(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方面に被着体に対して貼付する粘着剤層を有するラベルが、複数枚、帯状の剥離シートにその連続方向に沿って配置されているとともに、各ラベルが前記剥離シートに対して前記粘着剤層を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシートの製造方法であって、
一方面に粘着剤層を有する帯状の連続ラベル基材と帯状の剥離シートとが前記粘着剤層を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシート基材を、連続ラベル基材と剥離シートとに一次的に分離する分離工程と、
分離した連続ラベル基材と剥離シートとを再貼合する再貼合工程と、
再貼合された連続ラベルシート基材に対して、流れ方向に粘着剤層に至るまで刃を入れて型抜きしてラベル部分を形成する型抜き工程と、
前記分離工程と再貼合工程との間において、剥離シートの、前記型抜き工程において型抜かれるラベル部分の連続ラベルシート連続方向側の少なくとも一方の縁部と対面する位置に対して、糊殺し剤を印刷する糊殺し剤付与工程と、有する、ことを特徴とする連続ラベルシートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
連続ラベルシートは、一方面に被着体に対して貼付する粘着面を有し、他方面に適宜の情報が印刷等により付与されたラベルが、帯状の剥離シート上にその連続方向に連続的又は間欠的に配されたものである。
【0003】
この連続ラベルシートは、一方面に粘着面を有する帯状の連続ラベル基材と帯状の剥離シートとが、前記粘着面を介して貼合されてなる連続ラベルシート基材に対して、その連続ラベル
シート基材の表出面に目的に応じた適宜の印刷を施した後、連続方向に間欠的に粘着剤層などの粘着面を構成する層にまでダイカット刃を入れて所望のラベル形状に型抜きし、さらに必要に応じてこの型抜きにより生じた不必要部分を剥き取るようにして製造されている。
【0004】
そして、このような連続ラベルシートは、製造後にロール状に巻き取って原反にする場合と、ラベル状に打ち抜かれた部分の間に形成されたミシン目線でジグザグに折り畳んで束状にする場合とがある。
【0005】
他方で、このような連続ラベルシートは、上記のロール状或いは束状とされた後に、オートラベラーとも称される自動ラベル貼付機にセットされ、帯状の剥離シートからラベルを順次、剥離して粘着面を介して次々と被着体に貼付していくようにして用いられる。
【0006】
そして、自動ラベル貼付機の中には自動エフ貼り機とも称される、ロール状の或いはジグザグ状に折り畳んだ束から順次、連続ラベルシートを繰出して、対象物にラベルを貼付していくしくみが、
図6に示すように、連続ラベルシート101の連続方向に
直交する縁150Eを有する延出部150に、連続ラベルシート101をその縁に鋭角に巻き掛けるようにして搬送させ、その縁150Eにおいて剥離シート120からラベル110の縁部110Eを浮かし、その浮いた部分の粘着面側を被着体に接触させてラベル貼付のきっかけを作るものがある。
【0007】
従来、このような自動ラベル貼付機においては、
図7に示すように、延出部150の縁150Eにおいて連続ラベルシート101からラベル110の縁部110Eが浮かずに、剥離シート120にラベル110が貼合されたまま縁150Eに巻き掛けられて下流に搬送され、一部の被着体に対して、ラベル110が貼付されないということがあった。
【0008】
連続ラベルシートにおいては、剥離シートからラベルの剥離を良好にすべく、例えば、下記特許文献1〜6に示されるように貼着面全体を構成する粘着剤の粘着力を調整するということが行なわれている。
【0009】
しかし、単に粘着剤の粘着力を調整しただけでは、特に上記自動エフ貼り機におけるラベル縁部の浮きが生じない事故を確実に防止することができていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の主たる課題は、連続ラベルシートにおいて、連続ラベルシートの連続方向に
直交する縁を有する延出部のその縁に連続ラベルシートを鋭角に巻き掛けるようにして搬送させることで、剥離シートからラベルの縁部を浮かして貼付のきっかけを作る自動ラベル貼付機に用いた際に、その縁部の浮きが確実に為されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決した本発明
及びその参考発明は次記のとおりである。
【0013】
〔
参考発明1〕
一方面に被着体に対して貼付するための粘着剤層を有するラベルが、複数枚、帯状の剥離シートにその連続方向に沿って配置されているとともに、各ラベルが前記剥離シートに対して前記粘着剤層を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシートであって、
前記粘着剤層における連続ラベルシートの連続方向側の少なくとも一方の縁部が、糊殺し処理され、その縁部と剥離シートとの剥離強度が、粘着剤層の他の部分よりも弱められている、ことを特徴とする連続ラベルシート。
【0014】
〔
参考発明2〕
剥離強度が弱められている縁部が、ラベルの縁から20mm以下の範囲とされている
上記参考発明1に係る連続ラベルシート。
【0015】
〔参考発明3〕
ラベル間に、連続ラベルシートの連続方向に
直交する方向に延在する折り線が形成され、その折り線によってジグザグ状に折畳み可能とされている
上記参考発明1又は参考発明2に係る連続ラベルシート。
【0016】
〔
参考発明4〕
糊殺し処理が、糊殺し剤を、連続ラベルシートの連続方向に対して非平行な線を交差させてなる格子状パターンに設けたことによって行なわれている
上記参考発明1〜参考発明3の何れかに係る連続ラベルシート。
【0017】
〔
参考発明5〕
糊殺し処理が、糊殺し剤を、連続ラベルシートの連続方向に対して平行な線を連続ラベルシートの幅方向に複数並列させたパターンに設けたことによって行なわれている
上記参考発明1〜参考発明3の何れかに係る連続ラベルシート。
【0018】
〔請求項
1記載の発明〕
一方面に被着体に対して貼付する粘着剤層を有するラベルが、複数枚、帯状の剥離シートにその連続方向に沿って配置されているとともに、各ラベルが前記剥離シートに対して前記粘着剤層を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシートの製造方法であって、
一方面に粘着剤層を有する帯状の連続ラベル基材と帯状の剥離シートとが前記粘着剤層を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシート基材を、連続ラベル基材と剥離シートとに一次的に分離する分離工程と、
分離した連続ラベル基材と剥離シートとを再貼合する再貼合工程と、
再貼合された連続ラベルシート基材に対して、流れ方向に粘着剤層に至るまで刃を入れて型抜きしてラベル部分を形成する型抜き工程と、
前記分離工程と再貼合工程との間において、剥離シートの、前記型抜き工程において型抜かれるラベル部分の連続ラベルシート連続方向側の少なくとも一方の縁部と対面する位置に対して、糊殺し剤を印刷する糊殺し剤付与工程と、有する、ことを特徴とする連続ラベルシートの製造方法。
【0019】
〔請求項
2記載の発明〕
糊殺し剤を、剥離シートの連続方向に対して非平行な線を交差させてなる格子状パターンに印刷する請求項
1記載の連続ラベルシートの製造方法。
【0020】
〔請求項
3記載の発明〕
糊殺し剤を、剥離シートの連続方向に対して平行な線を剥離シートの幅方向に複数並列させたパターンに印刷する請求項
1記載の連続ラベルシートの製造方法。
【0021】
〔
参考発明6〕
連続ラベルシートの連続方向に
直交する縁を有する延在部に、連続ラベルシートをその縁に鋭角に巻き掛けるようにして搬送させ、その縁において剥離シートからラベルの縁部を浮かし、その浮いた部分を対象物に接触させて貼付のきっかけを作るしくみを有する自動ラベル貼付機によって、
上記参考発明1〜5の何れかの連続ラベルシートから、ラベルを剥離して被着体にラベルを貼付することを特徴とする連続ラベルシートからラベルを剥離して被着体に貼付する方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、連続ラベルシートにおいて、連続ラベルシートの連続方向に
直交する縁を有する延在部のその縁に連続ラベルシートを鋭角に巻き掛けるようにして搬送させることで、剥離シートからラベルの縁部を浮かして貼付のきっかけを作る自動ラベル貼付機に用いた際に、
その縁部が極めて浮きやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次いで、本発明の実施形態を
図1〜
図6を参照しながら以下に詳述する。
【0025】
「連続ラベルシート」
本形態の連続ラベルシート1は、
図1〜
図2に示すように、シート材11の一方面に被着体に対して貼付するための粘着剤層12が設けられているラベル10が、複数、帯状の剥離シート20にその連続方向に沿って間隔を空けて間欠的に配置され、それらのラベル10,10…が剥離シート20に対して粘着剤層12を介して剥離可能に貼合されている。
【0026】
この本実施形態の連続ラベルシート1は、
図6にも示した、連続ラベルシート1の連続方向に
直交する縁150Eを有する延出部150のその縁150Eに連続ラベルシート1を鋭角に巻き掛けるようにして搬送させることで、剥離シート20からラベル10の縁部10Eを浮かして貼付のきっかけを作る自動ラベル貼付機(以下、オートラベラーと称する)に用いる。
【0027】
このオートラベラーにおける連続ラベルシート1の搬送方式は特に限定されないが、図示の形態では、連続ラベルシート1の幅方向の縁部に連続方向に沿ってマージナル孔1xと称される紙送り用の孔を有しており、所謂連続帳票タイプの搬送方式に対応できるものとなっている。但し、本発明の連続ラベルシート1を用いる、オートラベラーにおける搬送方式は、特に限定されるものではなく、したがって、本発明の連続ラベルシート1は、マージナル孔1xを有さない形態など、既知のオートラベラーの搬送方式にしたがった適宜の構成を採ることができる。
【0028】
また、連続ラベルシート1におけるラベル10は、その表出面すなわち剥離シート20との貼合面と反対面に、目的に応じた適宜の印刷が施され、その目的に応じて使用されるものである。本発明は、ラベルの具体的な使用方法までは限定されない。したがって、印刷についても限定されない。図示の形態のラベル10は、一例として、配送品の送付先を記入する宛先欄、受領票とするための受領票欄が予め印刷され、被着体への貼付に先立って、その予め印刷された宛先欄に対して適宜の必要な情報を記入して用いる、配送伝票の例を示している。ラベル10の表出面に対する印刷や情報の記入は、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、ノンインパクト方式、電子写真方式等の既知の印刷技術により行なうことができる。
【0029】
他方、本実施形態に係るラベル10は、連続ラベルシート1の連続方向に
直交する方向に延在する縁10eを有する形状とされている。好ましい形状は、四角形、角取り四角形等の矩形である。図示の形態の連続ラベルシートは、矩形をなすラベルが、一辺を連続ラベルシート1の連続方向に
直交するようにして、配列されているものとなっている。
【0030】
ここで、本実地形態の連続ラベルシート1では、特徴的に、そのラベル10の前記粘着剤層12が、連続ラベルシート1の連続方向側の少なくとも一方の縁部10Eが糊殺し処理されており、その縁部10Eと剥離シート20との剥離強度が、粘着剤層20の他の部分よりも弱められている。
【0031】
この縁部10Eは、より具体的には、上記オートラベラーで使用する際における搬送方向の進行方向側となる側の縁部10Eであり、このように当該縁部10Eを糊殺し処理して、粘着剤層12の他の部分よりも剥離強度を弱めおくことで、オートラベラーの延出部150の縁150Eに連続ラベルシート1を鋭角に巻き掛けるようにして搬送させた際に、剥離シート20からラベル10の縁部10Eが確実に浮くようになる。
【0032】
本実施形態における連続ラベルシート1においては、上記剥離強度が弱められている縁部10Eは、ラベル10の縁10eから20mm以下の範囲とするのが望ましい。一般的なオートラベラーであれば、20mmも糊殺し処理された部分があれば、十分に縁部10Eの浮きを発生させることができる。なお、より好ましくは5〜20mm、特に好ましくは8〜17mmである。5mmより短いと浮きが発生し難くなるおそれがあり、20mmよりも大きいと、却って、被着体への粘着力が弱い部分が広くなるため好ましくない。
【0033】
ここで、糊殺し処理については、粘着剤層12の当該縁部10Eに糊殺し剤を付与して剥離強度を低下させることによって行なうことができる。この糊殺し剤の付与パターンについては、ベタ塗りや網点塗りなど全体的に糊殺し剤を付与してもよいが、このようにすると、剥離強度を低下させる目的は達成できるものの、ラベル10を被着体に対して貼付した後に、当該縁部10Eが被着体に対して貼付されない或いは過度に剥離強度が低下してしまうため、被着体からの意図しない剥離のきっかけとなるおそれがある。
【0034】
そこで、糊殺し剤を付与形態としては、特に
図3及び
図4に示すパターンで粘着剤層12の当該縁部10Eに糊殺し剤を印刷等によりパターン付与することにより行なうのが望ましい。このようにすると、縁部10Eの浮きが好適に発生し、かつ、被着体に貼付した際の適切な粘着力に調整することが容易に行える。
【0035】
より具体的には、
図3に示す形態の糊殺し処理は、糊殺し剤を、連続ラベルシート1の連続方向に対して非平行な線を交差させてなる格子状パターンに設けて行なうようにしている(図中、糊殺し剤が付与された部分を符号14で示す、
図4においても同様)。このようにすると、連続ラベルシート1の進行方向に対して、糊殺し剤が斜線に配された格子状パタンーンとなるため、縁部10Eが縁10eから剥がれて浮きやすくなるとともに、被着体に貼合する際には適切な粘着力に調整することができる。このように糊殺し剤を付与する場合には、特に、その線幅L1を0.30〜2.00mm、より好適には0.40〜1.00mmとするのがよい。0.30mm未満であるとこのような細さで糊殺し剤の付与するのが困難であり、2.00mmを超えると、剥離シート20に対する剥離強度を小さくできるが、糊殺し部分が過度に多くなり、被着体に貼合した際に、適切な粘着力に調整することが難しくなる。
【0036】
また、斜線の連続ラベルシート1の連続方向に対する角度α、換言すれば連続ラベルシート1をオートラベラーで搬送させる際の進行方向に対する角度が50°以下、より好適には30°とするのがよい。この格子状パターンでは、連続ラベルシート1の搬送によって、縁10eから糊殺し剤が付与されている斜線部分に沿って縁部10Eの浮きが誘発されるようになる。50°よりも角度を大きくするとラベル10の縁10eから連続ラベルシート1の進行方向後方に向かって糊殺し剤の付与された斜線に沿って浮きが効果的に誘発されないおそれが高まる。
【0037】
さらに、格子状パタンーンとする場合には、連続ラベルシートの連続方向に
直交する幅方向の単位長さあたりの斜線の本数を、長さ50mmに対して5〜30本、より好適には8〜25本とするのがよい。5本より少ないと、剥離強度を小さくする効果が薄れ、30本より多いと、被着体への適切な粘着力に調整することが困難となる。
【0038】
他方、
図4に示す形態の糊殺し処理は、糊殺し剤を、連続ラベルシートの連続方向に対して平行な線を連続ラベルシート1の連続方向に
直交する幅方向に複数並列させたパターンに設けて行なうようにしている。このようにすると、連続ラベルシート1の進行方向に対して、糊殺し剤が直線的に配されたパタンーンとなるため、縁部10Eが縁10eから剥がれて浮きやすくなるとともに、被着体に貼合する際には適切な粘着力に調整することができる。このように糊殺し剤を付与する場合においても、上記格子状パターンと同様に、線幅L1は、0.30〜2.00mm、より好適には0.40〜1.00mmとするのがよい。0.30mm未満であるとこのような細さで糊殺し剤の付与するのが困難であり、2.00mmを超えると、剥離シートに対する剥離強度を小さくできるが、糊殺し部分が過度に多くなり、被着体に貼合した際に、適切な粘着力に調整することが難しくなる。
【0039】
また、
図4に示す直線パターンとする場合には、単位長さあたりの斜線の本数としては、幅50mmに対して8〜20本、より好適には8〜25本である。5本より少ないと、剥離強度を小さくする効果が薄れ、30本より多いと、被着体への適切な粘着力に調整することが困難となる。さらに、
図4に示すように、直線パターンとする場合には、糊殺し剤による各線の特にラベル縁側近傍を、ラベル縁10eに向かって先細U字型となるようにするのがよい。このようにするとラベル縁10eの極近傍における剥離強度が極めて低下し、縁部の浮きが良好に発生するようになる。
【0040】
なお、本発明に係る糊殺し処理は、
図3及び
図4に示す糊殺し剤の付与パターンに限定されないが、糊殺し剤を進行方向に対して垂直(水平方向)に沿う線を複数に配列した場合には、剥離強度の小さい部分と大きい部分とが交互に発生し、しかもその強弱の差が過度になって、縁部の浮きが良好に発生しない場合がある。
【0041】
他方、本実施形態に係る図示の連続ラベルシート1は、その連続方向に並ぶラベル10,10…の間に、ラベル以外の部分が抜き取られて剥離シート20のみが存在しているものとなっており、いわゆるカス取り処理がなされたものとなっている。本発明の連続ラベルシート1は、必ずしもこのようなカス取り処理がされているものに限定されないが、本発明の効果は、特に、図示例のようなカス取り処理がされている連続ラベルシート1においてより顕著となる。
【0042】
また、図示の形態の連続ラベルシート1は、各ラベル10,10…の間において剥離シート20にその剥離シート20の連続方向に
直交するようにして折り線となるミシン目線15が配されており、このミシン目線15によってジグザグに折畳み束とできるようになっている。この形態の連続ラベルシート1は、折り畳んだ際に、剥離シート20とラベル10との平面貼合状態が維持されるため、オートラベラーにセットする前段階等においてラベル10の縁部10Eが剥離シート20から意図せず浮きがたい。したがって、本発明では、係る形態とするのが望ましい。この点について、より詳細に説明すると、例えば、ミシン目線のないロール状に巻きとる形態の連続ラベルシートであると、ロール状にした際に、意図せず縁部が浮いてしまうおそれがあるが、ジグザグ折りとできるものであれば、このような意図しない縁部の浮きが発生し難い。
【0043】
他方で、本実施形態に係る連続ラベルシート1のラベル10は、適宜のシート材11の一方面に粘着剤層12が設けられたものであるが、そのシート材11としては、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙等のラベルに用いられる既知のシート材とすることができる。
【0044】
粘着剤層12を形成するための粘着剤としては、ホットメルト粘着剤、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の既知の粘着剤を用いることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る連続ラベルシート1の剥離シート20は、上記ラベルに用いるシート材と同様のシート材に対して、ラベルの粘着剤層に対面する面に、予めシリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の既知の離型剤を層状、薄膜状、網目状に適宜、印刷或いは含浸するようにする既知の離型処理を施して形成することができる。なお、ここでの離型処理は、ラベルを剥離シートから剥離した際にラベルの粘着面に離型剤が採られない態様のものである。
【0046】
なお、本発明においてはラベルの粘着剤層及び糊殺し処理された縁部の具体的な剥離強度は限定されない。オートラベラーでの搬送速度、ラベルの大きさ、さらに被着体表面の性状などとの関係で適宜の剥離強度に調整すればよい。好ましい例を示せば、ラベル縁部の剥離強度が他の部分に比して15%程度低下させるようにするのが望ましい。
【0047】
「連続ラベルシートの製造方法」
次いで、本実施形態の連続ラベルシート1の製造方法を、上記連続ラベルシート1の実施形態の説明及び
図1〜6、特に
図5を適宜参照しながら説明していく。
【0048】
本実施形態の連続ラベルシート1の製造方法は、一方面に粘着剤層12を有する帯状の連続ラベル基材10Aと帯状の剥離シート20とが前記粘着剤層12を介して剥離可能に貼合されている連続ラベルシート基材1Aをロール状に巻き取るなどした原反ロールR等から、前記連続ラベルシート基材1Aを繰出し、その繰出された連続ラベルシート基材1Aに対して、流れ方向に間欠的に粘着剤層12に至るまでダイカット刃を入れてラベル形状にハーフカット線で型抜きしてラベル部分10を形成していく態様を基本の流れとする(
図5中、型抜き工程を符号80で示す)。
【0049】
図示の形態では、ラベル10の型抜き後にその型抜きによって生じた不要部分、いわゆるカス部分を剥離シートから剥離して除去するカス取り処理工程を行なっている(
図5中、カス取り処理工程を符号90で示す)。このカス取り処理工程は、本発明では必須ではないが、上述のとおりカス取り処理を行なった連続ラベルシート1のほうがオートラベラーに使用した際に、ラベル10の縁部10Eが浮きやすくなるので、カス取り処理を行なうほうが望ましい。
【0050】
本実施形態に係る連続ラベルシート1の製造方法においては、型抜くラベルの形状は、必ずしも限定されないが、上記連続ラベルシート1の欄における説明からも理解されるとおり、少なくとも連続ラベルシート1の連続方向に
直交する方向に延在する縁10eを有する形状とされる。好ましくは、四角形、角取り四角形などの矩形をなすものとするのがよい。
【0051】
なお、連続ラベル基材10Aは、剥離シート20と同様に帯状をなす、ラベル10の型抜きを行なう前のものである。連続ラベル基材10Aの、シート材は上記ラベル10と同様であり、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙等のラベルに用いられる既知のシート材で構成される。粘着剤層を構成する粘着剤の物性や連続ラベルシート基材における剥離シートの構成なども、上記連続ラベルシートと同様の構成である。
【0052】
そして、本実施形態の連続ラベルシート1の製造方法は、特徴的に、上記の連続ラベルシート基材1Aに対して、流れ方向に間欠的に粘着剤層12に至るまでダイカット刃を入れてラベル形状に型抜く型抜き工程80に先だって、以下の分離工程50、糊殺し剤付与工程60及び再貼合工程70と、をこの順に行なう。
【0053】
分離工程50は、原反ロールR等から繰出された連続ラベルシート基材1Aを、連続ラベル基材10Aと剥離シート20とに一次的に分離する工程である。この時、連続ラベル基材10A側に粘着剤層12が取られ、剥離シート20の離型処理面が露出される。剥離は、ロールバーなどによって連続ラベル基材10Aと剥離シート20の搬送経路を分離することで行なうことができる。
【0054】
糊殺し剤付与工程60は、その分離された剥離シート20の離型処理面に対して、前記型抜き工程90において型抜かれるラベル部分10の連続ラベルシート基材1Aの連続方向側の少なくとも一方の縁部10Eと対面する位置に、適宜のパターンで糊殺し剤を印刷する工程である。糊殺し剤の印刷は凸印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式など公知の印刷方式により行なうことができる。このとき剥離シートは、既に離型処理がされているため、糊殺し剤を印刷しても、その糊殺し剤が剥離シートに対して強固に固着されることはない。本実施例では剥離シート20に糊殺し剤を印刷しているが、連続ラベル基材10Aの粘着剤層12に直接糊殺し剤を印刷してもよい。糊殺し剤としては、連続ラベル基材10Aの粘着剤層12に応じた適宜のものを用いることができシリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等が例示できる。
【0055】
糊殺し剤の印刷パターンとしては、連続ラベルシートの欄で説明した
図3及び
図4に示すパターンとするのが望ましい。すなわち、糊殺し剤を、剥離シート20の連続方向に対して非平行な線を交差させてなる格子状パターンに印刷する。または、糊殺し剤を、剥離シート20の連続方向に対して平行な線を剥離シート20の連続方向に
直交する幅方向に複数並列させたパターンに印刷する。線幅は線の角度などの詳細は、上記連続ラベルシートの欄で説明した通りである。
【0056】
再貼合工程70は、一時的に分離した連続ラベル基材10Aと、所定の位置に糊殺し剤が付与された剥離シート20とを再貼合する工程である。再貼合は、分離工程で分離された連続ラベル基材10Aと剥離シート20とを一対のロールバー間にて、その連続方向に搬送しつつ再積層するなどして行なうことができる。ここで、この再貼合された後の連続ラベルシート基材10Aは、上記のとおり剥離シート20の離型処理面に印刷した糊殺し剤が、剥離シート20に対して強固に固着されていないため再貼合後の連続ラベルシート基材1Aから連続ラベル基材10Aを剥離した際には、前記糊殺し剤が、印刷パターンのまま連続ラベル基材10Aの粘着剤層面に取られる。そして、その前記粘着剤層12の当該部分の粘着力が低下される。
【0057】
そして、上記のとおりこの再貼合工程70の後、その糊殺し剤付与部分がラベル10の縁部10Eとなるようにして、型抜き工程80で型抜きを行い、上述の本実施形態の連続ラベルシート1が製造される。
【0058】
糊殺し印刷を行なった部分が型抜き工程80におけるラベル10の縁部10Eとなるようにするには、糊殺し剤の印刷位置、ダイカット刃による型抜きの位置、さらに連続ラベル基材10Aや剥離シート20の搬送速度を適宜連動させて調整させるようにすればよい。
【0059】
また、本実施形態に係る連続ラベルシート1の製造方法においては、ラベル10の粘着剤層12と反対の面に対するラベル10の使用目的に応じた印刷や情報の記入を行うことができる(
図5中、この印刷・情報記入工程は符号40で示す)。このラベル10の印刷や情報の記入は、原反ロールRから連続ラベルシート基材1Aを繰り出した後、分離工程50で連続ラベル基材10Aと剥離シート20に分離する前、又は、再貼合工程70で連続ラベル基材10Aと剥離シート20とを再貼合した後、ダイカット刃による型抜き工程80を行なう前の何れかで行なうのが望ましい。剥離シート20から分離された、一方面に粘着剤層が露出する状態で連続ラベル基材10Aへの印刷は難しく、また、ダイカット刃による型抜き工程80の後であると印刷時に刷版ロールに型抜きされたラベルが取られてしまうおそれがある。
【0060】
なお、ラベル10の目的に応じた印刷は、連続ラベルシート基材1Aを製造する段階で行なってもよい。すなわち、原反ロールRから繰出す連続ラベルシート基材1Aが、すでにラベル印刷されたものとしてもよい。さらには、ラベルが、
図1に示すような配送伝票のようなものである場合には、ラベル印刷は、連続ラベルシート基材を製造する段階で行なっておき、そこの記入する情報のみを本実施形態に係る連続ラベルシート1の製造方法の工程内で行なうようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る連続ラベルシート1の製造方法においては、連続ラベルシート1を折り線でジグザグ折りして束にできるように、連続ラベルシート1の連続方向に
直交する幅方向に沿って折り線となるミシン目線を形成する工程を行なっても良い。このミシン目線形成工程75は、
図5に示すように、再貼合工程70の後、型抜き工程80を行なう前に行なうのが望ましい。分離工程50の前段で行なうと、一次的な連続ラベル基材10Aと剥離シート20との分離の再或いはその後にミシン目線で分断するおそれがある。また、再貼合の際に剥離シートのミシン目線と連続ラベル基材のミシン目線を一致させることが困難である。ミシン目線形成工程75は、既知のミシン目線形成技術にしたがった行なうことができる。
【0062】
「連続ラベルシートの使用方法」
次いで、本実施形態に係る連続ラベルシート1の使用方法について、特に
図6を参照しながら説明する。なお、
図6中においては本実施形態の連続ラベルシートを表す場合には、従来の連続ラベルシートと区別するため、従来の連続ラベルシートと対応する部分については符号を括弧書きとしている。
【0063】
本実施形態に係る連続ラベルシート1の使用方法は、まず、ロール状に巻いた状態又は好ましくミシン目線でジグザグ折りして束としたものとして、その状態でオートラベラーにセットする。
【0064】
用いるオートラベラーは、背景技術の欄でも示した、
図6にも示す、自動エフ貼り機とも称される、連続ラベルシート1を繰出して、被着体にラベル10を順次貼付していくしくみが、連続ラベルシート1の連続方向に
直交する縁150Eを有する延出部150に、連続ラベルシート1をその縁150Eに鋭角に巻き掛けるようにして搬送させ、その縁150Eにおいて剥離シート20からラベル10の縁部10Eを浮かし、その浮いた部分を被着体に接触させて貼付のきっかけを作るものである。
【0065】
本実施形態に係る使用方法では、その延出部150において糊殺し処理された縁部10Eを浮かして、被着体に部分的に貼付する。この部分的な貼付の後に被着体を移動させて、当該縁部以外の部分をも貼付するようにして、ラベル10全体を剥離シート20から剥離して被着体に貼付する。
【0066】
ここで、本実施形態の連続ラベルシート1の使用方法に関しては、特に、オートラベラーに上述の連続ラベルシート1の製造工程を組み込みことができる。すなわち、連続ラベルシート基材1Aから連続ラベルシート1を製造した後、これを一旦ロール状或いは束にすることなく、オートラベラーの延出部150まで移動させてそのままラベル10を被着体に貼付するようにすることができる。
【0067】
(試験例)
次いで、本発明の効果を確認するための試験を行なった試験例について説明する。
【0068】
試験は、本発明に従って縁から10mmの縁部を
図4のパターンで糊殺し処理したラベルシート(実施例)と糊殺し処理していないラベルシート(比較例)とについて、その縁から剥離した際の剥離強度を測定した。剥離速度は、上述の自動エフ貼り機とも称されるオートラベラーの搬送速度が60m/min前後であることから、60m/minとした。
【0069】
ラベルシートの大きさは、剥離シートとラベルとの大きさ同一とされた300mm×300mmのものとした。測定は3枚の試料を測定した。
【0070】
結果は、下記表1のとおりである。なお、表中の剥離強度の単位は、g/50mmである。
【0072】
表1に示されるとおり、本発明に係る構造のラベルシート(実施例)の剥離強度は、糊殺し処理されていないもの(比較例)と比較して、剥離強度が低下している。それのみならず、3枚の試料の剥離強度の平均平方を見てみると、本発明に係る構造のラベルシートの剥離強度はバラツキがなく安定している。すなわち、本発明に係る構造のラベルシートとすることにより、ラベル縁部の浮きが安定して発生するということが理解される。
【0073】
なお、自動エフ貼り機では想定されない低速(30m/min)で測定した際には、本発明のラベルシート構造であっても安定した浮きが発生し難く、糊殺し処理されていないものとの大きな差はなかった。
【0074】
このことから、本発明のラベルシートの構造は、特に、連続ラベルシートの連続方向に
直交する縁を有する延出部に、連続ラベルシートをその縁に鋭角に巻き掛けるようにして搬送させ、その縁において剥離シートからラベルの縁部を浮かし、その浮いた部分の粘着面側を被着体に接触させてラベル貼付のきっかけを作る種のオートラベラーにおいて特にその効果を奏する。