特許第6351818号(P6351818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6351818鉄筋組立用治具および鉄筋組立用治具システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6351818
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】鉄筋組立用治具および鉄筋組立用治具システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 5/11 20060101AFI20180625BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   E21D5/11
   E21D11/08
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-197962(P2017-197962)
(22)【出願日】2017年10月11日
【審査請求日】2017年11月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594125808
【氏名又は名称】東海メタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230120167
【弁護士】
【氏名又は名称】清水 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100181630
【弁理士】
【氏名又は名称】原 晶子
(72)【発明者】
【氏名】脇本 薫
(72)【発明者】
【氏名】勢力 秀喜
(72)【発明者】
【氏名】山中 一将
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−239029(JP,A)
【文献】 実開昭63−009396(JP,U)
【文献】 特開昭63−042809(JP,A)
【文献】 特開2004−100336(JP,A)
【文献】 特開平10−100126(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0188336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 5/11
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を組み立てるために用いる鉄筋組立用治具であって、
鉄筋の主筋が配置されたときに主筋の長手方向となる方向に延びる台座と、
前記長手方向に沿うように、所定間隔をあけて前記台座に立設される複数の主筋支持柱と、
上下方向に所定間隔をあけて前記主筋支持柱に設けられ、前記長手方向と直交する方向に水平に延びる複数の主筋支持部材と、を備え、
前記主筋支持部材は、組み立てられた鉄筋を取り出す際の鉄筋の動作に追従して、前記主筋支持柱への取付部を支点として、水平に延びた状態から上方に揺動可能である鉄筋組立用治具。
【請求項2】
少なくとも2台の請求項1に記載の鉄筋組立用治具と、
治具回転軸芯と、を備え、
前記鉄筋組立用治具はそれぞれ、前記台座の底面に取り付けられる車輪と、前記台座の一方の端部から前記長手方向に延びる連結部材とを備え、
前記連結部材は、前記治具回転軸芯を中心に回動可能に前記治具回転軸芯に連結されている鉄筋組立用治具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントの骨格となる鉄筋を組み立てる際に用いる鉄筋組立用治具および当該鉄筋組立用治具を備えた鉄筋組立用治具システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
共同溝、地下鉄、トンネル、下水道等の坑道を掘削する場合、坑道の内周面の覆工を構築するためにセグメントが用いられる。セグメントには、骨格となる格子状鉄筋が内設されている。格子状鉄筋は一般に工場にて組み立てられるが、この格子状鉄筋を組み立てる際に、鉄筋を格子状に配置して組み立てる作業台として鉄筋組立用治具が用いられている。
【0003】
従来、鉄筋組立用治具として、例えば、特許文献1のような鉄筋組立用治具が知られている。この鉄筋組立用治具は、複数の治具柱が、治具基礎台上に、治具基礎台の長手方向に沿って所定間隔をあけて立設され、複数の支持腕が、各治具柱に、治具柱の長手方向に沿って所定間隔をあけて設けられてなる。このとき、各支持腕は、治具基礎台の長手方向と直交する方向に水平に延びており、治具柱に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−239029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような鉄筋組立用治具では、支持腕が治具柱に固定されているため、組み立てられた格子状鉄筋を鉄筋組立用治具から取り出す際に、格子状鉄筋に組み込まれているスターラップ等が支持腕に引っかかり、格子状鉄筋を鉄筋組立用治具から取り出しにくいという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、組み立てられた格子状鉄筋を取り出しやすい鉄筋組立用治具を提供することを目的とする。さらに、上記鉄筋組立用治具を備え、より格子状鉄筋の組み立て作業を容易にすることができる鉄筋組立用治具システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鉄筋を組み立てるために用いる鉄筋組立用治具である。鉄筋組立用治具は、鉄筋の主筋が配置されたときに主筋の長手方向となる方向に延びる台座と、長手方向に沿うように、所定間隔をあけて台座に立設される複数の主筋支持柱と、上下方向に所定間隔をあけて主筋支持柱に設けられ、長手方向と直交する方向に水平に延びる複数の主筋支持部材とを備える。主筋支持部材は、主筋支持柱への取付部を支点として、水平に延びた状態から上方に揺動可能である。
【0008】
本発明の鉄筋組立用治具では、主筋支持部材が主筋支持柱に揺動可能に取り付けられている。そのため、組み立てられた格子状鉄筋を鉄筋組立用治具から取り出す際に、格子状鉄筋を上に持ち上げると、主筋支持部材が上方へと揺動する。これにより、主筋支持部材が格子状鉄筋に引っかからず、組み立てられた格子状鉄筋を鉄筋組立用治具から容易に取り出すことができる。
【0009】
さらに本発明は、少なくとも2台の上記鉄筋組立用治具と、治具回転軸芯とを備える鉄筋組立用治具システムである。鉄筋組立用治具システムにおいて、鉄筋組立用治具はそれぞれ、台座の底面に取り付けられる車輪と、台座の一方の端部から長手方向に延びる連結部材とを備える。連結部材は、治具回転軸芯を中心に回動可能に治具回転軸芯に連結されている。
【0010】
本発明の鉄筋組立用治具システムは少なくとも2台の鉄筋組立用治具を備えているため、例えば、一の鉄筋組立用治具において、鉄筋組立用治具に鉄筋を配置し、他の鉄筋組立用治具において、配置された鉄筋を溶接等により組み立てて取り出すことができる。このように、鉄筋の配置作業と、鉄筋の組立・取出作業とを並行して行うことができるため、格子状鉄筋を組み立てる作業を効率よく行うことができる。また、本発明の鉄筋組立用治具システムでは、治具回転軸芯を中心に鉄筋組立用治具を回転させることができる。これにより、鉄筋が配置された鉄筋組立用治具と、鉄筋が取り出されて空になった鉄筋組立用治具とを入れ替えることができる。すなわち、鉄筋の配置作業および鉄筋の組立・取出作業が完了するごとに、治具回転軸芯を中心に鉄筋組立用治具を回転させると、作業者は移動することなく、同じ場所で再び鉄筋の配置作業または鉄筋の組立・取出作業を行うことができる。これにより、鉄筋の配置工程、鉄筋の組立・取出工程ごとに作業者および作業に必要な道具、工具、装置等を移動させる必要がなく、より作業効率を上げることができる。その結果、格子状鉄筋の組み立てをより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鉄筋組立用治具によれば、組み立てられた格子状鉄筋を容易に取り出すことができる。また、本発明に係る鉄筋組立用治具システムによれば、格子状鉄筋の組み立てをより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の鉄筋組立用治具の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1の鉄筋組立用治具の主筋支持柱および主筋支持部材の一部を拡大して示す図である。
図3図1の鉄筋組立用治具に鉄筋を配置した図である。
図4】本発明の鉄筋組立用治具システムの一実施形態を示す斜視図である。
図5】本発明の鉄筋組立用治具システムにおいて鉄筋組立用治具に配置される鉄筋を保持する材料架台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る鉄筋組立用治具の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。本発明の鉄筋組立用治具10は、坑道の内周面を覆工するセグメントに内設される格子状鉄筋Rを組み立てるために用いるものである。
【0014】
図1に示すように、鉄筋組立用治具10は、台座11と、台座11に立設される複数の主筋支持柱12と、主筋支持柱12に設けられる複数の主筋支持部材13と、台座11の底面に取り付けられる車輪14と、台座11の一方側の端部に設けられる突き当て部15とを備えている。
【0015】
ここで、鉄筋組立用治具10において組み立てられた格子状鉄筋Rが内設されるセグメントは、円筒状を呈している坑道に沿うように構成されるため、平板を一方向に湾曲した形態となる。鉄筋R(図3参照)の主筋MRは、このようなセグメントに内設されため、セグメントの湾曲形状に沿う湾曲形状を有している。このとき、主筋MRの長手方向とは、主筋MRの伸びる方向であり、主筋MRが湾曲している場合には、主筋MRの湾曲に沿った方向、つまり、図3の矢印Aの方向をいう。
【0016】
台座11は、鉄筋Rの主筋MRが鉄筋組立用治具10に配置されたときに主筋MRの長手方向となる方向に延びる形態を有している。本実施形態では、台座11は、略直方体形状を呈する第1台座部材111および第2台座部材112からなり、第1台座部材111と第2台座部材112とが接合されることで、主筋MRの湾曲した長手方向に近似した形態となっている。なお、台座11は、本実施形態のような形態に限られず、長辺が主筋MRの湾曲に沿うような湾曲形状を有する1枚の板材として形成することもできるし、その他、主筋MRの長手方向となる方向に延びていれば任意の形態とすることができる。
【0017】
主筋支持柱12は、棒状または板状を呈しており、主筋MRの長手方向に沿うように所定間隔をあけて台座11に立設されている。本実施形態では、断面矩形状で棒状の4本の主筋支持柱12が設けられている。
【0018】
主筋支持部材13は、上下方向に所定間隔をあけて主筋支持柱12に設けられており、主筋MRの長手方向と直交する方向に水平に延びている。具体的には、セグメントにおいて主筋MRを配置する間隔が定められており、その主筋MRの配置する間隔で主筋支持部材13が設けられている。
【0019】
図2に示すように、主筋支持部材13は、主筋支持柱12への取付部13aを支点として、水平に延びた状態から上方に揺動可能に取り付けられている。具体的には、主筋支持部材13は、L字状の第1支持部材131と円筒状の第2支持部材132とから構成されている。第2支持部材132の側面が主筋支持柱12に溶接等によって固定されている。第1支持部材131は、L字状を構成する一辺が第2支持部材132に揺動可能に挿入されている。このとき、第1支持部材131のL字状を構成する他辺が、主筋MRの長手方向と直交する方向に延びるように配置される。主筋支持柱12の取付部13a近傍には、主筋支持部材13の第1支持部材131を水平に支持するための支持台121が取り付けられており、第1支持部材131は支持台121に支持されて水平に延びている。これにより、主筋支持部材13は、水平に延びた位置から上方へ揺動可能に主筋支持柱12に取り付けられる。
【0020】
車輪14は、台座11の長手方向の両端部に取り付けられている。本実施形態では、各端部にそれぞれ2個ずつ車輪14が取り付けられている。車輪14は、鉄筋組立用治具10と、鉄筋組立用治具10で組み立てられた格子状鉄筋Rとを支持できるものであれば任意の車輪を用いることができる。
【0021】
突き当て部15は、台座11の一端部に立設されている。本実施形態では、突き当て部15は、2本の棒状の柱材151と、当該柱材151を連結する連結材152とから構成されている。柱材151は、鉄筋組立用治具10に主筋MRが配置された際に、主筋MRの端部が位置する位置に配置される。この柱材151に主筋MRの端部が接することで、主筋MRの端部が揃えられる。なお、突き当て部15は、主筋MRの端部を揃えることができれば任意の形態を取り得、例えば板状に形成することもできる。
【0022】
さらに、鉄筋組立用治具10は、主筋MRとスターラップとを組み立てる際のスターラップの位置決めに用いるスターラップ止め部16を備えている。スターラップ止め部16は、棒状を呈しており、セグメントに沿うように湾曲されている。このとき、スターラップ止め部16の長手方向は、坑道にセグメントが配置された際の主筋MRの長手方向と同じ方向となっている。このスターラップ止め部16は、台座11および主筋支持柱12に溶接等によって取り付けられている。スターラップ止め部16には、スターラップが配置される位置に、スターラップを挟み込むための角ピン17が溶接等により取り付けられている。
【0023】
次に、鉄筋組立用治具10を用いて鉄筋Rを組み立てる方法を説明する。格子状鉄筋Rの材料となる主筋MRおよびスターラップを保持する材料架台の近傍に鉄筋組立用治具10を移動させる。そして、鉄筋組立用治具10にスターラップを交互に上下反対にセットする。それから、主筋支持部材13上に主筋MRを挿し込み、必要な箇所を溶接により固定する。
【0024】
主筋MRとスターラップとを溶接した後、幅止め等の格子状鉄筋Rに組み付けられる部材(図示せず)をすべて取り付けて溶接等によって固定する。その後、格子状鉄筋Rをクレーンで釣り上げて、鉄筋組立用治具10から取り出す。
【0025】
以上のように、本実施形態の鉄筋組立用治具10では、主筋支持部材13が主筋支持柱12に揺動可能に取り付けられている。そのため、組み立てられた格子状鉄筋Rを鉄筋組立用治具10から取り出す際に、格子状鉄筋Rを上に持ち上げると、主筋支持部材13が上方へと揺動する。これにより、主筋支持部材13が格子状鉄筋Rに引っかからず、組み立てられた格子状鉄筋Rを鉄筋組立用治具10から容易に取り出すことができる。その結果、格子状鉄筋Rを組み立てる作業の労力および時間を削減することができる。
【0026】
また、本実施形態の鉄筋組立用治具10は、車輪14を備えている。鉄筋組立用治具10が固定されていると、主筋MRおよびスターラップ等の材料を載置する材料架台との位置合わせが困難で、材料架台と微妙に方向が合わない状態で、重い鉄筋を動かして調整しながら鉄筋組立用治具10に配置しなければならなかった。しかしながら、鉄筋組立用治具10が車輪14を備えることで、鉄筋組立用治具10が動き、材料架台との位置合わせがしやすくなり、鉄筋Rを鉄筋組立用治具10に配置しやすくなる。
【0027】
さらに、本実施形態の鉄筋組立用治具10は、突き当て部15を備えているため、鉄筋組立用治具10に配置した主筋MRの端部を容易に揃えることができる。これにより、重い鉄筋Rを何度も動かして微調整することなく鉄筋組立用治具10に配置することができ、格子状鉄筋Rを組み立てる作業の労力および時間を大幅に削減することができる。
【0028】
次に、図4を参照して、上記鉄筋組立用治具10を用いた鉄筋組立用治具システム1について説明する。鉄筋組立用治具システム1は、少なくとも2台の鉄筋組立用治具10と、治具回転軸芯20とを備えている。本実施形態では、鉄筋組立用治具システム1は、3台の鉄筋組立用治具10を備えている。
【0029】
治具回転軸芯20は、棒状を呈しており、鉄筋組立用治具システム1の中心部に設けられている。
【0030】
鉄筋組立用治具システム1に用いられる鉄筋組立用治具10は、上記鉄筋組立用治具10と同様の構成を有している。さらに、鉄筋組立用治具システム1に用いられる鉄筋組立用治具10は、台座11の一方の端部から主筋MRの長手方向に延びる連結部材17を備えている。突き当て部15を有している鉄筋組立用治具10においては、突き当て部15が設けられている側に連結部材17が設けられる。連結部材17の端部は、治具回転軸芯20に連結されている。このとき、鉄筋組立用治具システム1に用いられるすべての鉄筋組立用治具10の連結部材17は一体的に連結され、治具回転軸芯20に対しては、連結部材17は治具回転軸芯20を中心に回動可能となっている。
【0031】
図5は、鉄筋組立用治具10に配置される鉄筋Rを保持する材料架台30を示している。材料架台30は、本体部31と脚部32とから構成されている。本体部31は、円形状または多角形状の上枠311および下板312を接続部材313で接合してなり、錘を逆さにした形態を呈している。脚部32は、本体部31の上枠311から鉛直方向に延びてなる。下板312および脚32の下端には、車輪33が取り付けられている。また、材料架台30の中心部には架台軸芯34が設けられている。材料架台30には、格子状鉄筋Rを組み立てるのに用いる主筋MRが載置されている。1つの格子状鉄筋Rは、複数の異なる長さおよび曲率半径を有する主筋MRを組み合わせて組み立てられるため、主筋MRは、サイズ(長さおよび曲率半径)ごとに分けて材料架台30に置かれている。
【0032】
次に、鉄筋組立用治具システム1を用いて鉄筋Rを組み立てる方法を説明する。本実施形態の鉄筋組立用治具システム1は3台の鉄筋組立用治具10a,10b,10cを備えており、第1の鉄筋組立用治具10aが、鉄筋Rを配置する第1の位置に、第2の鉄筋組立用治具10bが、鉄筋Rを溶接等により組み立てる第2の位置に、第3の鉄筋組立用治具10cが、組み立てられた格子状鉄筋Rを取り出す第3の位置に位置している(図4に示す状態)。第1の位置の近傍に材料架台30が配置されている。材料架台30には、格子状鉄筋Rを組み立てるのに必要な鉄筋Rの主筋MRがサイズごとに置かれている。
【0033】
まず、第1の位置において、材料架台30から主筋MRを取り出して第1の鉄筋組立用治具10aに配置する。このとき、材料架台30に備えられている車輪33を利用して、所望のサイズの主筋MRが第1の鉄筋組立用治具10aの近傍に位置するように、架台軸芯34を中心として材料架台30を回転させて材料架台30と第1の鉄筋組立用治具10aとを位置合わせする。これを繰り返し、主筋MRおよびスターラップ等、格子状鉄筋Rの組み立てに必要なすべての鉄筋Rを配置する。
【0034】
第1の鉄筋組立用治具10aに格子状鉄筋の組み立てに必要なすべての鉄筋Rを配置すると、治具回転軸芯20を中心として鉄筋組立用治具10a,10b,10cを回転させる。そうすると、第1の鉄筋組立用治具10aが第2の位置に移動し、第1の位置には、鉄筋Rが配置されていない第3の鉄筋組立用治具10cが移動してくる。第1の位置では、上記と同様にして第3の鉄筋組立用治具10cに鉄筋Rを配置し、第2の位置では、第1の鉄筋組立用治具10aに配置された鉄筋Rを溶接等により組み立てる。
【0035】
第1の位置で鉄筋Rの配置作業が終わり、第2の位置で鉄筋Rの組立作業が終わると、再び治具回転軸芯20を中心として鉄筋組立用治具10a,10b,10cを回転させる。そうすると、第1の鉄筋組立用治具10aが第3の位置に移動し、第3の鉄筋組立用治具10cが第2の位置に移動し、鉄筋Rが配置されていない第2の鉄筋組立用治具10bが第1の位置に移動してくる。第1の位置では、上記と同様にして第2の鉄筋組立用治具10bに鉄筋Rを配置し、第2の位置では、上記と同様にして第2の鉄筋組立用治具10cに配置された鉄筋Rを溶接等により組み立てる。そして、第3の位置では、組み立てられた格子状鉄筋Rをクレーンによって吊り上げて、第1の鉄筋組立用治具10aから取り出す。
【0036】
第1の位置で鉄筋Rの配置作業が終わり、第2の位置で鉄筋Rの組立作業が終わり、第3の位置で鉄筋Rの取出作業が終わると、再び治具回転軸芯20を中心として鉄筋組立用治具10a,10b,10cを回転させる。そして、第1の位置、第2の位置および第3の位置でそれぞれ上記と同様にして、鉄筋Rの配置作業、鉄筋Rの組立作業および鉄筋Rの取出作業を行う。これを繰り返して格子状鉄筋を組み立てていく。
【0037】
以上のように、本実施形態の鉄筋組立用治具システム1では、3台の鉄筋組立用治具10a,10b,10cを備えている。これにより、第1の位置において、鉄筋Rを鉄筋組立用治具10a,10b,10cに配置し、第2の位置において、配置された鉄筋Rを溶接等により組み立て、第3の位置において、組み立てられた格子状鉄筋Rを取り出すことができる。このように、各位置において、鉄筋Rの配置作業と鉄筋Rの組立作業と鉄筋Rの取出作業とを並行して行うことができるため、格子状鉄筋Rを組み立てる作業を効率よく行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の鉄筋組立用治具システム1では、3台の鉄筋組立用治具10a,10b,10cを、治具回転軸芯20を中心に回転させることができる。すなわち、各位置での鉄筋Rの配置作業および鉄筋Rの組立作業および鉄筋Rの取出作業が完了するごとに、鉄筋組立用治具10a,10b,10cを回転させると、作業者は移動することなく再び、第1の位置では鉄筋Rの配置作業を、第2の位置では鉄筋Rの組立作業を、第3の位置では鉄筋Rの取出作業を行うことができる。これにより、鉄筋Rの配置工程、鉄筋Rの組立工程および鉄筋Rの取出工程ごとに作業者および作業に必要な道具、工具、装置等を移動させる必要がなく、より作業効率を上げることができる。その結果、格子状鉄筋Rの組み立てをより容易に行うことができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、鉄筋組立用治具10は、湾曲した形状を有しているが、セグメントに直線部分があり、当該直線部分の鉄筋Rを組み立てる場合においては、鉄筋組立用治具10は直線状の形態を有してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、主筋支持部材13は、第1支持部材131と第2支持部材132とから構成されているが、主筋支持部材13が主筋支持柱12に対して揺動可能であれば、上記実施形態に限られない。例えば、主筋支持部材13をI字状の棒状部材として構成し、その棒状部材を、丁番を用いて主筋支持柱12に取り付けることで、主筋支持部材13を揺動可能な構成としてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、鉄筋組立用治具10は、車輪14および突き当て部15を備えているが、車輪14および突き当て部15は必ずしも必要ではなく、一方のみ備える構成または両方とも備えない構成でもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、鉄筋組立用治具システム1は、3台の鉄筋組立用治具10を備えているが、鉄筋組立用治具システム1が備える鉄筋組立用治具10は3台に限られない。例えば、格子状鉄筋Rを組み立てた場所で、格子状鉄筋Rを鉄筋組立用治具10から取り出す場合は、鉄筋組立用治具システム1は、鉄筋組立用治具10を2台備えれば十分である。一方、格子状鉄筋Rを組み立てて取り出す工程が4工程以上に分かれる場合は、鉄筋組立用治具システム1は、工程の数だけ鉄筋組立用治具10を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 鉄筋組立用治具システム
10 鉄筋組立用治具
11 台座
12 主筋支持柱
13 主筋支持部材
13a 取付部
14 車輪
17 連結部材
20 治具回転軸芯
R 鉄筋(格子状鉄筋)
MR 主筋
【要約】
【課題】 組み立てられた格子状鉄筋を取り外しやすい鉄筋組立用治具を提供する。
【解決手段】 本発明は、鉄筋Rを組み立てるために用いる鉄筋組立用治具10であって、鉄筋Rの主筋MRが配置されたときに主筋MRの長手方向となる方向に延びる台座11と、長手方向に沿うように、所定間隔をあけて台座11に立設される複数の主筋支持柱12と、上下方向に所定間隔をあけて主筋支持柱12に設けられ、長手方向と直交する方向に水平に延びる複数の主筋支持部材13とを備える。主筋支持部材13は、主筋支持柱12への取付部13aを支点として、水平に延びた状態から上方に揺動可能である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5