特許第6351723号(P6351723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351723現金自動預け払い機のためのセキュリティ装置、方法、コンピュータ・プログラム、および現金自動預け払い機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351723
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】現金自動預け払い機のためのセキュリティ装置、方法、コンピュータ・プログラム、および現金自動預け払い機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180625BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G07D9/00 461Z
   G07D1/00 341C
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-539648(P2016-539648)
(86)(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公表番号】特表2016-530645(P2016-530645A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】IB2014060429
(87)【国際公開番号】WO2015033236
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】1315986.8
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】フォースダイク、サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ブローアー、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラッグ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】トムス、ルーク
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−134463(JP,A)
【文献】 特開平09−185749(JP,A)
【文献】 特開2010−224737(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3128253(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第965960(EP,A2)
【文献】 中国特許出願公開第101963031(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金自動預け払い機(100)、1つまたは複数の提示ユニット(355)、払い出しシャッタ・アセンブリ(245)、および現金払い出し口(125)を備える紙幣提示エリア(235)内へ前記現金払い出し口(125)を通じて挿入され、前記現金自動預け払い機(100)内部に保持されている現金が、該現金を要求したユーザに支払われないようにする現金取り込みデバイス(400)の存在を検出するためのセキュリティ装置であって、
前記紙幣提示エリア(235)における前記現金取り込みデバイス(400)の前記挿入を検出し、前記現金取り込みデバイス(400)が検出されることに応答して、検出信号を生成するための近接検出器(760)と、
前記検出信号を受信し、前記検出信号を受信することに応答して、前記現金自動預け払い機(100)前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)の動作モータ(870)を無効化し、前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)を開位置に留まらせるための制御回路(830)
を備え
前記提示ユニット(355)は、要求された紙幣を貨幣カセット(340、345)から運搬経路(330、335、370)に沿って前記現金払い出し口(125)へ運搬するための提示ベルト(365)を備え、
前記近接検出器(760)は、前記提示ベルト(365)の上部と下部の間に配置される、
セキュリティ装置。
【請求項2】
前記近接検出器(760)が、1つまたは複数の近接センサを備える、請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
前記制御回路(830)が前記1つまたは複数の近接センサからの検出信号の不在を識別し、応答して、前記制御回路(830)が前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)を閉じさせること、をさらに備える、請求項2に記載のセキュリティ装置。
【請求項4】
前記制御回路(830)が前記1つまたは複数の近接センサからの信号の存在を識別し、応答して、前記制御回路(830)が現金自動預け払い機動作モータ(880)を無効化させること、をさらに備える、請求項2に記載のセキュリティ装置。
【請求項5】
設定可能な期間の間、前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)の前記動作モータ(870)への電力を回復して前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)が閉じることを遅延させるための電力回復遅延タイマをさらに備える、請求項3に記載のセキュリティ装置。
【請求項6】
前記制御回路(830)が前記1つまたは複数の近接センサからの検出信号の不在を識別し、応答して、前記制御回路(830)が前記動作モータ(870、880)への電力の回復を引き起こすこと、をさらに備える、請求項4に記載のセキュリティ装置。
【請求項7】
設定可能な期間の間、前記動作モータ(870、880)への電力の回復を遅延させるための電力回復遅延タイマをさらに備える、請求項6に記載のセキュリティ装置。
【請求項8】
現金自動預け払い機(100)であって、請求項1に記載のセキュリティ装置を備える現金自動預け払い機(100)
【請求項9】
現金自動預け払い機(100)、1つまたは複数の提示ユニット(355)、払い出しシャッタ・アセンブリ(245)、および現金払い出し口(125)を備える紙幣提示エリア(235)内へ前記現金払い出し口(125)を通じて挿入され、前記現金自動預け払い機(100)内部に保持されている現金が、該現金を要求したユーザに支払われないようにする現金取り込みデバイス(400)の存在を検出する方法であって、
近接検出器(760)によって、前記紙幣提示エリア(235)における前記現金取り込みデバイス(400)の挿入を検出し、前記現金取り込みデバイス(400)が検出されることに応答して、検出信号を生成するステップと、
制御回路(830)によって、前記検出信号を受信し、前記検出信号を受信することに応答して、前記現金自動預け払い機(100)前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)の動作モータ(870)を無効化し、前記払い出しシャッタ・アセンブリ(245)を開位置に留まらせるステップと
を含み、
前記提示ユニット(355)は、要求された紙幣を貨幣カセット(340、345)から運搬経路(330、335、370)に沿って前記現金払い出し口(125)へ運搬するための提示ベルト(365)を備え、
前記近接検出器(760)は、前記提示ベルト(365)の上部と下部の間に配置される、
方法。
【請求項10】
コンピュータ・プログラムであって、コンピュータ・システム内へロードされ、前記コンピュータ・システム上で実行される場合に、前記コンピュータ・システムに、請求項に記載の方法の全てのステップを実行させるコンピュータ・プログラム・コードを備える、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預け払い機の分野に関し、特に、現金自動預け払い機の提示エリア内へ挿入される現金取り込みデバイスの検出およびその動作の無効化のためのセキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動銀行取引機は、周知である。顧客によって使用される一般的なタイプの自動銀行取引機は、「キャッシュ・ディスペンサ」、「キャッシュ・マシン」または「ホール・イン・ザ・ウォール(hole-in-the-wall)」などの用語によって口語的に知られている現金自動預け払い機(「ATM(automated teller machine)」)である。ATMは、顧客が銀行取引を実行することを可能にする。ATMを用いて実行され得る一般的な銀行取引は、紙幣の形式での現金の払い出し、預金の預け入れ、口座間での資金の振り込み、手形の支払い、口座残高の問い合わせおよび携帯電話トップアップ等を含む。顧客が実行し得る銀行取引のタイプは、特定の銀行取引機の能力およびサービスを提供する機関によって決定される。
【0003】
英国においては、約7万台のATMが存在し、この数字は増え続けている。ATM詐欺も増え続けており、犯罪者は、ATM内部から現金を不正に取り出す新たな手法を常に考え出している。犯罪者がATMから現金を取り出そうとする1つの方法は、現金取り込みデバイスを使用することによるものである。現金取り込みデバイスは、現金がATM内部に保持され、現金を要求したユーザへ支払われないように、犯罪者が現金払い出しスロット内に不正なデバイスを挿入するものである。犯罪者は、その後、ATMへ戻って、ATM内部に保持されている現金を取り除く。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0269345号は、スプレー・トレーと、スプレー・トレー内に媒体を払い出すように置かれたディスペンサ・スロットと、前記スプレー・トレーおよびスロットを覆うように置かれたセキュリティカバーとを備えるセキュリティ手段を開示する。カバーは、カバーが閉位置と開位置との間で動かされる場合に、スウィープ部材を、ディスペンサ・スロットを越えて移動させ、したがって、このスロットに隣接する任意の異物を押しのけさせるように構成される。しかしながら、このアプローチは、キャッシュ・ディスペンサを通じてATMの提示エリア内へ挿入されるキャッシュ・クロー(cash claw)などの現金取り込みデバイスを検出するための解決策を提供しない。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0136657号は、現金払い出し開口部を有するダッシュボードと、この開口部の外部の物体の存在および当該物体までの距離を検出するように構成されるセンサと、プロセッサとを備えるATMを開示する。プロセッサは、検出器の出力から、物体までの距離が所定の最大値内であるか、および、物体が移動しているか、または静止しているかを判定し、次いで、検出に基づいて信号を出力するように構成される。本開示の目的は、ダミーのダッシュボードを検出し、検出されるとすぐに、警告が発され、ATMがオフラインにされることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0269345号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0136657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ATM詐欺は、現金を生み出し、他の犯罪と比べてリスクが極めて低いため、増え続けているように見える。使用される機器は、安価で、容易に入手可能で、使い捨て可能である。このことは、ATM詐欺を組織化犯罪ネットワークにおいて普及させる。そのため、現金取り込みデバイス検出のための改善された装置を提供する必要が、本技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、第1の態様から見ると、本発明は、現金自動預け払い機(ATM)の紙幣提示エリア内へ挿入される現金取り込みデバイスの存在を検出するためのセキュリティ装置を提供する。セキュリティ装置は、紙幣提示エリアにおける現金取り込みデバイスの挿入を検出し、現金取り込みデバイスが検出されることに応答して、検出信号を生成するための近接検出器と、検出信号を受信し、検出信号を受信することに応答して、現金自動預け払い機の紙幣払い出しシャッタの動作モータを無効化し、払い出しシャッタを開位置に留まらせるための制御回路とを備える。
【0009】
好適には、近接検出器は、1つまたは複数の近接センサを備える。
【0010】
好適には、セキュリティ装置は、制御回路が1つまたは複数の近接センサからの検出信号の不在を識別し、応答して、制御回路が払い出しシャッタを閉じさせること、をさらに備える。
【0011】
好適には、セキュリティ装置は、制御回路が1つまたは複数の近接センサからの信号の存在を識別し、応答して、制御回路がATM動作モータを無効化させること、をさらに備える。
【0012】
好適には、セキュリティ装置は、設定可能な期間の間、払い出しシャッタが閉じることを遅延させるための電力回復遅延タイマをさらに備える。
【0013】
好適には、セキュリティ装置は、制御回路が1つまたは複数の近接センサからの検出信号の不在を識別し、応答して、制御回路が動作モータへの電力の回復を引き起こすこと、をさらに備える。
【0014】
好適には、セキュリティ装置は、設定可能な期間の間、動作モータへの電力の回復を遅延させるための電力回復遅延タイマをさらに備える。
【0015】
好適には、近接検出器は、1つまたは複数の近接検出センサ、および検出された物体の存在を示すためのインジケータ・ライトを備える近接検出アセンブリを備える。
【0016】
好適には、近接検出器は、ATMの紙幣提示エリアの提示ベルトに隣接する位置に配置可能である。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のセキュリティ装置を備えるATMが提供される。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、ATMの紙幣提示エリアにおける現金取り込みデバイスの存在を検出する方法が提供される。本方法は、近接検出器によって、紙幣提示エリアにおける現金取り込みデバイスの挿入を検出し、現金取り込みデバイスが検出されることに応答して、検出信号を生成するステップと、制御回路によって、検出信号を受信し、検出信号を受信することに応答して、ATMの紙幣払い出しシャッタの動作モータを無効化し、払い出しシャッタを開位置に留まらせるステップとを含む。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータ・システム内へロードされ、コンピュータ・システム上で実行される場合に、前記コンピュータ・システムに、第3の態様に係る方法の全てのステップを実行させるためにコンピュータ読取可能な媒体上に記憶されるコンピュータ・プログラム・コードを備えるコンピュータ・プログラムが提供される。
【0020】
有利には、本発明は、現金取り込みデバイスがATM内へ挿入された場合に、ATMの現金払い出しシャッタを開いたままにする手段を提供する。有利には、犯罪者は、ATMが作動していないと信じさせられ、ATMを損傷させることなく、ATMから現金取り込みデバイスを引き出す。
【0021】
金融機関には、払い出し動作に先立って、プレゼンタ・クリア・サイクル・ラン(presenterclear cycle run)を有するものもある。キャッシュ・クローがATM内へ挿入される場合において、プレゼンタ・クリア・サイクルが発生するとき、キャッシュ・クローは、提示エリアに深刻な損傷を引き起こす。こうした損傷が発生することを回避するために、本発明は、現金取り込みデバイスの存在時には主動作モータを無効化し、したがって、クリア動作を防止する手段を提供する。この無効化機能は、安全ドアが銀行員によって開かれる場合にクリア動作が発生することも防止する。
【0022】
犯罪者は、払い出しシャッタが閉じていないことを認識した場合に、キャッシュ・クローを即座に取り除くことが推測される。犯罪者がキャッシュ・クローを取り除かない場合、後続の現金取引の試行において、ATMはサービスを停止し、現金取り込みデバイスが取り除かれるとすぐにATMをその動作状態に回復させるためには、銀行の介入が必要とされる。シャッタの非閉鎖の直後に現金取り込みデバイスが取り除かれる場合、ディスペンサは、後続の現金引き出しにおいて回復する。
【0023】
本発明は、ATMの動作状態への回復のために遅延を導入し、有利には、詐欺者が別のキャッシュ・クロー挿入動作を即座に試行することを防止し得る機能も提供する。
【0024】
有利には、本発明の使用は、下記の利点を有する。
・金属キャッシュ・クローを使用した不正な取引を防止する
・アップグレードが単純である
・払い出しサービスを支援するために簡単に可逆にできる
・払い出しサービスを支援するための一体化された「金属検出」LEDを有する
・付加的なソフトウェアが必要とされない
・多様な銀行機関アプリケーション・ソフトウェアを収容する
・異なるアプリケーション・ソフトウェアに適合するように簡単に変更される
・全てのベルト上の検出器を介した将来の保証によって犯罪者の一歩先を行く
【0025】
本発明の好適な実施形態は、添付の図面を参照しつつ、あくまでも例として、ここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本分野において知られているような現金自動預け払い機の外観の図である。
図2】本分野において知られているような典型的な現金自動預け払い機の内部構成要素の例を例示するブロック図である。
図3】本分野において知られているような現金自動預け払い機の例の側断面を例示する概略図である。
図4】本分野において知られているような現金取り込みデバイスの例の図である。
図5】本分野において知られているようなATMの提示エリア内へ挿入される、図4の現金取り込みデバイスの例の図である。
図6】本分野において知られているような、図4の現金取り込みデバイスによって捕捉された紙幣の束の図である。
図7】本発明のセキュリティ装置が実装された現金自動預け払い機の提示エリアの上面図である。
図8】本発明のセキュリティ装置が実装された現金自動預け払い機の提示エリアの上面図である。
図9】本発明のセキュリティ装置が実装された提示エリアの側面図である。
図10】本発明の好適な実施形態に係るセキュリティ装置のブロック図である。
図11】本発明の好適な実施形態に係るセキュリティ装置のプロセス・ステップを例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図2(これらは互いに共に読まれるべきである)は、公知の現金自動預け払い機(ATM)100を例示する。ATM100は、安全でない部分200と安全な部分205とを備える筐体150を備える。安全でない部分200は、ユーザ情報をユーザに表示するためのディスプレイ105と、データを入力するための画面選択キー110およびキーパッド115と、ユーザ銀行カードまたは他の形態のIDをカード受入口130を介して受け入れるためのカード・リーダ225と、ATM100の提示エリア235において処理および格納される現金を紙幣の形式で払い出すための現金払い出し口125および関連付けられた払い出しシャッタ・アセンブリ245と、保管場所230において格納される預金を受け入れ、預金シャッタ・アセンブリ240と通信するための預金口120と、預金口120による受入れのために、現金または小切手の預金を保持するための封筒を封筒ディスペンサ250から分配するための封筒分配口145と、顧客によって行われた取引を確認する受領書を分配するための受領書分配口140と、受領書を印刷するためのプリンタ220とを備える公開外側ダッシュボード155を有するさらなる筐体を備える。安全でない部分200は、要求された取引を処理するために、ならびに、要求および承認された取引を完了させるべく、ATM100の機械的構成要素を制御するために、ATM100の構成要素の各々と通信するためのデータ処理装置215も収納する。
【0028】
図3は、図2の安全な部分をさらに詳細に例示する。安全な部分は、金庫300を備える。金庫300は、紙幣を格納するための貨幣カセット340、345を据え付けるための複数の摺動可能に据え付け可能なラックを備える第1の部分を有する筐体を備える。紙幣とは、本明細書において、英国紙幣、米国ドル紙幣等を意味することが意図される。第2の部分は、要求された紙幣額に到達するまで、一枚または複数枚の紙幣を一枚ずつ拾い上げるためのピック・アップ・モジュール265を備える、1つまたは複数の提示ユニット355を据え付けるための、1つまたは複数の摺動可能に据え付け可能なラックを備える。提示ユニット355は、要求された紙幣を貨幣カセット340、345から運搬経路330、335、370に沿って払い出し口125へ運搬するための提示ベルト365も備える。第2の部分は、データ処理装置215によって検出される拒絶紙幣を保持するための摺動可能に据え付け可能な拒絶トレイ(図示せず)もさらに備える。
【0029】
提示エリアは、提示エリアにおける紙幣の存在を検出および検証するための複数の光学センサ305、310、315もさらに備える。
【0030】
明確にするために、本明細書において言及される提示エリア235は、1つまたは複数の提示ユニット355と、払い出しシャッタ・アセンブリ245と、現金払い出し口125とを備える。当業者は、ATM100の内部構成には多くのタイプが存在し、上記説明は限定的ではないことを認識するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの他の構成を取り得る。
【0031】
使用時に、ユーザは、ユーザの銀行カードをカード・リーダ130内へ挿入し、ディスプレイ・ユニット105は、ユーザに対して、ユーザの個人識別番号を入力するように要求する。データ処理装置215は、個人識別番号を検証し、ディスプレイ・ユニット105は、ユーザに対して、複数の金融取引オプションを提示する。現金引き出しについての要求が行われ、承認される場合、データ処理装置215は、要求された紙幣を貨幣カセット340、345のうちの1つまたは複数からピック・アップ・モジュール265に取得させる命令をピック・アップ・モジュール265へ送信する。紙幣の個々の単位が要求されるにつれて、紙幣の単位が検証され、検証された場合、提示ベルト365は、現金払い出し口125を通じてユーザへ払い出すために、紙幣を運搬経路330、335に沿って(矢印の方向に従って)安全な筐体を通じて運搬する。典型的には、紙幣が運搬経路に沿って運搬される場合、紙幣は、様々なセンサ350、315、310および305の下を通過する。センサは、下記のような様々な機能を実行する。
センサ350 − 測定プロセス後に紙幣の存在を確認する
センサ315 − 払い出しのために紙幣の適時な到達を確認する
センサ310 − タイミング制約を確認し、ディスペンサ・シャッタを開くための信号を発する
センサ305 − タイミング・シーケンスを確認し、ディスペンサ・シャッタを閉じるように信号で伝える
【0032】
いったん紙幣がセンサ305から所定の距離を運搬されると、ユーザが現金払い出し口125から紙幣を取り除くまで、払い出しシャッタ・アセンブリ245は開いたままである。紙幣がユーザによって取り出されるとすぐに、払い出しシャッタ・アセンブリ245は閉じる。
【0033】
キャッシュ・クロー400などの現金取り込みデバイスが、図4に例示される。キャッシュ・クロー400は、1つまたは複数の提示ベルト365間に挿入するための腕部405を備える。随意的に、キャッシュ・クロー400は、提示ベルト365間でのキャッシュ・クロー400の操作を容易にするために可撓部分410を備えてもよい。随意的に、キャッシュ・クロー400の腕部405も、紙幣払い出し動作中にクローの動きを妨害するために近位端に垂直部分430を備え、キャッシュ・クロー400の除去を簡単にするためのワイヤ435を備えてもよい。可撓部分410は、ヒンジを備え得る。キャッシュ・クロー400は、腕部405の長さに沿った中間地点に配置可能な1つまたは複数のストッパ415を備え、1つまたは複数のクロー420を遠位端に有し、1つまたは複数のクロー420および1つまたは複数のストッパ415は、位置425間で、1つまたは複数のストッパ415と1つまたは複数のクロー420との間に現金を補足するように配置される。キャッシュ・クロー400は、典型的には、金属から製造される。しかしながら、当業者は、キャッシュ・クロー400が任意の他の強固で適当に弾力性のある材料から製造され得ることを認識するであろう。
【0034】
動作時には、図5および図6を参照すると、キャッシュ・クロー400は、犯罪者が、例えば、10ポンド紙幣を引き出す場合に、現金払い出し口125を通じて挿入される。払い出しシャッタ・アセンブリ245が開き、10ポンド札を提示すると、犯罪者は、キャッシュ・クロー400を(例えば)中央提示ベルト520間に滑り込ませ、10ポンド札を取る。払い出しシャッタ・アセンブリ245は、その後、閉じ、キャッシュ・クロー400は、次の現金引き出しを待機する「ステルス・モード」で中央提示ベルト520間に留まる。次の顧客が現金引き出しを要求すると、紙幣は貨幣カセット340、345から回収されるが、紙幣がセンサ315へ運搬されるにつれて、紙幣はストッパ415によって捕捉され、紙幣はセンサ310に到達しない。結果として、プロセスのこの段階では、「詰まりメッセージ」がデータ処理装置215によって生成され、データ処理装置215と共に提示エリア235は、紙幣を拒絶ビン(図示せず)へ運搬するように、中央提示ベルト520を反転させて、運搬経路を反転させようとする。しかしながら、紙幣が反対方向へ運搬されるにつれて、紙幣はクロー420によって捕捉されてしまうため、この反転も失敗する。
【0035】
紙幣のこうした捕捉は、参照番号600が捕捉された紙幣を例示する図6を参照しつつ、例示される。払い出しシャッタ・アセンブリ245は、次いで、動作不能となり、当該シャッタは、閉じたままである。その取引が失敗したユーザは、再度試行して失敗に終わるか、または、ATM100に紙幣が存在しないと推測して、ATMを離れる。この段階で、犯罪者は、ATM100へ戻り、払い出しシャッタ・アセンブリ245をこじ開け、提示エリア235から前述の顧客の現金を伴ってキャッシュ・クロー400を引き出す。ATMは、結果として損傷される。
【0036】
本発明の好適な実施形態に従って、セキュリティ装置が、図7から図11を参照しつつ、ここで解説される。
【0037】
図7図7の一部は、図8にも示される)は、現金払い出し口125および本発明の好適な実施形態に係る現金払い出しシャッタ705に隣接する、紙幣提示エリアまたは提示エリアの下位ベルト・レベルを上から見た正面図を例示する。例示される実施形態において、3つのベルトが、提示エリアの幅を横切って示されている。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、より多くの数またはより少ない数のベルトを備える他の構成を取り得ることを理解するであろう。側部部材710は、下位提示ベルト730とほぼ同じ垂直方向高さにある提示ベルト支持フレーム720に取り付けられる実質的に堅いストリップを備える。交差部材740は、実質的に堅い梁を備える。一実施形態において、側部部材710および交差部材740は、適切な金属または金属合金から製造される。当業者は、任意の適切な材料が使用され得ることを認識するであろう。
【0038】
交差部材740は、任意の適切な取り付け手段を使用して側部部材710に取り付けられる。例示される例示的な実施形態において、取り付け手段は、ナットおよびボルト締め具750を備えるが、当業者は、リベット継手もしくは溶接継手、接着結合、または任意の他の適切な取り付け手段などの、他の締め具デバイスを取り付け手段が備え得ることを理解するであろう。さらに、例示される実施形態において、取り付け手段は、側部部材710を提示ベルト支持フレーム720に取り付けるようにも機能する。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切なタイプの別個の取り付け手段も使用され得ることも理解するであろう。
【0039】
例示されるように、交差部材740は、現金払い出しシャッタ705から最も遠い端部に向かって側部部材710に取り付けられるが、当業者は、交差部材740が、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な場所に取り付けられ得ることを理解するであろう。交差部材740は、側部部材710に対して実質的に直交して突出する。好適な実施形態において、交差部材740は、提示ベルト730の幅全体を実質的に横切って突出する。さらに好適には、交差部材740は、ベルトの上部または下部のいずれとも接触しないように、下位提示ベルト730の上部と下部との間で、各部から離れて突出する。
【0040】
好適な実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760を備える少なくとも1つの近接検出器が、交差部材740に取り付けられる。好適には、各近接検出センサ・アセンブリ760は、近くの金属製の物体の識別のために適切な少なくとも1つのセンサを備える。しかしながら、任意の適切な近接検出センサが使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの実施形態においては、非金属製の物体を検出することが可能なセンサが使用され得る。いくつかの実施形態においては、2つ以上のセンサが1つのアセンブリにおいて使用されてもよく、異なるタイプのセンサが、単一の近接検出センサ・アセンブリにおいて、または異なるアセンブリにおいて、共に使用されてもよい。いくつかの異なるタイプの近接検出センサは、本技術分野において周知である。
【0041】
各近接検出センサ・アセンブリ760は、好適には、提示ベルト730に実質的に隣接する交差部材上の場所において取り付けられる。さらに好適には、各近接検出センサ・アセンブリ760は、提示ベルト730の上部の下面と、提示ベルト730の下部の上面との間に存在するように、交差部材740に取り付けられる。好適には、各近接検出センサ・アセンブリ760は、その下部提示ベルトの動きを妨げないが、ベルトの上面上の物体を検出するように、下部提示ベルトの上部の下面に十分に近くになるように据え付けられる。
【0042】
好適な実施形態において、少なくとも1つの近接検出センサ・アセンブリ760は、各提示ベルト730の上部の下面の下に据え付けられる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を取り得ることは、当業者には明らかであろう。一実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760は、中央提示ベルト730の上部の下面の下にのみ据え付けられる。別の実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760は、各外側提示ベルト730の上部の下面の下にのみ据え付けられる。さらなる実施形態において、交差部材740は、複数の提示ベルト730の途中までのみ、例えば、実施形態に例示される3つのベルトのうちの中央ベルトまでのみ突出する。また別の実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760は、下部提示ベルト730の上部の直下ではない、交差部材740に沿った位置において据え付けられる。
【0043】
各近接検出センサ・アセンブリ760は、電気接続配線770によって、近接検出制御回路へ電気的に接続される。近接検出制御回路は、図10を参照しつつ、後述される。
【0044】
図9は、図7および図8に例示される提示エリアの側面図を例示する。側部部材710は、図7および図8に例示される提示ベルト支持フレーム720に取り付けられる(明確さのために、本図には図示せず)。側部部材710は、好適には、前述されたように金属または金属合金から形成される実質的に堅いストリップを備えるが、当業者は、十分な剛性を有する任意の他の材料が使用され得ることを理解するであろう。交差部材740は、現金払い出しシャッタから最も遠い側部部材端部に向かって取り付けられるように例示される。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な取り付け場所が使用され得ることを理解するであろう。
【0045】
下部提示ベルト730とほぼ平行な向きにされ、交差部材740に取り付けられた近接検出センサ・アセンブリ760も例示されている。一実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760は、取り外し可能なように、交差部材740に据え付けられてもよい。別の実施形態において、近接検出センサ・アセンブリ760は、下部提示ベルト730に対する近接検出センサ・アセンブリ760の位置の調整を可能にするように、交差部材740に固定されてもよい。例示されるような一実施形態において、側部部材710は、下部提示ベルト730の最も前側のプーリの軸の上側および下側に伸長する2指状の部分780において、シャッタ・アセンブリに最も近いその端部で終端する。
【0046】
図10は、近接検出センサ・アセンブリ760の電気制御回路への接続を示す、本発明の一実施形態の図表示である。前述されたような提示ベルトごとに1つずつ、3つの近接検出センサ・アセンブリ760が存在する実施形態が例示される。この例示的な実施形態において、各近接検出センサ・アセンブリ760は、単一の近接検出センサ810を備える。例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)といったインジケータ・ライトを例として備えるインジケータ820も示される。LED820は、近接検出センサ810が物体を検出した場合に点灯し、例えば、現金取り込みデバイスの除去まで、またはメンテナンス・オペレータによってリセットされる時まで、点灯されたままとなるように、近接検出センサ810に接続される。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプのインジケータが使用され得ることを認識するであろう。
【0047】
物体、例えば、前記に例示されたようなキャッシュ・クロー400が、ATMの提示エリアに挿入される場合、図5および図6に例示されるように、近接検出センサ・アセンブリ760の近接検出センサ810の近くの、例えば、10ミリメートル以内の物体の存在は、検出を示す信号を近接検出センサ810に生み出させる。例えば、近接検出センサ810が金属検出器である実施形態において、近接検出センサ810は、近くの金属物体の存在を検出する。信号は、本実施形態においては、印刷回路基板(PCB:printed circuit board)840上に据え付けられる制御回路830へ送信される。PCB840は、ATM100の任意の都合の良い内部ロケーションに据え付けられ得る。応答して、制御回路830は、ATMシャッタ・モータ870への電力を切断して、シャッタを開位置において無効化するように動作可能である切り替え手段850へ信号を送る。随意的に、制御回路830は、ATM安全インターロック回路からの電力を切り替え手段860を介して切断し、ATM100の主動作モータ880を無効化するようにも動作可能である。
【0048】
本発明の一実施形態の動作は、図11のフロー図を参照しつつ、より詳細にここで説明される。図11は、詐欺者がATM100においてキャッシュ・クロー400などの現金取り込みデバイスを使用しようとする場合の、本発明の好適な実施形態における動作のシーケンスを例示する。
【0049】
ステップ1000において、物体400が、近接検出センサ・アセンブリ760のうちの1つまたは複数によって、ATM100の提示エリアにおける提示ベルトの付近で検出される。この時点において、払い出しシャッタ・アセンブリ245は、犯罪者の取引の後に開いている。
【0050】
ステップ1005において、近接検出センサ・アセンブリ760のうちの1つに関連付けられるLED820が点灯する。ステップ1010において、配置され、使用されており、かつ、物体400を検出した、アセンブリの近接検出センサのうちの1つまたは全ては、例えば、24ボルトの信号を制御回路へ送信して、払い出しシャッタ・アセンブリ245が開いたままであるべきことを信号で伝える。ステップ1015において、ATMモータを制御するための切り替え手段が起動される。切り替え手段は、2つの切り替え手段、すなわち、ATMシャッタ・モータ870を動作させるための第1の切り替え手段850と、ATM主動作モータ880を動作させるための第2の切り替え手段860とを備え得る。
【0051】
ステップ1020において、キャッシュ・クロー400などの物体が存在する場合にシャッタが開いたままになるように、ATMシャッタ・モータ870を無効化するべく、第1の切り替え手段850を動作させるために、制御回路830によって信号が送られる。金融機関によっては、提示ベルトの動作に関与する貨幣払い出し動作に先立って、プレゼンタ・クリア・サイクル・ランを動作させるものもある。そのようなプレゼンタ・クリア・サイクルが、キャッシュ・クロー400などの物体がATMの提示エリアに存在する場合に発生するとき、深刻な損傷が引き起こされ得る。そのため、随意的に、制御回路830は、第2の切り替え手段860がATM主動作モータ880を無効化し、クリア・サイクルの動作が防止されるように、第2の切り替え手段860も動作させる。この無効化機能は、ATMオペレータによって安全ドアが開かれる場合にクリア動作が発生することも防止する。
【0052】
ステップ1025において、制御回路830は、例えば、犯罪者が物体400をATMの提示エリアから取り除いたために、提示ベルトのうちの1つまたは複数の付近における物体の標識がもはや存在しないように、近接検出センサ・アセンブリ760の1つまたは複数の近接検出センサ810からの検出信号がもはや存在しないことを検出する。
【0053】
ステップ1035において、検出信号の不在は、第1の切り替え手段850がATMシャッタ・モータ870を再接続し、シャッタが通常通り閉じるように、切り替え手段を起動するためのアクションを制御回路830に開始させる。事前に切断された場合、制御回路830は、第2の切り替え手段860がATM主動作モータ880を再接続し、ATMが通常動作に戻り得るように、切り替え手段を起動するためのアクションも開始する。
【0054】
別の実施形態において、随意的なステップ1030では、近接検出制御回路が、物体の除去が検出された場合に計時動作を始める、制御回路830内の電力回復遅延タイマを備える。これは、ATMシャッタ・モータ870および主動作モータ880を含むモータへ電力を即座に回復するよりもむしろ、シャッタを開位置にしたままでATM動作が無効化される「待機状態」期間を提供する。
【0055】
タイマは、設定可能な期間について設定され得、当該設定可能な期間の後、電力が回復されるとATMの通常動作が始まる。一実施形態において、設定可能な期間は、ゼロ分間から15分間までであり得る。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の設定可能な期間を取り得ることを認識するであろう。
【0056】
当業者によって認識されるように、本発明の態様は、システム、方法またはコンピュータ・プログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の態様は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロ・コード等を含む)、または、本明細書において「回路」、「モジュール」もしくは「システム」と全て一般的に称され得る、ソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態の形式を取り得る。さらに、本発明の態様は、コンピュータ読取可能なプログラム・コードが具現化された、1つまたは複数のコンピュータ読取可能な媒体において具現化されるコンピュータ・プログラム製品の形式を取り得る。
【0057】
1つまたは複数のコンピュータ読取可能な媒体の任意の組み合わせが利用され得る。コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ読取可能な信号媒体またはコンピュータ読取可能な記憶媒体であり得る。コンピュータ読取可能な記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光学式、電磁、赤外線、もしくは半導体システム、装置、もしくはデバイス、または、これらの任意の適切な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ読取可能な記憶媒体のより具体的な例(非包括的なリスト)は、1つもしくは複数の配線を有する電気接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み出し専用メモリ(ROM:read-onlymemory)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM:compact disc read-only memory)、光学式記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または、これらの任意の適切な組み合わせを含む。本文書の文脈において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のためのプログラム、または、命令実行システム、装置、もしくはデバイスに関連したプログラムを包含または記憶することができる任意の有形の媒体であり得る。
【0058】
コンピュータ読取可能な信号媒体は、例えば、ベースバンドにおいて、または搬送波の一部として、コンピュータ読取可能なプログラム・コードが具現化された伝搬データ信号を含み得る。そのような伝搬信号は、電磁、光学式、または、これらの任意の適切な組み合わせを含む、多様な形式のうちのいずれかを取り得るが、これらに限定されない。コンピュータ読取可能な信号媒体は、コンピュータ読取可能な記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のためのプログラム、または命令実行システム、装置、もしくはデバイスに関連したプログラムを通信し、伝搬し、または運搬することができる任意のコンピュータ読取可能な媒体であってよい。
【0059】
コンピュータ読取可能な媒体上に具現化されるプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、RF等、または、これらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適当な媒体を使用して送信され得る。
【0060】
本発明の態様のための動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java(R)、Smalltalk(R)、C++等などのオブジェクト指向プログラミング言語と、「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語とを含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせにおいて書かれ得る。プログラム・コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロンのソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータおよび部分的に遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ユーザのコンピュータに、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)または広域ネットワーク(WAN:wide areanetwork)を含む、任意のタイプのネットワークを通じて接続され得、または、接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータに対して行われ得る。
【0061】
本発明の態様は、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照しつつ、後述される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によって実装され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて特定される機能/行動を実装するための手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または、他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサへ提供され、マシンを生み出すものであってよい。
【0062】
これらのコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ読取可能な媒体において記憶される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて特定される機能/行動を実装する命令を含む製品を生み出すように、コンピュータ読取可能な媒体に記憶され、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスに特定の手法で機能するように指示するものであってもよい。
【0063】
コンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて特定される機能/行動を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを生み出すべく、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス上へロードされ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであってもよい。
【0064】
本発明の好適な実施形態に係る論理構成の全部または一部が、本方法のステップを実行するための論理要素を備える論理装置において適切に具現化され得ること、および、そのような論理要素が、例えば、プログラマブル・ロジック・アレイまたは特定用途向け集積回路において論理ゲートなどの構成要素を備え得ることは、当業者には同じように明らかとなるであろう。そのような論理構成は、例えば、仮想ハードウェア記述言語を使用して、そのようなアレイまたは回路において一時的にまたは恒久的に論理構造を確立するための有効化要素において、さらに具現化され得る。仮想ハードウェア記述言語は、固定媒体または送信可能な搬送媒体を使用して記憶および送信され得る。
【0065】
1つの代替案において、本発明の好適な実施形態は、コンピュータ・インフラストラクチャ内に展開され、コンピュータ・インフラストラクチャ上で実行される場合に、前記コンピュータ・インフラストラクチャに本方法の全てのステップを実行させるように動作可能なコンピュータ・プログラム・コードを展開するステップを備えるサービスを展開するコンピュータ実装方法の形式において実現され得る。
【0066】
さらなる代替案において、本発明の好適な実施形態は、機能データを有するデータ・キャリアの形式において実現され得る。前記機能データは、コンピュータ・システム内にロードされ、それによって、コンピュータ・システム上で動作させられる場合に、前記コンピュータ・システムが本方法の全てのステップを実行することを可能にするための機能コンピュータ・データ構造を備える。
【0067】
本開示において説明されるいかなる方法も、VHDL(VHSIC HardwareDescription Language)プログラムおよびVHDLチップの使用を通じて実装され得ることに、さらに留意されたい。VHDLは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field Programmable Gate Arrays)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、および他の同様の電子デバイスのための例示的な設計入力言語である。したがって、本明細書において説明されるいかなるソフトウェア実装方法も、ハードウェアベースのVHDLプログラムによってエミュレートされ得、ハードウェアベースのVHDLプログラムは、次いで、FPGAなどのVHDLチップに適用される。
【0068】
方法は、一般に、所望の結果をもたらすステップの自己無撞着なシーケンスとなるように着想される。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とする。必ずしもそうというわけではないが、通常は、これらの量は、記憶され、転送され、組み合わされ、比較され、さもなければ操作されることが可能な電気信号または磁気信号の形式をとる。時には、主に共通使用の理由のために、これらの信号をビット、値、パラメータ、項目、要素、オブジェクト、シンボル、文字、項、数等と呼ぶことが都合が良い。しかしながら、これらの用語および同様の用語の全ては、適当な物理量に関連付けられるものであり、これらの量に対して適用される都合の良いラベルにすぎないことに留意すべきである。
【0069】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の取り得る実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を例示する。この点に関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、特定される論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を備える、コードのモジュール、セグメント、または一部を表し得る。いくつかの代替的な実装において、ブロックに記載される機能は、図面に記載される順序とは異なって発生し得ることにも留意すべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、または、当該ブロックは、関与する機能性に応じて、時には反対の順序で実行されてもよい。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組み合わせは、特定の機能もしくは行動を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装され得ることにも留意されたい。
【0070】
多くの改善および変形が、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の例示的な実施形態に対して行われ得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11