特許第6351845号(P6351845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351845
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 37/12 20060101AFI20180625BHJP
   F02M 26/67 20160101ALI20180625BHJP
   F16H 25/12 20060101ALI20180625BHJP
   F02M 26/54 20160101ALI20180625BHJP
【FI】
   F16H37/12 Z
   F02M26/67 311
   F16H25/12 Z
   F02M26/54
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-523999(P2017-523999)
(86)(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公表番号】特表2018-502257(P2018-502257A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2015075460
(87)【国際公開番号】WO2016071276
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】102014222413.6
(32)【優先日】2014年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ミコライェク
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102008000346(DE,A1)
【文献】 米国特許第3374684(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0213292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/54
F02M 26/67
F16H 25/12
F16H 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動部材(4)、特に自動車の内燃機関用の作動部材(4)を駆動するリニアアクチュエータ(8)であって、
回転可能な駆動軸(12)と、
前記作動部材(4)の位置を調節する軸方向で移動可能なタペット(11)と、
前記駆動軸(12)により一回転軸線(24)回りに駆動されるガイドカム(16)と、
前記ガイドカム(16)に倣うガイド部材(18)と、
を備え、
前記ガイド部材(18)は、2つの接触体(19,20)を有し、
前記接触体(19,20)は、前記ガイドカム(16)の互いに反対側の面に向かって付勢されている、
リニアアクチュエータ(8)において、
前記ガイドカム(16)の幅(b)が、変化するように構成されていることを特徴とする、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記ガイドカム(16)の前記幅(b)は、前記タペット(11)の全作動行程にわたって連続的に変化するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記ガイドカム(16)は、前記回転軸線(24)の近くに配置される区間(c)において、前記回転軸線(24)から離れた区間(d)よりも細いことを特徴とする、請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記接触体(19,20)を結んだ接続線は、前記回転軸線(24)に対してオフセットされていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記ガイド部材(18)は、前記接触体(19,20)を互いに近付けるように又は互いに遠ざけるように付勢するばね要素(23)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記ガイドカム(16)は、突出したリブ(17)を有し、前記接触体(19,20)は、前記リブ(17)の互いに反対側の面に当接することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項7】
前記接触体(19,20)は、それぞれ1つの転がり軸受(21,22)を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項8】
前記ガイドカム(16)は、部分円にわたって延在するディスク(14)に配置されており、前記ディスク(14)は、前記ディスク(14)の周囲に部分リングギヤ(15)を有し、前記駆動軸(12)により駆動されるピニオン(13)が、前記部分リングギヤ(15)に噛み合い、前記接触体(19,20)は、弁体(5)の前記タペット(11)に結合されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記ばね要素(23)は、両前記接触体(19,20)を互いに結合するU字形のばね板として構成されていることを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動部材、特に自動車の内燃機関用の作動部材を駆動するリニアアクチュエータであって、回転可能な駆動軸と、作動部材の位置を調節する軸方向で移動可能なタペットと、駆動軸により一回転軸線回りに駆動されるガイドカムと、ガイドカムに倣うガイド部材と、を備え、ガイド部材は、2つの接触体を有し、接触体は、ガイドカムの互いに反対側の面に向かって付勢されている、リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなリニアアクチュエータは、例えば、近頃の自動車の内燃機関に設けられている排ガス再循環弁において使用される。2つの接触体をガイドカムの互いに反対側の面に向かって付勢することは、タペットの遊びなしの駆動を保証するのに役立つ。公知のリニアアクチュエータの利点は、ガイドカムが略任意に構成され、例えば駆動軸の回転角度とタペットの作動行程との間で非線形の特性曲線が形成されることである。
【0003】
しかし、特に非線形の特性曲線の場合、望ましくない反力(Reaktionskraft)が接触体とガイドカムとの間で発生するという問題が生じる。この反力は、接触体をガイドカムの互いに反対側の面に向かって付勢するばね要素によって吸収されねばならない。反力及びばね力は、機械荷重と、リニアアクチュエータの一様でない力−行程−特性曲線とを生じさせ、それゆえ望ましいものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、上述の形態のリニアアクチュエータを、望ましくない反力が回避されるように発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明により、ガイドカムの幅が変化するように構成されていることで解決される。
【0006】
このように構成したことで、非線形の特性曲線の場合であっても、タペットの遊びなしのガイドが可能となる。ガイドカムの幅を適当に構成することで、一様な力−行程−特性曲線が達成される。本発明により、回転軸線に近いところに、回転軸線から離れたところとは異なる幅のガイドカムを設けることができる。これによりリニアアクチュエータは、タペットの作動行程に関する回転軸線の回転角度のプログレッシブ特性曲線を有することができる。駆動軸における力は、回転角度にわたって一定にとどまる。ガイドカムの幅は、回転軸線の全回転角度にわたって接触体の間隔が、ひいては付勢力もが常に一定にとどまるように設計される。これにより、望ましくない反力が回避される。
【0007】
本発明の別の有利な一形態によれば、特に一様な力−行程−特性曲線は、ガイドカムの幅が、タペットの全作動行程にわたって連続的に変化するように構成されていると、簡単に達成される。
【0008】
本発明の別の有利な一形態によれば、ガイドカムが、回転軸線の近くに配置される区間において、回転軸線から離れた区間よりも細いと、力−行程−特性曲線をさらに一様にすることに寄与する。好ましくは、ガイドカムのこれらの区間の幅の差は、約0.1乃至0.2mmである。
【0009】
接触体を結んだ接続線がちょうど回転軸線上にあると、駆動軸の駆動時、横方向力が発生して、タペットに伝達されてしまう。本発明の別の有利な一形態によれば、このような横方向力は、接触体を結んだ接続線が、回転軸線に対してオフセットされていると、簡単に回避される。好ましくは、接続線のオフセットは、約1mmである。
【0010】
本発明の別の有利な一形態によれば、タペットの駆動時に、ガイドカムに沿った接触体の、例えば温度変動により引き起こされる遊びは、ガイド部材が、接触体を互いに近付けるように又は互いに遠ざけるように付勢するばね要素を有していると、簡単に回避される。
【0011】
ガイドカムは、例えば溝として形成され、接触体が溝の内壁に向かって付勢されてもよい。しかし、このようにするには、特に広幅の溝又は極めて小さな接触体が必要となるが、内燃機関の構成部材用の作動部材の場合、構成スペースは著しく制限されてしまっている。しかし、ガイドカムが、突出したリブを有し、接触体が、リブの互いに反対側の面に当接するようにすれば、特に自動車の内燃機関に用いられるリニアアクチュエータは、限られた構成スペースであっても、特に高い安定性を示す。
【0012】
本発明の別の有利な一形態によれば、リニアアクチュエータ内の横荷重及び傾倒モーメントは、接触体がそれぞれ1つの転がり軸受を有すると、特に僅かに保たれる。
【0013】
本発明の別の有利な一形態によれば、リニアアクチュエータの所定の変換比あるいは機械的倍率は、ガイドカムが、部分円にわたって延在するディスクに配置されており、ディスクが、ディスクの周囲に部分リングギヤを有し、駆動軸により駆動されるピニオンが、部分リングギヤに噛み合い、接触体が、弁体のタペットに結合されていると、簡単に調整される。
【0014】
本発明の別の有利な一形態によれば、リニアアクチュエータは、ばね要素が、両接触体を互いに結合するU字形のばね板(buegelfoermiges Federblech)として構成されていると、構造的に特に簡単に構成される。
【0015】
本発明は、多数の実施の形態を許容する。本発明の基本原理をさらに明らかにするために、そのうちの1つを図面に示し、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】リニアアクチュエータを作動部材の隣接構成部材とともに示す概略図である。
図2図1に示したリニアアクチュエータの拡大斜視図である。
図3図1に示したリニアアクチュエータの、ガイド部材を通る断面図である。
図4図1に示したリニアアクチュエータの特性曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、自動車の排ガス再循環弁1を排ガス通路2及び再循環通路3とともに示している。排ガス再循環弁1は、作動部材4を有し、作動部材4は、弁体5及び弁座6を有する。電気モータ7により駆動されるリニアアクチュエータ8は、作動部材4を駆動するために用いられる。リニアアクチュエータ8は、堅固なストッパ9と、第2の柔軟なストッパ10とを有する。第2のストッパ10は、弁体5が当接する弁座6により形成されている。リニアアクチュエータ8は、弁体5を駆動するタペット11を有する。
【0018】
図2は、図1に示したリニアアクチュエータ8の斜視拡大図である。図2に看取可能であるように、電気モータ7は、ピニオン13を有する駆動軸12を駆動する。リニアアクチュエータ8は、部分円にわたって延在するディスク14を有し、ディスク14は、周囲に配置される部分リングギヤ15を有する。ディスクは、一回転軸線24回りに回転可能に支持されている。ピニオン13は、部分リングギヤ15を介してディスク14を駆動する。ディスク14には、リブ17を有するガイドカム16が配置されている。ガイドカム16に倣うガイド部材18は、互いに対向する2つの接触体19,20を有する。接触体19,20は、玉軸受として形成されるそれぞれ1つの転がり軸受21,22を有し、ばね要素23を介して互いに結合されている。ばね要素23は、U字形に構成されており、ばね鋼から製造されている。さらにばね要素23は、タペット11に結合されている。
【0019】
電気モータ7の駆動により回転軸線24回りにディスク14を回転させると、接触体19,20の転がり軸受21,22は、ガイドカム16のリブ17に沿って転動する。このときガイド部材18は、ガイドカム16の形状にしたがって上下動する。この運動は、タペット11を介して弁体5に伝達され、弁体5は、最終的に排ガス再循環弁1を開閉する。
【0020】
図3は、リニアアクチュエータ8の、ガイド部材18を通る断面図である。ガイド部材18を通る断面図であるため、接触体19,20をタペット11に結合する、図2に示したばね要素23は、図示されていない。図3に看取可能であるように、タペット11は、両接触体19,20がリブ17に接触する接触点と一列に並んでいる。しかし、両接触体19,20がリブ17と接触する接触点は、ディスク14の回転軸線24、ひいてはガイドカム16の回転軸線24とは一列に並んでいない。これにより回転軸線は、接触体19,20を結んだ接続線に対してオフセットaを有する。よって、タペット11も、リブ17の回転軸線24に対して同じオフセットaを有する。リブ17の幅bは、タペット11の全作動行程にわたって連続的に減少する。これに加えて、ガイドカム16は、回転軸線24の近くに配置される区間cと、回転軸線24から遠い区間dとを有する。リブ17は、回転軸線24の近くに配置される区間cにおいて、回転軸線24から離れた区間dよりも細い。
【0021】
図4は、説明のために、回転軸線24の回転角度にわたるタペット11の作動行程のプログレッシブ特性曲線を示している。
図1
図2
図3
図4