【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、好ましくは薬剤を投薬するように適合された医療デバイスのデバイス構成要素が提供される。構成要素は、たとえば、薬剤を受けるかつ/または収納する容器またはバレルを有するカートリッジを備えることができる。そのような容器またはバレルは通常、内部に摺動可能に配設されたピストンによって封止される。したがって、カートリッジは、ピストンに機械的な圧力を加えることによって液体薬剤を遠位の出口を介して排出することができる、カープル(carpule)、アンプルまたはシリンジを備えることが可能である。カープルの場合、容器の遠位端は、薬剤の生体組織内への注射を提供する、二重先端針(double−tipped needle)のような穿孔要素によって穿孔可能な可撓性のあるセプタムによって封止される。
【0012】
デバイス構成要素は、マイクロプロセッサと、デバイスまたはその構成要素を組み立てるように適合された自動化された組立ラインに、デバイスに関連するデータを提供する少なくとも1つの通信部材、好ましくは無線通信部材とを備える。こうして、主要な包装を備えるまたは主要な包装としての役目を果たすことが可能な構成要素は、医療デバイスに関連するデータを備え、それによって、たとえば、薬物送達デバイスの組立プロセスを、少なくとも構成要素に記憶されたデータのタイプに従って変更することが可能になる。
【0013】
以下では、通信部材およびマイクロプロセッサを装備するデバイス構成要素を、組立プロセスをそれから開始することが可能な初期デバイス構成要素として示す。特に適合させたデバイス構成要素を初期構成要素として特定しても、必ずしも組立プロセスをこの特定の構成要素から開始する必要はない。したがって、それぞれの組立方法は、本発明による組立プロセスにかける時にはデバイスの複数の構成要素が予め構成されている、または予め組み立てられている、医療デバイスの事前組立体(pre−assembly)から等しく開始することが可能である。
【0014】
通信部材および/またはマイクロプロセッサは、たとえば、初期デバイス構成要素としての役目を果たすカートリッジのピストンに埋め込む、または配設することができる。通信部材は、たとえば、RFID通信技術に基づき、要求に応じて記憶されたデータを提供することができる。その結果として、薬物送達デバイスを製造するプロセス全体を、カートリッジまたはデバイス内に組み立てられるいくつかの他の適切なデバイス構成要素によってトリガし、制御し、および/または統制することができる。したがって、構成要素自体を用いて、個々のデバイス固有の情報を組立ラインの様々な組立段階に提供することができる。そのような薬物送達デバイスの組立中のデバイス固有のデータの管理、ならびに薬物送達デバイスの組立計画に関するロジスティック概念は、簡易化することが可能である。
【0015】
通信部材は、マイクロプロセッサと電気的に接触する別個のユニットとして提供すること、またはマイクロプロセッサに組み込むことが可能である。したがって、マイクロプロセッサおよび通信部材は、共通のマイクロチップに組み込むことができる。
【0016】
好ましい実施形態において、構成要素は、様々な組立工程の間に、組立体に関連する情報を記憶する書き込み可能な記憶装置をさらに備える。したがって、通信部材は、組立ラインに情報を提供するように適合されるだけではなく、組立ラインから情報を受け、それぞれの組立体に関連するデータを記憶するように動作することも可能である。こうして、様々な後続の生産工程または組立工程に関するデータを、データの記憶に適した各デバイス構成要素に個別に記憶することができる。こうして、構成要素が内部に組み立てられる医療デバイス、特に薬物送達デバイスの生産チェーンまたは組立チェーン全体を、構成要素自体に適切に記憶することができる。
【0017】
さらに、書き込み可能な記憶装置を提供することにより、様々な後続の組立工程をデバイス構成要素によって結び付けること、または調整することも可能である。たとえば、第1の組立工程では、それぞれの第1の組立体に関連するデータを、記憶装置に記憶することができる。次いで、後続の第2の組立工程では、第2の組立工程を変更または操作するために、前記第1のデータを引き出し処理することができる。
【0018】
記憶装置は、構成要素の中もしくは上に別々に埋め込むこと、またはマイクロチップに組み込むことも可能である。
【0019】
他の好ましい実施形態では、構成要素の記憶装置は、薬物送達デバイスの完全なまたは部分的な組立構成を含む。さらに、マイクロチップおよび/またはそのマイクロプロセッサは、通信部材と共に、記憶装置に記憶されたデータに従って、実際の組立工程および/または続く組立工程について、組立ラインまたはその少なくとも1つの組立段階に指示するように動作可能である。
【0020】
デバイスに関連するデータを用いて、デバイス構成要素、たとえば、カートリッジを簡単にプログラムする、または予め構成することによって、生産ラインまたは組立ラインの全体が、薬物送達デバイスのどの構成要素を受け入れなければならないか、またどの方法でそれを組み立てるべきか、適切に指示を受けることができる。こうして、多種多様な同様のまたは異なるタイプの、異なるように構成された医療デバイスを、ただ1つの生産ラインによって組み立てることが可能になる。生産ラインおよび/またはその様々な組立段階のデバイスに関連する転換は、一般的にはもはや不要である。
【0021】
たとえば、一般に多くの種類の異なる構成のデバイス構成要素が利用可能である場合、薬物送達デバイスのどの型の構成要素を、実際の構成要素の現在の構成、および/またはデバイスのそれぞれの事前組立体と組み合わせ、組み立てるかを統制および決定するのは、選択されたデバイス構成要素である。この文脈において、デバイスの事前組立体とは、初期のまたは選択された構成要素が第1のまたは後続の組立工程を通過した時に得られるものであり、したがって、既に少なくとも1つの追加の構成要素と共に組み立てられている。
【0022】
他の好ましい態様によれば、初期構成要素のマイクロチップは、その後、直接薬物送達デバイスと共に、もしくは利用可能な事前組立体と共に組み立てられる、薬物送達デバイスの構成要素のタイプおよび/もしくは構成を選択および/もしくは決定するように適合されるか、またはそうするように動作可能である。その場合、初期構成要素、たとえば、カートリッジまたは薬物送達デバイスのそれぞれの事前組立体がかけられる組立段階が、それぞれの組立段階によって実施される組立工程を自動的に決定および制御する。
【0023】
他の好ましい実施形態によれば、マイクロチップはまた、たとえば、所定の組立条件が満たされるかどうかを判定するために、組立体に関連するデータを処理するように、かつ/または薬物送達デバイスに関連するデータを処理するように適合される。したがって、初期構成要素またはそれぞれの事前組立体は、それ自体で、それが実際に正確かつ適切な組立を受けるかどうかを判定するように適合される。マイクロプロセッサが、初期構成要素または事前組立体が不適切に取り扱われている、または不適切に取り扱われたと判定した場合には、それぞれのインジケータ・フラグを設定することができ、それぞれのカートリッジまたは事前組立体を、誤りがあるものとして電子的にラベル付けすることができる。
【0024】
したがって以下の他の好ましい態様によれば、マイクロプロセッサは、薬物送達デバイスまたは事前組立体が所定のリリース条件を満たすかどうかを検証および/または承認するように適合させることもできる。そのようなリリースまたは品質チェックは、それぞれのもしくは少なくとも1つの選択された組立段階の前、その間、および/その時またはその後に、実行および実施することができる。こうして、不適切な薬物送達デバイスの組立体はいずれも、それが生じるとすぐに検出し、それによって、それぞれの事前組立体をデバイス組立のさらなる処理から排除することを可能にすることができる。その結果、生産および製造の能力を最適化することができ、検出可能な影響または故障を特色とするカートリッジは、それ以上、デバイス組立の対象にならなくなる。
【0025】
実際には、他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの所定のリリース条件が満たされないという判定に応答して、組立ラインからの排除を要求するように動作可能であるのは、マイクロプロセッサ自体である。こうして、製造プロセスおよび/または組立プロセスの品質管理を向上させることができる。特に製造プロセスまたは組立プロセスの最後に、もはや別のまたは従来型のかなり複雑な品質調査手段を実装する必要はない。
【0026】
他の独立した態様において、本発明はまた、薬物送達デバイスを組み立てる組立ラインに関する。組立ラインは、上述のように初期デバイス構成要素の対応する通信部材と通信するように適合され、医療デバイス、好ましくは薬物送達デバイス内に組み立てられた少なくとも1つの通信部材を備える。組立ラインは、少なくとも薬物送達デバイスの通信部材から得られたまたは読み出されたデバイスに関連するデータの影響を受ける、少なくとも1つの組立工程を実行もしくは処理するように適合された、またはそのように動作可能である少なくとも1つの組立段階をさらに備える。
【0027】
医療デバイスに関連するデータは、所定のスケジュールまたは構成に従って互いに組み立てなければならない構成要素の順序およびタイプについて固有とすることができる。こうして、組立プロセスは、初期デバイス構成要素に記憶され、それによって提供されるデバイスに関連するデータにより、少なくとも影響を受けるようにすること、または部分的に制御することが可能である。
【0028】
他の好ましい実施形態において、組立段階は特に、複数の一般的に利用可能な構成要素の中から、薬物送達デバイスの少なくとも1つの構成要素を選択するように適合される。さらに組立段階は、選択された構成要素を、カートリッジのマイクロプロセッサの要求に応じて初期構成要素または事前組立体と共に組み立てるように適合される。
【0029】
他の好ましい実施形態において、少なくとも1つの組立段階はまた、組立体に関連するデータまたはパラメータを、初期構成要素の記憶装置に記憶するように適合される。こうして、構成要素自体が組立体に関連するデータを備え、それによって、医療デバイスの生産チェーンまたは組立チェーンの全体をデバイス自体に記憶することができる。
【0030】
他の好ましい実施形態によれば、組立ラインが、初期構成要素の記憶装置を読み出し、所定のリリース条件が満たされるかどうかを判定するリリース段階を備えることも考えられる。したがって、リリース段階は、記憶装置に記憶された組立体固有のデータを読み出し、適切に処理すること可能なある種の品質チェックとしての役目を果たすことができる。たとえば、任意の所定のリリース条件が満たされていない場合、リリース段階は、対応するデバイスまたはそれぞれの事前組立体を選別することができる。
【0031】
追加としてまたは別法として、リリース段階はさらに、薬物送達デバイスによってまたはそれぞれの事前組立体によって伝達される、排除コマンドを処理するように適合させることができる。その場合、リリース段階は、排除の要求を受けたことに応答して、それぞれの薬物送達または事前組立体を組立ラインから取り除くことができる。
【0032】
さらに他の態様において、本発明はまた、初期デバイス構成要素、たとえば、前述のカートリッジを提供する工程と、デバイスに関連するデータを初期デバイス構成要素から受ける工程とを含む、薬物送達デバイスを組み立てる方法に関する。その後、受けたデータに従って、特定のデバイス構成要素が選択される。次いで、選択されたデバイス構成要素が初期構成要素に組み付けられ、それによって、薬物送達デバイスの事前組立体を形成する。
【0033】
好ましい実施形態では、組立工程の間、前または後に、組立体に関連するデータを初期構成要素の記憶装置に記憶することが可能であり、事前組立体は、たとえば、薬物送達デバイスが完成するまで、他のデバイス構成要素を同様の方法で前記事前組立体と共に組み立てるもしくは構成することができる、続く組立工程または組立段階まで運ぶことが可能である。
【0034】
好ましい実施形態では、薬物送達デバイスの完全な組立構成が、初期構成要素に記憶される。したがって、初期構成要素自体が、薬物送達デバイスを組み立てる、かつ/または構成するのに必要なすべての指示を含むことができる。さらに、初期構成要素、たとえば、カートリッジは、組立プロセスの間、所定のデータに従って、または以前に記憶されたデータによって、実際のまたは後続の組立段階および組立工程を能動的に指示、構成またはトリガすることができる。
【0035】
ここで、方法が、決してカートリッジ、およびペンタイプの注射器のような薬物送達デバイスの組立または生産に限定されないことに留意されたい。したがって一般的には、前述の組立の概念は、一般に医療デバイス用の様々な異なるタイプの組立プロセスに転用することが可能である。
【0036】
医療デバイスおよび/または薬物送達デバイスの組立は、カートリッジのような薬剤を含む対象物から開始し、薬物送達デバイスを、たとえば、言語固有のリーフレット、患者情報および/または価格情報と共に副次的な包装内に提供することで終了することができる。本発明は一般に、一つ一つの薬物送達デバイスの個別のラベル付けを提供するが、品質に関するすべてのデータを、それぞれのデバイスに直接提供することもできる。
【0037】
製品のリリースは、一つ一つのまたは個別のデバイスに基づいて実施し、それによって、生産プロセス全体の全般的な制御を実質的に不要にすることができる。原則として、ラインの撤去、組立段階または製造段階の転換、チャージの文書化は、もはや行う必要がない。
【0038】
実際には、本発明は、あらゆるプロセスまたは組立工程の間、個別のデバイス自体に基づいて、組立および生産の全体的な監視ならびに制御を提供する。こうして、あらゆる製造または組立の工程の後その都度、様々な品質チェックを実施することができる。
【0039】
他の態様では、医療デバイス、特に薬物送達デバイスがそれから作られる、選択された構成要素または部材の許容差の領域を広げることも可能である。様々な構成要素が、特にその幾何学的な大きさに関して正確に特徴付けられる時には、その幾何学的な許容差について適合する構成要素のみを選択することができる。あるいは、任意のただ1つの構成要素に関する許容差固有の情報のみを、デバイス固有の記憶装置に記憶することが考えられる。
【0040】
その場合、組立プロセスまたは製造プロセスの最後に、相互に組み立てられたデバイス構成要素の組み合わせが、依然として所定の許容差の領域に含まれるかどうかを確認するために、リリース段階が、それぞれの幾何学的な許容差の情報を読み出し、処理することができる。所定の許容差の要件が満たされていない場合、それぞれのデバイスまたは事前組立体を個別に特定し、追跡し、かつ/またはさらなる製造プロセスまたは組立プロセスから取り除くことができる。
【0041】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0042】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0043】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0044】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0045】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0046】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0047】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0048】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0049】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0050】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0051】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0052】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0053】
哺乳類では、λおよびкで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖кまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0054】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0055】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0056】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ性、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0057】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0058】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加えることが可能であることが、当業者にはさらに明らかになるであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用される参照符号はいずれも、本発明の範囲を制限するものと解釈されないことに留意されたい。さらに、本明細書に記載されるすべての機能および実施形態は、初期デバイス構成要素、そのような構成要素を含む医療デバイス、組立ライン、ならびに組立方法に等しく当てはまることを理解されたい。特に、特定の動作を実施するために構成もしくは配置された構成要素または組立段階についての言及は、それぞれの方法の工程を開示することであり、その逆もまた同様であることも理解されたい。
【0059】
以下では、図面を参照することによって、本発明の好ましい実施形態について詳しく記載する。