(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドレーン排出口は、上方へ延びた第1縦通路と、この第1縦通路の上端から略水平方向へ延びた横通路と、横通路の先端から下方へ延びて外部へ開口した第2縦通路とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電力変換装置。
前記筐体に対して冷媒を供給する冷媒入口と排出する冷媒出口と、前記ドレーン排出口とは、前記筐体の同一面に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、例えばバッテリとモータとの間に配置されており、バッテリに貯えられている電力を制御してモータへ供給する。ハイブリッド車両や電動車両に搭載される電力変換装置、つまりPCU(パワーコントロールユニット)を構成する多くの子ユニット(例えばパワーモジュールやリアクトル)は発熱し、その影響によって性能を損なう懸念をもつため、冷却構造は必須となる。このような冷却技術は各種提案されてきた(例えば、特許文献1)
【0003】
特許文献1で知られている電力変換装置は、ケースの上に冷却器を備えている。この冷却器は、冷却液を導入する液導入口と、冷却液を排出する液排出口とを有する。冷却液は、液導入口や液排出口にそれぞれ接続されている複数の接続通路を通って、循環される。液導入口と接続通路との接続部位、及び、液排出口と接続通路との接続部位は、それぞれシール部によってシールされている。各シール部は、それぞれ、接続部位から外部へ冷却液が漏れることを防止する第1シール部材と、この第1シール部材を囲う第2シール部材と、第1シール部材と第2シール部材との間に位置したドレーン通路とからなる。このドレーン通路は、ケースに形成されてなる。第1シール部材と第2シール部材との間に溜まった冷却液は、ドレーン通路を通って、ドレーン排出口からケースの外部へ排出される。
【0004】
しかし、この構造では、溜まった冷却液を排出するためのドレーン通路及びドレーン排出口が、各シール部毎に必要である。シール部の数量が多くなるほど、ドレーン通路やドレーン排出口の個数も増えるので、ケースが大型になりやすい。これでは、電力変換装置が大型化する心配がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電力変換装置を大型化することなく、簡易な構成によって冷却器のドレーン構造を構成することができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、パワーモジュールを冷却する第1冷却器と、電子部品を冷却する第2冷却器と、前記第1冷却器と前記第2冷却器とを備える筐体と、を有した電力変換装置において、
前記第1冷却器と前記第2冷却器のいずれか一方は、冷媒を導入する冷媒口と冷媒を排出する冷媒口とを有し、
前記第1冷却器と前記第2冷却器のいずれか他方は、複数の部材同士の接続によって構成されており、
前記筐体は、前記複数の冷媒口に接続する複数の接続冷媒路と、前記複数の冷媒口と前記複数の接続冷媒路との接続部位をシールする複数の第1シール部と、前記複数の部材同士の接続部位をシールする第2シール部とを有し、
前記複数の第1シール部と前記第2シール部は、それぞれ、前記接続部位から外部へ前記冷媒が漏れることを防止する第1シール部材と、この第1シール部材を囲うように前記第1シール部材と同一面に位置した第2シール部材と、前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に位置し、前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に溜まった冷媒を排出することが可能なドレーン口と、を1つずつ含み、
これらの複数のドレーン口は、前記筐体に設けられて前記冷媒を外部へ排出する1つのドレーン排出口に集約されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記複数のドレーン口は、ドレーン合流部によって互いに接続されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記複数の第1シール部のドレーン口と、前記第2シール部のドレーン口とは、複数のドレーン通路によって接続されており、前記複数のドレーン通路は、通路両端の径よりも、通路長手方向の中心部が細いことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記ドレーン排出口は、上方へ延びた第1縦通路と、この第1縦通路の上端から略水平方向へ延びた横通路と、横通路の先端から下方へ延びて外部へ開口した第2縦通路とからなることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記筐体に対して冷媒を供給する冷媒入口と排出する冷媒出口と、前記ドレーン排出口とは、前記筐体の同一面に形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、筐体に設けられている1つのドレーン排出口に、全てのドレーン口を集約している。ドレーン排出口が1つですむので、その分、筐体の小型化を図ることができる。しかも、冷却器のドレーン構造は、全てのドレーン口を1つのドレーン排出口に集約するだけの、簡単な構成である。従って、電力変換装置を大型化することなく、簡易な構成によって冷却器のドレーン構造を構成することができる。
【0013】
さらには、例え、ドレーン排出口が外部から被水した場合であっても、ドレーン排出口は1つだけである。このため、ドレーン排出口が多数の場合に比べて、水がドレーン排出口から内部へ浸入し難くい。この結果、電力変換装置の耐被水性を高めることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、全てのドレーン口は、ドレーン合流部によって互いに接続されることにより、1つのドレーン排出口に集約される。このため、1つのドレーン排出口に対し全てのドレーン口を個別に接続する場合に比べて、1つのドレーン排出口に集約する構成を、簡易にすることができる。例えば、各々のドレーン口から1つのドレーン排出口までの、複数の経路を筐体に設ける必要はない。従って、複数の経路のための横孔加工やボールプラグを、削減することができる。しかも筐体を一層小型にすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、ドレーン通路の通路長手方向の中心部の径は、通路両端の径よりも細い。このため、例え、ドレーン排出口が外部から被水した場合であっても、水がドレーン通路の一方から他方へ流れ込み難い。水がドレーン排出口から内部へ逆流し難いので、耐被水性を一層高めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、ドレーン排出口は、第1縦通路と横通路と第2縦通路とによって、概ね迷路状(入り組んだ通路)に構成されている。このため、例え、ドレーン排出口が外部から被水した場合であっても、水がドレーン排出口から内部へ逆流し難い。この結果、電力変換装置の耐被水性を一層高めることができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、1つに集約されているドレーン排出口は、冷媒入口と冷媒出口と共に、筐体の同一面に形成されてなる。このため、電力変換装置を点検するときに、3つの口を同時に目視することができる。しかも、万一、冷媒が漏れていたときには、唯一のドレーン排出口を目視するだけで、複数のシール部の少なくとも1つから冷媒が漏れていることを、速やかに且つ確実に確認することができる。従って、電力変換装置のメンテナンス性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、電力変換装置10は、筐体20を有している。この筐体20は、平面視略矩形状を呈しており、パワーモジュール33を冷却する第1冷却器30と、電子部品55,56を冷却する第2冷却器59とを備える。以下、電力変換装置10を詳しく説明する。
【0021】
筐体20は、一体形成されてなる区画板21によって、第1室22と第2室23とに分離している。例えば、第1室22は第2室23の真上に位置する。
【0022】
第1室22は、区画板21に対して反対側(上側)を開放している。筐体20には、第1室22の開放端の縁に沿った平坦な座面24が形成されてなる。この座面24に、第1冷却器30が装着されている。つまり、第1室22は、区画板21に対して反対側の開放端を、第1冷却器30によって塞がれている。このように、第1冷却器30は、第1室22の開放端(開放面)を塞ぎつつ筐体20に取り付けられている。
【0023】
より詳しく述べると、この第1冷却器30は、筐体20とは別部材によって構成された冷媒ジャケットであって、第1室22にボルト31によって取り外し可能に装着された、概ね平坦な部材であり、内部に冷媒通路32を有している。この冷媒通路32は、パワーモジュール33を冷却するように、第1冷却器30内に形成されてなる。第1冷却器30の外面には、パワーモジュール33が実装されている。第1冷却器30を冷媒ジャケットによって構成したことにより、筐体20に第1冷却器30を組み付けることが容易であり、しかも、第1冷却器30にパワーモジュール33を実装することが容易である。
【0024】
第1室22には、第1子ユニット41が収容されている。この第1子ユニット41は、区画板21にボルト42によって取り外し可能に装着された基盤43と、この基盤43に実装された電子部品44(例えば平滑コンデンサ・リアクトル・DC−DCコンバータ・放電抵抗など)と、によって構成されている。第1冷却器30とパワーモジュール33は、第1カバー45によって覆われている。この第1カバー45は、筐体20にボルト46によって取り外し可能に装着されている。
【0025】
第2室23は、区画板21に対して反対側(下側)を開放している溝部によって、構成されている。筐体20には、第2室23の開放端の縁に沿った平坦な座面25が形成されてなる。この座面25に、蓋部50が装着されている。つまり、第2室23は、区画板21に対して反対側の開放端を、蓋部50によって塞がれている。このように、蓋部50は、第2室23の開放端(開放面)を塞ぎつつ筐体20に取り付けられている。
【0026】
蓋部50は、第1蓋部51と第2蓋部52とからなる。この第1蓋部51は、第2室23の座面25に重ねられ且つボルト53によって取り外し可能に装着された、平板である。この第1蓋部51は、区画板21に対向する面を第1対向面51aとし、この第1対向面51aに対して反対側の面を実装面51bとする。第1対向面51aには、第2室23内へ延びた複数の冷却フィン51cが形成されてなる。第1蓋部51の一部には、貫通孔51dが形成されてなる。
【0027】
第2蓋部52は、第1蓋部51の貫通孔51dを塞ぐように、第1蓋部51の実装面51bに重ねられ且つボルト54によって取り外し可能に装着された、平板である。なお、第2蓋部52は、第1蓋部51と共に筐体20に一部のボルト54によって共締めしてもよい。この第2蓋部52は、第1蓋部51の実装面51bに対向する面を第2対向面52aとし、この第2対向面52aに対して反対側の面を実装面52bとする。第2対向面52aには、第2室23内へ延びた複数の冷却フィン52cが形成されてなる。
【0028】
第1蓋部51の実装面51bには、第1の電子部品55が実装されている。第2蓋部52の実装面51bには、第2の電子部品56が実装されている。この第1及び第2電子部品55,56は、例えば平滑コンデンサ・リアクトル・DC−DCコンバータ・放電抵抗等からなる。
【0029】
このように、分割された蓋部51,52同士が一体化(一枚化)されて、筐体20に固定されるため、分割された蓋部51,52によって第2室23を個別に開口させる必要がない。電力変換装置10の構成を簡略化できる。しかも、各電子部品55,56の集積度及び配置の自由度を増すことができる。この各電子部品55,56を蓋部50に実装したことにより、蓋部50を交換するだけで電子部品55,56の変更が可能となり、電力変換装置10の汎用性が高くなる。また、筐体20に蓋部50を一体的に構成することにより、電力変換装置10の構成を簡易化できるとともに、電力変換装置10の大きさを小さくできる。
【0030】
蓋部50と電子部品55,56は、第2カバー57によって覆われている。この第2カバー57は、筐体20にボルト58によって取り外し可能に装着されている。
【0031】
筐体20のなかの、第2室23を形成している壁部(区画板21を含む)と、第2室23を塞ぐ蓋部50と、によって「第2冷却器59」が構成されている。この第2冷却器59は、複数の部材20,50同士、つまり筐体20と蓋部50との接続によって構成されている。このように、第2冷却器59は、少なくとも一部を筐体20に一体に構成された、冷媒ジャケットである。以下、第2室23のことを、適宜「冷媒通路23」と言い換える。
【0032】
筐体20は、内部に複数の接続冷媒路61〜63を有している。詳しく述べると、筐体20は、外部から筐体20へ冷媒を導入する第1接続冷媒路61(冷媒入口61)と、筐体20から外部へ冷媒を排出する第2接続冷媒路62(冷媒出口62)と、第1冷却器30と第2冷却器59とを接続する第3接続冷媒路63とを、収容している。
【0033】
第1接続冷媒路61と第2接続冷媒路62とは、筐体20の側壁26の同一面26aに形成されてなり、第3接続冷媒路63とは反対側に位置している。
【0034】
第1冷却器30は、第3接続冷媒路63から冷媒を導入する冷媒口34(導入冷媒口34)と、第2接続冷媒路62へ冷媒を排出する冷媒口35(排出冷媒口35)とを有する。導入冷媒口34と排出冷媒口35は、第1冷却器30の冷媒通路32に連通している。第1冷却器30の導入冷媒口34と第3接続冷媒路63との第1接続部位64、及び、第1冷却器30の排出冷媒口35と第2接続冷媒路62との第2接続部位65は、共に第1室22の座面24である。
【0035】
第1接続冷媒路61から供給された冷媒(例えば冷却水)は、第2冷却器59、第3接続冷媒路63、第1冷却器30の経路を通過して、第2接続冷媒路62から排出される。冷媒通路32を流れた冷媒は、第1冷却器30を通してパワーモジュール33を直接に冷却する。第2冷却器59を流れた冷媒は、複数の冷却フィン51c,52c及び蓋部50を通して電子部品55,56を直接に冷却する。このため、パワーモジュール33や電子部品55,56を直接に効率よく冷却することができる。
【0036】
図1〜
図3、
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、第1接続部位64と第2接続部位65は、それぞれ第1シール部70,70によって個別にシールされている。複数の第1シール部70,70は、筐体20に有しており、それぞれ、第1シール部材71,71と第2シール部材72,72とドレーン口73,73とを、1つずつ含む。
【0037】
第1シール部材71,71は、第1及び第2接続部位64,65から外部へ冷媒が漏れることを防止するように、第1室22の座面24に位置している。第2シール部材72,72は、第1シール部材71,71を囲うように、第1シール部材71,71と同一面、つまり第1室22の座面24に位置している。第1シール部材71,71と第2シール部材72,72は、例えばOリングからなる。ドレーン口73,73は、何らかの事情で第1シール部材71,71から冷媒が漏れ出た場合、第1シール部材71,71と第2シール部材72,72との間に溜まった冷媒を排出することが可能な開口であり、第1シール部材71,71と同一面、つまり第1室22の座面24に位置している。
【0038】
図1〜
図3、
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、第2冷却器59と第1蓋部51との第3接続部位81は、第2室23の座面25であり、第1蓋部51と第2蓋部52との第4接続部位82は、第1蓋部51の実装面51bである。第2冷却器59を構成する複数の部材20,51,52同士の接続部位81,82、つまり第3接続部位81と第4接続部位82は、それぞれ第2シール部90A,90Bによって個別にシールされている。
【0039】
この2つの第2シール部90A,90Bは、実質的に筐体20に有している。詳しく述べると、2つの第2シール部90A,90Bのなかの、1つを第2主シール部90Aといい、もう1つを第2副シール部90Bということにする。第2主シール部90Aは、第2室23の座面25と第1蓋部51の第1対向面51aとの間を、シールしている。第2副シール部90Bは、第1蓋部51の実装面51bと第2蓋部52の第2対向面52aとの間を、シールしている。
【0040】
2つの第2シール部90A,90Bの構成は、上記第1シール部70,70の構成に対して実質的に同じである。つまり、第2主シール部90Aは、筐体20に有しており、第1シール部材91Aと第2シール部材92Aとドレーン口93Aとを含む。第2副シール部90Bは、第1蓋部51に有しており、第1シール部材91Bと第2シール部材92Bとドレーン口93Bとを含む。
【0041】
第1シール部材91A,91Bは、第3及び第4接続部位81,82から外部へ冷媒が漏れることを防止するように、第2室23の座面25又は第1蓋部51の実装面51bに位置している。第2シール部材92A,92Bは、第1シール部材91A,91Bを囲うように、第1シール部材91A,91Bと同一面、つまり第2室23の座面25又は第1蓋部51の実装面51bに位置している。第1シール部材91A,91Bと第2シール部材92A,92Bは、例えばOリングからなる。ドレーン口93A,93Bは、何らかの事情で第1シール部材91A,91Bから冷媒が漏れ出た場合、第1シール部材91A,91Bと第2シール部材92A,92Bとの間に溜まった冷媒を排出することが可能な開口であり、第1シール部材91A,91Bと同一面、つまり第2室23の座面25又は第1蓋部51の実装面51bに位置している。
【0042】
図1〜
図3に示されるように、これらの複数のドレーン口73,73,93A,93Bは、筐体20に設けられて冷媒を外部へ排出する1つのドレーン排出口100に集約されている。
【0043】
詳しく述べると、複数の第1シール部70,70のドレーン口73,73と、第2シール部90A,90Bのドレーン口93A,93Bとは、複数のドレーン通路94,94,95によって接続されている。第1シール部70,70のドレーン口73,73は、それぞれ第1ドレーン通路94,94によって、第2主シール部90Aのドレーン合流部96,97に接続されている。第2副シール部90Bのドレーン口93Bは、第2ドレーン通路95によって、第2主シール部90Aのドレーン合流部96に接続されている。
【0044】
各ドレーン合流部96,97は、第2主シール部90Aの第1シール部材91Aと第2シール部材92Aとの間に位置し、且つ第1シール部材91Aと同一面、つまり第2室23の座面25に位置している。この結果、複数のドレーン口73,73,93A,93Bは、ドレーン合流部96,97によって、互いに接続されている。このように、全てのドレーン口73,73,93A,93Bは、1つのドレーン排出口100に集約される。
【0045】
このため、1つのドレーン排出口100に対し全てのドレーン口73,73,93A,93Bを個別に接続する場合に比べて、1つのドレーン排出口100に集約する構成を、簡易にすることができる。例えば、各々のドレーン口73,73,93A,93Bから1つのドレーン排出口100までの、複数の経路を筐体20に設ける必要はない。従って、複数の経路のための横孔加工やボールプラグを、削減することができる。しかも、筐体20を一層小型にすることができる。
【0046】
例えば、第1接続部位64の第1シール部材71から漏れ出た冷媒は、第1及び第2シール部材71,72間の隙間を通り、ドレーン口73とドレーン通路94とを介してドレーン合流部96へ流れる。
第2接続部位65の第1シール部材71から漏れ出た冷媒は、第1及び第2シール部材71,72間の隙間を通り、ドレーン口73とドレーン通路94とを介してドレーン合流部97へ流れる。
第2副シール部90Bの第1シール部材91Bから漏れ出た冷媒は、第1及び第2シール部材91B,92B間の隙間を通り、ドレーン口93Bとドレーン通路95とを介してドレーン合流部96へ流れる。
これらのドレーン合流部96,97へ流入した冷媒は、更に、第2主シール部90Aの第1及び第2シール部材91A,92A間の隙間を通り、ドレーン排出口100から外部へ排出される。
また、第2主シール部90Aの第1シール部材91Aから漏れ出た冷媒は、第1及び第2シール部材91A,92A間の隙間を通り、ドレーン口93Aを介して、ドレーン排出口100から外部へ排出される。
【0047】
複数のドレーン通路94,94,95の少なくとも1つは、
図4(b)に示されるように、通路両端の径よりも、通路長手方向の中心部が細い。このため、例え、ドレーン排出口100が外部から被水した場合であっても、水がドレーン通路94,94,95の一方から他方へ流れ込み難い。水がドレーン排出口100から内部へ逆流し難いので、耐被水性を一層高めることができる。
【0048】
ドレーン排出口100は、第2主シール部90Aの第1シール部材91Aと第2シール部材92Aとの間に位置し、且つ第1シール部材91Aと同一面、つまり第2室23の座面25に位置している。この結果、複数のドレーン口93A,93Bは、1つのドレーン排出口100に集約される。
【0049】
図1、
図3及び
図4(c)に示されるように、ドレーン排出口100は、例えば、第2主シール部90Aの第1シール部材91Aと第2シール部材92Aとの間のドレーン口93Aから上方へ延びた第1縦通路101と、この第1縦通路101の上端から略水平方向へ延びた横通路102と、横通路102の先端から下方へ延びて外部へ開口した第2縦通路103とからなる。漏れた冷媒を、第2縦通路103から外方へ排出することができる。このように、ドレーン排出口100は、概ね迷路状(入り組んだ通路)に構成されている。このため、例え、ドレーン排出口100が外部から被水した場合であっても、水がドレーン排出口100から内部へ逆流し難い。この結果、電力変換装置10の耐被水性を一層高めることができる。
【0050】
図1及び
図3に示されるように、筐体20に対して冷媒を供給する冷媒入口61と排出する冷媒出口62と、ドレーン排出口100とは、筐体20の同一面26aに形成されてなる。このため、電力変換装置10を点検するときに、3つの口61,62,100を同時に目視することができる。しかも、万一、冷媒が漏れていたときには、唯一のドレーン排出口100を目視するだけで、複数のシール部70,70,90A,90Bの少なくとも1つから冷媒が漏れていることを、速やかに且つ確実に確認することができる。従って、電力変換装置10のメンテナンス性を高めることができる。
【0051】
例えば、電力変換装置10を車両のエンジンルームに搭載する場合には、エンジンルームを開けたときに、ドレーン排出口100を速やかに目視可能な位置に、電力変換装置10を配置しておくことが容易である。従って、冷媒が漏れていることを、速やかに且つ確実に確認することができる。
【0052】
さらには、冷媒入口61と冷媒出口62とドレーン排出口100とを筐体20の同一面26aに形成して、片側に集中的に配置することにより、筐体20の小型化(サイズダウン)を図ることが可能である。しかも、筐体20は、冷媒入口61と冷媒出口62とを有していない、いわゆる反対側の部位には、冷媒配管をする必要がない。このため、電力変換装置10及びその付属物を配置する配置スペースを、小さくすることができる。その分、狭いスペースに電力変換装置10を配置することができるので、配置の自由度が増す。例えば、電力変換装置10を車両に搭載する場合には、車両の小型化を図る上で有効である。
【0053】
以上の説明をまとめると、次の通りである。筐体20に設けられている1つのドレーン排出口100に、全てのドレーン口73,73,93A,93Bを集約している。ドレーン排出口100が1つですむので、その分、筐体20の小型化を図ることができる。しかも、第1及び第2冷却器30,59のドレーン構造は、全てのドレーン口73,73,93A,93Bを1つのドレーン排出口100に集約するだけの、簡単な構成である。従って、電力変換装置10を大型化することなく、簡易な構成によって第1及び第2冷却器30,59のドレーン構造を構成することができる。
【0054】
さらには、例え、ドレーン排出口100が外部から被水した場合であっても、ドレーン排出口100は1つだけである。このため、ドレーン排出口100が多数の場合に比べて、水がドレーン排出口100から内部へ浸入し難くい。この結果、電力変換装置10の耐被水性を高めることができる。
【0055】
なお、電力変換装置10は、電動車両や、いわゆるハイブリッド車両に搭載される他、舶用や一般産業用に供することもできる。
また、筐体20は、筐体20と第1冷却器30とに分離した構成に限定されるものではなく、一体の構成であってもよい。
また、蓋部50は、第1蓋部51と第2蓋部52とに分割した構成に限定されるものではなく、貫通孔51dを有していない第1蓋部51のみによって構成してもよい。
また、
図1に示される第1カバー45と第2カバー57の有無は任意である。
【解決手段】電力変換装置10は、第1及び第2冷却器30,59を備えた筐体20を有する。一方の冷却器30は、複数の冷媒口34,35を有する。他方の冷却器59は、複数の部材20,50同士の接続からなる。前記筐体20は、前記複数の冷媒口34,35に接続する複数の接続冷媒路62,63の接続部位64,65をシールする複数の第1シール部70と、前記複数の部材20,50同士の接続部位81,82をシールする第2シール部90A,90Bとを有する。各シール部70,90A,90Bは、第1シール部材71,91A,91Bと、第2シール部材72.92A,92Bと、ドレーン口73,93A,93Bと、を1つずつ含む。前記複数のドレーン口73,93A,93Bは、1つのドレーン排出口100に集約される。