(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、カルボキシ官能基のエステル化度を、アルコール基およびカルボキシ基の総数に対して5〜75%の範囲に有する陰イオン性多糖類から選択される少なくとも1種の陰イオン性多糖類を含んでいることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、カルボキシ官能基のアミド化度を1〜50%の範囲に、80%までのカルボキシ官能基のエポキシ化度を有する陰イオン性多糖類および/または陰イオン性高分子電解質から選択される少なくとも1種の陰イオン性多糖類および/または少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を含んでいることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、金属カチオンのための少なくとも1種の錯化剤の含分、または金属カチオンの錯化により変性されたポリマーの含分を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、マレイン酸、アレンドロン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはメサコン酸、またはこれらのカルボン酸の無水物もしくはモノエステルをベースにする錯化剤から選択される、少なくとも1種の錯化剤の含分を有していることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、メラミン塩、ニトロソ塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、第四級窒素カチオンを有する塩、アンモニウム誘導体の塩、Al、B、Ba、Ca、Cr、Co、Cu、Fe、Hf、In、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sn、Ta、Ti、V、W、Znおよび/またはZrの金属塩からなる群から選択される、カチオン効果を有する塩をベースにするカチオンから選択される少なくとも1種のカチオンを含んでいることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
前記金属表面から溶出される/溶出されている、および/または前記水性組成物に添加される/添加されているカチオンとして、Al、Cu、Feおよび/またはZnが選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエポキシドおよび/またはこれらの複合物をベースにする有機粒子の含分を有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、陰イオン性乳化剤をベースにする乳化剤から選択される少なくとも1種の乳化剤の含分を有していることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
前記水性組成物および/またはそれから製造される有機被覆が、バイオサイド、分散助剤、塗膜形成助剤、pH値の調整のための酸性および/または塩基性の助剤、ならびに増粘剤ならびにレベリング剤の群からなる添加剤から選択される、少なくとも1種の添加剤を含んでいることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
前記水性組成物が、イオノゲン性のゲルをベースにする被覆を形成すること、およびここでまたは後に形成される乾燥塗膜が、少なくとも1μmの厚みを有していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
塗膜形成ポリマーからの分散液ならびに/または2〜40質量%の固形物含有率および10〜1000nmの平均粒度を有する塗膜形成する無機粒子の懸濁液中に、少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を、生じる混合物の総質量に対して0.01〜5.0質量%の量で含んでいて、4〜11の範囲のpH値を有し、前記陰イオン性高分子電解質が、ペクチンまたはジェランガムをベースにする少なくとも1種の多糖類を含んでいる、またはそれからなる金属表面の塗膜形成用水性組成物。
塗膜形成ポリマーからの分散液中に、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエポキシドおよび/またはこれらの複合物をベースにする有機粒子の含分、マレイン酸、アレンドロン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはメサコン酸、またはこれらのカルボン酸の無水物もしくはモノエステルをベースにする錯化剤から選択される少なくとも1種の錯化剤の含分、ならびにペクチンまたはジェランガムをベースにする少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を有していることを特徴とする、請求項18に記載の金属表面の塗膜形成用水性組成物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の被覆方法、相応する被覆、ならびに前記方法により被覆される物品の使用に関する。特に金属表面に、浸漬法を用いて均一な(homogene)被覆を生成するための方法は数多く存在している。ここで、特に、主に有機母材ならびに/または有機および/もしくは無機の添加成分からなる防食被覆を生成する場合、以下の技術が利用されるのが好ましい。
【0002】
典型的な方法は、接合された工作物の完全な被覆を達成するために、使用される配合物のレオロジー特性を利用することに基づいている。浸漬工程による当該工作物の連続的な回転により、危険個所での被覆材料の集積を減らすことができるにもかかわらず、この方法を用いて完全に均一な被覆を達成することは不可能である。さらに、被覆割合が比較的高い個所では、乾燥工程および/または架橋工程の間に、被覆全体の品質を損なわせる欠陥個所、例えば、気泡形成および浮きまだら(Kocher)が生じることがある。
【0003】
電気泳動法は、浸漬法において一様な(gleichmaessig)被覆を析出するために電流を使用して前記問題を回避するものである。この方法を用いて、金属の工作物に均一な被覆を生成することに成功する。析出された被覆は、金属の下地に対してウエット状態で、際立って優れた接着性を示しており、前記被覆が剥離されることなく、前記工作物を後続の洗浄工程で処理することが可能になる。これにより、前記工作物の到達しにくい個所から上澄みの塗装溶液が除去され、したがって、乾燥工程の間に欠陥個所が生じることがなくなる。この技術は、費用の上昇をもたらす電気エネルギーの所要量および好適な浸漬槽の他に、いわゆる端部の塗膜不足(Kantenfluchten)が起こることも欠点である、それというのは、電場が、巨視的な端部に不均一に形成されて、端部が、不均一に、および場合によりまた不完全に被覆されるからである。工作物の構造では、さらに、空隙を避けなければならない、それというのは、前記個所で、ファラデーケージの現象に匹敵する効果が起こるからである。析出に必要な電場の強さが低下するため、前記工作物の前記領域では、前記方法により被覆を設けることができない、または著しく減少した被覆しか設けることができず(包含問題(Umgriffsproblematik))、被覆の品質が損なわれることになる。さらに、前記技術は、電着塗料(ETL)、例えば、カソード電着塗料(KTL)の場合、相応の浸漬槽が、温度管理、電力供給および電気絶縁、循環装置および添加装置から、電解液の被覆で生じる陽極液酸(Anolyt−Saeure)の処理までのあらゆる電気的および機械的装置と一緒に、ならびに塗料再利用のための限外ろ過ならびに制御装置と一緒に非常に費用がかけられて形成されているという欠点を有している。このプロセス実施は、また電流の強さおよびエネルギー量が大きいため、ならびに浴容量にわたって電気パラメータを均一化する場合、およびあらゆるプロセスパラメータを正確に調節する場合、ならびに前記設備の整備および洗浄の場合に、非常に高い技術的な費用を必要とする。
【0004】
公知の自己析出法(autophoretischen Verfahren)は、使用する基材表面の酸洗腐食からなる無電解の構想に基づいていて、金属イオンが前記表面から溶出されて、金属イオンの濃度に基づいて、生じる界面でエマルションが凝固される。この方法は、ファラデーケージ効果に関して電解法の上述の制約を有していないにもかかわらず、前記プロセスで生じた被覆は、第一の活性化工程の後に、費用のかかる多段階の浸漬法で固定させる必要がある。さらに、酸洗腐食は、活性区域から除去されねばならない金属イオンにより、前記区域の不可避の不純物をもたらす。さらに、前記方法は、化学的な析出プロセスに基づいており、このプロセスは、自己調節式ではなく、必要のある場合、例えば、電解法では電流を断つことによって中断することができない。したがって、活性区域における金属基材の待機時間が比較的長い場合、過度に厚い層厚みが形成されることが避けられない。
【0005】
均一な被覆を浸漬プロセスにおいて効果的かつ経済的に形成して、ここから、できる限り密閉していて(geschlossene)、実質的に平らな被覆を比較的厚い厚みで製造することは、長い間求められる要望である。
【0006】
したがって、塗料配合物(Lackformulierung)が、液体系によって、および必要のある場合に金属表面で耐洗浄性に、均一に平面全体を覆って、簡単に析出されうる方法を提案することが課題である。さらに、このためにできる限り簡単な方法を提案することが課題であった。
【0007】
前記課題は、以下の工程を含んでいる、または以下の工程からなる、基材の金属表面を被覆するための方法によって解決される:
I.洗浄された金属表面を有する基材を準備する工程、
II.金属表面に、分散液および/または懸濁液の形態の水性組成物を接触させて被覆する工程、
III.場合により、前記有機被覆を洗浄する工程、ならびに
IV.前記有機被覆を乾燥および/もしくは焼き付けする工程、または
V.場合により、前記有機被覆を乾燥させて、同一もしくはさらなる被覆組成物を、乾燥および/もしくは焼き付けする前に被覆する工程、
工程IIにおいて、分散液および/または懸濁液の形態の水性組成物による被覆が行われ、塗膜形成ポリマーからの分散液ならびに/または2〜40質量%の固体含有率および10〜1000nmの平均粒度を有する、塗膜形成する無機粒子からの懸濁液に、少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質が、生じる混合物の総質量に対して0.01〜5.0質量%の量で添加され、前記水性組成物は、4〜11の範囲のpH値を有していて、および前記金属表面から溶出されたカチオンを結合するイオノゲン性のゲルをベースにする被覆を形成し、このカチオンは、前処理段階および/または工程IIにおける接触から生じるものである。
【0008】
本発明による被覆は、1層構造を示しており、多少の差はあれ均一の被覆か、または1つの被覆が形成される、もしくは均一の被覆か1つの被覆であってよく、ここで、前記粒子は、金属表面の近くで比較的多く蓄積されている。
【0009】
金属表面を有する前記被覆される基材は、本発明によれば、金属、金属被覆された表面またはプライマーで前処理された金属表面であって、これらから金属カチオンがさらに溶出されうるものと理解される。特に、本願の範囲における「被覆される1種以上の表面」の概念は、金属対象物および/または金属粒子の表面であって、場合により、例えば、金属被覆、例えば、亜鉛もしくは亜鉛合金をベースにする金属被覆、ならびに/または前処理組成物もしくは処理組成物、例えば、クロム酸塩、Cr
3+、Ti化合物、Zr化合物、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンおよび/もしくは有機ポリマーをベースにする前記組成物の少なくとも1種の被覆であらかじめ被覆されていてよい前記表面を含んでいる。
【0010】
前記金属工作物とは、基本的に、あらゆる種類の金属工作物、特に、アルミニウム、鉄、銅、チタン、亜鉛、すずならびに/またはアルミニウム、鉄、鋼鉄、銅、マグネシウム、ニッケル、チタン、亜鉛および/もしくはすずの含分を有する合金からの金属工作物が考えられ、ここで、その使用は、同時および/もしくは連続的に行われてよい。この工作物表面は、場合により、例えば、亜鉛もしくはアルミニウムおよび/もしくは亜鉛を含む合金であらかじめ被覆されてもよい、ならびに/または、被覆されていてもよい。
【0011】
被覆される対象物として、基本的に、金属工作物からなる、または少なくとも1種の金属被覆が備えられている、あらゆる種類の対象物が使用されてよい。特に好ましい対象物は、特に、コイル(Coils)、板、部品、例えば、小型部品、接合された構成材、複雑に成形された構成材、異形材、棒および/または導線である。
【0012】
本願の範囲における「無電解めっき」の概念は、溶液および/または分散液(懸濁液および/またはエマルションに相当する)を含む組成物で被覆する場合、公知の電解法とは異なり、後続被覆(Folgebeschichtung)を製造するために外部から100V未満の電圧をかけることを意味している。
【0013】
本発明は、好ましくは、前記陰イオン性高分子電解質が、a)グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、カロース、寒天、アルギン、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、セルロース、キチン、キトサン、カードラン、デキストラン、フルクタン、コラーゲン、ジェランガム、アラビアガム、デンプン、キサンタン、トラガカント、カラヤン(Karayanen)、タラデンプン(Tarakernmehlen)およびグルコマンナンをベースにする少なくとも1種の多糖類;b)ポリアミノ酸、コラーゲン、ポリペプチド、リグニンをベースにする天然由来の少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質、ならびに/または;c)ポリアミノ酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸コポリマー、アクリルアミドコポリマー、リグニン、ポリビニルスルホン酸、ポリカルボン酸、ポリリン酸もしくはポリスチレンをベースにする少なくとも1種の合成の陰イオン性高分子電解質を含んでいる、またはそれらからなる方法に関する。
【0014】
本発明による方法は、前記水性組成物ならびに/またはこれから製造される有機被覆が、メラミン塩、ニトロソ塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、第四級窒素カチオンを有する塩、アンモニウム誘導体の塩、ならびにAl、B、Ba、Ca、Cr、Co、Cu、Fe、Hf、In、K、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Ni、Pb、Sn、Ta、Ti、V、W、Znおよび/もしくはZrの金属塩からなる群から選択される、カチオン効果を有する塩(kationisch wirkenden Salzen)をベースにするカチオンから選択される少なくとも1種のカチオンを含んでいる方法であるのが好ましい。
【0015】
本願の範囲における「コポリマー」の概念は、2つまたは複数の異なるモノマー単位から構成されているポリマーを表している。ここで、コポリマーは、5つのクラスに分類することができ、例えば、2つの異なるコモノマーAおよびBから形成されている二元コポリマーをもとにして示される:
1.鎖中における前記両方のモノマーの分布が偶然であるランダムコポリマー(AABABBBABAABBBABBABAB・・・);
2.根本的に前記ランダムコポリマーに類似しているが、鎖の過程でモノマーの割合が可変である勾配コポリマー(AAAAAABAABBAABABBBAABBBBBB);
3.鎖に沿ってモノマーが規則正しく配置されている交互(alternierend)または交替(abwechselnd)コポリマー(ABABABABABABABABABAB・・・);
4.それぞれのモノマーの比較的長い連続またはブロックからなるブロックコポリマー(AAAAAAAAABBBBBBBBBBBB・・・)、ブロックの数によって、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマーとも呼ばれる;
5.モノマーのブロックが別のモノマーの骨格(主鎖)にグラフトしているグラフトコポリマー。
【0016】
本願の範囲における「誘導体」の概念は、相応の基本物質に類似した構造の、派生した物質を表している。誘導体は、水素原子または官能基の場所にある分子が、別の原子または別の原子団を有している、もしくは1つまたは複数の原子/原子団が除去された物質である。
【0017】
本願の範囲における「1種以上のポリマー」の概念は、1種以上のモノマー、1種以上のオリゴマー、1種以上のポリマー、1種以上のコポリマー、1種以上のブロックコポリマー、1種以上のグラフトコポリマー、これらの混合物、ならびに有機ベースおよび/もしくは実質的に有機ベースのこれらの配合物を意味している。通常、本願の範囲における「1種以上のポリマー」は、主にまたは完全に1種以上のポリマーおよび/または1種以上のコポリマーとして存在している。
【0018】
本発明による方法が、前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエポキシドおよび/またはこれらの複合物をベースにしている有機粒子の含分を有している方法であるのが特に好ましい。
【0019】
いわゆるポリアクリレートポリウレタン複合樹脂は、種類によって、種々の分散液の単なる混合により生成される複合系(ブレンドまたは配合物)、異なるポリマーの種類の間に化学結合を有している複合系、および異なるポリマークラスが相互貫入した網目状構造(IPN)を形成している複合系に区別することができる。
【0020】
通常、前記ポリウレタンポリアクリレート複合分散液は、ビニル重合体(「ポリアクリレート」)のエマルション重合により水性ポリウレタン分散液中で製造される。しかし、前記ポリウレタンポリアクリレート複合分散液を二次分散液として製造することも可能である。
【0021】
水性ポリアクリレートポリエポキシド複合分散液は、通常、二官能性エポキシドの二官能性アミンモノマー構成要素との付加反応、および引き続く、充分なカルボキシル官能基を有するポリアクリレートとの反応により製造される。水分散性は、例えば、ポリウレタン二次分散液の場合、ここで、例えば、アミンによって陰性基に変換されたカルボキシレート基によって、および引き続き水に分散させることにより達成することができる。
【0022】
前記基材上に層を形成するための複合分散液は、ポリウレタン成分およびポリエポキシド成分の他に、好ましくは有機ポリマーおよび/またはポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリブチルアクリレートおよび/または別のアクリル酸エステルをベースにするコポリマーも含んでいてよい。アクリル酸エステルは、アクリル酸(CH
2=CH−COOH)から派生していて、したがって、官能基(CH
2=CH−COOR)を有しているエステルである。とりわけ、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステルおよびエチルヘキシルアクリレートは、大量に製造される。アクリル酸エステルの主要な適用は、ホモポリマーおよびコポリマーとしてであり、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリレート、アクリルニトリル、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸エステル、ビニルアセテート、塩化ビニル、スチレン、ブタジエンおよび不飽和ポリエステル、ポリエポキシドエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレンブタジエン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステルを有するポリビニルアセテートコポリマー、および/またはジブチルマレイン酸および/もしくは少なくとも1種のコッホ酸のビニルエステルを有するコポリマー、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリエポキシド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブタジエン、ポリイソプレン、シリコーン、シリコーンゴムおよび/またはこれらの誘導体を含んでいる。これらは、特に固形物および作用物質の少なくとも50質量%で前記水性組成物中に含まれている。
【0023】
「前処理」の概念は、処理(被覆される表面を通常の液体組成物と接触させることに相当する)を意味していて、ここで、引き続き、場合により後に続いて被覆した後、層の連続物および対象物を保護するためのさらなる被膜、例えば、少なくとも1種の塗料(Lack)が塗布される。
【0024】
前記表面の帯電を促進する活性化剤により前記表面を活性化する前に、あらかじめ前処理する場合、前記被覆される表面は、必要のある場合、まずアルカリ洗浄されて、場合により前処理のための組成物と接触させられてよく、後者は、特に変換層を形成するためのものである。次に、このように処理および/または被覆された表面は、場合により、プライマーおよび/または場合により付形可能な保護層、特に防食プライマーで被覆されてよい、および/または場合により塗油されてよい。塗油(Beoelung)は、特に、処理および/または被覆される、特に金属表面の一次的な保護に役立つものである。
【0025】
前処理として、基本的にあらゆる種類の前処理が可能である。例えば、リン酸塩、ホスホン酸塩、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン、ランタニド化合物、チタン化合物、ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、酸、金属塩および/または有機ポリマーをベースにする水性の前処理組成物が使用されてよい。
【0026】
前記被覆された基材をさらに処理する場合、必要のある場合、事前に油が塗布されたか、または塗布されていないかにかかわらず、特にアルカリ洗浄が行われてよい。
【0027】
防食プライマー、例えば、溶接プライマーによる被覆は、特に基材の空隙および到達しにくい部分におけるさらなる防食、付形ならびに/または接合、例えば、さねはぎ(Felzen)、接着および/もしくは溶接の場合の接合を可能にすることができる。工業的実施方法では、特に、防食プライマーで被覆される基材、例えば、板を、防食プライマーで被覆してから成形する、および/またはさらなる構成材と接合する場合、およびさらなる被覆が、その後に初めて塗布される場合、この防食プライマーが使用されてよい。この方法工程でさらに防食プライマーを、活性化層の下に、および粉体被覆の下に塗布する場合、通常、明らかに改善された防食性がもたらされる。
【0028】
本願の範囲における「実質的に耐洗浄性」の概念は、それぞれの設備および工程順序の条件下に、それぞれ最後の被覆が、洗浄工程(洗浄に相当する)により完全に除去されないため、被覆、好ましくは密閉している被覆が製造できることを意味している。
【0029】
本発明による方法では、粒子として最も多様な粒子の種類、粒度および粒子形態が使用されてよい。
【0030】
前記層を形成するための水性組成物中の粒子として、好ましくは、酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、リンケイ酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、コポリマーを含む有機ポリマー、ならびにこれらの誘導体、蝋および/もしくは配合粒子、特に防食顔料、有機ポリマーをベースにする蝋および/もしくは配合粒子、ならびに/またはこれらの混合物が使用されてよい。前記粒子は、好ましくは、5nm〜15μm、8nm〜5μm、12nm〜3μm、または15nm〜1.5μm、特に20nm〜1μm、30nm〜700nm、40nm〜600nm、または50nm〜500nmの範囲の粒度を有している。前記粒子は、水溶性の粒子であるのが好ましい。
【0031】
配合粒子は、1つの粒子中に、少なくとも2種の異なる物質の混合物を有している。配合粒子は、多くの場合、きわめて異なる特性を有する複数の異なる物質を有していてよい。前記配合粒子は、例えば、部分的または全体に塗料のための組成物を含んでいてよい、場合により、むしろ、非粒子状に形成された物質、例えば、界面活性剤、消泡剤、分散剤、塗装助剤、さらなる種類の添加剤、染料、防食剤、弱水溶性の防食顔料および/または、相応の混合物の場合に通常および/または公知であるその他の物質を含有していてよい。前記塗料構成成分は、例えば、付形のための有機被覆に、防食プライマーおよび別のプライマーに、着色塗料、充填剤および/またはクリアコートに好適であってよい、および/またはしばしば使用されてよい。
【0032】
防食プライマーは、通常、導電性の粒子を有しており、電気溶接可能である。一般に、ここで、多くの場合、a)化学的および/もしくは物理的に異なる種類の粒子の混合物、b)化学的および/もしくは物理的に異なる種類の粒子からの粒子、アグリゲートおよび/もしくはアグロメレート、ならびに/またはc)配合粒子が、前記組成物および/またはこれから形成される粒子層中で使用されるのが好ましい。
【0033】
多くの場合、前記粒子を含んでいる組成物および/またはこれから形成される粒子層は、少なくとも1種の粒子の他に、少なくとも1種の非粒子状物質、特に、添加剤、染料、防食剤および/または弱水溶性の防食顔料も含んでいることが好ましい。特に、前記組成物および/またはこれから形成される粒子層中の粒子として、特に、フラーレンおよびグラファイトに類似の構造を有する別の炭素化合物および/またはカーボンブラック、場合により、同じくナノコンテナ(Nanocontainer)および/またはナノチューブをベースにする、有色および/または場合により、同じく限定された割合の導電性の粒子が含まれていてよい。他方では、ここで、特に、前記組成物および/もしくはこれから形成される被覆中の粒子として、被覆される粒子、化学的および/もしくは物理的に変性された粒子、コアシェル粒子、異なる種類の物質からの配合粒子、カプセル化粒子ならびに/またはナノコンテナが使用されてよい。
【0034】
本発明による方法では、前記粒子を含む組成物、これから形成される粒子層、および/またはこれから、例えば被膜化および/または架橋により形成される被覆は、少なくとも1種の粒子の他に、それぞれ少なくとも1種の染料、着色顔料、防食顔料、防食剤、導電性顔料、さらなる種類の粒子、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン/シラザン/ポリシラザン、塗料添加剤および/または添加剤、例えば、それぞれ少なくとも1種の界面活性剤、消泡剤および/または分散剤も含んでいることが好ましい。
【0035】
本発明による方法では、前記組成物および/またはこれから形成される被覆が、少なくとも1種の粒子の他に、および場合により、少なくとも1種の非粒子状の物質の他に、部分的または全体に、プライマー、塗料、例えば、充填剤、トップコートおよび/またはクリアコートの場合の塗料ための化学組成物を有していることが好ましい。
【0036】
前記粒子の有機ポリマーに対する添加剤として、多くの実施態様では、塗料および/またはプライマー中で多くの場合使用される通り、顔料および/または添加剤が推奨されている。
【0037】
塗膜形成は、熱可塑性ポリマーの使用により、および/または、一次的な可塑剤として用いられる物質の添加により改善することができる。塗膜形成助剤は、ポリマー部品の表面を軟化させ、このようにしてその溶融(Verschmelzung)を可能にする、特異的な溶媒として作用する。ここで、これらの可塑剤が、一方ではポリマー部品で長期間作用できるように、充分長く前記水性組成物中に残留し、その後気化して、それによって前記塗膜から出る場合が有利である。さらに、仮に乾燥プロセスの間、残留含水量が充分長く存在するとしても有利である。
【0038】
塗膜形成助剤として、いわゆる長鎖アルコール、特に4〜20個の炭素原子を有する長鎖アルコール、
例えば、ブタンジオール、
ブチルグリコール、
ブチルジグリコール、
エチレングリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチルグリコールプロピルエーテル、
エチレングリコールヘキシルエーテル、
ジエチレングリコールメエチルエーテル、
ジエチレングリコールエチルエーテル、
ジエチレングリコールブチルエーテル、
ジエチレングリコールヘキシルエーテルまたは
ポリプロピレングリコールエーテル、例えば、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノブチルエーテル、
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、
プロピレングリコールモノプロピルエーテル、
ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、
トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、
プロピレングリコールフェニルエーテル、
トリメチルペンタンジオールジイソブチレート、
ポリテトラヒドロフラン、
ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール
が特に有利である。
【0039】
架橋は、例えば、特定の反応性基、例えばイソシアネート基、イソシアヌレート基および/またはメラミン基によって行うことができる。
【0040】
前記後続被覆は、好ましくは、特に、存在する有機ポリマー粒子が被膜化できるような方法で乾燥されるため、ほぼ均一な、または完全に均一な被覆が形成される。ここで、乾燥温度は、多くの実施態様において、前記有機ポリマーの成分が架橋できるように高く選択されてよい。
【0041】
本発明による方法では、いくつかの実施態様において、有機粒子を実質的に含んでいる粒子層が形成されて、例えば乾燥時に被膜化および/または架橋されることが好ましい。この被膜化は、多くの実施態様では、塗膜形成助剤が存在していなくても行われる。ここで、前記被覆の粒子は、特に、この粒子が、主にまたは完全に有機ポリマーとして存在している場合、特に乾燥時に、被膜化して、実質的に密閉している被覆または密閉している被膜になるのが好ましい。ここで、多くの場合、主にまたは完全に有機ポリマーからなる被覆の乾燥温度は、実質的に密閉している被膜または密閉している被膜が形成されるように選択されるのが好ましい。必要のある場合、被膜化のために、少なくとも1種の塗膜形成助剤、特に、少なくとも1種の長鎖アルコールをベースにする塗膜形成助剤が添加されてよい。複数の重なり合う粒子層を有する実施態様の場合、最初にすべての粒子層が塗布されて、その次に、一緒に被膜化および/または架橋されるのが好ましい。
【0042】
少なくとも1種の塗膜形成助剤の含有量は、前記水性組成物中(特に浴中)では、作用物質を含めた固形物に対して好ましくは0.01〜50g/L、特に好ましくは0.08〜35g/L、殊に好ましくは0.2〜25g/L、0.3〜20g/Lまたは0.5〜16g/L、特に1〜12g/L、2〜10g/L、3〜8g/Lまたは4〜6g/Lであってよい。有機塗膜形成剤の含有量の、前記水性組成物中(特に浴中)の塗膜形成助剤の含有量に対する質量比は、広い範囲で変化してよい;特に(100:0.1)以下であってよい。前記比率は、100:10〜100:0.2の範囲、100:5〜100:0.4の範囲、または100:2.5〜100:0.6の範囲、特に好ましくは、100:2〜100:0.75の範囲、100:1.6〜100:0.9の範囲、または100:1.4〜100:1の範囲であるのが好ましい。
【0043】
ここで、多くの場合、乾燥、被膜化および/または架橋は、5〜350℃、8〜200℃、10〜150℃、12〜120℃または14〜95℃の温度範囲で、特に好ましくは、炉温度に対して、および/またはピークメタル温度(PMT)に対して、16〜40℃の温度範囲で行われることが好ましい。選択される温度範囲は、有機成分および場合により同じく無機成分の種類および量により、ならびに場合により、その塗膜形成温度および/または架橋温度にもより幅広い。
【0044】
好ましくは、本発明は、前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、金属カチオンのための少なくとも1種の錯化剤の含分、または金属カチオンの錯化により変性されたポリマーの含分を有している方法に関する。
【0045】
本発明による方法が、前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被膜が、マレイン酸、アレンドロン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはマサコン酸、またはこれらのカルボン酸の無水物もしくは半エステルをベースにする錯化剤から選択される、少なくとも1種の錯化剤の含分を有している方法であるのが特に好ましい。
【0046】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、少なくとも1種の乳化剤の含分を有しているのが有利である。
【0047】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、陰イオン性乳化剤をベースにする乳化剤から選択される、少なくとも1種の乳化剤の含分を有していることが特に好ましい。
【0048】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、少なくとも2つの異なる陰イオン性高分子電解質からの混合物を含んでいるのが好ましい。
【0049】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、2種のペクチンからの混合物を含んでいるのが特に好ましい。
【0050】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、アルコール基およびカルボキシ基の総数に対して5〜75%の範囲のカルボキシ官能基のエステル化度を有している陰イオン性多糖類から選択される、少なくとも1種の陰イオン性多糖類を含んでいるのがさらに好ましい。
【0051】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、500〜1000000g/mol
-1の範囲の分子量を有する陰イオン性多糖類および/または陰イオン性高分子電解質から選択される、少なくとも1種の陰イオン性多糖類および/または少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を含んでいるのが殊に好ましい。
【0052】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被覆が、1〜50%の範囲のカルボキシ官能基のアミド化度、80%までのカルボキシ官能基のエポキシ化度を有する、陰イオン性多糖類および/または陰イオン性高分子電解質から選択される、少なくとも1種の陰イオン性多糖類および/または少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を含んでいるのが好ましい。
【0053】
本発明による方法において、前記陰イオン性高分子電解質は、多官能性エポキシド、イソシアネート、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アミン、アミド、イミド、イミダゾール、ホルムアミド、マイケル反応生成物、カルボジイミド、カルベン、環状カルベン、環状炭酸エステル、多官能性カルボン酸、アミノ酸、核酸、メタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、ポリビニルアルコール、ポリフェノール、少なくとも1個のアルキル基および/またはアリール基を有するポリオール、カプロラクタム、リン酸、リン酸エステル、エポキシエステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、カテコール、シランならびにこれから形成されるシラノールおよび/またはシロキサン、トリアジン、トリアゾール、チアジン、ジチアジン、アセタール、半アセタール、キノン、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、アルキド、エステル、ポリエステル、エーテル、グリコール、環状エーテル、クラウンエーテル、無水物の化学基、ならびにアセチルアセトンの化学基、ならびにβ−ジケト基、カルボニル基およびヒドロキシ基の化学基からなる群から選択される、接着性を促進する結合基で変性される、または変性されているのが特に好ましい。
【0054】
前記金属表面から溶出される/溶出されている、および/または前記水性組成物に添加される/添加されているカチオンとして、Al、Cu、Feおよび/またはZnが選択されるのが有利である。
【0055】
前記水性組成物および/またはこれから製造される有機被膜が、バイオサイド、分散助剤、塗膜形成助剤、pH値を調節するための酸性および/または塩基性助剤および増粘剤およびレベリング剤の群からなる添加剤から選択される、少なくとも1種の添加剤を含んでいるのが特に好ましい。
【0056】
方法工程IIにおいて、前記金属表面に水性組成物を接触させて被覆する前に、この金属表面は、洗浄、酸洗および/または前処理されるのが殊に好ましい。
【0057】
前記水性組成物が、イオノゲン性のゲルをベースにする被覆を形成するのが有利であり、ここでまたは後に形成される乾燥塗膜は、少なくとも1μmの厚みを有している。
【0058】
前記有機被覆は、0.05〜20分間で浸漬浴において形成されて、乾燥後、5〜100μmの範囲の乾燥膜厚を有しているのが特に好ましい。
【0059】
本発明は、さらに、塗膜形成ポリマーからの分散液、および/または2〜40質量%の固体含有率および10〜1000nmの平均粒度を有する、塗膜形成する無機粒子の懸濁液中に、少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を、生じる混合物の総質量に対して0.01〜5.0質量%の量で含んでいる水性組成物に関しており、この水性組成物は、4〜11の範囲のpH値を有している。
【0060】
前記水性組成物が、塗膜形成ポリマーからの分散液中に、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエポキシドおよび/またはこれらの複合物をベースにする有機粒子の含分、マレイン酸、アレンドロン酸、イタコン酸、シトラコン酸もしくはメサコン酸、またはこれらのカルボン酸の無水物または半エステルをベースにする錯化剤から選択される少なくとも1種の錯化剤の含分、ならびにペクチンまたはジェランガムをベースにする、少なくとも1種の陰イオン性高分子電解質を有している水性組成物であるのが好ましい。
【0061】
本発明により被覆される表面から、引き続き、5nm〜50μmの範囲、特に15nm〜40μmの範囲、25nm〜30μmの範囲、45nm〜20μmの範囲、60nm〜15μmの範囲、80nm〜10μmの範囲、100nm〜8μmの範囲、130nm〜6μmの範囲、160nm〜4μmの範囲、200nm〜2μmの範囲、または400nm〜1μmの範囲の層厚を有する、実質的に密閉している被覆、または密閉している被覆を製造できることが示されている。前記個々の被覆は、その被覆化前および/もしくは被覆化後、ならびに/またはその架橋前に相応の層厚を有していてよい。
【0062】
本発明により被覆される表面であって、これから引き続き実質的に密閉している、または密閉している被覆が製造された前記表面が、例えば、電着塗料被覆、自己析出浸漬塗料被覆または粉体塗料被覆よりも明らかに簡単かつ明らかに経済的な方法で製造できたことが示されている。
【0063】
さらに、本発明により製造されるこのような被覆は、相応して化学的に組成された、特に配合物が使用される場合、その特性において、現在の工業的な実施の電着塗料被覆、自己析出浸漬塗料被覆または粉体塗料被覆に相当しうることが示されている。
【0064】
電解法ではない、または実質的に電解法ではない本発明による方法は、電圧によりほんの少しだけ促進される、したがって、通常、外部電圧がかけられる必要がない場合にも、簡単な方法で、かつ高価な制御装置なしに運転できることが驚くべきことに判明した。前記方法は、後続の乾燥を別にすれば、広い温度範囲で、および室温でも使用することができる。
【0065】
本発明による方法では、活性化剤の塗布に関して、一様かつ均一な被覆を達成するために、高価な制御措置を必要としないこと、および化学物質のわずかな消費量で、500nm〜30μmの範囲の厚みに達する、高レベルの保護後続被覆が形成されることが驚くべきことに判明した。
【0066】
本発明による方法は、析出、特に後続被覆に関して、高価な制御措置が不要であり、化学物質のわずかな消費量で、高レベルの保護被覆が形成される、自己調節式の方法であることが驚くべきことに判明した。
【0067】
本発明により析出された後続被覆が、慣用の電気泳動または自己析出により析出される塗料層の品質に匹敵する、一様な乾燥層厚を有する均一な層を、複雑に成形された工作物上に形成していたことが驚くべきことに判明した。
【0068】
本発明による被覆は、好ましくは、導線、金網、コイル、板、異形材、ライニング(Verkleidung)、車両または飛行物体の部品、家庭用器具の部材、建築における部材、支持枠(Gestell)、防護板部材、ラジエータ部材または垣根の部材、複雑な形状の成形部材または小型部品、例えば、ネジ、ナット、フランジまたはスプリングである被覆される基材の場合に使用されていてよい。前記被覆は、自動車製造において、建築において、器具製造のために、家庭用器具のために、または暖房器製造において使用されるのが特に好ましい。本発明による方法は、電着塗装による被覆で問題がもたらされる基材を被覆するために使用されるのが特に好ましい。
【0069】
以下において、本発明を実施例16件および比較例2件をもとに詳細に説明する。ここで、工程Iの基材として、
1:亜鉛層めっき5μm、板厚0.81mmの電気亜鉛めっき鋼板、
2:冷間圧延鋼、板厚約0.8mm、
3:品質クラスAC170、板厚約1.0mmのアルミニウム合金
を使用して、以下の一般的な処理工程を実施した。
II.アルカリ洗浄:
Chemetall GmbH社のGardoclean(登録商標)S5176 30g/LおよびGardobond(登録商標)Additiv H 7406 4g/Lを水道水に混合した。前記板を、噴射法で180秒、60℃で洗浄して、引き続き、水道水で120秒洗浄して、脱イオン化水で120秒、浸漬洗浄した。
III.有機被覆を形成するための、表面の本発明による分散液による被覆:
【表1】
【0070】
前記両方の比較例の場合、本発明による使用の場合に考慮される高分子電解質は添加せずに、上述の分散液のみを使用した。この混合物は、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。
【0071】
IV:有機被覆の洗浄:
有機被覆後の洗浄は、前記配合物の接着していない成分および前記配合物の蓄積物を除去して、前記方法工程、例えば、自動車産業における方法工程を、できる限り現実に即して実施するために用いられる。それというのは、自動車産業では、水による洗浄が、通常、浸漬洗浄か、またはスプレー洗浄により行われるからである。
【0072】
V:被覆の乾燥および/または架橋:
特に有機ポリマー成分の乾燥または被膜化の間の乾燥:
175℃で15分間
過電流測定器および走査型電子顕微鏡(REM)による同時並行の試験は、本発明による被覆が形成され、これから、ほぼ密閉している、または密閉している被覆が、前記表面を分散液および/または配合物と接触させることによって形成することができたことを明らかにした。
【0073】
例1
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度52%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率87%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.5質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物は、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚5μmが求められた。
【0074】
例2
試験1を、基材2を使用して繰り返し、REMにより乾燥膜厚1μmが求められた。
【0075】
例3
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度38%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.5質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物は、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚12μmが求められた。
【0076】
例4
試験3を、基材2を使用して繰り返し、REMにより乾燥膜厚3μmが求められた。
【0077】
例5
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度10%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.5質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物は、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚10μmが求められた。
【0078】
例6
試験5を、基材2を使用して繰り返し、REMで乾燥膜厚2μmが求められた。
【0079】
例7
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度11%、エステル化度41%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率88%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度52%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率87%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚50μmが求められた。
【0080】
例8
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度11%、エステル化度41%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率88%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度38%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚23μmが求められた。
【0081】
例9
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度23%、エステル化度29%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率89%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度72%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率83%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚22μmが求められた。
【0082】
例10
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度23%、エステル化度29%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率89%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度10%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚27μmが求められた。
【0083】
例11
試験10を、基材2を使用して繰り返し、REMで乾燥膜厚2μmが求められた。
【0084】
例12
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度52%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率87%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度10%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚40μmが求められた。
【0085】
例13
試験12を、基材2を使用して繰り返し、REMで乾燥膜厚10μmが求められた。
【0086】
例14
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度38%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.5質量%のペクチン、および分子量約70,000g/mol、アミド化度0%、エステル化度10%、エポキシ化度0%、ガラクツロン酸含有率85%を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.25質量%のペクチンの混合物と基材1とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚30μmが求められた。
【0087】
例15
試験14を、基材2を使用して繰り返し、REMで乾燥膜厚10μmが求められた。
【0088】
例16
前記分散液、および分子量約70,000g/mol、わずかなアシル含分を有する、結果として生じた混合物の総質量に対して0.5質量%のジェランガムの混合物と基材3とを混ぜ合わせ、ここで、上述の分散液は99.5質量%であった。前記混合物を、必要な場合、使用前に、酸、好ましくは硝酸および/またはリン酸でpH4に調節した。過電流測定器およびREMで測定して、乾燥膜厚4μmが求められた。
【0089】
比較例1
基材1に、上述の分散液を被覆した。REMを使用して、乾燥膜厚300nm〜500nmが求められた。
【0090】
比較例2
基材2に、上述の分散液を被覆した。REMを使用して、乾燥膜厚300nm〜500nmが求められた。
【0091】
顕微鏡写真は、すべて均一な層形成を示しており、確実で、自己調節式および容易に制御可能な被覆方法を指し示している。