【文献】
SATO,K. et al,Squaryl Group as a New Mimic of Phosphate Group in Modified Oligodeoxynucleotides: Synthesis and Properties of New Oligodeoxynucleotide Analogues Containing an Internucleotidic Squaryldiamide Linkage,Journal of the American Chemical Society,2002年,Vol.124, No.43,pp.12715-12724
【文献】
SATO,K. et al,Synthesis and structural properties of new oligodeoxynucleotide analogues containing a 2',5'-internucleotidic squaryldiamide linkage capable of formation of a Watson-Crick base pair with adenine and a wobble base pair with guanine at the 3'-downstream junction site,European Journal of Organic Chemistry,2004年,No.10,pp.2142-2150
【文献】
SATO,K. et al,Synthesis and properties of a new oligonucleotide analogue containing an internucleotide squaryl amide linkage,Nucleic Acids Research Supplement,2001年,No.1,pp.121-122
【文献】
ZHAO,Y. et al,Synthesis and characterization of mannosylated oligoribonucleotides,Carbohydrate Research,2009年,Vol.344, No.16,pp.2137-2143
【文献】
ZHAO,Y. et al,Preparation of mannosylated oligoribonucleotides,Nucleic Acids Symposium Series,2008年,Vol.52, No.1,pp.89-90
【文献】
YAN,H. et al,Preparation of carbohydrate-oligonucleotide conjugates using the squarate spacer,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007年,Vol.17, No.23,pp.6535-6538
【文献】
WURM,F. et al,Squaric acid mediated synthesis and biological activity of a library of linear and hyperbranched poly(glycerol)-protein conjugates,Biomacromolecules,2012年 4月,Vol.13, No.4,pp.1161-1171
【文献】
GLUESENKAMP,K.H. et al,Squaric acid diethyl ester: a simple and convenient coupling reagent,Zeitschrift fuer Naturforschung, C: Journal of Biosciences,1991年,Vol.46, No.5-6,pp.498-501
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オリゴヌクレオチドスクアレートモノコンジュゲートを、ポリエチレングリコール、ペプチド、タンパク質、多糖及び第2のオリゴヌクレオチドから選択される標的対象と反応させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記オリゴヌクレオチドモノスクアレートを、アレイ表面、ヒドロゲル、ナノ粒子、可溶性ポリマー及び不溶性ポリマーから選択されるアミン/チオ標識表面と反応させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記オリゴヌクレオチド誘導体が該オリゴヌクレオチド誘導体の第2の位置に第2のアミノ基又はチオール基を含み、環状構造を生じるオリゴヌクレオチド内架橋を形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
スクアレートを介したオリゴヌクレオチドの多数の結合を有する材料を提供するために、前記オリゴヌクレオチドモノスクアレートを多アミン/チオ含有種と組み合わせる、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[定義]
他に規定のない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で使用される核酸化学、生化学、遺伝学及び分子生物学の用語及び記号は、当該技術分野の標準的な論文及び教科書、例えばKornberg and Baker, DNA Replication, Second Edition (W.H. Freeman, New York, 1992)、Lehninger, Biochemistry, Second Edition (Worth Publishers, New York, 1975)、Strachan and Read, Human Molecular Genetics, Second Edition (Wiley-Liss, New York, 1999)、Eckstein, editor, Oligonucleotides and Analogs: A Practical Approach (Oxford University Press, New York, 1991)、Gait, editor, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1984)、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2.sup.nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)等に従う。ただし、或る特定の用語を明確にし、参照しやすいように下記に規定する。
【0017】
「ヌクレオシド」という用語は本明細書中で使用される場合、修飾された若しくは天然のデオキシリボヌクレオシド若しくはリボヌクレオシド、又はそれらの任意の化学修飾物を指す。ヌクレオシドの修飾としては、2’位、3’位及び5’位の糖修飾、5位及び6位のピリミジン修飾、2位、6位及び8位のプリン修飾、環外アミンにおける修飾、5−ブロモ−ウラシルの置換等が挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレオシドを好適に保護及び誘導体化して、当該技術分野で既知の方法、例えばヌクレオシドホスホロアミダイトモノマーを用いた固相自動合成、H−ホスホネートカップリング又はリン酸トリエステルカップリングによるオリゴヌクレオチド合成を可能にすることができる。
【0018】
「ヌクレオチド」という用語は本明細書中で使用される場合、修飾された又は天然のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを指す。ヌクレオチドは、1つ又はいくつかのリン酸又は置換リン酸が5’位、2’位又は3’位に結合した上記で規定したようなヌクレオシドである。ヌクレオチドは通常プリン及びピリミジンを含み、これらは、チミジン、シチジン、グアノシン、アデニン及びウリジンを含む。
【0019】
「オリゴヌクレオチド」という用語は本明細書中で使用される場合、上記で規定したような複数の連結ヌクレオチド単位から形成されるポリヌクレオチドを指す。ヌクレオチド単位は各々、リン酸連結基を介して互いに連結したヌクレオシド単位を含む。オリゴヌクレオチドという用語は、ホスホロチオエート結合等のリン酸結合以外の結合を介して互いに連結した複数のヌクレオチドも指す。オリゴヌクレオチドは天然のものであっても天然のものでなくてもよい。好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは1〜1000のヌクレオチドを有する。オリゴヌクレオチドは合成物であっても、又は酵素的に作製されたものであってもよく、いくつかの実施形態では10ヌクレオチド長〜50ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドモノマー(すなわちオリゴリボヌクレオチドであり得る)又はデオキシリボヌクレオチドモノマーを含み得る。オリゴヌクレオチドは例えば10〜20、21〜30、31〜40、41〜50、51〜60、61〜70、71〜80、80〜100、100〜150、150〜200、200〜500、又は500を超えるヌクレオチド長であり得る。
【0020】
「アルキル」という用語は本明細書中で使用される場合、1個〜24個の炭素原子(すなわち(C
1〜C
24)アルキル)、典型的には1個〜12個の炭素原子(すなわち(C
1〜C
12)アルキル)、更に典型的には1個〜6個の炭素原子(すなわち(C
1〜C
6)アルキル)の飽和された直鎖、分岐又は環状の炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルを指す。「低級アルキル」という用語は、1個〜6個の炭素原子のアルキル基を指し、例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルが挙げられる。「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル等の環状アルキル基を指す。
【0021】
「アルキレン」及び「アルキレン鎖」は本明細書中で使用される場合、分子の他の部分をラジカル基へと連結し、炭素及び水素のみからなり、不飽和を含有せず、1個〜12個の炭素原子、好ましくは1個〜8個の炭素を有する直鎖又は分岐二価炭化水素鎖、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン等を指す。アルキレン鎖は、鎖内の1個の炭素又は鎖内の任意の2個の炭素を介して分子の他の部分及びラジカル基へと結合し得る。
【0022】
さらに、「アルキル」という用語は、1個〜24個の炭素原子(C1〜C20)を有し、更に付加的な基、例えば、エーテル結合、チオ結合、アミノ結合、リン酸結合、オキソ結合、エステル結合及びアミド結合から選択される1つ若しくは複数の結合を有し、且つ/又は、低級アルキル基、アリール基、アルコキシ基、チオアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニル基、チオ基、メルカプト基、イミノ基、ハロ基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、カルボキシ基、スルフィド基、スルホン基、スルホキシ基、ホスホリル基、シリル基、シリルオキシ基及びボロニル基を含む1つ若しくは複数の付加的な基で置換されたアルキル基を表す「修飾アルキル」を含む。
【0023】
同様に「低級アルキル」という用語は、1個〜8個の炭素原子を有し、更に付加的な基、例えば、エーテル結合、チオ結合、アミノ結合、リン酸結合、ケト結合、エステル結合及びアミド結合から選択される1つ若しくは複数の結合を有し、且つ/又は、低級アルキル基、アリール基、アルコキシ基、チオアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホニル基、チオ基、メルカプト基、イミノ基、ハロ基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、カルボキシ基、スルフィド基、スルホン基、スルホキシ基、ホスホリル基、シリル基、シリルオキシ基及びボロニル基を含む1つ若しくは複数の基で置換された基を表す「修飾低級アルキル」を含む。「アルコキシ」という用語は本明細書中で使用される場合、置換基−O−R(ここでRは上記で規定したようなアルキルである)を指す。「低級アルコキシ」という用語は、Rが低級アルキルであるそのような基を指す。「チオアルキル」という用語は本明細書中で使用される場合、置換基−S−R(ここでRは上記で規定したようなアルキルである)を指す。
【0024】
「アリール」という用語は本明細書中で使用される場合、水素及び炭素のみからなり、6個〜19個の炭素原子((C
6〜C
19)アリールとして表される)、好ましくは6個〜10個の炭素原子((C
6〜C
10)アリールとして表される)を含有する、その一部が縮合していてもよい芳香族単環式又は多環式(multicyclic)の炭化水素環系を指し、部分的又は完全に飽和していてもよい。アリール基としては、フルオレニル基、フェニル基及びナフチル基等の基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において特に言及されない限りは、「アリール」という用語は、(C
1〜C
12)ヒドロカルビル、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−R−O−R’’、−R−O−CO−R’’、−R−CO−O−R’’、−R−NR’−R’’、−R−NR’−CO−R’’、−R−CO−NR’−R’’、−R−CO−R’’、−CN、ハロゲン又はこれらの組合せ(ここでR’及びR’’は独立してH又は(C
1〜C
12)ヒドロカルビルであり、Rは(C
1〜C
12)ヒドロカルビルである)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意に置換されたアリールラジカルを含むことを意味する。
【0025】
「ヘテロアリール」という用語は本明細書中で使用される場合、炭素原子と窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される1個〜5個のヘテロ原子とからなる5員〜18員の単環式又は二環式又は縮合多環式の環系を指す。ヘテロアリールは5員〜12員又は5員〜9員の環系であるのが好ましい。本発明の目的上、ヘテロアリールラジカルは、縮合又は架橋環系を含み得る、単環式、二環式、三環式又は四環式の環系とすることができ、ヘテロアリールラジカルにおける窒素原子、炭素原子又は硫黄原子は任意に酸化されていてもよく、窒素原子は任意に四級化されていてもよい。例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソオキサゾル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル及びチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において特に言及されない限りは、「ヘテロアリール」という用語は、(C
1〜C
12)ヒドロカルビル、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−R−O−R’’、−R−O−CO−R’’、−R−CO−O−R’’、−R−NR’−R’’、−R−NR’−CO−R’’、−R−CO−NR’−R’’、−R−CO−R’’、−CN、ハロゲン又はこれらの組合せ(ここでR’及びR’’は独立してH又は(C
1〜C
12)ヒドロカルビルであり、Rは(C
1〜C
12)ヒドロカルビルである)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意に置換された上記で規定したようなヘテロアリールラジカルを含むことを意味する。
【0026】
「ヘテロアリール」という用語は、芳香族複素環が1つ又は複数のアリール環、脂環式環又はヘテロシクリル環と縮合し、ラジカル又は結合点が芳香族複素環上にある基も指す。非制限的な例としては、1−、2−、3−、5−、6−、7−又は8−インドリジニル、1−、3−、4−、5−、6−又は7−イソインドリル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インダゾリル、2−、4−、5−、6−、7−又は8−プリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−又は9−キノリジニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリニル、1−、4−、5−、6−、7−又は8−フタラジニル、2−、3−、4−、5−又は6−ナフチリジニル、2−、3−、5−、6−、7−又は8−キナゾリニル、3−、4−、5−、6−、7−又は8−シンノリニル、2−、4−、6−又は7−プテリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−4aHカルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−カルバゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−カルボリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−又は10−フェナントリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−アクリジニル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−ペリミジニル、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−又は10−フェナトロリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−又は9−フェナジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−又は10−フェノチアジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−又は10−フェノキサジニル、2−、3−、4−、5−、6−又は1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−ベンズイソキノリニル、2−、3−、4−又はチエノ[2,3−b]フラニル、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−又は11−7H−ピラジノ[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、5−、6−又は7−2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、2−、3−、4−、5−、7−又は8−5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1−、3−又は5−1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、2−、4−又は5−4H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、3−、5−又は8−ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、2−、3−、5−又は6−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、1−、3−、6−、7−、8−又は9−フロ[3,4−c]シンノリニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−、10−又は11−4H−ピリド[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、6−又は7−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチアゾリル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−ベンズオキサピニル、2−、4−、5−、6−、7−又は8−ベンズオキサジニル、1−、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−又は11−1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンズアザピニルが挙げられるが、これらに限定されない。典型的な縮合ヘテロアリール基としては、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリニル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「シクロアルキル」という用語は本明細書中で使用される場合、炭素原子及び水素原子のみからなり、3個〜15個の炭素原子を有し、好ましくは3個〜12個の炭素原子を有し((C
3〜C
12)シクロアルキル)、飽和又は不飽和であり、分子の他の部分に単結合で結合している、安定な非芳香族の単環式又は二環式炭化水素ラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びデカリニル等を指す。本明細書において特に言及されない限りは、「シクロアルキル」という用語は、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はこれらの組合せ(ここでR’及びR’’は独立してH又は(C
1〜C
12)ヒドロカルビルである)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意に置換されたシクロアルキルラジカルを含むことを意味する。
【0028】
「ヘテロシクリル」又は「複素環」という用語は本明細書中で使用される場合、少なくとも1個の炭素原子を含有する環内に少なくとも1個のヘテロ原子を有する任意に置換された、飽和した又は部分的に不飽和の非芳香族環状基、例えば4員〜7員の単環式、7員〜12員の二環式又は10員〜15員の三環式環系を指す。ヘテロ原子を含有する複素環基の各環は窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含有し、窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよい。複素環基はヘテロ原子又は炭素原子で結合し得る。本明細書に記載の複素環は、得られる化合物が安定であれば炭素原子又は窒素原子で置換されていてもよい。具体的に述べると、複素環中の窒素が任意に四級化されていてもよい。複素環中のS原子及びO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子が互いに隣接していないのが好ましい。二環式及び三環式ヘテロシクリル基は縮合環又はスピロ環又は環基であってもよい。ヘテロシクリルは4員〜12員の環系であるのが好ましい。ヘテロシクリルは4員〜9員の環系であるのも好ましい。
【0029】
単環式の複素環基の例としては、オキセタニル、チアタニル、アゼチジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チオピラニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、プテリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼピニル、ジヒドロアゼピニル、テトラヒドロアゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、オキセパニル、チエパニル、ジヒドロチエピニル、テトラヒドロチアピニル、ジヒドロオキセピニル、テトラヒドロオキセピニル、1,4−ジオキサニル、1,4−オキサチアニル、モルホリニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、A−プテリドニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、1,4−アザチアニル、1,4−オキサチエパニル、1,4−オキサアゼパニル、1,4−ジチエパニル、1,4−チエアキセパニル(thieaxepanyl)、1,4−ジアゼパニル、トロパニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、5,6−ジヒドロ−2H−ピラニル、チアゾリジニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,1,4−トリオキソ−1,2,5−チアジアゾリジン−2−イル、ピラゾリニル等が挙げられる。
【0030】
二環式の複素環黄の例としては、ジヒドロインドリル、キヌクチジニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、2−オキサ−6−アザスピロ[3,3]ヘプタン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロイソインドリル、インドリニル、ノルボラニル、アダマンタニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において特に言及されない限りは、「ヘテロシクリル」という用語は、−O−R’’、−O−CO−R’’、−CO−O−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン、又はこれらの組合せ(ここでR’及びR’’は独立してH又は(C
1〜C
12)ヒドロカルビルである)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意に置換された、上記で規定したようなヘテロシクリルラジカルを含むことを意味する。
【0032】
「直接結合」という用語は本明細書中で使用される場合、「直接結合」によって連結した2つの対象が互いに直接結び付いていることを意味する。直接結合は例えば単結合又は二重結合であり得る。
【0033】
「DNA」又は「デオキシリボ核酸」という用語は本明細書中で使用される場合、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを指す。
【0034】
「RNA」又は「リボ核酸」という用語は本明細書中で使用される場合、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを指す。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「リンカー」は分子内の2つの部分を架橋する。「リンカー」は置換基で任意に置換されたヒドロカルビル鎖(例えば、(C
1〜C
12)アルキレン、(C
2〜C
12)アルケニレン)であってもよく、又はリンカーは−(CHR’)
a−W
b−(CHR’)
c−V
d−(CHR’)
e−(式中、W及びVは独立して−O−、−S−又は−NR’−であり、R’はH又は(C
1〜C
6)アルキルであり、a、b、c、d及びeは独立して0〜10、好ましくは0〜6又は好ましくは0〜3の整数であり、a、b、c、d及びeの総和が好ましくは2〜6の整数である)で表される他の原子が組み入れられたヒドロカルビル鎖であってもよい。任意の置換基は−O−R’’、−O−CO−R’’、−NR’−R’’、−NR’−CO−R’’、−CO−NR’−R’’、−CO−R’’、−CN、ハロゲン又はそれらの組合せであり、R’及びR’’は独立してH又は(C
1〜C
6)ヒドロカルビルである。
【0036】
「ポリエチレングリコール」という用語は本明細書中で使用される場合、式R−(O−CH
2−CH
2)
n−O−R’(式中、R及びR’は独立してH又はアルキルである)を有するポリエーテル化合物を指す。「ポリエチレングリコール誘導体」は、式R−(O−CH
2−CH
2)
n−X−R’(式中、R及びR’は独立してH又はアルキルであり、XはO又はNHである)を有するポリエーテル化合物を指す。
【0037】
「ポリペプチド」という用語は本明細書中で使用される場合、ペプチド結合によって連結した複数のアミノ酸を含有する分子を指す。ポリペプチドは天然タンパク質から生成しても又は化学的に合成してもよい。
【0038】
「タンパク質」という用語は本明細書中で使用される場合、1つ又は複数のポリペプチドを含有する分子を指す。タンパク質は天然起源であることが多いが、天然タンパク質から修飾されたものを含み得る。
【0039】
「多糖」又は「ポリ炭水化物(polycarbohydrate)」という用語は本明細書中で使用される場合、グリコシド結合によって連結した複数の糖部分を有する炭水化物分子を指す。
【0040】
「任意の」又は「任意で」とは、その後に記載される状況が起こっても又は起こらなくてもよく、その記載がその状況が起こる例及び起こらない例を含むことを意味する。例えば、「任意に置換された」という表現は、非水素置換基が存在していても又は存在していなくてもよく、その記載が非水素置換基が存在する構造及び非水素置換基が存在しない構造を含むことを意味する。
【0041】
本発明の実施形態は、オリゴヌクレオチドを他の分子又は標的対象とコンジュゲートする方法に関する。オリゴヌクレオチドはDNA、RNA又はキメラDNA/RNAを含み得る。標的対象は任意の所望の標的、例えば他のオリゴヌクレオチド、タンパク質/ペプチド、炭水化物又は支持体(可溶性ポリマー又は固体支持体、例えば樹脂、ガラスビーズ、電磁ビーズ、マトリックス表面等を含み得る)。
【0042】
本発明の実施形態は、スクアリン酸及びその誘導体を穏和な条件下で容易にアミノ基とカップリングすることができるということに基づく。これらのコンジュゲーションプロセスは、オリゴヌクレオチドコンジュゲートを生成する簡単な水性の(aqueous based)方法をもたらす。これらの反応による生成物は安定であり、容易に単離及び貯蔵することができる。加えて、スクアリン酸誘導体は医薬品の修飾に用いられており、非毒性であることが見出されている。
【0043】
図1は、アルコールと反応してスクアリン酸ジエステルを生じ得るスクアリン酸(すなわちシクロブテン−3,4−ジオン)の構造を示す。このエステル化は、通常のカルボン酸のエステル化と同様に酸触媒の存在下で容易に起こり得る。スクアリン酸エステルの求核置換は例えばアミンを求核試薬として用いて容易に行うことができ、対応するモノアミド又はジアミドが得られる。これらの特性を、特性を変化させるための生体分子の修飾を含む多くの用途に用いることができる。
【0044】
エステルに加えて、同様に求核試薬(例えばアミノ基又はチオール基)との反応に用いることができる他のスクアリン酸誘導体としては、スクアリン酸ハロゲン化物、スクアリン酸エステルハロゲン化物及びスクアリン酸イミダゾールが挙げられる。これら全てのスクアリン酸誘導体を本発明の実施形態とともに用いることができ、これら全ての試薬をアミノ官能基又はチオール官能基を有するオリゴヌクレオチドと反応させることができる。本発明の実施形態は好ましくはスクアリン酸ジエステルを試薬として用いるものである。
【0045】
スクアリン酸誘導体の使用は、小分子とのコンジュゲーション及び小分子とタンパク質又は炭水化物とのコンジュゲーションについて記載されている。スクアリン酸誘導体は、20K多糖等の巨大分子とタンパク質とのカップリングにも用いられている。加えて、Glusenkampらに対して発行された米国特許第6,602,692号は、ペプチドとスクアリン酸誘導体で修飾された固体支持体とをコンジュゲートするためのスクアリン酸誘導体の使用を開示している。米国特許第6,602,692号の開示は、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0046】
本発明の実施形態に上記のスクアリン酸誘導体のいずれを用いてもよい。好ましい本発明の実施形態では、一般にスクアレートと称され得るスクアリン酸エステルが使用される。このスクアリン酸エステルは、2つのエステル基(−OR基)が同じであっても又は異なっていてもよいジエステルである。
【0047】
様々な分子をコンジュゲートするためのスクアレートの使用は既知であるが、DNA又はRNAへのコンジュゲーションにこの技術を用いた用途は報告されていない。多大な労力が、診断/研究用試薬又は有力な治療薬としてのオリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体の用途に向けられている。医薬品としてのオリゴヌクレオチドの潜在用途の例としては、或る特定のコード領域に結合して、タンパク質の発現を阻止するか又は様々な細胞機能を遮断することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを挙げることができる。さらに、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法(Tuerk and Gold, Science, 249:505 (1990))の開発は、ほとんどの生物学的に興味深い標的に結合するオリゴヌクレオチドの同定を可能にするものである。
【0048】
医薬品としてのオリゴヌクレオチドの潜在的使用は、治療活性及び安定性の増大を目的とする様々な化学的修飾の更なる開発をもたらしている。かかる修飾は、オリゴヌクレオチドの細胞透過又はそのヌクレアーゼに対する耐性を増大させることができる。加えて、これらの修飾はオリゴヌクレオチドとその標的との結合を強化するか、又はオリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善することができる。したがって、オリゴヌクレオチドを様々な用途に対して容易に修飾することができる方法が望ましい。
【0049】
本発明の実施形態は、オリゴヌクレオチドを非常に穏和な条件下で修飾する方法を提供し、この方法はオリゴヌクレオチド医薬品の修飾における用途に好適である。本発明の実施形態に従うと、オリゴヌクレオチド誘導体(スクアリン酸誘導体とのカップリングのための反応性官能基を含有する)を任意の好適な方法で調製することができる。例えば、スクアリン酸誘導体とのカップリングのための反応性官能基(例えばアミノ基)を有するオリゴヌクレオチドを合成することができる。例えば、反応性官能基はアミノ基又はチオール基であり得る。
【0050】
官能基をオリゴヌクレオチドに結合させる様々な方法が既知である(概説としては、Goodchild, Bioconjugate Chemistry, 1:165-187 (1990)を参照されたい)。化学的に反応性の官能基をオリゴヌクレオチドに(例えば5’末端及び/又は3’末端に)結合させた後、これらの反応性官能基を様々なコンジュゲートとのカップリングに用いることができる。例えば、第1級脂肪族アミノ基をオリゴヌクレオチド合成の最終段階でオリゴヌクレオチドの5’末端に組み込むことができる。オリゴヌクレオチドの5’末端への連結のための試薬は市販されている。例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端への連結のための種々の長さの−(CH
2)
n−コネクタを有する様々なリンカーが利用可能である。一例は、Glen Research Corp.(Sterling,Va.)から入手可能な5’−Amino−Modifier C6である。オリゴヌクレオチドの3’末端に対するアミノ修飾剤も、ホスホロアミダイトとして又は既に合成固体支持体に結合したものとして容易に入手可能である。
【0051】
オリゴヌクレオチドの修飾に用いられ、反応性官能基をもたらす試薬は、完全長オリゴヌクレオチドの遊離5’ヒドロキシル基にカップリングすることができ、固体支持体に結合したホスホロアミダイトの形態であってもよい。このカップリングは別のヌクレオチドモノマーへの結合と同様である(例えば、Theison et al., Tetrahedron Lett., 33:5033-5036 (1992)を参照されたい)。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態に従うと、反応基(例えばアミノ基又はチオール基)を、修飾ヌクレオチドを用いてオリゴヌクレオチドに結合させることができる。この場合、反応基を5’末端又は3’末端に結合させる必要はない。代わりに、これらの修飾ヌクレオチド類似体を用いて反応基を内部の位置に組み込むことができる。かかる修飾ヌクレオチドのいくつかの例を下記に示す。
【化2】
【0053】
上記の例において、R
1はH又はOHである。式(I)は天然ヌクレオシド又はデオキシヌクレオシド(RはH又はOHである)を表し、式(II)〜式(IV)(nは0を超える整数である)は反応性アミノ基修飾を糖環に有する様々な類似体を表す。これらのアミノ基はこれらの類似体をオリゴヌクレオチドに組み込む際に保護される。これらの試薬のいくつかは市販されているか、又は当該技術分野で既知の手順に従って調製することができる。
【0054】
他の修飾ヌクレオチド類似体は、下記に示すようにプリン環又はピリミジン環に修飾を有し得る。
【化3】
【0055】
上記の式(V)〜式(X)(nは0を超える整数である)は、反応性アミノ基を含有するヌクレオチド類似体の例を示す。これらの類似体を用いて、これらのアミノ基を保護した後にオリゴヌクレオチドに組み込むことができる。これらの試薬のいくつかは市販されているか、又は当該技術分野で既知の手順に従って調製することができる。
【0056】
オリゴヌクレオチドを反応性官能基(例えば、アミノ基又はチオール基)で誘導体化した後、スクアリン酸誘導体とのカップリングに用いることができる。以下の例に本発明のいくつかの実施形態を示す。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態に従うと、オリゴヌクレオチドスクアレートモノコンジュゲートを用いて、オリゴヌクレオチドを他の標的対象、例えばペプチド、タンパク質、オリゴ糖、固体表面、ポリマー材料、ナノ粒子、ヒドロゲル及び小分子に結合させることができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態に従うと、これらのモノコンジュゲートを用いて、特定の目的に選択され得る他の手段(handles)とカップリングすることができる。かかる用途の一例は、ジエン部分(例えばフラン)をオリゴヌクレオチドスクアレートモノ付加物に結合させて、同日付けで出願された同時係属出願に開示されているジエノフィル連結分子(例えばN−エチルマレイミド)とのディールスアルダー反応に供することである。
【0059】
本明細書に記載の例ではアミノ基を用いてスクアレートにコンジュゲートするが、他の求核基(例えばチオール)を用いてもよいことに留意されたい。
【0060】
限定量の2つ以上のアミン(例えばジアミン、トリアミンからポリアミンまで)を含有する種でのオリゴヌクレオチドモノスクアレートの処理は、多量体オリゴヌクレオチド構造を作製する手段をもたらす。
【0061】
このコンジュゲーションの別の用途は、2つのアミノ標識オリゴヌクレオチドをカップリングして、環状(cyclical)又はヘアピン型のオリゴヌクレオチド構造を形成することであり得る。オリゴヌクレオチドは、一方の鎖に3’アミノ標識及び他方に5’アミノ標識を有する相補的配列であってもよい。これはヘアピン様二量体を形成する。
【0062】
本発明の利点は以下の1つ又は複数を含み得る。本発明の実施形態は、オリゴヌクレオチドを様々な標的対象にコンジュゲートする容易かつ効率的な方法を提供する。スクアレートとの反応は水溶液中において高収率で行うことができ、生成物を(例えば、限外濾過又はサイズ排除クロマトグラフィによって)容易に精製することができる。モノスクアレート付加物は安定であり、後に使用するために精製及び貯蔵することができる。
【0063】
DNA/RNAとのモノコンジュゲートの安定性は、オリゴヌクレオチドモノスクアレート種の配列と相補的でない第2のアミノ標識オリゴヌクレオチドとのカップリングを許容し得る。2つの非相補的オリゴヌクレオチドのカップリングは、非酵素的に行うのが非常に困難である。本発明の方法はこれらの分子へのアクセスをもたらす。スクアリン酸誘導体は小さく、免疫原性応答を引き起こすことがなく、この官能基を医薬品に組み込んだ場合に生じる有害反応は僅かである。
【実施例】
【0064】
<オリゴヌクレオチドスクアレートモノコンジュゲートの合成>
アミノリンカーが結合したオリゴヌクレオチドを、当該技術分野で既知の任意の方法(上記の論考を参照されたい)を用いて合成する。
図2に示す例では、TFA保護アミンC6リンカーホスホロアミダイト(すなわち、CF
3−CO−NH−(CH
2)
6−O−P((O−CH(CH
3)
2)
2(O−CH
2−CH
2−CN)が用いられ、これは適切な合成条件を用いてオリゴヌクレオチドの5’−OH末端を固体支持体にカップリングするものである。このカップリングは、ヌクレオチドモノマーのカップリングと同様の条件下で行うことができ、オリゴヌクレオチドを固体支持体に結合させたままで行うことができる。通常通りの合成及び脱保護(RNAについては標準的なアンモニア及びTEA−3HF)の後、混合物をNaClに対して限外濾過して、全てのアンモニア及びアンモニウム塩を除去することができる。最後に、残余分を水で洗浄して過剰な塩を全て除去する。次いで、オリゴヌクレオチド溶液を濃縮してもよい。濃縮物を凍結乾燥してもよく、又はそのまま使用してもよい。
【0065】
アミノ標識オリゴヌクレオチドを利用可能とした後、スクアリン酸誘導体にカップリングすることができる。例えば、300mMリン酸ナトリウム(pH7〜8)500μL中およそ10mgのアミノ標識オリゴヌクレオチドの溶液を調製した。
図2に示すように、これに過剰なスクアリン酸ジメチルエステル(ジメトキシシクロブテン−1,2−ジオン;オリゴヌクレオチド1mgにつきおよそ0.75mg)を添加した。過剰なスクアリン酸エステルを用いることで、一置換スクアレート誘導体の形成を促し、二置換スクアレート誘導体の形成を抑制する。
【0066】
コンジュゲーション中にpHが低下する傾向があるため、反応混合物を25℃に保ち、溶液のpHを第二リン酸塩で調整して反応pHを7〜7.8に維持した。約4時間後、反応溶液を濾過し、3K限外濾過(UF)スピンカートリッジ内において水で洗浄して、残存する小分子(例えば、過剰なスクアリン酸エステル及び塩)を除去した。UF残余分を凍結乾燥し、LCMSによって分析すると、所望の生成物、すなわちオリゴヌクレオチドスクアレートモノ付加物の形成が確認された。かかる付加物は非常に安定である。例えば、これらの一置換スクアレートは、pH7の水溶液中で少なくとも2日間及び凍結乾燥固体として4℃で1年を超えて安定であることが見出される。
【0067】
あるいは、反応溶液を濾過し、水で洗浄した後、次の反応に緩衝剤として用いられ得るホウ酸塩緩衝剤で洗浄し、次のコンジュゲーション工程(例えば、下記に示す標的対象とのコンジュゲーション)に直接使用することができる。
【0068】
上記のカップリング反応は非常に効率的である。反応を複数回行うと、コンジュゲーション後に残存する出発アミノ標識オリゴヌクレオチドの量から判断されるように、これらの反応が90%〜99%完了するまで進行することが見出される。反応はLCMS分析によって容易にモニタリングすることができる。
【0069】
<オリゴヌクレオチドスクアレートモノコンジュゲートと標的対象との反応>
図3に示すように、凍結乾燥したスクアレートモノコンジュゲートを25mMホウ酸ナトリウム緩衝剤(pH=9.2)中に取り、少量のDMSOに溶解した過剰な(例えば10倍〜40倍の)アミノ基(例えばNH
2−R)を含有する標的対象で処理した。25mMホウ酸塩緩衝剤で事前限外濾過したモノコンジュゲート(上記を参照されたい)を、凍結乾燥及び再溶解することなく直接アミン/DMSO混合物で処理することができる。
【0070】
この特定の例において、標的対象は5−メチルフルフリルアミン(すなわち、R=5−メチル−フルフリル)である。反応を室温で2時間行った。反応混合物を再度濃縮し、3K UFスピンカートリッジ内で洗浄して、過剰なアミン及び塩を除去した。残余分を凍結乾燥し、固体の一部をLCMSによって分析すると、所望のコンジュゲートが出発モノコンジュゲートベースでおよそ95%の収率で形成されたことが示された。
【0071】
これらのプロトコルに基づき、様々な標的対象をオリゴヌクレオチドとコンジュゲートした。これらのコンジュゲーションのいくつかの例を
図4に示す。PEG−オリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製は既知であり、例えば、Goodchild et al., Bioconjugate Chem., 1:165 (1990)及びZalipsky et al., Bioconjugate Chem., 6:150 (1995)を参照されたい。PEGコンジュゲートを用いて、オリゴヌクレオチドのインビボ安定性を改善し、且つ/又はオリゴヌクレオチドの免疫原性を低減することができる。
【0072】
<2つの相補的オリゴヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド二本鎖の形成>
5’ヘキサエチレングリコール(HEG)スペーサリンカーと、それに続く標準的な6炭素アミノリンカーを含有するRNA20マー(20 mer:二十量体)を、標準オリゴヌクレオチド固相合成法を用いて作製した。HEG及びC6アミノリンカー(どちらも市販されている)を、標準オリゴヌクレオチド合成/脱保護プロトコルを用いてホスホロアミダイトとして付加した。上記の実施例1を参照されたい。粗RNAを陰イオン交換クロマトグラフィによって精製し、2K Hydrosart膜で限外濾過した後、凍結乾燥した。凍結乾燥物質のLCMS分析から期待分子量の修飾オリゴヌクレオチドが示された。この凍結乾燥したアミノ修飾RNA(150mg)を3.0mLのリン酸ナトリウムに取り、pH範囲が7〜8の溶液を得た。この溶液に300μLのDMSOに溶解したジメトキシスクアレート100mgを添加した。1時間後のLCMS分析から、
図5に示すように、アミノ標識RNAが完全に所望のモノスクアレートへと変換されたことが示された。
【0073】
上記段落[0071]で述べたものと相補的な配列(この場合は3’アミノリンカーが結合する)を、上記段落で用いられるものと同じ標準合成プロトコルを用いて作製した。
図5を参照されたい。5’アミノ標識RNAの調製に用いたものと同じ手順を用いて修飾RNAを脱保護し、精製し、限外濾過し、凍結乾燥した。凍結乾燥した5’アミノRNA(10mg)を400μLの水に溶解した。11mg(およそ1.2倍過剰)の凍結乾燥した3’アミノRNA相補鎖を別の400μLの水に溶解した。これら2つの溶液を合わせ、50℃〜60℃におよそ5分間加温し、溶液を30分間かけて室温に冷却した。次いで、この溶液に150mMホウ酸ナトリウム300μLを添加し、溶液のpHをおよそ9とした(pH紙による)。この混合物を室温で3時間静置した。この反応のサンプルのLCMS分析から、加水分解モノRNAスクアレートが観察されることなく二量体が正確に形成されたことが示された。
【0074】
<2つのオリゴヌクレオチドのコンジュゲート>
加えて、スクアレートとオリゴヌクレオチド(例えばDNA又はRNA)とのモノコンジュゲートの安定性は、モノコンジュゲート中間体を単離し、第2のアミノ標識オリゴヌクレオチドがオリゴヌクレオチドスクアレートモノ付加物の配列と相補的でなくとも、それらを第2のオリゴヌクレオチドとのカップリングに使用することを可能にする。2つの非相補的オリゴヌクレオチドのカップリング(特に一方のオリゴヌクレオチドがDNAであり、他方がRNAである場合)は、非酵素的に行うのが非常に困難である。本発明の方法はこれらの分子へのアクセスをもたらす。
【0075】
<環状オリゴヌクレオチドの形成>
上で述べたように、スクアレートとオリゴヌクレオチド(例えばDNA又はRNA)とのモノコンジュゲートの安定性は、モノコンジュゲート中間体を単離し、それらをその後の第2のオリゴヌクレオチドとのカップリングに使用することを可能にする。この特性を利用し、これらのモノコンジュゲートを使用することで、オリゴヌクレオチドの他の末端に存在する第2のアミノ基(コンジュゲーションの第一段階の間に一時的に保護してもよい)とコンジュゲートし、環状オリゴヌクレオチドを形成することができる。
【0076】
[第2級アミンとのコンジュゲーション]
<ペプチドとのオリゴヌクレオチドモノスクアレートコンジュゲーション>
【化4】
およそ1μMのモノメトキシスクアレート標識RNA20マーの100mMホウ酸ナトリウム緩衝溶液(pH=9.2)100μLに、100mMホウ酸ナトリウム緩衝溶液(pH=9.2)100μLに溶解した過剰なトリペプチドLeu−Gly−Glyを添加した。この混合物を25℃に1.5時間置いた。反応混合物のLCMS分析から、ペプチドコンジュゲートがおよそ85%の収率で生成したことが示された。
図6も参照されたい。
【0077】
<脂質とのオリゴヌクレオチドモノスクアレートコンジュゲーション>
【化5】
およそ1μMのモノメトキシスクアレート標識RNA20マーの100mMホウ酸ナトリウム緩衝溶液(pH=9.2)75μLに、イソプロパノール75μLに溶解した小過剰なスフィンゴシンを添加した。この混合物を25℃に30分間置いた。反応混合物のLCMS分析から、脂質コンジュゲートがおよそ60%の収率で生成したことが示された。
図6も参照されたい。
【0078】
<イソプロピルアミンとのオリゴヌクレオチドモノスクアレートコンジュゲーション>
【化6】
およそ1μMのモノメトキシスクアレート標識RNA20マーの100mMホウ酸ナトリウム緩衝溶液(pH=9.2)150μLに、DMSD20μLに溶解した過剰なイソプロピルアミンを添加した。25℃で4時間後の反応混合物のLCMS分析から、イソプロピルアミン誘導体が95%を超える収率で生成したことが示された。
図6にも示される。
【0079】
添加順序を逆転して、アミノ/チオ標識オリゴヌクレオチドを既に誘導体化したモノスクアレートに添加してもよいことに留意されたい。アミン/チオ小分子又はペプチド、タンパク質のモノスクアレート等を初めに作製し、次いでアミノ/チオ標識オリゴヌクレオチドで処理して、スクアレートオリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成することができる。
【0080】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈上明白に他の指示がない限り、数量を特定していない単数形(the singular forms "a," "an," and "the")は複数の指示対象を含む。
【0081】
他に規定のない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本開示の実施又は試験に用いてもよいが、好ましい方法及び材料は本明細書に記載している。本明細書に挙げた方法は、開示した特定の順序に加えて論理的に可能な任意の順序で行うことができる。
【0082】
本発明を限定数の実施形態に関して記載したが、本開示の利益を得る当業者は、本明細書に開示の本発明の範囲を逸脱しない他の実施形態を考案することができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0083】
[援用記載]
特許、特許出願、特許公報、定期刊行物、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文献の参照及び引用を本開示において行った。かかる文献は全て、その全体があらゆる目的のために引用することにより本明細書の一部をなすものとする。引用することにより本明細書の一部をなすと述べられているが、本明細書に明示的に記載される既存の定義、言説又は他の開示事項と抵触する任意の事項又はその一部は、引用事項と本開示の事項との間に抵触が生じない限りにおいてのみ引用される。抵触の場合には、本開示を好ましい開示として支持することによって抵触が解決される。
【0084】
[均等物]
本明細書に開示の代表的な例は本発明の説明を助けることを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものでも、そのように解すべきものでもない。実際に、本明細書に提示及び記載されるものに加えて、本発明及びその多くの更なる実施形態の様々な変更が、先の実施例並びに本明細書に引用される科学文献及び特許文献の参照を含む本明細書の全内容から当業者に明らかとなるであろう。先の実施例は、その様々な実施形態及びその均等物において本発明の実施に適用することができる重要な追加情報、例示及び指針を含む。