特許第6352008号(P6352008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352008血管内の組織層を切除する針付きカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352008
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】血管内の組織層を切除する針付きカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-50101(P2014-50101)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-176688(P2014-176688A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】13/829,178
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビー・グルネワルド
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5693029(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0120263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
カテーテル本体と、
遠位先端部であって、
少なくとも1つの開口部を有する、ルーメン付きの管、
展開位置及び格納位置をとるようになっている前記ルーメン内の少なくとも1つの針、
前記遠位先端部の少なくとも前記ルーメンを通って延在する細長い支持部材、及び
前記遠位先端部の少なくとも前記ルーメンを通って延在し、かつ、前記細長い支持部材上で、また該細長い支持部材に対して長手方向に動くように適合されたアクチュエータ、を有する遠位先端部と、
前記細長い支持部材に対する前記アクチュエータの長手方向の動きを制御するようになっている部材を有する制御ハンドルと、
前記細長い支持部材に対して前記アクチュエータを移動させるために、少なくとも前記カテーテル本体に対して長手方向に動くように適合されたワイヤと、
を備え、
前記少なくとも1つの針は、前記格納位置にある間、前記細長い支持部材により支持され、前記少なくとも1つの針は、前記展開位置にある間、前記アクチュエータにより半径方向に外方に押し進められる、カテーテル。
【請求項2】
前記格納位置にある間、前記少なくとも1つの針は、ほぼ前記遠位先端部内にあり、前記展開位置にある間、前記少なくとも針は、前記遠位先端部の外側に前記少なくとも1つの開口部を通る治療部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記治療部は、前記少なくとも1つの針が前記展開位置にある間、前記遠位先端部から半径方向に前記少なくとも1つの開口部を通って延在する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの針は、前記格納位置及び展開位置の両方において前記遠位先端部に対して半径方向に支持される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針が前記格納位置にある間、前記少なくとも1つの針の近位にある、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記アクチュエータの少なくとも一部は、前記少なくとも1つの針が前記展開位置にある間、前記少なくとも1つの針と前記支持部材との間に位置決めされる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針を前記格納位置から前記展開位置に移動させるために前記支持部材に対して遠位に移動される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針を前記展開位置から前記格納位置に移動させるために前記支持部材に対して近位に移動される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針との係合を容易にするテーパ形状の遠位端を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記テーパ形状の遠位端は、前記少なくとも1つの針を前記支持部材から持ち上げて前記少なくとも1つの針を前記アクチュエータ上に案内するようになっている、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも1つの針は、前記テーパ形状の遠位端と係合するようになっている傾斜部分を有する、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記遠位先端部は、複数の針を含み、前記アクチュエータは、選択的な針を展開する際に前記支持部材に対して調整可能に長手方向に動くように適合される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記細長い支持部材は、2D又は3D形状を有する遠位部分を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、特に、制御ハンドルと、ルーメンを有するカテーテル本体とを有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルベースの処置が増加している。大手術を必要としていた多くの処置が、今では、通常は脚のわずか5.08〜7.62cm(2〜3インチ)長の小さい切開部を介して患者の体に挿入することができるカテーテルによって最小の侵襲性で行うことができる。心臓に行うカテーテルベースの処置としては、バルーン血管形成術、冠状動脈血管撮影図、粥腫切除、経心筋的血管再生(TMR)、経皮バルーン弁形成、切除、及び心臓弁置換を挙げることができる。
【0003】
より最近開発されたカテーテル法による処置は、腎除神経(RDN)である。腎除神経は、抵抗性高血圧を治療することを目的とするラジオ波焼灼を使用する低侵襲性のカテーテルベースの血管内処置である。抵抗性高血圧は、プライマリケア医及び専門家の両者が直面する一般的な臨床的問題である。加齢及び肥満は管理不良高血圧の最も大きな危険因子のうちの2つであるので、抵抗性高血圧の発生は、人々の加齢及び肥満化に伴って増えるであろう。
【0004】
自律神経系の3つの主要な部分のうちの1つとして、交感神経系は、血圧に影響を与え制御する特定のホルモンの放出をあおる。高血圧において、これらのホルモンの低用量の連続した放出は、血圧を上昇させる可能性がある。高血圧は、食事療法、運動、及び薬剤により管理することができる。しかしながら、抵抗性高血圧(一般に、異なる部類の3つの抗高血圧症薬の同時使用にも拘わらず目標を上回ったままである血圧と定義)には、手術を含め、より積極的な治療が必要である。腎神経を切断すると血圧が改善されることが既に確認されている。しかしながら、この処置は、手術及び全ての付随するリスクを伴い、結果的に、胸部より下の全体的(global)交感神経切除が発生する恐れがある。
【0005】
カテーテルベースのシステムを介して腎神経のみを切除するつまり鎮めることができることは、非常に重要な進展である。小さいカテーテルを大腿動脈に設置し、腎動脈を介して神経へのアクセスを得る。カテーテルを介して腎動脈内にエネルギー源を通し低用量エネルギー、ラジオ波焼灼を伝達することにより、入る及び出ていく腎交感神経を、長さに沿って選択した場所にて傷つける、つまり「除神経する」。これによって、腎交感神経の求心性及び遠心性活動は減少し、血圧を下げることができる。しかしながら、腎神経は、腎動脈の周りの鞘又は層内に埋め込まれており、腎動脈内から切除するカテーテルがたやすくアクセスすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、腎動脈の内層を貫通して腎動脈の外層の神経に到達することができる切除カテーテルに対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、切除カテーテル及び腎除神経カテーテルなどのカテーテルを対象としている。一実施形態において、カテーテルは、カテーテル本体と、遠位先端部の外側に延在して血管つまり管状領域の組織層を突き通し貫通するように半径方向に位置決めされる針を有する遠位先端部とを有する。針は、少なくとも遠位先端部を通って延在する細長い支持部材上の遠位先端部の内側で格納位置に支持される。展開については、針は持ち上げられ、該針の一部が、細長い支持部材上で長手方向に摺動可能であるアクチュエータにより遠位先端部の開口部に押し通される。カテーテルは、オペレータが長手方向にアクチュエータを移動させるようになっているワイヤを操作することができる制御ハンドルを含む。
【0008】
詳細な一実施形態において、アクチュエータは、細長い支持部材からの針の持ち上げ及びアクチュエータ上への摺動を容易にするための展開のために各針と係合されるテーパ形状の端部を有する。細長い支持部材及びアクチュエータは、安定性を針に提供し格納位置と展開位置との間の動きを案内するために各針が載る長手方向軌道を有することができる。
【0009】
詳細な一実施形態において、アクチュエータは、支持部材と円周方向に取り囲む関係にある。支持部材は、遠位先端部に与えられる2D又は3D形状を有する遠位部分を有することができる。
【0010】
詳細な一実施形態において、各針は、組織層を突き通し貫通するようになっている遠位治療部を有する。治療部の一部分は、覆い隠された部分と接触する組織の切除を選択的に回避するために覆い隠すことができる。各針は、アクチュエータとの係合を容易にする傾斜部分も有することができる。
【0011】
詳細な一実施形態において、各針は、遠位先端部が再位置決めされるか又は血管から除去される前に、針が確実に遠位先端部内に格納されるようにアクチュエータに繋留することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態では、カテーテルは、カテーテル本体と、拡張バルーン部材とバルーン部材の外面に固着された針とを有する遠位先端部とを有し、バルーン部材の膨張は、針の治療部を、遠位先端部の開口部を介する展開のために遠位先端部の外側に押し進める。カテーテルは、また、カテーテル本体の近位の制御ハンドルと、流体にバルーン部材を出入りさせるようになっている流体管とを含む。バルーン部材が収縮すると、針は、遠位先端部に戻って格納される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの並びに他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。
図1】本発明の一実施形態による、カテーテルの立面側面図である。
図2A】第1の直径に沿って切り取った、本発明の実施形態による、カテーテル本体と中間偏向可能部との間の接合部を含むカテーテル本体の側断面図である。
図2B】第1の直径にほぼ垂直な第2の直径に沿って切り取った、本発明の一実施形態による、カテーテル本体と中間偏向可能部との間の接合部を含むカテーテル本体の側断面図である。
図2C】本発明の一実施形態による、遠位端での又はその近傍の中間偏向可能部の端部断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、遠位先端部の頂部断面図である。
図4】針が格納位置にある、本発明の一実施形態による、遠位先端部の側断面図である。
図4A】線A−Aに沿って切り取った、図4の遠位先端部の端部断面図である。
図4B】線B−Bに沿って切り取った、図4の遠位先端部の端部断面図である。
図4C】針の斜視図である。
図5】針が展開位置にある、図4の遠位先端部の側断面図である。
図5A】線A−Aに沿って切り取った、図5の遠位先端部の端部断面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、針と針アクチュエータとの間の係合を示す、図5の遠位先端部の拡大図である。
図6】本発明の一実施形態による、覆い隠された部分を有する針の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による、制御ハンドルの側断面図である。
図8】本発明の一実施形態による、制御ハンドルの上面図である。
図9】ワイヤ制御機構及び制御ハンドル胴部の側断面図である。
図9A】線a−−aに沿って切り取った、図9の胴部の長手方向の断面図である。
図9B】線b−−bに沿って切り取った、図9の胴部の長手方向の断面図である。
図9C】線c−−cに沿って切り取った、図9の胴部の長手方向の断面図である。
図9D】線d−−dに沿って切り取った、図9のねじ付き部材の長手方向の断面図である。
図9E】線e−−eに沿って切り取った、図9のねじ付き部材の長手方向の断面図である。
図9F】線f−−fに沿って切り取った、図9の調整部材の長手方向の断面図である。
図9G】線g−−gに沿って切り取った、図9の調整部材の長手方向の断面図である。
図10】針が格納位置にある、本発明の別の実施形態による、遠位先端部の側断面図である。
図10A】線A−Aに沿って切り取った、図10の遠位先端部の端部断面図である。
図11】針が展開位置にある、図10の遠位先端部の側断面図である。
図11A】線A−Aに沿って切り取った、図11の遠位先端部の端部断面図である。
図11B】線A−Aに沿って切り取った、図11の遠位先端部の端部断面図である。
図12】本発明の別の実施形態による、遠位先端部の側断面図である。
図12A】線A−Aに沿って切り取った、図12の遠位先端部の端部断面図である。
図12B】線B−Bに沿って切り取った、図12の遠位先端部の端部断面図である。
図12C】線C−Cに沿って切り取った、図12の遠位先端部の端部断面図である。
図12D図12の針の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、切除カテーテル10は、必要に応じて内部及び中間層を使わずに又は回避しながら血管を切除するように適合されている。カテーテル10は、細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端での遠位先端部15と、制御ハンドル16とを含む。遠位先端部15は、有利なことに、血管18、例えば腎動脈の最外組織層を切除するために、半径方向に選択的に伸長可能である複数の個々の針(又は注射器)13を提供する。カテーテル10は、所望であれば中間偏向可能部14も含むことができる。
【0015】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、単一の中央又は軸方向ルーメン18を有する細長い管状構成体を含む。カテーテル本体12は、可撓性、即ち折り曲げ可能であるが、その長さに沿っては実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の適当な構造のものであってよく、任意の適当な材料で形成することができる。1つの構成体は、ポリウレタン又はPEBAXで形成された外壁22を含む。外壁22は、カテーテル本体12の捻れ剛性を高めるために包埋されたステンレス鋼などの編組メッシュを含み、このため制御ハンドル16が回転させられるとカテーテル10の先端部分がこれに対応して回転する。
【0016】
カテーテル本体12の外径は、重要ではない。一実施形態において、外径は、約8フレンチ、より好ましくは約6フレンチ未満である。外壁22の厚さも同様に重要ではない。外壁22の内面は、任意の適切な材料、例えばポリイミドで作製することができる強化チューブ20で裏張りされる。編み外壁22とともに、強化チューブは、向上した捻れ安定性を提供し、同時にカテーテルの壁厚を最小限にして、単一のルーメンの直径を最大限にする。強化チューブ20の外径は、外壁22の内径とほぼ同じか、又はそれよりもわずかに小さい。ポリイミド管は、非常に薄い肉厚ながらも非常に優れた剛性をもたらすことができる。これにより、強度及び剛性を犠牲にすることなく中央ルーメン18の直径が最大化される。ポリイミド材料は、折り曲げられた際に捻れる傾向があるため、通常は強化チューブには使用されない。しかしながら、特にステンレス鋼の編組メッシュを有するポリウレタン、PEBAX又は他の類似の材料の外壁22と組み合わせると、屈曲時にポリイミド強化チューブ20が捻じれる傾向が、カテーテルが使用される用途に関して本質的に排除されることがわかった。
【0017】
図2A及び2Bに示すように、様々な構成部品が、カテーテル本体12の単一のルーメン18を通って延在する。これらの構成部品としては、電磁位置センサ34用センサケーブル36(図2C参照)、引込線42、引込線用圧縮コイル44、細長い支持部材30、及び前進ワイヤ32が挙げられる。単一のルーメン18を有するカテーテル本体は、複数のルーメンを有する本体と比較すると、カテーテル10を回転させたときに、より良好な先端制御を可能にすることができる。単一のルーメン18によって、構成部品は、カテーテル本体内で自由に浮くことができる。そのような構成部品が複数のルーメン内で制限された場合、ハンドル16を回転させたときに、エネルギーを蓄積する傾向がある可能性があり、その結果、例えば、ハンドルが解放されるとカテーテル本体12は逆回転するか、又は、湾曲部周りに曲がった場合にはひっくり返る傾向があり、これら場合はいずれも好ましくない性能特性であることが多い。
【0018】
図2A及び2Bは、カテーテル本体12を偏向可能部14に取り付けるための手段を示す。先端部分14の近位端は、カテーテル本体12の外壁22の内面を受容する外周ノッチ24を含む。先端部分14及びカテーテル本体12は、糊などによって取り付けられる。スペーサ(図示せず)は、カテーテル本体12内の強化チューブ20の遠位端と先端部分14の近位端との間にあってよい。スペーサは、先端部分14の材料、例えばポリウレタンより剛性があるが、強化チューブ20の材料、例えばポリイミドほど剛性がない材料で作製することができる。テフロン.RTM.で作製されたスペーサを一実施形態において使用することができる。スペーサは、強化チューブ20の外径及び内径とほぽ同じ外径及び内径を有することができる。スペーサは、カテーテル本体12とカテーテル先端14との接合部に柔軟性の遷移部をもたらし、これによって、カテーテル本体12と先端部分14との接合部は、折れ及び捻じれなしに滑らかに曲がることができる。スペーサは、強化チューブ20により所定の位置に保持される。次いで、強化チューブ20は、カテーテル本体12の近位端にて、接着部により外壁22に対して所定の位置に保持される。
【0019】
図2A、2B、及び2Cに示すように、偏向可能部14は、ルーメン25、26、及び27などの複数のルーメンを有する管19のより短い部分を含む。管19は、カテーテル本体12より柔軟とすることができる適切な無毒性材料で作製される。管19の1つの材料は、編組ポリウレタン、即ち、編組ステンレス鋼などの埋込み型メッシュを有するポリウレタンである。カテーテル本体12の外形と同様の、先端部分14の外径。ルーメンのサイズは、該ルーメンを通って延在する構成部品に対応する限り重要ではない。
【0020】
カテーテル本体12の単一のルーメンを有する構成体は、偏向がカテーテル10に必要とされない場合には、偏向可能な中間部分14なしに制御ハンドル16と遠位先端部15との間に延在することができることが理解される。あるいは、偏向可能部14の複数のルーメンを有する構成体は、偏向がカテーテル10に必要とされるかどうかを問わず、制御ハンドルと遠位先端部15との間に延在することができる。即ち、上述した構成部品は、全て制御ハンドル16から遠位先端部15まで単一のルーメンの構成体を通って延在することができるか、又は制御ハンドル16から遠位先端部15まで複数のルーメンの構成体のそれぞれのルーメンを通って延在することができる。
【0021】
例示する実施形態において、カテーテル10は、カテーテル本体12と中間部14とを含み、構成部品は、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通って延在し、中間偏向可能部14内の異なるルーメンに入る。例えば、細長い支持部材30及び前進ワイヤ32は、中心ルーメン25を通って延在する。引込線42は、軸外ルーメン26を通って延在する。(双方向性の偏向が望まれる場合、第2の引込線であれば、図2Cに示すように、対向する軸外ルーメン28を通って延在する。)センサケーブル36は、位置センサ34が(図2Cにも示すように)ルーメン27の遠位端内に位置決めされた状態でルーメン27を通って延在する。
【0022】
引込線42は、その近位端にて制御ハンドル16に繋留され、その遠位端にて又は中間偏向可能部14の遠位端にて若しくは近傍にてTバー45(図3)によって繋留される。引込線42は、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の適切な金属で作製され、かつテフロン.RTM.などでコーティングされる。コーティングは、引込線42に潤滑性を付与する。圧縮コイル44は、カテーテル本体12の近位端から先端部分14の近位端まで延在する。圧縮コイル44は、ステンレス鋼など任意の適切な金属で作製される。圧縮コイル44は、可撓性、即ち曲げをもたらすが圧縮に抵抗するように、それ自体にしっかりと巻かれる。圧縮コイル44の内径は、引込線42の直径より若干大きい。引込線42のテフロン.RTM.コーティングは、それが、圧縮コイル44内を自由に摺動することを可能にする。圧縮コイル44の外面は、その長さに沿って、圧縮コイル44とルーメン18内の他の構成部品との間の接触を防止するために柔軟な非導電性シース26により覆われている。シース26は、ポリイミドで作製することができる。
【0023】
細長い支持部材30は、制御ハンドル16内に繋留される近位端を有する。カテーテル本体12の中央ルーメン18、中間偏向可能部14内の中心ルーメン25を遠位に通って延在し、更に、長手方向中心軸に沿って遠位先端部15内に遠位に入る。支持部材30は、任意の適切な横断面、例えば円形(図12A〜12C)、楕円形、多角形、又は矩形(図4A及び4B)を有することができる。遠位部15内で半径方向に延在する針13及び支持部材30上に摺動可能に取り付けられた針アクチュエータ33を支持すること、並びに遠位部15に2D(例えば、S字状)又は3D(例えば、螺旋状)形状をもたらすことを含め、複数の機能に対応する。支持部材30は、ニチノールを含め、形状記憶を有する任意の適切な材料で作製することができる。
【0024】
図3を参照すると、遠位先端部15は、中間偏向可能部14の遠位端から延在する管28の短尺部を含む管28は、支持部材30が通って延在する単一のルーメン35を有する。管28の外面上には、環電極21が取り付けられ、該電極のそれぞれは、ルーメン35と、中間偏向可能部14内のルーメン29と、カテーテル本体12のルーメン18とを通って延在するそれぞれのリード線40を有する。環電極21にリード線40を取り付ける1つの方法では、まず、管20の横壁を通る小さい穴30(図3を参照)を作製する。そのような穴は、例えば、管のレーザ穴あけにより、又は針を管28に挿通し、十分に針を加熱して常設穴50を形成することにより作り出すことができる。次に、リード線40をマイクロフックなどによって穴を通じて引き込む。次いで、リード線40の末端部からコーティングを全て剥ぎ取り、環電極21の下面に溶接した後、穴を覆う位置へと環電極を滑動させ、ポリウレタン接着剤等によって固着させる。あるいは、各環電極21は、リード線40を管28の外面に何回も巻き付け、リード線のそれ自体の、外方に面する表面上の非導電性コーティングを、剥ぎ取ることにより形成することができる。そのような場合、リード線40は環電極として機能する。複数の環電極は、約6〜12、更により好ましくは約8〜10の範囲である。例示する実施形態では、環電極21は、それぞれの対がそれぞれの針13の近位及び遠位であるバイポーラ電極として機能するように構成される。
【0025】
管28は、針13及び環電極21が血管54の内周面53に接触する(図1参照)ことができるように、支持部材30により与えられる任意の形状、例えば、2D S字状又は3D螺旋状の形状を取る。管28の遠位端は、ルーメン35を封止して支持部材30の遠位端30Dを繋留するドームプラグ57を有する。ドームプラグ57は、接着剤又は接着材、例えばエポキシを含むことができる。
【0026】
図3〜5に示すように、各針13は、基部52が上部治療(組織接触)部53及び先端51より広い/大きいように、テーパ形状のプロファイルをもたらす円錐形状を有するほぼ楕円形の横断面を有する。先端51は、血管54の組織層を突き通し貫通するようになっているより大きい基部52は、針13が針の半径方向の外面31に当接することを可能にする際に安定性をもたらす。その点については、針の長さL(図4Cを参照)は、展開されたときに針が管28から半径方向に外側に延在し組織層を貫通するほどの長さであるように、管28の側壁の厚さTを上回る。
【0027】
針13は、様々なパターンで展開することができるように配置させることができる。例えば、針は、互いから均一に又は不均一に離間させることができ、針は、複数の半径方向(図示される0°及び180°のみではなく)に延在することができる。例示する実施形態において、針13は、等距離に離間され、対向した横列を形成する支持部材30の対向する表面31に載る。針は、異なる横列間で千鳥配置することができる。狭窄を回避するように円周方向の閉ループを血管内に形成するのを回避する場所で切除が行われるように針を配設することが好ましいで場合がある。複数の針は、約2〜10、好ましくは約4〜8の範囲、より好ましくは約6とすることができる。
【0028】
各先端51は、針の(先端51を有する)治療部分53が管28の外側に到達するために通過する管28の側壁内に形成されたそれぞれの開口部56に入れ子にされる。その目的のために、開口部のサイズ、管側壁の厚さT、及び管構成体材料の弾性を含む様々なパラメータが、針13が展開されたときに治療部53が通過するための開口部の拡張、及び針を引っ込めるためのルーメン35内に戻る治療部53の排出を可能にするように選択される。
【0029】
針を展開させるために、支持部材30上に摺動可能に取り付けられた針アクチュエータ33を遠位に前進させて、針と係合し、支持部材から外方に押し進める。例示する実施形態において、針アクチュエータ33は、長手方向に支持部材30と、また該支持部材と円周方向の取り囲む関係で整合され、支持部材30が通る長手方向の中心通路58(図4A)は、延在する。アクチュエータ33は、開口部56から十分に外方に針を押し進めるように予め定められる、中心通路とその外面との間の厚さtを有する。しかしながら、リード線40が存在する場合、厚さtは、アクチュエータ33と管28の内周面との間でリード線40のための隙間を可能にするべきである。
【0030】
遠位端33Dは、針アクチュエータ33が遠位に前進するときに針との係合を促進するためにテーパ状である。図5Bに示すように、各針13の近位側は、角度がアクチュエータ33のテーパ形状の端部33Dとほぼ一致する傾斜基部部分52P(例えば、先端51から基部52までの短い方の近位長さLp及び先端51から基部までの長い方の遠位長さLd)を有する。テーパ形状の端部33Dが針13に遭遇すると、テーパ形状の端部33は、傾斜した基部部分52Pの下を摺動して、針をテーパ形状の端部上へ持ち上げるのを助ける。アクチュエータ33が遠位に更に前進するにつれて、針も開口部56を外方に突出して通って血管54の組織層と係合し、開口部56により保持された針13は、アクチュエータ33の近位端33Pの方にテーパ形状の端部まで上がる。
【0031】
図3〜5に示すように、支持部材30及びアクチュエータ33上の針の位置及び動きを安定化するために、長手方向の軌道60が、支持部材30及びアクチュエータ33の外面上に設けられる。例示する実施形態では、軌道60は、アクチュエータ33、及び支持部材30の、遠位先端部15の管28内の部分の長さに沿って延在する一段高い隆起部である。各針13の基部52の底部接触面は、軌道60を受容する対応する長手方向凹部62(図4A〜4C)を有する。アクチュエータ33の中心通路58も、軌道60を受容する対応する長手方向凹部64を有する。この点を踏まえると、針13は、該針が支持されるのが支持部材30上か、アクチュエータ33上かを問わず、開口部56と整合したままであり、アクチュエータ33は、支持部材30と整合したままである。
【0032】
アクチュエータ33の動きを制御するために、前進ワイヤ32には、カテーテル10に対して長手方向の動きが与えられる。ワイヤ32の近位端は、制御ハンドル内に延在し、以下で更に説明するように制御ハンドルを介して操作される。ワイヤは、カテーテル本体12の中央ルーメン18(図2A)と、中間偏向可能部14の中心ルーメン25(図2C)と、遠位先端部15のルーメン28(図3)とを通って延在する。ワイヤの遠位端は、アクチュエータ33の近位端内に形成された止まり穴68(図3)に繋留される。針を展開させるために、支持部材30上で遠位にアクチュエータ33を前進させるワイヤ32を遠位に前進させる。先述したように、アクチュエータ33のテーパ形状の遠位端33Dは、針と係合し、傾斜した基部52Pにより針を持ち上げる。アクチュエータ33が引き続き遠位に前進されるにつれて、開口部56により保持された針13は、該針が開口部56を介してアクチュエータ33の外面により外方に押し進められるにつれてテーパ形状の端部33Dまで上がるその点については、針に作用するアクチュエータの力は、拡張に対する管28の開口部56の抵抗する弾性力を上回る。制御ハンドル16によりアクチュエータ33を選択的に前進させることにより、オペレータは、どの針13が展開されるかを制御することができる。例えば、図5に示すようなアクチュエータ33が、最も近位の針を展開させ、展開の準備が整った次の針に係合している。最も遠位の針は、アクチュエータ33が更に遠位に前進して針と係合し針を持ち上げない限り展開されない。
【0033】
針の格納は、オペレータが制御ハンドル16を介してワイヤ32を近位に引っ込めることにより達成される。アクチュエータ33が近位に移動し針がテーパ形状の端部33Dに沿って摺動すると、開口部56により保持された針が、拡張に対する管28の抵抗する弾性力により内方に放出される。針の円錐形状及びテーパ形状のプロファイルは、ルーメン35に戻る針の排出、したがって格納を容易にする。アクチュエータ33が引き続き近位に引かれるにつれて、針は、支持部材30上に戻り支持部材上の軌道60により案内される。
【0034】
カテーテル10は、引張り部材、例えば、針が血管の組織層をすばやく捕捉した場合に該針をアクチュエータの近位の動きで確実に格納されるための追加の安全特徴としてアクチュエータ33にそれぞれの針113を繋留する安全線23(図4)を含むことができる。安全線23の各遠位端は、それぞれの針13内に繋留される。安全線23の近位端は、アクチュエータ33の任意の部分、例えばテーパ形状の端部33Dに繋留することができる。
【0035】
針が格納された状態で、カテーテルを安全に再配置するか、血管内で移動させるか、又は患者の体から除去することができる。針が展開した状態で、先端51は、有利なことに血管の外組織層に到達する。導電性ワイヤ32を使用することにより、切除エネルギーを制御ハンドル16の近位のエネルギー源から針アクチュエータ33にカテーテルに沿って伝達することができ、これは次に、血管54の組織層内の病変70(図5A)を切除及び創出するために係合する針13のみを通電する。
【0036】
代替実施形態において、針13の一部は、血管の組織層の選択的な部分又は深部の切除に向けて、図6に示すように、非導電性コーティング、外層、又はスリーブ72により覆い隠してもよい。例えば、基部部分52及び治療部53(露出したままである先端51を除く)は、針の通電によって、結果的に、中間組織層及び内層を残しながら最外組織層のみを切除すように覆い隠すことができる。コーティング72は、ポリウレタン又はポリイミドで作製することができる。
【0037】
リード線40は、先端部分14のルーメン29と、カテーテル本体12のルーメン18と、制御ハンドル16とを通って延在し、妥当なモニタ(図示せず)に差し込むことができる入力用ジャック(図示せず)内の近位端にて終端する。所望であるなら、リード線40の、カテーテル本体12と、制御ハンドル16と、先端部分14の近位端とを通って延在する部分は、保護管又はシース内に密閉するか又は束ねてもよい。
【0038】
別の代替実施形態では、支持部材30’及び針アクチュエータ33’は、それぞれ、図12及び12A〜12Cに示すように円形断面を有する。針アクチュエータ33’は、支持部材30’が通って延在するルーメン58’を有する。アクチュエータ33’の外径は、支持部材30’の外径を上回る。したがって、針13’の湾曲した基部部材52は、図12Dに示すように、針が格納位置にあるときに支持部材30’に針13’が載るのを特に防止しないアクチュエータ33’の大きい方の外径に適合する。針13’の近位基部52Pは、アクチュエータ上へ針13’を持ち上げるためのアクチュエータ33’の遠位端33D’との係合を促進するために(例えば、短い方のLp及び長い方のLd)傾斜している。この実施形態において、針13’は、アクチュエータ33’により切除に向けて通電することができる。
【0039】
当業者には理解されるように、温度感知手段を環電極及び/又は針のために遠位先端部内に設置してもよい。任意の従来の温度感知手段、例えば熱電対又はサーミスタを使用してもよい。チップ電極36の温度感知手段は、エナメル化ワイヤ対により形成された熱電対を含む。ワイヤ対のうちの一方のワイヤは、銅線、例えば、熱電対の一部としてだけでなく電極リードとしての役目を果たす40番の銅線である。例えば、ワイヤ対のうちの他方のワイヤは、構成体ワイヤ(construction wire)、例えば、支持及び強度をワイヤ対に与える40番の構成体ワイヤである。ワイヤ及びワイヤ対は、それらが接触し溶接又は半田付けされる遠位端でを除き互いから電気的に絶縁されている。ワイヤは、部分14内のリード線を担持するルーメン及びカテーテル本体12の中央ルーメン18を通って延在して制御ハンドル16内に入ることができる。
【0040】
例示する実施形態において、電磁センサ34は、中間偏向可能部14の遠位端にて又はその近傍にてルーメン27内に含まれる。電磁センサ34は、中間偏向可能部14のルーメン27、カテーテル本体12のルーメン18を通って延在し制御ハンドル16内に入る、電磁センサケーブル36によって接続される。電磁センサのケーブル36は、プラスチック被覆シース内に入れられた多数のワイヤを含む。
【0041】
図8に示すように、センサケーブル36のワイヤは、制御ハンドル16内の回路基板164に接続されている。この回路基板164は、電磁センサから受け取った信号を増幅し、それをコンピュータが認識可能な形式でコンピュータに伝送する。適切な電磁センサが、例えば米国特許第4,391,199号に説明されており、この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。電磁マッピングセンサ34は、イスラエルのBiosense Ltd.により製造され、NOGAという商標で販売されている。
【0042】
電極リード線、熱電対線、電磁センサケーブル36、及び任意のその他の構成部品又はデバイスは、カテーテルが撓んだときに破断しないようにカテーテル本体12内で長手方向の動きが可能であってよい。更に、前進ワイヤ32は、本発明の特徴によって前進及び格納することができる。そのような縦の動きを提供するために、カテーテル本体12内のありとあらゆる接着部を通るトンネルが設けられている。トンネルは、一実施形態では、ポリイミド管の短尺セグメントで作製された移送管(図示せず)により形成される。
【0043】
偏向を起こすカテーテル本体12及び部分14に対する引込線42の長手方向の動きは、制御ハンドル16の適切な操作により達成される。図7に示すように、制御ハンドル16の遠位端は、引込線42を操作するための親指制御部256を有するピストン254を含む。カテーテル本体12の近位端は、収縮スリーブ228によってピストン254に接続されている。
【0044】
引込線42、リード線40、前進ワイヤ32及び電磁センサケーブル36は、ピストン254を通って延在している。ピストン254は、制御ハンドルの胴部257内にある。ピストン254を受容するためのピストン室を有する胴部257は、全体的に中実である。ピストン室から近位を延在するのは、2本の長手方向トンネル258及び260、並びにアンカピン287を受容するための横方向の穴259である。第1の長手方向トンネル258は、横方向の穴259と連通している。リード線40及びセンサケーブル36は、第1のトンネル258を通って延在している。引込線42も、第1のトンネル258を通って延在し、横方向の穴259にてアンカピン287に繋留されている。前進ワイヤ32は、第2のトンネル260を通って延在している。トンネル258及び260の遠位端とピストン254の近位端との間で、室262は、更なる空間を提供して、該室を通って延在する構成部品の好ましくない曲げを回避する。センサケーブル36は、制御ハンドル16内の回路基板264に接続する。ワイヤ290により、回路基板264が、コンピュータ及び画像モニタ(図示せず)に接続される。
【0045】
前進ワイヤ32は、制御ハンドル16及びカテーテル本体12を通って延在し、部分14の管19のルーメン25内に入る。本発明の特徴により、ワイヤ32は、以下で更に論じるように、制御ハンドル16の操作によりカテーテル本体内で遠位に及び近位に移動させることができる。
【0046】
図7〜9の例示する実施形態において、制御ハンドル16は、伸長した制御ハンドルの構成のために胴部257の近位に第2の胴部255を有する。ワイヤ32は、遠位胴部257内のピストン254を介して制御ハンドル内に近位に延在し、ワイヤ32に対応する、全体的な円形断面(図59)の開口部又はノッチ202を有する近位胴部255の遠位端200を通って延在する。例示する実施形態において、ワイヤ動作制御機構217は、ワイヤ32の前進及び格納を可能にする手段として、近位胴部255の近位端204上に取り付けられる。
【0047】
例示する実施形態においては、機構217は、ほぼ円筒形のねじ付き案内部材206と、該案内部材上に取り付けられたほぼ円筒形の調整部材208と、部材206の外面214と部材208の内面209との間に位置する案内された部材210(例えば、スラグ又はピン)とを含む。案内された部材は、ヘリカルガイド溝212内に摺動し、ほぼ真直ぐな遠位部分216及びほぼ真直ぐな近位部分218は全て、案内部材206の外面214上に形成される。例示する実施形態において、ヘリカルガイド溝212は、遠位溝部216及び218が互いにほぼ正反対となるように、案内部材206の周囲に約4.5回巻かれる(図9d及び9eを参照)。
【0048】
ほぼ円筒形の調整部材208は、部材206と密接に合致して、内部が重なり合うほぼ同軸の構成で部材206を受容するようにサイズ設定される。その点については、案内部材206は、スナップ嵌めの結合が得られるように調整部材208の近位端の内面209に形成された窪みのあるリング222とロックする突出部220を有する。前進機構部の適切な組み立てのための半径方向の整合は、部材208の遠位端の内面209内に形成された細長いスロット226が、部材206の溝212内に位置する案内された部材210を受容したときに達成される。図8により良く示されるように、スロットの幅は、調整部材208(破線にて図示)の回転が案内部材206の溝212にて案内された部材210を効果的に移動させるように、案内された部材210の幅と密接に合致している。案内された部材210に繋留されるのは、ワイヤ23の近位端であり、それに隣接した遠位部は、案内溝212において案内部材206の周囲に巻かれ、部材206上のほぼ真直ぐな遠位溝部216から胴部255の内部に延在する。
【0049】
図9に示すように、案内部材206の遠位端は、ほぼ円筒形の中空内部232を有する胴部255の近位端にて、拡大された適合する開口部230に挿入される。部材208及び206の結合で、機構部217は、胴部255の内部232と連通し、かつリード線40及び制御ハンドルを近位に通って延在するセンサケーブル36などの構成部品が胴部255を通過することを可能にする、通路233を形成する。これらの構成部品は胴部255の内部232を通って延在するが、ワイヤ32も、ワイヤ32専用の通路238が設けられる胴部255の近位端に向かってを除きそれを通って同様に延在する。有利なことに、通路238は、ワイヤ32が、内部232から通路238を通って延在し部材206に巻かれるように、案内部材206のほぼ真直ぐな遠位案内溝216と整合するように構成されている。
【0050】
機構217を制御ハンドル上に組み立てるために、ワイヤ32の近位端が繋留された案内された部材210が、ワイヤ32の隣接した遠位部分が該近位端から遠位に溝212及び216内で巻かれた状態で溝212に設置される。部材206の遠位端は、胴部255に挿入される。部材208は、部材206の突出部220が部材208のリング凹部222内にロックされ、部材208の遠位端が胴部255の近位端とほぼ当接するまで、スロット226が案内された部材210と整合された状態で部材206の上方に遠位に挿入される。
【0051】
針13を遠位先端部15内に展開し格納するためにワイヤ32の前進及び格納を達成する作業において、機構217は、部材208の近位端にて外面上に形成されたノブ240によって、調整部材208の回転を介してユーザが操作することができる。ユーザがノブを(例えば、例示する実施形態では時計回りに)回転させると、内面209上のスロット226が、部材208の長手軸回りに回転して、案内された部材210を遠位方向に案内溝212に沿って螺旋状に駆動し、これによって、今度は、案内された部材210に接続されたワイヤ32が遠位に押し進められる。そのような前進は、案内された部材210がほぼ真直ぐな遠位案内溝216に到達するまで続けることができ、その場所にて、スロット226の遠位端は、案内された部材210の更なる遠位の動きを遮断する。
【0052】
ワイヤ32を引き抜き針13を格納するために、ユーザは、反対方向に(例えば、例示する実施形態では反時計回りに)ノブ240を回転させ、これによって、スロット226は、案内された部材210を近位方向に螺旋状に駆動させ、これによって、今度は、ワイヤ32が近位に引かれる。この格納は、案内された部材210がほぼ真直ぐな近位案内溝216に到達するまで続けることができ、その位置にて、スロット226の近位端は、案内された部材210の更なる近位の動きを防止する。
【0053】
スロット226とヘリカルガイド溝212との間の重なり合う長手方向領域は、案内された部材210の可能な移動距離、したがって、ワイヤ32の前進/格納距離、したがって、スロットの長さ及び溝216と218との間のような溝212の長手方向広がりの一方又は両方の変動を画定し、並びに/あるいは、重なりの度合いが、案内された部材210の移動距離及びワイヤ32の最大前進/格納距離を変え得ることが、当業者により理解される。(螺旋溝212及び最大前進/格納距離の周長を変える)案内部材206の直径の変化並びに/又は螺旋溝の巻線の数又は巻数を含め、他の変動も、移動距離及び最大前進/格納距離を変え得ることが更に理解される。
【0054】
本発明の別の実施形態では、カテーテル100が、図10及び11に示されている。カテーテル100は、カテーテル10と比較すると、類似点及び相違点を有し、その一部を以下で論じる。類似の構成部品及び構造体は、類似の参照番号で識別される。
【0055】
カテーテル100は、カテーテル本体112と遠位先端部115とを含む。カテーテル10と同様に、カテーテル110も、偏向が望まれる場合、中間偏向可能部114を含むことができる。図11Aに示すように、中間偏向可能部114の管119は、複数のルーメン、例えば、流体管137のための中心ルーメン125と、引込線142のための軸外ルーメン126と、リード線140のためのルーメン135と、emセンサ134及びセンサケーブル136のためのルーメン127とを有する。これらの構成部品のそれぞれは、カテーテル本体112を通って延在し、その後に中間偏向可能部14のそれぞれのルーメンに入る。
【0056】
遠位先端部115は、内部空洞167Cと、近位ネック部入口部167Nと、遠位先端部157Dとを有する細長いバルーン部材167により占有されるルーメン135を有する単一のルーメンを有する管128を有する。入口部167Nは、管119の遠位端にて又はその近傍にて流体管137の遠位端内で受容される。遠位先端部167は、ルーメン135の封止もするドームプラグ157内に繋留される。したがって、バルーン部材は、遠位先端部115の長手方向中心軸に沿って延在する。
【0057】
針113は、接着材によりバルーン部材167の外周面に基部152の底面により固着されて、針は、半径方向に外方に延在する。バルーン部材が収縮した状態にあるとき、針は、その先端部151が管128に形成された開口部156内に入れ子にされた状態で遠位先端部115に格納される。流体が流体管137内に導入され入口部167Nを介してバルーン部材の空洞167C内に供給されると、バルーン部材は膨らみ、開口部156に押し通し管128から半径方向に延在するように針113を展開させる。図11Bに示すように、展開された針は、血管54の組織層を突き通し貫通する。針は、膨張したバルーン部材により掛けられる半径方向に外方の力が拡張に対する管128の開口部156の抵抗性のある弾性力を克服するので、開口部156に押し通される。針113は、血管54の組織層の一部分又は異なる深部を切除するために、先述したように選択的に覆い隠すこともできる(図6を参照されたい)。更に、バルーン部材に移る流体の量は、組織層内への針の拡張の度合い又は深さを選択する際にバルーン部材の拡張を調節するように調整可能である。
【0058】
針113を格納するために、流体は、収縮するバルーン部材167から排出つまり流出する。半径方向に外方の力がない場合又は該力を除去する際には、針113は、拡張に対する管128の開口部156の抵抗性のある弾性力によりルーメン135内に内側に放出される。バルーン部材からの流体の力強い排出は、針を積極的にルーメン135に引き戻すこともできる。針が格納された状態で、カテーテル100を再位置決めするか、又は患者の体から除去することができる。
【0059】
適切な制御ハンドルが、2009年8月28日出願の米国特許出願第12/550,204号、2007年9月27日出願の米国特許出願第11/863,149号、及び2009年8月28日出願の米国特許出願第12/550,307号に説明されており、これらの特許の全ての内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態を参照して提示したものである。当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、本願に述べた構造の改変及び変更を実施することが可能であることが認識されるであろう。例えば、前進ワイヤ制御機構は、制御ハンドルに沿った任意の位置で一体化されてもよい。ユーザインタフェースは、上述の回転式ノブではなく線形動作による偏向ノブを可能にするように改変してもよい。双方向性の偏向が望まれる場合、当業者により理解されるように、第2の引込線を設けてもよい。更に、図面は、必ずしも原寸に比例しているわけではない。
【0061】
したがって、前出の説明は、添付図面で説明しかつ示す正確な構造体だけに関連すると読み取られるべきではなく、最も完全かつ公正な範囲を有することになっている以下の特許請求の範囲と一致してかつその裏づけとして読み取られるべきである。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
カテーテル本体と、
遠位先端部であって、
少なくとも1つの開口部を有する、ルーメン付きの管、
展開位置及び格納位置をとるようになっている前記ルーメン内の少なくとも1つの針、
前記遠位先端部の少なくとも前記ルーメンを通って延在する細長い支持部材、及び
前記遠位先端部の少なくとも前記ルーメンを通って延在し、かつ、前記細長い支持部材上で、また該細長い支持部材に対して長手方向に動くように適合されたアクチュエータ、を有する遠位先端部と、
前記細長い支持部材に対する前記アクチュエータの長手方向の動きを制御するようになっている部材を有する制御ハンドルと、
前記細長い支持部材に対して前記アクチュエータを移動させるために、少なくとも前記カテーテル本体に対して長手方向に動くように適合されたワイヤと、
を備え、
前記少なくとも1つの針は、前記格納位置にある間、前記細長い支持部材により支持され、前記少なくとも1つの針は、前記展開位置にある間、前記アクチュエータにより半径方向に外方に押し進められる、カテーテル。
(2) 前記格納位置にある間、前記少なくとも1つの針は、ほぼ前記遠位先端部内にあり、前記展開位置にある間、前記少なくとも針は、前記遠位先端部の外側に前記少なくとも1つの開口部を通る治療部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記治療部は、前記少なくとも1つの針が前記展開位置にある間、前記遠位先端部から半径方向に前記少なくとも1つの開口部を通って延在する、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記少なくとも1つの針は、前記格納位置及び展開位置の両方において前記遠位先端部に対して半径方向に支持される、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針が前記格納位置にある間、前記少なくとも1つの針の近位にある、実施態様1に記載のカテーテル。
【0063】
(6) 前記アクチュエータの少なくとも一部は、前記少なくとも1つの針が前記展開位置にある間、前記少なくとも1つの針と前記支持部材との間に位置決めされる、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針を前記格納位置から前記展開位置に移動させるために前記支持部材に対して遠位に移動される、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針を前記展開位置から前記格納位置に移動させるために前記支持部材に対して近位に移動される、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの針との係合を容易にするテーパ形状の遠位端を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記テーパ形状の遠位端は、前記少なくとも1つの針を前記支持部材から持ち上げて前記少なくとも1つの針を前記アクチュエータ上に案内するようになっている、実施態様9に記載のカテーテル。
【0064】
(11) 前記少なくとも1つの針は、前記テーパ形状の遠位端と係合するようになっている傾斜部分を有する、実施態様9に記載のカテーテル。
(12) 前記遠位先端部は、複数の針を含み、前記アクチュエータは、選択的な針を展開する際に前記支持部材に対して調整可能に長手方向に動くように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(13) 前記細長い支持部材は、2D又は3D形状を有する遠位部分を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) カテーテルであって、
カテーテル本体と、
遠位先端部であって、
ルーメンを有する、少なくとも1つの開口部を伴う管、
前記ルーメン内の拡張バルーン部材、
前記バルーン部材の外面に固着された少なくとも1つの針、を有する遠位先端部と、
前記カテーテル本体の近位の制御ハンドルと、
流体に前記バルーン部材を出入りさせるようになっている、少なくとも前記カテーテル本体と前記遠位先端部とを通って延在する流体管と、
を備え、
前記少なくとも1つの針は、前記バルーン部材が膨張するときに前記少なくとも1つの開口部を介して前記遠位先端部の外側に展開される治療部を有し、前記少なくとも1つの針は、前記バルーン部材が収縮するときに前記遠位先端部に格納される、カテーテル。
(15) 前記少なくとも1つの針は、半径方向に外方に延在する、実施態様14に記載のカテーテル。
【0065】
(16) 前記遠位先端部の前記管は、拡張に抵抗するようになっている弾性材料を含む、実施態様14に記載のカテーテル。
(17) 前記遠位先端部は、それぞれ前記バルーン部材の前記外面に固着された複数の針を含む、実施態様14に記載のカテーテル。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図10A
図11
図11A
図11B
図12
図12A
図12B
図12C
図12D