(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352004
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】懸濁液又は溶液における粒子の質量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 5/02 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
G01N5/02 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-46413(P2014-46413)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2014-179320(P2014-179320A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】1352154
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506423291
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】エンツ セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マッセロン クリストフ
【審査官】
伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−162519(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0022853(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/060369(WO,A1)
【文献】
米国特許第9506852(US,B2)
【文献】
欧州特許出願公開第2779209(EP,A1)
【文献】
仏国特許発明第3003083(FR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体における懸濁液又は溶液内での少なくとも一つの粒子の質量を検出する装置であり、
前記装置は:
前記少なくとも一つの粒子を少なくとも含むフラックスを得るために、前記液体(4)を噴霧化する第1の装置(2)、
前記フラックスを受ける入口(24)及び放出口(10、32)を含み、前記フラックスをガイドし、空気力学的に集束させる第2の装置(6−22、40−42、44−52、22−32)、
前記少なくとも一つの粒子を受けるために、前記第2の装置の前記放出口に対向して配置された少なくとも一つの重量検出器(14)を含み、周波数測定によって前記少なくとも一つの粒子の質量を測定する第3の装置(12)、
前記第1の装置(2)を含む、所定の圧力のゾーン(16)、及び、
前記ゾーン(16)に連絡し、前記第2の装置の少なくとも一部分を含み、前記ゾーンの圧力よりも低い第1の圧力であるように提供される少なくとも一つの第1真空筐体(18)、
を備える。
【請求項2】
前記第2の装置(6−22、40−42、44−52、22−32)は、電気的に中性であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の装置は、エアロダイナミックレンズ(6、40、44)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記エアロダイナミックレンズは、前記放出口で開口部(42)に結合されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の装置は、前記第1真空筐体(18)と連絡する前記ゾーンを配置するために、前記ゾーン(16)における入口開口部(24)と、前記第1真空筐体(18)における出口開口部(26)とを有するキャピラリー管(22)をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の装置は、前記キャピラリー管(22)の前記入口(24)及び/又は出口開口部(26)に対向するエアロダイナミックレンズ(6)を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
任意で前記第1の圧力より低い第2の圧力であるように提供され、前記第3の装置(12)を含み、前記重量検出器(14)に対向する第1の開口部(32)を通じて前記第1真空筐体(18)に連絡する第2真空筐体(28)をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記重量検出器(14)は、ナノ電気機械システム、マイクロ電気機械システム、水晶振動子マイクロバランス、弾性表面波共鳴器、バルク超音波共鳴器、及び衝撃検出器から選択されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の装置(2)は、超音波ネブライザー、マイクロ波誘導噴霧装置、マイクロキャピラリーアレイネブライザー、及び弾性表面波ネブライザーから選択されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体における懸濁液又は溶液内での粒子の質量測定装置に関するものであり、特に、それは、中性の又はイオン化された種(species)の質量分析に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来の質量分析(MS)は、汎用の化学又は生物学的分析ツールであり、4つの必須の部品;インジェクションシステム(injection system)、イオン源(ionization source)、質量分析器及びイオン探知器に基づく。これらの構成要素は、真空をつくるためのポンプを備えた筐体内に配置される。
【0003】
質量分析測定の結果は、混合物における種の質量/電荷の関数としての種のタイプの存在度を反映するスペクトルである。スペクトルの各ピークは、1価又は多価イオン(a mono-charged or multi-charged ion)の特徴であり;そして、種の同定は、予め準備されたデータバンクによって成し遂げられる。
【0004】
述べられた技術は、現在多数のアプリケーションの基準となっている。しかしながら、それにはいくつかの欠点がある:
−この技術は、実行が比較的長く、そして、感度があまり高くない:多くの生物学的材料が測定を行うのに必要である;
−市販の質量分析装置は、全て極度に大きい:それらは数立方メートルのオーダーの体積を占める;そして、それらは高価である:それらは数十万ユーロのコストがかかる;そして、−この技術は、一般的に100kDa(1.66×10
−22kg)(測定解像度が完全に不十分になる質量)を超える重要な質量を測定することが可能ではない。
【0005】
この後者の欠点は、主に重粒子を十分に加速することの難しさに起因しており、そして、イオン探知器に到達できるように充分なエネルギーを与える。しかしながら、生物医学医分野において基本的な重要性を有していることから、質量が100kDa(1.66×10
−22kg)を超える粒子を測定することを可能にすることは重要である:それらは、例えば、ウイルス、バクテリア、オルガネラ、タンパク質複合体または細胞であってもよい。
【0006】
NEMS(即ち、ナノエレクトロメカニズムシステム(nano-electro-mechanical systems))を使用する質量を検出する別の技術も提案されている。そして、共鳴装置をベースにするNEMSは、検出限界がQCM、即ち、市販の水晶振動子マイクロバランスを下回る10
12回となるように作られている。この点において、以下の文献を参照することができる。:
K. L. Ekinci、X. M. H.Huang及びM. L. Roukes、2004、「Ultrasensitive nanoelectromechanical mass detection」、Applied Physics Letters 84(22):4469. doi:10.1063/1.1755417
Michae L. Roukes及びKamil L. Ekinci、2004、「Apparatus and method for ultrasensitive nanoelectromechanical mass detection」US 6 722 200
【0007】
このような
NEMSベースの共鳴装置の原理は、後に説明される。
【0008】
質量m
pの粒子は、NEMS(剛性がk、有効質量m)に沈殿して、その総質量を増加させる。装置の新しい共振周波数は、次に等しい:
【数1】
周波数応答ピーク(開ループ)は、質量m
pの堆積の前後で、Δfの量だけシフトする。これは、
【数2】
とほとんど異ならない。
装置が閉ループで使用される場合、共振周波数は、電気変換手段及びループ閉塞手段を利用してリアルタイムでモニターされることができる。
【0009】
このように、共鳴しているNEMSへの吸着の間、検体の個々の粒子又はそのような粒子のグループは、NEMSの共振周波数を激減させる。そして、粒子又は粒子のグループの質量は、周波数ジャンプΔfの測定から推定されることができる。
【0010】
前記周波数ジャンプΔfは、粒子又は粒子のグループの質量に依存する(上記のΔfの値を参照)。しかし、それはまた粒子又は粒子のグループがNEMSの表面に定着した位置に依存する。NEMS上への粒子の吸着位置が正確に決められない場合−そして、これは最もよくあるケースである−、単独の周波数ジャンプ情報は充分ではない。頼み(recourse)はそれから統計的アプローチを参照することができ、それは:
−各イベントが、周波数ジャンプと関連している、一つの粒子又は粒子のセットの出現に対応している、多数のイベントを測定すること、及び
−NEMSの表面の位置の等確率性を仮定すること、である。
【0011】
この点において、以下の文献を参照することができる。:
A.K. Naik、M. S. Hanay、W. K. Hiebert、X. L. Feng及びM. L. Roukes、2009、「Towards single-molecule nanomechanical mass spectrometry」、Nature Nanotechnology 4:445-450. doi:10.1038/NNANO.2009.152
【0012】
別の解決策は、同一のNEMSの2つ又は多数のモードの周波数をリアルタイムで測定することにある。情報のいくつかは、それによって利用できる。この点において、以下の文献を参照することができる。:
S. Dohn、W. Svendsen、A. Boisen及びO. Hansen、2007、「Mass and position determination of attached particles on cantilever based mass sensors」、Review of Scientific Instruments 78: 103303. doi:10.1063/1.2804074.
【0013】
このNEMS手段による質量測定は、質量分析を行うためにそれらを使用することにつながっておりて、それはNEMS−MSとして知られている。この技術において、混合物に存在する全ての粒子の質量の分布が測定され、そして、測定するために、それらはNEMSの表面上に次々と送られる。これは、個々の粒子のレベルで、生物学的質量分析を可能にして、以下の利点を得る:
−半導体ウエハ上で大量に、且つ一括に製造されることが可能なNEMSの可積分性により、NEMS−MSは、測定を非常に速くする、非常に並列化できる(parallelisable)技術であり;そして、携帯でき、且つ安価なNEMS−MS装置の製造を構想することが可能になる;
−重量測定のNEMSを使用している質量の検出は、イオン及び中性の粒子の両方に影響を受け;測定効率は、それによって数桁改善される;そして、
−重量検出は、全測定範囲にわたって一定である質量分解能を提供して、従来技術とは異なり、高い質量(high masses)で、優れた分解能を提供する。
【0014】
既に挙げられているA.K. Naik et al.の論文の
図1は、既知のNEMS−MSシステムを示しており、その構造は従来の質量分析器と類似している:液相の生物学的粒子が注入され、そして、真空下で、正確には10
−5mTorr(10
−6Pa)オーダーの圧力のもとで、NEMSにできるだけ効率的に伝達される。
【0015】
そうするために、市販の構成要素が使用される:、インジェクション源(injection source)はESI、即ち、分析される種を霧状にして、イオン化するエレクトロスプレーイオン化を利用する。後者は、いくつかの差動排気とイオン・ガイダンス段階(ヘキサポールを使用する)を通過する。そして、最終的にNEMSゾーンに到着する。
【0016】
そのような既知のシステムは、NEMS−MS技術によってもたらされる利点の全ての最適使用を可能にするというわけではないさまざまな欠点がある:
−この既知のシステムにおいて、インジェクション源とNEMSとは、差動排気を可能にするために、互いに非常に遠く離れており;インジェクション源とNEMSとの間に種の相当な損失が起こる;
−この離れた距離は、種をNEMSへ強制的にガイドする;そして、このシステムでは、イオン化された種だけがガイドされ;中性の粒子は、システム内で失われる;そして
−そのような離れた距離で、イオンビームを数平方ミリメートル未満の表面積に集中させることは、非常に難しい;したがって、粒子のうちの非常に低い割合の一部の粒子が実際にNEMSに沈殿し、それの表面積は概して数平方マイクロメートルのオーダーである。
【0017】
これらの欠点の全ては、この既知のシステムを非常に非効率的にして、NEMS−MSの利点から利益を完全に得ることを可能にしない。特に、中性の及び/又は同様にイオン化された種を専門とするシステムに使用において潜在的な利点を見ることができる。実際に、一般に重い種、特にNEMS−MSによってターゲットにされる種類(オルガネラ、ウイルス、バクテリア、タンパク質複合体など)のイオン光学(そして、電磁場の手段)による伝達は、非常に難しい。正しい効率でこれらの重い粒子を伝達するために、それらを変性させる効果があって、もはやそれらの天然の状態でそれらを測定することを可能にしない高電荷の状態にすることが必要である。
【0018】
NEMSを使用している共鳴装置は、以下の文献を通しても知られている:
S. HentzのWO 2012/034949、S. Hentz et al. のWO 2012/034951、S. HentzのWO 2012/034990である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、中性及び/又はイオン化された種を注入する装置、ガイダンス装置及びNEMS型検出器を結合することにより、上述した既知のNEMS−MSシステムの欠点を解決し、これらさまざまな構成要素全体が近接していることが好ましい。
【0020】
正確には、本発明の主題は、液体における懸濁液又は溶液内での少なくとも一つの粒子の質量を検出する装置であり:
−前記少なくとも一つの粒子を少なくとも含むフラックス(flux)を得るために、液体を噴霧化する第1の装置、
−前記フラックスを受ける入口及び放出口を含み、前記フラックスをガイドし、空気力学的に集束させる(aerodynamic focusing)第2の装置、及び、
−前記少なくとも一つの粒子を受けるために、前記第2の装置の前記放出口に対向して配置された少なくとも一つの重量検出器を含み、周波数測定によって前記少なくとも一つの粒子の質量を測定する第3の装置、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の主題である装置は、使用されるフラックスの流量と分析される粒子を含む検体のタイプに応じて、懸濁液又は溶液での、各粒子又は粒子のセットの質量を測定することを可能にする。「粒子」は、個々の粒子又は粒子の集合を意味することは明らかである。
【0022】
本発明の主題である装置の特定の実施形態によれば、前記第2の装置は、電気的に中性である。
【0023】
そのような電気的に中性の装置は、中性の粒子と同様に陽イオン及び陰イオンを同じように伝達するという長所を有する。
【0024】
前記第2の装置は、エアロダイナミックレンズを有してもよい。
【0025】
前記エアロダイナミックレンズは、前記放出口で、開口部に結合されてもよい。
【0026】
好ましくは、本発明の主題である装置は:
−前記第1の装置を含む、所定の圧力のゾーン、及び、
−前記ゾーンに連絡し、前記第2の装置の少なくとも一部分を含み、前記ゾーンの圧力よりも低い第1の圧力であるように提供される少なくとも一つの真空の筐体(enclosure)又は第1の筐体、をさらに含む。
【0027】
「所定の圧力」は、空気圧(大気圧)又は本発明への適用の想定に応じて別のガスの圧力を意味する。
【0028】
また、前記第1の筐体と連絡する前記ゾーンを配置するために、前記第2の装置は、前記ゾーンにおける入口開口部と、前記第1筐体における出口開口部とを有するキャピラリー管をさらに含んでもよい。
【0029】
この場合、前記第2の装置は、前記キャピラリー管の前記入口及び/又は出口開口部に対向するエアロダイナミックレンズを有してもよい。
【0030】
したがって、フラックスの集中又は集束が、前記キャピラリー管の前記入口及び/又は出口開口部で同様に起こることができる。
【0031】
特定の実施形態によれば、本発明の主題の装置は、第2の圧力であるように提供される別の真空筐体又は第2の筐体をさらに含む。前記第2の圧力は、前記第1の圧力より低くてもよく、前記第2の筐体は、前記第3の装置を含み、前記重量検出器に対向する第1の開口部を通じて前記第1の筐体に連絡する。
【0032】
前記重量検出器は、ナノ電気機械システム、マイクロ電気機械システム、水晶振動子マイクロバランス、SAW(弾性表面波)共鳴器、BAW(バルク超音波)共鳴器、及び衝撃検出器(impact detector)から選択されてもよい。
【0033】
前記第1の装置は、超音波ネブライザー、マイクロ波誘導噴霧装置、マイクロキャピラリーアレイネブライザー、及び弾性表面波ネブライザーから選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の主題である装置の特定の一実施形態の概略図である。
【
図2】エアロダイナミックフォーカスレンズ(aerodynamic focusing lens)の原理を概略的に示す図である。
【
図3】完全なエアロダイナミックフォーカスシステムの一例を概略的に示す図である。
【
図4】本発明で使用されることができるエアロダイナミックフォーカス装置の単純な一例を概略的に且つ部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、添付の図面を参照して後述する実施形態の例の説明を読めばよりよく理解されるであろう。実施形態の例は、単に指標として示されるものであり、決して限定されるものではない。
【0036】
図1は、液体における懸濁液又は溶液内で粒子の質量を測定する装置の特定の実施形態の概略図である。前記装置は、:
−少なくとも前記粒子を含むフラックスを得るために、前記液体、すなわち、示されている例において液滴4の形態で堆積する検体を噴霧化するための装置2、
−入口8と放出口10を有するエアロダイナミックフォーカスレンズ(aerodynamic focusing lens)6を含み、前記フラックスをガイドし、空気力学的に集束させる(aerodynamic focusing)装置、及び、
−前記粒子を受けるために、エアロダイナミックフォーカスレンズ6の放出口10に対向して配置された少なくとも一つの重量検出器14を含み、周波数測定によって前記粒子の質量を測定する装置12、を備える。
【0037】
図1において示される装置は:
−噴霧装置2を含み、所定の圧力、例えば、大気圧(およそ10
5Pa)のゾーン16、及び、
−ゾーン16に連絡して、装置6を含み、一次真空(primary vacuum)が確立される、即ち、矢印20によって表わされている一次ポンプ(primary pump)を用いて10
2Paオーダーの残留圧力が実現される真空の筐体18を含む。
【0038】
フラックスのガイド及び空気力学的に集束させる装置は、筐体18に連絡するゾーン16を配置するために、ゾーン16における入口開口部24と筐体18における出口開口部26とを有するキャピラリー管(直線)22を備える。フラックスのガイド及び空気力学的に集束させる装置の入口は、キャピラリー管22の入口開口部24から構成され、フラックスのガイド及び空気力学的に集束させる装置の出口は、エアロダイナミックフォーカスレンズ6の放出口10から構成される。
【0039】
キャピラリー管22は、懸濁液又は溶液における粒子を脱溶媒和することを可能にすると指摘されている。
【0040】
図1に示されている装置は、二次真空が確立される、即ち、矢印30によって表わされているターボ分子ポンプ手段によって10
−2Paオーダーの残留圧力が実現される別の筐体28(しかしながら、本発明の別の実施例では、筐体18及び筐体28は、同じ圧力であってもよい)を備える。
【0041】
筐体28は、装置12を含み、検出器14に対向する開口部32を通じて筐体18に連絡する。
【0042】
図1に示されるように、前記検出器14は、密封されたフィードスルー36に実装されたマイクロポジショニングウエハー34上に実装される。
【0043】
キャピラリー管22は、前記開口部32に一直線上にあり、装置6は、開口部32とキャピラリー管22の出力開口部26との間に構成される。
【0044】
したがって、
図1の例において、検体は液相に存在し、液体の一部は装置2で霧状にされる。装置2は、主に中性であり、一部が潜在的にイオン化される可能性がある検体を含んでいる非常に小さい液滴のエアゾールを生成する。ゾーン16及び筐体18間の圧力差のため、前記エアゾールは、インレットキャピラリー管22に吸い込まれる。それの反対側に、二次真空筐体28に位置する検出器14に中性の種及びイオンを同様にガイドすることができるエアロダイナミックフォーカスレンズ6が配置される。
【0045】
図1に示される本発明の例は、2つの差動ポンプチャンバー、即ち、筐体18、28を備えるが、2つ以上の差動ポンプチャンバー又は単一のチャンバーを備える、本発明による装置を生産することも可能である。
【0046】
図1の例において、検出器14は、一つのNEMSを含むが、前記検出器が多数のそのようなNEMSを含む、本発明による装置を生産することも可能である。
【0047】
検出器14を読み出し、且つ制御する手段は、ここでは図示しない。前記検出器14は、温度制御されてもよく、されなくてもよい。インレットキャピラリー管22についても同様である。
【0048】
検出のためにNEMSを使用することは有利である;しかし、他のあらゆるい重量計検出器(MEMS、QCM、SAW、BAW)が使用されてもよく、より一般的には、慣性力検出器、特に衝撃検出器(impact detector)が使用されてもよい。後者に関しては、以下の文献を参照することができる。:
Jonghoo Park、Hua Qin、Mark Scalf、Ryan T. Hilger、Michael S. Westphall、Lloyd M. Smith及びRobert H. Blick、2011、「A Mechanical Nanomembrane Detector for Time-of-Flight Mass Spectrometry」、Nano Letters 11:3681-3684.
【0049】
エアロダイナミックフォーカスレンズ6は、より単純に「エアロダイナミックレンズ」として知られている。後者は、実際には一連の単純なエアロダイナミックレンズから構成されていることが知られている。エアロダイナミックレンズレンズの例は、後述される。
【0050】
本発明では、そのようなレンズの使用は、測定効率を最大にするために、特定の中性の種をガイドすることを可能にする。したがって、イオン光学で使用される種類の静電的誘導(electrostatic guidance)は、用いられない。
【0051】
エアロダイナミックレンズが単純なエアロダイナミックレンズを構成する一連の開口を含むことが想起される。前記開口は、同一の大きさ(
図3を参照、後述する)を有してもよく、又は異なる大きさを有してもよく、例えばだんだん小さくなってもよい(
図2参照、後述する)。これらの開口を通して、希釈されたエアゾールは吸い上げられる。軽く、粒子を含まないキャリアガスの大部分(及び、
図1の例で使用されるキャピラリー管22によって吸い上げられる水分子の大部分)は、レンズの放出口にある体積で拡散するのに対し、生体分子といった(ガスの分子と比較して)重い粒子は、放出口フラックスを経て、非常に微細なジェットの形態で集められるために充分な運動量を得る。特定の条件下で、前記ジェットは、一点(焦点)に集中させることができる。
【0052】
エアロダイナミックレンズは、通常、エアゾール中に存在する粒子の測定を目的とする質量分析計で用いられるが、後者の場合、種は質量分析計に導入された後に常にイオン化されるため、前記レンズは、粒子を検出器にガイドし、集めるためには使用されない。:レンズは、測定される種が分析計を通過する前に、測定される種の集中及び分類のために使用される。
【0053】
詳細な形態では、本発明において使用されることができる集束装置(
図2参照)は、フラックス及び差圧の制御を可能にする入口開口部38と一連の単純なレンズ41から構成されるエアロダイナミックレンズ40とを含む。前記一連の単純なレンズ41は、装置に沿って粒子が進行するにつれて、粒子の磁束線を圧縮することを可能にする。一連の単純なレンズ41の放出口で、重い粒子の平行ビーム(collimated beam)を捕捉することを可能にする開口42が配置されてもよく、一方、軽い分子(例えば、溶媒分子)は体積拡散し、逃げる。
【0054】
この点で、以下の文献を参照することができる。:
US2008/0022853、「Aerodynamic lens particle separator」、P. Ariessohnの発明
【0055】
図3は、本発明に使用されてもよく、一つのエアロダイナミックレンズ又は単純なエアロダイナミックレンズ44の連続43と、前記単純なレンズの連続の放出口におけるチャネル45とを有する、エアロダイナミックフォーカス装置の別の例を示している。前記チャネル45(又は加速ノーズ(acceleration nose))は、粒子の速度に応じて、収束性チャネル又は収束性/発散性チャネルであってもよく、前記粒子が集束することを助ける。
【0056】
尚、
図3の装置の構成要素の一部だけが本発明で使用されてもよいことが指摘される。
図3に示される前記装置に関して、Aerodyne Research社によって供給される技術資料を参照することができ、特に:
ARIエアゾール質量分析計、操作マニュアル、9ページが参照されてもよい。
【0057】
図2のエアロダイナミックレンズ40(
図3のエアロダイナミックレンズ43)は、明らかに、前記エアロダイナミックレンズの入口及び/又は放出口に配置された、キャピラリー管22のタイプのキャピラリー管と結合されてもよく、或は、
図2の開口42のタイプの開口と結合されてもよい。
【0058】
図4は、本発明の別の装置の概略部分図であり、エアロダイナミックフォーカス装置は、単に、インレットキャピラリー管22と、その出口開口部26と、NEMS14が配置された二次真空筐体28への入口開口部32とから構成される。この
図4において、縦磁束の循環方向(direction of circulation of the longitudinal fluxes)は、
図1と比較して逆転する。また、矢印48は、キャピラリー28の放出口での軽い分子の放射束(radial flux)を表す。
【0059】
本発明では、あらゆるタイプの噴霧装置が使用されてもよく、特に、超音波ネブライザー、マイクロ波誘導噴霧装置又はマイクロキャピラリーアレイネブライザーが使用されてもよい。
【0060】
有利には、SAWN(即ち、弾性表面波ネブライザー)が使用される。この点で、以下の文献を参照することができる。:
David R. Goodlett, Scott R. Heron and Jon Cooper, 2011, "Ions generated by surface acoustic wave device detected by mass spectrometry", WO 2011/060369 A1.
【0061】
この場合、検体を含む液滴が配置された弾性表面波共振器を使用することが必要である。共振器によって生成される弾性表面波は、それから、霧状にされた液体においてそのエネルギーを消散する。
【0062】
この噴霧手段は、非常に低いイオン化エネルギーでも、検体の非常に小さい部分をイオン化する利益を有する。さらに、質量の広範囲における全ての水滴及び生物学的粒子を脱離することができる。さらに、そのような噴霧装置は、ある可積分である。それは、総体的なマイクロ製造方法によって得てもよい。そして、このような可積分装置(integrable device)が使用される場合、本発明の全ての構造を集積することが想定されてもよい。
【0063】
上述された本発明の例において、ガイド及び集束装置は、電気的に中性である。これは、電磁界が前記装置に適用されない、又は装置によって生成されないことを示す。
【0064】
ガイドと集束のために、望ましくは、このような電気的に中性の装置が使用される。にもかかわらず、電気的に中性ではないガイド及び集束装置、正確には、中性の種をイオン種から分離するために、又は、逆に、中性の種のみを集束することが可能な電磁界を得るための装置を分極させるために、側面が特定の電圧で分極されている装置を使用することができる。
【0065】
図1の例において、エアロダイナミックレンズ6は、キャピラリー管22と結合される。しかし、フラックスのガイド及び空気力学的集束を行う第2の装置が、キャピラリーに代わって、隔膜(diaphragm)又は開口を有する本発明の一実施形態が想定されてもよい。