特許第6351712号(P6351712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351712
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】テクスチャリング加工機
(51)【国際特許分類】
   D02G 1/02 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   D02G1/02 Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-518935(P2016-518935)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-524054(P2016-524054A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014061699
(87)【国際公開番号】WO2014198631
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】102013009719.3
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ティム チヴィエカラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴァッカー
(72)【発明者】
【氏名】イェアク シペル
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−508724(JP,A)
【文献】 特開2011−047074(JP,A)
【文献】 特開平11−107084(JP,A)
【文献】 特開昭62−215030(JP,A)
【文献】 特開平03−119131(JP,A)
【文献】 実開昭53−131012(JP,U)
【文献】 米国特許第04223519(US,A)
【文献】 実開昭48−100954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00− 3/48
D02J 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の加工箇所(24.1,24.2)を備えたテクスチャリング加工機であって、前記加工箇所(24.1,24.2)は、鏡面対称に配置された2つの機械半部(1.1,1.2)に、互いに向かい合って位置する機械長辺側に沿って分配配置されており、前記機械半部(1.1,1.2)はそれぞれ、複数のテクスチャリングアセンブリ(12.1,l2.2)を収容するために各1つのプロセスフレーム(2.1,2.2)を有し、複数の巻取りアセンブリ(12.1,l2.2)を収容するために各1つの巻取りフレーム(3.1,3.2)を有し、かつ複数の供給パッケージ(16.1,16.2)を収容するためにクリールフレーム(5.1,5.2)を有しており、このとき前記機械半部(1.1,1.2)の前記テクスチャリングアセンブリ(11.1,11.2)に対応して、少なくとも1つの操作通路(6)が配置されている、テクスチャリング加工機において、
前記機械半部(1.1,1.2)の前記プロセスフレーム(2.1,2.2)は、鏡面対称平面(23)に対して間隔をおいて互いに向かい合って位置するように配置されていて、かつ間に前記操作通路(6)を形成していることを特徴とする、テクスチャリング加工機。
【請求項2】
前記巻取りフレーム(3.1,3.2)は、前記プロセスフレーム(2.1,2.2)の、前記操作通路(6)とは反対の側に配置されており、前記巻取りフレーム(3.1,3.2)には、前記両機械長辺側に、ドッフィング通路(7.1,7.2)が対応して配置されている、請求項1記載のテクスチャリング加工機。
【請求項3】
前記両機械半部(1.1,1.2)の前記プロセスフレーム(2.1,2.2)は、前記両機械半部(1.1,1.2)の前記巻取りフレーム(3.1,3.2)の上に配置されたプラットフォーム(22)に形成されており、前記巻取りフレーム(3.1,3.2)には前記両機械長辺側に、ドッフィング通路(7.1,7.2)が対応して配置されている、請求項1記載のテクスチャリング加工機。
【請求項4】
前記クリールフレーム(5.1,5.2)は、前記巻取りフレーム(3.1,3.2)に対して間隔をおいて、前記ドッフィング通路(7.1,7.2)に沿って配置されている、請求項2又は3記載のテクスチャリング加工機。
【請求項5】
前記テクスチャリングアセンブリ(11.1,11.2)には、機械半部(1.1,1.2)毎に、糸を加熱するための複数の加熱装置(9.1,9.2)が前置されており、該加熱装置(9.1,9.2)は、対応する機械半部(1.1,1.2)において、機械長手方向において傾斜して斜めに位置するように、一緒に1つの平面に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のテクスチャリング加工機。
【請求項6】
前記機械半部(1.1,1.2)において互いに向かい合って位置する前記加熱装置(9.1,9.2)は、互いに平行に又は互いに鏡面対称に配置されている、請求項5記載のテクスチャリング加工機。
【請求項7】
前記機械半部(1.1,1.2)の前記加熱装置(9.1,9.2)は、前記操作通路(6)の上において、前記プロセスフレーム(2.1,2.2)を結合する横桁(4)に保持されている、請求項5又は6記載のテクスチャリング加工機。
【請求項8】
前記機械半部(1.1,1.2)のうちの少なくとも1つの加熱装置(9.1,9.2)には、出口側に複数の冷却装置(10.1,10.2)が対応配置されており、かつ該冷却装置(10.1,10.2)及び前記加熱装置(9.1,9.2)は、該冷却装置(10.1,10.2)と該加熱装置(9.1,9.2)の間の平面内で、前記加工箇所(24.1,24.2)毎に各1つの真っ直ぐな糸走路を形成している、請求項5から7までのいずれか1項記載のテクスチャリング加工機。
【請求項9】
前記テクスチャリングアセンブリ(11.1,11.2)に、機械半部(1.1,1.2)毎に、糸を加熱するための複数の後加熱装置(14.1,14.2)が後置されており、該後加熱装置(14.1,14.2)は、対応する機械半部(1.1,1.2)において、機械長手方向において傾斜して斜めに位置するように、一緒に1つの平面に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のテクスチャリング加工機。
【請求項10】
前記機械半部(1.1,1.2)の前記後加熱装置(14.1,14.2)は、前記プロセスフレーム(2.1,2.2)の下側領域に保持されている、請求項9記載のテクスチャリング加工機。
【請求項11】
前記テクスチャリングアセンブリ(11.1,11.2)に、前記加工箇所(24.1,24.2)毎に糸を搬送及び延伸するために、複数の供給アセンブリ(8.1,8.2,25.1,25.2)が対応して配置されていて、該供給アセンブリ(8.1,8.2,25.1,25.2)は前記操作通路(6)から操作可能である、請求項1から10までのいずれか1項記載のテクスチャリング加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の、多数の加工箇所を備えたテクスチャリング加工機に関する。
【0002】
合成糸の製造時に、溶融紡糸プロセスにおいて製造された糸は、特にテキスタイル使用のために、後続プロセスにおいて巻縮される。この過程は、業界において「テクスチャリング」という概念で知られており、このとき合成糸は、テクスチャリングプロセスにおいて同時に延伸される。このようなテクスチャリングプロセスは、多数の加工箇所を有するテクスチャリング加工機を用いて実施される。各加工箇所において少なくとも1本の糸が、テクスチャリングアセンブリによって処理される。主としてこのとき糸は、テクスチャリングゾーンにおいて延伸され、テクスチャリング加工され、テクスチャリング後にパッケージに巻き取られる。例えばテクスチャリングアセンブリ、供給ユニット、加熱装置、冷却装置及び巻取りアセンブリのようなプロセスアセンブリは、加工箇所に分配配置され、かつ複数部分から成る機械フレームに配置されているので、加工箇所においては予め確定された糸走路が生ぜしめられる。このようなテクスチャリング加工機は、例えば欧州特許出願公開第0641877号明細書に基づいて公知である。
【0003】
この公知のテクスチャリング加工機では、多数の加工箇所が2つの機械半部に分配配置されている。両機械半部は、鏡面対称に配置されていて、対称平面において互いに向かい合って位置している。各機械半部は、プロセスアセンブリを収容する複数のフレーム部分を有している。例えば、プロセスフレームが機械半部毎にテクスチャリングアセンブリを収容するために設けられ、かつ巻取りフレームが機械半部毎に巻取りアセンブリを収容するために設けられている。さらに両機械半部の機械長辺側には、クリールフレームが配置されており、これらのクリールフレームは、糸を準備するために複数の供給パッケージを保持している。特に加工箇所において糸を最初に仕掛ける場合に、テクスチャリングアセンブリを操作するために、各機械半部において1つの操作通路が複数のプロセスフレームに対応配置されている。さらに巻取りフレームには、ドッフィング通路が対応配置されており、これによって巻成された満管パッケージを巻取りアセンブリから取り出して搬出することができるようになっている。このときドッフィング通路は、両機械半部の互いに向かい合って位置するクリールフレームの間における対称平面に形成されている。
【0004】
公知のテクスチャリング加工機では、確かに、両機械半部における巻成された満管パッケージの搬出を、1つのドッフィング通路から行うことができるようにすることが可能である。このときクリール装着のために必要なサービス作業は、外側の機械長辺側において実施する必要がある。満管パッケージを搬出する作業及び新しい供給パッケージを供給する作業は、しばしば一人又は複数の作業員によって実施されるので、追加的な距離もしくは道程が不可避である。
【0005】
経済的かつコンパクトな機械配置形態を探すと、テクスチャリング加工機の別のコンセプトをも見つけることができる。例えば独国特許出願公開第3931878号明細書に基づいて公知のテクスチャリング加工機では、2つの巻取りフレームの間にドッフィング通路が形成されている。両巻取りフレームは、横桁を介して互いに結合されていて、この横桁は主として、プロセスアセンブリを収容するために働く。従って追加的な昇降手段(Steigmittel)によって、ドッフィング通路をプロセスアセンブリの操作のために使用することができる。このような場合には、パッケージ搬出及び操作を1つの共通のドッフィング通路から実施しなくてはならず、このことは、機械長辺側に沿って多数の加工箇所が設けられている配置形態では、しばしば妨害もしくは支障や衝突を引き起こす。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、前段部に記載したテクスチャリング加工機を改良して、機械の装置及び機械におけるパッケージ搬送を可能な限り効果的に実施できるようにすることである。
【0007】
本発明の別の目的は、プロセスアセンブリの可能な限りコンパクトは配置形態を、両機械半部において実現することである。
【0008】
前記課題を解決するために本発明の構成では、機械半部のプロセスフレームは、鏡面対称平面に対して間隔をおいて互いに向かい合って位置するように配置されていて、かつ間に操作通路を形成している。
【0009】
本発明の好適な態様は、従属請求項の特徴及び特徴の組合せによって確定されている。
【0010】
本発明は、両機械半部の加工箇所におけるプロセス開始のための又は糸切れに関連したすべての操作過程が、1つの操作通路から実施可能であることによって、傑出している。これによってテクスチャリングアセンブリのみならず、プロセスのために必要なプロセスアセンブリをも、好適に操作通路に対応配置させることができる。これによって操作員は、両機械半部の、テクスチャリングプロセスのために特に重要なすべてのプロセスアセンブリに対して、直に接近可能である。
【0011】
パッケージ搬出のために本発明の別の態様では、巻取りアセンブリを収容する巻取りフレームは、プロセスフレームの、操作通路とは反対の側に配置されており、巻取りフレームには、両機械長辺側に、ドッフィング通路が対応配置されている。このように構成されていると、機械操作とパッケージ搬出とを互いに無関係に、相互の妨害影響なしに実施することができる。
【0012】
利用可能空間及び供給空間に応じて使用することができる、テクスチャリング加工機の別の好適な態様では、両機械半部のプロセスフレームは、両機械半部の巻取りフレームの上に配置されたプラットフォームに形成されており、巻取りフレームには両機械長辺側に、ドッフィング通路が対応配置されている。これによって特に狭幅の機械横断面を実現することができる。
【0013】
プロセスフレームと巻取りフレームとが互いに並んで配置されているか又は階層的に互いに上下に配置されているかとは無関係に、本発明の別の好適な態様によれば、クリールフレームは、巻取りフレームに対して間隔をおいて、ドッフィング通路に沿って配置されている。この場合例えば、パッケージの搬出及び供給パッケージの供給を好ましくは、ドッフィング通路を介して両機械長辺側において実現することができる。
【0014】
プロセスユニットを操作するために好適な低い構造形式を得るために、本発明の特に好適な別の態様によれば、テクスチャリングアセンブリには、機械半部毎に、糸を加熱するための複数の加熱装置が前置されており、該加熱装置は、対応する機械半部において、機械長手方向において傾斜して、一緒に1つの平面に配置されている。傾斜して互いに並んで配置された加熱装置によって、僅かな構造高さを備えたコンパクトな配置形態においても、糸を温度調整する比較的長い加熱区間を実現することができる。さらに加熱装置を、近接して並んで位置する配置形態において保持することができるので、熱損失を最小にすることができる。
【0015】
機械半部において、加工箇所のプロセスユニットの配置形態を鏡面対称に構成するために、本発明の別の好適な態様によれば、機械半部において互いに向かい合って位置する加熱装置は、互いに鏡面対称に配置されている。
【0016】
加工箇所における鏡面対称性を断念した場合には、機械半部において互いに向かい合って位置する加熱装置を、互いに平行に配置することも可能である。このように構成されていると、両機械半部において同一の加熱装置を使用することができ、好適である。
【0017】
傾斜した加熱装置が保持されている平面の構成及び傾斜に応じて、プロセスフレームにおける組込み及び、プロセスフレームを互いに結合する横桁における組込みが可能である。
【0018】
加工箇所における糸摩擦、特に加工箇所のテクスチャリングゾーンにおける糸摩擦を可能な限り小さくするために、本発明の別の態様によれば、機械半部のうちの少なくとも1つの加熱装置には、出口側に複数の冷却装置が対応配置されており、かつ冷却装置及び加熱装置は、冷却装置及び加熱装置の間における平面に、加工箇所毎に各1つの真っ直ぐな糸走路を形成している。
【0019】
後処理を必要とする糸材料がテクスチャリング加工される場合のために、特に適した本発明の別の態様では、テクスチャリングアセンブリに、機械半部毎に、糸を加熱するための複数の後加熱装置が後置されており、該後加熱装置は、対応する機械半部において、機械長手方向において傾斜して、一緒に1つの平面に配置されている。このように構成されていると、加熱装置の配置形態における利点を、後加熱装置の配置形態においても同様に利用することができる。後加熱装置の傾斜の大きさ及び方向を選択することによって、さらに巻取りアセンブリのポジションを、テクスチャリングゾーンにおける糸走路に適合させることができる。
【0020】
機械半部の後加熱装置は、好ましくは、プロセスフレームの下側領域に保持されている。このように構成されていると、後加熱装置への糸の挿通を、操作通路から実施することができ、有利である。
【0021】
加工箇所に設けられた供給ユニットは、同様に好適な態様によれば、好ましくは、供給ユニットが操作通路から操作可能であるように、テクスチャリングアセンブリに対応配置される。供給ユニットとしては、このとき個々に駆動されるゴデット又は押圧ローラを備えた軸システムをも使用することができる。
【0022】
本発明は、テクスチャリングプロセスのために重要なすべてのプロセスアセンブリが、好適に、1つの操作通路の周りに集中的に配置されていて、両機械半部に対して中央において操作可能である、ということによって傑出している。プロセス開始時における最初の仕掛け及び糸切れ後における仕掛けは、操作員によって迅速かつ円滑に実施することができる。
【0023】
本発明に係るテクスチャリング加工機は、基本的には、巻取りアセンブリのそれぞれの自動化レベルとは無関係である。例えば本発明に係るテクスチャリング加工機は、パッケージが自動的に交換される巻取りアセンブリを備えることも、又はパッケージが手動で交換される巻取りアセンブリを備えることもできる。
【0024】
次に図面を参照しながら、本発明に係るテクスチャリング加工機の幾つかの実施の形態について、本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るテクスチャリング加工機の第1の実施の形態を概略的に示す横断面図である。
図2図1に示した実施の形態を部分的にかつ概略的に示す側面図である。
図3図1に示した実施の形態を部分的にかつ概略的に示す平面図である。
図4】本発明に係るテクスチャリング加工機の別の実施の形態を概略的に示す横断面図である。
図5図4に示した実施の形態を部分的にかつ概略的に示す側面図である。
図6図4に示した実施の形態を部分的にかつ概略的に示す平面図である。
【0026】
図1図3には、多数の糸をテクスチャリング加工する、本発明に係るテクスチャリング加工機の第1の実施の形態が、種々異なった見方で示されている。図1には、本実施の形態が横断面図で示され、かつ図2及び図3には、それぞれ一部が側面図及び平面図で示されている。特に図面のうちの1つを指定しない場合には、以下の説明はすべての図面に対するものである。
【0027】
テクスチャリング加工機の本実施の形態は、多数の加工箇所を有しており、これらの加工箇所は、2つの機械半部1.1,1.2において、それぞれ複数が互いに並んで配置されている。機械半部1.1,1.2においては、例えば機械半部毎に100よりも多くの加工箇所が、互いに並んで配置されていてよい。
【0028】
機械半部1.1,1.2は、鏡面対称平面23において互いに向かい合って位置しており、フレーム及びプロセスアセンブリの構造及び配置形態において、鏡面対称に構成されている。
【0029】
図1における図示から分かるように、各機械半部1.1,1.2は、プロセスフレーム2.1;2.2、巻取りフレーム3.1;3.2及びクリールフレーム5.1;5.2から形成されている。
【0030】
両機械半部のプロセスフレーム2.1,2.2は、それぞれ鏡面対称平面23に対して間隔をおいて、互いに向かい合って位置するように配置されていて、操作通路6を形成している。この操作通路6において、両機械半部の加工箇所が向かい合って位置している。図1には、機械半部1.1の加工箇所が符号24.1で示され、機械半部1.2における加工箇所は符号24.2で示されている。
【0031】
互いに向かい合って位置するプロセスフレーム2.1,2.2は、横桁4によって互いに結合されており、この横桁4は、操作通路6の上において延びている。プロセスフレーム2.1及び横桁4には、加工箇所24.1に対応配置された複数のプロセスアセンブリが保持されている。向かい合って位置するプロセスフレーム2.2には、加工箇所24.2のプロセスアセンブリが配置されている。
【0032】
加工箇所24.1と加工箇所24.2の構造は同じであり、単にプロセスアセンブリの鏡面対称の配置形態によってしか異なっていないので、以下においては、プロセスアセンブリを、加工箇所24.1における糸走路を用いて、図1における図示を参照しながら詳説する。
【0033】
加工箇所24.1においてまず、糸18.1が第1の供給ユニット8.1によって供給パッケージ16.1から引き出される。この供給パッケージ16.1はクリールフレーム5.1に保持されている。供給ユニット8.1は、操作通路6の上において横桁4に配置されている。
【0034】
第1の供給ユニット8.1は、後置された第2の供給ユニット25.1と共に、いわゆるテクスチャリングゾーンを形成しており、このテクスチャリングゾーンおいて糸18.1は、延伸されかつテクスチャリング加工される。第2の供給ユニット25.1はそのために、プロセスフレーム2.1の中央領域に保持されている。供給ユニット8.1,25.1によって形成されたテクスチャリングゾーンの内部において、糸走行方向において相前後して、加熱装置9.1、冷却装置10.1及びテクスチャリングアセンブリ11.1が配置されている。テクスチャリングアセンブリ11.1は、第2の供給ユニット25.1の直ぐ上においてプロセスフレーム2.1に配置されている。
【0035】
最大の操作高さを維持するため及び長いテクスチャリングゾーンを実現するために、加熱装置9.1及び冷却装置10.1は、機械長手方向において傾けられてプロセスフレーム2.1及び横桁4に保持されている。機械半部1.1における加熱装置及び冷却装置の配置形態を説明するために、追加的に図2及び図3を参照する。図2には、プロセスフレーム2.1の一部が側面図で示されている。図3には、操作通路6が平面図で示されている。
【0036】
図2及び図3の図示から分かるように、加熱装置9.1及び冷却装置10.1は、1つの共通の糸走路平面を形成しており、このとき糸は、第1の供給ユニット8.1とテクスチャリングアセンブリ11.1に対応配置されたガイドローラ13.1との間で、真っ直ぐな走路において案内される。加熱装置9.1及び冷却装置10.1の傾斜角に関連して、第1の供給ユニット8.1と第2の供給ユニット25.1との間の加工箇所24.1におけるずれが調節される。供給ユニット8.1,25.1は、機械フレーム1.1の異なった横断平面に配置されている。
【0037】
図1における図示から分かるように、さらなる推移において糸18.1は、交絡装置(Verwirbelungsaggregat)15.1に導かれ、次いで、第3の供給ユニット26.1と第4の供給ユニット27.1との間において後加熱装置14.1を通して案内される。後加熱装置14.1は、後処理ゾーンを形成し、これによって、供給ユニット26.1と供給ユニット27.1との間において調節可能な低い糸張力において、糸18.1におけるリラクゼーション処理を実施することができる。
【0038】
後加熱装置14.1及び第3の供給ユニット26.1は、糸の後処理の場合のためにだけ追加的に使用される。糸材料に後処理を加える必要がない場合に対しては、加工箇所24.1は後加熱装置14.1及び第3の供給ユニット26.1なしに構成される。
【0039】
図2の図示から明らかなように、後加熱装置14.1も同様に機械長手方向において傾斜してプロセスフレーム2.1に保持されている。後加熱装置14.1は好ましくは、上側の加熱装置9.1と同じ傾斜角で方向付けられている。加熱装置9.1及び後加熱装置14.1を方向付けるための傾斜角は、通常、30°〜最大60°の範囲に位置している。基本的には、しかしながらまた、加熱装置9.1及び後加熱装置14.1のために異なった傾斜角を選択することも可能である。例えば後加熱装置14.1は加熱装置の構成に応じて、0〜45°の範囲における傾斜角をもって配置されていてよい。
【0040】
図3の図示からは特に、両機械半部1.1,1.2において互いに向かい合って位置するように配置された加熱装置9.1,9.2の鏡面対称の配置形態が分かる。加熱装置9.1の傾斜角及び加熱装置9.2の傾斜角は、値において同じ大きさに構成されている。これによって、操作通路6において互いに向かい合って位置する加工箇所24.1,24.2において、鏡面対称平面23を中心にしたプロセスアセンブリの鏡面対称の配置形態を実現することができる。従って、互いに向かい合って位置する加工箇所24.1,24.2の第1の供給ユニット8.1,8.2及びテクスチャリングアセンブリ11.1,11.2は、それぞれ1つの機械横断平面に配置されている。
【0041】
図1の図示から分かるように、加工箇所24.1の端部には巻取りアセンブリ12.1が設けられており、この巻取りアセンブリ12.1によって糸18.1はパッケージ19.1に巻成される。加工箇所24.1の巻取りアセンブリ12.1は、そのために例えば直接、巻取りフレーム3.1の上側領域に配置されていてよい。
【0042】
巻取りフレーム3.1,3.2は、加工箇所24.1,24.2の巻取りアセンブリ12.1,12.2を収容するために、操作通路6に向かい合って位置する側においてプロセスフレーム2.1,2.2に直に対応配置されている。巻取りフレーム3.1,3.2はこれによってそれぞれ外側の機械長辺側を形成しており、これらの機械長辺側には、各1つのドッフィング通路7.1,7.2がパッケージを搬出するために対応配置されている。これらのドッフィング通路7.1,7.2は、外側に向かってクリールフレーム5.1,5.2によって画定される。これによってドッフィング通路7.1,7.2は、クリールフレーム5.1,5.2内に保持されている新しい供給パッケージを供給するためにも使用することができる。
【0043】
図1の図示から分かるように、巻取りフレーム3.1,3.2には複数の巻取りアセンブリが、階層を成して互いに上下に配置されている。例えば、機械半部1.1,1.2の互いに隣接した複数の加工箇所の複数の巻取りアセンブリを、階層状に互いに上下に配置することが通常である。巻取りフレーム3.1,3.2における巻取りアセンブリは、プロセスフレーム2.1,2.2におけるプロセスユニットに比べて著しく大きな幅を有しているので、階層状の配置形態によって、機械半部1.1,1.2のコンパクトな構造形式を実現することができる。
【0044】
加工箇所24.1,24.2の、図1に示した巻取りアセンブリ12.1,12.2と隣接した加工箇所の隣接した巻取りアセンブリとは、同じに構成されており、ここでは例えば自動式の巻取りアセンブリとして構成されている。各巻取りアセンブリ12.1,12.2はそれぞれ1つの巻取り箇所28.1;28.2、パッケージ架台20.1;20.2及び巻管マガジン21.1;21.2を有している。自動化されたパッケージ交換のために設けられた補助装置は、ここには図示されていない。このような自動式の巻取りアセンブリは、従来技術において一般的に知られており、例えば米国特許第6189826号明細書に記載されている。従ってここでは、このような自動式の巻取りアセンブリについてさらに言及することは省き、文献名を挙げることに留める。
【0045】
巻取りアセンブリ12.1,12.2において形成されたパッケージ19.1,19.2は、機械半部1.1,1.2の該当する機械長辺側において取り出され、ドッフィング通路7.1,7.2を介して搬出される。
【0046】
図1における図示から分かるように、糸を最初に仕掛けるための又はプロセスアセンブリにおける糸切れ時における、すべての操作過程は、操作員によって操作通路6から実施することができる。そして機械半部1.1,1.2における加工箇所は、それぞれ中央の操作通路6から監視及び操作することができる。
【0047】
搬送及び延伸のために、加工箇所に設けられた供給ユニットは、部分的にいわゆるニップ式供給ユニット(Klemmlieferwerk)として又は巻掛け式供給ユニット(Umschlingungslieferwerk)として形成されている。ニップ式供給ユニットでは、搬送力は糸をニップすることによって伝達される。巻掛け式供給ユニットでは、必要な搬送力は、糸を複数回巻き掛けることによって生ぜしめられる。特に、巻取りアセンブリの上流側に配置された供給ユニットをニップ式供給ユニットとして構成することが、好適であることが判明している。従って加工箇所24.1における第4の供給ユニット27.1は、ニップ式供給ユニットとして示されている。テクスチャリングゾーンに対応配置された供給ユニットは、巻掛け式供給ユニットとして形成されており、例えば駆動されるゴデットと付加された対応ガイドローラ(Ueberlaufrolle)とから形成されている。従って加工箇所24.1の供給ユニット8.1,25.1,26.1は、巻掛け式供給ユニットとして構成されている。
【0048】
しかしながらここで強調して述べておくと、図1図3に示した実施の形態における糸ガイドエレメント及びプロセスアセンブリの配置及び構成は、一例である。従って、供給ユニットは、巻掛け式供給ユニットとニップ式供給ユニットとの間における任意の組合せにおいて変更させることができる。同様に、特に冷却装置とテクスチャリングゾーンとの間に変向部を有しない糸ガイド形態も実施可能である。
【0049】
1つの操作通路に対する複数のプロセスユニットの中央配置形態は、他の機械コンセプトにおいても好適に使用することができる。例えば図4図5及び図6には、本発明に係るテクスチャリング加工機の別の実施の形態が示されている。図4は、テクスチャリング加工機の実施の形態が概略的な横断面図で示され、図5及び図6には、それぞれ一部が側面図及び平面図で示されている。
【0050】
特に図面のうちの1つを指定しない場合には、以下の説明はすべての図面に対するものである。
【0051】
図4図5及び図6に示した実施の形態では、プロセスフレーム2.1,2.2がプラットフォーム22に、互いに対して鏡面対称に配置されており、かつ両機械長辺側に対して中央の操作通路6を有している。プラットフォーム22は、巻取りフレーム3.1,3.2に支持されており、両巻取りフレーム3.1,3.2はその間に、昇降階段29を有している。従ってプロセスフレーム2.1,2.2及び巻取りフレーム3.1,3.2の多階層の配置形態が生ぜしめられている。下側の階層においては、巻取りフレーム3.1,3.2にクリールフレーム5.1,5.2が対応配置されており、本実施の形態では、巻取りフレーム3.1とクリールフレーム5.1との間にはドッフィング通路7.1が形成され、巻取りフレーム3.2とクリールフレーム5.2との間にはドッフィング通路7.2が形成されている。
【0052】
巻取りフレーム3.1,3.2の上における上側の階層には、プロセスフレーム2.1,2.2を備えたプラットフォーム22が配置されており、プロセスフレーム2.1とプロセスフレーム2.2とは横桁4によって互いに連結されている。プラットフォーム22は従って操作通路6を形成しており、この操作通路6によって、プロセスフレーム2.1,2.2に保持されたプロセスアセンブリを操作することができる。
【0053】
図4図5及び図6に示した、機械半部1.1,1.2の加工箇所24.1,24.2は、既に述べた実施の形態とほぼ同じであるので、ここでは相違点だけについて述べ、その他の点については既に述べた説明を参照するものとする。
【0054】
図5及び図6の図示から分かるように、互いに向かい合って位置する加工箇所24.1,24.2のプロセスアセンブリは、鏡面対称平面23に対して鏡面対称に配置されていない。機械半部1.1における加熱装置9.1と、機械半部1.2における加熱装置9.2とは、互いに平行に機械長手方向において傾斜して配置されている。傾斜角は、両配置形態において同じに形成されているので、加熱装置9.1及び加熱装置9.2はその構造が同じに形成されていてよい。加熱装置9.1,9.2及び後置された冷却装置10.1,10.2の平行な配置形態に基づいて、互いに向かい合って位置する加工箇所24.1,24.2の第1の供給ユニット8.1,8.2は、ずらされた機械横断面に保持されている。
【0055】
加工箇所24.1,24.2の位置構造はその他の点においては同じであり、プロセスフレーム2.1に保持されたプロセスアセンブリは、既に述べた実施の形態の図3に示した構造に相当する。
【0056】
加工箇所24.2のプロセスアセンブリは、特に図5における図示から明らかである。
【0057】
各加工箇所24.1,24.2には、糸走行方向で見て、第1の供給ユニット8.1,8.2、加熱装置9.1,9.2、冷却装置10.1,10.2、テクスチャリングアセンブリ11.1,11.2、第2の供給ユニット25.1,25.2、交絡装置15.1,15.2、第3の供給ユニット26.1,26.2、後加熱装置14.1,14.2及び第4の供給ユニット27.1,27.2が配置されている。加熱装置9.1,9.2及び後加熱装置14.1,14.2の傾斜が平行に方向付けられていることによって、加工箇所24.1と加工箇所24.2との間には、ずれが形成されている。この配置形態には、鏡面対称に配置されたプロセスフレーム2.1,2.2において同じプロセスアセンブリを使用することができるという利点がある。従って加熱装置9.1,9.2及び後加熱装置14.1,14.2は、同一構造にかつ相互に交換可能に構成されている。
【0058】
加熱装置9.1の例において図6に符号αで示された傾斜角は、同じに構成されている。
【0059】
図4に示した加工箇所では、加工箇所24.1,24.2の巻取りアセンブリ12.1,12.2は、自動化されていない巻取りユニットによって形成されている。この場合パッケージ交換は、操作員によって手動で実施される。巻取りアセンブリ12.1,12.2の操作は、ドッフィング通路7.1,7.2から行われる。
【0060】
これに対して、プロセスアセンブリにおけるサービス作業は、上側の操作通路6における操作員によって実施される。
【0061】
しかしながらさらに付言すれば、基本的には、加熱装置9.1,9.2及び後加熱装置14.1,14.2は、上に述べた実施の形態において、機械長手方向における傾きを有する傾斜位置なしに配置されてもよい。従って加熱装置及び冷却装置も、プロセスフレーム及び巻取りフレームの上における上部構造に配置することができる。このとき重要なのは、すべてのプロセスアセンブリの操作が、中央において、プロセスフレームの間に形成された操作通路から可能なことである。
【符号の説明】
【0062】
1.1,1.2 機械半部
2.1,2.2 プロセスフレーム
3.1,3.2 巻取りフレーム
4 横桁
5.1,5.2 クリールフレーム
6 操作通路
7.1,7.2 ドッフィング通路
8.1,8.2 第1の供給ユニット
9.1,9.2 加熱装置
10.1,10.2 冷却装置
11.1,11.2 テクスチャリングアセンブリ
12.1,l2.2 巻取りアセンブリ
13.1,13.2 ガイドローラ
14.1,14.2 後加熱装置
15.1,15.2 交絡装置
16.1,16.2 供給パッケージ
17.1,17.2 リザーブパッケージ
18.1,18.2 糸
19.1,19.2 パッケージ
20.1,20.2 パッケージ架台
21.1,21.2 巻管マガジン
22 プラットフォーム
23 鏡面対称平面
24.1,24.2 加工箇所
25.1,25.2 第2の供給ユニット
26.1,26.2 第3の供給ユニット
27.1,27.2 第4の供給ユニット
28.1,28.2 巻取り箇所
29 昇降階段
図1
図2
図3
図4
図5
図6