特許第6351610号(P6351610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351610
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】封止熱絶縁タンク壁の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20060101AFI20180625BHJP
   B63B 9/06 20060101ALI20180625BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20180625BHJP
   B63B 9/00 20060101ALI20180625BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   B65D90/02 B
   B63B9/06 L
   B63B25/16 F
   B63B9/00 B
   F17C3/04 E
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-542339(P2015-542339)
(86)(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-503368(P2016-503368A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】FR2013052737
(87)【国際公開番号】WO2014076424
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】1260942
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトン ブリュノ
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0011155(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1022860(KR,B1)
【文献】 特表2008−503702(JP,A)
【文献】 米国特許第03782581(US,A)
【文献】 特開平05−157653(JP,A)
【文献】 特開昭62−269032(JP,A)
【文献】 特開平07−196075(JP,A)
【文献】 特開2001−158395(JP,A)
【文献】 米国特許第04335831(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/02
B63B 9/00
B63B 9/06
B63B 25/16
F17C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱絶縁層と封止バリアを連続的に重ね合わせることによって支持壁(1)に取り付けられた封止熱絶縁タンク壁の製造方法であって、
前記製造方法は、
熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)前記支持壁(1)に固定するステップと、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)を覆う封止カバーを所定の位置に設置するステップと、
閉空間(32)の液密性をチェックするステップと、からなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)は、規則的なパターンに従って並置された平行6面体状の熱絶縁要素のアセンブリで構成され、
前記封止カバーを所定の位置に設置するステップは、
封止バリア要素(15)を前記支持壁(1)と平行になるように前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)に重ねることで前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)上に位置決めして前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)を覆うステップと、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)の全輪郭に沿って、側面仕切り要素を前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)の周りの所定の位置に設置するステップと、からなり、
前記側面仕切り要素はクロージャチーク(140)からなり、前記クロージャチーク(140)は、前記支持壁(1)と協働するための一次被覆領域(141)と、前記支持壁(1)に垂直に延在する仕切り板と、前記封止バリア要素(15)の境界板(147)上に配置された二次被覆領域(142)からなり、
前記クロージャチーク(140)が、封止態様で前記封止バリア要素(15)を前記支持壁(1)に接続することで、前記封止バリア要素(15)と前記支持壁(1)との間に前記密閉空間(32)を形成し、
前記クロージャチーク(140)の前記二次被覆領域(142)は、前記二次被覆領域(142)に沿った長手方向に規則的に分配されたボルト(143)によって前記封止バリア要素(15)の境界板(147)に対して設置され、
前記二次被覆領域(142)と記封止バリア要素(15)の前記境界板(147)との間の液密性を確保するために、一次可撓性封止材(144)が前記二次被覆領域(142)と前記封止バリア要素(15)の前記境界板(147)との間に配置され、
前記クロージャチーク(140)の前記一次被覆領域(141)は、スタッド(145)によって前記支持壁(1)に固定され、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)の液密性を確保するために、二次可撓性封止材(144)が前記一次被覆領域(141)と前記支持壁(1)との間に配置されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)は二次熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)であり、前記封止カバーは二次封止カバーであり、前記封止バリア要素(15)は二次封止バリア要素であり、前記密閉空間(32)は二次密閉空間であって、
前記二次密閉空間の液密性をチェックするステップの後に、さらに、
規則的なパターンに従って並置された平行6面体状の熱絶縁要素のアセンブリで構成された一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)を前記第二封止バリア要素上に設置するステップと、
一次封止カバーを所定の位置に設置して、前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)を覆うステップと、
ガスを密閉空間に注入して過圧状態を形成することによって、一次密閉空間(45)の液密性をチェックするステップと、からなり、
前記一次封止カバーを所定の位置に設置するステップが、
一次封止バリア要素を前記一次絶縁バリアアブアセンブリ(36)の上に位置付けて、前記一次絶縁バリアサブアセンブリを覆うステップであって、前記一次封止バリア要素が前記支持壁と平行になるように、前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)に重ね合わされるステップと、
一次側面仕切り要素を前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)の全輪郭に沿って前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)の周りの所定の位置に設置するステップと、からなり、
前記一次側面仕切り要素のそれぞれが、前記第封止バリア要素と直交して延在する一次仕切りプレートからなり、
前記一次側面仕切り要素が前記一次封止バリア要素を封止態様で第封止カバーと接続して、前記一次封止バリア要素と前記第封止カバーの間に前記一次密閉空間(45)を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記クロージャチーク(140)の形状は、前記二次熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)と前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)の境界に完全に合致し、前記一次密閉空間(45)と二次密閉空間(32)の液密性を単一の取り付け動作で確保するために、前記二次熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)の周りと前記一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)の周りとに側面仕切り要素を同時に形成することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
密閉空間の液密性をチェックするステップが、
検出可能な試験ガスを前記密閉空間(32,45,51,56)に注入して、前記密閉空間内に過圧状態を生成するステップと、
前記密閉空間(32,45,51,56)の外側で前記検出可能な試験ガスを検出するステップと、からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
液密性のチェック中に、前記密閉空間に注入される前記試験ガスが、ヘリウム又はアンモニアであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
側面仕切り要素を着脱自在に前記封止バリア要素(15)と前記支持壁に固定するステップも備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
記支持壁(1)が、角度を形成する第一パネルと第二パネルとからなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)が、第一熱絶縁バリアユニットと第二熱絶縁バリアユニットからなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)を支持壁に固定するステップが、
前記第一熱絶縁バリアユニットを前記支持壁(1)の前記第一パネルに固定するステップと、
前記第二熱絶縁バリアユニットを前記支持壁(1)の前記第二パネルに固定するステップと、
前記封止バリアを前記第一プレート及び前記第二プレートと一体化した固定プレートに固定されたカプラーで固定するステップと、からなり、
前記封止バリア要素(15)が前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)に位置付けられて、前記第一熱絶縁バリアユニットと前記第二熱絶縁バリアユニットを覆い、
前記固定プレートが前記第一プレートと前記第二プレートの間の交差部に設置され、
前記カプラーが、前記固定プレートから前記2枚のパネルが形成する角度の二等分線上に向けられた棒を備え、
前記カプラーが、前記封止カバーを封止態様で通って前記棒上への前記封止カバーの固定を確保するスリーブも備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
封止熱絶縁タンクの製造方法であって、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を実施することで、2つのプレハブブロックを製造するステップと、
前記2つのプレハブブロックの組み立てられた支持壁の接続部(13)の領域で、前記2つのプレハブブロックのサブアセンブリを分離する空間(110)を形成するように、前記2つのプレハブブロックの支持壁を組み立てるステップと、
前記接続部(13)の領域で前記封止バリアと2つの隣接するプレハブブロックのサブアセンブリの絶縁バリアとを接続するステップと、からなり、
前記プレハブブロックがそれぞれ前記支持壁と前記支持壁に取り付けられた封止熱絶縁タンク壁とを備え、
前記接続するステップが、
第二絶縁バリアサブアセンブリを前記2つの支持壁の前記接続部(13)の領域にある第一密閉空間(32,45)に対して並置するステップと、
前記支持壁と平行で、前記第二絶縁バリアサブアセンブリを覆う第二封止バリア要素を前記第二絶縁バリアサブアセンブリ(46,47,53,54)の所定の位置に設置するステップと、
前記第二封止バリア要素を前記2つの隣接するプレハブブロックのそれぞれの封止カバーの側面仕切り要素(19,20,17,38,37)に接続して、前記2つの隣接するブロックのそれぞれの前記第一密閉空間(32,45)に隣接し、前記側面仕切り要素(19,20,17,38,37)によって前記第一密閉空間(32,45)から切り離された第二密閉空間(51,56)を形成するステップと、
前記2つの隣接するブロックのそれぞれの前記第一密閉空間(32,45)を前記第二密閉空間(51,56)と流体連結するステップと、からなり、
前記第二絶縁バリアサブアセンブリが、前記2つの隣接するブロックの前記2つの絶縁バリアサブアセンブリの前記側面仕切り要素の間の所定の位置に設置された熱絶縁要素(46,47)を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
前記第一密閉空間(32,45)を第二密閉空間(51,56)と流体連結するステップが、側面仕切り要素の前記第一密閉空間(32,45)と前記第二密閉空間(51,56)との間に開口を設けるステップからなることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記開口を設けるステップの前に、前記第二密閉空間(51)の液密性をチェックするステップも備えていることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第二密閉空間の液密性が、前記第二封止バリア要素に設けられたオリフィス(52,57)を通してチェックされ、
前記開口が前記オリフィス(52,57)を通して掘削によって設けられることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記開口を設けるステップが、前記第二封止バリア要素(62)と前記第二絶縁バリアサブアセンブリを通して前記側面仕切り要素(19,20,17)を掘削するステップからなることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記開口が、前記側面仕切り要素の突出した空洞部(33,42)に設けられ、前記突出した空洞部が前記第一絶縁バリアサブアセンブリ(16)と反対方向に延在し、前記第一密閉空間(32,45)に向かって開口していることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第一密閉空間を前記第二密閉空間と流体連結するステップが、前記支持壁の外側に配置された流体回路を導入するステップからなり、
前記流体回路が、前記第一密閉空間と連絡するために前記支持壁(1)を通して開口する第一連結パイプと、前記第二密閉空間と連絡するために前記支持壁を通して開口する第二連結パイプと、からなることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項15】
各密閉空間に対して直角に前記支持壁の掘削を実行するステップと、
各密閉空間を前記支持壁の外側に設置された流体回路と接続するために、前記連結パイプをそれぞれ各ボアの所定の位置に設置するステップと、をさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
記側面仕切り要素(19,20,17,38,37)を所定の位置に設置するステップが、境界プレート(17,37)を前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)に固定するステップからなり、
前記境界プレートは前記封止カバーの境界を形成し、
記側面仕切り要素が所定の位置に設置されると、前記封止バリア要素(15)は封止態様で前記境界プレートと接続され、
前記第二封止バリア要素が前記側面仕切り要素(19,20,17,38,37)と接続されている間、前記第二封止バリア要素は封止態様で前記境界プレートと接続されることを特徴とする請求項8ないし15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記支持壁の接続領域で、2つの隣接するブロックのサブアセンブリの前記一次封止バリアと前記一次絶縁層とを接続するステップをさらに備え、
前記接続するステップが、
第二の一次絶縁バリアサブアセンブリを一次密閉空間(45)に対して並置するステップと、
第二の一次封止バリア要素(55)を前記第二の一次絶縁バリアサブアセンブリ上の所定の位置に設置するステップと、
前記第二の一次封止バリア要素(55)を2つの前記プレハブブロックのそれぞれの一次封止カバーの一次側面仕切り要素(37,38)と接続して、2つの前記プレハブブロックのそれぞれの前記一次密閉空間(45)に隣接しながら、前記一次側面仕切り要素によって前記一次密閉空間(45)と切り離される第二の一次密閉空間(56)を形成するステップと、
2つの前記プレハブブロックのそれぞれの前記一次密閉空間(45)と前記第二の一次密閉空間(56)の間の一次仕切り要素内に開口を提供するステップと、からなり、
前記第二の一次絶縁バリアサブアセンブリは、2つの隣接する前記ブロックの2つの前記一次絶縁バリアサブアセンブリの前記一次仕切り要素間の所定の位置に設置された一次熱絶縁要素(53,54)からなり、
前記第二の一次封止バリア要素(55)は前記支持壁と平行で、前記第二の一次絶縁バリアサブアセンブリ(53,54)を覆うことを特徴とする請求項2と組み合わせた請求項8ないし16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記一次仕切り要素内に開口を提供するステップの前に、第二の一次密閉空間(56)の液密性をチェックするステップをさらに備えていることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記封止バリアが起伏のあるメンブレンからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項20】
封止熱絶縁タンクであって、
支持壁と、
熱絶縁層と封止バリアを連続的に重ね合わせることによって前記支持壁に取り付けられた封止熱絶縁タンク壁と、
絶縁バリアサブアセンブリ(16)を覆う封止カバーと、からなり、
前記タンク壁が、前記支持壁(1)に設置された前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)からなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)が、一定のパターンに従って並置された平行六面体状の熱絶縁要素のアセンブリで構成され、
前記封止カバーが、
前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)に設置され、前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)を覆う封止バリア要素(15)と、
前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)の全輪郭に沿って前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)周りに設けられた側面仕切り要素と、からなり、
前記封止バリア要素(15)が、前記支持壁と平行になるように前記絶縁バリアサブアセンブリ(16)に重ね合わされ、
前記側面仕切り要素のそれぞれがクロージャチーク(140)からなり、前記クロージャチーク(140)は、前記支持壁(1)と協働するための一次被覆領域(141)と、前記支持壁と直交して延在する仕切りプレートと、前記封止バリア要素(15)の境界板上に配置された二次被覆領域(142)と、からなり、
前記クロージャチーク(140)が、前記封止バリア要素(15)を封止態様で前記支持壁(1)と接続して、第一密封空間(32)を前記封止バリア要素(15)と前記支持壁(1)との間に形成し、
前記クロージャチーク(140)の前記二次被覆領域(142)は、前記二次被覆領域(142)に沿った長手方向に規則的に分配されたボルト(143)によって前記封止バリア要素(15)の境界板(147)に対して設置され、
可撓性封止材(144)が前記二次被覆領域(142)と前記封止バリア要素(15)の前記境界板(147)との間に配置されてこれらの間の液密性を確保し、
前記クロージャチーク(140)の前記一次被覆領域(141)は、スタッド(145)によって前記支持壁(1)に固定され、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)の液密性を確保するために、可撓性封止材(144)が前記一次被覆領域(141)と前記支持壁(1)との間に配置されることを特徴とする封止熱絶縁タンク
【請求項21】
前記熱絶縁バリアサブアセンブリ(16)は二次絶縁バリアサブアセンブリであり、
前記クロージャチークの形状は、前記二次絶縁バリアサブアセンブリと一次絶縁バリアサブアセンブリ(36)の境界に完全に合致し、一次密閉空間と二次密閉空間の液密性を単一の取り付け動作で確保するために、前記二次絶縁バリアサブアセンブリの周りと前記一次絶縁バリアサブアセンブリの周りとに側面仕切り要素を同時に形成することを特徴とする請求項20に記載の封止熱絶縁タンク。
【請求項22】
前記封止バリアが起伏のあるメンブレンからなることを特徴とする請求項20又は21に記載の封止熱絶縁タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止熱絶縁タンクの製造分野に関する。特に本発明は、例えば海上で液化ガスの貯蔵及び/又は輸送のためのタンクのような、低温又は高温液体を貯蔵又は輸送するために設計されたタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の封止熱絶縁タンクは、エネルギー分野、特に浮遊構造の船内タンクで大気圧下で約−163℃の液化天然ガス(LNG)を貯蔵するために用いることができる。
【0003】
例えば、仏国特許発明第2798358号明細書には、船の船殻に一体化された貯蔵タンクが記載されており、その壁はタンクの厚さ方向の内側から外側に向かって連続的に、一次封止バリア、一次絶縁バリア、二次封止バリア、及び二次絶縁バリアで構成されている。絶縁バリアは、熱絶縁ライニングからなる熱絶縁要素を並置して構成されている。
【0004】
極低温タンクの壁も仏国特許発明第2780767号明細書から既知である。
【0005】
1つの実施例によれば、本発明は、封止熱絶縁タンク壁の製造方法を提供し、この製造方法は、
熱絶縁バリアサブアセンブリを前記タンクの支持壁に固定するステップと、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリを覆う封止カバーを所定の位置に設置するステップと、
密閉空間の液密性をチェックするステップと、からなり、
前記封止カバーを所定の位置に設置するステップは、
封止バリア要素を前記支持壁と平行になるように前記熱絶縁バリアサブアセンブリ上に位置決めして前記熱絶縁バリアサブアセンブリを覆うステップと、
側面仕切り要素を前記熱絶縁バリアサブアセンブリの周りの所定の位置に設置し、封止態様で前記封止バリア要素を前記支持壁に接続することで、前記封止バリア要素と前記支持壁との間に前記密閉空間を形成するステップと、からなる。
【0006】
幾つかの実施例によれば、この種のタンクは以下の特徴の1つ以上を備えることができる。
【0007】
幾つかの実施例によれば、この製造方法は、
第二絶縁バリアサブアセンブリを前記支持壁の第一密閉空間に対して並置するステップと、
前記支持壁と平行で、前記第二絶縁バリアサブアセンブリを覆う第二封止バリア要素を前記第二絶縁バリアサブアセンブリの所定の位置に設置するステップと、
前記第二封止バリア要素を第一封止カバーの側面仕切り要素に接続して、前記第一密閉空間に隣接し、前記側面仕切り要素によって前記第一密閉空間から切り離された第二密閉空間を形成するステップと、
前記第一密閉空間を前記第二密閉空間と流体連結するステップと、からなる。
【0008】
幾つかの実施例によれば、この製造方法は、前記開口を設けるステップの前に、前記第二密閉空間の液密性をチェックするステップも備えている。
【0009】
幾つかの実施例によれば、前記第二密閉空間の液密性が、前記第二封止バリア要素に設けられたオリフィスを通してチェックされ、前記開口が前記オリフィスを通して掘削によって設けられる。
【0010】
幾つかの実施例によれば、前記第一密閉空間を第二密閉空間と流体連結するステップが、側面仕切り要素の前記第一密閉空間と前記第二密閉空間との間に開口を設けるステップからなる。
【0011】
幾つかの実施例によれば、前記開口を設けるステップが、前記第二封止バリア要素と前記第二絶縁バリアサブアセンブリを通して前記側面仕切り要素を掘削するステップからなる。
【0012】
幾つかの実施例によれば、前記開口が、前記仕切り要素の突出した空洞部に設けられ、前記突出した部分が前記第一絶縁バリアサブアセンブリと反対方向に延在し、前記第一密閉空間に向かって開口している。
【0013】
幾つかの実施例によれば、前記第一密閉空間を前記第二密閉空間と流体連結するステップが、前記支持壁の外側に配置された流体回路を導入するステップからなり、
前記流体回路が、前記第一密閉空間と連絡するために前記支持壁を通して開口する第一連結パイプと、前記第二密閉空間と連絡するために前記支持壁を通して開口する第二連結パイプと、からなる。
【0014】
幾つかの実施例によれば、前記流体連結するステップが、
各密閉空間に対して直角に前記支持壁の掘削を実行するステップと、
各密閉空間を前記支持壁の外側に設置された流体回路と接続するために、前記連結パイプをそれぞれ各ボアの所定の位置に設置するステップと、をさらに備えている。
【0015】
幾つかの実施例によれば、前記側面仕切り要素を所定の位置に設置するステップが、
前記側面仕切り要素のプレートを封止態様で、前記支持壁と、前記第一封止バリアアセンブリとに接続するステップからなり、
前記プレートは前記支持壁に垂直に延在している。
【0016】
幾つかの実施例によれば、前記側面仕切り要素を所定の位置に設置するステップが、縁プレートを前記第一熱絶縁バリアサブアセンブリに固定するステップからなり、
前記縁プレートは前記封止カバーの境界を形成し、
前記側面仕切り要素が所定の位置に設置されると、前記第一封止バリア要素は封止態様で前記境界プレートと接続され、
前記第二封止バリア要素が前記側面仕切り要素と接続されている間、前記第二封止バリア要素は封止態様で前記境界プレートと接続される。
【0017】
前記境界プレートと前記封止バリア要素とは、溶接、接着、ボルト締め等によって接続される。
【0018】
幾つかの実施例によれば、前記密閉空間の液密性をチェックするステップの後に、さらに、
一次絶縁バリアサブアセンブリを前記第一封止バリア要素上に設置するステップと、
一次封止カバーを所定の位置に設置して、前記一次絶縁バリアサブアセンブリを覆うステップと、
前記一次密閉空間の液密性をチェックするステップと、からなり、
前記一次封止カバーを所定の位置に設置するステップが、
一次封止バリア要素を前記支持壁と平行になるように、前記一次絶縁バリアアブアセンブリの上に位置付けて、前記一次絶縁バリアサブアセンブリを覆うステップと、
一次側面仕切り要素を前記一次絶縁張バリアサブアセンブリの周りの所定の位置に設置し、前記一次封止バリア要素を封止態様で第一封止カバーと接続して、前記一次封止バリア要素と前記第一封止カバーの間に前記一次密閉空間(45)を形成するステップと、からなる。
【0019】
幾つかの実施例によれば、この製造方法はさらに、
第二の一次絶縁バリアサブアセンブリを第一の一次密閉空間に対して並置するステップと、
第二の一次封止バリア要素を前記第二の一次絶縁バリアサブアセンブリ上の所定の位置に設置するステップと、
前記第二の一次封止バリア要素を第一の一次封止カバーの一次側面仕切り要素と接続して、前記第一の一次密閉空間に隣接しながら、前記一次側面仕切り要素によって前記第一の一次密閉空間と切り離される第二の一次密閉空間を形成するステップと、
前記第一の一次密閉空間と前記第二の一次密閉空間の間の一次仕切り要素内に開口を提供するステップと、も備え、
前記第二の一次封止バリア要素は前記支持壁と平行で、前記第二の一次絶縁バリアサブアセンブリを覆う。
【0020】
幾つかの実施例によれば、この製造方法は、前記一次仕切り要素内に開口を提供するステップの前に、第二の一次密閉空間の液密性をチェックするステップをさらに備えている。
【0021】
幾つかの実施例によれば、密閉空間の液密性をチェックするステップが、
検出可能な試験ガスを前記密閉空間に注入して、前記密閉空間内に過圧状態を生成するステップと、
前記密閉空間の外側で前記検出可能な試験ガスを検出するステップと、からなる。
【0022】
幾つかの実施例によれば、液密性のチェック中に、前記密閉空間に注入される前記試験ガスが、ヘリウム又はアンモニアである。
【0023】
幾つかの実施例によれば、この製造方法は、側面仕切り要素を着脱自在に前記封止バリア要素と前記支持壁に固定するステップも備えている。
【0024】
幾つかの実施例によれば、前記ブロックの前記支持壁が、角度を形成する第一パネルと第二パネルとからなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリが、第一熱絶縁バリアユニットと第二熱絶縁バリアユニットからなり、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリを支持壁に固定するステップが、
前記第一熱絶縁バリアユニットを前記支持壁の前記第一パネルに固定するステップと、
前記第二熱絶縁バリアユニットを前記支持壁の前記第二パネルに固定するステップと、
前記封止バリアを前記第一プレート及び前記第二プレートと一体化した固定プレートに固定されたカプラーで固定するステップと、からなり、
前記封止バリア要素が前記絶縁バリアサブアセンブリに位置付けられて、前記第一熱絶縁バリアユニットと前記第二熱絶縁バリアユニットを覆い、
前記固定プレートが前記第一プレートと前記第二プレートの間の交差部に設置され、
前記カプラーが、前記固定プレートから前記2枚のパネルが形成する角度の二等分線上に向けられた棒を備え、
前記カプラーが、前記封止カバーを封止態様で通って前記棒上への前記封止カバーの固定を確保するスリーブも備えている。
【0025】
1つの実施例によれば、封止熱絶縁タンク壁は、
支持壁と、
前記タンク壁の前記支持壁に設置された熱絶縁バリアサブアセンブリと、
前記熱絶縁バリアサブアセンブリを覆う封止カバーと、からなり、
前記封止カバーが、
前記支持壁と平行になるように前記絶縁バリアサブアセンブリに設置され、前記絶縁バリアサブアセンブリを覆う封止バリア要素と、
前記絶縁バリアサブアセンブリ周りに設けられ、前記絶縁バリア要素を封止態様で前記支持壁と結合させて、前記封止バリア要素と前記支持壁の間に第一密閉空間を形成する側面仕切り要素と、
前記支持壁上の前記第一密閉空間に対して並置された第二絶縁バリアサブアセンブリと、
前記第二絶縁バリアサブアセンブリ上に設けられた第二封止バリア要素と、
前記第一密閉空間を第二密閉空間と流体連結させる流体連結手段と、からなり、
前記第二封止バリア要素は前記支持壁と平行で、前記第二絶縁バリアサブアセンブリを覆い、前記第二封止バリア要素は第一封止カバーの側面仕切り要素と接続して、前記第一密閉空間と隣接し前記側面仕切り要素によって前記第一密閉空間から切り離された前記第二密閉空間を形成する。
【0026】
このようなタンク壁で形成されたタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成し、又は浮遊の沿岸又は沖合の構造体、特に液化天然ガス運搬船、浮体式貯蔵・再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)等に据え付けられる。
【0027】
1つの実施例によれば、低温液体製品を輸送するための船は、二重船殻と、二重船殻内に設置された上述のようなタンクからなる。
【0028】
1つの実施例によれば、本発明は、低温液体製品が浮遊の又は陸上の貯蔵設備から船のタンクへ、又は船のタンクから貯蔵設備へ、絶縁配管を通して搬送されることを特徴とする、この種の船への積み込み又は積み下ろしの方法も提供する。
【0029】
1つの実施例によれば、本発明は、低温液体製品の輸送システムも提供し、このシステムは上述の船と、この船に保持されるように据え付けられたタンクと浮遊の又は陸上の貯蔵設備とを接続するように配置された絶縁配管と、低温液体製品をこの絶縁配管を通して船のタンクから浮遊の又は陸上の貯蔵設備へ、又は貯蔵設備から船のタンクへ流すポンプと、からなる。
【0030】
1つの実施例によれば、本発明は、第一金属部分を第二金属部分に自動的に溶接するためのレールに乗った装置も提供し、この2つの金属部分は直線溶接されるように配置され、レールと平行な溶接方向を有し、この装置は、
ランニングトレッド(running tread)からなるガイドレールと、
車輪によって前記ガイドレールに保持される台車と、からなり、
前記車輪は、前記台車を前記レールと平行に前進させるために、前記レールの前記ランニングスレッドと協働可能で、
前記台車は溶接トーチを備え、前記溶接トーチは前記2つの金属部分の間の前記レールと平行な方向に溶接を実行可能で、
前記台車は、前記溶接トーチと平行な方向を向いた圧力アームも備え、前記圧力アームは前記第一金属部分から前記第二金属部分へ圧力を加えることができるようになっている。
【0031】
1つの実施例によれば、前記圧力アームは、前記第一金属部分と接触する端部に、前記第一金属部分を前記第二金属部分に取り付ける設置ローラを備えている。
【0032】
1つの実施例によれば、前記圧力アームは、アームを延ばしたり引っ込めたりできる、アームの長さの調節手段も備えている。
【0033】
1つの実施例によれば、前記ローラは前記第一金属部分と前記溶接トーチの間の間隔を維持するように設計されている。
【0034】
1つの実施例によれば、前記圧力アームは、前記レールと平行な軸の周りに間接で繋がっている。
【0035】
1つの実施例によれば、前記ガイドレールはラック(rack)も備え、前記台車は第二車輪も備え、第二車輪は前記台車を前記レール上で駆動するために前記レールの前記ラックと協働可能な歯を有している。
【0036】
1つの実施例によれば、前記台車は前記ガイドレール上の前記車輪によって浮いている。
【0037】
本発明の基礎となった概念は、複数のタンク壁アセンブリからモジュール方式で製造された封止熱絶縁タンクを提供することであって、密閉空間を形成するために封止態様で支持構造と接続される封止メンブレン(membrane)部分を用いてサブアセンブリを製造することにより、その液密性はそれぞれのタンク壁アセンブリで独立に有効である。
【0038】
本発明の幾つかの特徴は、複数のタンク壁サブアセンブリを互いにアセンブルする前に、個々のタンク壁アセンブリの完全な液密性を可能にし、その一方でこれらのサブアセンブリを互いにアセンブルした後に、異なるサブアセンブリの絶縁バリア間のコミュニケーションを許容するという概念に基づいている。
【0039】
本発明の幾つかの特徴は、封止バリア接続要素によってタンク壁サブアセンブリを接続し、個々のサブアセンブリの液密性とは独立に、接続部分の液密性をチェックするという概念に基づいている。
【0040】
以下の一連の記載と多数の本発明の具体的な実施例を通して、本発明はより良く理解され、さらに本発明の詳細な特徴、長所がより明らかになるであろう。これらは、添付の図面と共に単に発明を限定しない説明のために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1はタンク壁サブアセンブリの予備強化ブロックのアセンブリで製造された液化天然ガス運搬船のタンクの概略断面図であり、タンク壁サブアセンブリは連結部材によって連結されている。
図2図2はブロック上にタンク壁サブアセンブリをアセンブル中の、タンク壁サブアセンブリの封止熱絶縁二次バリアのエッジ部分の断面図である。
図3図3はブロック上にタンク壁サブアセンブリをアセンブル中の、タンク壁サブアセンブリの二次封止熱絶縁バリアのエッジ部分の断面図である。
図4図4図3の二次封止熱絶縁バリアの上に一次封止熱絶縁バリアをアセンブル中の、タンク壁サブアセンブリのエッジ部分の断面図である。
図5図5図3の二次封止熱絶縁バリアの上に一次封止熱絶縁バリアをアセンブル中の、タンク壁サブアセンブリのエッジ部分の断面図である。
図6図6は液化天然ガス運搬船のタンクの2つの予備強化ブロックの連結領域を示す図である。
図7図7図6の領域VIIの拡大図であって、表面の均一性を復元するように設計されたケーソン(caisson)で覆われている。
図8図8図5のサブアセンブリが二次封止熱絶縁連結バリア要素と連結した時の、図5のサブアセンブリのエッジ部分を示す図である。
図9図9図8に示すサブアセンブリの一次封止熱絶縁連結要素と連結した時の、図8のサブアセンブリのエッジ部分を示す図である。
図10図10図8に示すサブアセンブリの一次封止熱絶縁連結要素と連結した時の、図8のサブアセンブリのエッジ部分を示す図である。
図11図11は液化天然ガス運搬船とこのタンクへの積み込み/積み降ろしターミナルの部分断面概略図である。
図12図12はタンク壁サブアセンブリの予備強化ブロックのアセンブリで製造された液化天然ガス運搬船のタンクの概略断面図であり、流体収集回路を備えている。
図13図13は流体収集回路を備えたタンクの角度領域を示す図である。
図14図14はブロック上でアセンブル中のタンク壁サブアセンブリの二次封止熱絶縁バリアのエッジ部分の断面図である。
図15図15は予備強化ブロックの二面角の角度部分に配置されたカプラーを備えた予備強化ブロックの図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1に例えば液化天然ガス(LNG)のような低温流体を貯蔵するために設計された船のタンクの断面図を示す。この種のタンクは船の支持構造に固定された壁で構成されている。特に、この場合、支持構造は二重船殻の内部船殻で構成され、この内部船殻の壁を参照符号1で示す。
【0043】
支持構造の各壁の上には、二次絶縁層2、二次封止バリア3、一次絶縁層4、及び一次封止バリア5を連続的に重ね合わせることによってタンクの対応する壁が設けられている。支持構造の壁の上の二次絶縁層の熱絶縁要素の固定は、例えばスタッドと熱絶縁要素の内側縁(rim)の協働によって、又はカプラーと熱絶縁要素の協働によって、又は接着やその他の適切な手段によって行われる。
【0044】
一次絶縁層4と二次絶縁層2は、規則的なパターンに従って並置された熱絶縁要素で構成されている。具体的には、熱絶縁要素は略平行六面体状のケーソンである。一次熱絶縁要素と二次熱絶縁要素はこのように、それぞれ一次封止バリア5と二次封止バリア3とを支持する略平面状の絶縁層を形成する。
【0045】
船の構造、特に船の二重船殻の製造は、大型のプレハブブロック6のアセンブリによって行われる。このプレハブブロック6は、特に、配管と設備の一部を予め含めることができる。例えば図1において、船の横断面図に係る支持構造は、4つのプレハブブロック6によって提供されている。より具体的には、タンクは上部面取り面60と下部面取り面61を有する部分を備える。ダブルブリッジブロック7とダブルベースブロック8は、端部9のところで2つの側面ブロック10とともにアセンブルされる。ダブルブリッジブロック7の端部は、上部面取り面60の中間点に位置している。ダブルベースブロック8の端部は、下部面取り面61の中間点に位置している。船内の2つの隣接するタンクを仕切る支持構造の要素に対応する囲い(cofferdam)も、ダブルブリッジブロック7、ダブルベースブロック8、及び側面ブロック10で形成される周辺部に接続されるプレハブブロックで構成されている。各プレハブブロック6は、それぞれアセンブルされてプレハブブロック6を形成する複数のサブブロック11で構成されている。
【0046】
プレハブブロック6を互いにアセンブルする前に、タンク壁の一部をブロック6上で予備強化することができる。この目的のために、船を形成するための乾ドック内でブロック6を互いにアセンブルする前に、タンク壁サブアセンブリ12がブロック6の内壁1に取り付けられる。ブロック6へのタンク壁サブアセンブリ12の予備取り付けは、例えば作業場における平坦な領域や岸壁での作業を許容することによって、絶縁及び封止バリアの製造を容易にすることができる。加えて、ブロック6の予備強化は、封止熱絶縁タンクのアセンブリの間に、タンクに必要な足場材料の量を低減することができる。
【0047】
しかし、乾ドック内でのアセンブリ工程の間に、特に溶接でブロック6を互いにアセンブルすることを許容するために、タンク壁サブアセンブリはブロック6の端部9の範囲までは延在しない。内部船殻1のおよそ1メートル幅の接続部13の領域は、ブロック6を互いにアセンブルする前は、絶縁封止バリアで覆われていない。従って、ブロック6のアセンブル後、隣接するプレハブブロック6のサブアセンブリ12の封止バリアと絶縁層は、隣接するサブアセンブリ12の間に設置された熱絶縁接続要素によって、及び隣接するサブアセンブリ12の封止バリア3,5に封止態様で溶接された封止バリア接続要素14を設置することによって、接続される。このように、タンク壁サブアセンブリによるブロックの予備強化は、この段階で接続領域のみ設置する必要があるので、タンク壁製造のための岸壁や乾ドックでの強化作業に従事する時間を削減することができる。
【0048】
ブロック6上のサブアセンブリ12の予備アセンブリの間に、サブアセンブリ12の二次封止バリア3は、支持構造1に封止空間を形成するように取り付けられ、次に封止空間の液密性を試験する。一次バリア5が次に第二封止空間を形成するように取り付けられ、次に第二封止空間を試験する。このようにして、各ブロックのタンク壁サブアセンブリ12の液密性は、ブロック6のアセンブリ前に確認することができる。従って、各ブロックは独立して試験されるので、試験時間の観点から、効率的かつ経済的に液密性の確認ができ、タンク製造中に液密性が喪失する危険性を制限する。加えて、万一二次封止バリア3からリークが検出された場合には、一次バリア要素5を取り外す必要なしに、サブアセンブリ12に属する各封止バリア3,5の液密性を独立して確認することができる。
【0049】
続いて、サブアセンブリ12は接続メンブレンによって接続することができる。従って、サブアセンブリ12の液密性は予め確認済みなので、液密性は主に接続部13の領域の上でチェックできる。
【0050】
しかし、一次及び二次絶縁層内の不活性ガスの循環を許容するために、隣接するブロックの一次絶縁層の封止空間の間と、隣接するブロックの二次絶縁層の封止空間の間とに、開口が設けられている。
【0051】
図2ないし10は、図1の領域II−IIに位置するタンク壁アセンブリ12の製造方法の各ステップと、それに続く、接続要素によるサブアセンブリ12の隣接するサブアセンブリ12との接続の各ステップとを示している。
【0052】
図10に示すように、図1の一次封止バリア5と二次封止バリア3は、インバー(登録商標)の外板(strake)15からなる金属製メンブレンの形状で存在し、同様にインバー(登録商標)からなり伸長した溶接支持部と交互に配置された高くした端部(raised edge)18と平行である。より具体的には、溶接支持部は二次絶縁層2又は一次絶縁層4からタンク壁と垂直に突出し、それぞれ二次絶縁層2又は一次絶縁層4の下層で保持される。例えば、溶接支持部は二次絶縁層2又は一次絶縁層4の熱絶縁ケーソンカバーパネルに設けられた逆T字状の溝に収容される。外板15の高くした端部18は、溶接支持部に沿って溶接される。この種の高くした端部を有する外板を備えた封止バリアは、具体的には仏国特許発明第2798358号明細書に記載されている。
【0053】
船の構造のプレハブブロック6の予備強化中の、サブアセンブリ12の一次封止バリア5と二次封止バリア3を製造するステップやこれらの液密性をチェックするステップは、図2ないし5に示す。
【0054】
実際に、図2は二次絶縁層上に二次封止バリア3をアセンブルする間の、サブアセンブリ12の端部を示している。この目的のために、サブアセンブリ12に対応するケーソン16のアセンブリがダブルベースブロック8の支持壁1に固定される。各ケーソンは合板(plywood)からなるカバーパネル(図示せず)を備えている。インバー(登録商標)製の1mm厚の境界プレート17がケーソンカバーパネル16のエッジにねじ止めによって固定されて、サブアセンブリ12のエッジ部から延在して境界を形成する。次にインバー(登録商標)製の外板15が溶接支持部の間に設置され、外板15の高くした端部18が溶接支持部に溶接される。次にインバー(登録商標)製の外板15が境界プレート17に溶接によって固定される。スチール製山形鋼(angle iron)19とインバー(登録商標)製の0.7mm厚の二次仕切りプレート20が、支持壁1と垂直でサブアセンブリ12の境界の下に設置される。二次仕切りプレート20は、二次封止バリア3と平行で二次封止バリア3の下で延在する翼部(wing)を有している。
【0055】
刻み付き車輪(knurling wheel)を備えた溶接装置22は、二次仕切りプレート20を封止態様で二次封止バリア3に接続できる。図2に示すように、溶接装置22はフレーム24上の境界プレートの高さに取り付けられたレール23を備える。フレーム24は支持壁1に支持された磁性スタッド(stud)26を備えた伸縮式の足によって支持壁に固定される。刻み付き車輪を備えた溶接機は、レール23の端部に支持された車輪27によってレール23に沿って移動できる。片側で、レール23は車輪27の1つと協働する歯付きラック(rack)を備えている。この車輪27は歯付きで、ラックと係合することによって、台車がレールに沿って駆動できるようになっている。刻み付き車輪を備えた溶接機41は、略U字状の本体28を有し、その内側に境界プレート17が延在する。刻み付き車輪29は、U字の両端部に位置付けられて、2つの刻み付き車輪29は重ね合され、二次封止バリア3の境界プレートと二次仕切りプレート20の翼部21によって切り離される。2つの刻み付き車輪は、境界プレート17と翼部21との溶接をするための電極であって、刻み付き車輪を備えた溶接機41は、レール23に沿って境界プレートに追従できる。このように、刻み付き車輪を備えた溶接装置22は、全境界に沿って境界プレート17と二次仕切りプレート20の間の封止溶接の形成を可能にしている。
【0056】
図3に二次仕切りプレート20と支持壁1の間に液密性を形成するステップを示す。この目的のために、山形鋼19が封止態様で二次仕切りプレート20と支持壁1の両方に溶接される。この溶接は、ガイドレール23上の刻み付き車輪を備えた溶接機4と置き換えられたトーチホルダ台車30によって実行される。2本の溶接トーチがそれぞれ台車30から山形鋼19の端部まで延在し、それぞれ山形鋼19と支持壁1の間、及び山形鋼19と仕切りプレート20の間に溶接ビードを生成する。2本の溶接トーチ31の間に、台車30は台車30上の軸95によって一端が保持されたアーム94も備えている。この軸95は、ガイドレールによる移動方向と直交する面上でのある程度の自由をアーム94に与えている。アーム94の他端では、アーム94は山形鋼19と鋭角に接触する押さえローラ96を支持する。このアーム94は、山形鋼19を支持壁1と二次仕切りプレート20に対して同時に当接させるために用いられる。また、山形鋼19と溶接トーチ31のヘッド部の間を一定間隔に維持するためにも用いられる。この動作は、生成される溶接の品質を保証することに貢献する。アーム94の押さえローラ96の山形鋼19に加える押さえ圧力を大きくするために、アーム94には図示しないバネジャッキを組み込む。押さえローラ96は、台車30の前進を妨げないのに適した形状であって、鋭角93の領域内で山形鋼93と接触して協働するのに適した形状を有する。押さえローラ96の外側ランニングスレッド(running thread)は、一方で山形鋼19と支持壁1の間に良好な圧力を確保しながら、他方で山形鋼19と二次仕切りプレートの間で良好な圧力を確保するために、例えば90度以下の角度を有することができる。
【0057】
図4に示す循環ハウジング33も、山形鋼19と溶接され、山形鋼19に設けたオリフィスで貫通する。循環ハウジング33は、ケーソン16に向かって開き、ケーソン16と反対側、即ち溶接装置側で閉じた、矩形プロファイルで構成される。循環ハウジング33は、支持壁1に支持された突起(lug)35も備える。図4では循環ハウジング33の断面は示されていないが、図9には断面が示されている。循環ハウジング33によって山形鋼19に形成されたオリフィスは、100×30mmの寸法を有し、循環ハウジング33は20m毎に設置することができる。
【0058】
境界プレート17と山形鋼19の溶接が二次封止バリア3のサブアセンブリ12の全周にわたって実行されると、支持壁1、二次仕切りプレート20、及び二次封止バリア3が二次密閉空間32を仕切る。次にガスを密閉空間32に注入して過圧状態を生成するために、二次封止バリア3にオリフィスを穴あけする。このように、リークを引き起こす溶接におけるすべての欠陥は、一次封止バリア5と一次絶縁層4をアセンブルする前に検出することができる。
【0059】
液密性は、第二密閉空間に過圧状態を生成し、特に金属製メンブレンの溶接部又は山形鋼19と境界プレート20の溶接部から漏れ出るガスを検出することで試験される。一次密閉空間又は二次密閉空間で過圧状態を生成するガスは、ヘリウムとすることができる。例えば封止バリアの形状を追従するロボットによって実行されるヘリウム検出は、次にすべてのリークを検出するために、プレハブブロックの予備強化されたタンク壁アセンブリ12の溶接部分に沿って実行される。変形例として、例えば関連するサブアセンブリの密閉空間にアンモニアを注入して、この密閉空間を過圧状態にすることもできる。検出器はメンブレンに設置され、アンモニアと接触すると活性化してリークを検出する。
【0060】
二次密閉空間32からリークが検出されなかった場合、試験流体の注入に用いたオリフィスを閉じた後に、一次絶縁層4と一次封止バリア5を二次封止バリア上に取り付けることができる。このように、一次絶縁層4の熱絶縁要素が二次封止バリア3の上に設置され、支持壁1に固定される。図4に示すように、次に一次封止バリア5は一次熱絶縁要素のアセンブリに取り付けられ、封止態様で一次エッジケーソン36のインバー(登録商標)製の問題になっている一次境界プレート37に固定される。
【0061】
垂直な一次仕切りプレート38が一次封止バリア5と二次封止バリア3の間に設置される。一次仕切りプレート38は、0.7mm厚のインバー(登録商標)で構成され、一次封止バリアから二次封止バリアまで延在する。
【0062】
各境界プレート17,37のところに、一次仕切りプレート38は対応する境界プレート17,37と平行に延在する翼部39と40を備える。このように、図2を参照して記載した溶接作業と同様に、翼部39,40は刻み付き車輪を備えた溶接機41によって溶接できる。具体的には、二次境界プレート17への翼部40の溶接は、図2の刻み付き車輪を備えた溶接装置22によって実行できる。しかし、封止バリア5は二次仕切りプレート20と一次仕切りプレート38の間にわずかにオフセットが残るように配置されるので、翼部40と翼部21の溶接は重ね合されない。従って、2つの仕切りプレート20,38の溶接は独立している。
【0063】
翼部39が仕切りプレート37に溶接される部分を図4に示す。この溶接のために、フレーム24はより大きな高さのフレーム44に置き換えられ、刻み付き車輪を備えた溶接機41の機能は同じままである。二次循環ハウジング33と同様に、図8に示す一次循環ハウジング42が一次仕切りプレート38に溶接されて、一次仕切りプレート38を貫通する。循環ハウジング42は、予備強化ブロック6のサブアセンブリ12の外側に位置する端部43で閉じている。溶接ハウジング42は仕切りプレート38の上部と溶接される。
【0064】
図5に示すように、タンク壁サブアセンブリ12の全輪郭に沿って2つの翼部39,40の液密性が形成されると、一次封止バリア5、二次封止バリア3、及び一次仕切りプレート38によって仕切られた一次密閉空間45の液密性が、二次密閉空間32で行ったのと同様の手法で試験できる。
【0065】
次にダブルベースブロック8を他のブロック6とアセンブルする。2つのブロック100,101のアセンブリを図6に示す。二次絶縁バリア106、二次封止バリア107、一次絶縁バリア108、及び一次封止バリア109を備えたブロック100と101は、それらの支持壁103に溶接されることで最初にアセンブルされる。図6の例では、ブロック100は、補強材(strengthener)として作用して床プレートの間の接続を確実にする内竜骨(keelson)112を備えている。ブロック101で表されている床プレート113は、船の底の二重船殻空間における一次横断補強材として機能する。ブロック101は、コファダム(cofferdam)として知られている中間タンク支持仕切り材114も備えている。
【0066】
ブロック100と101の支持壁103の間の接合部における寸法111を有する空間110は、この溶接作業を可能にするため、補強しないまま残している。溶接作業中、領域104のところでダブルベース壁103の変形が生じる可能性がある。このダブルベース壁103の表面の変形は、表面の均一性の相違105の原因となる。この表面の均一性の相違は、溶接ビードに沿った縁(rim)をもたらす。溶接作業後、表面の均一性の相違の程度を測定すると、例えば数十mmである。
【0067】
ブロックのアセンブルが完了すると、壁の予備強化部分のサブアセンブリ12の間の接続が、接続領域13のところで、具体的には封止メンブレン3と5の為の接続外板45によって実行される。
【0068】
この目的のために、まず第一に絶縁ケーソンを所定の位置に設置することが必要である。しかし、表面の均一性の相違105が較正された(calibrated)ケーソンの使用に問題を引き起こす。
【0069】
この問題を解決するために、図7を参照して、厚さを削減したプレハブ箱115が用いられる。これらのプレハブ箱115は、補償プレート116の支持を保証する補強材117によって、ダブルベース壁の下部又は空洞部に構成された(constituted)床に設置される。補強材117は、一般的にポリマー樹脂製の補強材である。補償プレートは木製又は高密度ポリウレタン(PU)フォーム製で、一般的にフォームの密度は200kg/m3程度である。このように、補強材117と補償プレート116の連携によって、削減した厚さの箱115とブロック100、101に予備取付けされた絶縁ケーソンの間の表面の均一性を取り戻すことができる。ひとたび二次絶縁バリアの連続性が確保されると、二次液密性の連続性を確保し、次に一次バリアを追加することが必要になる。
【0070】
この種の接続ステップを図8ないし10を参照して説明する。
【0071】
熱絶縁要素46と47は、2つの隣接するサブアセンブリ12の二次仕切り要素の間の第二絶縁層に設置される。具体的には、境界ケーソン47が境界プレート17の下に位置付けられて、境界プレートと支持壁1の間の空間を埋める。図8では、二次循環ハウジング33が断面図で表され、ハウジングの内部空間が密閉空間32と連絡しているのが見えるようになっている。境界ケーソン47と中間ケーソン46は、それぞれ溝49と48を底面に備え、それらは循環ハウジング33を収容する。加えて、中央ケーソン46はその側面に下側溝48まで延在する垂直溝50を備えている。このように、垂直溝50は循環ハウジング33からケーソン46の上面までの通風筒(funnel)を形成する。
【0072】
高くした端部を備えた外板は、溶接ビードによって二次境界プレート17と接続される。この作業は、二次密閉接続空間51を形成するために、側面ブロック10に対応する隣接したタンク壁サブアセンブリ上で対称的に実行される。次に、二次密閉接続空間51の液密性が、溝50上に設けられたオリフィスにある接続部52によってチェックされる。ガスが次に二次接続空間に注入されて、上述のリーク検出と同様の方法でリークを識別する。
【0073】
二次仕切り要素20によって区切られた異なる筐体32、51間の連絡を取るために、図9に示すように、次に循環ハウジング33がオリフィス99によって貫通する。この貫通孔形成は、接続部52と溝50を通して挿入される道具によって実行できる。次に接続部52は閉鎖ストッパによって塞がれる。この手段によって、二次筐体51、32に存在する流体は、図9の矢印98で示すように、複数の連続する筐体内を循環することができる。
【0074】
図9と10に示す一次バリア5の接続は、一次接続筐体56を設けるために、一次境界ケーソン53と一次中央ケーソン54を設置し、高くした端部を備えた外板からなる接続メンブレン55を一次境界プレート37と溶接することによって、二次バリア3の場合と同様の方法で実行される。
【0075】
この目的のために、一次ケーソン53,54はその上面に溝を備え、溝は一次循環ハウジング42を収容する。次に、一次筐体の液密性が循環ハウジング42の上に位置する接続チューブ57によって試験される。ひとたびこの液密性が確認されると、次に循環ハウジング42は接続チューブ57によって貫通される。この穿孔は、図10の開口58が示すように、一次循環ハウジング42の一方の側から他方の側まで貫通している。代替的な実施例によれば、穿孔は一次循環ハウジング42の上部のみ貫通する。次に、接続チューブ57がストッパ59で塞がれる。この様にして得られたタンク壁は、矢印97で示すように連絡する異なる区画からなる一次空間を有し、走査ガスが循環するのを可能にする。同様に、二次空間が循環ハウジング33の開口によって互いに連絡する複数の区画で構成され、走査ガスの循環を可能にしている。
【0076】
タンク壁の製造中に密閉空間を設けるように設計された上述の方法は、予備強化ブロックのアセンブリによってタンク壁を構成することに限定するものではなく、特に壁の構築段階の途中で中断することが必要なすべての種類の壁に適用できる。例えば、この種の方法は、支持構造に固定した足場を組むことによって壁の完成を妨げる場合に、タンク壁の予備製造(事前製造)に用いることができる。
【0077】
上述のタンク壁は、いわゆる高くした端部付きメンブレンからなるアーキテクチャに対応しているが、他のタンク実施例では、壁のアーキテクチャは起伏のあるメンブレンからなるアーキテクチャに対応する。この種のメンブレンは、例えば仏国特許出願公開第2936784号に記載されている。この場合、封止空間を設けるために、起伏を有する金属シート片を設置し、溶接することができる。この金属シート片の形状は、起伏の内部形状に対応して、ブロックの境界に位置するそれぞれの起伏の端部を塞ぐ。
【0078】
上述の一次と二次筐体の間の循環は、循環ハウジング33、42を貫通することで得られた。代替的に、この循環は他の手段によっても得ることができる。例えば、一次と二次筐体間の各循環は、接続ケーソンを通り、対応する封止バリアを通って、仕切りプレート20,38を斜めに貫通することによって得ることができる。加えて、二次空間と一次空間の間の連絡を許容する限り、循環ハウジングの構造は異なることができる。
【0079】
就航中には、一次と二次封止バリアのアセンブリに機械的応力が存在する。温度差によって誘発されるこれらの機械的応力は、予備強化ブロック内の2面角(dihedron)のところで除去される。図15に、全体的に部品番号150で示すカプラ(coupler)を設置することによる、これらの応力からの回復を示す。このカプラ150は、支持壁1の2枚のパネル151によって形成された角度の二等分線上に設置される。この配置は、角度の二等分線の両側に設置された液密メンブレンの熱的変動に由来する対向する力による応力を最適化できる。
【0080】
固定プレート153は、2枚のパネル151の接合点154のところで溶接される。この固定プレート153上で、ロッド156と協働するマンドレル(mandrel)155が固定される。このロッド156はその端部がマンドレル155とスリーブ157に螺入するようにねじ込まれる。マンドレル155と反対側の端部で、スリーブ156は二次液密メンブレン160が補強プレート158に貼り付くように保持する。補強プレート158は合板要素159上に支持され、合板要素159は支持壁151上の二次絶縁バリアの絶縁ケーソン161を介して保持力を戻す。スリーブ157も液密メンブレンの設置された場所での液密性を保証する。次に、図2と3に示す従来型のサブアセンブリ12に対して、液密性試験を実行できるように封止空間を得るために、仕切り要素を追加することが必要である。
【0081】
一次封止メンブレン162の保持力は、二次サブアセンブリ上で支持された場合と同じ原理によって得られる。この場合、ロッド156はマンドレルに螺入されることなく、タンクの内側に向かうスリーブ157の端部に螺入される。同様に、空間は液密である必要があり、この液密性は図4ないし8に示したブロックの一次バリアに対して記載したように続行することで有効になる。このように、2面角が最終アセンブリの準備をしたプレハブブロックに組み込まれる。
【0082】
図2と4を参照する別の実施例によれば、密閉空間32,45を得るために、境界要素が接着させることによって固定される。接着によってアセンブルされる要素は、仕切りプレート20,38、山形鋼19、支持壁1、及び境界プレート17と37である。接着は、架橋反応か熱定着による接着剤を用いて実行される。この接着は、支持壁又はメンブレンに付着され、次に加熱される熱可塑性パーツを用いても得ることができる。
【0083】
図示しない別の実施例によれば、二次バリアの仕切りプレートはU字形状を形成するために上側翼部と下側翼部を有している。上側翼部は境界プレートと接触し、下側翼部は支持壁と接触する。
【0084】
図1と同様に、図12に低温流体を貯蔵するために設計された船のタンクの断面図を示す。このタンクは、ダブルブリッジブロック7、ダブルベースブロック8、及び側面ブロック10を備えたプレハブブロック6で構成されている。このタンクは同様にプレハブ製造された上部面取り面60と下部面取り面61も備える。図1に示す特徴に加えて、予備強化には二次絶縁層2の各領域を連絡する回路の導入が含まれる。この回路は、二重船殻の内側に挿入されたダクト120で構成される。このダクト120は各プレハブブロック6に設けられた接続パイプ121を介して二次絶縁層の各領域と連絡する。この目的のために、ダクト120と接続した接続パイプ121が二次絶縁層2に向かって開放できるように、内側船殻の壁は貫通している。このようにして構成されたネットワークが、ポンプ又は真空ポンプによる、連絡した領域に収容された流体の引き上げを可能にする。また、ブースター又はコンプレッサによる、例えば連絡した領域を不活性にするために、ガスを注入することも可能である。これらの作業は、特にメンブレンの液密性を試験するために用いることができる。
【0085】
図13を参照して、横断仕切り125(コファダム)と長手方向壁126の接合部におけるタンクの山形構造(angle structure)について記載する。この構造は、支持構造135即ちコファダム125及びダブルブリッジ126と一体化した固定用平面124を備えている。二次封止バリア128が、全体的に部品番号131で示す船梁(beam)と溶接される。角の部分では、この船梁131が接続リングの一部として働き、翼部124と固定片(anchorage strip)123を介して封止バリア128が支持構造に固定されるのを可能にしている。二次封止バリア218の支持構造135への固定を確保するのに加えて、翼部124と固定片123が領域132、133、及び134の液密性を確保する。これらの領域は二次熱絶縁バリアの二次絶縁要素127を収容する。加えて、船梁131が一次熱絶縁バリアを構成する一次絶縁要素129の支持体として働き、一次封止バリア130の固定具として働く。
【0086】
ダクト120が二重船殻内の空間に挿入される。支持構造135を通る接続パイプ121によって、ダクト120は二次空間領域127に設置されたケーソンと接続される。これらの領域は、翼部124と固定片123によって区切られる。特に溶接部分の液密性試験の実行のために、ダクト120は真空ポンプ及び/又は不活性ガス源と接続される。
【0087】
領域ごとの液密性試験を可能にするために、遮断弁122が各接続パイプ121とダクト120との間に置かれている。このように、各領域132,133,134を連続して独立に真空下に置くことができる。最後に、領域132,133,134を連絡させるこの回路は、例えば窒素ガスのような流体を循環させることもできる。
【0088】
図14を参照して、別の実施例によれば、一時的に空間32を閉鎖して二次封止バリア3の液密性をチェックするために、船の構造のブロック6の予備補強の間に、サブアセンブリを隔離することができる。この目的のために、例えば鉄骨要素からなるクロージャチーク(closure cheek)140が二次封止バリアの境界上に設置される。このチーク140は、被覆領域141で支持壁1と協働でき、二次被覆領域142で二次封止バリア3と協働できる。チーク140は、二次被覆領域142に沿った長手方向に規則的に分配されたボルト143によって境界プレート147に対して設置される。この固定手段は、接続の液密性を確保可能な可撓性封止材144と連携している。
【0089】
チーク140もスタッド145によって支持壁1に固定される。被覆領域141と支持壁1の間に、例えばマスチック樹脂補強材144のような可撓性封止材144も、アセンブリの液密性のために塗布される。最後に、封止バリアの液密性を有効にするために、チーク140が過圧ガス注入に耐えるように、ボルト143とスタッド145の規則的な分配が終了する。
【0090】
ひとたび液密性がチェックされると、チーク140は取り外されて、次に接続領域の要素の連続性が図8、10に示す接続ケーソンを設置することによって仕上げられる。
【0091】
別の実施例によれば、チークの形状がサブアセンブリ12の境界に完全にマッチングすることによって、一次封止バリア5と二次封止バリア3の横方向封止を同時実行を許容する。このように、取り外し自在のチークを取り付ける単一の作業が、一次封止バリア5と二次封止バリア3で形成する空間の液密性を有効にするために必要である。ひとたびテストが完了すると、単一の取り外し作業が同様に必要である。
【0092】
上述のタンクは、異なる種類の設備に用いることができ、例えば陸上設備又は液化天然ガス運搬船のような浮遊構造に用いることができる。
【0093】
図11を参照して、液化天然ガス運搬船70の断面図が、船の二重船殻72に取り付けられた全体的に角柱状の封止絶縁タンク71を示している。タンク71の壁は、タンクに収容されたLNGと接触するように設計された一次封止バリアと、一次封止バリアと船の二重船殻との間に配置された二次封止バリアと、それぞれ一次封止バリアと二次封止バリアの間、及び二次封止バリアと二重船殻72の間、に配置された2つの熱絶縁バリアとからなる。
【0094】
既知の手法では、積み荷のLNGをタンクから、又はタンクへ移動するために、船の上部デッキに配置された積み込み/積み降ろし配管は、適切なコネクタによって沿岸又は港のターミナルと接続できる。
【0095】
図11に、積み込み/積み降ろしユニット75、海中ダクト76、及び陸上設備77からなる沿岸ターミナルの例を示す。積み込み/積み降ろしユニット75は、可動アーム74と可動アーム74を支持するタワー78からなる固定沖合設備である。可動アーム74は積み込み/積み降ろし配管73と接続可能な一束の絶縁可撓性パイプ79を支持する。指向性の可動アーム74は、すべてのサイズの液化天然ガス運搬船に適合可能である。図示しない接続ダクトがタワー78の内側から延在する。積み込み/積み降ろしユニット75が液化天然ガス運搬船70から陸上設備77への、又は陸上設備77から液化天然ガス運搬船70への積み込み/積み降ろしを可能にする。陸上設備77は、液化ガス貯蔵タンク80と、海中ダクト76によって積み込み/積み降ろしユニット75と接続された接続ダクト81とを備えている。海中ダクト76は、長距離例えば5kmにわたる積み込み/積み降ろしユニット75と陸上設備77の間の液体ガスの移動を可能にして、液化天然ガス運搬船70が積み込み/積み降ろし作業中、海岸から長距離だけ離れた所に留まるのを可能にする。
【0096】
液体ガスの移動のために必要な圧力を生成するために、船70の船上ポンプ及び/又は陸上設備77が備えるポンプ及び/又は積み込み/積み降ろしユニット75が備えるポンプが利用される。
【0097】
幾つかの具体的な実施例と関連させて本発明を説明してきたが、当然のことながらこれらに限定されるものではなく、本発明の範囲内であれば、技術的に等価なものや、それらの組み合わせも含まれる。
【0098】
「構成される(consist of)」「含む(comprise)」又は「備える(include)」の各動詞及びこれらの活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外に、他の要素又は他の工程の存在を除外するものではない。1つの要素又は1つの工程への不定冠詞(a)又は(an)の使用は、特に指定のない限り、これら要素又は工程の複数の存在を除外するものではない。
【0099】
請求項において、括弧内の参照符号は、請求項の限定を構成するものと理解してはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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