特許第6351704号(P6351704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351704軽量支持構造体及びその製造方法、及び複合サンドイッチパネル及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351704
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】軽量支持構造体及びその製造方法、及び複合サンドイッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/01 20060101AFI20180625BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   F16B5/01
   B64C1/00 B
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-503559(P2016-503559)
(86)(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公表番号】特表2016-518560(P2016-518560A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2013076127
(87)【国際公開番号】WO2014146739
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】13160089.2
(32)【優先日】2013年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515261893
【氏名又は名称】ルアク・シュヴァイツ・アクチェンゲゼルシャフト・ルアク・スペース
【氏名又は名称原語表記】RUAG SCHWEIZ AG, RUAG SPACE
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・クリスティアン・ネゲリ
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−076035(JP,A)
【文献】 米国特許第04812193(US,A)
【文献】 米国特許第04729705(US,A)
【文献】 米国特許第08393601(US,B2)
【文献】 特開2010−203604(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第01455235(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D47/00−55/00
B64B1/00−1/70
B64C1/00−99/00
B64D1/00−47/08
B64F1/00−5/00
B64G1/00−99/00
F16B5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面板(10)と、前記第1表面板(10)に取り付けられた軽量芯材(15)と、前記第1表面板(10)の反対側に前記軽量芯材(15)に取り付けられた任意の第2面板(20)と、前記第1面板(10)を貫通して前記軽量芯材(15)内に延伸する本質的に回転対称な切り欠き(30)と、を有する複合サンドイッチパネル(5)と、
前記切り欠き(30)に嵌め込まれて、構成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネルに対する固定のための、回転対称なインサート(50)と、を備え、
前記切り欠き(30)は、互いに対して本質的に同心円状に配置され、その間に支持部(40)を提供する、本質的に回転対称な内側切り欠き(31)と本質的に回転対称な外側切り欠き(32)とを含んでおり、
前記支持部(40)は、前記軽量芯材(15)から切り出された芯材支持部(41)と、前記第1表面板(10)から切り出された、上部の支持表面板ディスク(42)と、を含んでいる、ことを特徴とする軽量支持構造体(1)。
【請求項2】
前記芯材支持部(41)は、前記インサート(50)が前記複合サンドイッチパネルの内側にフラットに収まることを可能にするように、圧縮されている、
請求項1に記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項3】
前記インサート(50)は、
前記複合サンドイッチパネル(5)の前記内側切り欠き(31)内に受け入れ可能となるように構成された内側インサートリング(51)と、
前記複合サンドイッチパネル(5)の前記外側切り欠き(32)内に受け入れ可能となるように構成された外側インサートリング(52)であって、前記複合サンドイッチパネル(5)の支持部(40)を受け入れるためのインサートトレンチ(54)を間に提供するように、前記内側インサートリング(51)に対して配置された外側インサートリング(52)と、
前記内側インサートリング(51)を前記外側インサートリング(52)に接続し、前記支持部(40)の支持表面板ディスク(42)上に載置可能となるように構成されたインサート接続部(53)と
含んでいる、
請求項1または2に記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項4】
前記前記インサート(50)は、構成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への取り付けおよび/または前記複合サンドイッチパネル(5)に対する固定のための治具(100)を受け入れるためのインサート受け入れ領域(55)を含んでいる、
請求項3に記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項5】
前記インサート(50)は、自己切断式インサートであって、その内側インサートリング(51)及び外側インサートリング(52)は、アブレーシブコーティングおよび/または鋸歯型幾何形状を、少なくとも部分的に備えており、それによって、その対称軸周りの前記インサート(50)の回転によって、前記内側インサートリング(51)が前記複合サンドイッチパネル(5)に前記内側切り欠き(31)を切り込むことができ、前記外側インサートリング(52)が前記複合サンドイッチパネル(5)に前記外側切り欠き(32)を切り込むことができる、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項6】
前記インサート(50)は、前記複合サンドイッチパネル(5)の前記切り欠き(30)に、形状フィットおよび/または圧力嵌めおよび/または金属ろう付けおよび/または接着剤を用いて、嵌め込まれている、
請求項1〜のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項7】
接着材(56)、前記インサートトレンチ(54)に設けられており、
前記インサート(50)は、前記外側インサートリング(52)を貫通して前記トレンチ(54)から延伸している少なくとも1つのチャネル(57)を含んでおり、それによって、前記インサート(50)の前記複合サンドイッチパネル(5)の切り欠き(30)への嵌め込みのときに、前記支持表面板ディスク(42)が前記少なくとも1つのチャネル(57)を通じて前記接着剤(56)を圧迫するように構成されている、
請求項のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)。
【請求項8】
第1表面板(10)と、前記第1表面板(10)に取り付けられた軽量芯材(15)と、を含む複合サンドイッチパネル(5)を提供するステップと、
本質的に回転対称な内側切り欠き(31)と本質的に回転対称な外側切り欠き(32)とを、前記複合サンドイッチパネル(5)に、前記第1表面板(10)を貫通して、前記軽量芯材(15)に切り込むことによって切断するステップであって、前記内側切り欠き(31)と前記外側切り欠き(32)とが本質的に互いに対して同心円状に配置されているステップと、を含み、
前記内側切り欠き(31)と前記外側切り欠き(32)とを切断することによって、その間に支持部(40)を提供するステップであって、前記支持部(40)は、前記軽量芯材(15)から切り出された芯材支持部(41)と、前記第1表面板(10)から切り出された、上部の支持表面板ディスク(42)と、を含んでいるステップと、
成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネル(5)に対する固定のための回転対称なインサート(50)を前記切り欠き(30)に嵌め込むステップと、を含み、
前記切り欠き(30)は、前記構成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネル(5)に対する固定のための回転対称なインサート(50)を受け入れるように構成されており、
前記支持部(40)は、前記複合サンドイッチパネル(5)内に前記インサート(50)を安定させるように構成されている、ことを特徴とする軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項9】
前記インサート(50)を前記切り込み(30)に嵌め込む前記ステップは、
前記インサート(50)の内側インサートリング(51)を前記複合サンドイッチパネル(5)の前記内側切り欠き(31)に嵌め込むステップと、
前記インサート(50)の外側インサートリング(52)を前記複合サンドイッチパネル(5)の前記外側切り欠き(32)に嵌め込むステップと、
前記内側インサートリング(51)を前記外側インサートリング(52)に接続するインサート接続部(53)を、前記支持部(40)の前記支持表面板ディスク(42)上に載置するステップと、を含み、
前記インサート(50)は、嵌め込まれるときに、前記切り欠き(30)に自己位置合わせする、
請求項に記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項10】
前記インサート(50)は、前記内側インサートリング(51)のテーパー状円錐部分(51.5)および/または前記外側インサートリング(52)のテーパー状円錐部分(52.5)を用いて、前記切り欠き(30)に自己位置合わせする、
請求項9に記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項11】
前記インサート(50)を前記切り欠き(30)に嵌め込む前記ステップは、
a)前記インサート接続部(52)が前記支持表面板ディスク(42)に対して圧力をかけることによって、前記芯材支持部(41)を圧縮するステップと
b)前記インサート(50)の上面と前記第1表面板(10)の上面との間の高低差(U)を計測するステップと、
c)前記圧縮(Δ)を増大するステップと、
d)前記高低差(U)が所定の高低差許容範囲より小さく、つまり、前記インサート(50)が前記複合サンドイッチパネル(5)の内側にフラットに収まるまでステップa)〜ステップc)を繰り返すステップと、をさらに含んでいる、
請求項9又は10に記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項12】
前記芯材支持部(41)は、前記インサート接続部(53)の厚さ(D)に等しい圧縮(Δ)によって、圧縮される
請求項11に記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項13】
前記回転対称なインサート(50)は、前記複合サンドイッチパネル(5)の前記切り欠き(30)に、形状フィットおよび/または圧力嵌めおよび/または金属ろう付けおよび/または接着剤を用いて、嵌め込まれている、
請求項12のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項14】
前記内側切り欠き(31)および前記外側切り欠き(32)は、前記インサート(50)のその対称軸周りの回転によって、前記複合サンドイッチパネル(5)に自己切断されており、
前記インサート(50)の前記内側インサートリング(51)および前記外側インサートリング(52)は、アブレーシブコーティングおよび/または鋸歯型幾何形状を、少なくとも部分的に備えている、
請求項13のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項15】
前記内側切り欠き(31)および前記外側切り欠き(32)は、前記内側切り欠き(31)に対応する内側切断リング(71)と前記外側切り欠き(32)に対応する外側切断リング(72)とを有する切断ツール(70)を用いて、前記複合サンドイッチパネル(5)に切り込まれている、
請求項13のいずれか1つに記載の軽量支持構造体(1)を製造する方法。
【請求項16】
複合サンドイッチパネル(5)は、第1表面板(10)と、前記第1表面板(10)に取り付けられた軽量芯材(15)と、前記第1表面板(10)の反対側に前記軽量芯材(15)に取り付けられた任意の第2表面板(20)と、を備え、
前記複合サンドイッチパネル(5)は、前記第1表面板(10)を貫通して前記軽量芯材内へ延伸する回転対称な切り欠き(30)を備え、
記切り欠き(30)は、互いに対して本質的に同心状に配置され、その間に、前記軽量芯材(15)から切り出された芯材支持部(41)と前記第1表面板(10)から切り出された支持表面板ディスク(42)とを含んでいる支持部(40)を提供する、本質的に回転対称な内側切り欠き(31)と、本質的に回転対称な外側切り欠き(32)と、を含んでおり、
前記切り欠き(30)は、構成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネル(5)に対する固定のための回転対称なインサート(50)を、形状フィットおよび/または圧力嵌めによって受け入れるように構成されており、
前記支持部(40)は、前記複合サンドイッチパネル(5)内に前記インサート(50)を安定させるように構成されている、複合サンドイッチパネル(5)。
【請求項17】
第1表面板(10)と、前記第1表面板(10)に取り付けられた軽量芯材(15)と、前記第1表面板(10)の反対側に前記軽量芯材(15)に取り付けられた任意の第2表面板(20)と、を備える複合サンドイッチパネル(5)を提供するステップと、
本質的に回転対称な内側切り欠き(31)と本質的に回転対称な外側切り欠き(32)とを、前記第1表面板(10)を貫通して前記軽量芯材(15)に切り込むことによって前記複合サンドイッチパネル(5)に切断するステップであって、前記内側切り欠き(31)と前記外側切り欠き(32)とが互いに対して本質的に同心状に配置されているステップと、
前記内側切り欠き(31)と前記外側切り欠き(32)とを切断することによって、その間に支持部(40)を提供するステップであって、前記支持部(40)は、前記軽量芯材(15)から切り出された芯材支持部(41)と、前記第1表面板(10)から切り出された、上部の支持表面板ディスク(42)と、を含んでいるステップと、
成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネルに対する固定のための回転対称なインサート(50)を、形状フィットおよび/または圧力嵌めによって受け入れるように前記切り欠き(30)を構成するステップと、
前記複合サンドイッチパネル(5)内に前記インサート(50)を安定させるように前記支持部(40)を構成するステップと、を含んでいる複合サンドイッチパネル(5)を製造する方法。
【請求項18】
前記内側切り欠き(31)及び前記外側切り欠き(32)はそれぞれ、構成要素の前記複合サンドイッチパネル(5)への負荷付与および/または前記複合サンドイッチパネルに対する固定のためのインサート(50)の内側インサートリング(51)及び外側インサートリング(52)それぞれによって、その対称軸周りの前記インサート(50)の回転によって自己切断されており、
前記内側インサートリング(51)および外側インサートリング(52)それぞれは、アブレーシブコーティングおよび/または鋸歯型幾何形状を少なくとも部分的に備えている、
請求項17に記載の複合サンドイッチパネル(5)を製造する方法。
【請求項19】
前記内側切り欠き(31)および前記外側切り欠き(32)は、前記内側切り欠き(31)および前記外側切り欠き(32)にそれぞれ対応する内側切断リング(71)及び外側切断リング(72)を含む切断ツール(70)を用いて、前記複合サンドイッチパネル(5)に切り込まれている、
請求項17に記載の複合サンドイッチパネル(5)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合サンドイッチパネルと負荷付与および/または固定要素とを有する軽量支持構造体、及びそのような軽量支持構造体を製造する方法に関する。本発明はさらに、複合サンドイッチパネル及びそのような複合サンドイッチパネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合サンドイッチパネルは、2つの相対的に薄いが堅固な表面板を軽量であるが厚い芯材に取り付けることによって作製される特別なタイプの複合材料/構造体である。芯材は通常、相対的に強度の低い材料であるが、より厚くなっていることによって、サンドイッチ複合材を、全体的に低密度で曲げ剛性を高くすることができる。複合サンドイッチパネルは、一般的に、引張強度をもたらす2つの薄い層間に芯材をはさんで層状にすることによって作製される。軽量芯材は通常、接着結合および/または金属ろう付けによって表面板に取り付けられる。これによって、プレート状のアセンブリが形成される。
【0003】
表面板は通常、ガラスおよび/もしくは炭素繊維強化熱可塑性樹脂、ならびに/または、不飽和ポリエステル、エポキシのような熱硬化性樹脂の積層板である。代替的に、好ましくはアルミニウムのような軽金属の金属薄板が、サンドイッチパネルの表面板に利用される場合もある。サンドイッチパネルの軽量芯材は通常、連続気泡構造発泡体および/もしくは独立気泡構造発泡体(ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンまたは発泡ポリスチレン、シンタチックフォームなど)、または、好ましくはアルミニウムのような軽金属の連続気泡金属発泡体および/もしくは独立気泡金属発泡体である。
【0004】
好ましくはアルミニウムのような軽金属またはガラス繊維および先進的な複合材料のハニカム構造が、それらの強度重量比が優れていることに起因して、軽量芯材として好まれることが非常に多い。ハニカム構造は、最小の重量に達するのに使用される材料の量を最小限に抑えることを可能にする、蜂の巣状の幾何形状を有する構造である。ハニカム構造の幾何形状は広く多様で有り得るが、すべてのそのような構造の共通の特徴は、薄い垂直な壁の間に形成される中空の小部屋が並んでいることである。小部屋は六角柱の形状であることが多い。ハニカム形状構造は、最小限の密度ならびに相対的に高い面外圧縮特性および面外せん断特性を材料にもたらす。
【0005】
複合サンドイッチパネルの挙動は直交異方性であり、それゆえ、パネルは、構造の向きに応じて異なる反応を示す。それゆえ、面内力と面外力との間で区別することが必要である。複合サンドイッチパネルにおいて、表面板は、面内力を伝達するために設けられるが、軽量芯材は、高い面外圧縮耐性のために設けられる。
【0006】
複合サンドイッチパネルは、平坦またはわずかに湾曲した表面が必要とされ、それらの高い強度重量比が有益である場合に広く使用されている。複合サンドイッチパネルは、この理由から航空宇宙産業に広く利用されており、長年にわたって航空機およびロケットに取り上げられている。サンドイッチパネルは高い負荷を支えることが可能であるが、様々な構成要素の負荷付与および/または固定は、上記のように付与される力の方向に応じて強度が異なることに起因して、特定のソリューションを必要とする。複合サンドイッチパネルの高度な特性を完全利用し、その損傷を回避するために、レンズ、アンテナなどのような取り付けられる構成要素からの静的および動的負荷が、構造体に最適に伝達されなければならない。航空機、宇宙船、ロケット、衛星などは、最大100g程度の強い振動を受けるため、それらの振動を支える、サンドイッチパネルに対する構成要素の固定点に対する負荷は非常に高い。
【0007】
これらの厳しい要求を満たすために、構成要素の固定および負荷付与は、英国特許第1328429号明細書に開示されているインサートのような、サンドイッチ構造体に嵌め込まれるインサートによって達成され得る。同時に、インサートは、複合サンドイッチパネル内にフラットに収まるように嵌められるべきである。このプロセスは現在、主に手作業で、または、様々なツールおよび補助手段を必要とする、労力のかかる製造ステップを含む複雑なプロセスによって実施されている。たとえば、英国特許第1328429号明細書のインサートは、複合サンドイッチパネルの表面板に平行な補助板を使用することによって装着され、補助板は、インサートのパネルへの挿入の間、および、インサートをパネル内に接着する接着剤が硬化している間、インサートに取り付けられている。しかしながら、これは最大48時間かかる可能性があり、これによって、このプロセスは非常に非効率になっている。さらに、予期せず接着剤が漏れて補助板がインサートに接着されてしまうことが非常に多く、これによって、インサートに応力が加えられ、または最悪の場合には、補助板を取り外している間にサンドイッチパネルから抜け落ちてしまい、それによって、サンドイッチパネル全体が損傷を受けることさえあり得る。加えて、複合サンドイッチパネルへの負荷付与のための既知のインサートは、それらが取り付けられる切り欠きと非常に精密に位置合わせされなければならず、自動の組み立てが不可能になるか、または非常に費用がかかるものになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】英国特許第1328429号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、様々なツール及び補助を必要とすることなく、提供する労力を大幅に低減しながら、様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与とを可能にする、複合サンドイッチパネルを有する、軽量支持構造体及びその対応する製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与との供給を可能にするインサートを受け入れるのに適した、複合サンドイッチパネル及びその対応する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
様々なツールおよび補助を必要とすることなく、提供する労力を大幅に低減しながら、様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与とを可能にする、軽量支持構造体を提供するという上述した目的は、複合サンドイッチパネルを備える軽量支持構造体によって成し遂げられる。複合サンドイッチパネルは、面内力を伝達するための第1表面板と、高い横方向せん断強度に構成された軽量芯材とを備え、上記軽量芯材は、表面板に取り付けられており、複合サンドイッチパネルは、第1表面板を通じて上記軽量芯材内へ延伸する、本質的に回転対称な切り欠きをさらに備えている。複合サンドイッチパネルの切り欠きは、互いに対して本質的に同心円状に配置されて、その間に支持部を提供する、本質的に回転対称な内側切り欠きと本質的に回転対称な外側切り欠きとを備え、上記支持部は、上記軽量芯材から切り出された芯材支持部と、上記第1表面板から切り出された、上部の支持表面板ディスクとを備えている。さらに、軽量支持構造体は、様々な構成要素の複合サンドイッチパネルへの負荷付与および/または複合サンドイッチパネルに対する固定のための、上記切り欠きに嵌め込まれる本質的に回転対称なインサートをさらに備えており、芯材支持部は、上記インサートが複合サンドイッチパネル内にフラットに収まることを可能にするように、好ましくは圧縮されている。
【0012】
様々なツール及び補助を必要とすることなく、提供する労力を大幅に低減しながら、様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与とを可能にする、そのような複合サンドイッチパネルを備える軽量支持構造体を製造する方法を提供するという本発明の目的は、面内力を伝達する第1表面板と第1表面板に取り付けられている軽量芯材とを有する複合サンドイッチパネルを提供するステップと、第1表面板を貫通して上記軽量芯材に切り込むことによって、本質的に回転対称な内側切り欠きと本質的に回転対称な外側切り欠きとを切断するステップであって、内側切り欠き及び外側切り欠きは本質的に互いに対して同心円状に配置されているステップと、上記内側切り欠きと外側切り欠きとを切断することによって、その間に支持部を提供するステップであって、上記支持部は、上記軽量芯材から切り出される芯材支持部と、上記第1表面板から切り出される、上部の支持表面板ディスクとを含む、ステップと、様々な構成要素の複合サンドイッチパネルへの負荷付与および/または複合サンドイッチパネルに対する固定のための回転対称なインサートを上記切り欠きに嵌め込むステップと、を含む、軽量支持構造体を製造する方法によって解決される。切り欠きは、様々な構成要素の複合サンドイッチパネルへの負荷付与および/又は複合サンドイッチパネルに対する固定のための回転対称なインサートを受け入れるようになっている一方で、上記支持部は、上記インサートを複合サンドイッチパネル内で安定させるように構成されている。
【0013】
様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与との供給を可能にするインサートを受け入れるのに適した複合サンドイッチパネルを提供するという上述した目的は、面内力を伝達するための第1表面板と、第1表面板に取り付けられた軽量芯材と、を備える複合サンドイッチパネルによって成し遂げられる。複合サンドイッチパネルは、第1表面板を貫通して上記軽量芯材内へ延伸する回転対称な切り欠きを備えている。インサート切り欠きは、互いに対して本質的に同心状に配置されて、その間に、上記軽量芯材から切り出された芯材支持部と上記第1表面板から切り出された支持表面板ディスクとを備える支持部を提供する、本質的に回転対称な内側切り欠きと、本質的に回転対称な外側切り欠きと、を備える。切り欠きは、様々な構成要素の複合サンドイッチパネルへの負荷付与および/または複合サンドイッチパネルに対する固定のための回転対称なインサートを、好ましくは形状フィットおよび/または圧力嵌めによって受け入れるように構成れている一方で、支持部は、複合サンドイッチパネル内に上記インサートを安定させるように構成されている。
【0014】
様々な構成要素の安全且つ強固な固定とそのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与との供給を可能にするインサートを受け入れるのに適した複合サンドイッチパネルを製造する方法を提供するという上述した目的は、面内力を伝達するための第1表面板と第1表面板に取り付けられた軽量芯材とを有する複合サンドイッチパネルを提供するステップと、第1表面板を貫通して上記軽量芯材に切り込むことによって、本質的に回転対称な内側切り欠きと本質的に回転対称な外側切り欠きとを切断するステップであって、内側切り欠き及び外側切り欠きが本質的に互いに対して同心円状に配置されているステップと、上記内側切り欠きと外側切り欠きとを切断することによって、その間に支持部を提供するステップであって、上記支持部は、上記軽量芯材から切り出された芯材支持部と上記第1表面板から切り出された、上部の支持表面板ディスクとを含むステップと、様々な構成要素の複合サンドイッチパネルへの負荷付与および/または複合サンドイッチパネルに対する固定のための回転対称なインサートを好ましくは形状フィットおよび/または圧力嵌めによって受け入れるように、上記切り欠きを構成するステップと、複合サンドイッチパネル内に上記インサートを安定させるように上記支持部を構成するステップと、を有する複合サンドイッチパネルを製造する方法によって成し遂げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のもっとも重要な利点は、軽量支持構造体と複合サンドイッチパネルそれぞれが、様々なツールおよび補助を必要とすることなく、提供する労力を大幅に低減しながら、様々な構成要素の強固且つ精密な固定と、そのような複合サンドイッチパネルへの最適な負荷付与と、を提供できるということである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】既知の複合サンドイッチパネルの斜視図である。
図2A】第1表面板および第2表面板を有する既知の好適な複合サンドイッチパネルの斜視図である。
図2B図2Aの既知の好適な複合サンドイッチパネルの側面図である。
図2C】第1表面板および第2表面板を有する既知の好適な複合サンドイッチパネルの斜視図である。
図3A】本発明に係る複合サンドイッチパネルの上面図である。
図3B図3Aの複合サンドイッチパネルのX−X’に沿った断面の斜視図である。
図3C図3Aの複合サンドイッチパネルのX−X’に沿った側断面図である。
図3D図3CのY−Y’に沿った複合サンドイッチパネルの断面の上面図である。
図3E図3CのY−Y’に沿った複合サンドイッチパネルの断面の斜視図である。
図4A】本発明によるインサートの断面斜視図である。
図4B図4Aのインサートの側断面図である。
図4C】本発明によるインサートのさらなる実施形態の断面斜視図である。
図4D図4Cのインサートの側断面図である。
図4E】本発明によるインサートのさらなる実施形態の断面斜視図である。
図4F図4Eのインサートの側断面図である。
図5A】インサートの特に好適な実施形態の斜視図である。
図5B図5Aのインサートの側断面図である。
図6A】インサートのなおさらなる実施形態の側断面図である。
図6B】自給式接着剤を有するインサートが複合サンドイッチパネルに嵌め込まれるときの、接着剤の分散を示す側断面図である。
図7A】本発明に係る切断ツールの断面斜視図である。
図7B図7Aの切断ツールの側断面図である。
図8A】切断ツールを使用して複合サンドイッチパネル内に切り欠きを切る方法ステップを示す断面斜視図である。
図8B】切断ツールを使用して複合サンドイッチパネル内に切り欠きを切る方法ステップを示す側断面図である。
図9A】複合サンドイッチパネル内に嵌め込まれる直前のインサートを示す断面斜視図である。
図9B】複合サンドイッチパネル内に嵌め込まれる直前のインサートを示す側断面図である。
図9C】複合サンドイッチパネル内に圧入されているインサートを示す側断面図である。
図9D】インサートが圧入されているときの複合サンドイッチパネルの芯材のスプリングバック効果を示す側断面図である。
図10A】複合サンドイッチパネルに嵌め込まれたインサートを備える軽量支持構造体の断面斜視図である。
図10B】複合サンドイッチパネルに嵌め込まれたインサートを備える軽量支持構造の側断面図である。
図11A】インサート内に治具が受け入れられている、複合サンドイッチパネルに嵌め込まれたインサートを備える軽量支持構造体の断面斜視図である。
図11B】インサート内に治具が受け入れられている、複合サンドイッチパネルに嵌め込まれたインサートを備える軽量支持構造体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は原寸に比例して描かれてはおらず、例示として提供されているに過ぎず、より良好な理解のための役割のみを果たし、本発明の範囲を規定するためのものではない。本発明のいかなる特徴の限定も、これらの図面から暗示されるべきではない。
【0018】
本特許出願において特定の用語が使用されるが、それらの明確な表現は、選択される特定の用語によって限定されるように解釈されるべきではなく、その特定の用語の背景にある一般概念に関係するものとして解釈されるべきである。
【0019】
図1は、表面板10および軽量芯材15を有する複合サンドイッチパネルの斜視図を示し、一方で図2Aは、第1表面板10および第2表面板20を有し、その間に軽量芯材15を有する複合サンドイッチパネルの斜視図を示す。2つの表面板を有するサンドイッチパネルがより一般的であり、好適でもあるが、本発明の概念は、1つのみの表面板10を有する複合サンドイッチパネルに適用可能である。図2Bは、図2Aの同じ好適な複合サンドイッチパネル5の側面図を示す。複合サンドイッチパネル5(後述する本発明の切り欠きはない)自体は、既知の方法によって、相対的に薄いが堅固な表面板10、20を軽量であるが厚い芯材15に取り付けることによって製造される。芯材は通常、相対的に強度の低い材料であるが、より厚くなっていることによって、サンドイッチ複合材を、全体的に低密度で曲げ剛性を高くすることができる。複合サンドイッチパネル5は好ましくは、引張強度をもたらす2つの薄い表面板10、20の間に軽量芯材15をはさんで層状にすることによって作製される。
【0020】
複合サンドイッチパネル5の表面板10、20は、次の、ガラスおよび/もしくは炭素繊維強化熱可塑性樹脂ならびに/または不飽和ポリエステル、エポキシのような熱硬化性樹脂の積層板と、ならびに/あるいは、好ましくはアルミニウムのような軽金属の金属薄板と、のうちの1つまたは複数を含む。
【0021】
ほとんどの図面(図2Cを除く)は、軽量芯材15としてハニカム構造を示しているが、本発明の軽量芯材15は、次の、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンまたは発泡ポリスチレン、シンタチックフォームのような連続気泡構造発泡体および/または独立気泡構造発泡体と、好ましくはアルミニウムのような軽金属の連続気泡金属発泡体および/または独立気泡金属発泡体と、好ましくはアルミニウムのような軽金属またはガラス繊維および先進的な複合材料のハニカム構造と、のうちの1つまたは複数を(限定ではなく)含む。
【0022】
軽量芯材15は好ましくは、第1表面板10および/または上記第2表面板20に接着結合および/または金属ろう付けによって取り付けられている。発泡体の形態の代替的な軽量芯材15が、図2Cに示されている。
【0023】
図3Aは、本質的に回転対称な切り欠き30をさらに備える、本発明に係る複合サンドイッチパネル5の上面図を示し、切り欠き30は、上記第1表面板10から切り出される支持表面板ディスク42(図3Bおよび図3Cに示されているような支持部40の一部)をもたらす、互いに対して本質的に同心円状に配置されている、本質的に回転対称な内側切り欠き31、および本質的に回転対称な外側切り欠き32を含む。
【0024】
図3Aに見てとれるように、切り欠き30の支持表面板ディスク42の表面上にある第1表面板10の材料を取り除くことによって、軽量芯材15が露出する。
【0025】
図3B図3Aの複合サンドイッチパネルのX−X’に沿った断面の斜視図を示し、図3Cはその側面図を示す。同心円状に配置された内側切り欠き31と外側切り欠き32との間に形成された支持部40が、これらの図面によく示されており、切り欠き30が第1表面板10を貫通して上記軽量芯材15内へとどのように延伸しているかを示している。それゆえ、支持部40の芯材支持部41は、内側切り欠き31と外側切り欠き32との間にある軽量芯材15の材料から形成されている。軽量芯材15がハニカム構造である実施形態において、ハニカム構造の個々の小部屋のサイズおよび幾何形状は、芯材支持部40が、上部の支持表面板ディスク42を堅固に支持するように選択される。
【0026】
図面に示すように、本発明の最も有利な実施形態によれば、外側切り欠き32は、本質的に中空の円筒形(管状)として切断され、一方で、内側切り欠きは31であり、本質的に中実の円筒形として切断される。それにもかかわらず、軽量芯材15が不均質である可能性があることに起因して、外側切り欠き32および内側切り欠き31(結果もたらされる形態それぞれ上記中空および中実の円筒形切断)は必ずしも、円筒形の外面を有するとは限らない。この理由から、外側切り欠き32および内側切り欠き31はそれぞれ、本特許出願において、本質的に回転対称な切り欠きと称される。これは、図3CのY−Y’に沿った複合サンドイッチパネル5の断面の上面図を示す3Dおよびその斜視図を示す図3E上によく示されている。ここに見てとれるように、外側切り欠き32および内側切り欠き31のそれぞれの外面は、その不均質である可能性のある構造が(切り欠き中に)いくらかが取り除かれている軽量芯材15によって画定される。これらの図面に示す例において、ハニカム軽量芯材15の事例における切り欠き31、32の外面は、完全なままのおよび/または部分的に切り取られた「不完全な」六角形蜂の巣状の小部屋によって画定される。
【0027】
図4Aは本発明によるインサート50の斜視断面を示し、図4Bはその側断面を示す。インサート50は、様々な構成要素の複合サンドイッチパネル5内への負荷付与および/または複合サンドイッチパネルに対する固定の目的を果たす。上記様々な構成要素は、限定ではなく、様々なアンテナ、鏡またはレンズのような光学素子を含む。
【0028】
インサート50は、複合サンドイッチパネル5内の切り欠き30に嵌まり込むように構成されている。したがって、インサート50は、複合サンドイッチパネル5の内側切り欠き31に対応する本質的に回転対称な内側インサートリング51と、複合サンドイッチパネル5の外側切り欠き32に対応する本質的に回転対称な外側インサートリング52とを備える。図示されているインサート50ならびにその内側インサートリング51および外側インサートリング52は円筒形状である。しかしながら、円錐形状も有益であり得る。さらに、外側インサートリング52は、上記内側インサートリング51に対して、複合サンドイッチパネル5の支持部40を受け入れるためのインサートトレンチ54を中間に設けるように配置される。
【0029】
内側インサートリング51および外側インサートリング52は、それらの間のインサート接続部53によって接続される。インサート接続部53は好ましくは、インサート50が複合サンドイッチパネル5内でフラットに嵌まることができるようにフラットである。さらに、インサート接続部53の厚さは、複合サンドイッチパネル5の軽量芯材15の圧迫深度(図10Aおよび図10Bを参照して後述)に対応するように選択される。したがって、インサート接続部53の厚さを軽量芯材15の圧迫深度に対応するように選択することによって、インサート50は、複合サンドイッチパネル5から突出することなく複合サンドイッチパネル5内に完全に沈むことができる。
【0030】
その最も好適な実施形態において、インサート50は、様々な構成要素の複合サンドイッチパネル5内への取り付けおよび/または複合サンドイッチパネル5に対する固定のための治具100を受け入れるための受け入れ領域55を備える。図面は、受け入れ領域55を、部分的に内側インサートリング51内にあるインサート50内の円筒開口として示している。治具は、形状フィットによって、圧入によって、接着剤を用いて、内部のネジ山を用いてなどで、受け入れ領域55に取り付けられ得る。特に好適な実施形態において、インサート50の受け入れ領域55には、内部にネジ固定された治具100が振動に起因して緩むのを防止するために、変形ネジ山が設けられる。
【0031】
インサート50の特に好適な実施形態は、自己切断式インサート50であり、内側インサートリング51および外側インサートリング52はアブレーシブコーティング(ダイヤモンド粒子コーティングなど)および/または鋸歯型幾何形状を、少なくとも部分的に設けられる。インサート50をその対象軸周りに回転させることによって、インサート50は、第1表面板10を貫通して上記軽量芯材15に切り込むことによって、複合サンドイッチパネル5に内側切り欠き31および外側切り欠き32を切り込むことができる。切り欠き30を自己切断した後、自己切断式インサート50は、好ましくは、形状フィットおよび/もしくは圧力嵌めによって、ならびに/または接着剤を用いて、切り欠き30に嵌め込まれる。
【0032】
図4Cは本発明による自己位置合わせインサート50の斜視断面を示し、図4Dはその側断面を示し、内側インサートリング51は、インサート50が複合サンドイッチパネル5に挿入されたときに切り欠き30と精密に位置合わせするように設けられているテーパー状の円錐部分51.5を備える。代替的にまたは付加的に、外側インサートリング52はまた、図4Eおよび図4Fに示すように、インサート50が複合サンドイッチパネル5に挿入されたときにインサート50を切り欠き30と位置合わせするためのテーパー状の円錐部分52.5をも、その下端に備えてもよい。
【0033】
インサート50の自己位置合わせによって、複合サンドイッチパネル5へのインサート50の自動的な装着が可能になる。さらに、自己位置合わせは、切り欠き30へのインサート50の非常に緊密な嵌まり込みを可能にし、接着剤の漏れが防止される。同時に、切り欠き30へのインサート50の緊密な嵌まり込みによって、たとえ接着剤(またはインサートを固定する他の代替的な手段)がまだその最終的な接合に達していない場合であっても、インサート50が複合サンドイッチパネル5内で安定化されてはならないことが保証される。
【0034】
図5Aは、本発明による自己位置合わせインサート50の特に好適な実施形態の斜視断面を示し、図5Bは、その側断面を示す。
【0035】
図6Aは、上記切り欠き30内に導入されると、インサート50を上記切り欠き30内に接着するように配置および構成されている自給式接着剤56を備える、自己切断式インサート50のさらなる好適な実施形態の側断面を示す。自給式接着剤56は好ましくは、内側インサートリング51と外側インサートリング52との間の上記トレンチ54内に設けられる。接着剤56が圧力を加えられたときに外側インサートリング52の外面52.2に達することを可能にするために、外側インサートリング52は、トレンチ54から外側インサートリング52を貫通して延伸する少なくとも1つのチャネル57、好ましくは複数のチャネル57を設けられる。
【0036】
図6Bに示すように、インサート50が複合サンドイッチパネル5の切り欠き30内に圧入されると、接着剤56が、インサート接続部53の下側、内側インサートリング51の外面、外側インサートリング52の内面および支持表面ディスク42によって画定される空間を漸進的に低減することによって生成される圧力に起因してチャネル57内へと押し込まれる。
【0037】
図5A図6Bに見られるように、チャネル57は好ましくは、インサート50の回転軸Rに対して或る角度で設けられ、それによって、インサート50が複合サンドイッチパネル5の切り欠き30内に挿入されると、接着剤が外側インサートリング52(の少なくとも相当部分)の周りに分散される。
【0038】
図7Aは、切断ツール70を垂直対象軸周りに回転させることによって内側切り欠き31および外側切り欠き32を複合サンドイッチパネル5内に切り込むための切断ツール70の斜視断面を示し、図7Bは、その側断面を示す。切断ツール70は、上記内側切り欠き31に対応する内側切断リング71と、上記外側切り欠き32に対応する外側切断リング72と、を備えている。
【0039】
図8Aおよび図8Bは、切断ツール70を使用して複合サンドイッチパネル5にインサート切り欠き30を切っているところを示す。図示されているように、切断ツール70は、第1表面板10を貫通して、その後、軽量芯材内に貫入してその一部を取り除き、それによって、内側切り欠き31および外側切り欠き32を形成する。
【0040】
図9Aは、複合サンドイッチパネル5に嵌め込まれる直前のインサート50を示す斜視断面を示す。
【0041】
図9Bは、本発明の好適な実施形態を示す側断面を示し、それによれば、インサート50が複合サンドイッチパネル5に嵌め込まれると、インサート50は、上記インサート接続部53が支持表面板ディスク42に対してブロック矢印Aによって示す圧力をかけることによって、芯材支持部41の軽量芯材15を圧縮する。芯材支持部41は好ましくは、インサート接続部53の厚さDに等しい圧縮Δによって圧縮され、結果としての、支持表面板ディスク42の位置が点線によって示されている。結果として、インサート50は、いったん嵌められると、図10Aおよび図10Bに示すように、上記複合サンドイッチパネル5内でフラットに収まり得る。
【0042】
図9Cに示すように、軽量芯材15の弾性に応じて、芯材支持部41の圧縮Δは、図9Dにおいてブロック矢印Sによって示す芯材の「スプリングバック」効果を補償するように、インサート接続部53の厚さDよりも大きくなるように選択することができる。芯材の性質が不均質である可能性があることに起因して、芯材支持部41の弾性、すなわち「スプリングバック」の量を予測することは不可能であることが多い。それゆえ、インサート50を複合サンドイッチパネル5に嵌め込む特に好適な方法によれば、インサート50は、インサート接続部53の厚さDに等しいか、または、ほんのわずか上回る初期圧縮Δで切り欠き30内に圧入される。その後、芯材支持部41のスプリングバックSBが、好ましくはインサート50の上部と第1表面板10との間の高低差Uとして測定される。圧縮Δが増大され、測定される高低差Uが所定の高低差許容範囲を上回る限り、上記ステップが繰り返される。本発明は、1/100mm程度の高低差許容範囲を許容する。
【0043】
図10Aは、複合サンドイッチパネル5にフラットに嵌め込まれるインサート50を備える、本発明に係る軽量支持構造体1の斜視断面を示し、図10Bはその側断面を示す。
【0044】
図11Aは、インサート50内に治具100が受け入れられている、複合サンドイッチパネル5に嵌め込まれているインサート50を備える軽量支持構造体1の斜視断面を示し、図11Bは、その側断面を示す。インサート接続部53を支持部40の支持表面板ディスク42上に載置することの複合効果、すなわち、インサート50の内側インサートリング51の複合サンドイッチパネル5の内側切り欠き31への精密な嵌まり込みと、インサート50の外側インサートリング52の外側切り欠き32への精密な嵌まり込みとによって、複合サンドイッチパネル5の構造内に負荷を伝達しながら、治具100を安定して固定することが可能になる。
【0045】
添付の特許請求の範囲において規定されているような本発明の範囲から逸脱することなく、前述した特定の構造および方法に基づいて多くの変形形態を採用することができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0046】
1 軽量支持構造体
5 複合サンドイッチパネル
10 第1表面板
15 軽量芯材
20 第2表面板
30 切り欠き
31 内側切り欠き
32 外側切り欠き
40 支持部
41 芯材支持部
42 支持表面板ディスク
50 インサート
51 内側インサートリング
51.5 (内側インサートリングの)テーパー状部分
52 外側インサートリング
52.5 (外側インサートリングの)テーパー状部分
53 インサート接続部
54 インサートトレンチ
55 インサート受け入れ領域
56 接着剤
57 チャネル
70 切断ツール
71 内側切断リング
72 外側切断リング
100 治具
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B