていた。
【0015】
また、デジタルフィルタを用いる方法において、例えば硬組織部分のコントラスト比を見やすくコントラスト変化するようなフィルタを用いると、その弊害として、X線の抜けやすい軟組織部分の周辺のコントラスト比が失われ、結果として、画像の情報が失われてしまう。つまり、軟組織部分の骨情報が欠落してしまう。軟組織部分の周辺として、例えば、ANS点やA点は、前鼻棘の最先端、鼻の下の人中との合わせ目の骨の先端部やその近傍に位置しており、こういった場所の骨の画像情報が欠落してしまうと、セファロ計測点を投射図に正確に記入することができず、診断の妨げになってしまう。
【0016】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、撮影の操作の手間を軽減し、フィルタを用いた上で軟組織部分の骨情報を復元し、側方セファロの計測にとってより適した画像を提供することのできるセファロレントゲン装置及びノイズ低減方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、本願発明者らは、硬組織部分のコントラスト比を見やすくコントラスト変化するようなフィルタを用いる方法において種々検討を行った。その結果、上記フィルタを用いるときの弊害を回避するために、取得画像全体のエッジを強調するとノイズが目立って見辛くなる一方、顔面平面付近のコントラストが判別できるような画像のエッジを強調すればノイズを低減できることを見出した。
【0018】
そこで、本発明に係るセファロレントゲン装置は、X線を放射するX線源と、被写体を透過したX線を検出してX線画像として側方セファロ原画像を出力するX線検出手段と、前記側方セファロ原画像に所定の画像処理を施して側方セファロ画像を生成する画像処理手段とを備えたセファロレントゲン装置であって、前記画像処理手段が、前記側方セファロ原画像を基に、画像全体のエッジを強調するのではなく画像の一部分であって顔面平面(Fp)を含む領域の画像のエッジを強調した第1画像を生成する第1画像生成手段と、前記側方セファロ原画像に対して画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する第2画像生成手段と、前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記側方セファロ画像を生成する画像合成手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
かかる構成によれば、セファロレントゲン装置において、第1画像生成手段は、画像全体のエッジを強調するのではなく、顔面平面のエッジを強調する。これにより、画像全体のエッジを強調する場合に比べてノイズを低減することができる。したがって、硬組織部分のコントラスト比を見やすくコントラスト変化するようなフィルタを使用してもその弊害を回避することができる。
そして、セファロレントゲン装置において、第2画像生成手段は、画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する。ここで、第2画像は、セファロにおける骨情報等の画像濃淡情報を再現するが、軟組織部分の骨情報が欠落している。
そして、セファロレントゲン装置において、画像合成手段は、第1画像と第2画像を合成して側方セファロ画像を生成する。ここで、第1画像では、顔面平面のエッジが強調されているため、軟組織部分の骨情報が残っているので、第2画像と合成することにより、第2画像において欠落している軟組織部分の骨情報を復元することができる。
さらに、セファロレントゲン装置では、デジタルフィルタの位置座標を予め指定することなく、セファロの画像の濃度情報を調整するだけで側方セファロ画像を生成することができる。したがって、従来よりも撮影の操作の手間を軽減することができる。
【0020】
また、本発明に係るセファロレントゲン装置は、前記第1画像生成手段が、前記側方セファロ原画像の一部分である顔面平面(Fp)を含む領域の軟組織を強調するように当該側方セファロ原画像の画像全体の濃度を調整することで顔面平面抽出画像を生成し、この顔面平面抽出画像のエッジを抽出した顔面平面抽出エッジ画像を前記第1画像として生成することが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、セファロレントゲン装置において、第1画像生成手段は、まず、顔面平面付近のみのコントラストが判別でき、それ以外のS点付近などの骨のコントラスト描写が濃度的に潰れるような画像を顔面平面抽出画像として生成する。そして、第1画像生成手段は、この顔面平面抽出画像のエッジのみを抽出した顔面平面抽出エッジ画像を生成する。これにより、ノイズを低減することができる。
【0022】
また、本発明に係るセファロレントゲン装置は、前記第2画像生成手段が、前記側方セファロ原画像に対して画像全体のコントラスト比が読影上良好になるように画像の濃度を調整する画像処理を施したコントラスト変換画像を前記第2画像として生成することが好ましい。ここで、画像全体のコントラスト比が読影上良好になるとは、セファロ計測点として、例えばS点等の硬組織部分とA点やN点等の軟組織部分との両方が表示されることを意味する。
【0023】
また、本発明に係るセファロレントゲン装置は、前記画像全体の画像の濃度を調整する画像処理が、対数変換、ガンマ補正、及びトーンカーブ補正から選択されるいずれかであることが好ましい。これにより、第2画像において、軟組織部分の骨情報が欠落していたとしても、これまで知られている画像処理技術によって、例えばS点等の硬組織部分とA点やN点等の軟組織部分との両方が最大限に明瞭に表示される。
【0024】
また、本発明に係るノイズ低減方法は、前記セファロレントゲン装置におけるノイズ低減方法であって、前記画像処理手段が、前記側方セファロ原画像を基に、画像全体のエッジを強調するのではなく画像の一部分であって顔面平面(Fp)を含む領域の画像のエッジを強調した第1画像を生成する第1画像生成ステップと、前記側方セファロ原画像に対して画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する第2画像生成ステップと、前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記側方セファロ画像を生成する画像合成ステップと、を有することを特徴とする。
【0025】
かかる手順によれば、ノイズ低減方法において、第1画像生成ステップにて、画像全体のエッジを強調するのではなく、顔面平面のエッジを強調する。これにより、画像全体のエッジを強調する場合に比べてノイズを低減することができる。したがって、硬組織部分のコントラスト比を見やすくコントラスト変化するようなフィルタを使用してもその弊害を回避することができる。
そして、ノイズ低減方法において、第2画像生成ステップにて、画像全体の濃度を調整した第2画像を生成する。
そして、ノイズ低減方法において、画像合成ステップにて、第1画像と第2画像を合成して側方セファロ画像を生成する。この合成により、第2画像において欠落している軟組織部分の骨情報を復元することができる。
さらに、ノイズ低減方法では、デジタルフィルタの位置座標を予め指定することなく、セファロの画像の濃度情報を調整するだけで側方セファロ画像を生成することができる。したがって、従来よりも撮影の操作の手間を軽減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、撮影の操作の手間を軽減し、フィルタを用いた上で軟組織部分の骨情報を復元し、側方セファロの計測にとってより適した画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るセファロレントゲン装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図1の画像処理手段の概略を説明するための画像の模式図である。
図3図1の画像処理手段の処理の流れの概略を示すフローチャートである。
図4図4(a)〜図4(f)は、原画像、図1の画像処理手段による途中及び最終画像処理結果を示す写真である。
図5図5(a)は図4(e)の部分拡大写真であり、図5(b)は図4)の部分拡大写真である。
図6】側方頭部X線規格写真の投射図における一部の計測点を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明のセファロレントゲン装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
[セファロレントゲン装置の構成]
図1に示すセファロレントゲン装置10は、X線源11と、X線検出手段12と、A/Dコンバータ13と、記憶手段14と、画像出力手段15と、画像処理手段20と、を備えている。
【0029】
X線源11は、従来公知のX線を放射するものであり、X線を発生して曝射するためのX線管を備える。なお、X線源11からのコーン状のX線ビームは、例えば図示しないコリメータにより照射範囲が規制される。
【0030】
X線検出手段12は、被写体を透過したX線を検出してX線画像(側方セファロ原画像)を出力するものである。X線検出手段12は、X線イメージセンサやX線検出器、またはそれらの組合せである。ここで、イメージセンサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOSイメージセンサ、TFT(Thin Film Transistor)センサ、CdTeセンサ等である。また、X線検出器は、X線イメージインテンシファイア(Image Intensifier:I.I.)、フラットパネル検出器(Flat Panel Detector:FPD)等である。
【0031】
A/Dコンバータ13は、X線検出手段12の出力信号を取得し、A/D変換し、A/D変換したX線検出手段12の出力信号を、記憶手段14に格納する。X線検出手段12の出力信号は、X線検出手段12に2次元配列された複数の画素の出力信号であり、側方セファロ原画像のことである。
【0032】
記憶手段14と画像処理手段20とは、例えば、一般的なコンピュータ(計算機)で実現することができ、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)と、入力/出力インタフェースとを含んで構成されている。
【0033】
記憶手段14は、一般的な画像メモリやハードディスク等から構成され、X線検出手段12から送られてくる出力信号(側方セファロ原画像)を記憶する。記憶手段14は、A/D変換された側方セファロ原画像を記憶する。
【0034】
画像出力手段15は、画像処理手段20の処理結果である画像データ(側方セファロ画像)を出力するものであり、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electronic Luminescence)等から構成される。
【0035】
以下、図1及び図2を参照(適宜図6参照)しながら画像処理手段20について説明する。
画像処理手段20は、側方セファロ原画像300(図2参照)に所定の画像処理を施して側方セファロ画像(305:図2参照)を生成するものである。
画像処理手段20は、図1に示すように、第1画像生成手段200と、第2画像生成手段203と、画像合成手段204と、を備えている。
第1画像生成手段200は、側方セファロ原画像300(図2参照)を基に、顔面平面(Fp:図6参照)のエッジを強調した第1画像(顔面平面抽出エッジ画像302:図2参照)を生成するものである。
【0036】
本実施形態では、第1画像生成手段200は、図1に示すように、ウィンドウ処理手段201と、エッジ抽出手段202と、を備えることとした。
ウィンドウ処理手段201は、側方セファロ原画像300(図2参照)に対して顔面平面の軟組織を強調するように画像全体の濃度を調整することで顔面平面抽出画像301(図2参照)を生成するものである。
【0037】
ウィンドウ処理手段201は、WW/WL変換処理(ウィンドウ処理)により、画像全体の濃度を調整するものである。階調処理であるウィンドウ処理は、従来公知の技術であって、特にCT(Computed Tomography)等では濃度調整の常套手段である。ウィンドウ処理では、ウィンドウ値(Window Level:WL)と、ウィンドウ幅(Window Width:WW)との2つのパラメータがあり、これらのパラメータが調整される。
【0038】
ここで、ウィンドウ値は、所謂ブライトネスに相当し、ウィンドウ幅の中央値(センターの位置)を決めるものである。例えば8ビットならば255までの数値で表す。
また、ウィンドウ幅は、所謂コントラストに相当し、コントラストの調整幅を決めるものである。例えば8ビットならば、0〜255の数値で表す。
【0039】
このウィンドウ処理手段201は、側方セファロ原画像300(図2参照)から、軟組織部分周辺の画像データを選択的に抽出し、コントラストを変更して表示する画像処理をかける。これにより、ウィンドウ処理手段201は、画像全体のうち、顔面平面(Fp:図6参照)付近等の軟組織部分周辺以外の領域を意図的につぶした画像を生成する。
【0040】
ウィンドウ処理手段201は、具体的には、軟組織部分周辺以外の領域であって、元々歯牙や骨が写っていた領域については、真っ白に塗りつぶす。例えば図4(a)に示す原画像から、図4(b)に示す顔面平面抽出画像(301:図2)を生成する。なお、図4(a)に示す原画像とは、記憶手段14に記憶された、A/D変換された側方セファロ原画像のことであって、画像処理を施していないものである。
【0041】
なお、セファロレントゲン装置で実際に取得する側方セファロ原画像(センサ出力)について事前に様々な条件でウィンドウ値やウィンドウ幅を実験的に求めて決定しておく。そして、それぞれの条件が設定されたときに、ウィンドウ処理手段201は、事前に決定しておいた、セファロ診断にとって最適なウィンドウ値やウィンドウ幅を用いて顔面平面抽出画像を生成する。
【0042】
エッジ抽出手段202は、顔面平面抽出画像301(図2参照)のエッジを抽出した顔面平面抽出エッジ画像302(図2参照)を第1画像として生成するものである。
エッジ抽出フィルタは、例えば、微分フィルタ(Differential filter)等である。一次微分の場合、例えば、ソーベルフィルタ(Sobel filter)、プリューウィットフィルタ(Prewitt filter)、ロバーツフィルタ(Roberts filter)等を挙げることができる。二次微分の場合、例えば、ラプラシアンフィルタ(Laplacian filter)等を挙げることができる。エッジ抽出手段202は、例えば、ウェーブレット変換(Wavelet Transformation)やマルチ周波数処理(Multi-Objective Frequency Processing:MFP)等の周波数変換フィルタ処理を行うものでも構わない。なお、公知のマルチ周波数処理は、複数の空間周波数帯域の成分を強調する処理である。
【0043】
このエッジ抽出手段202は、顔面平面抽出画像301(図2参照)に対して、エッジを強調するフィルタをかける。これにより、エッジ抽出手段202は、顔面平面抽出画像301(図2参照)のうち、顔面平面(Fp:図6参照)付近等の軟組織部分周辺のエッジが強調された画像を生成する。
【0044】
エッジ抽出手段202は、具体的には、軟組織部分周辺の領域であって、鼻骨や口唇が元々写っていた領域について輪郭をくっきりさせる。例えば図4(b)に示す顔面平面抽出画像(301:図2)から、図4(c)に示す顔面平面抽出エッジ画像(302:図2)を生成する。なお、この第1画像において、エッジ以外の領域の濃淡を示す色は、例えば8ビットで表すと、理想的な画素値0の黒色ではなく、ノイズ等の影響により、画素値が0に非常に近いグレーで表されている。
【0045】
なお、ウィンドウ処理手段201から出力される顔面平面抽出画像について事前に様々な条件で顔面平面(Fp:図6参照)付近等の軟組織部分周辺のエッジが強調された画像を実験的に求めてそれらの画像を確認しておくことで、エッジを抽出する条件を決定しておく。そして、エッジ抽出手段202は、事前に決定しておいたエッジを抽出する条件を用いて顔面平面抽出エッジ画像を生成する。
【0046】
第2画像生成手段203は、側方セファロ原画像300(図2参照)に対して画像全体の濃度を調整した第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)を生成する。
本実施形態では、第2画像生成手段203は、側方セファロ原画像300(図2参照)に対して画像全体のコントラスト比が読影上良好になるように画像の濃度を調整する画像処理を施したコントラスト変換画像303(図2参照)を第2画像として生成する。
ここで、画像全体の画像の濃度を調整する画像処理は、公知の対数変換、ガンマ補正、及びトーンカーブ補正から選択されるいずれかを用いることができる。
これら対数変換、ガンマ補正、トーンカーブ補正等の濃度変換補正は、X線が透過しにくい部分に相当する画像領域の形状を認識しやすくするような補正を行うことができる。
【0047】
この第2画像生成手段203は、側方セファロ原画像300(図2参照)に対して対数変換、ガンマ補正、あるいはトーンカーブ補正をかけることで、例えばS点等の硬組織部分とA点やN点等の軟組織部分との両方が最大限に明瞭に表示された第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)を得る。ただし、この第2画像は、濃度変換補正をしているため、X線が透過し易い部分に相当する画像領域の濃度のコントラストが圧縮される。そのため、A点等の軟組織の中に存在する骨密度の低い骨等が認識し辛くなるという弊害がある。その結果、第2画像は、軟組織部分の骨情報が欠落している。なお、この第2画像を生成することは、従来のデジタルフィルタを用いた画像処理で可能である。
【0048】
第2画像生成手段203は、具体的には、例えば図4(d)に示す原画像から、図4(e)に示すコントラスト変換画像(303:図2)を生成する。ここで、図4(d)に示す原画像は、図4(a)に示す原画像と同じものである。
【0049】
なお、セファロレントゲン装置で実際に取得する側方セファロ原画像(センサ出力)に対して、事前に様々な条件で、対数変換、ガンマ補正、あるいはトーンカーブ補正をかけた画像を実験的に求めてそれらの画像を確認しておくことで、画像処理条件を決定しておく。そして、第2画像生成手段203は、事前に決定しておいた画像処理条件を用いてコントラスト変換画像を生成する。
【0050】
画像合成手段204は、第1画像(顔面平面抽出エッジ画像302:図2参照)と、第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)とを合成して側方セファロ画像305(図2参照)を生成するものである。この画像合成手段204は、第1画像の各画素と第2画像の各画素とを画素の位置をそれぞれ対応させて画素値(例えば輝度値)を加算することで、第1画像と第2画像とを合成する。なお、図2の符号304は、合成前の第1画像及び第2画像を模式的に示している。
【0051】
画像合成手段204は、具体的には、例えば図4(c)に示す顔面平面抽出エッジ画像(302:図2)と、図4(e)に示すコントラスト変換画像(303:図2)とを合成することで、図4(f)に示す最終出力画像(305:図2)を生成し、画像出力手段15に出力する。これにより、画像出力手段15は、最終出力画像(305:図2)を側方セファロとして画面表示する。
【0052】
[セファロレントゲン装置のノイズ低減方法]
次に、図3を参照(適宜図1図2及び図6参照)しながら、セファロレントゲン装置のノイズ低減方法について説明する。図3は、画像処理手段20による処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3では説明を簡便にするために、第1画像の生成に続いて第2画像の生成を行うように説明するが、第1画像及び第2画像を並行して生成してもよい。
【0053】
図3に示すように、画像処理手段20において、ウィンドウ処理手段201によって、側方セファロ原画像300(図2参照)に対してウィンドウ処理を行い、顔面平面Fp(図6参照)のエッジを強調し顔面平面抽出画像(301:図2)を生成する(ステップS101:第1画像生成ステップa)。
続いて、画像処理手段20において、エッジ抽出手段202によって、顔面平面抽出画像301(図2参照)のエッジを抽出して顔面平面抽出エッジ画像302(図2参照)を第1画像として生成する(ステップS102:第1画像生成ステップb)。
【0054】
そして、画像処理手段20において、第2画像生成手段203は、側方セファロ原画像300(図2参照)に対して画像全体のコントラスト比が読影上良好になる画像処理を施したコントラスト変換画像303(図2参照)を第2画像として生成する(ステップS103:第2画像生成ステップ)。
【0055】
そして、画像処理手段20において、画像合成手段204は、第1画像(顔面平面抽出エッジ画像302:図2参照)と、第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)とを合成して側方セファロ画像305(図2参照)を生成する(ステップS104:画像合成ステップ)。これにより、軟組織部周辺を強調した画像を得ることができ、セファロ診断に有効な画像を得ることができる。
【0056】
[セファロレントゲン装置のノイズ低減効果]
ここで、図4(e)に示す合成前の第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)と、図4(f)に示す最終出力画像(305:図2)との比較について、図5を参照(適宜、図2図3図4及び図6参照)しながら説明する。
図5(a)は図4(e)の部分拡大写真であり、図5(b)は図4)の部分拡大写真である。ここでは、側方セファロの投射図における計測点であるN点からANS点までの部分を拡大している。
【0057】
例えば、鼻骨と前頭骨との縫合の最前点に位置する計測点であるN点については、図5(a)に示す第2画像の部分拡大写真よりも、図5(b)に示す最終出力画像の部分拡大写真の方がより鮮明になっている。
また、前鼻棘の最先端、鼻の下の人中との合わせ目の骨の先端部に位置する計測点であるANS点についても、図5(a)に示す第2画像の部分拡大写真よりも、図5(b)に示す最終出力画像の部分拡大写真の方がより鮮明になっている。
なお、図5の拡大図では割愛したが、A点についても、図5(a)に示す第2画像の部分拡大写真よりも、図5(b)に示す最終出力画像の部分拡大写真の方がより鮮明になっていた。
【0058】
ここで、仮に側方セファロ原画像300(図2参照)から、軟組織部分周辺以外の領域を意図的につぶした画像を生成せずに、直接的に原画像全体のエッジを強調した画像を生成した場合を想定する。この場合、硬軟組織部分の領域においてノイズが目立って見辛くなってしまう。言い換えると、画像上で本来白い歯牙や骨部分において白黒がはっきりついた斑な画像になってしまう。その結果、投射図の計測点の同定に支障となってしまう。
さらに、原画像全体のエッジを抽出した後で、第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)と加算すると、その結果の画像全体の濃度が平坦なものとなってしまい、X線透過画像として不自然な濃度になってしまう。
【0059】
これに対して、本実施形態では、第1画像生成手段200において、側方セファロ原画像300(図2参照)の画像全体のうち顔面平面(Fp:図6参照)付近等の軟組織部分周辺以外の領域を意図的につぶした画像を生成し、その画像である顔面平面抽出画像(301:図2)からエッジを強調して顔面平面抽出エッジ画像302(図2)を生成する。これにより、直接的に原画像全体のエッジを強調した画像を生成した場合と比べて、大幅にノイズを低減できる効果を奏する。
さらに、本実施形態に係るノイズ低減方法では、上記顔面平面抽出エッジ画像302(図2)と、第2画像(コントラスト変換画像303:図2参照)とを合成すると、その結果のセファロ画像において、顔面平面Fp(図6参照)付近のみを強調するので、X線透過画像として自然な濃度を実現できる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係るセファロレントゲン装置10によれば、デジタルフィルタの位置座標を予め指定することなく、セファロの画像の濃度情報を調整するだけで側方セファロ画像を生成することができる。したがって、例えば撮影時に患者が顎を引いた場合であっても、フィルタの位置決めをしていないので、対応可能であり、顔の形状やサイズに個人差があっても、その影響を受けずに、濃度調整により側方セファロ画像を生成することができる。
【0061】
また、例えば、従来の軟組織フィルタのように、顔面平面付近の位置を固定的に指定するか、又は、固定はせずとも指定された位置を自動認識して個別に濃度変換して顔面平面付近を見易くするような従来手法では、間違った位置を濃度変換することによる白飛びの現象が起きてしまう問題を抱えている。しかしながら、本実施形態に係るセファロレントゲン装置10では、このような問題を解決することができる。
【0062】
また、上述したように、セファロレントゲン装置10では、ウィンドウ処理やエッジ抽出処理等の画像処理については事前に適切な条件が決定されて画像処理のソフトウェアが用意されているので、ドクターは、例えば被写体ごとに適したフィルタを決定する操作を患者ごと且つ撮影ごとにする必要はなく、例えば図示しない操作パネルに表示されたフィルタのチェックボックスに1回チェックを入れる操作をすれば済む。したがって、ドクターはセファロの計測や診断に専念できる。
【0063】
また、セファロレントゲン装置10によれば、顔面平面付近の構造をエッジとして抽出した第1画像と、対数変換、ガンマ補正、トーンカーブ補正等の濃度変換補正を行った第2画像とを合成した側方セファロを生成する。このようにすることで、第1画像によって、第2画像において欠落している軟組織部分の骨情報を復元し、側方セファロの計測にとってより適した画像を提供することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。例えば、セファロレントゲン装置は、専用の装置である必要はなく、従来公知のように、例えばパノラマモードやセファロモード等の複数の撮影モードを有した汎用的なX線撮影装置において、LA分析のセファロモードで使用される形態であっても構わない。
【符号の説明】
【0065】
10 セファロレントゲン装置
11 X線源
12 X線検出手段
13 A/Dコンバータ
14 記憶手段
15 画像出力手段
20 画像処理手段
200 第1画像生成手段
201 ウィンドウ処理手段
202 エッジ抽出手段
203 第2画像生成手段
204 画像合成手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6