(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)〜
図1(c)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子を例示する模式面図である。
図1(a)は、
図1(b)のY1−Y2線断面図である。
図1(b)は、
図1(a)の矢印AAから見た平面図である。
図1(c)は、等価回路図である。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、基体70と、第1〜第6半導体層11〜16と、第1導電層41と、第1パッド層45と、を含む。
【0010】
基体70は、導電性である。基体70は、例えば、半導体基板(例えばシリコン基板など)を含む。基体70は、金属層を含んでも良い。
【0011】
第1半導体層11は、第1方向Dr1において基体70と離間する。
【0012】
例えば、基体70から第1半導体層11に向かう方向(第1方向Dr1)をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの軸をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0013】
第1半導体層11は、第1導電形である。第1半導体層11は、第1半導体領域11aと、第2半導体領域11bと、を含む。第2半導体領域11bは、第1方向Dr1と交差する第2方向において、第1半導体領域11aと並ぶ。
【0014】
第2半導体層12は、第2半導体領域11bと基体70との間に設けられる。第2半導体層12は、基体70と電気的に接続される。第2半導体層12は、第2導電形である。
【0015】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。実施形態において、第1導電形がp形で、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形とする。
【0016】
第3半導体層13は、第2半導体領域11bと第2半導体層12との間に設けられる。第3半導体層13は、例えば、発光層である。第3半導体層は、例えば、井戸層を含む。
【0017】
第1半導体層11は、例えば、n形のGaN層を含む。第2半導体層12は、例えば、p形のGaN層を含む。第3半導体層13に含まれる井戸層は、例えば、InGaN層を含む。
【0018】
n形不純物は、例えば、Si、Ge、Te及びSnの少なくともいずれかを含む。p形不純物は、例えば、Mg、Zn及びCの少なくともいずれかを含む。
【0019】
第4半導体層14は、第1方向Dr1において、基体70と離間する。第4半導体層14の少なくとも一部は、第1方向Dr1と交差する第3方向において、第1半導体層11の少なくとも一部と並ぶ。前記第4半導体層14は、基体70と電気的に接続される。前記第4半導体層14は、第1導電形である。
【0020】
第5半導体層15は、第4半導体層14の一部と、基体70と、の間に設けられる。第5半導体層15は、第2導電形である。
【0021】
第6半導体層16は、第4半導体層14の上記の一部と、第5半導体層15と、の間に設けられる。
【0022】
第4半導体層14は、第1半導体層11に含まれる材料と同様の材料を含む。第5半導体層15は、第2半導体層12に含まれる材料と同様の材料を含む。第6半導体層16は、第3半導体層13に含まれる材料と同様の材料を含む。
【0023】
第1導電層41は、第1導電領域41aと、第2導電領域41bと、第3導電領域41cと、を含む。第1導電領域41aは、第1半導体領域11aと基体との間に設けられる。第2導電領域41bは、第5半導体層15と基体70との間に設けられる。第3導電領域41cは、第1導電領域41aと第2導電領域41bとの間に設けられる。第1導電層41は、第1半導体領域11aと第5半導体層15とを電気的に接続する。
【0024】
第1パッド層45は、第1パッド領域45aを含む。第1パッド領域45aと基体70との間に、第3導電領域41cが配置される。第1パッド領域45aは、第3導電領域41cと電気的に接続される。
【0025】
この例では、第1絶縁層81と、金属層75と、金属膜76と、がさらに設けられている。
【0026】
第1絶縁層81は、第1導電層41と基体70との間に設けられる。第1絶縁層81は、第1導電層41と基体70とを電気的に絶縁する。第1絶縁層81には、例えば、シリコン及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む化合物を含む。第1絶縁層81は、例えば、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸窒化シリコンの少なくともいずれかを含む。第1絶縁層81は、積層膜を含んでも良い。
【0027】
金属層75は、第1絶縁層81と基体70との間に設けられる。金属層75は、例えば、第1絶縁層81と基体70とを接合する。金属層75は、例えば接合層である。金属層75は、例えば、はんだを含む。金属層75は、基体70と電気的に接続される。
【0028】
金属膜76と金属層75との間に、基体70が設けられる。金属膜76は、半導体発光素子110の1つの電極として用いられる。金属膜76は、基体70と電気的に接続される。
【0029】
第1〜第3半導体層11〜13は、第1発光部E1に含まれる。第1発光部E1は、第1LEDである。この例では、電極11eと電極12eが設けられている。電極11eは、第1半導体領域11aと第1導電領域41aとの間に設けられる。電極11eは、例えば、第1発光部E1のカソードとなる。電極12eは、第2半導体層12と基体70との間に設けられる。電極12eは、例えば、第1発光部E1のアノードとなる。
【0030】
第4〜第6半導体層14〜16は、第1ダイオードD1に含まれる。この例では、電極14eと電極15eとが設けられている。電極14eは、第4半導体層14の別の一部と、基体70と、の間に設けられる。電極14eは、例えば、第1ダイオードD1のカソードとなる。電極15eは、第5半導体層15と基体70との間に設けられる。電極15eは、例えば、第1ダイオードD1のアノードとなる。
【0031】
電極14eと基体70との間に導電部14gが設けられる、導電部14gは、電極14eと基体(金属層75)とを電気的に接続する。
【0032】
図1(c)に示すように、第1発光部E1のカソードと、第1ダイオードD1のアノードと、が、第1導電層41により電気的に接続される。第1発光部E1のアノードと、第1ダイオードのカソードと、が基体70により電気的に接続される。金属膜76(基体70)は、半導体発光素子110のアノード電極となる。第1パッド層45は、半導体発光素子110のカソード電極となる。
【0033】
半導体発光素子110の動作時において、金属膜76(基体70)と第1パッド層45との間に電圧が印加される。金属膜76(基体70)から第1パッド層45に向けて、第1発光部E1に電流が供給され、第1発光部E1から光が放出される。第1発光部E1から放出される光(発光光)のピーク波長は、例えば400ナノメートル(nm)以上650nm以下である。実施形態において、ピーク波長は任意である。発光光の強度は、ピーク波長において最高である。
【0034】
一方、静電気または落雷などにより、第1パッド層45の電位が、金属膜76(基体70)の電位よりも高くなる場合がある。すなわち、逆電圧が加わる場合がある。この逆電圧による電流は、第1ダイオードD1を流れる。第1ダイオードD1は、保護回路として機能する。これにより、第1発光部E1の破壊が抑制される。
【0035】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、実施形態においては、第1パッド層45(第1パッド領域45a)は、第1半導体層11と第4半導体層14との間に配置される。
【0036】
例えば、第1発光部E1は、半導体発光素子110のチップの中心部に、主に設けられる。一方、保護回路として機能する第1ダイオードD1は、チップの端部に設けられる。そして、第1ダイオードD1と第1発光部E1との間に、第1パッド層45が配置される。
【0037】
チップの端部においては、チップの分断などに伴って、結晶品質が低くなる傾向がある。チップの端部においては、電流密度が、チップ中央に比べ低くなる。例えば、発光光の遮蔽となるパッド部への電流集中を抑制するために、パッド近傍に電流ブロック層を設ける構成がある、この構成においては、パッド近傍の発光層への注入電流は、特に少なくなる。
【0038】
従って、第1発光部E1をチップの中心部に主に設けることで、第1発光部E1において高い発光効率が得やすくなる。一方、第1ダイオードD1は、第1発光部E1と同様の構成を有するため、第1発光部E1から放出された光が第1ダイオードD1で吸収される場合がある。第1ダイオードD1と第1発光部E1との間の距離を長くすることで、この吸収が抑制できる。第1ダイオードD1と第1発光部E1との間に第1パッド層45を配置することで、吸収を抑制しつつ、チップ中における発光する部分の面積を拡大できる。これにより、発光効率及び光取り出し効率などの特性を向上することができる。
【0039】
図1(a)〜
図1(c)に示す例においては、1つの第1パッド45に対して1つの第1ダイオードD1が設けられている。実施形態において、1つの半導体発光素子110のチップが、複数の第1パッド45を有しても良い。このとき、複数の第1ダイオードD1が設けられても良い。複数の第1ダイオードD1のうちの1つが、1つの第1パッド45に設けられても良い。複数の第1ダイオードD1の2つ以上が、1つの第1パッド45に設けられても良い。複数の第1ダイオードD1のそれぞれが、複数の第1パッド45のそれぞれに良い。複数の第1パッド45のうちの1つには、第1ダイオードD1が設けられなくても良い。1つのチップに対して複数の第1ダイオードD1を設けることにより、例えば、面内の発光のバランスが改善される。1つの第1ダイオードD1の面積を小さくすることができ、発光光の再吸収を抑制することができる。
【0040】
このように、実施形態においては、特性の劣化を抑制しつつ、逆電圧への耐性を向上することができる。実施形態によれば、信頼性を向上できる半導体発光素子が提供できる。
【0041】
半導体発光素子110は、例えば、以下のようにして作製できる。
基板(図示しない)の上に、第1半導体層11及び第4半導体層14となる半導体膜を形成する。この上に、第3半導体層13及び第6半導体層16となる半導体膜を形成する。この上に、第2半導体層12及び第5半導体層15となる半導体膜を形成する。この上に、電極を形成し、第1絶縁層81を形成する。この上に、金属層75の一部となる金属膜を形成する。一方、基体70と、金属層75の別となる金属膜と、が設けられた構造体を用意する。これらの金属膜を接合する。接合の後、第1半導体層11及び第4半導体層14となる半導体膜を加工することで、第1半導体層11及び第4半導体層14が得られる。この後、第1パッド層45を形成する。これにより、半導体発光素子110が得られる。上記の基板には、例えば、Si、SiO
2、石英、サファイア、GaN、SiC及びGaAsのいずれかが用いられる。半導体膜の成長方法には、例えば、有機金属気相堆積(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法、及び、有機金属気相成長(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法などを用いることができる。
【0042】
図2(a)〜
図2(c)は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を例示する模式面図である。
図2(a)は、
図2(b)のY1−Y2線断面図である。
図2(b)は、
図2(a)の矢印AAから見た平面図である。
図2(c)は、等価回路図である。
【0043】
図2(a)に示すように、本実施形態に係る別の半導体発光素子111においても、基体70と、第1〜第6半導体層11〜16と、第1導電層41と、第1パッド層45と、を含む。以下では、半導体発光素子111について、半導体発光素子110とは異なる部分について説明する。
【0044】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、半導体発光素子111は、第2絶縁層82をさらに含む。そして、第1パッド層45は、第1パッド領域45aに加えて、第2パッド領域45bをさらに含む。
【0045】
第4半導体層14の少なくとも一部は、第2パッド領域45bと、基体70と、の間に設けられる。第2絶縁層82の少なくとも一部は、第4半導体層14の上記の少なくとも一部と、第2パッド領域45bと、の間に配置される。
【0046】
このように、半導体発光素子111においては、第1パッド層45の一部が、第1ダイオードD1と重なる。これにより、第1パッド層45の面積を確保しつつ、第1発光部E1及び第1ダイオードD1の少なくともいずれかの面積を拡大できる。これにより、高い発光効率が得られる。
【0047】
第1発光部E1が順電圧によって発光している際に、第1ダイオードD1には逆電圧が加わる。このとき、第1ダイオードD1において、発光光の吸収がより顕著になる。発光光の吸収によって生じたキャリアは、発光部に供給される電流を低減させる。これにより、第1ダイオードD1における発光光の吸収は、発光効率を、より低下させる。したがって、第1ダイオードD1を発光光から遠ざけることが有効である。第1ダイオードD1を、発光光から遮蔽することが有効である。半導体発光素子111では、第1ダイオードD1は、第1パッド層45(第2パッド領域45b)によって遮蔽されている。これにより、発光効率の抑制が抑えられる。
【0048】
半導体発光素子111においても、発光効率及び光取り出し効率などの特性の劣化を抑制しつつ、逆電圧への耐性を向上することができる。そして、さらに高い効率が得られる。
【0049】
(第2の実施形態)
図3(a)〜
図3(c)は、第2の実施形態に係る半導体発光素子を例示する模式面図である。
図3(a)は、
図3(b)のY1−Y2線断面図である。
図3(b)は、
図3(a)の矢印AAから見た平面図である。
図3(c)は、等価回路図である。
【0050】
図3(a)に示すように、本実施形態に係る半導体発光素子120は、基体70と、第1〜第6半導体層11〜16と、第2導電層52と、第2パッド層55と、を含む。
【0051】
基体70は、導電性である。
第1半導体層11は、第1方向Dr1において基体70と離間し、第1導電形である。第1半導体層11は、第1半導体領域11aと、第1方向Dr1と交差する第2方向において第1半導体領域11aと並ぶ第2半導体領域11bと、を含む。第2の実施形態においては、第1半導体層11は、基体70と電気的に接続される。
【0052】
第2半導体層12は、第2半導体領域11bと基体70との間に設けられ、第2導電形である。第3半導体層13は、第2半導体領域11bと第2半導体層12との間に設けられる。
【0053】
第4半導体層14は、第1方向Dr1において基体70と離間し、第1方向Dr1と交差する第3方向において、第1半導体領域11bと並び、第1導電形である。
【0054】
第5半導体層15は、第4半導体層14の一部と、基体70との間に設けられる。第2の実施形態においては、第5半導体層15は、基体70と電気的に接続される。第5半導体層15は、第2導電形である。第6半導体層16は、第4半導体層14の上記の一部と、第5半導体層15との間に設けられる。
【0055】
第2導電層52は、第4導電領域52dと、第5導電領域52eと、第6導電領域52fと、を含む。第4導電領域52dは、第2半導体層12と基体70との間に設けられる。第5導電領域52eは、第4半導体層14の別の一部と、基体70と、の間に設けられる。第6導電領域52fは、第4導電領域52dと、第5導電領域52eとの間に設けられる。第2導電層52は、第2半導体層12と第4半導体層14とを電気的に接続する。
【0056】
第2パッド層55は、第3パッド領域55cを含む。第3パッド領域55cと基体70との間に、第6導電領域52fが配置される。第3パッド領域55cは、第6導電領域52fと電気的に接続される。
【0057】
この例では、第1絶縁層81がさらに設けられている。第1絶縁層81は、第2導電層52と基体70との間に設けられる。第1絶縁層81は、第2導電層52と基体70とを電気的に絶縁する。
【0058】
この例においても、金属層75及び金属膜76が設けられている。金属層75は、第1絶縁層81と基体70とのに配置される。金属膜76と金属層75との間に、基体70が配置される。金属膜76は、基体70と電気的に接続される。金属層75は、基体70、第1半導体層11及び第5半導体層15と電気的に接続される。
【0059】
第1〜第3半導体層11〜13は、第1発光部E1に含まれる。第1発光部E1は、第1LEDである。この例では、電極11eと電極12eが設けられている。電極11eは、第1半導体領域11aと基体70との間に設けられる。電極11eは、例えば、第1発光部E1のカソードとなる。電極12eの少なくとも一部は、第2半導体層12と第4導電領域52dとの間に設けられる。電極12eは、例えば、第1発光部E1のアノードとなる。
【0060】
第4〜第6半導体層14〜16は、第1ダイオードD1に含まれる。この例では、電極14eと電極15eとが設けられている。電極14eは、第4半導体層14の別一部と、第5導電領域52eと、の間に設けられる。電極14eは、例えば、第1ダイオードD1のカソードとなる。電極15eは、第5半導体層15と基体70との間に設けられる。電極15eは、例えば、第1ダイオードD1のアノードとなる。
【0061】
電極11eと基体70との間に導電部11gが設けられる、導電部11gは、電極11eと基体(金属層75)とを電気的に接続する。
【0062】
図3(c)に示すように、第1発光部E1のカソードと、第1ダイオードD1のアノードと、が、基体70により電気的に接続される。第1発光部E1のアノードと、第1ダイオードのカソードと、が第2導電層52により電気的に接続される。金属膜76(基体70)は、半導体発光素子110のカソード電極となる。第2パッド層55は、半導体発光素子110のアノード電極となる。
【0063】
半導体発光素子120の動作時において、金属膜76(基体70)と第2パッド層55との間に電圧が印加される。第2パッド層55から金属膜76(基体70)に向けて、第1発光部E1に電流が供給され、第1発光部E1から光が放出される。
【0064】
一方、静電気または落雷などにより、第2パッド層55の電位が、金属膜76(基体70)の電位よりも低くなる場合がある。すなわち、逆電圧が加わる場合がある。この逆電圧による電流は、第1ダイオードD1を流れる。第1ダイオードD1は、保護回路として機能する。これにより、第1発光部E1の破壊が抑制される。
【0065】
本実施形態においては、第2パッド層55(第3パッド領域55c)の少なくとも一部は、第1半導体層11と第4半導体層14との間に配置される。例えば、第1発光部E1は、半導体発光素子120のチップの中心部に、主に設けられる。一方、保護回路として機能する第1ダイオードD1は、チップの端に設けられる。そして、第1ダイオードD1と第1発光部E1との間に、第2パッド層55が配置される。これにより、吸収を抑制しつつ、チップ中における発光する部分の面積を拡大できる。これにより、発光効率及び光取り出し効率などの特性を向上することができる。
【0066】
このように、実施形態においては、特性の劣化を抑制しつつ、逆電圧への耐性を向上することができる。実施形態によれば、信頼性を向上できる半導体発光素子が提供できる。
【0067】
図4(a)〜
図4(c)は、第2の実施形態に係る別の半導体発光素子を例示する模式面図である。
図4(a)は、
図4(b)のY1−Y2線断面図である。
図4(b)は、
図4(a)の矢印AAから見た平面図である。
図4(c)は、等価回路図である。
【0068】
図4(a)に示すように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121においても、基体70と、第1〜第6半導体層11〜16と、第2導電層52と、第2パッド層55と、を含む。以下では、半導体発光素子121について、半導体発光素子120とは異なる部分について説明する。
【0069】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、半導体発光素子121は、第2絶縁層82をさらに含む。第2パッド層55は、第3パッド領域55cに加えて、第4パッド領域55dをさらに含む。
【0070】
第4半導体層14の少なくとも一部は、第4パッド領域55dと、基体70と、の間に設けられる。第2絶縁層82の少なくとも一部は、第2パッド層55と第5半導体層15との間、及び、第2パッド層55と第6半導体層16との間に配置される。
【0071】
このように、半導体発光素子121においては、第2パッド層55の一部が、第1ダイオードD1と重なる。これにより、第2パッド層55の面積を確保しつつ、第1発光部E1及び第1ダイオードD1の少なくともいずれかの面積を拡大できる。これにより、高い発光効率が得られる。
【0072】
半導体発光素子121においても、発光効率及び光取り出し効率などの特性の劣化を抑制しつつ、逆電圧への耐性を向上することができる。そして、さらに高い効率が得られる。
【0073】
(第3の実施形態)
図5(a)〜
図5(c)は、第3の実施形態に係る半導体発光素子を例示する模式面図である。
図5(a)は、
図5(b)のY1−Y2線断面図である。
図5(b)は、
図5(a)の矢印AAから見た平面図である。
図5(c)は、等価回路図である。
【0074】
図5(a)に示すように、本実施形態に係る半導体発光素子130は、基体70と、第1〜第6半導体層11〜16と、第2導電層52と、第2パッド層55と、を含む。
【0075】
基体70は、導電性である。
第1半導体層11は、第1方向Dr1において、基体70と離間し、第1導電形である。第1半導体層11は、第1半導体領域11aと、第1方向Dr1と交差する第2方向において第1半導体領域11aと並ぶ第2半導体領域11bと、を含む。この実施形態においても、第1半導体層11は、基体70と電気的に接続される。
【0076】
第2半導体層12は、第2半導体領域11bと基体70との間に設けられる。第3半導体層13は、第2半導体領域11bと第2半導体層12との間に設けられる。
【0077】
第4半導体層14は、第1方向Dr1において基体70と離間し、第1方向Dr1と交差する第3方向において第1半導体領域11aと並び、第1導電形である。
【0078】
第5半導体層15は、第4半導体層14の一部と、基体70との間に設けられ、第2導電形である。この実施形態においても、第5半導体層15は、基体70と電気的に接続される。第6半導体層16は、第4半導体層14の上記の一部と、第5半導体層15との間に設けられる。
【0079】
第2導電層52は、第4導電領域52dと、第5導電領域52eと、を含む。第4導電領域52dは、第2半導体層12と基体70との間に設けられる。第2導電層52は、第2半導体層12と第4半導体層14とを電気的に接続する。
【0080】
第2パッド層55は、第3パッド領域55cと第4パッド領域55dとを含む。第3パッド領域55cと基体70との間に、第5導電領域52eが配置される。第3パッド領域55cは、第5導電領域52eと電気的に接続される。
【0081】
第3パッド領域55cは、第1半導体層11と第4半導体層14との間に配置される。第4半導体層14の少なくとも一部は、第2パッド領域55dと基体70との間に配置される。
【0082】
このように、半導体発光素子130においては、第2半導体層12は、第2導電層52及び第2パッド層55を介して、第4半導体層14と接続される。
【0083】
半導体発光素子130においても、第1絶縁層81及び第2絶縁層82が設けられている。
第1絶縁層81は、第2導電層52と基体70との間に設けられる。第1絶縁層81は、第2導電層52と基体70とを電気的に絶縁する。
【0084】
第2絶縁層82は、第2パッド層55と第5半導体層15との間、及び、第2パッド層55と第6半導体層16との間に設けられる。
【0085】
半導体発光素子130において、他の構成は、半導体発光素子121と同様なので説明を省略する。
【0086】
第1〜第3半導体層11〜13は、第1発光部E1に含まれる。第4〜第6半導体層14〜16は、第1ダイオードD1に含まれる。第1発光部E1のカソードと、第1ダイオードD1のアノードと、が、基体70により電気的に接続される。第1発光部E1のアノードと、第1ダイオードのカソードと、が第2導電層52により電気的に接続される。金属膜76(基体70)は、半導体発光素子130のカソード電極となる。第2パッド層55は、半導体発光素子130のアノード電極となる。
【0087】
半導体発光素子130においても、第2パッド層55の一部が、第1ダイオードD1と重なる。これにより、第2パッド層55の面積を確保しつつ、第1発光部E1及び第1ダイオードD1の少なくともいずれかの面積を拡大できる。これにより、高い発光効率が得られる。半導体発光素子130においても、発光効率及び光取り出し効率などの特性の劣化を抑制しつつ、逆電圧への耐性を向上することができる。そして、さらに高い効率が得られる。
【0088】
(第4の実施形態)
図6(a)〜
図6(c)は、第4の実施形態に係る半導体発光素子を例示する模式面図である。
図6(a)は、
図6(b)のY1−Y2線断面図である。
図6(b)は、
図6(a)の矢印AAから見た平面図である。
図6(c)は、等価回路図である。
【0089】
図6(a)に示すように、本実施形態に係る半導体発光素子140は、第1発光部E1、第2発光部E2、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第1導電層41、第2導電層52、第1パッド層45、第2パッド層55、第1絶縁層81、第1接続部CP1及び第2接続部CP2を含む。
【0090】
基体70は、例えば、導電性である。本実施形態において、基体70は、絶縁性でも良い。
【0091】
第1発光部E1は、基体70の上に設けられる。第1発光部E1は、第1アノードA1と第1カソードC1とを含む。第2発光部E2は、基体70の上に設けられる。第2発光部E2は、第2アノードA2と第2カソードC2とを含む。第1ダイオードD1は、基体70の上に設けられる。第1ダイオードD1は、第3アノードA3と第3カソードC3とを含む。第2ダイオードD2は、基体70の上に設けられる。第2ダイオードD2は、第4アノードA4と第4カソードC4とを含む。
【0092】
第1導電層41は、第1カソードC1と第3アノードA3とを電気的に接続する。第1導電層41は、第1導電領域41a、第2導電領域41b及び第3導電領域41cを含む。第3導電領域41cは、第1導電領域41aと第2導電領域41bとの間に設けられる。第1導電領域41aは、第1カソードC1と基体70との間に配置される。第2導電領域41bは、第3アノードA3と基体70との間に配置される。
【0093】
第1導電層52は、第2アノードA2と第4カソードC4とを電気的に接続する。第2導電層52は、第4導電領域52d、第5導電領域52e及び第6導電領域52fを含む。第6導電領域52fは、第4導電領域52dと第5導電領域52eとの間に設けられる。第4導電領域52dは、第2アノードA2と基体70との間に配置される。第5導電領域52eは、第4カソードC4と基体70との間に配置される。
【0094】
第1パッド層45と基体70との間に、第3導電領域41cが配置される。第1パッド層45は、第3導電領域41cと電気的に接続される。
【0095】
第2パッド層55と基体70との間に、第6導電領域52fが配置される。第2パッド層55は、第6導電領域52fと電気的に接続される。
【0096】
第1絶縁層81は、第1導電層41と基体70との間、及び、第2導電層52と基体70との間に設けられる。
【0097】
図6(c)に示すように、第1接続部CP1は、第3カソードC3と基体70とを電気的に接続する。一方、第2接続部CP2は、第4カソードC4と基体70とを電気的に接続する。
【0098】
図6(a)に示すように、基体70から第1ダイオードD1に向かう方向を第1方向Dr1(Z軸方向)とする。
【0099】
図6(a)に示すように、第1発光部E1は、第1〜第3半導体層11〜13を含む。第1半導体層11は、n形である。第1半導体層11は、第1半導体領域11aと、第2半導体領域11bと、を含む。第2半導体領域11bは、第1方向Dr1と交差する第2方向において、第1半導体領域11aと並ぶ。
【0100】
第2半導体層12は、第2半導体領域11bと基体70との間に設けられ、p形である。第3半導体層13は、第2半導体領域11bと第2半導体層12との間に設けられる。
【0101】
この例では、電極11e及び電極12eが設けられている。電極11eは、第1発光部E1の第1カソードC1となる。電極12eは、第1発光部E1の第1アノードA1となる。電極11eは、第1半導体領域11aと第1導電領域41aとの間に設けられる。電極12eは、第2半導体層12と基体70との間に設けられる。すなわち、第1アノードA1は、第2半導体層12と基体70との間に設けられる。
【0102】
第1ダイオードD1は、第4〜第6半導体層14〜16を含む。第4半導体層14は、n形である。第5半導体層15は、第4半導体層14の一部と、基体70との間に設けられ、p形である。第6半導体層16は、第4半導体層14の上記の一部と、第5半導体層15との間に設けられる。
【0103】
この例では、電極14e及び電極15eが設けられている。電極12eは、第1ダイオードD1の第3カソードC3となる。電極15eは、第1ダイオードD1の第3アノードA3となる。電極14eは、第4半導体層14の一部と、基体70と、の間に設けられる。電極15eは、第5半導体層15と第2導電領域41bとの間に設けられる。すなわち、第3アノードA3は、第2導電領域41bとの間に設けられる。
【0104】
第2発光部E2は、第7〜第9半導体層17〜19を含む。第7半導体層は、n形である。第7半導体層17は、第3半導体領域17aと、第4半導体領域17bと、を含む。第4半導体領域17bは、第1方向Dr1と交差する第3方向において、第3半導体領域17aと並ぶ。
【0105】
第8半導体層18は、第4半導体領域17bと基体70との間に設けられ、p形である。第9半導体層19は、第4半導体領域17bと第8半導体層18との間に設けられる。
【0106】
この例では、電極17e及び電極18eが設けられている。電極17eは、第2発光部E2の第2カソードC2となる。電極18eは、第2発光部E2の第2アノードA2となる。電極17eは、第3半導体領域17aと基体70との間に設けられる。電極18eは、第8半導体層18と基体70との間に設けられる。すなわち、第2アノードA2は、第8半導体層18と基体70との間に設けられる。
【0107】
第2ダイオードは、第10〜第12半導体層20〜22を含む。第10半導体層20は、n形である。第11半導体層21は、第10半導体層20の一部と、基体70と、の間に設けられ、p形である。第12半導体層22は、第10半導体層20の上記の一部と、第11半導体層21との間に設けられる。
【0108】
この例では、電極20e及び電極21eが設けられている。電極20eは、第2ダイオードD2の第4カソードC4となる。電極21eは、第2ダイオードD2の第4アノードA4となる。電極20eは、第10半導体層20の一部と、基体70と、の間に設けられる。電極21eは、第11半導体層21と基体70との間に設けられる。すなわち、第4アノードA4は、第11半導体層21と基体70との間に設けられる。
【0109】
半導体発光素子140は、第1配線61をさらに含む。第1配線61は、第1発光部E1と第2発光部E2とを電気的に接続する。第1配線61の一部は、第1発光部E1と基体70との間に配置され、第1アノードA1と電気的に接続される。第1配線61の別の一部は、第2発光部E2と基体との間に配置され、第2カソードC2と電気的に接続される。
【0110】
図6(b)及び
図6(c)に示すように、第1配線61は、直列に接続された複数の発光部Es(LED)を含む。第1配線61は、金属などの導電体の他に、半導体を含むLEDを含んでも良い。
【0111】
第1接続部CP1は、直列に接続された複数の第1接続ダイオードDs1を含む。第2第2接続部CP2は、直列に接続された複数の第2接続ダイオードDs2を含む。このように、第1接続部CP1及び第2接続部CP2のそれぞれは、金属などの導電体の他に、半導体を含むダイオードを含んでも良い。
【0112】
この例では、第1接続部CP1は、第3ダイオードD3と、第2配線62と、第3配線63と、を含む。第3ダイオードD3は、基体70の上に設けられる。第3ダイオードD3は、第5アノードA5と第5カソードC5とを含む。第2配線62は、第3カソードC3と第5アノードA5とを電気的に接続する。第3配線63は、第5カソードC5と基体70とを電気的に接続する。第2配線62の一部は、第3カソードC3と基体70との間に設けられる。第2配線62の別の一部は、第5アノードA5と基体70との間に設けられる。
【0113】
この例では、第3ダイオードD3は、第13〜15半導体層23〜25を含む。第13半導体層23は、n形である。第14半導体層24は、第13半導体層23の一部と、基体と、の間に設けられ、p形である。第15半導体層25は、第13半導体層23の上記の一部と、第14半導体層24と、の間に設けられる。
【0114】
第2接続部CP2は、第4ダイオードD4と、第4配線64と、第5配線65と、を含む。第4ダイオードD4は、基体70の上に設けられる。第4ダイオードD4は、第6アノードA6と、第6カソードC6と、を含む。第4配線64は、第4アノードA4と第6カソードC6とを電気的に接続する。第5配線65は、第6アノードA6と基体70とを電気的に接続する。第4配線64の一部は、第4アノードA4と基体70との間に設けられる。第4配線64の別の一部は、第6カソードC6と基体70との間に設けられる。
【0115】
この例では、第4ダイオードD4は、第16〜18半導体層26〜28を含む。第16半導体層26は、n形である。第17半導体層27は、第16半導体層26の一部と、基体と、の間に設けられ、p形である。第18半導体層28は、第16半導体層26の上記の一部と、第17半導体層27と、の間に設けられる。
【0116】
半導体発光素子140において、第1発光部E1、第2発光部E2及び発光部Esから光が放出される。第1発光部E1、第2発光部E2及び発光部Esが直列に接続されることで、適切な電圧が、複数の発光部のそれぞれに印加される。効率的な発光が得られる。駆動回路が単純となる。
【0117】
第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2は、保護回路として機能する。第1接続部CP1に含まれる第1接続ダイオードDs1、及び、第2接続部CP2に含まれる第2接続ダイオードDs2も保護回路として機能する。直列に接続された複数のダイオードを用いることで、複数のダイオードのそれぞれに電圧が分配される。逆電圧に対する保護回路の機能が高まる。
半導体発光素子140においても、信頼性を向上できる。
【0118】
例えば、半導体発光素子140において、発光部の数(第1発光部E1、第2発光部E2及び発光部Esを含む数)が、12である場合に、ダイオードの数(第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、接続部に含まれるダイオードの数)は、例えば、8とされる。
【0119】
例えば、1つの発光部における逆電圧の最大値が5Vとする。直列に接続された8個のダイオードにより、40Vの逆電圧に対応できる。
【0120】
実施形態によれば、信頼性を向上できる半導体発光素子が提供できる。
【0121】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、B
xIn
yAl
zGa
1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0122】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0123】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれる基体、半導体層、導電層、パッド層、金属層、金属膜、電極及び接続部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0124】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0125】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。