特許第6351949号(P6351949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6351949
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】光受信機
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20180625BHJP
   G02B 6/24 20060101ALI20180625BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G02B6/46
   G02B6/24
   G02B6/42
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-213967(P2013-213967)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2015-75745(P2015-75745A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】榊原 啓之
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3175198(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3175199(JP,U)
【文献】 特開2006−084492(JP,A)
【文献】 特開平08−271741(JP,A)
【文献】 特開平10−311930(JP,A)
【文献】 特開2003−241044(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02785024(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0195417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24 −6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーによって伝送されてくる光信号を電気信号に変換する光受信部と、
前記光受信部を収容するケースとを備えて、壁面に取り付けられる光受信機であって、
前記ケースにおいては、前記光受信機が前記壁面に取り付けられた状態にて前記壁面と対向する取付面を有し、
前記ケースは、前記取付面から突出して前記光受信機を前記壁面に取り付けた状態にて前記光ファイバーの一部を巻き付け可能な第1突出部を含み、
前記第1突出部は、前記取付面に直交する方向から見て、略円形状の外形を有しており、
前記第1突出部は、前記光ファイバーの前記一部が巻き付けられる第1外周面および該第1外周面とは反対側の第1内周面を有し、
前記第1突出部において前記第1外周面の少なくとも一部は、前記取付面の外周より内側に位置する、光受信機。
【請求項2】
記ケースは、前記取付面から突出して前記第1突出部の前記第1内周面と対向する第2外周面を有する第2突出部をさらに含み、
前記第2突出部は、前記取付面に直交する方向から見て、略円形状の外形を有しており、
前記第1突出部と前記第2突出部とは、略同心状に配置されており、
前記取付面と前記第1内周面と前記第2外周面とに囲まれた収容部は、前記光ファイバーの他の一部を内部に収容可能である、請求項1に記載の光受信機。
【請求項3】
前記ケースは、前記取付面上にて前記第1突出部の外側において前記第1突出部に対して隙間を開けて位置して前記取付面から離れる方向に付勢された少なくとも1つ以上の付勢部をさらに含み、
前記付勢部は、前記取付面から離れるに従って前記第1突出部に近づくように傾斜した傾斜面部を有し、
前記光受信機を前記壁面に取り付けた状態にて前記光ファイバーの前記一部を前記第1突出部に巻き付ける際に、前記光ファイバーの前記一部によって前記傾斜面部が押圧されて前記付勢部が前記取付面に向かって撓み、
前記光受信機を前記壁面に取り付けた状態にて前記第1突出部に巻き付けられた前記光ファイバーの前記一部は、前記第1突出部と前記付勢部との間の前記隙間を通過している、請求項1または2に記載の光受信機。
【請求項4】
前記付勢部が前記取付面から傾斜して突出した板ばね部からなり、
前記ケースは、前記取付面において前記板ばね部と対向する位置に開口を有する、請求項3に記載の光受信機。
【請求項5】
前記板ばね部は先端に突起を有し、
前記突起においては、前記板ばね部が撓んで前記板ばね部の前記先端が前記開口に接近した際に前記開口の縁に乗り上げる位置に設けられている、請求項4に記載の光受信機。
【請求項6】
前記ケースは、前記開口において前記板ばね部の先端側の縁に沿って前記取付面から突出した第3突出部をさらに含み、
前記第3突出部の前記取付面からの最大高さは、前記突起が前記開口の縁に乗り上げた状態における前記突起の前記取付面からの最大高さより高い、請求項5に記載の光受信機。
【請求項7】
前記光受信機を前記壁面に取り付けた状態にて前記第1突出部に巻き付けられた前記光ファイバーの前記一部は、前記第1突出部と前記第3突出部との間を通過し、
前記第3突出部の先端と前記板ばね部の先端側との間の隙間を前記光ファイバーが通過できないように、前記板ばね部および前記第3突出部の各々が設けられている、請求項6に記載の光受信機。
【請求項8】
前記第1突出部には、前記収容部から前記光ファイバーを引き出すための引出口が設けられ、
前記第1突出部の前記引出口に隣接している部分には、前記光ファイバーを引っ掛けるための切欠が設けられている、請求項2に記載の光受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信機に関し、特に、光ファイバーの余分な部分の長さを調節可能な光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーの余長部分を収容する収容部を有する光受信機を開示した先行文献として、特許文献1(実用新案登録第3175198号公報)がある。特許文献1に記載された光受信機は、光ファイバーによって伝送されてくる光信号を光中継用アダプタを通じて受け入れて当該光信号を電気信号に変換して高周波出力端子から出力する光受信部と、光受信部を内部に収容するケース本体と、光ファイバーの余長部分を収容する収容部とからなる。
【0003】
収容部は、ケース本体の外面の内の少なくとも1つの面を光ファイバー配設面として、当該光ファイバー配設面から外方向に突出するように一体的に設けられている。収容部は、ケース本体の外形に略沿うように形成された側壁を連設することで、光ファイバー配設面の四方を囲むように設けられた外枠と、外枠の内側にあって光ファイバーを安全曲率の範囲内で略円形状に添付を可能とする巻枠と、側壁に光ファイバーを配設するために設けられた複数の開口部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3175198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光受信機においては、光ファイバーの余分な部分を収容部内に収容して光ファイバーの余分な部分の長さを調節した状態で、光受信機を壁面に取り付ける構成になっていた。この場合、光受信機を壁面に取り付けた後で、光ファイバーの余分な部分の長さを調節することができない。そのため、光受信機を壁面に取り付けた後、光ファイバーの余分な部分の長さを再調節する必要性が生じた場合に、光受信機を壁面から取り外さなければならなかった。また、設置工事において、光ファイバーの配線工事を光受信機の取り付け工事より必ず先に行なわなければならず、設置工事の工程順の自由度が制限されていた。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、壁面に取り付けられた状態で光ファイバーの余分な部分の長さを調節可能な光受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく光受信機は、光ファイバーによって伝送されてくる光信号を電気信号に変換する光受信部と、光受信部を収容するケースとを備えて、壁面に取り付けられる光受信機である。ケースにおいては、光受信機が壁面に取り付けられた状態にて壁面と対向する取付面を有する。ケースは、取付面から突出して光受信機を壁面に取り付けた状態にて光ファイバーの一部を巻き付け可能な第1突出部を含む。第1突出部において光ファイバーの一部が巻き付けられる第1外周面の少なくとも一部は、取付面の外周より内側に位置する。
【0008】
本発明の一形態においては、第1突出部は、第1外周面および第1外周面とは反対側の第1内周面を有する。ケースは、取付面から突出して第1突出部の第1内周面と対向する第2外周面を有する第2突出部をさらに含む。取付面と第1内周面と第2外周面とに囲まれた収容部は、光ファイバーの他の一部を内部に収容可能である。
【0009】
本発明の一形態においては、ケースは、取付面上にて第1突出部の外側において第1突出部に対して隙間を開けて位置して取付面から離れる方向に付勢された少なくとも1つ以上の付勢部をさらに含む。付勢部は、取付面から離れるに従って第1突出部に近づくように傾斜した傾斜面部を有する。光受信機を壁面に取り付けた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、光ファイバーの一部によって傾斜面部が押圧されて付勢部が取付面に向かって撓む。光受信機を壁面に取り付けた状態にて第1突出部に巻き付けられた光ファイバーの一部は、第1突出部と付勢部との間の隙間を通過している。
【0010】
本発明の一形態においては、付勢部が取付面から傾斜して突出した板ばね部からなる。ケースは、取付面において板ばね部と対向する位置に開口を有する。
【0011】
本発明の一形態においては、板ばね部は先端に突起を有する。突起においては、板ばね部が撓んで板ばね部の先端が開口に接近した際に開口の縁に乗り上げる位置に設けられている。
【0012】
本発明の一形態においては、ケースは、上記開口において板ばね部の先端側の縁に沿って取付面から突出した第3突出部をさらに含む。第3突出部の取付面からの最大高さは、突起が開口の縁に乗り上げた状態における突起の取付面からの最大高さより高い。
【0013】
本発明の一形態においては、光受信機を壁面に取り付けた状態にて第1突出部に巻き付けられた光ファイバーの一部は、第1突出部と第3突出部との間を通過している。第3突出部の先端と板ばね部の先端側との間の隙間を光ファイバーが通過できないように、板ばね部および第3突出部の各々が設けられている。
【0014】
本発明の一形態においては、第1突出部には、収容部から光ファイバーを引き出すための引出口が設けられている。第1突出部の引出口に隣接している部分には、光ファイバーを引っ掛けるための切欠が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光受信機を壁面に取り付けた状態で光ファイバーの余分な部分の長さを調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る光受信機の外観を示す正面図である。
図2】同実施形態に係る光受信機の外観を示す背面図である。
図3】同実施形態に係る光受信機の外観を示す平面図である。
図4】同実施形態に係る光受信機の外観を示す底面図である。
図5】同実施形態に係る光受信機の外観を示す左側面図である。
図6】同実施形態に係る光受信機の外観を示す右側面図である。
図7】同実施形態に係る光受信機の外観を示す正面側斜視図である。
図8】同実施形態に係る光受信機の外観を示す背面側斜視図である。
図9図2の容器をIX−IX線矢印方向から見た断面図である。
図10図2の容器をX−X線矢印方向から見た断面図である。
図11】壁面に取り付けられた光受信機に光ファイバーを接続する状態を示す正面図である。
図12図11の光受信機を矢印XII方向から見た側面図である。
図13】壁面に取り付けられた光受信機に光ファイバーを接続した状態を示す正面図である。
図14】同実施形態に係る光受信機のケースの第1突出部に光ファイバーの一部を巻き付けた状態を示す背面図である。
図15】同実施形態に係る光受信機のケースの収容部の内部に光ファイバーの他の一部を収容しつつ第1突出部に光ファイバーの一部を巻き付けた状態を示す背面図である。
図16】同実施形態に係る光受信機のケースの収容部の内部に光ファイバーの一部を収容した状態を示す背面図である。
図17】同実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、光ファイバーの一部が板ばね部の傾斜面を押圧する状態を示す断面図である。
図18】同実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、板ばね部が光ファイバーの一部によって押圧されて最も撓んだ状態を示す断面図である。
図19】同実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、光ファイバーの一部が第1突出部と板ばね部との間の隙間に到達して、板ばね部が自らの付勢力によって元の姿勢に戻った状態を示す断面図である。
図20】同実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部から外す際に、板ばね部の先端側を押した状態を示す断面図である。
図21】同実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部から外す際に、板ばね部の先端側をさらに押して板ばね部の突起が開口の縁に乗り上げた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る光受信機について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る光受信機の外観を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す背面図である。図3は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す平面図である。図4は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す底面図である。図5は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す左側面図である。図6は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す右側面図である。図7は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す正面側斜視図である。図8は、本実施形態に係る光受信機の外観を示す背面側斜視図である。
【0019】
図1〜8に示すように、本発明の一実施形態に係る光受信機1は、光ファイバーによって伝送されてくる光信号を電気信号に変換する光受信部2と、光受信部2を収容するケース3とを備える。光受信部2は、光中継用アダプタ4および高周波出力端子5の各々と接続されている。光中継用アダプタ4には、後述する光ファイバーの末端に設けられた光コネクタが着脱自在に接続される。高周波出力端子5には、電気信号出力用の同軸ケーブルが接続される。
【0020】
ケース3は、蓋10と容器20とから構成されている。蓋10および容器20の各々は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなり、射出成形により形成されている。蓋10と容器20とは、各々の内側に設けられた図示しないスナップフィットにより互いに着脱可能に組み合わされる。
【0021】
ケース3においては、光受信機1が壁面に取り付けられた状態にて壁面と対向する取付面1B、および、取付面1Bの反対側に位置する正面1Aを有する。ケース3の正面1Aは、蓋10の正面である。ケース3の取付面1Bは、容器20の背面である。
【0022】
蓋10には、光中継用アダプタ4に接続された光コネクタを収容するための凹部11が設けられている。本実施形態においては、図1に示す正面視において、蓋10の右下側に凹部11が位置している。
【0023】
図4に示すように、凹部11の内周壁に、光中継用アダプタ4が挿通される矩形状の貫通孔12が設けられている。また、凹部11の内周壁の貫通孔12と対向する位置に、光ファイバーを通過させるための切欠13が設けられている。さらに、図6に示すように、凹部11の内周壁のうちの蓋10の右側面に位置する部分に、光コネクタを光中継用アダプタ4に着脱する際の光コネクタを把持する指との干渉を避けるための切欠14が設けられている。
【0024】
図1,7に示すように、凹部11の底面は、光コネクタを光中継用アダプタ4に案内するための平坦面111と、平坦面111を互いの間に挟んで位置して背面側に凸状に湾曲した湾曲面部112,113とから構成されている。
【0025】
具体的には、光コネクタを平坦面111に沿わせながら光中継用アダプタ4に接近させる際に、光コネクタを把持する指との干渉を避けるために湾曲面部112,113が設けられている。
【0026】
図4,7に示すように、蓋10の底部に高周波出力端子5が挿通される半円状の切欠15が設けられている。容器20の底部に高周波出力端子5が挿通される半円状の切欠25が設けられている。切欠15および切欠25の各々は、蓋10と容器20とが組み合わされた状態において1つの円を構成するように設けられている。
【0027】
図2,8に示すように、容器20は、取付面1Bから突出して光受信機1を壁面に取り付けた状態にて光ファイバーの一部を巻き付け可能な第1突出部21を含む。第1突出部21は、ケース3の背面視にて略円形状の外形を有している。本実施形態においては、第1突出部21は、背面視にてケース3の左側に位置する第1左側突出部210aと、ケース3の底側に位置する第1底側突出部210bと、背面視にてケース3の右側に位置する第1右側突出部210cとから構成されている。第1左側突出部210aと第1底側突出部210bと第1右側突出部210cとは、互いに離間している。
【0028】
第1突出部21は、光ファイバーの一部が巻き付けられる第1外周面および第1外周面とは反対側の第1内周面を有する。第1外周面は、第1左側突出部210aの外周面211aと、第1底側突出部210bの外周面211bと、第1右側突出部210cの外周面211cとから構成されている。第1内周面は、第1左側突出部210aの内周面212aと、第1底側突出部210bの内周面212bと、第1右側突出部210cの内周面212cとから構成されている。
【0029】
本実施形態においては、背面視にて、第1突出部21の第1外周面は、取付面1Bの外周より内側に位置している。すなわち、背面視にて、ケース3の外周面より内側に、第1突出部21の第1外周面の全体が位置している。ただし、背面視にて、第1突出部21の第1外周面に、ケース3の外周面の外側に位置する部分があってもよい。
【0030】
なお、第1底側突出部210bの外周面211bの一部から、ケース3をボルトで壁面に固定するためのボルト用孔264を有する2つの延設部263が、ケース3の底面より外側まで延在するように設けられている。
【0031】
第1左側突出部210aの取付面1B側とは反対側の先端部に、内周面212a側から延在して取付面1Bと対向する3つの第1ファイバ抑え213aが互いに間隔を置いて設けられている。第1底側突出部210bの取付面1B側とは反対側の先端部に、内周面212b側から延在して取付面1Bと対向する2つの第1ファイバ抑え213bが互いに間隔を置いて設けられている。第1右側突出部210cの取付面1B側とは反対側の先端部に、内周面212c側から延在して取付面1Bと対向する3つの第1ファイバ抑え213cが互いに間隔を置いて設けられている。
【0032】
容器20は、取付面1Bから突出して第1突出部21の第1内周面と所定の間隔を置いて対向する第2外周面を有する第2突出部22をさらに含む。第2突出部22は、ケース3の背面視にて、光ファイバーの安全曲率より小さい曲率を有する略円形状の外形を有している。第1突出部21と第2突出部22とは、略同心状に配置されている。第2突出部22は、第2外周面221および第2外周面221とは反対側の第2内周面222を有する。
【0033】
なお、光ファイバーの安全曲率とは、湾曲部から光が漏れることによる損失が発生せず、かつ、光ファイバーに亀裂などが生じない許容曲げ半径の曲率である。たとえば、光ファイバーの直径の40倍程度が、光ファイバーの許容曲げ半径である。
【0034】
第2突出部22の取付面1B側とは反対側の先端部に、第2外周面221側から延在して取付面1Bと対向する4つの第2ファイバ抑え223が互いに間隔を置いて設けられている。
【0035】
取付面1Bと第1突出部21の第1内周面と第2突出部22の第2外周面221とに囲まれた収容部29bは、光ファイバーの他の一部を内部に収容可能である。第1ファイバ抑え213a、第1ファイバ抑え213bおよび第1ファイバ抑え213cと、第2ファイバ抑え223とは、互いに間隔を置いて収容部29bを千鳥状に覆っている。
【0036】
上記のように第1左側突出部210aと第1右側突出部210cとは互いに離間して、収容部29bから光ファイバーを引き出すための引出口27aが設けられている。第1左側突出部210aと第1底側突出部210bとは互いに離間して、収容部29bから光ファイバーを引き出すための引出口27bが設けられている。第1底側突出部210bと第1右側突出部210cとは互いに離間して、収容部29bから光ファイバーを引き出すための引出口27cが設けられている。
【0037】
図3,8に示すように、第1左側突出部210aの引出口27aに隣接している部分には、光ファイバーを引っ掛けるための切欠214aが設けられている。第1右側突出部210cの引出口27aに隣接している部分には、光ファイバーを引っ掛けるための切欠214cが設けられている。光ファイバーを引出口27aから引き出した際に、光ファイバーを切欠214aまたは切欠214cに引っ掛けることにより、光ファイバーが取付面1Bから浮き上がることを抑制できる。
【0038】
背面視にて第2突出部22の内側の上方の位置に、ケース3を壁面に取り付けるためのだるま穴261を有する膨出部が設けられている。膨出部のだるま穴261は、ケース3の底面側、および取付面1B側とは反対側の先端側に開口した大径穴部と、大径穴部に連続してケース3の上面側に延在した長円形穴部とからなる。
【0039】
だるま穴261の大径穴部の開口端に連続するように、案内用突出部262が設けられている。取付面1Bと第2突出部22の第2内周面222と案内用突出部262とに囲まれたターゲット空間26は、後述するようにケース3を取り付けるための頭付ボルトの頭を挿入するターゲットとなる。
【0040】
壁面に固定された頭付ボルトの頭をターゲット空間26内に挿入した状態で、頭付ボルトの頭が案内用突出部262に沿ってだるま穴261の大径穴部の開口に近づくようにケース3を移動させることにより、頭付ボルトの頭をだるま穴261の大径穴部内に容易に挿入することができる。続いて、頭付ボルトの頭をだるま穴261の長円形穴部内に挿入することにより、ケース3を壁面に取り付けることができる。
【0041】
本実施形態に係るケース3の容器20は、取付面1B上にて第1突出部21の外側において第1突出部21に対して隙間29aを開けて位置して取付面1Bから離れる方向に付勢された4つの付勢部をさらに含む。各付勢部は取付面1Bから傾斜して突出した板ばね部からなる。具体的には、背面視にて、取付面1Bの上面側に位置する2つの上面側板ばね部28aと、取付面1Bの底面側に位置する2つの底面側板ばね部28bとが設けられている。
【0042】
2つの上面側板ばね部28aのうちの一方は、背面視にて、取付面1Bの左上の角の近傍から第1左側突出部210aに接近して対向するように延在している。2つの上面側板ばね部28aのうちの他方は、背面視にて、取付面1Bの右上の角の近傍から第1右側突出部210cに接近して対向するように延在している。
【0043】
2つの底面側板ばね部28bのうちの一方は、背面視にて、取付面1Bの左下の角の近傍から上方に向けて延在して、その先端が引出口27bの外側に位置している。2つの底面側板ばね部28bのうちの他方は、背面視にて、取付面1Bの右下の角の近傍から上方に向けて延在して、その先端が引出口27cの外側に位置している。
【0044】
容器20は、取付面1Bにおいて各板ばね部と対向する位置に開口を有する。具体的には、取付面1Bにおいて2つの上面側板ばね部28aにそれぞれ対向する2つの上面側開口285aが設けられている。上面側開口285aは、背面視にて、撓んでいない状態の上面側板ばね部28aを取付面1Bに投影した領域を包含する大きさで形成されている。取付面1Bにおいて2つの底面側板ばね部28bにそれぞれ対向する2つの底面側開口285bが設けられている。底面側開口285bは、背面視にて、撓んでいない状態の底面側板ばね部28bを取付面1Bに投影した領域を包含する大きさで形成されている。
【0045】
上面側板ばね部28aが取付面1B側に撓んだ際に、上面側板ばね部28aの根元部の取付面1Bと対向する側が上面側開口285aの内部に収容されることにより、上面側板ばね部28aが取付面1Bと干渉することなく撓むことができる。同様に、底面側板ばね部28bが取付面1B側に撓んだ際に、底面側板ばね部28bの根元部の取付面1Bと対向する側が底面側開口285bの内部に収容されることにより、底面側板ばね部28bが取付面1Bと干渉することなく撓むことができる。
【0046】
2つの上面側板ばね部28aのうちの一方は、取付面1Bから離れるに従って第1左側突出部210aに近づくように傾斜した傾斜面部281aを有する。2つの上面側板ばね部28aのうちの他方は、取付面1Bから離れるに従って第1右側突出部210cに近づくように傾斜した傾斜面部281aを有する。
【0047】
2つの底面側板ばね部28bのうちの一方は、取付面1Bから離れるに従って第1左側突出部210aに近づくように傾斜した傾斜面部281b,282bを有する。2つの底面側板ばね部28bのうちの他方は、取付面1Bから離れるに従って第1右側突出部210cに近づくように傾斜した傾斜面部281b,282bを有する。
【0048】
上面側板ばね部28aは、先端に突起283aを有している。突起283aにおいては、上面側板ばね部28aが撓んで上面側板ばね部28aの先端が上面側開口285aに接近した際に上面側開口285aの縁に乗り上げる位置に設けられている。
【0049】
底面側板ばね部28bは、先端に突起283bを有している。突起283bにおいては、底面側板ばね部28bが撓んで底面側板ばね部28bの先端が底面側開口285bに接近した際に底面側開口285bの縁に乗り上げる位置に設けられている。
【0050】
容器20は、上面側開口285aにおいて上面側板ばね部28aの先端側の縁に沿って取付面1Bから突出した2つの上面側第3突出部289aをさらに含む。2つの上面側第3突出部289aは、上面側板ばね部28aの突起283aと干渉しないように、上面側開口285aの縁において突起283aが乗り上げる位置を互いの間に挟むように間隔を置いて設けられている。
【0051】
容器20は、底面側開口285bにおいて底面側板ばね部28bの先端側の縁に沿って取付面1Bから突出した底面側第3突出部289bをさらに含む。底面側第3突出部289bは、底面側板ばね部28bの突起283bと干渉しないように、底面側開口285bの縁において突起283bが乗り上げる位置に隣接して設けられている。2つの底面側板ばね部28bのうちの一方の先端側に位置する底面側第3突出部289bは、引出口27bと対向している。2つの底面側板ばね部28bのうちの他方の先端側に位置する底面側第3突出部289bは、引出口27cと対向している。
【0052】
ここで、撓んでいない状態の上面側板ばね部28aと上面側第3突出部289aとの位置関係、および、撓んでいない状態の底面側板ばね部28bと底面側第3突出部289bとの位置関係について説明する。
【0053】
図9は、図2の容器をIX−IX線矢印方向から見た断面図である。図10は、図2の容器をX−X線矢印方向から見た断面図である。以下の説明では、2つの上面側板ばね部28aのうちの他方について説明するが、2つの上面側板ばね部28aのうちの一方についても同様である。また、2つの底面側板ばね部28bうちの他方について説明するが、2つの底面側板ばね部28bのうちの一方についても同様である。
【0054】
図9に示すように、取付面1Bから第1右側突出部210cの先端までの距離の寸法、すなわち、第1突出部21の高さの寸法はH21である。なお、取付面1Bから第1左側突出部210aの先端までの距離の寸法、および、取付面1Bから第1底側突出部210bの先端までの距離の寸法もH21である。
【0055】
図9,10に示すように、撓んでいない状態の上面側板ばね部28aおよび底面側板ばね部28bの取付面1Bからの最大高さの寸法はH28である。上面側板ばね部28aの突起283aおよび底面側板ばね部28bの突起283bの厚さの寸法はT283である。
【0056】
取付面1Bから上面側第3突出部289aの先端までの距離の寸法および取付面1Bから底面側第3突出部289bの先端までの距離の各寸法、すなわち、第3突出部の最大高さの寸法はH289である。
【0057】
よって、取付面1Bに直交する方向において、第1突出部21の先端から撓んでいない状態の上面側板ばね部28aまたは底面側板ばね部28bまでの隙間の寸法をM1とすると、M1=H21−H28となる。
【0058】
また、取付面1Bに直交する方向において、第3突出部の取付面1B側とは反対側の先端から、撓んでいない状態の上面側板ばね部28aの先端側の突起283aまたは底面側板ばね部28bの先端側の突起283bまでの隙間の寸法をM2とすると、M2=H28−T283−H289となる。
【0059】
以下、本実施形態に係る光受信機1において、壁面に取り付けた状態にて光ファイバーを接続する際の動作について説明する。
【0060】
図11は、壁面に取り付けられた光受信機に光ファイバーを接続する状態を示す正面図である。図12は、図11の光受信機を矢印XII方向から見た側面図である。図13は、壁面に取り付けられた光受信機に光ファイバーを接続した状態を示す正面図である。
【0061】
図11〜13に示すように、光受信機1は壁面9に取り付けられている。壁面9には、少なくとも3つの雌ねじが設けられている。3つの雌ねじのうちの1つには、図示しない頭付ボルトが締め込まれている。この頭付ボルトの頭が、ケース3のだるま穴261の長円形穴部内に挿入されていることにより、ケース3が壁面9に取り付けられている。
【0062】
3つの雌ねじのうちの残りの2つには、ケース3の延設部263のボルト用孔264を挿通した頭付ボルト8が締め込まれている。本実施形態においては、3つの頭付ボルトによって、光受信機1が壁面9に固定されている。ただし、光受信機1の壁面9への固定方法はこれに限られない。
【0063】
光配線7は、末端に位置する光コネクタ7aと、光ファイバー7bとを含む。光配線7の先端は、ケーブルテレビなどから光信号が送られてくる光ケーブルに接続されて固定されている。
【0064】
図11に示すように、光コネクタ7aを光中継用アダプタ4に接続する際には、光コネクタ7aを矢印7xで示すように切欠13内を通過させて平坦面111に沿わせながら光中継用アダプタ4に接近させる。図13に示すように、光コネクタ7aを光中継用アダプタ4に接続した状態においては、光コネクタ7aは凹部11内に収容されて、光ファイバー7bが切欠13内を通過している。
【0065】
上記のように光コネクタ7aを光中継用アダプタ4に接続する際、光ファイバー7bに余分な部分が生じていることがある。本実施形態に係る光受信機1においては、光受信機1を壁面9に取り付けた状態にて光ファイバー7bの一部を第1突出部21に巻き付けることができる。
【0066】
図14は、本実施形態に係る光受信機のケースの第1突出部に光ファイバーの一部を巻き付けた状態を示す背面図である。図14に示すように、光受信機1を壁面9に取り付けた状態にて第1突出部21に巻き付けられた光ファイバー7bの一部は、第1突出部21と付勢部との間の隙間29aを通過している。さらに、光受信機1を壁面9に取り付けた状態にて第1突出部21に巻き付けられた光ファイバー7bの一部は、第1突出部21と第3突出部との間を通過している。
【0067】
具体的には、光ファイバー7bの先端側から順に、底面側第3突出部289bと第1左側突出部210aとの間、上面側第3突出部289aと第1左側突出部210aとの間、上面側第3突出部289aと第1右側突出部210cとの間、底面側第3突出部289bと第1右側突出部210cとの間を通過するように、第1突出部21に光ファイバー7bを巻き付ける。底面側第3突出部289bと第1右側突出部210cとの間を通過している部分より末端側を、第1底側突出部210bの外側において安全曲率より小さい曲率で湾曲させて、正面側の収容部11内に挿入する。なお、第1突出部21に光ファイバー7bを2周以上巻き付けてもよい。
【0068】
このように、本実施形態に係る光受信機1は、壁面9に取り付けられた状態で光ファイバー7bの余分な部分の長さを調節可能である。そのため、光受信機1を壁面9に取り付けた後、光ファイバー7bの余分な部分の長さを再調節する必要性が生じた場合に、光受信機1を壁面から取り外す必要がない。また、設置工事において、光配線7の配線工事を光受信機1の取り付け工事より後で行なってもよく、設置工事の工程順の自由度を高めることができる。
【0069】
本実施形態に係る光受信機1のケース3は収容部29bを有するため、光受信機1を壁面9に取り付ける前に予め光ファイバー7bの他の一部を収容部29bの内部に収容できる。
【0070】
図15は、本実施形態に係る光受信機のケースの収容部の内部に光ファイバーの他の一部を収容しつつ第1突出部に光ファイバーの一部を巻き付けた状態を示す背面図である。図15に示すように、ケース3の収容部29b内に光ファイバー7bの他の一部を収容した状態で光受信機1を壁面9に取り付けた後、光ファイバー7bの一部を第1突出部21に巻き付けることもできる。
【0071】
具体的には、光ファイバー7bの末端側の一部を引出口27cから収容部29b内に挿入し、第2突出部22に1周巻き付けてから引出口27cから引き出す。引出口27cから引き出された部分より末端側を、第1底側突出部210bの外側において安全曲率より小さい曲率で湾曲させて、正面側の収容部11内に挿入する。なお、第2突出部22に光ファイバー7bを2周以上巻き付けてもよい。
【0072】
光ファイバー7bの先端側の一部を、図14に示す状態と同様に、光ファイバー7bの先端側から順に、底面側第3突出部289bと第1左側突出部210aとの間、上面側第3突出部289aと第1左側突出部210aとの間、上面側第3突出部289aと第1右側突出部210cとの間、底面側第3突出部289bと第1右側突出部210cとの間を通過するように、第1突出部21に光ファイバー7bを巻き付ける。なお、第1突出部21に光ファイバー7bを2周以上巻き付けてもよい。
【0073】
このように、本実施形態に係る光受信機1は、予め光ファイバー7bの余分な部分の一部を収容部29b内に収容して壁面9に取り付けた状態のまま、光ファイバー7bの余分な部分の残部の長さを調節可能である。
【0074】
なお、光ファイバー7bの余分な部分の長さによっては、光ファイバー7bの一部を収容部29b内に収容するのみでもよい。図16は、本実施形態に係る光受信機のケースの収容部の内部に光ファイバーの一部を収容した状態を示す背面図である。
【0075】
図16に示すように、ケース3の収容部29b内に光ファイバー7bの一部を収容した状態で光受信機1を壁面9に取り付けてもよい。光ファイバー7bの余分な部分の長さが第1突出部21に巻き付け可能な長さに満たない場合は、第2突出部22に光ファイバー7bの一部を巻き付けることにより光ファイバー7bの余分な部分の長さを調節できる。
【0076】
以下、光ファイバー7bの一部を第1突出部21に巻き付ける際の付勢部である板ばね部の動作について説明する。なお、以下の説明では、図9と同一の断面視にて上面側板ばね部28aについて説明するが、底面側板ばね部28bについても同様である。また、光ファイバー7bの横断面形状が円形である場合について説明するが、光ファイバー7bの横断面形状が楕円形または矩形などでもよい。
【0077】
図17は、本実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、光ファイバーの一部が板ばね部の傾斜面を押圧する状態を示す断面図である。図18は、本実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、板ばね部が光ファイバーの一部によって押圧されて最も撓んだ状態を示す断面図である。
【0078】
図19は、本実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部に巻き付ける際に、光ファイバーの一部が第1突出部と板ばね部との間の隙間に到達して、板ばね部が自らの付勢力によって元の姿勢に戻った状態を示す断面図である。
【0079】
図17に示すように、光受信機1を壁面9に取り付けた状態にて光ファイバー7bの一部を第1突出部21に巻き付ける際、光ファイバー7bの一部が上面側板ばね部28aの傾斜面部281a上を滑りながら矢印7xで示すように第1突出部21に向かって進む。
【0080】
光ファイバー7bの直径の寸法Dは、壁面9から上面側板ばね部28aまでの隙間の寸法M1より大きい。そのため、光ファイバー7bの一部が上面側板ばね部28aの傾斜面部281aと壁面9との間に挟まれた状態になる。さらに光ファイバー7bの一部が第1突出部21に向かって進むことにより、矢印28xで示すように光ファイバー7bの一部によって上面側板ばね部28aの傾斜面部281aが押圧されて上面側板ばね部28aが取付面1B側に撓む。
【0081】
図18に示すように、光ファイバー7bの一部は、撓んだ状態の上面側板ばね部28aを乗り越えて第1突出部21に向かって進む。図19に示すように、光ファイバー7bの一部が第1突出部21と上面側板ばね部28aとの間の隙間29aに到達すると、上面側板ばね部28aは矢印28zで示すように自らの付勢力によって元の姿勢に戻る。
【0082】
上記のように光ファイバー7bの直径の寸法Dは、壁面9から上面側板ばね部28aまでの隙間の寸法M1より大きいため、隙間29aに位置する光ファイバー7bの一部は、上面側板ばね部28aを乗り越えることができない。よって、第1突出部21に巻き付けた光ファイバー7bの一部が外側に広がることを抑制できる。
【0083】
なお、光ファイバー7bの横断面形状が楕円形または矩形などである場合は、光ファイバー7bの横断面において最も薄い部分の厚さの寸法が、隙間の寸法M1より大きくなるように設定されている。
【0084】
また、光ファイバー7bの一部は、隙間29aにおいて第1突出部21と上面側第3突出部289aとの間に位置している。光ファイバー7bの直径の寸法Dは、上面側第3突出部289aの先端から撓んでいない状態の上面側板ばね部28aの突起283aまでの隙間の寸法M2より大きい。そのため、隙間29aに位置する光ファイバー7bの一部は、上面側板ばね部28aと上面側第3突出部289aとの間に入り込めない。よって、隙間29aに位置する光ファイバー7bの一部が、上面側板ばね部28aと取付面1Bとの間に入り込んで上面側板ばね部28aがロックされることを防止できる。
【0085】
なお、光ファイバー7bの横断面形状が楕円形または矩形などである場合は、光ファイバー7bの横断面において最も薄い部分の厚さの寸法が、隙間の寸法M2より大きくなるように設定されている。すなわち、上面側第3突出部289aの取付面1B側とは反対側の先端と上面側板ばね部28aの先端側との間の隙間を光ファイバー7bが通過できないように、上面側板ばね部28aおよび上面側第3突出部289aの各々が設けられている。
【0086】
本実施形態に係る光受信機1においては、ケース3の第1突出部21に巻き付けた光ファイバー7bの一部を、光受信機1を壁面9に取り付けた状態のまま外すことができる。光ファイバー7bの一部を第1突出部21から外す場合は、板ばね部の先端側を押して板ばね部を撓ませる。隙間29aに位置する光ファイバー7bの一部を、撓ませた板ばね部と壁面9との間を通して板ばね部を乗り越えさせることにより、光ファイバー7bの一部を第1突出部21から外すことができる。
【0087】
本実施形態においては、板ばね部は容器20の一部で構成されているため、板ばね部の先端側を強く押しすぎると、板ばね部の根元部が塑性変形して板ばね部がばね性を喪失する恐れがある。
【0088】
そのため、本実施形態においては、第3突出部の高さの寸法を板ばね部の先端側の厚さの寸法より大きくしている。また、板ばね部の先端に突起を設けている。以下、図を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、図9と同一の断面視にて上面側板ばね部28aについて説明するが、底面側板ばね部28bについても同様である。
【0089】
図20は、本実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部から外す際に、板ばね部の先端側を押した状態を示す断面図である。図21は、本実施形態に係る光受信機が壁面に取り付けられた状態にて光ファイバーの一部を第1突出部から外す際に、板ばね部の先端側をさらに押して板ばね部の突起が開口の縁に乗り上げた状態を示す断面図である。
【0090】
図20に示すように、光受信機1が壁面9に取り付けられた状態にて光ファイバー7bの一部を第1突出部21から外す際、上面側板ばね部28aの先端側を矢印28pで示すように取付面1B側に向けて指で押すことにより上面側板ばね部28aが撓む。上面側第3突出部289aの先端と略同じ位置まで上面側板ばね部28aが撓むと、指の腹の一部が上面側第3突出部289aの先端に当たり、指で上面側板ばね部28aの先端側をそれ以上押すことが難しくなる。その結果、上面側板ばね部28aの先端側を強く押しすぎることを抑制できる。
【0091】
なお、上面側板ばね部28aの突起283aの厚さの寸法T283は、上面側第3突出部289aの高さの寸法はH289より小さい。すなわち、上面側第3突出部289aの取付面1Bからの最大高さは、後述するように上面側板ばね部28aの突起283aが上面側開口285aの縁に乗り上げた状態における突起283aの取付面1Bからの最大高さより高い。そのため、指の腹の一部が上面側第3突出部289aの先端に当たった状態においては、上面側第3突出部289aの突起283aは上面側開口285aの縁に乗り上げていない。
【0092】
図21に示すように、上面側板ばね部28aの先端側を指でさらに押して上面側板ばね部28aを撓ませた場合、上面側板ばね部28aの突起283aが上面側開口285aの縁に乗り上げる。その結果、上面側板ばね部28aはそれ以上撓むことができなくなる。よって、上面側板ばね部28aの先端側を強く押しすぎることを確実に防止できる。
【0093】
光受信機1が壁面9に取り付けられた状態にて光ファイバー7bの一部を第1突出部21から外すことにより、光ファイバー7bの余分な部分の長さを再調節することが可能になる。このように、本実施形態に係る光受信機1においては、光受信機1を壁面9に取り付けた状態のまま、光ファイバー7bの余分な部分の長さを繰り返し調節できる。
【0094】
なお、本実施形態に係る光受信機1のケース3においては4つの付勢部を含んでいるが、付勢部の数はこれに限られず、少なくとも1つ以上であればよい。また、付勢部の構成は、板ばね部に限られず、たとえば、コイルばねに傾斜面部を有する傾斜部材が組み合わされていてもよい。さらに、必ずしも付勢部が設けられていなくてもよい。すなわち、ケース3の背面視にて第1突出部21の第1外周面が取付面1Bの外周より内側に位置していることにより、第1突出部21に光ファイバー7bの一部を巻き付け可能となり、光受信機1が壁面9に取り付けられた状態で光ファイバー7bの余分な部分の長さを調節できる。
【0095】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 光受信機、1A 正面、1B 取付面、2 光受信部、3 ケース、4 光中継用アダプタ、5 高周波出力端子、7 光配線、7a 光コネクタ、7b 光ファイバー、8 頭付ボルト、9 壁面、10 蓋、11 凹部、12 貫通孔、13,14,15,25,214a,214c 切欠、20 容器、21 第1突出部、22 第2突出部、26 ターゲット空間、27a,27b,27c 引出口、28a 上面側板ばね部、28b 底面側板ばね部、29a 隙間、29b 収容部、111 平坦面、112,113 湾曲面部、210a 第1左側突出部、210b 第1底側突出部、210c 第1右側突出部、211a,211b,211c 外周面、212a,212b,212c 内周面、213a,213b,213c 第1ファイバ抑え、221 第2外周面、222 第2内周面、223 第2ファイバ抑え、261 だるま穴、262 案内用突出部、263 延設部、264 ボルト用孔、281a,281b,282b 傾斜面部、283a,283b 突起、285a 上面側開口、285b 底面側開口、289a,289b 第3突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21