特許第6351623号(P6351623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351623
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】電子デバイスのハンドラ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20140101AFI20180625BHJP
【FI】
   G01R31/26 Z
【請求項の数】18
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-551320(P2015-551320)
(86)(22)【出願日】2013年12月3日
(86)【国際出願番号】JP2013082487
(87)【国際公開番号】WO2015083241
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003819
【氏名又は名称】株式会社ハッピージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥平
(72)【発明者】
【氏名】小泉 光雄
(72)【発明者】
【氏名】上野 聡
(72)【発明者】
【氏名】原田 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】横尾 政好
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−167474(JP,A)
【文献】 特開2009−63380(JP,A)
【文献】 特開2000−111613(JP,A)
【文献】 特開2003−294810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子デバイスを載置可能な供給及び排出用のトレイと、
複数の電子デバイスを、試験装置が有する複数のテストソケットの配置に対応する基準配置で載置可能なシフタと、
前記トレイから前記シフタに電子デバイスを移送する第1の供給用の移送機構と、
前記シフタとテストソケットとの間で電子デバイスを移送するとともにテストソケットに電子デバイスを圧接する第2の試験用の移送機構と、
前記シフタから前記トレイに電子デバイスを移送する第3の排出用の移送機構と、
前記シフタに設けられ、前記シフタに載置した電子デバイスを加熱する加熱機構とを具備し、
前記シフタは、前記トレイから移送された電子デバイスを支持する第1の供給側の支持プレートを備え、
前記第1の支持プレートは、試験装置が有するテストソケットよりも個数の多い複数の支持部を有し、それら支持部のうち所望の支持部に複数の電子デバイスを前記基準配置で支持でき、
前記加熱機構は、前記支持部に支持した電子デバイスを加熱する、
ハンドラ。
【請求項2】
前記複数の支持部は、テストソケットのピッチよりも小さいピッチで配置される、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項3】
前記加熱機構は、前記複数の支持部の全てを一様に加熱するプレート形のヒータを有する、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項4】
前記第1の移送機構は、前記トレイから取り出した複数の電子デバイスを、前記基準配置のピッチに対応するピッチで、前記複数の支持部から選択した支持部に置くことができる、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項5】
複数の電子デバイスを載置可能な供給及び排出用のトレイと、
複数の電子デバイスを、試験装置が有する複数のテストソケットの配置に対応する基準配置で載置可能なシフタと、
前記トレイから前記シフタに電子デバイスを移送する第1の供給用の移送機構と、
前記シフタとテストソケットとの間で電子デバイスを移送するとともにテストソケットに電子デバイスを圧接する第2の試験用の移送機構と、
前記シフタから前記トレイに電子デバイスを移送する第3の排出用の移送機構と、
前記シフタに設けられ、前記シフタに載置した電子デバイスを加熱する加熱機構とを具備し、
前記シフタは、前記トレイから移送された電子デバイスを支持する第1の供給側の支持プレートを備え、
前記第1の支持プレートは、試験装置が有するテストソケットよりも個数の多い複数の支持部を有し、それら支持部のうち所望の支持部に複数の電子デバイスを前記基準配置で支持でき、
前記加熱機構は、前記支持部に支持した電子デバイスを加熱する、
ハンドラであって、
前記第1の移送機構は、前記トレイから取り出した複数の電子デバイスを、前記基準配置のピッチに対応するピッチで、前記複数の支持部から選択した支持部に置くことができ、
前記第1の移送機構、前記第2の移送機構及び前記第3の移送機構の動作を制御する動作制御部を具備し、前記動作制御部は、前記基準配置の個数よりも多い電子デバイスを前記複数の支持部に置くように、前記第1の移送機構の繰り返しの移送動作を制御するとともに、前記複数の支持部に置かれた順序に実質的に対応する順序で前記基準配置の電子デバイスを前記所望の支持部からテストソケットに移送するように、前記第2の移送機構の移送動作を制御する、ハンドラ。
【請求項6】
前記第1の移送機構は、前記トレイから複数の電子デバイスを取り出す複数の把持部と、取り出した複数の電子デバイスのピッチを前記基準配置のピッチに対応させるように前記複数の把持部を相対的に変位させる変位機構とを備える、請求項4に記載のハンドラ。
【請求項7】
前記変位機構は、1つの前記把持部に対して他の全ての前記把持部を、相互間の距離が正比例するように変位させる複数のリンク機構を有する、請求項6に記載のハンドラ。
【請求項8】
前記シフタは、テストソケットから移送された電子デバイスを支持する第2の排出側の支持プレートを備え、前記第2の支持プレートは、試験装置が有するテストソケットと個数及びピッチが等しい複数の支持部を有し、それら支持部に複数の電子デバイスを前記基準配置で支持できる、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項9】
前記第3の移送機構は、前記第2の支持プレートから複数の電子デバイスを取り出す複数の把持部と、取り出した複数の電子デバイスのピッチを前記基準配置のピッチから変化させるように前記複数の把持部を相対的に変位させる変位機構とを備える、請求項8に記載のハンドラ。
【請求項10】
前記変位機構は、1つの前記把持部に対して他の全ての前記把持部を、相互間の距離が正比例するように変位させる複数のリンク機構を有する、請求項9に記載のハンドラ。
【請求項11】
前記シフタは、前記第1の移送機構が前記第1の支持プレートに電子デバイスを載せることができるとともに前記第2の移送機構が前記第2の支持プレートに電子デバイスを載せることができる第1の位置と、前記第2の移送機構が前記第1の支持プレートから電子デバイスを取り出すことができるとともに前記第3の移送機構が前記第2の支持プレートから電子デバイスを取り出すことができる第2の位置との間で移動できる、請求項8に記載のハンドラ。
【請求項12】
前記第1の支持プレートと前記第2の支持プレートとが互いに一体に連結される、請求項8に記載のハンドラ。
【請求項13】
前記加熱機構の作動と休止とを切り替えるスイッチ部をさらに具備する、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項14】
前記加熱機構が加熱する物体の温度を感知する温度センサと、前記温度センサが感知した前記温度に従って前記加熱機構の加熱動作を制御する温度制御部とをさらに具備する、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項15】
試験装置のテストソケットを挟んで互いに反対側に配置される第1の前記シフタと第2の前記シフタとを有する、請求項1に記載のハンドラ。
【請求項16】
前記第2の移送機構は、前記第1のシフタから電子デバイスを取り出し、取り出した電子デバイスをテストソケットに圧接し、圧接後の電子デバイスを前記第1のシフタに返却する第1の圧接ヘッドと、前記第2のシフタから電子デバイスを取り出し、取り出した電子デバイスをテストソケットに圧接し、圧接後の電子デバイスを前記第2のシフタに返却する第2の圧接ヘッドとを備える、請求項15に記載のハンドラ。
【請求項17】
前記第2の移送機構の動作を制御する動作制御部を具備し、前記動作制御部は、前記第1の圧接ヘッド及び前記第2の圧接ヘッドのいずれか一方による電子デバイスの取り出しから圧接に至る動作の間に、前記第1の圧接ヘッド及び前記第2の圧接ヘッドの他方による電子デバイスの圧接から返却に至る動作を行うように、前記第2の移送機構を制御する、請求項16に記載のハンドラ。
【請求項18】
前記第2の移送機構は、前記第1のシフタ及びテストソケットに対し前記第1の圧接ヘッドを昇降動作させる第1の昇降駆動部と、前記第2のシフタ及びテストソケットに対し前記第2の圧接ヘッドを昇降動作させる第2の昇降駆動部と、前記第1のシフタの上方位置とテストソケットの上方位置との間で前記第1の圧接ヘッドを水平移動させるとともに、前記第2のシフタの上方位置とテストソケットの上方位置との間で前記第2の圧接ヘッドを水平移動させる水平駆動部と、前記第1の圧接ヘッド及び前記第2の圧接ヘッドと前記水平駆動部との間で駆動力を解除可能に伝達する動力伝達部とを備える、請求項16に記載のハンドラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスのハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
ICデバイス等の電子デバイスの電気的試験を行う試験装置に対し、電子デバイスを供給及び排出する装置として、様々な種類のハンドラが知られている。例えば特許文献1は、個々に電子デバイスを把持する複数のデバイス把持部と、それらデバイス把持部のそれぞれに把持した電子デバイスの姿勢や位置の情報に基づき、デバイス把持部の位置を個別に補正する位置補正手段とを備えたハンドラを開示する。
【0003】
従来のハンドラにおいて、試験装置で電子デバイスの現実の使用環境を想定した試験を実施できるようにするために、電子デバイスを供給側貯蔵部から試験装置まで移送する間に、電子デバイスを所定温度に加熱又は冷却するデバイス温度調整機構を備えたものが知られている。例えば加熱用のデバイス温度調整機構(以下、デバイス加熱機構と称する。)としては、従来一般に、移送途中で電子デバイスをヒータに直接又は間接に接触させて昇温させるヒータ接触方式と、電子デバイスを移送するデバイス移送機構の全体を高温チャンバに通すチャンバ方式との、いずれか一方が採用されている。
【0004】
ヒータ接触方式のデバイス加熱機構を備えたハンドラでは、電子デバイスの加熱が必要な場合(すなわち高温ハンドリングを行う場合)のみ、試験装置への移送途中で電子デバイスをヒータに所定時間に渡り接触させる加熱工程を実施でき、電子デバイスの加熱が不要な場合(すなわち常温ハンドリングを行う場合)は、そのような加熱工程を省略して電子デバイスを試験装置に移送できる。すなわち、ヒータ接触方式のデバイス加熱機構を備えたハンドラは、1台で高温ハンドリングと常温ハンドリングとを選択的に実行できる。従来のこの種の高温常温両用ハンドラは、供給側貯蔵部から試験装置に至るデバイス移送経路の途中に、デバイス移送機構から独立したデバイス加熱機構として、ヒータを装備したプリヒートユニットを備え、高温ハンドリングを行う場合には、デバイス移送機構がプリヒートユニットに加熱前の電子デバイスを装填し、かつプリヒートユニットから加熱後の電子デバイスを回収して、試験装置に移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/114457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒータ接触方式のデバイス加熱機構を備えたハンドラでは、高温ハンドリングを行う場合、デバイス移送途中で電子デバイスをプリヒートユニットに対し装填/回収するための時間と、プリヒートユニットで電子デバイスを所定温度まで加熱するための時間とが必要であり、これらの時間だけ、常温ハンドリングを行う場合よりもデバイスハンドリングのサイクルタイムが長くなる。高温常温両用が可能なこの種のハンドラでは、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを短縮し、常温ハンドリングを行う際のサイクルタイムに可及的に近付けることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、複数の電子デバイスを載置可能な供給及び排出用のトレイと、複数の電子デバイスを、試験装置が有する複数のテストソケットの配置に対応する基準配置で載置可能なシフタと、トレイからシフタに電子デバイスを移送する第1の供給用の移送機構と、シフタとテストソケットとの間で電子デバイスを移送するとともにテストソケットに電子デバイスを圧接する第2の試験用の移送機構と、シフタからトレイに電子デバイスを移送する第3の排出用の移送機構と、シフタに設けられ、シフタに載置した電子デバイスを加熱する加熱機構と、を具備するハンドラである。
【発明の効果】
【0008】
一態様のハンドラによれば、電子デバイスをトレイからテストソケットに移送するためのシフタに、電子デバイスを加熱する加熱機構を備えたから、デバイス移送機構から独立したプリヒートユニットに対しデバイス移送途中で電子デバイスを装填/回収する従来のハンドラに比べて、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態によるハンドラの全体構成を概略で示す平面図である。
図2図1のハンドラの一部分を概略で示す斜視図である。
図3図1のハンドラが有するシフタを概略で示す斜視図である。
図4図3のシフタの平面図である。
図5図3のシフタの一部分を示す分解斜視図である。
図6図3の線VI−VIに沿った断面図である。
図7A図1のハンドラが有する第1の移送機構を概略で示す斜視図である。
図7B図1のハンドラが有する第1の移送機構を概略で示す斜視図である。
図8A図1のハンドラが有する第1の移送機構を概略で示す平面図である。
図8B図1のハンドラが有する第1の移送機構を概略で示す平面図である。
図9A図7A及び図8Aに対応する図で、第1の移送機構の動作を概略で示す図である。
図9B図7B及び図8Bに対応する図で、第1の移送機構の動作を概略で示す図である。
図10図1のハンドラが有する第2の移送機構を概略で示す斜視図である。
図11図1のハンドラが有する第2の移送機構を概略で示す斜視図である。
図12A】第2の移送機構の一部分を概略で示す斜視図である。
図12B】第2の移送機構の一部分を概略で示す斜視図である。
図12C】第2の移送機構の一部分を概略で示す斜視図である。
図13A】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13B】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13C】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13D】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13E】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13F】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13G】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13H】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13I】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13J】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13K】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図13L】第2の移送機構の動作を概略で示す図である。
図14】第2の実施形態によるハンドラを概略で示す平面図である。
図15図14のハンドラが有するシフタを概略で示す斜視図である。
図16図14のハンドラの一部分を概略で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、第1の実施形態によるハンドラ10の全体構成を示す。図2は、ハンドラ10の一部分を概略で示す。図3図6は、ハンドラ10の一構成要素であるシフタ12を示す。ハンドラ10は、ICデバイス、LSIデバイス等の電子デバイスの電気的試験を行う試験装置に対し、電子デバイスを供給及び排出する装置である。
【0011】
図1に平面図で示すように、ハンドラ10は、複数の電子デバイス14(図6)をそれぞれに載置可能な供給及び排出用の複数のトレイ16と、複数の電子デバイス14を、試験装置(図示せず)が有する複数のテストソケット18の配置に対応する基準配置で載置可能なシフタ12と、トレイ16からシフタ12に電子デバイス14を移送する第1の供給用の移送機構20と、シフタ12とテストソケット18との間で電子デバイス14を移送するとともにテストソケット18に電子デバイス14を圧接する第2の試験用の移送機構22(動作領域を破線で示す)と、シフタ12からトレイ16に電子デバイス14を移送する第3の排出用の移送機構24と、トレイ16、シフタ12、第1の移送機構20、第2の移送機構22及び第3の移送機構24が搭載される基台26とを備える。
【0012】
基台26は通常、ハンドラ10を設置する床面上で水平に配置され、試験装置は、基台26の下方で基台26の所定領域に重なるように床面上に設置される。基台26の所定領域には、基台26の上方から基台下方の試験装置へのアクセスを可能にする開口部28が設けられる。試験装置には、試験対象の電子デバイス14を支持して試験回路に接続するためのテストソケット18が、試験装置の能力に応じた個数だけ、所定の配置(図示実施形態では2×8の行列状配置)で装備される。それらテストソケット18は、基台26の所定領域に設けた開口部28の内側に配置される。図示実施形態では、略矩形輪郭を有する基台26の中央近傍(図で上方寄り)の領域に、開口部28が設けられている。
【0013】
基台26上の、開口部28から離れた一側縁(図で下縁)に沿った領域は、電子デバイス14の製造ライン(図示せず)とのインタフェースとなるデバイス搬入/搬出領域30を構成する。また基台26上の、開口部28を取り囲む領域は、製造ラインからデバイス搬入/搬出領域30に搬入された試験前の電子デバイス14を試験装置のテストソケット18まで移送するとともに、試験後の電子デバイス14をテストソケット18からデバイス搬入/搬出領域30まで移送するデバイス移送領域32を構成する。なお、開口部28及び各領域30、32のレイアウトは、図示構成に限定されない。
【0014】
デバイス搬入/搬出領域30には、試験前の複数の電子デバイス14を載置したトレイ16を製造ラインから搬入する搬入部34と、デバイス移送領域32で空になったトレイ16を貯留する空トレイ置場36と、試験後の電子デバイス14を載置したトレイ16を製造ラインに搬出する搬出部38とが設けられる。搬入部34、空トレイ置場36及び搬出部38は、この順番で、基台26の一側縁(図で下縁)に沿って整列して配置される。搬入部34には、デバイス搬入/搬出領域30に順次搬入された複数のトレイ16を一時的に積載するスタッカ40と、それらトレイ16をスタッカ40から1枚ずつデバイス移送領域32に送るローダコンベヤ42とが設けられる。空トレイ置場36には、デバイス移送領域32で空になったトレイ16を1枚ずつデバイス搬入/搬出領域30に送るバッファコンベヤ44と、それら複数のトレイ16を一時的に積載するスタッカ46とが設けられる。搬出部38には、試験後の電子デバイス14を載置したトレイ16を1枚ずつデバイス搬入/搬出領域30に送るアンローダコンベヤ48と、それらトレイ16を搬出前に一時的に積載するスタッカ50とが設けられる。
【0015】
デバイス移送領域32には、搬入部34のスタッカ40からローダコンベヤ42で1枚ずつ送られたトレイ16を停止して、第1の移送機構20が当該トレイ16から試験前の複数の電子デバイス14を取り出す動作を遂行する供給ステーション52と、供給ステーション52で空になったトレイ16を1枚ずつバッファコンベヤ44に移載して、バッファコンベヤ44が当該トレイ16を空トレイ置場36のスタッカ46に送る始点となるトレイ貯留ステーション54と、供給ステーション52で空になったトレイ16又は空トレイ置場36のスタッカ46からトレイ貯留ステーション54に再送されたトレイ16を1枚ずつ、停止したアンローダコンベヤ48に移載して、第3の移送機構24が当該トレイ16に試験後の複数の電子デバイス14を置く動作を遂行するとともに、アンローダコンベヤ48が当該トレイ16を搬出部38のスタッカ50に送る始点となる排出ステーション56とが設けられる。
【0016】
ハンドラ10は、供給ステーション52から空のトレイ16を1枚ずつトレイ貯留ステーション54又は排出ステーション56に移載したり、トレイ貯留ステーション54から空のトレイ16を1枚ずつ排出ステーション56に移載したりするための空トレイ移載機構58を備える。空トレイ移載機構58は、搬入部34、空トレイ置場36及び搬出部38の整列方向(図で矢印α方向)へ往復移動する可動アーム60と、可動アーム60の先端で空のトレイ16を吸着、把握等によって解放可能に把持する把持部(図示せず)とを備える。
【0017】
図示実施形態によるハンドラ10は、1つの搬入部34と、3つの空トレイ置場36と、3つの搬出部38とを備える。搬入部34、空トレイ置場36及び搬出部38のそれぞれの個数は、ハンドラ10に要求されるデバイスハンドリング能力に応じて適宜選定される。特に、複数の搬出部38を備えることにより、それら搬出部38を例えば電子デバイス14の用途に応じて区別し、個々の搬出部38から用途別の電子デバイス14を載置したトレイ16を搬出するように構成できる。この場合、例えば試験装置による電気的試験の結果に従い、テストソケット18からシフタ12に移送される電子デバイス14を機能的に分類し、第3の移送機構24が、それら分類した電子デバイス14を、用途別の搬出部38に対応する排出ステーション56に待機するトレイ16に適宜分配して排出し、個々のアンローダコンベヤ48がそれらトレイ16を対応のスタッカ50に送るように構成できる。また、試験結果やその他の要因により搬出部38には送らない電子デバイス14が生じることを考慮して、第3の移送機構24がそのような電子デバイス14をシフタ12から移送するトレイ16の置場62を、搬出部38とは別に基台26上の任意の場所に設けることもできる。
【0018】
第1の移送機構20は、デバイス移送領域32のうち、基台26の、デバイス搬入/搬出領域30とは異なる他の側縁(図1で左縁)に沿った領域で、水平な直交2軸(図1でX1軸及びY1軸)座標系の位置指令に従って移動可能な構成を有する。具体的には、第1の移送機構20は、基台26の上方に支持されるY1軸送り装置64と、Y1軸送り装置64に水平Y1軸方向へ送り動作可能に支持されるX1軸送り装置66と、X1軸送り装置66に、Y1軸に直交する水平X1軸方向へ送り動作可能に支持される移送ヘッド68とを備える。移送ヘッド68は、トレイ16から複数の電子デバイス14を取り出してシフタ12に置く複数の把持部70を有する。各把持部70は、少なくともその先端を含む部分が、移送ヘッド68上でXY平面(水平面)に直交するZ1軸(図示せず)方向へ所定距離に渡って昇降動作するように構成される。各把持部70はその先端で、1つの電子デバイス14を吸着、把握等によって解放可能に把持する。
【0019】
第1の移送機構20は、Y1軸送り装置64及びX1軸送り装置66の駆動により移送ヘッド68が基台26の上方でXY平面内を自在に水平移動するとともに、複数の把持部70が移送ヘッド68に対し鉛直方向へ昇降動作することにより、供給ステーション52に位置するトレイ16から複数の電子デバイス14を一括して取り出し、供給ステーション52の近傍に待機するシフタ12の所望箇所にそれら電子デバイス14を一括して置くことができる。なおトレイ16は、複数の電子デバイス14を、X1軸及びY1軸に平行な方向へ整列する配置で支持できる。したがって、トレイ16上の個々の電子デバイス14の位置は、第1の移送機構20が動作する直交2軸(X1軸及びY1軸)座標系の座標値で表すことができる。第1の移送機構20の詳細は後述する。
【0020】
第3の移送機構24は、デバイス移送領域32のうち、基台26の、第1の移送機構20が配置される側縁とは反対側の側縁(図1で右縁)に沿った領域で、水平な直交2軸(図1でX3軸及びY3軸)座標系の位置指令に従って移動可能な構成を有する。具体的には、第3の移送機構24は、基台26の上方に支持されるY3軸送り装置72と、Y3軸送り装置72に水平Y3軸方向へ送り動作可能に支持されるX3軸送り装置74と、X3軸送り装置74に、Y3軸に直交する水平X3軸方向へ送り動作可能に支持される移送ヘッド76とを備える。Y3軸はY1軸に平行であり、X3軸はX1軸に平行である。移送ヘッド76は、シフタ12から複数の電子デバイス14を取り出してトレイ16に置く複数の把持部78を有する。各把持部78は、少なくともその先端を含む部分が、移送ヘッド76上でXY平面(水平面)に直交するZ3軸(図示せず)方向へ所定距離に渡って昇降動作するように構成される。各把持部78はその先端で、1つの電子デバイス14を吸着、把握等によって解放可能に把持する。
【0021】
第3の移送機構24は、Y3軸送り装置72及びX3軸送り装置74の駆動により移送ヘッド76が基台26の上方でXY平面内を自在に水平移動するとともに、複数の把持部78が移送ヘッド76に対し鉛直方向へ昇降動作することにより、排出ステーション56の近傍に位置するシフタ12から複数の電子デバイス14を一括して取り出し、排出ステーション56に待機するトレイ16にそれら電子デバイス14を一括して置くことができる。なおトレイ16は、複数の電子デバイス14を、X3軸及びY3軸に平行な方向へ整列する配置で支持できる。したがって、トレイ16上の個々の電子デバイス14の位置は、第3の移送機構24が動作する直交2軸(X3軸及びY3軸)座標系の座標値で表すことができる。第3の移送機構24の詳細は後述する。
【0022】
図2は、ハンドラ10の一部分であって、シフタ12、テストソケット18及び第2の移送機構22を含む部分を概略で示す。図示のように、第2の移送機構22は、デバイス移送領域32のうち、基台26の開口部28の上方で、水平な1軸及び鉛直な2軸(図2でY2軸、Z2a軸及びZ2b軸)の位置指令に従って移動可能な構成を有する。具体的には、第2の移送機構22は、基台26に支持されるY2軸送り装置80と、Y2軸送り装置80の駆動により水平Y2軸方向へ送り動作する一方で、Z2a軸送り装置(図示せず)の駆動によりY2軸に直交する鉛直Z2a軸方向へ送り動作する第1の圧接ヘッド82と、Y2軸送り装置80の駆動により水平Y2軸方向へ送り動作する一方で、Z2b軸送り装置(図示せず)の駆動によりY2軸に直交する鉛直Z2b軸方向へ送り動作する第2の圧接ヘッド84とを備える。Y2軸はY1軸及びY3軸に平行である。Z2a軸及びZ2b軸は、互いに平行であるとともにZ1軸及びZ3軸に平行である。
【0023】
第2の移送機構22は、第1及び第2の圧接ヘッド82、84の各々が、Y2軸送り装置80の駆動により基台26の上方でY2軸方向へ水平移動するとともに、Z2a軸送り装置又はZ2b軸送り装置の駆動によりシフタ12又はテストソケット18に対し昇降動作することにより、シフタ12から所定個数の電子デバイス14を取り出し、取り出した電子デバイス14をテストソケット18に装填して所定の押圧力で圧接し、圧接後の電子デバイス14をテストソケット18から回収してシフタ12に返却することができる。第2の移送機構22の詳細は後述する。
【0024】
図1に示すように、ハンドラ10は、第1の移送機構20、第2の移送機構22及び第3の移送機構24の上記した動作を制御する動作制御部86を備える。動作制御部86は、ローダコンベヤ42、バッファコンベヤ44、アンローダコンベヤ48及び空トレイ移載機構58の動作を制御することもできる。動作制御部86はまた、オペレータが用いる操作パネルやディスプレイを備えることができる。動作制御部86の制御下でのデバイスハンドリング動作の詳細は後述する。
【0025】
図1に示すように、ハンドラ10は、試験装置のテストソケット18を挟んで互いに反対側に配置される第1のシフタ12Aと第2のシフタ12Bとを有する。第1のシフタ12Aは、デバイス移送領域32のうち、基台26の開口部28の図1で下側に配置され、第2のシフタ12Bは、デバイス移送領域32のうち、基台26の開口部28の図1で上側に配置される。第1のシフタ12Aと第2のシフタ12Bとは互いに実質的に同一の構成を有し、これらを本明細書でシフタ12と総称する場合もある。
【0026】
第1及び第2のシフタ12A、12Bの各々は、トレイ16から移送された電子デバイス14を支持する第1の供給側の支持プレート88と、テストソケット18から移送された電子デバイス14を支持する第2の排出側の支持プレート90とを備える。各シフタ12は、第1の移送機構20が第1の支持プレート88に電子デバイス14を載せることができるとともに第2の移送機構22が第2の支持プレート90に電子デバイス14を載せることができる第1の位置(例えば図1で第1のシフタ12Aが配置されている位置)と、第2の移送機構22が第1の支持プレート88から電子デバイス14を取り出すことができるとともに第3の移送機構24が第2の支持プレート90から電子デバイス14を取り出すことができる第2の位置(例えば図1で第2のシフタ12Bが配置されている位置)との間で移動できる。
【0027】
図3図6は、第1のシフタ12Aの構成を概略で示す。第2のシフタ12Bは、第1の支持プレート88と第2の支持プレート90との相対配置が異なる(図1参照)ことを除いて、第1のシフタ12Aと実質的に同一の構成を有する。以下、図1及び図3図6を参照して、第1及び第2のシフタ12A、12Bの構成を、シフタ12と総称して説明する。
【0028】
シフタ12は、略L字状の輪郭を有する基板92を備え、基板92の上面92aの所定位置に、略矩形輪郭の第1の支持プレート88と、第1の支持プレート88よりも小さな略矩形輪郭の第2の支持プレート90とが、互いに隣接する配置で固定される。したがってこの実施形態では、第1の支持プレート88と第2の支持プレート90とは、基板92によって互いに一体に連結される。
【0029】
シフタ12は、基台26の表面26aに沿って、水平な1軸(X2軸)の位置指令に従って移動可能な構成を有する。具体的には、基板92は、シフタ12を第1の位置と第2の位置との間で往復移動させるX2軸送り装置94に連結される。X2軸送り装置94は、互いに離間した一対のプーリ96の間に無端状に架設されるベルト98と、基台26に支持されて一方のプーリ96に接続される電動機等の動力源100と、基台26の上面26aに沿って直線状に延設される互いに平行な一対のリニアガイド102とを有する。ベルト98は、動力伝達可能に基板92に連結され、基板92は、一対のリニアガイド102に装着される。シフタ12は、動力源100の出力軸の正逆回転に伴い、第1及び第2の支持プレート88、90が一体となって、第1の位置と第2の位置との間でX1軸及びX3軸に平行なX2軸方向へ、一対のリニアガイド102の案内の下で往復移動する。
【0030】
上記構成において、プーリ96及びベルト98の代わりに、スプロケット及びチェーン等の他の動力伝達機構を用いることもできる。また、第1及び第2の支持プレート88、90の少なくとも一方を基板92に着脱可能に取り付けて、支持プレート88、90を別の支持プレートに適宜交換可能な構成とすることもできる(図6に交換を可能にするためのボルト104及び位置決めピン106を示す)。また、第1の支持プレート88と第2の支持プレート90とを互いに別体の基板にそれぞれ取り付けて、それら基板をX2軸送り装置94により同期して駆動する構成とすることもできる。
【0031】
第1の支持プレート88は、それぞれに電子デバイス14を1個ずつ支持する複数の支持部108を有する。それら支持部108は、いずれも同一の寸法及び輪郭形状を有し、シフタ12の移動方向(X2軸)に平行な方向と直交する方向とのそれぞれに等間隔に整列して配置される。したがって個々の支持部108の位置(或いはシフタ12の位置)は、第1の移送機構20が動作する直交2軸(X1軸及びY1軸)座標系、第2の移送機構22が動作する水平な1軸(Y2軸)、シフタ12が動作する水平な1軸(X2軸)、並びに第3の移送機構24が動作する直交2軸(X3軸及びY3軸)座標系の、それぞれの座標値で表すことができる。
【0032】
支持部108の個数は、試験装置が有するテストソケット18の個数よりも多くなっている。また、支持部108の横ピッチP1及び縦ピッチP2は、試験装置が有するテストソケット18の横ピッチ及び縦ピッチよりもそれぞれ小さくなっている。ここで「ピッチ」とは、隣り合う支持部108の互いに位置的に対応する箇所同士の最短距離を意味する。第1の支持プレート88は、複数の支持部108のうちの所望の支持部108に、複数の電子デバイス14を、試験装置のテストソケット18の配置(図示実施形態では2×8の行列状配置)に対応する基準配置で支持できる。ここで「基準配置」とは、テストソケット18の相対位置、個数及びピッチにそれぞれ対応する支持部108の相対位置、個数及びピッチを含む用語である。なお図示実施形態では、横ピッチP1と縦ピッチP2とは互いに同一であるが、横ピッチP1と縦ピッチP2とが互いに異なる構成とすることもできる。
【0033】
第2の支持プレート90は、それぞれに電子デバイス14を1個ずつ支持する複数の支持部110を有する。それら支持部110は、いずれも同一の寸法及び輪郭形状を有し、シフタ12の移動方向(X2軸)に平行な方向と直交する方向とのそれぞれに等間隔に整列して配置される。したがって個々の支持部110の位置(或いはシフタ12の位置)は、第1の移送機構20が動作する直交2軸(X1軸及びY1軸)座標系、第2の移送機構22が動作する水平な1軸(Y2軸)、シフタ12が動作する水平な1軸(X2軸)、並びに第3の移送機構24が動作する直交2軸(X3軸及びY3軸)座標系の、それぞれの座標値で表すことができる。
【0034】
支持部110の個数は、試験装置が有するテストソケット18の個数と等しくなっている。また、支持部110の横ピッチP3及び縦ピッチP4は、試験装置が有するテストソケット18の横ピッチ及び縦ピッチとそれぞれ等しくなっている。ここで「ピッチ」とは、隣り合う支持部110の互いに位置的に対応する箇所同士の最短距離を意味する。第2の支持プレート90は、複数の支持部110に複数の電子デバイス14を、試験装置のテストソケット18の配置(図では2×8の行列状配置)に対応する基準配置で支持できる。ここで「基準配置」とは、テストソケット18の相対位置、個数及びピッチにそれぞれ対応する支持部110の相対位置、個数及びピッチを含む用語である。なお図示実施形態では、横ピッチP3と縦ピッチP4とは互いに同一であるが、横ピッチP3と縦ピッチP4とが互いに異なる構成とすることもできる。また図示実施形態では、P3はP1の2倍であり、P4はP2の2倍であるが、P3及びP4をそれぞれP1及びP2の3以上の整数倍とすることもできる。
【0035】
ハンドラ10において、トレイ16に載置される複数の電子デバイス14の配置が、試験装置の複数のテストソケット18の配置と異なる場合、トレイ16から直接テストソケット18に電子デバイス14を移送するのでは、試験の実施効率が悪化することが懸念される。シフタ12は、トレイ16上の電子デバイス14の配置を、テストソケット18の配置に対応する基準配置に転換して支持することで、試験の実施効率を向上させるように機能する。特に、試験装置のテストソケット18の個数が比較的多い場合(例えば8個以上)、テストソケット18の近傍でシフタ12が複数の電子デバイス14を基準配置で支持するようにすれば、テストソケット18に電子デバイス14を圧接する第2の移送機構22の駆動方式を単純化でき、第2の移送機構22を高速動作させることができる。また、トレイ16からシフタ12への電子デバイス14の移送、シフタ12とテストソケット18との間の電子デバイス14の移送、及びシフタ12からトレイ16への電子デバイス14の移送を、第1の移送機構20、第2の移送機構22及び第3の移送機構24が分担して実施することで、それら移送機構20、22、24を重畳して動作させることができ、デバイスハンドリングの全体を高速化して試験の実施効率を一層向上させることができる。
【0036】
動作制御部86は、第1の移送機構20、第2の移送機構22及び第3の移送機構24の動作制御に連関して、シフタ12(第1のシフタ12A及び第2のシフタ12B)の第1の位置と第2の位置との間の往復移動を制御することができる。動作制御部86の制御下でのデバイスハンドリング動作の詳細は後述する。
【0037】
図3図5及び図6に示すように、ハンドラ10は、シフタ12(第1のシフタ12A及び第2のシフタ12B)に設けられ、シフタ12に載置した電子デバイス14を加熱するヒータ接触方式の加熱機構112を備える。加熱機構112は、シフタ12の第1の支持プレート88を加熱する一方、第2の支持プレート90を実質的に加熱しない。図示実施形態では、加熱機構112は、第1の支持プレート88と基板92との間に挟持されるプレート形のヒータ(例えばラバーヒータと称する)114を有する。ヒータ114は、第1の支持プレート88が有する複数の支持部108の全てを一様に加熱することにより、任意の支持部108に支持した電子デバイス14を間接的に加熱して所定温度に昇温させる。
【0038】
加熱機構112は、電源116及びスイッチ部117を有する加熱回路(図5)に接続される。スイッチ部117を開閉することにより、加熱機構112の作動と休止とを切り替えることができる。スイッチ部117は、オペレータが手作業で開閉することもできるし、動作制御部86がスイッチ部117を自動開閉させることもできる。ハンドラ10は、スイッチ部117を備えることにより、試験前に電子デバイス14を所定温度に加熱する高温ハンドリングと、電子デバイス14を加熱しない常温ハンドリングとを、選択的に実施することができる。
【0039】
ハンドラ10は、加熱機構112が加熱する物体の温度を感知する温度センサ118と、温度センサ118が感知した温度に従って加熱機構112の加熱動作を制御する温度制御部119とをさらに備える。図示実施形態では、温度センサ118は、ヒータ114が加熱する第1の支持プレート88の複数の支持部108の各々の温度を感知する。温度制御部119は、温度センサ118から入手した支持部108のリアルタイムの温度データを参照して、ヒータ114に付属するスイッチ回路114aを制御し、支持部108の温度を予め定めた目標温度に調節する。なお温度センサ118は、支持部108に支持した電子デバイス14の温度を感知する構成や、第1の支持プレート88が固定される基板92の温度を感知する構成としても良い。
【0040】
加熱機構112は、プレート形のヒータ114に限らず、複数の支持部108の全てを一様に加熱できることを前提として、他の様々なヒータを有することができる。或いは、個々の支持部108の中に、電子デバイス14を直接的に加熱するヒータを内蔵することもできる。また、加熱機構112の熱による影響を排除するために、シフタ12と基台26との間に遮熱板120を設置することもできる(図6)。
【0041】
ハンドラ10によるデバイスハンドリング動作を、図1図6を参照して以下に説明する。
【0042】
まず高温ハンドリングを説明する。この場合、準備作業として、第1及び第2のシフタ12A、12Bに対し、加熱回路(図5)のスイッチ部117を閉じて加熱機構112を作動させ、第1の支持プレート88を加熱する。また動作制御部86は、第1のシフタ12Aと第2のシフタ12Bとの双方を第1の位置に配置する。
【0043】
搬入部34に、電子デバイス14の製造ラインから、試験前の複数の電子デバイス14を所定配置で載置したトレイ16が搬入される。当該トレイ16は、動作制御部86の制御下で動作するローダコンベヤ42により、スタッカ40から供給ステーション52に送られる。動作制御部86は、Y1軸送り装置64及びX1軸送り装置66を制御して、第1の移送機構20の移送ヘッド68を、供給ステーション52で停止したトレイ16の鉛直上方の位置(X1−Y1座標)に位置決めする。次いで動作制御部86は、移送ヘッド68上で複数の把持部70を昇降動作させ、供給ステーション52にあるトレイ16上の複数の電子デバイス14を、それら把持部70に把持させてトレイ16から取り出させる。
【0044】
第1の位置に配置されたいずれか一方のシフタ12(例えば第1のシフタ12A)に対し、第1の移送機構20は、動作制御部86の制御下でY1軸送り装置64及びX1軸送り装置66が動作して、移送ヘッド68を、個々の把持部70が第1の支持プレート88の所望の支持部108の鉛直上方に配置される位置(X1−Y1座標)に位置決めする。次いで動作制御部86は、移送ヘッド68上で複数の把持部70を昇降動作させ、個々の把持部70に把持した電子デバイス14を、第1の支持プレート88の所望の支持部108に置かせる。
【0045】
動作制御部86は、第1の移送機構20による上記したデバイス移送動作を繰り返して実行し、搬入部34に順次搬入された複数のトレイ16から、第1の位置に配置された第1のシフタ12A及び第2のシフタ12Bの全ての支持部108に電子デバイス14を移送させる。これにより、各シフタ12の全ての支持部108は、複数の電子デバイス14を試験装置のテストソケット18の配置に対応する基準配置で支持した所望の支持部108のセットを、複数セット含むことになる。この移送動作の間、複数の電子デバイス14は、支持部108に置かれた順に、加熱機構112による加熱作用を所要の時間に渡り継続して受けて、順次、所定温度まで昇温する。
【0046】
動作制御部86は、全ての支持部108への電子デバイス14の移送が先に完了したシフタ12(例えば第1のシフタ12A)のX2軸送り装置94を制御して、当該シフタ(第1のシフタ12A)を第1の位置から第2の位置に移動させる。第2の位置に配置された第1のシフタ12Aに対し、第2の移送機構22は、動作制御部86の制御下でY2軸送り装置80及びZ2a軸送り装置が動作して、第1の圧接ヘッド82が、第1のシフタ12Aの第1の支持プレート88の所望の支持部108から、所要時間の加熱により所定温度に昇温した基準配置の複数の電子デバイス14を、加熱を開始した順に取り出し、取り出した電子デバイス14を、対応の位置にあるテストソケット18に装填して所定の押圧力で圧接する。この状態で、試験装置は、昇温した電子デバイス14に対する電気的試験を実施する。
【0047】
試験装置が第1の圧接ヘッド82の電子デバイス14に対し試験を実施している間、動作制御部86は、それぞれのX2軸送り装置94を制御して、第1のシフタ12Aを第2の位置から第1の位置に移動させる一方、第2のシフタ12Bを第1の位置から第2の位置に移動させる。第2の位置に配置された第2のシフタ12Bに対し、第2の移送機構22は、動作制御部86の制御下でY2軸送り装置80及びZ2b軸送り装置が動作して、第2の圧接ヘッド84が、第2のシフタ12Bの第1の支持プレート88の所望の支持部108から、所要時間の加熱により所定温度に昇温した基準配置の複数の電子デバイス14を、加熱を開始した順に取り出す。
【0048】
第1の圧接ヘッド82が圧接する電子デバイス14に対する電気的試験が完了すると、第1の位置に配置された第1のシフタ12Aに対し、第2の移送機構22は、動作制御部86の制御下でY2軸送り装置80及びZ2a軸送り装置が動作して、第1の圧接ヘッド82が、試験後の複数の電子デバイス14をテストソケット18から取り上げて回収し、第1のシフタ12Aの第2の支持プレート90の複数の支持部110に、基準配置のままで返却する。同時に、第2の移送機構22は、動作制御部86の制御下でY2軸送り装置80及びZ2b軸送り装置が動作して、第2の圧接ヘッド84が、第2のシフタ12Bの第1の支持プレート88の所望の支持部108から取り出した基準配置の電子デバイス14を、対応の位置にあるテストソケット18に所定の押圧力で圧接する。この状態で、試験装置は、昇温した電子デバイス14に対する電気的試験を実施する。
【0049】
第1及び第2のシフタ12A、12B並びに第2の移送機構22が上記した動作を繰り返すことにより、第1の移送機構20によりシフタ12に移送された全ての電子デバイス14に対し、電気的試験が実施される。なお、第1及び第2のシフタ12A、12B並びに第2の移送機構22による電子デバイス14の移送動作の更なる詳細は、後述する。
【0050】
試験装置が第2の圧接ヘッド84の電子デバイス14に対し試験を実施している間、動作制御部86は、それぞれのX2軸送り装置94を制御して、第2のシフタ12Bを第2の位置から第1の位置に移動させる一方、第1のシフタ12Aを第1の位置から第2の位置に移動させる。第2の位置に配置された第1のシフタ12Aに対し、第3の移送機構24は、動作制御部86の制御下でY3軸送り装置72及びX3軸送り装置74が動作して、移送ヘッド76を、個々の把持部78が第2の支持プレート90の複数の支持部110の鉛直上方に配置される位置(X3−Y3座標)に位置決めする。次いで動作制御部86は、移送ヘッド76上で複数の把持部78を昇降動作させ、第2の支持プレート90の所望の支持部110に支持された試験後の電子デバイス14を、それら把持部78に把持させて第1のシフタ12Aから取り出させる。
【0051】
この間、排出ステーション56には、空トレイ移載機構58により空のトレイ16が供給ステーション52又はトレイ貯留ステーション54から移載されて待機する。動作制御部86は、Y3軸送り装置72及びX3軸送り装置74を制御して、第3の移送機構24の移送ヘッド76を、排出ステーション56で待機するトレイ16の鉛直上方の位置(X3−Y3座標)に位置決めする。次いで動作制御部86は、移送ヘッド76上で複数の把持部78を昇降動作させ、個々の把持部78に把持した電子デバイス14を、排出ステーション56にあるトレイ16に置かせる。試験後の電子デバイス14を載置したトレイ16は、動作制御部86の制御下で動作するアンローダコンベヤ48により、供給ステーション56からスタッカ50に送られて、搬出部38から製造ラインに搬出される。
【0052】
ハンドラ10が常温ハンドリングを実施する場合は、準備作業として、第1及び第2のシフタ12A、12Bに対し、加熱回路(図5)のスイッチ部117を開いて加熱機構112を休止させる。その後のデバイスハンドリング動作は、上記した高温ハンドリングにおけるデバイスハンドリング動作と実質的に同一である。常温ハンドリングの場合、電子デバイス14の所要の加熱時間を考慮して移送先の支持部108の場所を選択したり移送順序を決定したりする必要はない(全ての支持部108を用いる必要もない)。その一方、常温ハンドリングにおいて、加熱時間を考慮した高温ハンドリングにおける移送順序と同じ順序で全ての支持部108に電子デバイス14を移送したとしても、サイクルタイムには実質的に影響しない。したがって、常温ハンドリングにおけるデバイスハンドリング動作は、高温ハンドリングにおけるデバイスハンドリング動作と実質的に同一になる。
【0053】
上記構成を有するハンドラ10では、電子デバイス14をトレイ16からテストソケット18に効率良く移送するために装備されたシフタ12に、電子デバイス14を加熱するヒータ接触方式の加熱機構112を備えたから、デバイス移送機構から独立したプリヒートユニットに対しデバイス移送途中で電子デバイスを装填/回収する従来のハンドラに比べて、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを短縮できる。特に、スイッチ部117を操作することで加熱機構112の作動と休止とを切り替える構成とすれば、ハンドラ10は、高温ハンドリングと常温ハンドリングとの双方を選択的に実施できる。しかも、高温ハンドリングと常温ハンドリングとでデバイスハンドリング動作が実質的に同一であるから、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを、常温ハンドリングを行う際のサイクルタイムに可及的に近付けることができる。
【0054】
また、上記構成を有するハンドラ10では、シフタ12の第1の支持プレート88が、試験装置が有するテストソケット18よりも個数の多い複数の支持部108を有し、それら支持部108のうち所望の支持部108に複数の電子デバイス14を基準配置で支持できるようにしたから、第1の支持プレート88の全ての支持部108に電子デバイス14を載置するにはある程度の時間を要することになり、その結果、加熱機構112が個々の電子デバイス14を所定温度に加熱するに必要な時間を確保できるようになる。全ての支持部108に電子デバイス14を所定順序で載置する高温ハンドリングのサイクルタイムと、支持部108の場所や移送順序に拘らずに電子デバイス14を載置する常温ハンドリングのサイクルタイムとは、実質的に同じである。つまり、第1の支持プレート88の特徴的構成により、複数の支持部108に電子デバイス14を載置する順序に関わらず、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを、常温ハンドリングを行う際のサイクルタイムに可及的に近付けることができる。
【0055】
第1の支持プレート88が有する支持部108の個数を、個々の電子デバイス14を所定温度に加熱するに要する時間に基づいて決定することで、加熱時間の不足を回避することができる。例えば、シフタ12の第1の支持プレート88に最後に載置された電子デバイス14が、支持部108内での昇温を開始してからテストソケット18への移送のために支持部108から取り出されるまでに経過する時間H1が、電子デバイス14を所定温度に加熱するに要する時間H2に概ね等しくなるように、支持部108の個数を設定することで、第1の支持プレート88上の全ての電子デバイス14に対し少なくとも所要の加熱時間H2を確保できる。全ての支持部108に電子デバイス14が載置された後にシフタ12が第1位置から第2位置へ移動する時間はごく短時間のため、時間H1は実質的に、電子デバイス14をテストソケット18上で試験する時間tと、テストソケット18の個数(すなわち一括して試験する電子デバイス14の個数)nと、2個のシフタ12の支持部108の総数2Nとの、下記の関数となる。
【0056】
H1=2N/n×t
ここでH1=H2とすれば、
2N=H2/t×nとなる。
例として、H2=70sec、t=3.2sec、n=16(図1)とした場合、2個のシフタ12の支持部108の総数2Nは、
2N=70/3.2×16=350となる。
したがって、1つのシフタ12の第1の支持プレート88が175個の支持部108を有していれば、第1の支持プレート88上の全ての電子デバイス14に対し少なくとも所要の加熱時間70secを確保できることになる。
【0057】
図7A図9Bは、図示実施形態によるハンドラ10の第1の移送機構20を概略で示す。第3の移送機構24(図1)は、第1の移送機構20と実質的に同一の構成を有する。以下、図4及び図7A図9Bを参照して、第1及び第3の移送機構20、24の構成を説明するとともに、第2の移送機構22によるデバイス移送動作を補足して説明する。
【0058】
第1の移送機構20は、移送ヘッド68(図1)上でX1軸及びY1軸にそれぞれ平行な方向へ整列して4×4の行列状に配置された16個の把持部70を有する。各把持部70は、先端に、1つの電子デバイス14(図6)を真空吸着により解放可能に把持する吸着部122を有する。なお、把持部70の把持構造は、真空吸着に限定されず、磁気吸着や指状部材による把握等を採用できる。
【0059】
第1の移送機構20は、動作制御部86(図1)の制御下で前述したように動作して、供給ステーション52(図1)にあるトレイ16(図1)から取り出した16個の電子デバイス14を、基準配置のピッチ(横P3、縦P4)に対応するピッチで、第1の位置にあるシフタ12(図1)の第1の支持プレート88の複数の支持部108から選択した支持部108に置くことができる。例えば図4に示す第1のシフタ12Aにおいて、移送ヘッド68が電子デバイス14を支持部108に置く動作を2回行うことで、縦横1つ置きの2×8の行列状に整列する16個の支持部108a(ハッチング表示)に、電子デバイス14を置くことができる。
【0060】
動作制御部86(図1)は、第1の移送機構20による上記したデバイス移送動作を繰り返して実行し、基準配置の個数よりも多い電子デバイス14をシフタ12の複数の支持部108に置かせる。例えば図4に示す第1のシフタ12Aにおいて、先に電子デバイス14を置いた支持部108aのグループに対し縦方向に隣接して、同様に縦横1つ置きの2×8の行列状に整列する16個の支持部108b(ハッチング表示)に、電子デバイス14を置くことができる。この状態で、計32個の支持部108a、108bに置かれた電子デバイス14は、基準配置にある16個の電子デバイス14のセットを2セット含むことになる。動作制御部86がこのように第1の移送機構20の繰り返しの移送動作を制御することで、シフタ12の第1の支持プレート88の全ての支持部108に順次、電子デバイス14を置くことができる。
【0061】
高温ハンドリングを行う場合、シフタ12に移送された電子デバイス14は、支持部108に置かれた順に加熱機構112(図3)により加熱される。そこで動作制御部86は、第2の移送機構22(図2)の移送動作を前述したように制御して、支持部108に置かれた順序に実質的に対応する順序で基準配置の電子デバイス14を所望の支持部108からテストソケット18(図1)に移送させる。例えば図4に示す第1のシフタ12Aにおいて、計32個の支持部108a、108bに置かれた電子デバイス14のうち、図で上から1行目と2行目の計16個の支持部108a、108bに置かれた電子デバイス14が、基準配置に置かれている。そこで第2の移送機構22は、まず、図で上から1行目と2行目の計16個の支持部108a、108bに置かれた電子デバイス14を、テストソケット18に移送するように動作する。それら電子デバイス14の電気的試験が完了して、前述したように第2の支持プレート90の支持部110に返却されると、次に第2の移送機構22は、図で上から3行目と4行目の計16個の支持部108a、108bに置かれた電子デバイス14を、テストソケット18に移送するように動作する。
【0062】
図1に示す実施形態のように、試験装置のテストソケット18が縦2個、横2個(mは1以上の整数)の行列状に配置される構成(図1ではm=3)において、第1の移送機構20が有する複数の把持部70は、移送ヘッド68上で縦2個、横2個(nは1以上の整数、m≧n)の行列状に配置されるように構成することができる(図1ではn=2)。このような構成によれば、第1の移送機構20が上記した繰り返しの移送動作によってシフタ12の支持部108に電子デバイス14を移送する際の、移送動作の繰り返し回数を削減することができる。なお第1の移送機構20は、テストソケット18が縦横少なくとも一方に奇数個配置される試験装置に対し、対応可能な個数及び配置の把持部70を有することもできる。
【0063】
トレイ16に載置された複数の電子デバイス14のピッチが、基準配置のピッチ(横P3、縦P4)とは異なる場合に対応できるように、第1の移送機構20は、トレイ16から取り出した複数の電子デバイス14のピッチを基準配置のピッチに対応させるように複数の把持部70を相対的に変位させる変位機構124を備えることができる。変位機構124は、1つの把持部70(図7A図9Bでは把持部70a)を基準として、移送ヘッド68(図1)上で他の全ての把持部70を、X1軸及びY1軸にそれぞれ平行なβ方向及びγ方向へ変位させる。
【0064】
変位機構124は、1つの把持部70aに対して他の全ての把持部70を、相互間の距離が正比例するように変位させる複数のリンク機構126を有する。図示実施形態では、β方向へ整列する4個の把持部70に1つのβ方向のリンク機構126が与えられ、β方向で計4個のリンク機構126が設けられる。同様に、γ方向へ整列する4個の把持部70に1つのγ方向のリンク機構126が与えられ、γ方向で計4個のリンク機構126が設けられる。この構成によれば、16個の把持部70のうち、例えば図7A図8Bに示す1つの把持部70aを移送ヘッド68上で基準となる位置に固定的に支持する一方、他の全ての把持部70を、隣り合う把持部70のピッチが均等に変位するように、移送ヘッド68上に移動可能に支持することができる。その結果、把持部70のピッチを、図8Aの最小ピッチ(横P5、縦P6)から図8Bの拡張ピッチ(横P5′、縦P6′)に増加させることができる。そして図8Bの拡張ピッチを、基準配置のピッチ(横P3、縦P4)に等しくなるように構成できる。
【0065】
図9A及び図9Bは、1つのβ方向のリンク機構126の構成を概略で示す。図示構成では、β方向へ整列する4個の把持部70のうち、図で左から2番目の把持部70aを基準として、他の3個の把持部70がβ方向へ変位する。リンク機構126は、図で左端の把持部70に固定されるとともに把持部70aに対しβ方向へ移動可能なベース部材128と、図で右端の把持部70に一端130aで回動可能に連結されるとともに他端130bでベース部材128に回動可能に連結される第1のリンク部材130と、図で右から2番目の把持部70に一端132aで回動可能に連結されるとともに他端132bでベース部材128に回動可能に連結される第2のリンク部材132と、ベース部材128をβ方向へ移動させる駆動部134とを備える。
【0066】
第1のリンク部材130及び第2のリンク部材132は、それぞれ、把持部70aに対し固定した位置に配置される回転中心130c及び132cを有する。第1のリンク部材130の一端130aと回転中心130cとの間の距離(すなわち揺動腕の寸法)は、第2のリンク部材132の一端132aと回転中心132cとの間の距離の2倍になっている。また、第1のリンク部材130の他端130bと回転中心130cとの間の距離(すなわち揺動腕の寸法)は、第2のリンク部材132の他端132bと回転中心132cとの間の距離と等しくなっている。第2のリンク部材132の回転中心132cは、一端132aと他端132bとの丁度中間に位置する。
【0067】
図9Aの最小ピッチの状態で、把持部70aはβ方向の基準位置0に配置され、左端の把持部70は位置−1に配置され、右端の把持部70は位置+2に配置され、右から2番目の把持部70は位置+1に配置されているとする。この状態から、駆動部134がベース部材128を−β方向へ距離1だけ移動する(図9B)と、左端の把持部70は位置−1から位置−2に移動する。このベース部材128の移動に伴い、第1のリンク部材130の他端130b及び第2のリンク部材132の他端132bも−β方向へ距離1だけ移動する。その結果、第1のリンク部材130の他端130b及びそこに連結された把持部70は、位置+2から位置+4に移動し、第2のリンク部材132の他端132b及びそこに連結された把持部70は、位置+1から位置+2に移動する。このようにして、把持部70aと他の3個の把持部70のそれぞれとの間の距離が2倍になり、以て、全ての把持部70のピッチが最小ピッチの2倍になる。
【0068】
駆動部134にステップモータ等を採用して、ベース部材128の移動を位置制御することにより、把持部70のピッチの変化量を調整できる。また、リンク部材の個数や揺動腕の寸法比を適宜変更したリンク機構を採用することで、第1の移送機構20の全ての把持部70のうち、任意の位置の把持部70や任意の個数の把持部70をβ方向又はγ方向へ変位可能な構成とすることもできる。このようにして、第1の移送機構20は、電子デバイス14を多様なピッチで載置する種々のトレイ16や、支持部108を多様なピッチで有する種々のシフタ12に対応できるようになり、以てハンドラ10は、テストソケット18を多様な配置で備える種々の試験装置に対し、デバイスハンドリングを効率良く実施できるようになる。
【0069】
第3の移送機構24(図1)は、第1の移送機構20の把持部70と同様に、移送ヘッド76(図1)上でX3軸及びY3軸にそれぞれ平行な方向へ整列して4×4の行列状に配置された16個の把持部78(図1)を有する。第3の移送機構24は、動作制御部86(図1)の制御下で前述したように動作して、第2の位置にあるシフタ12(図1)の第2の支持プレート90の全ての支持部110から取り出した基準配置の16個の電子デバイス14(図6)を、排出ステーション56(図1)にあるトレイ16(図1)におくことができる。このとき第3の支持機構24は、第2の支持プレート90に対し、まずX3軸に平行な方向へ2列に整列する8個の把持部78により8個の電子デバイス14を取り出し、その直後に他の2列に整列する8個の把持部78により残りの8個の電子デバイス14を取り出すように、動作することができる。
【0070】
図1に示す実施形態のように、試験装置のテストソケット18が縦2個、横2個(mは1以上の整数)の行列状に配置される構成(図1ではm=3)において、第3の移送機構24が有する複数の把持部78は、移送ヘッド76上で縦2個、横2個(nは1以上の整数、m≧n)の行列状に配置されるように構成することができる(図1ではn=2)。このような構成によれば、第3の移送機構24が上記した繰り返しの取出動作によってシフタ12の支持部110から電子デバイス14を取り出す際の、取出動作の繰り返し回数を削減することができる。なお第3の移送機構24は、テストソケット18が縦横少なくとも一方に奇数個配置される試験装置に対し、対応可能な個数及び配置の把持部78を有することもできる。
【0071】
トレイ16に載置される複数の電子デバイス14のピッチが、基準配置のピッチ(横P3、縦P4)とは異なる場合に対応できるように、第3の移送機構24は、第2の支持プレート90から取り出した電子デバイス14のピッチを基準配置のピッチから変化させるように複数の把持部78を相対的に変位させる変位機構を備えることができる。第3の移送機構24の変位機構は、第1の移送機構20の変位機構124と同様の構成を有し、1つの把持部78を基準として、移送ヘッド76上で他の全ての把持部78を、X3軸及びY3軸にそれぞれ平行な方向へ変位させる。第3の移送機構24の変位機構は、第1の移送機構20のリンク機構126と同様のリンク機構を複数備えることにより、1つの把持部78に対して他の全ての把持部78を、相互間の距離が正比例するように変位させることができる。第3の移送機構24の変位機構の詳細は、説明を省略する。
【0072】
このようにして、第3の移送機構24は、電子デバイス14を多様なピッチで載置する種々のトレイ16や、支持部110を多様なピッチで有する種々のシフタ12に対応できるようになる。それにより、ハンドラ10は、テストソケット18を多様な配置で備える種々の試験装置に対し、デバイスハンドリングを効率良く実施できるようになる。
【0073】
図10は、第2の移送機構22が有する第1の圧接ヘッド82を示す。第2の圧接ヘッド84(図2)は、第1の圧接ヘッド82と実質的に同一の構成を有する。以下、図2及び図10を参照して、第1及び第2の圧接ヘッド82、84の構成を説明する。
【0074】
第1の圧接ヘッド82は、その先端のヘッド部分136に、電子デバイス14(図6)の基準配置に対応する配置で設けられた複数の把持部137を有する。各把持部137は、図示しない真空源に接続され、電子デバイス14を真空吸着により解放可能に把持することができる。また各把持部137には、吸着した電子デバイス14をテストソケット18(図1)に圧接するための押圧部138が設けられる。押圧部138は、ヘッド部分136に対してZ2a軸方向へ移動可能であり、端面に電子デバイス14を吸着したままの状態で電子デバイス14をテストソケット18に対し押圧することができる。なお、把持部137の把持構造は、真空吸着に限定されず、磁気吸着や指状部材による把握等を採用できる。第2の圧接ヘッド84は、第1の圧接ヘッド82と同様に、複数の把持部及び押圧部を備える。
【0075】
第1及び第2の圧接ヘッド82、84は、各把持部137に把持した電子デバイス14を補助的に加熱するためのヒータ139を有することができる。ヒータ139は、加熱機構112のヒータ114と同様に、電源140、スイッチ部141、温度センサ142及び温度制御部143を含む加熱回路に接続される。ヒータ139は、把持部137に把持した電子デバイス14の温度を所定温度に維持して、シフタ12の支持部108で加熱された電子デバイス14が把持部137上で冷やされないように機能する。
【0076】
図11図12Cは、第2の移送機構22の駆動構造を示す。以下、図2及び図11図12Cを参照して、第2の移送機構22の構成をさらに詳細に説明する。
【0077】
第2の移送機構22は、第1のシフタ12A及びテストソケット18に対し第1の圧接ヘッド82をZ2a軸方向へ昇降動作させる第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144と、第2のシフタ12B及びテストソケット18に対し第2の圧接ヘッド84をZ2b軸方向へ昇降動作させる第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145と、第1のシフタ12Aの上方位置とテストソケット18の上方位置との間で第1の圧接ヘッド82を水平移動させるとともに、第2のシフタ12Bの上方位置とテストソケット18の上方位置との間で第2の圧接ヘッド84を水平移動させる水平駆動部(Y2軸送り装置)80と、第1の圧接ヘッド82及び第2の圧接ヘッド84と水平駆動部(Y2軸送り装置)80との間で駆動力を解除可能に伝達する動力伝達部146とを備える(図11)。
【0078】
第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144は、基台26(図1)に支持される電動機等の動力源148と、基台26に支持され、ベルト150等を介して動力源148に接続される送りねじ装置152と、送りねじ装置152のナット要素(図示せず)に一体に連結されるガイド部材154とを備える。送りねじ装置152は、動力源148の駆動により、ガイド部材154をZ2a軸方向へ往復移動させる。ガイド部材154は、Y2軸に平行な方向へ延びるレール156を有する。第1の圧接ヘッド82には、レール156に係合する一対のガイドローラ158が設けられる。第1の圧接ヘッド82は、一対のガイドローラ158がレール156に係合した状態(図12A)で、動力源148の駆動によりZ2a軸方向へ往復移動できるとともに、レール156に沿ってY2軸方向へ往復移動できる。
【0079】
第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145は、基台26(図1)に支持される電動機等の動力源160と、基台26に支持され、ベルト162等を介して動力源160に接続される送りねじ装置164と、送りねじ装置164のナット要素(図示せず)に一体に連結されるガイド部材166とを備える。送りねじ装置164は、動力源160の駆動により、ガイド部材166をZ2b軸方向へ往復移動させる。ガイド部材166は、Y2軸に平行な方向へ延びるレール168を有する。第2の圧接ヘッド84には、レール168に係合する一対のガイドローラ170が設けられる。第2の圧接ヘッド84は、一対のガイドローラ170がレール168に係合した状態(図12A)で、動力源160の駆動によりZ2b軸方向へ往復移動できるとともに、レール168に沿ってY2軸方向へ往復移動できる。
【0080】
水平駆動部(Y2軸送り装置)80は、基台26(図1)に支持される電動機等の動力源172と、動力源172に接続される送りねじ装置174と、送りねじ装置174のナット要素(図示せず)に一体に連結されるガイド部材176とを備える。送りねじ装置174は、動力源172の駆動により、ガイド部材176をY2軸方向へ往復移動させる。ガイド部材176は、Z2a軸に平行な方向へ延びるレール178と、Z2b軸に平行な方向へ延びるレール180とを有する。第1の圧接ヘッド82には、レール178に係合する一対のガイドローラ182が設けられる。第2の圧接ヘッド84には、レール180に係合する一対のガイドローラ184が設けられる。第1の圧接ヘッド82は、一対のガイドローラ182がレール178に係合した状態(図12B)で、動力源172の駆動によりY2軸方向へ往復移動できるとともに、レール178に沿ってZ2a軸方向へ往復移動できる。第2の圧接ヘッド84は、一対のガイドローラ184がレール180に係合した状態(図12B)で、動力源172の駆動によりY2軸方向へ往復移動できるとともに、レール180に沿ってZ2b軸方向へ往復移動できる。
【0081】
動力伝達部146は、ガイド部材176のレール178及びレール180と、第1の圧接ヘッド82の一対のガイドローラ182と、第2の圧接ヘッド84の一対のガイドローラ184とによって構成される(図12B)。動力伝達部146の作用は後述する。
【0082】
第2の移送機構22は、第1の圧接ヘッド82及び第2の圧接ヘッド84を交互に、テストソケット18の上方でY2軸方向の所定位置に位置決めする位置決め部186をさらに備える(図11)。位置決め部186は、Z2a軸に平行な方向へ延びるように第1の圧接ヘッド82に設けられるレール188と、Z2b軸に平行な方向へ延びるように第2の圧接ヘッド84に設けられるレール190と、基台26(図1)の所定位置に固定して設けられ、レール188及びレール190のいずれか一方に係合する一対のガイドローラ192とを有する。第1の圧接ヘッド82は、レール188が一対のガイドローラ192に係合した状態(図12C)で、Z2a軸方向へ往復移動できるとともに、複数の把持部137(図10)が対応のテストソケット18に対してZ2a軸方向へ正確に整列する位置に位置決めされる。第2の圧接ヘッド84は、レール190が一対のガイドローラ192に係合した状態(図12C)で、Z2b軸方向へ往復移動できるとともに、複数の把持部137(図10)が対応のテストソケット18に対してZ2b軸方向へ正確に整列する位置に位置決めされる。レール188、190が一対のガイドローラ192に係合した状態では、第1及び第2の圧接ヘッド82、84は、Y2軸方向へ移動できない。
【0083】
次に、図13A図13Lを参照して、第2の移送機構22によるデバイス移送動作、及び当該デバイス移送動作の間の動力伝達部146(レール178、レール180、ガイドローラ182、ガイドローラ184)の作用を説明する。
【0084】
図13Aは、第2の圧接ヘッド84の把持部137に把持した電子デバイス14(図6)に対しテストソケット18を介して電気的試験が行われ、当該試験が終了する直前の状態を示す。この状態で、第2の圧接ヘッド84は、ガイドローラ170がガイド部材166(図11)のレール168に係合して、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)に接続され、ガイドローラ184がガイド部材176のレール180から脱離して、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)から分離され、レール190が基台26(図1)上のガイドローラ192に係合して、Y2軸方向の所定位置に位置決めされている。また第1の圧接ヘッド82は、第1のシフタ12Aから電子デバイス14を取り出して、テストソケット18の近傍の待機位置に配置されている。この状態で、ガイドローラ158がガイド部材154(図11)のレール156に係合して、第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144(図11)に接続され、ガイドローラ182がガイド部材176のレール178に係合して、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)に接続されている。また、第1のシフタ12A及び第2のシフタ12Bはいずれも、第1の位置に置かれており、両者の第2の支持プレート90がテストソケット18に隣接して配置されている。
【0085】
図13Aの状態で電気的試験が完了すると、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が起動して、ガイドローラ170とレール168との係合の下に、第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向上方への移動を開始する(図13B)。それに伴い、第2の圧接ヘッド84は、把持部137に把持した電子デバイス14(図6)をテストソケット18から取り上げて回収する。このとき、第2の圧接ヘッド84のローラ184は、レール180に係合し始め、第2の圧接ヘッド84が水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)に接続される。
【0086】
第2の圧接ヘッド84がさらにZ2b軸方向上方へ移動すると、レール190がガイドローラ192から脱離し、第2の圧接ヘッド84がY2軸方向へ移動できるようになる(図13C)。レール190がガイドローラ192から脱離すると略同時に、第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144(図11)が起動して、ガイドローラ158とレール156との係合の下に、第1の圧接ヘッド82がZ2a軸方向下方への移動を開始する。このとき、第1及び第2の圧接ヘッド82、84の双方は、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)に接続されている。
【0087】
第2の圧接ヘッド84が第2のシフタ12Aよりも高い位置まで上昇するとともに、第1の圧接ヘッド82が第2の圧接ヘッド84と略同一高さの位置まで下降すると、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)が起動する(図13D)。水平駆動部80の起動により、ガイドローラ182とレール178との係合の下に第1の圧接ヘッド82がY2軸方向前方(図で左方)への移動を開始し、それと同期して、ガイドローラ184とレール180との係合の下に第2の圧接ヘッド84がY2軸方向前方(図で左方)への移動を開始する。
【0088】
第1の圧接ヘッド82がテストソケット18の上方のY2軸方向所定位置に到達すると、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)が停止する一方、第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144(図11)は継続して作動して、第1の圧接ヘッド82をテストソケット18に向かって下降させる(図13E)。この間、第2の圧接ヘッド84は、第2のシフタ12Aの上方のY2軸方向所定位置及びZ2b軸方向所定高さに到達し、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が停止して、第2のシフタ12Aの上方で静止する。第1の圧接ヘッド82は、テストソケット18の上方のZ2a軸方向所定高さまで下降すると、レール188が基台26(図1)上のガイドローラ192に係合し始め、Y2軸方向の所定位置に位置決めされる。
【0089】
第1の圧接ヘッド82は、テストソケット18に向かってさらに下降することで、ガイドローラ182がガイド部材176のレール178から脱離して、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)から分離される(図13F)。その後、第1の圧接ヘッド82は、Z2a軸方向所定位置で、把持部137に把持した電子デバイス14(図6)を対応のテストソケット18に装填し、押圧部138(図10)が作動して電子デバイス14をテストソケット18に圧接する。この状態で、第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対し、電気的試験が開始される。
【0090】
第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対して電気的試験を行っている間に、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が起動して、ガイドローラ170とレール168との係合の下に、第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向下方へ移動する(図13G)。第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向所定位置に達すると、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が停止し、第2の圧接ヘッド84は、把持部137に把持した電子デバイス14(図6)を、第2のシフタ12Bの第2の支持プレート90の対応の支持部110(図4)に返却する。
【0091】
電子デバイス14の返却が完了すると、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が再起動して、ガイドローラ170とレール168との係合の下に、第2の圧接ヘッド84をZ2b軸方向上方へ移動させる(図13H)。第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向上方へ移動している間に、第2のシフタ12Bは第1の位置から第2の位置への移動を開始する。またこの間、第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対する電気的試験は、継続して行われる。
【0092】
第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向所定位置に到達するとともに、第2のシフタ12Bが第2位置に到達して第1の支持プレート88が第2の圧接ヘッド84の下方に配置されると、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)が起動する(図13I)。水平駆動部80の起動により、第2の圧接ヘッド84は、ガイドローラ184とガイド部材176のレール180との係合の下に、把持部137が第2のシフタ12Bの第1の支持プレート88上の所望の電子デバイス14(図6)を把持可能なY2軸方向所定位置に向かって、移動(図では左方移動)を開始する。この間、第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対する電気的試験は、継続して行われる。
【0093】
第2の圧接ヘッド84がY2軸方向所定位置に到達すると、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)が停止する一方、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が起動して、ガイドローラ170とレール168との係合の下に、第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向下方へ移動する(図13J)。第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向所定位置に達すると、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が停止し、第2の圧接ヘッド84は、第2のシフタ12Bの第1の支持プレート88の所望の支持部108(図4)に支持した電子デバイス14(図6)を、対応の把持部137に把持する。この間、第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対する電気的試験は、継続して行われる。
【0094】
第2の圧接ヘッド84が把持部137に電子デバイス14を把持すると、第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145(図11)が起動して、ガイドローラ170とレール168との係合の下に、第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向上方へ移動する(図13K)。それと同時に、又は第2の圧接ヘッド84がZ2b軸方向所定位置に到達した後に、水平駆動部(Y2軸送り装置)80(図11)が起動して、第2の圧接ヘッド84は、ガイドローラ184とガイド部材176のレール180との係合の下に、テストソケット18の近傍の待機位置に向かってY2軸方向後方(図では右方)へ移動する。第2の圧接ヘッド84がY2軸方向後方へ移動している間に、第2のシフタ12Bは第2の位置から第1の位置への移動を開始する。
【0095】
第2の圧接ヘッド84が待機位置に到達し、第2のシフタ12Bが第1の位置に到達した時点で、第1の圧接ヘッド82が把持した電子デバイス14に対する電気的試験は終了している。そこで、第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144(図11)が起動して、ガイドローラ158とレール156との係合の下に、第1の圧接ヘッド82がZ2a軸方向上方への移動を開始する(図13L)。その後、第1の圧接ヘッド82は、図13A図13Kに示す第2の圧接ヘッド84の動作と同様の動作を遂行し、また第2の圧接ヘッド84は、図13A図13Kに示す第1の圧接ヘッド82の動作と同様の動作を遂行する。これらの動作を繰り返すことにより、第2の移送機構22は、第1及び第2のシフタ12A、12Bとテストソケット18との間で、電子デバイス14を効率良く移送することができる。
【0096】
第2の移送機構22による上記したデバイス移送動作は、動作制御部86(図1)が、第1の圧接ヘッド82及び第2の圧接ヘッド84のいずれか一方による電子デバイス14の取り出しから圧接に至る動作の間に、第1の圧接ヘッド82及び第2の圧接ヘッド84の他方による電子デバイス14の圧接から返却に至る動作を行うように、第2の移送機構22を制御することによって実行される。このような制御により、第1及び第2の圧接ヘッド82、84の待機時間を短縮し、高温常温に関わらずデバイスハンドリングのサイクルタイムを削減することができる。
【0097】
上記構成を有する第2の移送機構22によれば、第1及び第2の圧接ヘッド82、84がそれぞれ、Y2軸方向への直線移動とZ2a軸方向及びZ2b軸方向への直線移動との組合せによって、シフタ12に対する電子デバイス14の取出動作及び返却動作、並びにテストソケット18に対する電子デバイス14の装填動作及び回収動作を遂行できるので、例えば回転移動する圧接ヘッドを含む構成に比べ、圧接ヘッド82、84のイナーシャを軽減して低振動の高速動作を実現することができる。しかも、本来は互いに独立したYZ座標系で動作する第1及び第2の圧接ヘッド82、84が、動力伝達部146を採用したことにより、第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)144と第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)145と水平駆動部(Y2軸送り装置)80との3つの軸駆動部で動作できる。その結果、第2の移送機構22の全体を軽量化でき、低振動の高速動作を確実に実現できるとともに、ハンドラ10の製造コスト及び維持コスト並びに消費電力を削減することが可能になる。
【0098】
図14は、第2の実施形態によるハンドラ200の全体構成を示す。図15及び図16は、ハンドラ200の一部分を概略で示す。ハンドラ200は、ICデバイス、LSIデバイス等の電子デバイスの電気的試験を行う試験装置に対し、電子デバイスを供給及び排出する装置である。
【0099】
図14に平面図で示すように、ハンドラ200は、複数の電子デバイス201(図16)をそれぞれに載置可能な供給及び排出用の複数のトレイ202と、複数の電子デバイス201を、試験装置(図示せず)が有する複数のテストソケット204の配置に対応する基準配置で載置可能なシフタ206と、トレイ202からシフタ206に電子デバイス201を移送する第1の供給用の移送機構208と、シフタ206とテストソケット204との間で電子デバイス201を移送するとともにテストソケット204に電子デバイス201を圧接する第2の試験用の移送機構210(動作領域を破線で示す)と、シフタ206からトレイ202に電子デバイス201を移送する第3の排出用の移送機構212と、シフタ206、第1の移送機構208、第2の移送機構210及び第3の移送機構212の動作を制御する動作制御部214と、トレイ202、シフタ206、第1の移送機構208、第2の移送機構210及び第3の移送機構212が搭載される基台216とを備える。
【0100】
ハンドラ200は、直動式の第2の移送機構22に代えて回転割出式の第2の移送機構210を備えるとともに、第1及び第2のシフタ12A、12Bに代えて単一のシフタ206を備えるようにした点を除いて、基本的にはハンドラ10と同様の構成を有する。したがって、ハンドラ200のデバイスハンドリング動作に関連する構成の詳細は、説明を省略する。
【0101】
シフタ206は、トレイ202から移送された電子デバイス201を支持する第1の供給側の支持プレート218と、テストソケット204から移送された電子デバイス201を支持する第2の排出側の支持プレート220とを備える。シフタ206は、第1の移送機構208が第1の支持プレート218に電子デバイス201を載せることができるとともに第2の移送機構210が第2の支持プレート220に電子デバイス201を載せることができる第1の位置(例えば図14に示す位置)と、第2の移送機構210が第1の支持プレート218から電子デバイス201を取り出すことができるとともに第3の移送機構212が第2の支持プレート220から電子デバイス201を取り出すことができる第2の位置との間で移動できる。
【0102】
図15に示すように、ハンドラ200は、シフタ206に設けられ、シフタ206に載置した電子デバイス201を加熱するヒータ接触方式の加熱機構222を備える。加熱機構222は、シフタ206の第1の支持プレート218を加熱する一方、第2の支持プレート220を実質的に加熱しない。図示実施形態では、加熱機構222は、第1の支持プレート218と第1の支持プレート218を支持する基板224との間に挟持されるプレート形のヒータ(例えばラバーヒータと称する)226を有する。ヒータ226は、第1の支持プレート218が有する複数の支持部228の全てを一様に加熱することにより、任意の支持部218に支持した電子デバイス201を間接的に加熱して所定温度に昇温させる。
【0103】
加熱機構222は、電源230及びスイッチ部231を有する加熱回路に接続される。スイッチ部231を開閉することにより、加熱機構222の作動と休止とを切り替えることができる。スイッチ部231は、オペレータが手作業で開閉することもできるし、動作制御部214がスイッチ部231を自動開閉させることもできる。ハンドラ200は、スイッチ部231を備えることにより、試験前に電子デバイス201を所定温度に加熱する高温ハンドリングと、電子デバイス201を加熱しない常温ハンドリングとを、選択的に実施することができる。
【0104】
ハンドラ200は、加熱機構222が加熱する物体の温度を感知する温度センサ232と、温度センサ232が感知した温度に従って加熱機構222の加熱動作を制御する温度制御部233とをさらに備える。図示実施形態では、温度センサ232は、ヒータ226が加熱する第1の支持プレート218の複数の支持部228の各々の温度を感知する。温度制御部233は、温度センサ232から入手した支持部228のリアルタイムの温度データを参照して、ヒータ226に付属するスイッチ回路226aを制御し、支持部228の温度を予め定めた目標温度に調節する。なお温度センサ232は、支持部228に支持した電子デバイス201の温度を感知する構成や、第1の支持プレート218が固定される基板224の温度を感知する構成としても良い。
【0105】
図16に示すように、第2の移送機構210は、基台216に支持される回転割出装置234と、回転割出装置234の回転軸線に平行なZa軸方向へ、Za軸送り装置236の駆動により送り動作する第1の圧接ヘッド238と、回転割出装置234の回転軸線に平行なZb軸方向へ、Zb軸送り装置240の駆動により送り動作する第2の圧接ヘッド242とを備える。第1の圧接ヘッド238及び第2の圧接ヘッド242は、回転割出装置234の駆動により、シフタ206の上方の所定位置とテストソケット220の上方の所定位置との間で回転割出動作するとともに、Za軸送り装置236又はZb軸送り装置240の駆動によりシフタ206又はテストソケット220に対し昇降動作することにより、シフタ206から所定個数の電子デバイス201を取り出し、取り出した電子デバイス201をテストソケット220に装填して所定の押圧力で圧接し、圧接後の電子デバイス201をテストソケット220から回収してシフタ206に返却することができる。第1の圧接ヘッド238と第2の圧接ヘッド242とは、上記したシフタ206に対する電子デバイス201の取出動作及び返却動作並びにテストソケット220に対する電子デバイス201の装填動作及び回収動作を、交互に実施することができる。なお図16は、シフタ206の支持部228、第1の圧接ヘッド238の把持部244、第2の圧接ヘッド242の把持部246、及びテストソケット220を、一部省略して示している。
【0106】
上記構成を有するハンドラ200では、電子デバイス201をトレイ202からテストソケット220に効率良く移送するために装備されたシフタ206に、電子デバイス201を加熱するヒータ接触方式の加熱機構222を備えたから、デバイス移送機構から独立したプリヒートユニットに対しデバイス移送途中で電子デバイスを装填/回収する従来のハンドラに比べて、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを短縮できる。特に、スイッチ部231を操作することで加熱機構222の作動と休止とを切り替える構成とすれば、ハンドラ200は、高温ハンドリングと常温ハンドリングとの双方を選択的に実施できる。しかも、高温ハンドリングと常温ハンドリングとでデバイスハンドリング動作が実質的に同一であるから、高温ハンドリングを行う際のサイクルタイムを、常温ハンドリングを行う際のサイクルタイムに可及的に近付けることができる。
【符号の説明】
【0107】
10 ハンドラ
12 シフタ
12A 第1のシフタ
12B 第2のシフタ
14 電子デバイス
16 トレイ
18 テストソケット
20 第1の移送機構
22 第2の移送機構
24 第3の移送機構
80 水平駆動部(Y2軸送り装置)
82 第1の圧接ヘッド
84 第2の圧接ヘッド
86 動作制御部
88 第1の支持プレート
90 第2の支持プレート
112 加熱機構
114 ヒータ
117 スイッチ部
118 温度センサ
119 温度制御部
124 変位機構
126 リンク機構
144 第1の昇降駆動部(Z2a軸送り装置)
145 第2の昇降駆動部(Z2b軸送り装置)
146 動力伝達部
186 位置決め部
200 ハンドラ
201 電子デバイス
202 トレイ
204 テストソケット
206 シフタ
208 第1の移送機構
210 第2の移送機構
212 第3の移送機構
218 第1の支持プレート
220 第2の支持プレート
222 加熱機構
226 ヒータ
231 スイッチ部
232 温度センサ
233 温度制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図13K
図13L
図14
図15
図16