特許第6351772号(P6351772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 科際精密股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000002
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000003
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000004
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000005
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000006
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000007
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000008
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000009
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000010
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000011
  • 特許6351772-一方向弁アセンブリ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351772
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】一方向弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/14 20060101AFI20180625BHJP
   F16K 11/22 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   F16K15/14 D
   F16K11/22 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-28651(P2017-28651)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2018-13238(P2018-13238A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】105122784
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516210193
【氏名又は名称】科際精密股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】呉 宗翰
(72)【発明者】
【氏名】顏 佑昌
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5866470(JP,B1)
【文献】 国際公開第2013/157304(WO,A1)
【文献】 特開2007−046721(JP,A)
【文献】 特開2007−211889(JP,A)
【文献】 特表2001−515183(JP,A)
【文献】 特開平07−019170(JP,A)
【文献】 米国特許第03610274(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/14
F16K 11/22
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向弁アセンブリであって、
ベース内表面、前記ベース内表面において凹んだ第1下中空部と第2下中空部、および前記第1下中空部に接続された入口を含むベースと、
カバー内表面、前記カバー内表面において凹んだ第1上中空部、第2上中空部、および連接経路、出口、および前記第1上中空部の中に設置された排気ノズルを含み、前記第1上中空部および前記第2上中空部の位置がそれぞれ前記第1下中空部および前記第2下中空部の位置に対応し、前記第1上中空部が前記連接経路を介して前記第2上中空部に接続され、前記出口が前記第2上中空部に接続されたカバーと、
前記ベースと前記カバーの間に配置され、前記第1上中空部、前記第2上中空部、および前記連接経路に対応する第1区域、第2区域、および第3区域を有し、前記第2下中空部と前記第2上中空部の間に設置された弁ノズルを含み、前記第1区域が前記第1下中空部または前記第1上中空部に向かって変形するのに適し、前記第2区域が前記第2上中空部に向かって変形するのに適し、前記第3区域が前記連接経路に向かって変形するのに適した弁部材と、
を含み、
初期状態において、前記弁部材が、前記第1下中空部および前記第2下中空部を密封するのに適し、前記入口から前記第1下中空部に気体が入った後、前記弁部材の前記第1区域が前記気体に押されて前記第1上中空部に向かって変形し、前記排気ノズルに当接してから、前記弁部材の前記第3区域が前記気体に押されて前記連接経路に向かって変形し、その後、前記弁部材の前記第2区域が前記気体に押されて前記第2上中空部に向かって変形して、前記気体が、前記第1下中空部から前記第2下中空部、前記弁ノズル、および前記第2上中空部へ順番に流動した後、前記出口から排出され、
排気状態において、前記弁部材が、元に戻って、前記第1下中空部と前記第2下中空部の間の接続状態、および前記第2下中空部と前記第2上中空部の間の接続状態を閉じ、前記カバーと前記弁部材の間にある前記気体が、前記排気ノズルから自動的に離れる一方向弁アセンブリ。
【請求項2】
前記連接経路と前記第2上中空部の間の接続部の幅が、Woであり、前記第1上中空部の最大幅が、Dであり、0.03≦Wo/D≦1である請求項1に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項3】
前記連接経路と前記第1上中空部の間の接続部の幅が、Wiであり、前記連接経路と前記第2上中空部の接続部の幅が、Woであり、Wi≧Woである請求項1〜2のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項4】
前記連接経路の幅が、前記連接経路と前記第1上中空部の間の接続部から前記連接経路と前記第2上中空部の間の接続部に向かって徐々に減少するか、または変化しない請求項1〜3のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項5】
前記弁ノズルが、前記弁部材の前記第2区域に設置されるとともに、前記第2下中空部に向かって突出し、前記第2上中空部の深度が、前記弁ノズルの突出高度よりも大きく、前記弁ノズルの前記突出高度が、前記第2下中空部の深度よりも大きい請求項1〜4のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項6】
前記カバーが、さらに、前記第2上中空部において凹んだ溝を含み、前記溝が、前記出口に接続された請求項1〜5のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項7】
前記入口および前記出口が、同じ方向または異なる方向に沿って延伸する請求項1〜6のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項8】
前記弁ノズルおよび前記出口が、共線状または非共線状である請求項1〜7のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【請求項9】
前記カバーが、気密の方法で前記ベースに固定された請求項1〜8のいずれか1項に記載の一方向弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向弁アセンブリに関するものであり、特に、優れた逆戻り防止効果を有する一方向弁アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、設計者は、しばしば単一方向に沿って流体を流動させる一方向弁を使用して、異なる流動方向により流体の流出効果が下がる状況を回避する。しかしながら、いかにして流体を通過時に単一方向のみに沿って流動させることのできる一方向弁を設計し、実際に逆戻り防止効果を達成するかが、本分野の技術者が研究すべき範囲となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、単一方向に沿って流体を移動させることができ、優れた流出効果を有する一方向弁アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ベースと、カバーと、弁部材とを含む一方向弁アセンブリを提供する。ベースは、ベース内表面、ベース内表面において凹んだ第1下中空部と第2下中空部、および第1下中空部に接続された入口を含む。カバーは、カバー内表面、カバー内表面において凹んだ第1上中空部、第2上中空部、および連接経路、出口、および第1上中空部の中に設置された排気ノズルを含む。第1上中空部および第2上中空部の位置は、それぞれ第1下中空部および第2下中空部の位置に対応する。第1上中空部は、連接経路を介して第2上中空部に接続される。出口は、第2上中空部に接続される。弁部材は、ベースとカバーの間に配置される。弁部材は、第1上中空部、第2上中空部、および連接経路に対応する第1区域、第2区域、および第3区域を有し、第2下中空部と第2上中空部の間に設置された弁ノズルを含む。第1区域は、第1下中空部または第1上中空部に向かって変形するのに適している。第2区域は、第2上中空部に向かって変形するのに適している。第3区域は、連接経路に向かって変形するのに適している。初期状態において、弁部材は、第1下中空部および第2下中空部を密封するのに適している。入口から第1下中空部に気体が入った後、順番に、弁部材の第1区域が気体に押されて第1上中空部に向かって変形し、排気ノズルに当接する。それから、弁部材の第3区域が気体に押されて連接経路に向かって変形し、その後、弁部材の第2区域が気体に押されて第2上中空部に向かって変形する。気体は、第1下中空部から第2下中空部、弁ノズル、および第2上中空部へ順番に流動した後、出口から排出される。排気状態において、弁部材は、元に戻って、第1下中空部と第2下中空部の間の接続状態、および第2下中空部と第2上中空部の間の接続状態を閉じる。弁部材の第1区域は、元に戻って、排気ノズルスルーホールを開く。カバーと弁部材の間にある気体は、排気ノズルから自動的に一方向弁アセンブリを離れる。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、連接経路と第2上中空部の間の接続部の幅は、Woである。第1上中空部の最大幅は、Dである。0.03≦Wo/D≦1。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、連接経路と第1上中空部の間の接続部の幅は、Wiである。連接経路と第2上中空部の接続部の幅は、Woである。Wi≧Wo。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、連接経路の幅は、連接経路と第1上中空部の間の接続部から連接経路と第2上中空部の間の接続部に向かって徐々に減少するか、または変化しない。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、弁ノズルは、弁部材の第2区域に設置され、第2下中空部に向かって突出する。第2上中空部の深度は、弁ノズルの突出高度よりも大きく、弁ノズルの突出高度は、第2下中空部の深度よりも大きい。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、カバーは、さらに、第2上中空部において凹んだ溝を含む。溝は、出口に接続される。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、入口および出口は、同じ方向または異なる方向に沿って延伸する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、弁ノズルおよび出口は、共線状(collinear)または非共線状である。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、カバーは、気密(airtight)の方法でベースに固定される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の一方向弁アセンブリの設計は、カバーの第1上中空部と第2上中空部の位置がそれぞれベースの第1下中空部と第2下中空部の位置に対応し、弁部材がベースとカバーの間に配置され、弁部材の第1区域、第2区域、および第3区域がそれぞれ第1上中空部、第2上中空部、および連接経路に向かって変形するのに適しており、排出ノズルが第1上中空部の中に設置され、第2区域の弁ノズルが第2下中空部の下表面に当接する。そのため、気体が入口から第1下中空部に入って一定の圧力に蓄積された後、まず、弁部材の第1区域が押されて、第1上中空部に向かって変形し、排出ノズルに当接する。そして、弁部材の第3区域が押されて、連接経路に向かって変形する。その後、弁部材の第2区域が押されるため、弁ノズルが第2下中空部の下表面から離れる。気体は、第2下中空部、弁ノズル、および第2上中空部を順番に流動した後、出口から排出される。つまり、気体が第1下中空部から第2下中空部に流動するプロセスにおいて、弁部材の第1区域が変形して、排出ノズルに当接する。また、気体が十分な圧力に蓄積された時、弁部材の第3区域が変形することができる。そして、気体が第2下中空部に流入して、第1区域が排出ノズルにしっかりと当接することを再度確保することにより、後のガス放出(outgassing)プロセスにおいて気体が排出ノズルから排出するのを防ぐ。同様に、気体が第2下中空部から第2上中空部に流動するプロセスにおいて、弁部材の第2区域を変形させるためにも十分な圧力が必要になる。そのため、弁部材の第3区域および第2区域は、二弁(double valve)部材に類似する効果を達成することできる。第3区域の変形を使用して、排出ノズルが第1区域によって強く押されるのを再度確保し、気体を第1下中空部から第2下中空部に流動させることができる。第2区域の変形は、気体を第2下中空部から第2上中空部に流動させることができる。また、入口が空気の取り入れを停止した後、弁部材は、元に戻る。元に戻った第2区域は、気体が第2上中空部から第2下中空部に戻るのを防ぐことができ、元に戻った第3区域は、気体が第2下中空部から第1下中空部に戻るのを防ぐことができるため、二重の逆戻り防止効果を達成することができる。また、元に戻った第1区域は、排出ノズルスルーホールを開くことができるため、排出ノズルを介してカバーと弁部材の間にある気体を自動的に排出することができる。
【0014】
本発明の上記目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれかつその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
図1】本発明の1つの実施形態に係る一方向弁アセンブリの概略的立体図である。
図2図1の別の視角から見た一方向弁アセンブリの概略的分解図である。
図3図1の別の視角から見た一方向弁アセンブリの概略的分解図である。
図4図1の一方向弁アセンブリのベースの概略図である。
図5図1の一方向弁アセンブリのカバーの概略図である。
図6図1の一方向弁アセンブリの概略的立体内部図である。
図7図1の一方向弁アセンブリが作動した時の概略的断面図である。
図8図1の一方向弁アセンブリが作動した時の概略的断面図である。
図9図1の一方向弁アセンブリが作動した時の概略的断面図である。
図10図1の一方向弁アセンブリが作動した時の概略的断面図である。
図11】本発明の別の実施形態に係る一方向弁アセンブリの概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明において、説明の目的で、開示される実施形態が十分に理解されるよう、多数の具体的詳細を示す。しかしながら、これら具体的詳細がなくとも、1つまたはそれ以上の実施形態が実施され得ることは明らかである。別の場合では、図面を簡潔にするため、周知の構造および装置は概略的に示される。
【0017】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る一方向弁アセンブリの概略的立体図である。図1を参照すると、本実施形態の一方向弁アセンブリ100は、ポンプ(例えば、圧電性ポンプ(piezoelectric pump)または気体排出効果を有するバンプ(bump)、図示せず)に接続される。一方向弁アセンブリ100に入った後にバンプから出力された流体は、単一方向に沿って移動および出力する。一方向弁アセンブリ100は、逆戻り防止に対して優れた能力を有し、流体に優れた流出効果を提供することができる。以下、詳しく説明する。
【0018】
図2および図3は、図1の異なる視角から見た一方向弁アセンブリの概略的分解図である。図4および図5は、それぞれ図1の一方向弁アセンブリのベースおよびカバーの概略図である。図1図5を参照すると、本実施形態の一方向弁アセンブリ100は、ベース110、カバー120、およびベース110とカバー120の間の配置された弁部材130を含む。図2および図4に示すように、ベース110は、ベース内表面112、ベース内表面112において凹んだ第1下中空部114とベース内表面112において凹んだ第2下中空部116、および第1下中空部114に接続された入口118を含む。本実施形態において、ベース110の入口118は、ベース110を貫通し、且つ第1下中空部114に接続された単一の入口である。
【0019】
図3および図5を参照すると、カバー120は、カバー内表面121、第1上中空部122、第2上中空部123、連接経路124、排出ノズル126、および出口125を含む。第1上中空部122、第2上中空部123、および連接経路124は、それぞれカバー内表面121において凹んでいる。本実施形態において、カバー120の第1上中空部122および第2上中空部123の位置は、それぞれベース110の第1下中空部114および第2下中空部116の位置に対応する。連接経路124は、第1上中空部122と第2上中空部123の間に設置され、第1上中空部122は、連接経路124を介して第2上中空部123に接続される。本実施形態において、出口125は、カバー120の中心に近い位置、すなわち、連接経路124に近い位置に設置され、出口125は、第2上中空部123に接続される。排出ノズル126は、第1上中空部122の中に設置され、下方に向かって第1上中空部122の上表面から突出する。排出ノズル126は、カバー120を貫通する排出ノズルスルーホール128を有する。
【0020】
本実施形態において、弁部材130の材料は、可撓性であり、例えば、ゴム、シリコン部材、または高分子化合物等である。弁部材130は、第1上中空部122、第2上中空部123、および連接経路124に対応する第1区域132、第2区域134、および第3区域136を有し、第2下中空部116と第2上中空部123の間に設置された弁ノズル138を含む。本実施形態において、ベース110の第1下中空部114およびカバー120の第1上中空部122は、それぞれ弁部材130の第1区域132の下方および上方に設置され、ベース110の第1下中空部114およびカバー120の第1上中空部122は、弁部材130の第1区域132が変形する空間を提供する。つまり、弁部材130の第1区域132は、第1下中空部114または第1上中空部122に向かって変形することができる。同様に、弁部材130の第2区域134は、第2下中空部116または第2上中空部123に向かって変形するのに適しており、弁部材130の第3区域136は、連接経路124に向かって変形するのに適している。
【0021】
また、本実施形態において、弁ノズル138は、弁部材130の第2区域134に設置され、第2下中空部116に向かって弁部材130の下表面から突出する。図6は、図1の一方向弁アセンブリの概略的立体内部図である。図6を参照すると、本実施形態において、弁ノズル138の突出高度は、第2下中空部116の深度よりも大きい。そのため、弁部材130が初期状態にある時、弁ノズル138は、その下方にある第2下中空部116の下表面に当接する。第2上中空部123の深度は、弁ノズル138の突出高度よりも大きい。そのため、弁部材130の第2区域134が上向きに変形した場合、第2上中空部123は、弁ノズル138に十分な空間を提供するため、弁ノズル138は、その下にある第2下中空部116の下表面に当接しない。弁ノズル138は、弁ノズルスルーホール139を含むため、第2下中空部116にある気体は、弁ノズル138の弁ノズルスルーホール139から第2上中空部123に流動するのに適している。
【0022】
図7図10は、図1の一方向弁アセンブリが作動した時の概略的断面図である。図7を参照すると、弁部材130が初期状態にある時、弁部材130の下表面は、ベース内表面112にしっかりと取り付けられるため、弁部材130の第1区域132および第2区域134は、それぞれ第1下中空部114および第2下中空部116を覆う。この段階で、弁部材130の第1区域132と第1下中空部114の間に独立したチャンバー本体が形成され、弁部材130の第2区域134と第2下中空部116の間にも独立したチャンバー本体が形成される。つまり、第1下中空部114は、第2下中空部116に連接しない。また、弁部材130の上表面は、カバー内表面121にしっかりと取り付けられる。カバー内表面121および弁部材130において凹んだ第1上中空部122、第2上中空部123、および連接経路124の間に、別のチャンバー本体が形成される。
【0023】
そして、図8を参照すると、気体は、ベース110の入口118から第1下中空部114に伝送されるのに適している。より多くの気体が第1下中空部114に伝送されると、第1下中空部114内の気圧がより大きくなる。そのため、弁部材130の第1区域132が上向きに押され、第1上中空部122に向かって変形して排出ノズル126に当接するため、後続のガス放出プロセスにおいて、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128から気体が排出されない。弁部材130の第1区域132が変形すると、カバー120の連接経路124は、第1上中空部122の隣にあり、同様にカバー内表面121において凹んでいるため、カバー120の連接経路124は、弁部材130の第3区域136に変形する空間を提供する。そのため、第1下中空部114内の気圧が上がった場合、弁部材130の第3区域136が上向きに押され、連接経路124に向かって変形する。この時、その間にある第1下中空部114および第2下中空部116は、もう閉じていないため、気体が第1下中空部114から第2下中空部116に入ることができる。この段階で、第2下中空部116内の気圧は、弁部材130の第2区域134を変形させるには十分ではないため、弁部材130の弁ノズル138は、依然として第2下中空部116の下表面に当接している。
【0024】
言及すべきこととして、図5を再度参照すると、本実施形態において、カバー120の第1上中空部122および第2上中空部123の形状は、ほぼ円形である。連接経路124と第2上中空部123の間の接続部の幅は、Woである。第1上中空部122の最大幅(つまり、直径)は、Dである。連接経路124と第2上中空部123の間の接続部の幅Wo対第1上中空部122の最大幅Dの比率は、Wo/Dである。0.03≦Wo/D≦1。この比率の範囲は、弁部材130の第1区域132および第3区域136が2段階で変形できるようにするための範囲である。さらに詳しく説明すると、第1上中空部122は、比較的大きな幅を有するため、弁部材130の第1区域132は、第1上中空部122に向かって変形しやすい。連接経路124は、比較的小さい幅を有するため、弁部材130の第3区域136が連接経路124に向かって変形できるようにするためには、より大きな圧力が必要である。そのため、特定範囲内の幅により、まず、弁部材130の第1区域132が変形してから弁部材130の第3区域136が変形する2段階変形を達成することができる。弁部材130の第1区域132および第3区域136が段階的に変形するとは、弁部材130の第1区域132が第1段階で変形した時に排出ノズル126に当接するが、第3区域136が変形するためにはより大きな圧力を必要とするという設計によって、弁部材が第2段階で変形する時により大きな圧力を受けることを再度確保できることを意味する。そのため、変形の第2段階において、第1区域132は、排出ノズル126によりしっかりと当接する。つまり、排出ノズル126が漏れ停止段階にあることを再度確保する。当然、カバー120の第1上中空部122および連接経路124の形状は、図5に限定されない。
【0025】
また、本実施形態において、連接経路124と第1上中空部122の間の接続部の幅は、Wiである。連接経路124と第1上中空部122の間の接続部の幅Wiは、連接経路124と第2上中空部123の間の接続部の幅Woよりも大きい。つまり、Wi>Woである。また、連接経路124の幅は、連接経路124と第1上中空部122の間の接続部から連接経路124と第2上中空部123の間の接続部に向かって徐々に減少する。しかしながら、別の実施形態において、連接経路124と第1上中空部122の間の接続部の幅Wiは、連接経路124と第2上中空部123の間の接続部の幅Woと同じであってもよい。つまり、Wi=Woである。また、連接経路124の幅は、第1上中空部122の接続部から第2上中空部123の接続部まで変化しなくてもよい。つまり、連接経路124全体が同じ幅であってもよい。また、別の実施形態において、カバー120の第1上中空部122および第2上中空部123の形状は、円形でなくてもよく、連接経路124が第1上中空部122と第2上中空部123の間に小さな幅を有し、弁部材130に2段階変形を提供できさえすればよい。
【0026】
そして、図9を参照すると、入口118が空気の取り入れを継続し、弁部材130の第2下中空部116と第2区域134の間の気圧が十分に大きい時、弁部材130の第2区域134が押される。弁部材130の弁ノズル138は、第2下中空部116の下表面を離れる。この時、第2下中空部116にある気体は、弁ノズル138の弁ノズルスルーホール139を通過して第2上中空部123に流動する。そして、気体は、第2上中空部123から出口125に流入して、排出される。
【0027】
本実施形態において、弁部材130の第2区域134が変形時に第2上中空部123の上表面に当接して、気体が出口125に流入できなくなるのを防ぐため、カバー120は、さらに、第2上中空部123において凹んだ溝127を含む。溝127は、出口125に接続される。溝127の深度は、第2上中空部123の深度よりも大きい。そのため、弁部材130の第3区域136が第2上中空部123の上表面に当接しても、気体は、そのまま溝127から出口125に流入して、その後、一方向弁アセンブリ100から離れることができる。本実施形態において、連接経路124の深度および第1上中空部122の深度は、溝127の深度と同じであり、第2上中空部123の深度は、溝127の深度よりも小さい。
【0028】
言及すべきこととして、本実施形態において、出口125は、カバー120の中心に設置され、且つ連接経路124に接続されるが、弁ノズル138および出口125は、非共線状である。溝127は、気体を出口125に案内するために必要である。しかしながら、別の実施形態において、弁ノズル138および出口125は、共線状であってもよい。つまり、出口125は、弁ノズル138の上方に直接設置される。そのため、第2上中空部123において溝127の設計を省略してもよく、第2上中空部123の深度は、第1上中空部122および連接経路124の深度と同じであってもよい。
【0029】
また、入口118の空気取り入れプロセスにおいて、弁部材130の第1区域132は、最初のうちは上方に向かって移動して、排出ノズル118に当接するため、気体は、カバー120と弁部材130の間の空間に流入する時に排出ノズル118から離れない。気体は、出口125からのみ離れる。膨らませたい密封されたチャンバー本体(図示せず)に出口125を接続して、気体を注ぎ込んでもよい。当然、出口125に接続される物体は、これに限定されない。上述したように、一方向弁アセンブリ100中の気体の流動方法は、単一であり、且つ固定されるため、一方向弁アセンブリ100は、優れたガス流出効果を有する。
【0030】
また、本実施形態の一方向弁アセンブリ100が空気を排出させるためにある時、図10を参照すると、この時、気体がもう入口118から入って来ないため、弁部材130は、元の位置に戻る。本実施形態において、一方向弁アセンブリ100は、弁部材130の第3区域136、第2区域134、および第1区域132の順番で元の位置に戻る。弁部材130が元の位置に戻った後、弁部材130の第3区域136は、ベース内表面112と接触して、第1下中空部114と第2下中空部116の間の接続状態を閉じる。弁部材130の弁ノズル138は、第2下中空部116に当接して、第2下中空部116と第2上中空部123の間の接続状態を閉じるため、気体は、逆流せず、二重の逆戻り防止効果を達成することができる。
【0031】
本実施形態において、排出ノズル126の高度は、第1上中空部122の深度よりもわずかに低い。弁部材130の第1区域132が平坦な元の状態に戻りさえすれば、弁部材130の第1区域132は、排出ノズル126に当接しないため、気体は、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128から排出されない。言及すべきこととして、本実施形態において、出口125は、密封されたチャンバー本体に接続され、そこに気体を出力する。そのため、一方向弁アセンブリ100がもう空気を取り入れず、弁部材130が元に戻った時、密封されたチャンバー本体の気圧は、カバー120と弁部材130の間のチャンバー本体内の気圧よりも大きい。つまり、カバー120と弁部材130の間にある気体は、出口125からは出て行かないが、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128から排出される。密封されたチャンバー本体内の気体は、出口125を介してカバー120と弁部材130の間のチャンバー本体に流入し、その後、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128を介して出て行く。
【0032】
別の実施形態において、排出ノズル126の高度は、第1上中空部122の深度に接近してもよい。この段階で、気体は、もう入口118から入って来ないため、カバー120と弁部材130の間にある気圧は、ベース110と弁部材130の間にある気圧よりもわずかに高い。そのため、弁部材130の第1区域132は、下方に向かって(つまり、第1下中空部114に向かって)変形し、弁部材130の第1区域132は、排出ノズル126に当接しない。カバー120と弁部材130の間にある気圧は、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128から自動的に排出させることができる。
【0033】
また、一方向弁アセンブリ100の入口118は、空気を排出させることのできるバンプに接続されるため、バンプにより一方向弁アセンブリ100の入口118に気体が提供されなくなった時に、バンプは、空気自体を排出することができる。つまり、この時、バンプの圧力は、一方向弁アセンブリ100の第1下中空部114の気圧よりも少ない。元々第1下中空部114にあった気体は、入口118から流出し、圧力解放が生じる。第1下中空部114内の気圧が下がった時、第1上中空部122内の圧力は、第1下中空部114内の圧力よりも大きくなる。弁部材130の第1区域132は、第1下中空部114に向かって変形するため、弁部材130の第1区域132と排出ノズル126の間の空間は、増加する。そのため、カバー120と弁部材130の間にある気体は、より急速に排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128から排出され、排気速度を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態において、カバー120は、気密の方法でベース110に固定され、カバー120とベース110周辺の交差部分を密封する。そのため、流体は、一方向弁アセンブリ100の入口118および出口125を介してのみ出入りし、排出ノズル126の排出ノズルスルーホール128からのみ出て行くことができる。カバー120をベース110に固定する方法は、例えば、化学溶接、熱溶接、超音波溶接、コロイド状接合(colloidal bonding)、またはシールリング(sealing ring)とねじの組み合わせ、または留め具(fastener)であってもよい。
【0035】
図11は、本発明の別の実施形態に係る一方向弁アセンブリの概略的断面図である。言及すべきこととして、本実施形態において、前の実施形態の構成要素と同じ、または類似する構成要素は、同じ、または類似する参照番号で示し、説明を省略する。以下、二者間の主な相違点についてのみ説明する。
【0036】
図11を参照すると、本実施形態と前の実施形態の間の主な相違点は、前の実施形態において、図7に示すように、入口118および出口125は、同じ方向(すなわち、図面の上下方向)に沿って延伸する。本実施形態の一方向弁アセンブリ100aは、入口118および出口125aが異なる方向に沿って延伸する。さらに詳しく説明すると、一方向弁アセンブリ100aは、側面出口(side-outlet)型の一方向弁アセンブリである。一方向弁アセンブリ100aの入口118は、(図面の上下方向に沿って延伸する)底部にあり、出口125aは、(図面の左右方向に沿って延伸する)側面にある。
【0037】
以上のように、本発明の一方向弁アセンブリの設計は、カバーの第1上中空部と第2上中空部の位置がそれぞれベースの第1下中空部と第2下中空部の位置に対応し、弁部材がベースとカバーの間に配置され、弁部材の第1区域、第2区域、および第3区域がそれぞれ第1上中空部、第2上中空部、および連接経路に向かって変形するのに適しており、排出ノズルが第1上中空部の中に設置され、第2区域の弁ノズルが第2下中空部の下表面に当接する。そのため、気体が入口から第1下中空部に入って一定の圧力に蓄積された後、まず、弁部材の第1区域が押されて、第1上中空部に向かって変形し、排出ノズルに当接する。そして、弁部材の第3区域が押されて、連接経路に向かって変形する。その後、弁部材の第2区域が押されるため、弁ノズルが第2下中空部の下表面から離れる。気体は、第2下中空部、弁ノズル、および第2上中空部を順番に流動した後、出口から排出される。つまり、気体が第1下中空部から第2下中空部に流動するプロセスにおいて、弁部材の第1区域が変形して、排出ノズルに当接する。また、気体が十分な圧力に蓄積された時、弁部材の第3区域が変形することができる。そして、気体が第2下中空部に流入して、第1区域が排出ノズルにしっかりと当接することを再度確保することにより、後のガス放出プロセスにおいて気体が排出ノズルから排出するのを防ぐ。同様に、気体が第2下中空部から第2上中空部に流動するプロセスにおいて、弁部材の第2区域を変形させるためにも十分な圧力が必要になる。そのため、弁部材の第3区域および第2区域は、二弁部材に類似する効果を達成することできる。第3区域の変形を使用して、排出ノズルが第1区域によって強く押されるのを再度確保し、気体を第1下中空部から第2下中空部に流動させることができる。第2区域の変形は、気体を第2下中空部から第2上中空部に流動させることができる。また、入口が空気の取り入れを停止した後、弁部材は、元に戻る。元に戻った第2区域は、気体が第2上中空部から第2下中空部に戻るのを防ぐことができ、元に戻った第3区域は、気体が第2下中空部から第1下中空部に戻るのを防ぐことができるため、二重の逆戻り防止効果を達成することができる。また、元に戻った第1区域は、排出ノズルスルーホールを開くことができるため、排出ノズルを介してカバーと弁部材の間にある気体を自動的に排出することができる。
【0038】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、優れた逆戻り防止効果を有する一方向弁アセンブリに関するものである。
【符号の説明】
【0040】
D、Wi、Wo 幅
100、100a 一方向アセンブリ
110 ベース
112 ベース内表面
114 第1下中空部
116 第2下中空部
118 入口
120 カバー
121 カバー内表面
122 第1上中空部
123 第2上中空部
124 連接経路
125、125a 出口
126 排出ノズル
127 溝
128 排出ノズルスルーホール
130 弁部材
132 第1区域
134 第2区域
136 第3区域
138 弁ノズル
139 弁ノズルスルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11