特許第6351929号(P6351929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351929
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】知覚過敏緩和用口腔組成物
(51)【国際特許分類】
   A23G 4/00 20060101AFI20180625BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20180625BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180625BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   A23G4/00
   A61K8/24
   A61K8/73
   A61Q11/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-58775(P2013-58775)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-181231(P2014-181231A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月17日
【審判番号】不服2017-8136(P2017-8136/J1)
【審判請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】土居 哲平
(72)【発明者】
【氏名】朝田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 洋二
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−17449(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/073229(WO,A1)
【文献】 特公平6−92311(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 4/00
A61K 8/24
A61K 8/73
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1重量%から2重量%のハイドロキシアパタイトと、1〜5重量%のアルギン酸ナトリウムを含む知覚過敏緩和用ガム。
【請求項2】
0.1重量%から2重量%のハイドロキシアパタイトと、0.3〜5重量%のキサンタンガムを含む知覚過敏緩和用ガム。
【請求項3】
0.1重量%から2重量%のハイドロキシアパタイトと、0.3〜5重量%のフノランを含む知覚過敏緩和用ガム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
象牙質知覚過敏症(以下、知覚過敏症、あるいは知覚過敏ともいう)は1997年にHolland GRらで構成される専門委員会で、歯の疼痛において「温度、乾燥、擦過、浸透圧、化学物質などの刺激によって生じる短く鋭い痛みを特徴とし、歯質の実質欠損などの他の病変では説明できないもの」と定義されている。
知覚過敏症の例として、砂糖を多く含む食品や酸味の強い果物等を摂取した時、冷たい水を飲んだ時、歯を磨く時などに経験する一過性の痛みを挙げることができる。近く過敏症に伴う痛みは日常の食生活に少なからず悪影響を与える。
知覚過敏症における痛みの発現機構は、Brannstrom Mらが提唱する動水力学説が有力とされてきた。すなわち象牙質に存在する象牙細管において上記のような外来的な刺激が象牙細管内に存する象牙細管液を移動させ、神経を刺激するという考え方である。
【0002】
これまで象牙質知覚過敏の治療を目的として、硝酸カリウムなどの薬剤によって神経を鈍麻させるといった方法や、象牙細管の入口を封鎖・狭窄することによって刺激の伝達を抑制する方法が薬用歯磨剤、および 歯磨き時のセルフケアに限り検討されてきた。
【0003】
本願発明者らは、歯磨き以外の場面で知覚過敏のセルフケアを可能にするため、食品に関する法規の範囲で使用可能な素材から、象牙細管を封鎖効果の高いものを見出し、知覚過敏緩和用口腔組成物を完成した。
なお、現在食品として用いることのできる知覚過敏対策素材としては微粒子化したハイドロキシアパタイト粉末が知られているが、本発明の知覚過敏緩和用口腔組成物はハイドロキシアパタイト粉末と比較し効果が高い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Martin Brannstrom “A hydrodynamic mechanism in the transmission of painproduced stimuli through the dentine”. Sensory Mechanisms in Dentine (London: Pergamon Press): pp. 73-79, 1963
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
知覚過敏緩和用口腔組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは鋭意研究の結果、ハイドロキシアパタイトと多糖類を含む口腔組成物が、知覚過敏を効果的に抑制することを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】ハイドロキシアパタイト(ガム中1.7%相当量)の象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図1B】ハイドロキシアパタイトとアルギン酸ナトリウム(ガム中0.3%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図1C】ハイドロキシアパタイトとアルギン酸ナトリウム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図1D】ハイドロキシアパタイトとキサンタンガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図1E】ハイドロキシアパタイトとフノラン(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図2A】ハイドロキシアパタイトとタマリンドシードガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図2B】ハイドロキシアパタイトとグァーガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図2C】ハイドロキシアパタイトとサイリウムシードガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図2D】ハイドロキシアパタイトと大豆多糖類(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図3A】ハイドロキシアパタイトとローカストビーンガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図3B】ハイドロキシアパタイトとジェランガム(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図3C】ハイドロキシアパタイトとグルコマンナン(ガム中1.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
図3D】ハイドロキシアパタイトとコラーゲンペプチド(ガム中3.0%相当量)による象牙細管封鎖効果(走査型電子顕微鏡観察結果)を示す(1000倍率)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ハイドロキシアパタイトと多糖類を含む知覚過敏緩和用口腔組成物を提供する。本発明の本発明における多糖類の好ましい例としてアルギン酸ナトリウム、キサンタンガムまたはフノランを挙げることができる。知覚過敏緩和用口腔組成物中の、ハイドロキシアパタイトの割合は、好ましくは0.1%から2重量%、より好ましくは1%から2重量%であり、多糖類の割合は好ましくは0.3から5重量%であり、より好ましくは1%から1.5重量%である。
【0009】
一回の摂取量は、ハイドロキシアパタイトは1.5ミリグラムから30ミリグラム、多糖類は4.5ミリグラムから75ミリグラムが好ましい。
【0010】
本発明の知覚過敏緩和用口腔組成物はさらに、ガムベースを含むことができる。ガムベースとは、チューインガムのベースとなるもので、咀嚼にするのに適度な弾力があり、人体に無害なものであれば、特に限定されない。ガムベースの例として、マメ科の樹木アラビアゴムノキ (Acacia senegal)、またはその同属近縁植物の分泌物であるアラビアガム、アカテツ科の樹木であるサポジラ (Achras sapota)から得られるチクル、マツの樹液(松脂)を加工して作るエステルガム、合成樹脂である酢酸ビニル樹脂(ポリ酢酸ビニル)、ポリイソブチレンなどをあげることができる。ガムベースには、硬さを保持するために、炭酸カルシウムなどの添加物を加えてもよく、また、風味付けのために、甘味料、香料などを加えてもよい。本発明におけるガムベースの割合は好ましくは5から70重量%、より好ましくは15から35重量%である。
【0011】
また、本発明の知覚過敏緩和用組成物は、錠菓の形状をとることもできる。錠菓とする場合はガムベースは含まない。
【0012】
さらに、本発明の口腔用組成物は、嗜好性を高めるために、甘味料、香料、酸味料、着色料などを含むことができる。甘味料の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、高甘味度甘味料を挙げることができる。具体的には、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、フコース、ソルボース、フルクトース、ラムノース、リボース、異性化液糖、N−アセチルグルコサミン等の単糖類;イソトレハロース、スクロース、トレハルロース、トレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、マルトース、メリビオース、ラクチュロース、ラクトース等の二糖類;α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース等)、オリゴ−N−アセチルグルコサミン、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、ガラクトピラノシル(β1−3)ガラクトピラノシル(β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−3)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)ガラクトピラノシル (β1−4) グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)グルコピラノース、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオース等)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース等)、スタキオース、テアンデオリゴ、ニゲロオリゴ糖(ニゲロース等)、パラチノースオリゴ糖、パラチノースシロップ、フラクトオリゴ糖(ケストース、ニストース等)、フラクトフラノシルニストース、ポリデキストロース、マルトシル−β−サイクロデキストリン、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、テトラオース、ペンタオース、ヘキサオース、ヘプタオース等)、ラフィノース、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、大豆オリゴ糖、転化糖、水飴等のオリゴ糖類;イソマルチトール、エリスリトール、キシリトール、グリセロール、ソルビトール、パラチニット、マルチトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マンニトール、ラクチトール、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、還元水飴等の糖アルコール;α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウチャ抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ等の高甘味度甘味料;その他蜂蜜、果汁、果汁濃縮物等を例示することができる。これらの甘味料は1種単独で使用することも2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び糖アルコール類については、本発明の組成物に配合させる場合、30から80重量%を配合するのが好適である。また高甘味度甘味料については、本発明の組成物中、0から3重量%を配合するのが好適である。
【0013】
香料の例としては、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油などの柑橘精油類、ペパーミント油、スペアミント油、のようなミント精油類、オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリー、クローブ、シンナモン、クミン、ディル、ガーリック、パセリ、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ローズマリー、ペッパーのような公知のスパイス精油類またはオレオレジン類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、L−メントール、オイゲノール、シンナミックアルデハイド、アネトール、ペリラアルデハイド、バニリン、γ−ウンデカラクトン、カプロン酸アリル、L−カルボン、マルトールなどのような公知の単離、または合成香料、および、これら柑橘精油類、ミント精油類、スパイス精油類または単離・合成香料を目的に沿った割合で混合したシトラスミックス、ミックスミント、各種フルーツなどを表現させた調合香料が挙げられ、その他、ガム用油溶性基剤であるカロチン、クロロフィル、トコフェロールなどを含んでもよいが、本発明では、これらの例示物質に限定されるものではない。香料については、チューインガム組成物に配合させる場合、0.5から15重量%を配合するのが好適である。
【0014】
その他、本発明の組成物はクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸などの酸味料、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)等の色素を含むことができ、また、油溶性基剤であるカロチン、クロロフィル、トコフェロールなど、さらに人体に無害の他の添加物を含んでもよい。
【0015】
本発明の口腔用組成物の形状は特に限定はなく、液体、錠剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、塗布剤、液剤、懸濁剤、乳剤、粒状、板状など、あらゆる形状をとることができる。固形である場合には、外側に糖衣層を含むことができる。糖衣層には、甘味料、香料、光沢剤などを含むことができる。なお、糖衣層を含む場合は、ハイドロキシアパタイトおよび多糖類は糖衣層に含んでもよいし、センター部(糖衣層ではない中心部分)に含んでもよい。
【実施例】
【0016】
知覚過敏緩和の効果を評価するために以下の象牙細管の封鎖試験1、2を行った。
【0017】
象牙細管の封鎖試験1
ウシの切歯の歯冠部からダイヤモンドバンドソー(DIA、V−33)で約2mmのブロックを切り出した。次にパーソナル小型研磨装置(STB900, South Bay Tecnology. Inc.)で切り出した象牙質ブロックの断面を耐水研磨紙(三共理化学株式会社)で鏡面研磨した。これを0.5M EDTAに1分間浸漬し、エッチングすることで微小な研磨屑を取り除き、試験用象牙質ブロックとした。
【0018】
フィルター滅菌した唾液にキシリトール10%、マルチトール10%、ハイドロキシアパタイト0.5%となるように加え、さらに試験試料適宜を加え、試験溶液とした。これに試験用象牙質ブロックを1日7回5分間ずつ浸漬した。対照用の試験用象牙質ブロックは滅菌した唾液中に浸漬した。これを4日間繰り返した。浸漬処理の後は蒸留水で緩やかに洗浄し、乾燥した後、走査型電子顕微鏡にてそれぞれの試験用象牙質ブロックの象牙細管の構造を観察した。なお、象牙細管の封鎖率は走査型電子顕微鏡で、1000倍率の画像を取得し、これをA4サイズの用紙に印刷したものを目視で確認して、細管に粒子が1以上入ったものを、封鎖されたと判定し、象牙細管の数に対する封鎖していた象牙細管の数を計測して算出した。
【0019】
象牙細管の封鎖試験2(チューインガム抽出液の評価実験)
表1のような配合で粒タイプの試験用チューインガムを試作し、一粒(1.5グラム)につき滅菌唾液を5ml加えて乳鉢と乳棒を使って圧搾抽出した。このチューインガム抽出液を象牙細管の封鎖試験1の試験溶液として用い、象牙細管の封鎖試験1と同じ方法で浸漬、走査型電子顕微鏡にて観察し、封鎖率を算出した。
【0020】
【表1】
【0021】
象牙細管の封鎖試験1の結果
走査型電子顕微鏡(1000倍率)で得られた試験用象牙質ブロックの観察結果を図1A図3Dに示す。
試験試料なしの試験溶液の象牙細管封鎖率は7.5%であった。試験試料としてコラーゲンペプチドを用いたものは、封鎖率が8.8%と不十分であった。試験試料として、10種類の多糖類をチューインガム中に1%配合相当量で試したところ、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムおよびフノランを加えたサンプル溶液で、それぞれ43.1%、24.4%および20.3%と高い封鎖率であった。特に、アルギン酸ナトリウムの効果が高かった。結果を表2に示す。
【0022】
なお、表2では、試験溶液中に含まれるハイドロキシアパタイト、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、フノランを、ガム中の相当量で示す。なお、ガム中相当量は次のように換算されている。
ガム中相当量=唾液5ml中の試験試料の重量/ガムの重量(1.5グラム)
例えば、唾液中に0.5%のハイドロキシアパタイトとなるには、1粒のチューインガムを唾液5ml咀嚼されると仮定し、唾液中には25mgのハイドロキシアパタイトが存在することとなる。これがチューインガム1粒(1.5g)中に配合されるとすると、ガム中で1.7%相当量となる。各種多糖についても同様に見積もった。
【0023】
【表2】
【0024】
象牙細管の封鎖試験2の結果
象牙細管の封鎖試験1で上位であった3種類の試験試料を使い、象牙細管の封鎖試験2を行った。結果を表3に示す。チューインガム抽出液の象牙細管封鎖率は、アルギン酸ナトリウム配合ガム抽出液で45.8%、キサンタンガム配合ガム抽出液で33.6%、フノラン配合ガム抽出液で18.1%であった。
【0025】
【表3】
【0026】
以上の実験より、知覚過敏緩和用口腔組成物の好ましい組成は表4のように求められた。すなわち、知覚過敏緩和用口腔組成物中の、ハイドロキシアパタイトの割合は、好ましくは0.1%から2重量%、より好ましくは1%から2重量%であり、多糖類の割合は好ましくは0.3から5重量%であり、より好ましくは1%から1.5重量%である。
【0027】
一回の摂取量は、ハイドロキシアパタイトは1.5ミリグラムから30ミリグラム、多糖類は4.5ミリグラムから75ミリグラムとなることが好ましい。
【0028】
【表4】
【0029】
錠菓の配合例
本発明の知覚過敏緩和用組成物は錠菓(錠剤型固形菓子)とすることもできる。配合例として表5を挙げる。
【0030】
【表5】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D