特許第6351470号(P6351470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351470
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】スクイズ容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20180625BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20180625BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B65D47/06
   B65D47/08 100
   B65D47/20 300
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-200625(P2014-200625)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-69023(P2016-69023A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−060457(JP,A)
【文献】 特開平09−122541(JP,A)
【文献】 実開昭55−163059(JP,U)
【文献】 特開2010−006462(JP,A)
【文献】 特開平08−252509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
B05B 11/00−11/06
B05B 1/00− 3/18
B05B 7/00− 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ可能な容器の口筒部に装着されるキャップであって、
口筒部に装着され、注出孔を有するキャップ基体と、
キャップ基体に第1ヒンジ部を介して連設され、噴霧孔を有し、注出孔を開閉する下蓋と、
下蓋に装着され、噴霧孔を開閉する上蓋とを備え、
キャップ基体は、下蓋の噴霧孔に対して突出するボス部を含み、
下蓋は、ボス部と嵌合して、噴霧孔を中心とする嵌合空間にスピン室を形成する凹部を含み、
下蓋を開閉することで、内容液を注出孔から注出するか、噴霧孔から噴霧するかを切り換えることを特徴とするスクイズ容器用キャップ。
【請求項2】
スピン室は、旋回流路を形成するスピン溝を有することを特徴とする請求項1に記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項3】
スピン溝は、注出孔と連通溝を介して連通することを特徴とする請求項2に記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項4】
スピン溝は、下蓋の凹部底面またはキャップ基体のボス部天面に形成されることを特徴とする請求項2または3に記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項5】
連通溝は、下蓋の凹部内周またはキャップ基体のボス部外周に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項6】
下蓋と上蓋は、第2ヒンジ部を介して連設される2段式ヒンジキャップであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスクイズ容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤や化粧料、調味料等の内容液を収容し、胴部をスクイズ(圧搾)して押し出すスクイズ容器に装着して使用する注出切り換え可能なスクイズ容器用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の容器の胴部をスクイズ(圧搾)して、容器内の内容液を加圧注出するスクイズ容器は、従来から周知である。
しかし、従来のスクイズ容器は、洗剤や化粧料等の内容液を液体のまま直接噴出させるようにしたものであり、比較的広い範囲に内容液を霧状にして振りかける時などに不都合があった。
【0003】
この不都合を解消するために、スクイズ容器の口頸部に装着された固定キャップ側に、直接噴出用通液溝と噴霧通液溝を並設し、一方この固定キャップ頂部に回動可能に取付けられるヘッドキャップに注出孔を穿設し、このヘッドキャップの回動位置により、直接噴出または噴霧可能な状態および噴出、噴霧ともに不能な状態を選択できるようにしたものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−8036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の注出切換えキャップは、同じ注出孔から直接噴出の液体と噴霧の霧状体を注出しているので、直接噴出で多量に抽出する場合に、容器の胴部を強くスクイズする必要があった。
また、上述の問題を解消するために、注出孔を大きくすると噴霧ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、内容液を霧状にして噴霧するときは容器をスクイズし、また、内容液を液状で適量注出するときはスクイズする必要がないように、切り換え可能なスクイズ容器用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、スクイズ容器用キャップとして、スクイズ可能な容器の口筒部に装着されるキャップであって、口筒部に装着され、注出孔を有するキャップ基体と、キャップ基体に第1ヒンジ部を介して連設され、噴霧孔を有し、注出孔を開閉する下蓋と、下蓋に装着され、噴霧孔を開閉する上蓋とを備え、キャップ基体は、下蓋の噴霧孔に対して突出するボス部を含み、下蓋は、ボス部と嵌合して、噴霧孔を中心とする嵌合空間にスピン室を形成する凹部を含み、下蓋を開閉することで、内容液を注出孔から注出するか、噴霧孔から噴霧するかを切り換えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
スクイズ容器用キャップの実施形態として、スピン室は、旋回流路を形成するスピン溝を有することを特徴とする構成を採用し、また、スピン溝は、注出孔と連通溝を介して連通することを特徴とする構成を採用する。
スピン溝の具体的実施形態として、スピン溝は、下蓋の凹部底面またはキャップ基体のボス部天面に形成されることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
連通溝の具体的実施形態として、連通溝は、下蓋の凹部内周またはキャップ基体のボス部外周に形成されることを特徴とする構成を採用する。
さらに、スクイズ容器用キャップの具体的実施形態として、下蓋と上蓋は、第2ヒンジ部を介して連設される2段式ヒンジキャップであることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクイズ容器用キャップは、注出孔を有するキャップ基体と、キャップ基体に第1ヒンジ部を介して連設され、噴霧孔を有し、注出孔を開閉する下蓋とを備え、キャップ基体は、下蓋の噴霧孔に対して突出するボス部を含み、下蓋は、ボス部と嵌合して、噴霧孔を中心とする嵌合空間にスピン室を形成する凹部を含み、下蓋を開閉することで、内容液を注出孔から注出するか、噴霧孔から噴霧するかを切り換えることにより、内容液を霧状にして噴霧するときは容器をスクイズし、また、内容液を液状で適量注出するときはスクイズする必要がないようにすることができる。
【0011】
また、本発明のスクイズ容器用キャップは、噴霧を必要としない時は、スクイズ容器をスクイズして注出しても、そのままスクイズ容器を傾けて注出することもできる。
【0012】
さらに、本発明におけるスクイズ容器用キャップは、キャップ基体のボス部と下蓋の凹部とを嵌合させることによりスピン室を形成する構造であるため、スピン溝や連通溝をボス部または凹部に形成することでキャップを一体成型することができる。
これにより、噴霧に不可欠なスピン室を形成するために別体のパーツを必要としないので、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例である2段式ヒンジキャップをスクイズ容器に装着した状態を示す側断面図である。
図2】本発明の実施例である2段式ヒンジキャップを示す展開側断面図である。
図3】本発明の実施例である2段式ヒンジキャップのキャップ基体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側断面図であり、(c)は下面図である。
図4】本発明の実施例である2段式ヒンジキャップの下蓋を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は下面図であり、(c)は(b)の部分拡大図である。
図5】本発明の実施例における噴霧状態を示す図であり、(a)は上蓋を開いたときの状態を示す側断面図であり、(b)はその部分拡大図である。
図6】本発明の実施例における適量注出状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明のスクイズ容器用キャップを2段式ヒンジキャップとして具体化した実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0015】
図1において、Aは内容液が充填されるスクイズ容器、Bはスクイズ容器Aに装着され、スクイズ容器Aの開口を被冠する2段式ヒンジキャップである。
【0016】
図1および図2に示すように、2段式ヒンジキャップBは、キャップ基体Cと、キャップ基体Cに第1ヒンジ部D1を介して連設される下蓋Eと、下蓋Eに第2ヒンジ部D2を介して連設される上蓋Fとから構成されている。
【0017】
スクイズ容器Aは、合成樹脂により成型され、スクイズ可能な胴部1と、胴部1の上部に形成される口筒部2とから構成されている。
キャップ基体Cを装着するスクイズ容器Aの口筒部2には、環状に突出する係合突条3と、その下方に続くくびれ凹部4が形成されている。
【0018】
図1および図3に示すように、キャップ基体Cは、スクイズ容器Aの口筒部2の上端を閉塞する隔壁5と、隔壁5の周縁に立設され、スクイズ容器Aの口筒部2内周に嵌合する内筒6と、内筒6の上端部と連設する基壁7と、基壁7の外周縁に連設し口筒部2の外周に嵌合する外筒8と、基壁7の上端外周面に設けられ下蓋Eに係止して閉蓋状態を保持する環状の第1蓋係止部9と、外筒8の下端外周で一定の間隔をおいて連設され、上端外周の所定個所に第1ヒンジ部D1を連設する外周筒部10と、隔壁5上に立設される注出筒11とから構成されている。
【0019】
図3(a)に示すように、隔壁5は、注出筒11の内側から中心に向けて3本の架橋部12が形成され、架橋部12の内方には、円形の天面13aと円筒形の外周面13bとからなり、内面が外面から一定の厚さで窪んだ円柱台形状のボス部13が上方に向けて突設されている。
このため、注出筒11の内側で架橋部12が存在しない部分、すなわち、架橋部12により区画される部分は、注出孔14として機能し、第1ヒンジ部D1と反対側に設けられる注出孔14は、内容液を注出する際に使用し、第1ヒンジ部D1側に設けられる注出孔14は、空気置換孔として機能する。
なお、本実施例では、注出筒11とボス部13を接続するために3本の架橋部12を形成しているが、架橋部12の数は複数本であれば、いくつでもよく、架橋部12に替えて適宜な形状の注出孔を注出筒11とボス部13との間の隔壁5に一つ以上穿設するものであっても構わない。
【0020】
第1蓋係止部9は、基壁7の上端外周面に突出する膨出部15として形成され、膨出部15に続く下方には係合凹部16が形成されている。
外筒8は、内周にスクイズ容器Aのくびれ凹部4に嵌合する環状の嵌合突条17が形成され、下端部外周には、第1ヒンジ部D1の反対側に設けられる連結片18と、それ以外の部分に間隔をおいて複数配設される破断可能な弱化片19とを介して外周筒部10が連設されており、外周筒部10の上端には第1ヒンジ部D1を介して下蓋Eが連設されている。
【0021】
図4に示すように、下蓋Eは、円形平板状に形成され、上面中央部が上面周辺部よりも一段厚く形成されている下頂壁20と、下頂壁20の周縁から垂設される下側周壁21とから構成され、下側周壁21の内周下端部には、第1蓋係止部9の係合凹部16に係合する環状の縮径突条22が設けられている。
また、下側周壁21の外周下端部には、キャップ基体Cと連設される第1ヒンジ部D1が設けられるとともに、下側周壁21の第1ヒンジ部D1と反対側の外周上端部には、上蓋Fと連設される第2ヒンジ部D2が設けられている。
第1ヒンジ部D1は、後述する上蓋Fの摘み部44より径方向外方に突出しない構造としており、好ましくは、径方向外方に可能な限り突出しない形状がよい。
【0022】
下頂壁20の下面には、閉蓋時に注出筒11の内周を密封する筒状の第1密封リング23が垂設されるとともに、第1密封リング23の内方には、筒状の周壁25が垂設されている。
周壁25は、下頂壁20の下面とともに凹部24を形成するものであり、凹部24は、底面24aと内周24bとから構成されている。
【0023】
凹部24は、特に図4(c)に示すように、内周24bに縦方向の連通溝26が等間隔で3本形成されており、凹部24をボス部13に嵌合させることにより、連通溝26は、注出孔14とスピン室Gとを連通させる。
凹部24の底面24aには、中心部に噴霧孔27が下頂壁20を貫通して穿設され、底面24aの周縁部に沿って、連通溝26と接続される環状溝28が形成されている。
なお、連通溝26は、環状溝28を介してずれた位置に3本のスピン溝29を形成している。
【0024】
なお、本実施例では、連通溝26は、凹部24の内周24bに形成されているが、ボス部13の外周面13bに形成されてもよく、また、環状溝28およびスピン溝29は、凹部24の底面24aに形成されているが、ボス部13の天面13aに形成されてもよい。
また、本実施例では、連通溝26およびスピン溝29の数は、3本であるが、複数本であれば、いくつでもよい。
【0025】
下頂壁20の上面には、下側周壁21よりも径が小さい筒状の縦壁30が立設され、縦壁30の上端外周面には、上蓋Fに係止して閉蓋状態を保持する環状の第2蓋係止部31が形成されている。
さらに、下頂壁20の上面には、縦壁30の内側で、噴霧孔27の周囲に筒状の噴霧筒32が立設され、噴霧筒32の内側の下頂壁20上面に、すり鉢部33が形成されている。
【0026】
図1および図2に示すように、上蓋Fは、上頂壁40と、上頂壁40の周縁から垂設される上側周壁41とから構成され、上側周壁41の内周下端部には、第2蓋係止部31に係合する環状の係止凹条42が設けられている。
上頂壁40の下面には、下蓋Eの噴霧筒32の内周面を密封する第2密封リング43が垂設されている。
【0027】
さらに、上側周壁41の外周下端部には、下蓋Eと連設される第2ヒンジ部D2が設けられるとともに、第2ヒンジ部D2と反対側の外周下端部には、開蓋する際に手指をかける摘み部44が設けられている。
なお、本実施例では、下蓋Eと上蓋Fとを第2ヒンジ部D2を介して連設する2段式ヒンジキャップとして具体化しているが、上蓋Fは、第2ヒンジ部D2を無くしてアンダーカットや螺合等で下蓋Eと嵌合させたものであっても構わない。
【0028】
つぎに、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例の2段式ヒンジキャップBは、まず、図2に示すように、キャップ基体Cと下蓋Eと上蓋Fとを展開した状態で、射出成型により一体で作製する。
そして、第1ヒンジ部D1を折り曲げることにより、キャップ基体Cに下蓋Eで閉蓋すると、キャップ基体Cのボス部13と下蓋Eの凹部24とが嵌合することにより、ボス部13の天面13aと凹部24の底面24aとの間にスピン室Gが形成される。
つづいて、第2ヒンジ部D2を折り曲げることにより、下蓋Eに上蓋Fで閉蓋する。
以上により、2段式ヒンジキャップBの組み立てが完了する。
このように、本実施例の2段式ヒンジキャップBは、一つの部品から構成されるため、簡単に組み立てることができる。
【0029】
つぎに、スクイズ容器Aに2段式ヒンジキャップBを装着するには、スクイズ容器Aに内容液を充填した後、図1に示すように、2段式ヒンジキャップBを閉蓋状態でスクイズ容器Aの口筒部2に打栓して装着する。
打栓工程は、内筒6と外筒8との間に形成される環状溝部にスクイズ容器Aの口筒部2を当てがい、上蓋Fの上から押圧力が加えられ、外筒8の嵌合突条17が口筒部2の係合突条3を乗り越えてくびれ凹部4に嵌合し、口筒部2が、内筒6の外周と外筒8の内周と基壁7とによって挟持され装着される。
なお、本実施例では、2段式ヒンジキャップBは、内筒6と外筒8との間に形成される環状溝部とスクイズ容器Aの口筒部2との嵌合によって装着されているが、2段式ヒンジキャップBは、スクイズ容器Aの口筒部2に螺合などの他の方法により装着するものであっても構わない。
【0030】
本実施例の2段式ヒンジキャップBが装着されたスクイズ容器Aを使用して内容液を噴霧するには、図1に示す状態から、上蓋Fの摘み部44を持ち上げると、第2蓋係止部31に係合する環状の係止凹条42が変形することにより、第2蓋係止部31との係止が解放され、上蓋Fは第2ヒンジ部D2を中心に回転させられ、上蓋Fが開蓋される。
このとき、上蓋Fが開蓋されても、キャップ基体Cの第1蓋係止部9の係合凹部16と下蓋Eの縮径突条22とが係合した状態にあるので、下蓋Eは、閉蓋状態を維持し、スピン室Gを形成することができる。
【0031】
つぎに、図5に示すように、スクイズ容器Aを傾けたまま、胴部1をスクイズすると、スクイズ容器A内の内容液は、注出孔14から連通溝26を介してスピン室G内に流入する。
すると、図4(c)に示すように、連通溝26からスピン室G内に流入した内容液は、環状溝28を介してスピン溝29に矢印Hで示す流入方向で、円弧を描いて旋回して達するのでスピンがかかり、噴霧孔27から霧状となって噴霧することができる。
【0032】
スクイズ容器A内の内容液を霧状にするための機構として、第1ヒンジ部D1を介して連設され、キャップ基体Cのボス部13と下蓋Eの凹部24とを嵌合させることにより、スピン室Gを形成するようにしているので、噴霧を必要としないときには、簡単にスピン室Gを構成するボス部13と凹部24との嵌合を解くことができ、必要なパーツの取り外しを必要としないので、パーツの紛失を防止できる。
【0033】
また、噴霧を必要としない時は、図1に示す状態から図6に示すように、第2ヒンジ部D2を持ち上げ、下蓋Eを開蓋することで、それまで下頂壁20により閉塞されていた注出孔14が開放される。
これにより、スクイズ容器Aの胴部1をスクイズして注出することも、そのままスクイズ容器を傾けて注出することもできる。
このため、従来のキャップが装着されたスクイズ容器と同様に、胴部をスクイズして内容液を適量注出することもできるし、また、容器をそのまま傾けて注出することもできる。
【0034】
つぎに、スクイズ容器Aを使用した後、下蓋Eを閉蓋すると、図1に示すように、注出孔14を下頂壁20により閉塞するとともに、上蓋Fの下面から垂設される第1密閉リング23により注出筒11の内周を密封することができる。
これにより、注出孔14から連通溝26およびスピン室Gを介して噴霧孔27から内容液が浸み出しても、噴霧筒32の内周を第2密封リング43により密封することができるので、不用意に内容液が漏れ出すおそれがない。
【0035】
また、本実施例の2段式ヒンジキャップBは、スクイズ容器Aの内容液を使用した後に、スクイズ容器Aの口筒部2から分離して廃棄することができる。
スクイズ容器Aを立てた状態で、図6に示すように、上蓋Fを閉蓋した状態で下蓋Eを開蓋して、そのまま外方に引っ張ると、キャップ基体Cの外筒8と外周筒部10とを連結する弱化片19が破断して、外周筒部10の第1ヒンジ部D1側が外筒8から引き離され、さらに下蓋Eを上方に引っ張ると、連結片18に連結された部分からめくれあがるようにして外筒8をスクイズ容器Aの口筒部2から簡単に外すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のスクイズ容器用キャップは、2段式ヒンジキャップに限らず、上蓋のヒンジを無くしてアンダーカット等で嵌合させたキャップにも適用でき、粘性の低い液体を収容するスクイズ容器のキャップとして広く使用することができるものであり、特に、洗剤や化粧料、調味料などを充填して、霧状の噴霧と液状の適量注出とを切り換えて使用するスクイズ容器のキャップとして好適である。
【符号の説明】
【0037】
A スクイズ容器
B 2段式ヒンジキャップ
C キャップ基体
D1 第1ヒンジ部
D2 第2ヒンジ部
E 下蓋
F 上蓋
G スピン室
H 流入方向
1 胴部
2 口筒部
3 係合突条
4 くびれ凹部
5 隔壁
6 内筒
7 基壁
8 外筒
9 第1蓋係止部
10 外周筒部
11 注出筒
12 架橋部
13 ボス部
13a 天面
13b 外周面
14 注出孔
15 膨出部
16 係合凹部
17 嵌合突条
18 連結片
19 弱化片
20 下頂壁
21 下側周壁
22 縮径突条
23 第1密封リング
24 凹部
24a 底面
24b 内周
25 周壁
26 連通溝
27 噴霧孔
28 環状溝
29 スピン溝
30 縦壁
31 第2蓋係止部
32 噴霧筒
33 すり鉢部
40 上頂壁
41 上側周壁
42 係止凹条
43 第2密封リング
44 摘み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6