(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351650
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】複合材料の改善
(51)【国際特許分類】
C08J 5/04 20060101AFI20180625BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20180625BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20180625BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20180625BHJP
B29K 101/10 20060101ALN20180625BHJP
【FI】
C08J5/04CFC
C08J5/24
C08G59/18
B29C70/44
B29K101:10
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-71673(P2016-71673)
(22)【出願日】2016年3月31日
(62)【分割の表示】特願2013-514782(P2013-514782)の分割
【原出願日】2011年6月14日
(65)【公開番号】特開2016-148050(P2016-148050A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】1009851.5
(32)【優先日】2010年6月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーティマー、スティーブ
【審査官】
大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−298713(JP,A)
【文献】
特開平02−103236(JP,A)
【文献】
特開2007−177220(JP,A)
【文献】
特開2006−131920(JP,A)
【文献】
特開2007−314753(JP,A)
【文献】
特開平11−043546(JP,A)
【文献】
特開2003−238657(JP,A)
【文献】
特開2008−144110(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/035859(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/125926(WO,A1)
【文献】
特開昭58−107312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28;99/00
C08J 5/04−5/10;5/24
B29B 7/00−15/14
B29C 39/00−39/44
B29C 43/00−43/58
B29C 70/00−70/88
C08G 59/00−59/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状硬化性樹脂と、ASTM D3418に従って測定された70から220℃までの範囲内の融点を有する固体状硬化剤とを80から160℃までの温度でブレンドして該固体状硬化剤を溶解し、硬化性樹脂と硬化剤の液体状ブレンドを形成するステップ、ブレンドされた硬化性樹脂と硬化剤に対して構成繊維配列体の少なくとも一部分を含漬して、硬化性複合材料を形成し、その後、複合材料を、大気圧より低い圧力において60℃から200℃までの範囲の温度で、脱オートクレーブ真空バッグ法で硬化させ、体積多孔度2.0%未満の多孔度を有する硬化複合材料を形成するステップを含む、体積多孔度2.0%未満の多孔度を有する硬化複合材料の製造方法。
【請求項2】
繊維の含漬前、ブレンドされた硬化剤と硬化性樹脂の温度が10分未満の間、100℃より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂をブレンドしている間、真空が適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
構成繊維配列体が平板状であり、その結果、構成繊維配列体は一旦含侵したプリプレグを形成する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
硬化性複合材料が航空宇宙用構造部材に成形される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
大気圧より低い圧力、及び60℃から200℃までの範囲の温度において脱オートクレーブ真空バッグ法での硬化を経て、体積多孔度2.0%未満の多孔度を有する硬化性複合材料を形成するための、硬化性樹脂と硬化剤の液体状ブレンドを含む強化樹脂の、繊維配列体内における使用であって、該液体状ブレンドは、80℃から160℃までの温度において、液体状硬化性樹脂とASTM D3418に従って測定された70から220℃までの範囲内の融点を有する固体状硬化剤とをインライン式又は連続式にブレンドすることで該固体状硬化剤を溶解することによって調製される、上記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の製造の改善に特に関するが、航空宇宙用構造体内への応用に専用のものではない。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、特に、非常に低い物質密度において優れた機械的特性を実現する上で、従来の建築資材を上回る、十分実証された利点を有する。その結果、このような材料の使用は益々広範になってきており、それらの応用分野は、「工業」や「スポーツ及びレジャー」から高性能の航空宇宙用部品にまで及ぶ。
【0003】
プリプレグは、エポキシ樹脂などの樹脂に含漬された繊維配列体を含んでおり、上述の複合材料の生産において幅広く使用されている。典型的には、数枚のこのようなプリプレグは、所望に応じて「レイアップ」され、得られたラミネートは、典型的には高温にさらされることによって硬化して、硬化複合体ラミネートを生成する。
【0004】
このような硬化複合材料は、ある程度の内包ガス、又は多孔度を必然的に有し、これにより、該材料の機械的強度が低下し得る。例えば、気泡は、樹脂の製造工程において生じ得るし、繊維の含漬が不完全になることもあり得るし、両方とも、多孔度の存在につながる。
【0005】
硬化の発生を可能にするため、樹脂の中に、該樹脂上の官能基と反応して架橋を形成することにより硬化機能を付与する硬化剤を取り込ませる。このような硬化剤は通常、熱的ハザードを阻止し、それにより、該樹脂と硬化剤の間の尚早反応(premature reaction)が起きないようにするために、低温において硬化性樹脂とブレンドされる。硬化剤の選定は、硬化樹脂の機械的特性を強く左右する。
【0006】
航空宇宙用途では、複合材料は多孔度及び機械的強度に関した極めて厳密な要件を満たさなければならない。このため、航空宇宙用複合体の硬化は、ほとんどオートクレーブ硬化によってのみ実施されている。このような硬化は高い圧力と温度において実施され、多孔度が非常に低くなり、したがって良好な機械的特性が生じる傾向がある。高い圧力により、いかなる内包ガスも溶液状にならざるを得ず、その結果、硬化中の複合材料が本質的に無空隙状態を維持すると考えられている。
【0007】
しかしながら、オートクレーブ硬化は、稼働するのに費用及び時間がかかる。それゆえ、航空宇宙用品質の複合材料を脱オートクレーブで硬化させる方法が探求されてきた。
【0008】
本発明は、上記で規定された課題を軽減するか又は少なくとも回避すること、及び/又は、全般的に改善を提供することを目的としている。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、添付の請求項のいずれか一項で規定された方法、材料及び使用が提供される。
【0010】
本発明は、硬化複合材料の製造方法に関し、該方法は、液体状硬化性樹脂と、100℃を超える融点を有する硬化剤とをブレンドして、硬化性樹脂と硬化剤の液体状ブレンドを形成するステップ、ブレンドされた硬化性樹脂と硬化剤に対して構成繊維配列体の少なくとも一部分を含漬して、硬化性複合材料を形成し、その後、該複合材料を3.0絶対バール以下の圧力において高温にさらして硬化させ、硬化複合材料を形成するステップを含む。
【0011】
良好な機械的特性を硬化材料に付与すると知られている硬化剤を採用した場合、許容されない多孔度が生じることが判明した。しかしながら、発明者らは、航空宇宙用品質の機械的特性及び多孔度を有する複合材料が、オートクレーブ硬化の使用なしで調製できることを見いだした。これは、良好な機械的性能を付与すると知られている高融点を有する硬化剤を選択し、それを、硬化性樹脂が液体であり、且つ、硬化剤が該液体樹脂中に溶解して、均一な液体状ブレンドを形成する温度において、該樹脂とブレンドすることによって実現される。
【0012】
好ましい一実施形態では、硬化剤は、70から220℃までの範囲、好ましくは70から220℃までの範囲、より好ましくは90から200℃までの範囲、さらにより好ましくは100から180℃までの範囲、最も好ましくは120から180℃までの範囲、又は前述の範囲の組合せの融点を有する。融点は、ASTM D3418に従ったDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetry)によって測定される。
【0013】
好ましい一実施形態では、上記固体状硬化剤の粒度は小さく、典型的には、0.01ミクロンから5mmまでの範囲、より好ましくは0.1ミクロンから1mmまでの範囲、より好ましくは0.5 ミクロンから0.5mmまでの範囲、さらにより好ましくは1ミクロンから0.1mmまでの範囲、最も好ましくは10ミクロンから0.1 mm及び/又は前述の範囲の組合せである。粒度は、プラスチック材料の粒度(ふるい分析)用のASTM D1921−06el標準試験法(方法A)によって測定した粒度分布に由来する。より小さな粒子には、より素早く溶解し、それによりブレンダー内での滞留時間が短縮されて、ブレンダーの中を通る樹脂の流れが増大するという利点がある。これにより、次いで、ブレンドの発熱エネルギーの非制御放出、及びブレンド後の樹脂の活性低下のリスクが軽減される。ブレンダーが押出機である場合、この結果として押出機が短くなり、これにより、処理装置のコストが低下されるようになる。
【0014】
高温でのブレンドにより樹脂中への硬化剤の溶解を起こし、続いて、そのブレンドを冷却した後には、ブレンドが強化樹脂を形成し、これは、繊維配列体と組み合わせて成型材料を実現するのに適している。
【0015】
硬化剤は、100℃より高い融点を有するものならば、当分野で公知な幅広い種類の適切な材料から選択できる。より高い融点の硬化剤を選択した場合にはより優れた機械的性能を実現でき、したがって、120℃より高い融点が好ましく、より好ましくは、融点は140℃より高い。
【0016】
適切な硬化剤は例として、ジアミノジフェニルスルホン例えば3,3’DDS及び4,4’DDS、ビス−アミノフェニルフルオレン例えば9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレン、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノベンゾイルアニリド、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−アミノフェニル4−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4−4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホンが挙げられる。
【0017】
最も好ましい硬化剤は、ジアミノジフェニルスルホン、例えば3−3’DDS(融点 172℃)及び4−4’DDS(融点176℃)である。
【0018】
硬化性樹脂は、例えばエポキシ又はイソシアネートから選択してもよく、好ましくは、硬化性樹脂はエポキシ樹脂である。
【0019】
適切なエポキシ樹脂は、単官能性、二官能性、三官能性及び/又は四官能性のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0020】
適切な二官能性エポキシ樹脂は例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(任意選択により臭素化される)のジグリシジルエーテル、フェノール系及びクレソール系のエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加体のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン、複素環グリシジルアミド、フッ素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル又はそれらの任意の組合せを主体としたものが挙げられる。
【0021】
二官能性エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はそれらの任意の組合せから選択され得る。
【0022】
適切な三官能性エポキシ樹脂は例として、フェノール系及びクレソール系のエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加体のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、ジ脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、臭素化樹脂、トリグリシジルアミノフェニル、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン、複素環グリシジルアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はそれらの任意の組合せを主体としたものを挙げることができる。
【0023】
適切な四官能性エポキシ樹脂には、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(Mitsubishi Gas Chemical CompanyからはTetrad−Xの名称で、CVC ChemicalsからはErisys GA−240として市販されている)、及びN,N,Ν’,Ν’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えばHuntsman Advanced Materials製のMY721)が挙げられる。
【0024】
硬化剤と硬化性樹脂をブレンドして均一な液体が形成され得るためには、ブレンド温度が、液体樹脂中への硬化剤の溶解が可能になるほど十分に高くなければならず、これは、硬化剤の融点より低くてもよい。しかしながら、ブレンド温度が高すぎた場合、硬化剤と硬化性樹脂の間で尚早反応が開始される。
【0025】
ブレンド温度は、硬化剤が硬化性樹脂中に溶解する温度から硬化剤の融点より低い温度までの範囲に及び得る。したがって、典型的には、ブレンド温度は、60から180℃までであり、好ましくは80から160℃までであり、より好ましくは90から150℃までである。最も好ましくは、70から150℃までの範囲、90から140℃までの範囲、好ましくは100から130℃までの範囲の温度において、硬化剤を樹脂とブレンドして、硬化剤を溶解する。
【0026】
高温において硬化性樹脂と硬化剤とをブレンドすると、これらが尚早に反応し合う傾向が増して、熱的な安全性上のハザード又は暴走発熱反応が生じる可能性がある。さらに、高いブレンド温度により樹脂の活性化レベルが増大して、それにより、インターポリマーネットワークの形成に伴って樹脂の硬化が進行することが可能になるので、ブレンドにより樹脂の活性は効果的に低下する。したがって、高温でのブレンド操作の場合は、可能な限り短時間で実施して、良好なブレンドを確実に行うことが好ましい。
【0027】
好ましい一実施形態では、ブレンドは、インライン式又は連続式のプロセス中に実施される。好ましくは、一部分の液体樹脂のみを硬化剤と任意の時点においてブレンドして、該ブレンドの温度を制御し、且つ、該ブレンドが尚早に硬化するのを阻止する。ブレンド中の滞留時間は、該固体状硬化剤が硬化性樹脂中に溶解するように選定される。ブレンダー内での滞留時間は、1秒から10分までの範囲、好ましくは30秒から5分までの範囲、より好ましくは30秒から2分までの範囲に及び得る。滞留時間は、ブレンダーの中を通る液体樹脂の流れとブレンダーの寸法とによって定義され、即ち、滞留時間=ブレンダーの体積/ブレンダーを通る流れの速度である。
【0028】
ブレンディングの後に、上記ブレンドを冷却してもよい。冷却は、強化樹脂の表面積を増大して素早い熱伝達を可能にすることによって実施してもよい。該樹脂は、空気などの冷媒又は冷却器若しくはチラーにさらしてもよい。ブレンドは、該ブレンドのキャスティング又は構成繊維配列体の含侵によって冷却してもよい。
【0029】
さらなる一実施形態では、液体状硬化性樹脂は強靭化材又は強靭化剤を含む。好ましくは、強靭化材又は強靭化剤は、熱可塑性物質である。熱可塑性強靭化は、熱硬化性航空宇宙用樹脂を強靭化するのに使用される一般的な熱可塑性材料のいずれであってもよい。強靭化剤はポリマーでもよく、これには、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、又はターポリマーの形態があり得る。熱可塑性強靭化剤は、炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、ケイ素−酸素結合、及び炭素−硫黄結合から選択される単一又は複数の結合を有する熱可塑性樹脂でもよい。1つ又は複数の繰り返し単位は、主要なポリマー主鎖又は主要なポリマー主鎖に懸垂している側鎖のいずれかに対して次の通りの残基、アミド残基、イミド残基、エステル残基、エーテル残基、カルボネート残基、ウレタン残基、チオエーテル残基、スルホン残基及びカルボニル残基が組み込まれているポリマー中に存在していてもよい。該ポリマーは、直鎖状又は分岐状のいずれの構造でもよい。熱可塑性ポリマーの粒子は、晶質又は非晶質又は部分的に晶質のいずれでもよい。
【0030】
強靭化剤として使用される熱可塑性材料の適例には、ポリアミド、ポリカルボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン及びポリエーテルケトンが挙げられる。ポリエーテルスルホン及びポリエーテルエーテルスルホンは、好ましい種類の熱可塑性材料である。未硬化状樹脂組成物中に存在する強靭化剤の量は通常、5から30wt%までの範囲、好ましくは、強靭化剤の量は、10wt%から20wt%までの範囲にわたる。
【0031】
市販の熱可塑性強靭化剤の例には、Sumitomo Chemicals Co.(Osaka,Japan)から入手可能なSumikaexcel 5003P PES、BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能なUltrason E2020P SR、及び、Solvay Engineered Polymers,Auburn Hills,USAから入手可能でエーテルスルホン及びエーテルエーテルスルホンのモノマーユニットのコポリマーであるSolvay Radel Aが挙げられる。任意選択により、これらのPES又はPES−PEESコポリマーは、緻密化した形態で使用してもよい。緻密化プロセスは、米国特許第4945154号に記載されている。
【0032】
それゆえ、好ましくは、繊維の含漬前、ブレンドされた硬化剤と硬化性樹脂は、10分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満の間、100℃より高く、好ましくは120℃より高く、より好ましくは140℃より高い。
【0033】
好ましくは、繊維の含漬前、ブレンドされた硬化剤と硬化性樹脂の温度は、10分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満の間、100℃より高く、好ましくは120℃より高く、より好ましくは140℃より高い。
【0034】
また、樹脂のブレンド中に真空を適用すると、最終的な多孔度をさらに低下できることが判明した。
【0035】
発明者らは、短時間で大量の樹脂の温度が上昇することにより、それに固有の難点が現れることを見いだした。熱は通常、容器の加熱によって伝わり、該容器内部には、硬化性樹脂が含まれており、これにより、容器内部には温度勾配が生じる。
【0036】
好都合な加熱プロセスは、狭口径導管の中を硬化性樹脂及び硬化剤が通過し、その結果、ブレンド温度に到達するまでに熱が伝導する距離が短くなることを含むことが判明した。これは、中心部の材料が加熱され始めた際、最初に加熱された壁付近の材料は、あまりに長い間、ブレンド温度になっていないことを意味している。
【0037】
したがって、好ましくは、上記プロセスは、20.0cm未満、好ましくは10.0cm未満、より好ましくは5.0cm未満という特徴的直径を有する導管の中を、液体状硬化剤及び液体状硬化性樹脂が通過することを含む。この特徴的直径は、上記導管の横断面の表面積と表面積が同じになっている円形の横断面を有する概念上の導管の内径とみなされる。
【0038】
したがって、導管の壁を100から300℃までの温度に加熱することにより、良好な結果が生じる。
【0039】
好ましい一実施形態では、導管は、混合要素を含む。混合要素は、固定式のものでも動的可動式のものでもよい。特に好ましいプロセスの一つでは、導管及び混合要素を提供するためにスクリュー押出機が用いられる。
【0040】
一旦ブレンド操作を行った後には、ブレンドされた硬化性樹脂を冷却して、あらゆる望ましくない尚早反応及び熱的ハザードも最小限にすることが重要である。
【0041】
一旦調製されると、ブレンドされた硬化性樹脂は次いで、当分野で公知な方式により、構成繊維中に含侵される。含漬の程度は変動し得るが、航空宇宙用途では、それは通常、繊維をほぼ完全に含侵することを意図しており、この実施形態では、ほとんどすべての繊維が硬化性樹脂と接触している。
【0042】
典型的には、構成繊維は平板状であり、その結果、それらは一旦含侵したプリプレグを形成する。構成繊維は、不規則型、編み物型、不織布型、多軸型又はその他の適切な任意のパターンの形態になり得る。しかしながら、好ましくは、それらは実質的に一方向性である。
【0043】
構成繊維には、細断された(即ち、延伸により破断した)、選択的に非連続的又は連続的な繊維が含まれていてもよい。
【0044】
構成繊維は幅広い種類の材料、例えば炭素、黒鉛、ガラス、金属化ポリマーのアラミド及びそれらの混合物から製作できる。炭素繊維が好まれる。
【0045】
硬化性複合材料は幅広い種類の構造の形状に成形できるが、好ましくは、航空宇宙用構造部材に成形される。
【0046】
一旦形成されると、硬化性複合材料は、高温にさらされることによって硬化される。しかしながら、硬化中の圧力は、3.0絶対バールを超えない。
【0047】
硬化プロセスは、2.0絶対バール未満の圧力で実施してもよい。特に好ましい実施形態では、圧力は大気圧より低い。この硬化プロセスは、80から200℃までの範囲の1つ又は複数の温度において、所望の程度の硬化を発生させるのに十分な時間をかけて実施できる。
【0048】
大気圧に近い圧力での硬化は、いわゆる真空バッグ法によって実現できる。これは、気密バッグ内に複合材料を入れて、該バッグの内側を真空引きすることを含む。これには、適用される真空の程度に応じて複合材料が受ける圧密圧力を、大気圧までにするという効果がある。
【0049】
一旦硬化すると、複合材料は、構造体用途、例えば航空宇宙用構造体内への使用に適したものになり得る。
【0050】
このような硬化複合材料は、体積多孔度において3.0%未満、好ましくは2.0%未満、より好ましくは1.0%未満、又はさらには0.5%未満といった低い多孔度を有する。
【0051】
さらなる一実施形態では、70℃から150℃までの温度、好ましくは90℃から140℃までの温度、又は90℃から150℃までの温度、最も好ましくは100℃から140℃までの温度(又は前述の範囲の組合せ)において、液体状硬化性樹脂と硬化剤とをインライン式又は連続式にブレンドし、体積多孔度にして4.0%未満、好ましくは3.0%未満、より好ましくは2.0%未満の多孔度を有する硬化性複合材料を形成し、その後、脱オートクレーブで硬化することによって調製される強化樹脂の、繊維配列体内への使用が提供される。多孔度は、0%から5.0%までの範囲、0%から4%、3%、2%、若しくは1%までの範囲、又は0.5%から4%、3%、2%若しくは1%までの範囲、及び/又は前述の多孔度の任意の組合せになり得る。
【0052】
脱オートクレーブ硬化は、60℃から200℃までの範囲の温度、80℃から180℃までの範囲の温度、好ましくは80℃から160℃までの範囲の温度、最も好ましくは80℃から140℃までの範囲の温度及び/若しくは前述の温度の組合せにおいて、且つ/又は大気圧未満の圧力において、実施してもよい。
【0053】
「脱オートクレーブ」硬化とは、本明細書では、オートクレーブの使用なしで、上昇させた圧力において、複合材料が硬化できるようにする任意の技法を指す。オートクレーブは通常、金属製シール可能なハウジングによって形成された排気チャンバを備えており、該ハウジングの中には、複合材料又は成型物が置かれる。該チャンバは、成型物が硬化している間に排気されて、非常に低い真空圧力になる。論じてきた通り、オートクレーブは、非常に高価なものであり、排気チャンバの寸法のせいで、加工できる成型物のサイズも制限されてしまう。本発明の材料は、オートクレーブの前述の欠点を有さない真空バッグプロセシングには特に適している。
【0054】
次に、以下の実施例において、下記図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1では、比較例1による硬化ラミネートの横断面の画像が、そのC−スキャンと一緒に示されている。
【
図2】
図2では、実施例1による硬化ラミネートの横断面の画像が、そのC−スキャンと一緒に示されている。
【
図3】実施例において使用された真空バッグ硬化処理装置の概略的描写である。
【
図4】実施例において使用された硬化サイクルを示す図である。
【実施例】
【0056】
(比較例1−従来式の混合による樹脂の調製)
Winkworth Z−ブレード混合機に、1405gのMY721(Huntsman)と、1405gのMY0510(Huntsman)と、845gの5003P ポリエーテルスルホン粉末(Sumitomo製)を加えた。温度を130℃に上昇させ、ポリエーテルスルホンが樹脂中に溶解するまで2時間かけて混合した。次いで、樹脂混合物を80℃まで冷却した後、1210gの3,3’DDSと135gの4,4’DDSを加え、DDS粉末を分散するために20分間混合した。その後、完成した樹脂を使用して、単位面積重量(areal weight)145gの完全に含漬した一方向性プリプレグテープを、標準的なフィルム転写法に従って作製した。使用した繊維はHextow IM7−12Kであり、樹脂含有率は35%だった。
【0057】
(例1−押出機での混合による樹脂の調製)
110℃のバレル温度において−0.8バールゲージの真空を適用して、内径25mmの二軸スクリュー押出機内でDDS粉末を樹脂に導入することにより、上記と同一の樹脂を製造した。この場合、DDS粉末を樹脂中に溶解する。
【0058】
(例2−ラミネートの調製)
寸法400x400x5mmの実施例1による一方向性ラミネートを、疑似等方向性レイアップ状にした32枚のプリプレグを用いて作製した。プリプレグの積層体を、真空下で4枚ごとに分解した。次いで、このラミネートを従来式の硬化サイクル(
図4で図示されている)及び真空バッグ処理用構成(
図3で図示されている)に従ってオーブン内で硬化した。
【0059】
12枚使用して約4.3mmの厚さにする点を除き、繊維ラミネートを同じ方法で作製する。
【0060】
(例3−C−スキャン及び多孔度の測定)
硬化したラミネートをOlympus Omniscan装置でC−スキャンして、該ラミネートの品質を評価した。この試験では、超音波プローブを使用して、ラミネートの2次元画像上で白い点として示される空隙の存在を測定する。これらのC−スキャンデータから、ラミネートの代表試料を切り出して研磨し、顕微鏡下で観察した。顕微鏡写真の画像分析を用いて、空隙領域の百分率を計算した。
【0061】
図1では、比較例1に関して得られた画像が示されており、3.24vol%の多孔度が示されている。
【0062】
図2は、本発明による実施例1に関して得られた画像が示されており、0.17vol%の多孔度が示されている。
【0063】
次に、本発明の代替実施形態を簡潔に紹介する。
【0064】
一実施形態では、硬化複合材料の製造方法が提供され、該方法は、液体状硬化性樹脂と、100℃を超える融点を有する硬化剤とをブレンドして、硬化性樹脂と硬化剤の液体状ブレンドを形成するステップ、ブレンドされた硬化性樹脂と硬化剤に対して構成繊維配列体の少なくとも一部を含漬して、硬化性複合材料を形成し、その後、該複合材料を、3絶対バール以下の圧力において高温にさらして硬化させ、硬化複合材料を形成するステップを含む。
別の実施形態では、硬化剤は120℃超の融点を有し、好ましくは、融点は140℃より高い。
さらなる一実施形態では、硬化剤はジアミノジフェニルスルホンを含む。
一実施形態では、ブレンドは、60から180℃までの温度、好ましくは80から160までの温度、より好ましくは90から150℃までの温度において実施される。
さらなる一実施形態では、繊維の含漬前、ブレンドされた硬化剤と硬化性樹脂は10分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満の間、100℃より高く、好ましくは120℃より高く、より好ましくは140℃より高い。
一実施形態では、樹脂のブレンド中に真空が適用される。
さらなる一実施形態では、本方法は、20cm未満、好ましくは10cm未満の特徴的直径を有する導管の中を、液体状硬化剤及び硬化性樹脂ブレンドが通過することを含む。導管の壁は、100から300℃までの温度に加熱され得る。導管は、混合用器具を含んでいてもよい。
別の実施形態では、スクリュー押出機を用いて、導管及び混合用器具を提供する。
さらなる一実施形態では、構成繊維は平板状であり、この結果、それらは一旦含漬したプリプレグを形成する。
別の実施形態では、硬化性複合材料を航空宇宙用構造部材に成形する。
別の実施形態では、硬化プロセスを2.0絶対バール未満の圧力、好ましくは大気圧未満の圧力で実施する。硬化は、いわゆる真空バッグ法によって実施してもよい。
最後の一実施形態では、硬化複合材料は、体積多孔度において3.0%未満、好ましくは2.0%未満、より好ましくは1.0%未満、最も好ましくは0.5%未満の多孔度を有する。
【0065】
したがって、樹脂及び硬化性複合体の調製方法であって、該複合体は、レイアップされて成型物を形成する際、オートクレーブを有していない従来型設備を用いて硬化でき、一方、硬化成型物内の多孔度はやはり低下し、これにより、大抵は硬化性複合体のオートクレーブ内での硬化処理が伴われることになる調製方法が提供される。
なお、下記[1]から[17]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
a.液体状硬化性樹脂を用意するステップ、
b.硬化剤を固体として用意するステップ、
c.前記液体状硬化性樹脂の少なくとも一部分の中に、前記硬化剤のインライン式又は連続式でブレンドさせ、硬化剤を70℃から150℃までの温度、好ましくは90℃から140℃までの温度で溶解するステップ、及び
d.溶解の後、ブレンドを冷却して、強化樹脂を形成するステップ
を含む、強化樹脂の調製方法。
[2]
インライン式のブレンドを、硬化剤の添加から硬化剤が溶解するまでの滞留時間の間、ブレンダー内で実施し、好ましくは、ブレンダー内での滞留時間は、1秒から10分間までの範囲、最も好ましくは30秒から5分間までの範囲である、[1]に記載の方法。
[3]
冷媒にさらされる強化樹脂の表面積の増大することによって冷却を実施する、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
ブレンドが、ブレンドのキャスティング又は構成繊維配列体の含漬によって冷却される、[1]から[3]までのいずれか一項に記載の方法。
[5]
ステップa)において、液体状硬化性樹脂が強靭化材を含む、[1]から[4]までのいずれか一項に記載の方法。
[6]
[1]から[5]までのいずれか一項で規定した強化樹脂を調製することを含む硬化性複合材料の製造方法であって、構成繊維配列体の少なくとも一部分が含漬される方法。
[7]
硬化剤が100℃を超える融点を有する、[1]から[6]までのいずれか一項に記載の方法。
[8]
[6]又は[7]に記載のプロセスの後に、複合材料を、オートクレーブを使用しないで、1bar超の圧力において少なくとも60℃の温度にさらすことにより、硬化複合材料を形成するステップを含む、硬化複合材料の製造方法。
[9]
液体状硬化性樹脂と、100℃超の融点を有する硬化剤とをブレンドして、硬化性樹脂と硬化剤の液体状ブレンドを形成するステップ、ブレンドされた硬化性樹脂と硬化剤に対して構成繊維配列体の少なくとも一部分を含漬して、硬化性複合材料を形成し、その後、複合材料を、3絶対バール以下の圧力において高温にさらして硬化させ、硬化複合材料を形成するステップを含む、硬化複合材料の製造方法。
[10]
ブレンドが60から180℃までの温度、好ましくは80から160℃までの温度、より好ましくは90から150℃までの温度において実施される、[1]から[9]までのいずれか一項に記載の方法。
[11]
繊維の含漬前、ブレンドされた硬化剤と硬化性樹脂の温度が10分未満、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満の間、100℃より高く、好ましくは120℃より高く、より好ましくは140℃より高い、[1]から[10]までのいずれか一項に記載の方法。
[12]
樹脂をブレンドしている間、真空が適用される、[1]から[11]までのいずれか一項に記載の方法。
[13]
構成繊維が平板状であり、その結果、構成繊維は一旦含侵したプリプレグを形成する、[6]から[12]までのいずれか一項に記載の方法。
[14]
硬化性複合材料が航空宇宙用構造部材に成形される、[6]から[13]までのいずれか一項に記載の方法。
[15]
硬化プロセスが2.0絶対バール未満の圧力、好ましくは大気圧未満の圧力、又は大気圧を超える圧力において実施される、[6]から[14]までのいずれか一項に記載の方法。
[16]
強化樹脂及び繊維配列体を含む硬化性複合材料であって、前記強化樹脂が、液体状硬化性樹脂と、70℃から150℃までの温度、好ましくは90℃から140℃までの温度において前記液体状硬化性樹脂中に溶解した固体状硬化剤とのブレンドを含む上記硬化性複合材料。
[17]
70℃から150℃までの温度、好ましくは90℃から140℃までの温度において、液体状硬化性樹脂と硬化剤とをインライン式又は連続式にブレンドして、体積多孔度2.0%未満、好ましくは1.0%未満の多孔度を有する硬化性複合材料を形成し、その後、60℃から200℃までの範囲の温度において脱オートクレーブで硬化させることによって調製される強化樹脂の、繊維配列体内における使用。