(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351859
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】底部乾燥型汚泥乾燥装置および方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/12 20060101AFI20180625BHJP
F26B 17/20 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
C02F11/12 BZAB
F26B17/20 B
【請求項の数】23
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-536887(P2017-536887)
(86)(22)【出願日】2015年12月30日
(65)【公表番号】特表2018-502713(P2018-502713A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2015099778
(87)【国際公開番号】WO2016110210
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】201510025410.6
(32)【優先日】2015年1月7日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517239197
【氏名又は名称】廣州新致晟環保科技機械設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU ENVIRONMENTAL CREATIVE SOLUTIONS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】譚 ▲ウェイ▼
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−084699(JP,A)
【文献】
実開昭60−033189(JP,U)
【文献】
特開2003−039051(JP,A)
【文献】
特開2003−001228(JP,A)
【文献】
特開2002−143897(JP,A)
【文献】
特開平09−292115(JP,A)
【文献】
特開平05−138144(JP,A)
【文献】
特開昭56−058597(JP,A)
【文献】
実開昭55−035925(JP,U)
【文献】
実開昭54−121382(JP,U)
【文献】
特開昭52−102170(JP,A)
【文献】
特開昭49−040981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00− 11/20
F26B 1/00− 25/22
B09B 1/00− 5/00
B09C 1/00− 1/10
B02C 9/00− 11/08
B02C 19/00− 25/00
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/24− 5/28
F23G 7/00− 7/02
F23G 7/10− 7/12
F23J 1/00− 1/08
F23J 9/00
B01J 2/00− 2/30
B01F 15/00− 15/06
B01F 7/00− 7/32
B01J 4/00− 7/02
B01J 10/00− 12/02
B01J 14/00− 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部乾燥型汚泥乾燥装置であって、
ハウジングを備え、前記ハウジングには、前記ハウジングの内部空間を少なくとも1つの第1乾燥室および少なくとも1つの第2乾燥室に区画するための曲面を有する仕切板が設けられ、
前記少なくとも1つの第1乾燥室の上部に設けられ、乾燥を行う汚泥を投入するための投入口および汚泥を乾燥した後の乾燥ガスを排出するための排気口、並びに前記少なくとも1つの第1乾燥室の周壁に設けられ、乾燥された汚泥を排出するための排出口と、
前記少なくとも1つの第2乾燥室の側壁または底部に設けられ、汚泥を乾燥する乾燥ガスを供給するための少なくとも1つの給気口とを備え、
前記曲面を有する仕切板は、少なくとも1つの凹部を有し、少なくとも1つの連通口が前記凹部に形成され、前記少なくとも1つの連通口の上方に橋状部材を設けることによって、前記橋状部材と前記仕切板との間に少なくとも1つの側方開口を形成し、
前記少なくとも1つの第1乾燥室に設けられた少なくとも1つの汚泥撹拌組立体を備え、前記少なくとも1つの汚泥撹拌組立体は、回転軸と、前記回転軸に固定された少なくとも1つの撹拌部とを有し、前記少なくとも1つの撹拌部は、汚泥を切断、破砕および撹拌するように構成され、および/または前記少なくとも1つの撹拌部は、回転するときにその先端が少なくとも1つの連通口内の汚泥または付近の汚泥を掻き取るように、その先端を少なくとも1つの側方開口に面し且つ近接するように構成されている、汚泥乾燥装置。
【請求項2】
前記仕切板は、湾曲板を含む、請求項1に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項3】
前記曲面を有する仕切板の前記凹部は、円弧状である、請求項1または2に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの連通口の長手方向は、前記ハウジングの長手方向と交差または直交であり、
前記橋状部材は、前記連通口の長手方向に沿って前記連通口の上方に橋設され、前記連通口の長手方向と平行である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの連通口と前記少なくとも1つの側方開口との間には、少なくとも1つの湾曲経路が形成され、
乾燥ガスは、前記少なくとも1つの湾曲経路を介して、前記少なくとも1つの第2乾燥室から前記少なくとも1つの第1乾燥室に流入する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの側方開口は、2つの側方開口を含み、
前記2つの側方開口の一方には、前記側方開口を通って前記第1乾燥室に流入する乾燥ガスを阻止するための阻流板が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの汚泥撹拌組立体の前記少なくとも1つの撹拌部は、前記回転軸から径方向外側に延在し、前記第1乾燥室内の汚泥を切断、破砕および/または撹拌するための少なくとも1つのブレードまたはラチェットを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの汚泥撹拌組立体の前記少なくとも1つの撹拌部は、前記回転軸から径方向外側に延在する少なくとも1つのブレードまたはラチェットを有し、
前記少なくとも1つのブレードまたはラチェットの先端の側縁は、前記少なくとも1つの側方開口付近の汚泥を掻き取るまたは部分的に掻き取るように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの汚泥撹拌組立体の前記少なくとも1つの撹拌部は、前記回転軸から径方向外側に延在する少なくとも1つのブレードまたはラチェットを有し、
前記少なくとも1つのブレードまたはラチェットの先端に取り付けられた掻き取り部材の側縁は、前記少なくとも1つの側方開口付近の汚泥を掻き取るまたは部分的に掻き取るように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項10】
前記仕切板に形成された前記少なくとも1つの連通口は、規則的な形状または不規則な形状を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項11】
前記橋状部材は、湾曲板と平坦板とを含む板部材である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項12】
送風装置をさらに備え、
前記送風装置は、前記少なくとも1つの給気口を介して前記第2乾燥室と連通する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項13】
前記送風装置の上流側または下流側に設けられ、乾燥ガスを加熱するための加熱装置をさらに備える、請求項12に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項14】
吸引装置をさらに備え、
前記吸引装置は、前記排気口を介して前記第1乾燥室と連通する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの汚泥撹拌組立体は、平行に配置された複数の汚泥撹拌組立体を含み、
前記複数の汚泥撹拌組立体の各々は、複数の撹拌部を有し、
前記複数の撹拌部のうち少なくとも1つの撹拌部は、前記回転軸から径方向外側に延在する少なくとも1つのブレードまたはラチェットを有し、
前記少なくとも1つの連通口は、複数の連通口を含み、
前記少なくとも1つの撹拌部は、前記複数の連通口の上方に設けられた橋状部材に対応し、
前記少なくとも1つのブレードまたはラチェットの先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の側縁は、前記橋状部材の前記側方開口付近の汚泥を掻き取るように構成されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項16】
前記複数の汚泥撹拌組立体のうち少なくとも2つの汚泥撹拌組立体の各々は、複数の撹拌部を備え、
各撹拌部のブレードまたはラチェットの先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の側縁は、前記側方開口付近の汚泥を掻き取るように構成され、
前記少なくとも2つの汚泥撹拌組立体の一方の複数の撹拌部と他方の複数の撹拌部とは、千鳥状に配置されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項17】
汚泥を除去するための掃除口をさらに備え、
前記掃除口は、前記第2乾燥室の周壁または底部に設けられる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項18】
前記第2乾燥室の底部は、円弧状断面を有する通路を画定し、
前記第2乾燥室の端部に設けられた掃除口から汚泥を排出するための排出組立体が、前記通路に設けられている、請求項1〜17のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項19】
請求項1〜13および15〜18のいずれか1項に記載の汚泥乾燥装置を用いて、汚泥を乾燥する方法であって、
乾燥を行う汚泥を投入するための投入口を介して、少なくとも1つの第1乾燥室内に汚泥を投入するステップと、
前記少なくとも1つの第1乾燥室に設けられた少なくとも1つの汚泥撹拌組立体の少なくとも1つの撹拌部を回転軸の周りに回転させ、汚泥を切断、破砕および撹拌して、前記少なくとも1つの撹拌部の少なくとも1つのブレードまたはラチェットの先端もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端が側方開口付近の汚泥を掻き取るステップとを含み、前記側方開口は、前記第1乾燥室と前記第2乾燥室とを区画する仕切板に形成された少なくとも1つの連通口の上方に設けられた橋状部材と、前記仕切板とによって画定され、
少なくとも1つの給気口を介して、乾燥ガスを前記第2乾燥室に流入させ、前記少なくとも1つの連通口と前記側方開口との間に形成された湾曲経路を介して、第1乾燥室に流入させるステップと、
汚泥を乾燥した乾燥ガスおよび乾燥後の汚泥を前記第1乾燥室の排気口および排出口から各々排出するステップと、
汚泥を排出するための掃除口から、前記湾曲経路を介して前記第2乾燥室内に漏出した汚泥を除去するステップとを含む、汚泥乾燥方法。
【請求項20】
送風装置を用いて、前記少なくとも1つの給気口を介して、乾燥ガスを前記第2乾燥室に吹き込むステップをさらに含む、請求項19に記載の汚泥乾燥方法。
【請求項21】
加熱装置を用いて、前記送風装置に進入する乾燥ガスまたは前記送風装置から送出される乾燥ガスを加熱するステップをさらに含む、請求項19または20に記載の汚泥乾燥方法。
【請求項22】
前記汚泥乾燥装置は、吸引装置をさらに備え、
前記吸引装置は、前記排気口を介して前記第1乾燥室と連通し、前記方法は、
前記吸引装置を用いて、前記排気口を介して、前記第1乾燥室から汚泥を乾燥した乾燥ガスを吸引するステップをさらに含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の汚泥乾燥方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第2乾燥室に設けられた排出組立体を動作させ、前記少なくとも1つの第2乾燥室の底部の通路に沿って、前記第2乾燥室内の汚泥を前記第2乾燥室の端部から排出するステップをさらに含む、請求項19〜22のいずれか1項に記載の汚泥乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、汚泥乾燥分野に関し、一般的に汚泥乾燥装置に関し、特に一体式の底部乾燥型汚泥乾燥装置およびその汚泥乾燥装置を用いた汚泥の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
下水処理プロセスには、効果的な汚泥処理が非常に重要である。汚水処理場は、通常、濃縮および脱水によって汚泥の含水量を90%以上から60%〜80%に低下させてから、埋立、硬化または乾燥処理を実施する。埋立の場合、汚泥の発酵によって、二次的な環境汚染を引き起こすことがある。既存の硬化装置または乾燥装置は、汚泥の粘性、集塊の容易性および崩壊の困難性などの汚泥の特性によって、汚泥の処理に多量のエネルギーを消費する必要があるため、コストの低減および効率の向上が困難である。
【0003】
中国発明特許CN101186422Aは、循環式マルチ乾燥室流動床による汚泥乾燥方法を開示した。この方法に採用された流動床は、大量のエネルギーを消耗し且つ非効率的であり、連続的且つ大規模な汚泥乾燥処理を行うことが困難である。
【0004】
本願の出願人によって出願され、特許された中国実用新案CN201000261Yは、低温汚泥乾燥装置を開示した。この乾燥装置は、一定量の汚泥を乾燥することができるが、時間がかかるため、多量のエネルギーを消費し、乾燥効率を向上させるいう目的を達成することができない。
【0005】
中国実用新案CN203319838Uは、汚泥を硬化処理するための撹拌機を提供する。この撹拌機は、添加剤を汚泥に混合して、撹拌することによって、汚泥を硬化させる。この工程は、汚泥から水分を除去しない上、汚泥の体積を増加し、硬化した汚泥がリサイクルできない。
【0006】
本願の出願人により出願された中国特許出願第201510006479.4号は、底部乾燥式の汚泥乾燥装置を開示した。この汚泥乾燥装置において、第1乾燥室に配置された撹拌組立体が汚泥を攪拌する際に、乾燥ガスが底部に形成された連通口を通って第2乾燥室から第1乾燥室に流入し、下方から上方に沿って、底部上に置かれた汚泥を乾燥する。しかしながら、汚泥を乾燥する間に、汚泥は、連通口を詰まらせることが多い。その結果、乾燥ガスは、連通口を通ってスムーズに第1乾燥室に流入することが困難となり、汚泥の乾燥が遅くなる。
【0007】
したがって、改善された底部乾燥型乾燥装置および汚泥乾燥効率を向上させる方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
従来技術の欠点を克服するために、本開示は、一体式の底部乾燥型汚泥乾燥装置を提供する。本開示の汚泥乾燥装置において、第1乾燥室に設けられた撹拌組立体は、汚泥を連続的に切断、破砕および撹拌することによって、汚泥を乾燥ガスに頻繁に接触させ、汚泥を乾燥する時に内部と外部との乾燥ムラを解消する。
【0009】
本開示の汚泥乾燥装置において、第1乾燥室と第2乾燥室とを区画する仕切板に連通口を形成し、連通口の上方に橋状部材を設けることによって、橋状部材と仕切板との間に側方開口を形成する。乾燥ガスは、連通口から側方開口までの湾曲経路を通って、第2乾燥室から第1乾燥室に進入し、汚泥を底部から乾燥させる。撹拌組立体による切断、破砕および撹拌によって、汚泥の粒度が絶えずに変化する。これによって、汚泥の膨軟性および流動性が改善され、乾燥ガスによる汚泥の乾燥が加速される。
【0010】
撹拌組立体の撹拌部のブレードまたはラチェットの掻き取り先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の側縁を用いて、側方開口付近の汚泥を掻き取ることによって、乾燥ガスが第2乾燥室から第1乾燥室にスムーズに流入することができる。
【0011】
本開示の汚泥乾燥装置において、送風装置、吸引装置および/または加熱装置を設けることによって、乾燥室に乾燥ガスの流入速度を増加すると共に、乾燥室から乾燥ガスの流出速度を増加する。これによって、乾燥ガスと汚泥との接触が促進され、乾燥効率を改善する。
【0012】
本発明の乾燥装置は、実質的に一体式のものであってもよい。本発明の乾燥装置は、乾燥効率が高く、エネルギー消費量が少なく、設置面積が小さく、適応性が高いなどの利点を有し、現在の市場需要を完全に満たす。人口密度の高い都市には下水処理場が散在するため、既存の下水処理場の装置を最小限に改造して、本発明の一体式の汚泥乾燥装置を設置することができる。
【0013】
本開示の汚泥乾燥装置および方法は、第1乾燥室に設けられた撹拌組立体を用いて、第1乾燥室内の汚泥を絶えずに切断、破砕および撹拌すると共に、撹拌部のブレードまたはラチェットの掻き取り先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の側縁を用いて、側方開口付近の汚泥を掻き取ることによって、汚泥の乾燥を加速する。本開示の汚泥乾燥装置および方法は、汚泥の高粘性、集塊の容易性および崩壊の困難性という問題を解決することができる。本発明の汚泥乾燥装置および方法は、汚泥から水分を大幅に除去すると共に、汚泥を粗大粒子から粉末に変えることによって、汚泥の乾燥効率を向上させ、エネルギー消費を低減する。
【0014】
以下、図面を参照しながら、詳細な説明を用いて、好ましい実施形態に係る本発明の構造、利点および効果を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の底部乾燥型汚泥乾燥装置を示す縦断面図である。
【
図3】
図1の汚泥乾燥装置の第1乾燥室を示す立体概略図である。
【
図4】
図3の第1乾燥室内に配置された撹拌組立体を示す立体概略図である。
【
図5】汚泥乾燥装置の撹拌組立体の立体概略図である。
【
図6】
図1の円Aで囲まれた橋状部材を示す拡大立体図である。
【
図7】ハウジングの長手方向に沿って切断した
図6の橋状部材を示す断面図である。
【
図8】橋状部材の別の実施形態を示す局所断面図である。
【
図9】
図6の橋状部材をハウジングの長手方向に沿って見た図である。
【
図10】
図1の汚泥乾燥装置の第2乾燥室を示す立体概略図である
【
図11】本開示の他の実施形態の底部乾燥型汚泥乾燥装置を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
図1は、本開示の底部乾燥型汚泥乾燥装置の1つの好ましい実施形態を示している。
図2は、
図1の汚泥乾燥装置の横断面図であり、一体式の汚泥乾燥装置を概略的に示している。底部乾燥型汚泥乾燥装置1は、ハウジングを備え、ハウジングには、ハウジングの空間を2つの室、すなわち、第1乾燥室6aおよび第2乾燥室6bに区画する仕切板4が設けられている。仕切板4には、第1乾燥室6aおよび第2乾燥室6bを連通するための連通口5が形成されいる。これによって、乾燥ガスは、第2乾燥室6bから第1乾燥室6aに流入することができる。図示には、第1乾燥室6aおよび第2乾燥室6bは、上下に配置されているが、さまざまな態様で配置されてもよい。ハウジングは、本体2と、上蓋(または蓋)3と、底板4aとを備える。本体2の上部、上蓋3および仕切板4は、第1乾燥室6aを形成し、本体2の下部、仕切板4および底板4aは、第2乾燥室6bを形成する。しかしながら、ハウジングは、さまざまな部材またはさまざまな方法で形成されてもよい。例えば、本体2の上部を仕切板4と一体に形成し、仕切板の上面を第1乾燥室6aの底部とし、本体2の下部を仕切板4に固定し、仕切板の下面を第2乾燥室6bの頂部として使用してもよい。また、本体2の下部を仕切板4と一体に形成してもよく、底板4aを設けず、本体2を地面に設けてもよい。本体2は、矩形の形状を有するが、正方形、多角形、楕円形または他の形状を有してもよい。
【0017】
図示のように、ハウジングの上蓋3には、乾燥を行う汚泥を第1乾燥室に投入するための投入口8と、汚泥を乾燥した排気ガスまたは乾燥ガスを排出するための排気口10とが設けられる。投入口8から離れた仕切板4付近の本体2の上部の端壁には、乾燥した汚泥を排出するための排出口9が設けられている。別の実施形態において、必要に応じて、第1乾燥室の投入口8および排気口10は、本体2および上蓋3のいずれか一方の任意の位置に、すなわち、第1乾燥室6aの上部の任意の位置に設けられてもよい。同様に、排出口9は、側壁および端壁を含む本体2の上部の任意の位置に、すなわち、第1乾燥室6aの周壁の任意の位置に設けられてもよい。
【0018】
図3は、汚泥乾燥装置の第1乾燥室の好ましい実施形態を示している。この実施形態において、仕切板4には、複数の矩形の連通口5が間隔を空けて形成され、各連通口の上方には、橋状部材401が設けられている。連通口5は、さまざまな形状、例えば、台形、矩形、三角形、弓形および円形を有してもよい。連通口5は、1つであってもよく、複数であってもよい。換言すれば、連通口5の形状または数に制限がなく、必要に応じて設けることができる。連通口の形状に応じて、連通口の上方に設けられた橋状部材を変更してもよい。複数の連通口5は、ハウジングの長手方向Gに沿ってグループに分けられ、各グループの連通口5は、互いに離間している。各連通口5の長手方向は、ハウジングの長手方向Gと交差しており、好ましくはハウジングの長手方向Gと直交する。
【0019】
図4は、
図3の第1乾燥室に設けられた撹拌組立体の好ましい実施形態を示している。この実施形態において、汚泥を撹拌するための2つの撹拌組立体7a、7bが、ハウジングの長手方向Gに沿って、互いに平行に配置されている。2つの撹拌組立体7a、7bが同様または類似の構成を有するため、2つの撹拌組立体のうちの1つ、例えば、撹拌組立体7aについて説明する。撹拌組立体7aは、回転軸701aと、回転軸701aに固定され、汚泥を撹拌するための撹拌部702aとを備えている。撹拌部702aは、4つのブレードまたはラチェット703aを含み、各ブレードまたはラチェット703aは、回転軸701aから径方向外側に延在する。したがって、回転軸701aと共に回転する撹拌部702aは、輪郭上、プロペラのブレードと類似している。しかしながら、撹拌部702aの形状は、これに限定されず、歯車の形状と同様に形成されてもよい。1つ以上の撹拌部702aを回転軸701a上に設けてもよく、各撹拌部702aは、1つ以上のブレードまたはラチェット703aを備えてもよい。また、各撹拌部702aの複数のブレードまたはラチェット703aは、回転軸701aから異なる長さで延在してもよい。複数の撹拌部702aのうち少なくとも1つの撹拌部は、より長いブレードまたはラチェットを有することができ、他の撹拌部は、より短いブレードまたはラチェットを有することができる。図示のブレードまたはラチェットは、溶接によって回転軸701aに固定されているが、ボルト締め、リベット止めまたは他の固定方法によって固定することができる。例えば、ブレードまたはラチェットは、軸帯、軸鞘または軸頭(図示せず)に接続または固定され、その後、回転軸701aに取り付けられてもよい。回転軸701aの両端部は、軸受を介して本体2の対向端壁に設けられた穴201aおよび201bにそれぞれ取り付けられてもよい。
【0020】
乾燥ガス(
図1の矢印を参照)が仕切板4内の連通口5を介して第2乾燥室6bから第1乾燥室6aに流入し、汚泥を乾燥してから排出口10を介して排出されるため、汚泥と接触する機会が多くなる。しかしながら、投入口8を介して乾燥を行う汚泥を第1乾燥室6aに投入し、仕切板4に堆積した後、撹拌組立体7a、7bの撹拌部702a、702bによる撹拌および乾燥ガスによる作用によって、汚泥の一部が連通口5を介して第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに落下または漏出する可能性がある。汚泥の漏出を低減するために、連通口5の上方に橋状部材401を設ける。このように、橋状部材401を用いて、連通口を介して第2乾燥室6bに漏出する汚泥を防止することができる。
図10〜12に示すように、第1乾燥室6aと第2乾燥室6bとの間の仕切板4は、湾曲板であってもよく、上面が凹んだ板であってもよい。ハウジングの長手方向Gから見た場合、仕切板4の断面形状は、下方に湾曲するまたは凹む上面を有する。換言すれば、凹んだ湾曲部分は、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに下方に突出する、すなわち、第1乾燥室6aは、凹んだ底部を有する。したがって、仕切板は、ハウジングの長手方向Gに沿って凹んでいる。図示のように、2つの撹拌組立体7a、7bに各々面する仕切板4の湾曲部分は、凹んでおり、好ましくは、各凹部が撹拌部702aまたは702bに対応する。各凹部の形状は、円弧状であってもよい。連通口の上方に設けられた橋状部材は、平坦板、湾曲板、ヘリンボン板などであってもよい。さらに、橋状部材401を1つ以上の連通口5の上方に設けてもよい。連通口の数と橋状部材の数とは、同様でなくてもよい。
【0021】
橋状部材401は、連通口5の長手方向に沿って連通口5を跨ぎ、且つ、連通口5の長手方向Xと略平行になるように構成される。橋状部材401は、連通口5よりも長いため、連通口5の長手方向に沿って、橋のように連通口5の上方に橋設することができる。橋状部材401の両端は、連通口の端縁付近の仕切板4に各々固定される。上述したように、橋状部材401の中間部分が連通口5の上方に位置しているため、橋状部材401と仕切板4との間に側方開口402を形成する。側方開口402は、橋状部材401の一方側に形成されてもよく、橋状部材401の両側に各々形成されてもよい。連通口5の上方に橋設した橋状部材401は、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに落下または漏出する汚泥を低減するが、側方開口付近に堆積された汚泥は、第2乾燥室6bから第1乾燥室6aに流入する乾燥ガスを妨げる。乾燥ガスの流動を促進するために、撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェット703a、703bは、橋状部材401の側方開口402付近の汚泥を掻き取ることができるように設計されている。各回転軸701a、701bに設けられた撹拌組立体7a、7bの撹拌部702a、702bの間隔は、仕切板4上の各列の複数の連通口または橋状部材間の距離によって決定される。これによって、回転軸の回転中に、各撹拌部702a、702bの長いブレードまたはラチェット703a、703bの先端の側縁もしくはブレードまたはラチェット703a、703bに取り付けられた掻き取り部材704a、704bの先端の側縁は、橋状部材401の側方開口402付近の汚泥を掻き取る。また、円盤状または歯車状の撹拌部の場合、外周または頂端上の突起または歯の側縁を用いて、汚泥を撹拌してもよい。
図2および4に示すように、2つの撹拌組立体7a、7bは、第1回転軸701a上の第1撹拌部702aと第2回転軸701b上の第2撹拌部702bとが間隔を空けて隔てられた2列の連通口5またはその上方に設けられた橋状部材401に各々対応するように、構成されてもよい。連通口5を介して第2乾燥室6bから第1乾燥室6aに乾燥ガスをスムーズに流入させるために、撹拌組立体7a、7bの撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェット703a、703bを、十分な長さを有するように設計してもよい。これによって、撹拌部702a、702bが回転軸701a、701bと共に回転するときに、ブレードまたはラチェットの先端の側縁は、側方開口402付近の汚泥を掻き取ることができる。一般的に、複数の撹拌部702a、702bのうち少なくとも1つは、先端で汚泥を掻き取ることができる少なくとも1つのブレードまたはラチェット703a、703bを有してもよい。また、撹拌部702a、702bの数と、連通口5の数またはその上方に設けられた橋状部材401の数とは、同様でなくてもよい。
【0022】
図5は、撹拌組立体の別の実施形態を示している。この実施形態において、撹拌組立体7は、回転軸701と、回転軸に固定された撹拌部702とを備え、撹拌部702は、ブレードまたはラチェット703を有する。ブレードまたはラチェット703の先端は、汚泥を掻き取ることができる。2つの撹拌部702のブレードまたはラチェット703に、掻き取り部材704を取り付けてもよい。掻き取り部材を取り付けたブレードまたはラチェットは、他のブレードまたはラチェットと同様の長さを有する。ブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材は、他のブレードまたはラチェットの先端と同様に機能する。さらに別の実施形態において、撹拌部702のブレードまたはラチェットを異なる長さに形成してもよく、必要に応じて、より短いブレードまたはラチェットに、例えばその先端に掻き取り部材704を取り付けてもよい。
【0023】
図6および7は各々、
図1の円Aで囲まれた一部の橋状部材の立体図および断面図を示している。これらの図は、橋状部材401と仕切板4との間に形成された側方開口402に位置している撹拌組立体のブレードまたはラチェット703の掻き取り先端を示している。回転軸に固定された撹拌部702が橋状部材401に対応して設けられているため、撹拌部702のブレードまたはラチェット703の掻き取り先端の側縁または撹拌部702のブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材の先端の側縁は、橋状部材の側方開口に面する。これによって、撹拌部702は、回転時に、橋状部材401の側方開口402付近の汚泥を掻き取ることができ、連通口5に流入した乾燥ガスは、側方開口402を介して第1乾燥室6aにスムーズに進入することができる。撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェットは、汚泥の掻き取りに加えて、汚泥を切断、破砕および撹拌するように機能する。さらに、掻き取り先端を有するまたはその先端に固定された掻き取り部材を有する撹拌部のブレードまたはラチェットを2つの橋状部材401の間に設置することができる。これによって、ブレードまたはラチェットの先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材の先端の側縁は、2つの橋状部材401の対向する側方開口402付近の汚泥を掻き取ることができる。
【0024】
図8は、橋状部材の別の実施形態を示している。この実施形態において、橋状部材401の幅方向に、すなわち、ハウジングの長手方向Gとほぼ直交する方向に、阻流板403を設けることによって、一方の側方開口402をブロックし、他方の側方開口402を開放のままにする。これによって、乾燥ガスは、一方向に沿って、乾燥室6内に流入することができる。阻流板403は、乾燥ガスの流れを阻止するように、橋状部材401の長手方向に沿って側方開口402内に配置される。これによって、撹拌組立体7の撹拌部702は、側方開口402の一方側付近の汚泥を掻き取るだけでよい。このように阻流板403を配置することによって、乾燥ガスは、一方向に沿って、側方開口402から第1乾燥室6aに進入し、乾燥ガスが反対側の開口から乾燥室6に進入することを防止し、汚泥の漏出を低減する。
【0025】
図9は、ハウジングの長手方向から見た仕切板上の
図6の橋状部材の位置を示している。撹拌部のブレードまたはラチェット703の先端は、乾燥室の底部に近接している。掻き取る範囲において、ブレードまたはラチェット703の先端と仕切板との間の距離は、実質的に等しい。理解すべきことは、撹拌組立体の回転軸または回転軸を取り付けるための孔をハウジングの垂直方向に沿って調整する場合、回転軸の軸とブレードまたはラチェットの先端との間の距離が変化する。したがって、ブレードまたはラチェットの長さを選択することによって、ブレードまたはラチェットの先端と仕切板との間の距離を決定し、掻き取る汚泥の量を決定することができる。換言すれば、回転軸の軸線と撹拌部の最も長いブレードまたはラチェットの先端との間の距離rが湾曲した仕切板の下方に凹む円弧状領域の半径Rよりも小さくなるように、撹拌組立体の寸法を選択することができる。撹拌組立体7a、7bの回転軸701a、701bがハウジングの長手方向Gに平行に配置されているため、回転軸は、連通口5の長手方向と交差または直交する。したがって、側方開口402の開口方向は、回転軸の軸方向またはハウジングの長手方向Gと実質的に平行である。乾燥ガスは、連通口5に流入した後、側方開口を迂回してから第1乾燥室6aに到達する。同様に、汚泥も、側方開口402から連通口5までの湾曲経路を通らないと、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに漏出できない。これによって、汚泥の漏出量を大幅に低減する。側方開口402付近の汚泥を掻き取ることによって、汚泥の漏出量を低減すると共に、乾燥ガスの流動を加速することができ、汚泥の乾燥効率を改善することができる。
【0026】
再び
図4を参照して、千鳥状に配置された2つの撹拌組立体7a、7bにおいて、第1回転軸701a上に設けられた第1撹拌部702aのブレードまたはラチェットの掻き取り先端もしくはブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材の先端は、第2回転軸701bに近接し、且つ隣接する2つの第2撹拌部702bの間に位置する。逆も同様である。これによって、第1回転軸701aと第2回転軸701bとの間の距離を短くすることができ、第1撹拌部702aと第2回転軸701bとの間の干渉を防止することもできる。別の実施形態において、同一の回転軸上の隣接する2つの撹拌部をグループ化し、第1回転軸701a上の各撹拌部グループ702aと第2回転軸701b上の各撹拌部グループ702bとを千鳥状に配置し、且つ、第1回転軸701a上の各撹拌部グループ702aを第2回転軸701b上の隣接する2つの撹拌部グループ702bの間に配置する。さらに別の実施形態において、同一の回転軸上の隣接する3つの撹拌部をグループ化し、一回転軸上の各撹拌部グループと他の回転軸上の各撹拌部グループとは、千鳥状に配置される。撹拌部がどのように回転軸上に配置されても、撹拌部の大部分を複数の連通口5またはその上方の橋状部材401に各々対応するようにしなければならない。これによって、撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェット703a、703bの掻き取り先端もしくはブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材704a、704bの先端は、橋状部材401の側方開口402付近の汚泥を掻き取ることができ、それによって乾燥ガスが第1乾燥室6a内にスムーズに流入することができる。簡潔に言えば、仕切板上の連通口または橋状部材の位置は、回転軸上の撹拌部の位置と相関する。
【0027】
図示のように、第1撹拌組立体7aおよび第2撹拌組立体7bの回転軸701a、701bの一端には、伝動装置(図示せず)に接続された動力入力部が設けられている。外部の動力装置は、伝動装置を駆動することによって、回転軸701a、701bを順次に回転させる。回転軸701a、701b上の動力入力要素、例えば歯車またはベルトプーリ18aは、回転軸701a、701bのうち1つを回転させることによって、他方を回転させる。第1回転軸701aおよび第2回転軸701bは、互いに反対方向に回転してもよく、共に同一方向に回転してもよい。
【0028】
図示のように、側方開口402の形状は、橋状部材401の形状および仕切板の凹み上面に依存する。好ましくは、仕切板4の凹み部分の断面形状は、各撹拌組立体7a、7bの撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェット703a、703bの掻き取り先端もしくはブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材704a、704bの先端の回転軌跡と一致する。例えば、橋状部材401が平坦板であり、仕切板4の凹み部分が円弧状である場合、側方開口402は、三日月形状を有する。好ましくは、撹拌組立体に面する湾曲面仕切板の円弧状凹み部分の半径Rは、回転軸の軸線と撹拌部の先端との間の距離rよりも僅かに大きい。
【0029】
図10は、汚泥乾燥装置の第2乾燥室の好ましい実施形態を示している。第2乾燥室6bは、本体2の下部に設けられた給気口15を含む。すなわち、給気口15は、第2乾燥室6bの側壁または底部に設けられ、汚泥を乾燥する乾燥ガスを第2乾燥室6bに導入する。給気口は、1つであってもよく、複数であってもよい。仕切板4上の連通口5の上方に設けられた橋状部材401および撹拌部702a、702bのブレードまたはラチェットの掻き取り先端もしくはブレードまたはラチェットに固定された掻き取り部材704a、704bの先端による橋状部材401の側方開口402付近の汚泥の掻き取りによって、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに落下する汚泥の量を低減したが、一部の汚泥が側方開口402から連通口5までの湾曲経路を通って第2乾燥室6bに漏出する可能性がある。第2乾燥室6bに漏出した汚泥を除去するために、本体の下部の一端に掃除口15aを設ける。すなわち、掃除口15aは、第2乾燥室6bの底部に近い端壁に設けられている。掃除口15aは、第2乾燥室6bに蓄積された汚泥を除去するためのものである。また、掃除口15aは、側壁と端壁を含む周壁に設けられてもよく、底部に設けられてもよい。排出組立体25が、底板4aに近接して第2乾燥室6bに設けられている。排出組立体25は、螺旋コンベヤであってもよく、または帯式コンベヤ、チェーンコンベヤ、ガスコンベヤなどであってもよい。螺旋コンベアは、回転軸25aと、回転軸25aに固定された螺旋25bとを有する。回転軸25aは、本体2の下部の端壁に支持されている。回転軸25aの一方の端部は、動力入力要素に接続され、他方の端部は、掃除口15a内に延在している。回転軸25aが伝動装置の駆動により回転すると、螺旋25bは、汚泥を第2乾燥室6bの一端に設けられた掃除口15aに搬送し、ハウジングから排出する。第2乾燥室6bの断面は、略漏斗状を有する。第2乾燥室6bの側壁、すなわち、本体2の下部の側壁は、底板4aに向かって徐々に狭くなる。底板4a近くの狭窄部の形状は、円弧または半円である。円弧または半円の半径は、螺旋25bの外周の回転軌跡の半径よりも僅かに大きい。これによって、第2乾燥室6bの底部に、円弧状の断面を有する長手通路またはチャネルが形成される。側方開口402を通って第1乾燥室6aから漏出した汚泥は、円弧状断面の長手通路に蓄積され、長手通路内に設けられた螺旋コンベアによってハウジングから容易に排出される。また、第2乾燥室6bに漏出した汚泥は、第2乾燥室6b内の乾燥ガスによって再乾燥または二次乾燥され、汚泥の含水量をさらに低減することができる。別の実施形態において、本体2の下部の側壁には、排出口と、排出口を閉塞するための脱着板とを設けてもよい。第2乾燥室6bに汚泥が過剰になる場合、脱着板を取り外して、汚泥を除去することができる。これによって、第2乾燥室6b内の乾燥ガスのスムーズな流れを保証することができる。第2乾燥室6bを密閉状態に維持するため、掃除口15aの外側に可動阻流板29を設けることによって、乾燥ガスの漏れを防止することができる。汚泥を排出するときに、可動阻流板29は、開放される。
【0030】
再び
図2を参照して、汚泥乾燥装置1は、
図1に示されていない送風装置12をさらに備える。送風装置12は、配管12aおよび給気口15を介して第2乾燥室6bと連通し、乾燥ガスを第2乾燥室6bに吹き込む。また、汚泥乾燥装置1は、吸引装置13をさらに備えてもよい。吸引装置13は、配管13aおよび排気口10を介して第1乾燥室6aと連通する。第2乾燥室6bに搬送された乾燥ガスは、熱ガス、化学物質を含むガス、熱風、常温ガスまたは低温ガスなどの乾燥媒体であってもよく、特別に調製された乾燥媒体であってもよい。送風装置12は、第2乾燥室6bに流入する乾燥ガスの速度を加速し、吸引装置13は、第1乾燥室6aからの排ガスの流出を促進する。典型的には、送風装置は、送風機またはファンであってもよく、吸引装置は、吸気ファンであってもよい。送風装置12に代えて、加圧装置を使用して、所定の圧力で乾燥ガスを第2乾燥室6bに搬送し、高速で乾燥ガスを第1乾燥室6aに流入させる。同様に、吸引装置13に代えて、減圧装置を使用して、排ガスの流動を加速し、汚泥の乾燥効率を向上させることもできる。
【0031】
汚泥の乾燥を促進するために、第2乾燥室6bに搬送される乾燥ガスを加熱してもよい。加熱装置(図示せず)は、送風装置の上流側または下流側に単独に設けられてもよく、送風装置と一体に形成されてもよい。加熱後の乾燥ガスは、送風装置または加圧装置によって第2乾燥室6bに搬送され、第2乾燥室内の汚泥を再乾燥することができる。加熱された乾燥ガスが第2乾燥室6bに落下または漏出した汚泥を再乾燥すると共に、一部の熱が金属製の本体2および仕切板4を介して仕切板4上に堆積されている汚泥に伝わり、第1乾燥室6a内の汚泥を補助的に乾燥する。
【0032】
図1および2を参照して、本開示の一体式の底部乾燥型汚泥乾燥装置1を用いて、汚泥を乾燥することができる。図示しない搬送装置によって、乾燥を行う汚泥を第1乾燥室6aに投入すると、外部の動力装置は、伝動装置および動力入力部を介して回転軸を駆動し、撹拌部を回転させる。撹拌部の各ブレードまたはラチェットは、汚泥を絶えずに撹拌する。撹拌部が汚泥を絶えずに切断、破砕および撹拌すると共に、拌部のブレードまたはラチェットの掻き取り先端もしくはブレードまたはラチェットの先端に固定された掻き取り部材が一定の時間間隔で側方開口402付近の汚泥を掻き取る。送風装置12は、管路12aおよび給気口15を介して、乾燥ガスを第2乾燥室6bに送り込む。第2乾燥室6bに進入する乾燥ガスの流速は、送風速度に依存する。撹拌部のブレードまたはラチェットの先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットの先端に固定された掻き取り部材の先端の側縁による側方開口402付近の汚泥の掻き取りは、第1乾燥室6aに流入する乾燥ガスを促進する。第1乾燥室6a内の撹拌部のブレードまたはラチェットによる汚泥の切断、破砕および撹拌並びに乾燥ガスによる汚泥の乾燥によって、汚泥の粒度が徐々に粗大粒子から粉末に変化していくため、汚泥の乾燥度合が高くなる。汚泥の乾燥が完了した後、乾燥ガスは、吸引装置13によって、第1乾燥室6aの上部に設けられた排気口10および管路13aを介して大気に導入され、または後処理を行うためにガス処理システムに導入される。乾燥後の汚泥は、著しく低い含水量を有し、排出口9から排出される。
【0033】
撹拌組立体の撹拌部のブレードまたはラチェットの先端もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の回転軌跡を、湾曲の仕切板4に設けられた連通口5または橋状部材401付近の凹部の円弧形状と一致するように構成することによって、第1乾燥室6aに投入された乾燥を行う汚泥は、円弧状凹部の下方に容易に堆積する。撹拌部のブレードまたはラチェットの掻き取り先端の側縁もしくはブレードまたはラチェットに取り付けられた掻き取り部材の先端の側縁が側方開口402を通過して、側方開口402付近の汚泥を除去した後、掻き落され汚泥および撹拌された汚泥は、仕切板の円弧状輪郭に沿って、第1乾燥室6a内の下方の低い位置に容易に落下する。これによって、乾燥ガスと汚泥との接触頻度が高くなる。
【0034】
排出組立体25aを連続的にまたは断続的に作動させることによって、側方開口402から連通口5までの湾曲経路を介して、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに落下または漏出した汚泥を除去することができる。したがって、第1乾燥室6aから第2乾燥室6bに漏出した汚泥は、傾斜した側壁に沿って、第2乾燥室6bの底部に設けられた弧状断面を有する長手通路に落下し、排出組立体によって、ハウジングの端部に設けられた掃除口15aを介して排出される。
【0035】
一体式の底部乾燥型汚泥乾燥装置において、汚泥を乾燥するために、しばしば高温の乾燥ガスを使用する。乾燥ガスは、加熱装置によって加熱された後、送風装置によって第2乾燥室6bに供給されてもよく、送風装置によって搬送された乾燥ガスは、加熱装置を通過してもよい。
【0036】
本開示のの底部乾燥型汚泥乾燥装置は、さまざまな構成を有してもよい。例えば、
図11は、汚泥乾燥装置の別の実施形態を示している。汚泥乾燥装置1は、1つの第1乾燥室6aと、2つの第2乾燥室6b1、6b2とを備える。第1乾燥室6aには、2つの撹拌組立体7a、7bが平行して設けられている。各撹拌組立体7a、7bの撹拌部702a、702bは、仕切板4の円弧状凹部に対応している。仕切板4の各々の円弧状凹部に連通口5を形成して、連通口5の上方に橋状部材401を設ける。第2乾燥室6b1および6b2は、仕切板4の各凹部に対応して、各凹部の下方に配置され、第1乾燥室6aから漏出した汚泥を受け取り、第1乾燥室6aに乾燥ガスを搬送する。換言すれば、各第2乾燥室6b1、6b2と第1乾燥室6aの対応する部分との組み合わせは、構造および機能の点で上述し汚泥乾燥装置1と同様である。言うまでもなく、当業者であれば、底部乾燥型汚泥乾燥装置の他の構成を想到することができるだろう。
【0037】
さらに、
図1に示すように、汚泥の乾燥効果を改善するために、好ましくは、上蓋3の投入口8は、ハウジングの一端に近い位置に設けられ、排出口9は、ハウジングの他端に設けられ、排気口10は、投入口8と同一端に設けられる。さらに、撹拌組立体7a、7bは、汚泥を撹拌すると共に、ハウジングの長手方向Gに沿って汚泥を移動させることができるものを採用してもよい。乾燥を行う汚泥が投入口8を介して第1乾燥室6aに投入され、仕切板4上に載置されると、連通口5から側方開口402までの湾曲経路を通って、第2乾燥室6bから第1乾燥室6aに流入する乾燥ガスによる乾燥、および撹拌組立体7a、7bによる切断、破砕および撹拌によって、汚泥の粒度は、粗大粒子から粉末に徐々に変化し、含水量も徐々に減少する。撹拌組立体7a、7bは、汚泥を撹拌すると共に、汚泥を排出口9に向けて押し出す。このため、汚泥は、排出口9に近いほどより乾燥である。このため、乾燥ガスは、排出口9近傍の側方開口402を介して第1乾燥室6aによりスムーズに流入することができる。乾燥ガスは、排出口9近傍の汚泥を通過した後、ハウジングの長手方向Gに沿って、排出口から投入口までの汚泥の表層を乾燥することができ、乾燥ガスと汚泥との接触時間を増やすことができる。
【0038】
本開示は、複数の好ましい実施形態を開示しているが、本発明は、本開示の記載に限定されない。当業者なら、本開示の範囲内で、本開示の底部乾燥型汚泥乾燥装置の要素または部材に対して変形または改変を容易に行うことができ、そのような変形または改変は、本開示の範囲内に含まれる。