特許第6351604号(P6351604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6351604電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法および電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置
<>
  • 特許6351604-電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法および電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置 図000002
  • 特許6351604-電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法および電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置 図000003
  • 特許6351604-電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法および電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351604
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法および電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20180625BHJP
   B60T 7/20 20060101ALI20180625BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B60T17/22 C
   B60T7/20
   B62D53/00 E
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-537201(P2015-537201)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2016-500600(P2016-500600A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】EP2013071239
(87)【国際公開番号】WO2014060296
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】12188591.7
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】レヴェンテ バログ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルターン ボルダーチュ
(72)【発明者】
【氏名】マーチャース クラボト
(72)【発明者】
【氏名】フェレンツ ゼマン
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−506946(JP,A)
【文献】 特開平11−278317(JP,A)
【文献】 特開平09−188239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/22
B60T 7/12− 8/1769
B60T 8/32− 8/96
B62D 41/00−67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車(106)と被牽引車(108)とを含んでいる車両(104)の電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)を操作するための方法(102)であって、
前記電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)を作動させることによって被牽引車テスト機能の実行を開始する方法において、
条件
・前記車両(104)の常用ブレーキ(110)が作動している
・ギアが入れられている
・前記電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)の供給圧力が過度に低い
・前記車両(104)が動いている
・前記電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)が解除されている
・エラーが検出された
のうちの少なくとも1つ条件が満たされると、前記被牽引車テスト機能の実行を停止および/または中断し、
前記方法(102)は、さらに、
条件
・車速が測定できない
・前記常用ブレーキ(110)の状態が確定できない
・ギアの状態が確定できない
・前記電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)が制限されたモードにある
・前記電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)のシフト圧力に達していない
・前記被牽引車テスト機能の実行に、所定の最長時間よりも長く時間がかかる
のうちの少なくも1つの条件が発生しているまたは与えられている場合に、当該方法(102)の実施を終了する、
ことを特徴とする、牽引車(106)と被牽引車(108)とを含んでいる車両(104)の電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム(100)を操作するための方法(102)。
【請求項2】
前記被牽引車テスト機能を実行する前に、前記被牽引車(108)が前記牽引車(106)に結合されているか否かをチェックする、請求項1記載の方法(102)。
【請求項3】
前記被牽引車テスト機能が実行されること、または、前記被牽引車テスト機能が実行される必要があることを示す音響信号および/または視覚信号を形成する、請求項1または2記載の方法(102)。
【請求項4】
車速を測定し、当該測定された車速に基づいて、前記被牽引車テスト機能の正常な実行を確認する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(102)。
【請求項5】
前記被牽引車テスト機能の自動実行は、少なくとも1つの手動入力を待機することを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法(102)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの手動入力は、前記被牽引車テスト機能の正常な実行の確認通知を含む、請求項5記載の方法(102)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの手動入力は、前記被牽引車テスト機能が実行されるべきであることの確認通知を含む、請求項5または6記載の方法(102)。
【請求項8】
前記被牽引車テスト機能の終了後に、前記方法(102)の再開を阻止する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(102)。
【請求項9】
前記方法(102)の完了前に、前記被牽引車(108)の被牽引車ブレーキを作動させる、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(102)。
【請求項10】
牽引車(106)と被牽引車(108)とを含んでいる車両(104)の電気的に操作可能なブレーキシステム(100)の制御装置(112)であって、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(102)を実施するように設計されている、
ことを特徴とする制御装置(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引車を含んでいる車両の電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを操作する方法に関する。ここでは、被牽引車テスト機能の実行が、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムを使用することによって開始される。
【0002】
本発明は、さらに、牽引車を含んでいる車両の電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム用の制御装置に関する。この制御装置は、本発明の方法を実施するように設計されている。
【0003】
車両、例えば、陸地を走行する多用途車(小型トラック)は、牽引車と、当該牽引車に結合されている被牽引車とを有し得る。このような車両を安全に制動するために、通常、常用ブレーキが設けられており、この常用ブレーキは牽引車並びに被牽引車を制動する。さらに、常用ブレーキから独立したパーキングブレーキシステムを設けるのが一般的である。このパーキングブレーキシステムによって車両は駐車状態に固定され、車両が制御されずに動いてしまうのが阻止される。常用ブレーキとパーキングブレーキシステムは、概念的に、車両のブレーキシステムと称され得る。
【0004】
近年の車両においてはしばしば、常用ブレーキ並びにパーキングブレーキシステムは電気的に操作される。従って、例えば、操作装置によって生成された電気信号が、常用ブレーキおよび/またはパーキングブレーキシステムの制御装置に伝送される。次にこの制御装置は、操作、すなわち特に、常用ブレーキのブレーキシステムおよび/またはパーキングブレーキシステムの解除および作動を制御する。常用ブレーキおよびパーキングブレーキシステムによって生成される制動力は、一般的に、車両の種々の軸に配置されているブレーキシリンダーによって生成される。これらのブレーキシリンダーは、それぞれ、例えばブレーキキャリパーを制御する。特に多用途車のケースにおいて、エア式常用ブレーキとエア式パーキングブレーキシステムとがよく使用される。なぜなら、エア式システムは、車両の運転者によって生成されるべき操作力の大きさとは無関係に制動力を提供することができるからである。ブレーキシリンダーは、例えば、単なるダイヤフラムブレーキシリンダーまたはコンビネーションシリンダーであってよい。
【0005】
ダイヤフラムブレーキシリンダーは、圧縮空気が供給されると、制動力を生成することができる。コンビネーションシリンダーには、一般的に、スプリング式ブレーキ部分が設けられる。これは、ダイヤフラムブレーキシリンダーと同じ機能を有し得るダイヤフラム部分に対して付加的に、非圧縮状態で制動力を生成することができる。ダイヤフラムブレーキシリンダーとコンビネーションシリンダーのダイヤフラム部分は、常用ブレーキによって制御され得る。スプリング式ブレーキ部分は、パーキングブレーキシステムによって制御され得る。コンビネーションシリンダーは、スプリング式ブレーキシリンダーと称され得る。非圧縮状態では制動力を生成することができない単なるブレーキシリンダーと比べると、コンビネーションシリンダーはより複雑な設計を有しており、より高価である。このため、しばしば、コンビネーションシリンダーは車両の全ての軸には設けられない。特に、結合されている被牽引車は、コンビネーションシリンダーが設けられていない幾つかの車両軸を有し得る。さらに、結合されている被牽引車の幾つかの軸には、常用ブレーキとパーキングブレーキシステムの両方によって制動力を生成するのに使用されるダイヤフラムブレーキシリンダーが設けられ得る。
【0006】
車両が駐車されると充分な圧力が提供され、これによって、パーキングブレーキシステムによって制御される被牽引車のダイヤフラムブレーキシリンダーを確実に作動することができる。この場合には、被牽引車は作動されているパーキングブレーキシステムによっても制動される。しかし、車両のパーキングブレーキシステムは、車両の長い駐車時間の間、すなわち特にブレーキシステム全体の非圧縮状態において、車両を安定させることができなければならない。しかし、パーキングブレーキシステムによって制御されるダイヤフラムブレーキシリンダーは非圧縮状態において解除されるので、パーキングブレーキシステムによって供される制動力は時間とともに減少する。
【0007】
安全上の理由から、車両の運転者は駐車時に既に、非圧縮状態において車両が、パーキングブレーキシステムによって恒久的に固定され得るのか否かを判断することができるべきである。このために、車両は、いわゆる被牽引車テスト機能の実行が可能であるように設計され得る。この被牽引車テスト機能では、牽引車のパーキングブレーキシステムが車両全体を固定することができるか否かがチェックされる。
【0008】
各パーキングプロシージャの間に、車両のパーキングブレーキシステムの機能をチェックする被牽引車テストを自動的に実行することは、DE102008027732B3号に既に記載されている。
【0009】
本発明の課題は、被牽引車テスト機能を中断する特定の有利な可能性を提供することである。
【0010】
この課題は、独立請求項の特徴部分に記載されている構成によって解決される。
【0011】
本発明の有利な実施形態およびさらなる発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、以下の条件のうちの少なくとも1つが満たされれば、被牽引車テスト機能の実行が停止および/または中断される、一般的な方法をベースにしている。この条件とは、
・車両の常用ブレーキが作動されている
・ギアが入れられている
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの供給圧力が過度に低い
・車両が動いている
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムが解除されている
・エラーが検出された
という条件である。
【0013】
車両の常用ブレーキの作動によって、車両は、この方法の中断と同時に、安全な操作状態に戻ることができ、常用ブレーキを作動させることによって既に付加的な制動力が得られる。これによって、被牽引車のパーキングブレーキシステムが付加的な制動力を提供する前に、動いてしまう可能性のある車両がホールドされる。この方法の終了までの、車両の応答時間を低減させることができる。さらに、車両の運転者は、車両が動き始めたことを認識するとすぐに、被牽引車テスト機能を直観的に中断してもよい。ギアが入れられている場合、被牽引車テスト機能は、牽引車のパーキングブレーキによって生成され得る制動力の実際とは異なる結果を与えることがある。なぜなら、車両内のエンジンとギアボックスの摩擦によって、付加的な力が生じるからである。従って、ギアが入れられている状態での被牽引車テスト機能の実行は、誤った結果をもたらし得る。電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの供給圧力が過度に低い場合には、生成され得る制動力は、正しくないことがある。なぜなら、車両ブレーキの作動および/または解除に関連しているニューマチック制御信号が誤っているからである。被牽引車テスト機能の開始時に車両が動いている場合、被牽引車テスト機能の結果は常に異常(false)となるが、その結果が間違っている可能性がある。車両が動いていて、被牽引車テスト機能を開始した場合、被牽引車のパーキングブレーキが車両を保持できるか否かを決定するのは不可能である。電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムが解除されると、車両の駐車プロセスが停止され、被牽引車テスト機能が省かれ得る。
【0014】
有利には、被牽引車テスト機能の実行前に、被牽引車が牽引車に結合されているか否かがチェックされることが検討される。この関連において、被牽引車が牽引車に結合されていることの確認は、被牽引車が牽引車に結合されているか否かを検出することができない状態も含み得る。なぜなら、このケースでは、たとえ結合が検出できなくても被牽引車が牽引車に結合されていることを排除することができないからである。このケースでは、被牽引車テスト機能の実行は、安全上の理由から妥当である。被牽引車テスト機能を省くことは、車両を安全に駐車するのに必要な時間を短くするのに寄与し得る。これによって、車両の運転者に対する快適性が改善され得る。
【0015】
さらに、被牽引車テスト機能が実施されている、または、実施されるべきであることを示す音響信号および/または視覚信号を生成することが検討可能である。このようにして、運転者に、車両駐車時に被牽引車テスト機能が開始されなければならないこと、または、被牽引車テスト機能が現在、実行されていることが伝えられる。これによって運転者は手動で、被牽引車テスト機能の実行を開始および/または中断および/または管理することができる。音響信号は例えば、アラーム音またはメロディーであってよい。視覚信号は、例えば、信号灯の状態の変化または搭載コンピュータのディスプレイ上に書き込まれたメッセージであってよい。音響信号および/または視覚信号は、例えば、車両の運転者キャビン内で受け取られるように、生成され得る。
【0016】
さらに、車速を検出し、検出されたこの車速に基づいて、被牽引車テスト機能の実行が成功したか否かを確かめることが可能である。車速は、被牽引車テスト機能の実行、特に、被牽引車テスト機能の正常終了を監視するための容易に検出可能な、客観的なパラメータとして使用可能である。特に、被牽引車テスト機能の開始時および被牽引車テスト機能の終了時には車両が停止している、すなわち、被牽引車テスト機能の開始時および終了時には車速がゼロであるという事実は、基準として使用され得る。車速は、例えば、回転速度センサを用いて検出され得る。回転速度センサが既に、例えば、車両の常用ブレーキのアンチロック・ブレーキ・システムの一部として設けられていてもよい。
【0017】
被牽引車テスト機能の自動実行が少なくとも1つの手動入力のための待機を含むことが可能である。この方法を実施している間、特に被牽引車テスト機能の実施の前および被牽引車テスト機能の実施中の手動入力は、例えば、被牽引車テスト機能の変更を容易にすることができる。このコンテキストにおいて、用語「待機」は特に、この方法が所定の状態に留まり、必要な手動入力のために待機することを意味し得る。この方法の実施は、手動入力が実施された場合にのみ継続される。
【0018】
この関連において、少なくとも1つの手動入力が、被牽引車テスト機能の正常実行の確認通知を含んでいることが可能である。このようにして、運転者による被牽引車テスト機能の実行の意識的な監視を行うことができる。特に、被牽引車テスト機能の正常実行の確認通知は、車両が、被牽引車テスト機能の実行の間および終了時に停止していることの確認通知を含む。
【0019】
有利には、少なくとも1つの手動入力が、被牽引車テスト機能が実行されるべきであることの確認通知を含むことも可能である。このようにして、例えば、被牽引車テスト機能の実行およびまたは最初の開始が自動化されている場合に、運転者による被牽引車テスト機能の実行の意識的な認知が保証される。
【0020】
有利には、以下の条件の少なくとも1つが生じた場合または存在している場合に、被牽引車テスト機能の実行を中断することが検討され得る。すなわち、
・車速が測定できない
・常用ブレーキの状態が確定できない
・ギアの状態が確定できない
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムが制限されたモードにある
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムのシフト圧力に達していない
・被牽引車テスト機能の実行に、所定の最長時間よりも長く時間がかかる
【0021】
上述した条件の各々は、他の条件とは無関係に、被牽引車テスト機能の適正/正常な実行を阻止し得る。上述した条件の各々は、例えば、エラーの結果として生じたものであり得る。制限されたモードとは、付加的に、メンテナンスの結果であり得る。例えば、車速が測定できない場合には、被牽引車テスト機能の結果は全く確定不可能である。電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの供給圧力が過度に低い場合、および/または、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムのシフト圧力/操作圧力に達していない場合、被牽引車テスト機能の実行の間、被牽引車が実際にブレーキ解除されていることが保証されない。被牽引車テスト機能の実行に、所定の最長時間よりも長く時間がかかる場合、被牽引車テスト機能の実際の実行は、駐車時に、運転者にとって受け入れ可能なものではない。なぜなら、被牽引車テスト機能の実行を強制することによって、駐車に不相応に時間がかかってしまうからである。この最長時間は、例えば、工場で事前にセットされるまたは駐車時に検出可能なパラメータに基づいて動的に決められる/修正される。この使用可能な測定パラメータは、特に、スロープ上での車両の位置に相関する車両の傾斜角と車両の積載量とを含み得る。これら両方のパラメータは、必要な最長時間に影響を与え得る。
【0022】
さらに、被牽引車テスト機能の中断後に、この方法の再開を阻止することが可能である。このようにして、被牽引車テストを自動実行すること無く、車両を配置することが可能になる。車速を検出するためのセンサが作動しない故障時には、被牽引車テスト機能の再開を阻止することは有用である。
【0023】
さらに、この方法が終了する前に被牽引車の被牽引車ブレーキを作動させることが可能である。この方法の終了は、特に、被牽引車テスト機能の適正な実行に従ったこの方法の完了並びにこの方法の終了を含み得る。被牽引車ブレーキをかけることによって、車両は、被牽引車テストの間に与えられた操作状態に対立して、安全な操作状態に移行され得る。この関連において、特に車両のパーキングブレーキシステムによって制御可能な被牽引車のブレーキは、被牽引車ブレーキとしてみなされ、少なくとも一時的に、被牽引車テスト機能の実行中に解除される。
【0024】
本発明を次に、有利な実施形態を用いて、および、添付図面を参照して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】被牽引車テスト機能を実行する方法のフローチャート
図2】電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの回路図の例
図3】車両の概略図
【実施例】
【0026】
以下で、同じ参照番号は同じ部分または同等の部分を示している。以下に示されるイベント、状態、および同等の状況は、車両内に設けられたセンサによって定期的に検出され得る。
【0027】
図1は、被牽引車テスト機能を実行する方法のフローチャートを示している。図1で示された方法102は、方法の開始に続いて、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム内の被牽引車テスト機能を少なくとも部分的に自主的に実行することができる。この方法102は、例えば、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの制御装置によって実施可能である。ここでこの制御装置は、方法102を実施するように設計され得る。図1に示されたこの方法102は、例えばステップ200から始まる。ステップ200から始まって、ステップ202において、被牽引車テスト機能を用いて被牽引車テストが実行されるべきか否かがチェックされる。被牽引車テストの自動的な実行が、例えば、手動で、車両のパーキングブレーキシステムを作動させることによって、または、パーキングブレーキシステムを作動させるための他のプロセスによって開始されてもよい。被牽引車テストが実行されるべきでない場合(ステップ202における「いいえ」)には、この方法102は自主的に、ステップ200において再開可能である。このようにして、方法102は、実行されるべきか否かを自動的にモニターすることができる。被牽引車テストが実行されるべき場合(ステップ202における「はい」)、このプロセスはステップ204に続く。ステップ204では、パーキングブレーキ、すなわち車両のパーキングブレーキシステムが解除されているかまたは作動されているかがチェックされる。パーキングブレーキシステムが解除されている場合(ステップ204における「いいえ」)、このプロセスはステップ208へと続く。ステップ208では例えば、信号が出力される。この信号は、車両の運転者に、被牽引車テストの実行が不可能であることを知らせる。この信号は、例えば、音響的および/または視覚的であってよく、特にアラーム音、信号灯の状態の変化、および/または、車両室内の搭載コンピュータのディスプレイ上に書き込まれたメッセージであってよい。ステップ208から始まって、方法102は、ステップ200で自主的に再開可能である。運転中、特に車両の停止前に運転者が偶然にまたは意図的に手動で被牽引車テスト機能の実行を開始した場合に、パーキングブレーキシステムは解除され得る。パーキングブレーキシステムの作動時(ステップ204における「はい」)に、このプロセスは、ステップ206に続く。ステップ206では、車両が停止しているか否かがチェックされる。例えばセンサの故障によって、車両が停止しているか否かが検出可能でない場合には、安全上の理由で、車両は動いていると想定される。車両が停止していない場合(ステップ206における「いいえ」)、プロセスはステップ210に続く。ステップ210では、例えば、車両の運転者に信号が出力され、被牽引車テスト機能の実行が不可能である、または、成功しないことが伝えられる。この信号は、例えば、音響的および/または視覚的であってよく、特にアラーム音、信号灯の状態の変化、および/または、車両室内の搭載コンピュータのディスプレイ上に書き込まれたメッセージであってよい。ステップ210から始まって、この方法がステップ200で再開してよい。車両の運転者がパーキングブレーキを例えば、完全停止前に低いままの速度でパーキングブレーキを作動させた場合には、パーキングブレーキシステムの作動にもかかわらずステップ206において車両が停止していないことがある。このような場合には、被牽引車テストの実行は可能でないことがある。なぜなら、被牽引車テストの間、特に被牽引車テストの開始時に、車両は停止していなければならないからである。しかし、走行中にパーキングブレーキシステムを作動させることによって、車両を減速させる制動力が生成され、これによって、ステップ210における再開時に、車両が停止状態になっている場合には、被牽引車テスト機能を後から実行することが可能であり得る。牽引車のパーキングブレーキシステムが、車両を固定するのに充分な制動力を発揮していない場合には、被牽引車テストの実行中に車両が動き始めることもある。この場合、被牽引車テスト機能は正常に実行されていない。パーキングブレーキシステムを作動させているのにもかかわらず車両が動きだしてしまう場合には、ステップ210において、車両の常用ブレーキを付加的に作動させることが可能である。これによって車両はできるだけ迅速に停止される。常用ブレーキの作動は、常用ブレーキの制御装置への対応する要求によって実現される。択一的に、常用ブレーキの制御装置の迂回時に、常用ブレーキを直接的に作動させるようにパーキングブレーキシステムの制御装置が設計されていてもよい。
【0028】
車両が停止している場合(ステップ206における「はい」)には、このプロセスは、ステップ212に続く。ステップ212では、車両の常用ブレーキが作動されているか否かがチェックされ得る。車両の常用ブレーキが作動されている場合(ステップ212における「はい」)、このプロセスはステップ208に続く。従って常用ブレーキの作動は、被牽引車テスト機能の実行を中断する、または、本発明を中断するために使用される。常用ブレーキが解除されている場合、牽引車のパーキングブレーキシステムだけで、車両全体を固定することができるか否かがチェックされる。常用ブレーキが解除されている場合(ステップ212における「いいえ」)、被牽引車ブレーキはステップ214で解除される。被牽引車ブレーキは、特に、パーキングブレーキシステムによって制御可能な被牽引車のブレーキシリンダーであり得る。従って被牽引車ブレーキの解除は、被牽引車のパーキングブレーキの解除の一部であり得る。従って被牽引車は制動されない。なぜなら、ステップ212において既に、常用ブレーキも解除されていることが確認されているからである。従って、ステップ214の実行から、停止状態にある車両は、牽引車のパーキングブレーキシステムのみによって固定される。所定の時間間隔の開始点(この時間間隔の終了は、被牽引車テスト機能の終了を定める)で、被牽引車ブレーキを解除することができる。この時間間隔の長さは、例えば、工場で事前に設定可能である、および/または、測定可能なパラメータに基づいて動的に決定/調整可能である。特に、車両の傾斜および/または車両の重量/積載量が測定可能なパラメータとして使用可能である。運転者には、音響的におよび/または視覚的に、予め設定可能な時間間隔の終了が、例えば車両室内の搭載コンピュータのディスプレイ上の関連する光学的な表示および/または音響的な言語出力を用いて知らされる。方法102は、その後、ステップ216に続く。ステップ216において、次のことがチェックされる。すなわち、被牽引車テスト機能が中断されるべきかまたは終了されるべきか否かがチェックされる。被牽引車テスト機能の中断/終了は、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が発生している場合に実行され得る:すなわち、
・常用ブレーキが作動している
・車両速度が測定できない
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの供給圧力が過度に低い
・電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムのシフト圧力に達していない
・被牽引車テスト機能の実行に、所定の最長時間よりも長く時間がかかる
【0029】
被牽引車テスト機能が中断/終了されるべきでない場合(ステップ216における「いいえ」)、このプロセスは、ステップ220に続く。ステップ220では、被牽引車テストが完了したか否かがチェックされる。これは例えば、所定の時間間隔を用いて確認される。この時間間隔は、ステップ214における被牽引車ブレーキの解除後に終了したはずであり、従って、被牽引車テストは完了されている。テストがまだ完了されていない場合(ステップ220における「いいえ」)、このプロセスはステップ206に続く。このステップでは、車両が停止しているか否かが再チェックされる。テストが完了されている場合(ステップ220における「はい」)、被牽引車テストが正常に終了したことを示す信号が、ステップ222において出力される。この信号は、例えば、音響的および/または視覚的であってよく、特に信号音、信号灯の状態の変化、および/または、車両室内の搭載コンピュータのディスプレイ上に書き込まれたメッセージであってよい。この方法102はその後、ステップ224で完了する。方法102の完了前に、被牽引車ブレーキを再作動させてもよく、これによって、不所望な動き出しに対して車両をより確実に固定することができる。ステップ216において、被牽引車テストが中断される/終了されるべきであることが決定された場合(ステップ216における「はい」)には、このプロセスはステップ218に続く。ステップ218では、被牽引車ブレーキが最初に再作動され、これによって車両を、被牽引車テストの実行中の以前の操作状態と比べて高いブレーキング効果を特徴とする操作状態に移行させる。このプロセスは、次にステップ210に続く。ここでは、被牽引車テスト機能の実行が不可能である、または、成功しないことを示す信号が出力される。
【0030】
図2は、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステムの回路図の例を示している。図示された、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100は、逆止弁10を介して圧縮空気処理システム(図示されていない)に接続される。それを通して圧縮空気が電磁式供給弁14に供給される選択的なフィルターユニット12がこの逆止弁10に続く。ここでこの電磁式供給弁は、2/2方向制御弁として設計されている。制御弁装置22の第1の動作接合部20は、供給線路部分16と選択的な絞り18とを介して電磁式供給弁14の出力側に接続される。制御弁装置22は、空気制御式3/2方向制御弁として設計可能である。制御弁装置22の第2の動作接合部24は、被牽引車制御モジュール30の制御入力側26に接続される。これは被牽引車結合部の供給用接合部34および制御用接合部36を操作可能である。被牽引車制御分岐線42、44は、セレクトローバルブの入力側に接続される。セレクトローバルブの出力側は、制御弁装置22の制御入力側50に、制御線路48を介して接続され。従って、セレクトローバルブ46は、自身の出力側で、制御線路48内に、低い方の入力圧力、すなわち2つの被牽引車制御分岐線42、44からの圧力の低い方の圧力が加えられるように操作し得る。制御線路48は、さらに、リレー制御線路52とシャトル弁54とを介してリレー弁58のリレー制御入力側56に接続される。リレー弁58には、電磁式供給弁14の上流位置から圧縮空気がリレー供給線路60を介して供給され得る。リレー出力側線路62は、分岐線64、66につながる。これらの分岐線には、スプリング式ブレーキシリンダー(図示されていない)が接続可能である。さらに、常用ブレーキ線路68がシャトル弁54に接続される。制御および排出弁装置72のポート74は、制御弁装置22のベントポート70に接続可能である。制御および排出弁装置72の別のポート76には、フィルターユニット12と電磁式供給弁14との間の位置から圧縮空気が供給され得る。さらに、2/2方向制御弁として設計されている電磁式排出弁78が設けられ、これは、供給線路部分16と接続されている。さらに、制御弁装置22の第2の動作接合部24並びにリレー出力側線路62での圧力を検出する圧力センサ80、82が設けられる。圧力センサ80は、例えば、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100のシフト圧力を測定する。電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100の供給圧力は例えば、逆止弁10とフィルターユニット12との間の圧力センサ(図示されていない)によって検出される。
【0031】
図2に示されている、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100は、さらに、第1の制御装置(この図には示されていない)と、手動の操作装置(これも図示されていない)も含み得る。操作装置は、インタフェースを介して第1の制御装置と接続可能である。操作装置は、パーキングブレーキシステム100の手動での解除および作動、並びに、被牽引車テスト機能の実行の手動での開始用に設計されている。
【0032】
図3は、車両の概略図を示している。図3は、牽引車106と被牽引車108とを含む車両104の概略図を示している。車両104は、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100と常用ブレーキ110とを含む。ここでこの電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100は、第1の制御装置112と電気的に操作可能なバルブアレイ114とを含んでいる。ここでこの電気的に操作可能なバルブアレイ114は、第1の制御装置112によって制御可能である。電気的に操作可能なバルブアレイ114は、例えば、図2に示されている回路図と結合される、または、この回路図と関係する。電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100は、空気線路120を介して、少なくとも1つのホイールブレーキ124と結合される。ここでこのホイールブレーキ124は、牽引車106の少なくとも1つの軸上にある。さらに、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100は、空気線路120を介して、空気式被牽引車結合部122と接続可能である。ニューマチック被牽引車結合部122は、被牽引車制御モジュール30または制御用接合部36と結合可能である。同様に、常用ブレーキ110は、第2の制御装置116とバルブアレイ118とを含む。さらに常用ブレーキ110は、空気線路120を介して、少なくとも1つのホイールブレーキ124および空気式被牽引車結合部122とも接続可能である。この関連において、当業者には、空気線路120が常用ブレーキ110と電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100と、空気式被牽引車結合部122と、ホイールブレーキ124との間の空気の結合のみを示すことが自明である。なぜなら、例えば、少なくとも1つのホイールブレーキ124の領域内に配置されたコンビネーションシリンダーは、2つの独立したエアコネクションを、常用ブレーキ110とパーキングブレーキシステムに対して含んでいるからである。これらは独立して、電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム100と常用ブレーキ110に結合されている。
【0033】
被牽引車108は、被牽引車結合部122に空気で結合され得る。ここで空気制御圧力は、被牽引車108の少なくとも1つの被牽引車ホイールブレーキ128に、少なくとも1つの空気線路126を介して伝達される。少なくとも1つの被牽引車ホイールブレーキ128に関して、少なくともある程度、コンビネーションシリンダーを設けることもできる。従って、少なくとも1つの空気線路126は、簡略的に、牽引車106の空気線路120と同様に、現存する結合を表し得る。
【0034】
これまでの説明、図面並びに特許請求の範囲において開示された本発明の特徴は、個々に並びにあらゆる組み合わせにおいて、本発明を実現するのに重要である。
【符号の説明】
【0035】
10 逆止弁、 12 フィルターユニット、 14 電磁式供給弁、 16 供給線路部分、 18 絞り、 20 第1の動作接合部、 22 制御弁装置、 24 第2の動作接合部、 26 制御入力側、 30 被牽引車制御モジュール、 34 供給用接合部、 36 制御用接合部、 42 被牽引車制御分岐線、 44 被牽引車制御分岐線、 46 セレクトローバルブ、 48 制御線路、 50 制御入力側、 52 リレー制御線路、 54 シャトル弁、 56 リレー制御入力側、 58 リレー弁、 60 リレー供給線路、 62 リレー出力側線路、 64 分岐線、 66 分岐線、 68 常用ブレーキ線路、 70 ベントポート、 72 制御および排出弁装置、 74 コネクション、 76 コネクション、 78 電磁式排出弁、 80 圧力センサ、 82 圧力センサ、 100 電気的に操作可能なパーキングブレーキシステム、 102 方法、 104 車両、 106 牽引車、 108 被牽引車、 110 常用ブレーキ、 112 第1の制御装置、 114 電気的に操作可能なバルブアレイ、 116 第2の制御装置、 118 バルブアレイ、 120 空気線路、 122 被牽引車結合部、 124 ホイールブレーキ、 126 空気線路、 128 被牽引車ホイールブレーキ、 200 開始、 202 被牽引車テストが実施されるべきか、 204 パーキングブレーキが解除されているか、または、作動されているか、 206 車両が停止しているか、 208 テストの実行が不可能である、 210 テストの実行が不可能である、または、成功しない、 212 常用ブレーキが作動されているか、 214 被牽引車ブレーキの解除、 216 中断されるべきか、 218 被牽引車ブレーキの作動、 220 テストが完了したか、 222 テストが正常に終了した、 224 終了
図1
図2
図3