(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定接点と可動接点とを有するスイッチ機構が、本体ケース内の空間に収容されており、前記本体ケースに貫入させたロッドの軸線方向の進退移動に連動して、前記可動接点が前記固定接点に対して接離するスイッチにおいて、
前記本体ケースに、前記本体ケース内の空間と本体ケースの外部とを連通させる連通孔を設け、
前記本体ケースは、前記軸線方向の両端が封止された筒状を成すと共に、前記本体ケースの前記軸線方向の一端を貫通した前記ロッドを、前記軸線方向に進退移動可能に支持しており、
前記軸線方向から見て前記連通孔は、前記本体ケースを径方向に貫通して形成されており、前記連通孔は、前記軸線周りの周方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とするスイッチ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、デファレンシャル装置におけるデフロック機構の作動を検出するデフロックスイッチの場合を例に挙げて説明する。
図1は、デフロックスイッチ1の断面図である。
図2は、デフロックスイッチ1の要部断面図であり、(a)は、
図1におけるA−A断面図であり、(b)は、
図1におけるB−B断面図である。
【0016】
デフロックスイッチ1は、有底筒状のケース3と、有底筒状のターミナルブロック4とを、軸線X上で、互いの開口を対向させた向きで組み付けて形成される本体ケース2を有しており、この本体ケース2内には、スイッチ機構SWなどを収容する空間Sが形成されている。
この空間Sは、ケース3とターミナルブロック4との間に把持されたダイヤフラム5により、2つの空間S1、S2に区画されており、ターミナルブロック4側の密閉された空間S1内に、スイッチ機構SWが設けられている。
【0017】
スイッチ機構SWは、ターミナルブロック4の内周面に露出する固定接点41と、空間S1内で軸線X方向に進退移動可能に設けられた可動接点42と、を有している。
【0018】
可動接点42は、プランジャ43の軸部431に外挿されるリング状の基部421と、基部421の外周縁から、プランジャ43から離れる方向に延びる脚部422と、を有しており、基部421において脚部422は、軸線X周りの周方向に間隔を空けて複数設けられている。
脚部422の各々は、基部421で片持ち支持されており、脚部422の先端422a側は、軸線Xの径方向に弾性変形可能となっている。
【0019】
脚部422の径方向内側では、可動接点42とプランジャ43とをダイヤフラム5側に付勢するスプリングSP1が、軸線Xに沿って設けられている。
このスプリングSP1の長手方向の一端側は、ターミナルブロック4に設けた円筒形状の支持部44に外挿されており、スプリングSP1は、この支持部44により軸線X方向の位置決めがされている。
【0020】
スプリングSP1の他端は、可動接点42の基部421に当接しており、スプリングSP1から基部421に作用する付勢力で、可動接点42が取付けられたプランジャ43を、ゴム製のダイヤフラム5に圧接させている。
【0021】
ダイヤフラム5は、プランジャ43が当接した中央部51が、軸線X方向に弾発的に変位可能となっており、中央部51が、
図1に示す位置から図中左側に変位すると、プランジャ43と可動接点42が、スプリングSP1の付勢力で図中左側に移動して、可動接点42の脚部422の先端422a側が、固定接点41に接触するようになっている。
【0022】
固定接点41は、インサート成型によりターミナルブロック4と一体に形成されている。固定接点41は、ターミナルブロック4内を、ターミナルブロック4の一端4a側に延びており、この一端4aに外嵌したカバー7の内側で、図示しない配線に接続されている。
この固定接点41と配線との接続部は、カバー7内に充填した絶縁性の接着剤71により封止されており、固定接点41と配線との接続部の絶縁性が確保されている。
【0023】
ターミナルブロック4では、カバー7とは反対側の他端4bに、ケース3に設けた筒状の嵌合部31aが外嵌しており、この嵌合部31aをカシメてターミナルブロック4の外周に係合させることで、ケース3のターミナルブロック4からの脱落が阻止されている。
【0024】
ケース3は、ロッド6を軸線X方向に進退移動可能に支持する有底筒状の部材である。このケース3は、ターミナルブロック4から離れるにつれて段階的に縮径した外形を有しており、ターミナルブロック4側から順番に、係合部31、嵌合部32、ロッド支持部33となっている。
ケース3の内部には、ロッド6を挿通させる挿通孔34(34a〜34c)が、軸線Xに沿って形成されており、この挿通孔34もまた、ターミナルブロック4から離れるにつれて段階的に縮径している。
【0025】
ロッド支持部33は、デフロックスイッチ1をデフケース160に取り付けた際に、デフケース160内に位置する部位である。
ロッド支持部33の挿通孔34aは、ロッド支持部33の先端33aから軸線Xに沿って嵌合部32側(図中、右側)に向けて直線状に形成されている。この挿通孔34は、ロッド6の外径D1(
図2の(a)参照)と整合する内径で、軸線X方向に所定長さL1で形成されており、ロッド支持部33の挿通孔34aを挿通させたロッド6は、軸線Xに対する傾きと軸線Xの径方向の振れが抑制された状態で、軸線X方向に進退移動可能となっている。
【0026】
挿通孔34aは、ロッド支持部33の内側の嵌合部32寄り(図中右寄り)の位置で、嵌合部32を貫通した挿通孔34bに連通しており、挿通孔34aと挿通孔34bとの境界である段部332から、嵌合部32側(図中、右側)にオフセットした位置に、挿通孔34b(空間S2)とロッド支持部33の外部とを連通させる連通孔331が形成されている。
【0027】
図2に示すように、連通孔331、331は、軸線X周りの周方向で、180度間隔で2つ形成されており、これら連通孔331、331は、軸線X方向から見て、ロッド支持部33の直径線Lm上に位置している。
【0028】
図1に示すように、ロッド支持部33に隣接する嵌合部32は、デフロックスイッチ1をデフケース160に取り付けた際に、デフケース160の貫通孔161に嵌入される部位である。
嵌合部32は、ロッド支持部33よりも大きい外径で形成されており、この嵌合部32の外周には、Oリング39を外嵌させる嵌合溝322が形成されている。
嵌合部32において嵌合溝322は、軸線X周りの周方向の全周に亘って形成されており、デフロックスイッチ1がデフケース160に取り付けられた際に、デフケース160の貫通孔161にOリング39が圧接することで、デフケース160内の潤滑油の外部への漏出が阻止されるようになっている。
【0029】
嵌合部32の挿通孔34bは、ロッド6と、このロッド6に外挿されたスプリングSP2とを収容可能な内径D2(
図2の(a)参照)で形成されており、前記したロッド支持部33の挿通孔34aおよび係合部31の挿通孔34cと、同軸に設けられていると共に、これら挿通孔34a、挿通孔34cに連通している(
図1参照)。
挿通孔34b内においてスプリングSP2の一端は、挿通孔34aと挿通孔34bとの境界となる段部332に当接しており、スプリングSP2の軸線X方向の位置決めが、この段部332により成されている。
【0030】
嵌合部32のターミナルブロック4側に隣接する係合部31は、デフロックスイッチ1をデフケース160に取り付けた際に、デフケース160の外部に位置する部位であって、ターミナルブロック4に係合する部位である。
【0031】
係合部31は、嵌合部32およびターミナルブロック4よりも大きい外径で形成されており、ターミナルブロック4側の周縁には、ターミナルブロック4の他端4bに外嵌する嵌合部31aが、軸線X周りの周方向の全周に亘って形成されている。
【0032】
係合部31の挿通孔34cは、ロッド6の一端6aに連結されたインシュレータ35を収容可能な内径であって、インシュレータ35の外径と略整合する内径D3(
図2の(b)参照)で形成されている。
図1に示すように、挿通孔34cの内周面には、軸線Xに沿ってキー溝31bが形成されている。このキー溝31bには、インシュレータ35の外周に設けた突起35aが係合しており、インシュレータ35の軸線X周りの回転を、キー溝31bに係合させた突起35aにより阻止している。
【0033】
インシュレータ35が連結されたロッド6では、インシュレータ35の近傍の位置に、Cリング36が取り付けられており、このCリング36は、ロッド6に外挿されたカラー37のロッド6からの脱落を阻止している。
【0034】
カラー37は、挿通孔34cの内径D3(
図2の(b)参照)よりも小さい外径のリング状の部材であり、カラー37のロッド支持部33側の面には、ロッド6に外挿されたスプリングSP2が当接している。
スプリングSP2の付勢力は、カラー37とCリング36とを介してロッド6に作用しており、このロッド6に作用するスプリングSP2の付勢力は、ロッド6の一端6aに連結されたインシュレータ35を、ダイヤフラム5に圧接させる方向に作用している。
ここで、ダイヤフラム5を挟んで一方側に位置するインシュレータ35と、他方側に位置するプランジャ43は、共通の軸線X上で、それぞれダイヤフラム5に圧接している。
【0035】
嵌合部32には、デフロックスイッチ1のデフケース160への取り付けに用いられるプレート38が外挿されている。
図2に示すように、プレート38は、ボルト孔381と、ケース3の嵌合部32に外挿される嵌合孔382とを有する板状部材であり、ボルト孔381と嵌合孔382は、プレート38の長手方向に間隔を空けて設けられている。
【0036】
嵌合孔382は、嵌合部32の外径に整合する内径D4で形成されており、嵌合孔382の内周縁では、当該嵌合孔382の中心軸(軸線X)周りの周方向における1カ所に、切欠き383が形成されている。
【0037】
ここで、デフロックスイッチ1は、嵌合部32をデフケース160の貫通孔161に嵌入したのち、嵌合部32に外挿されたプレート38を、ボルト孔381を通したボルト162を用いてデフケース160に固定することで、デフケース160に取り付けられるようになっている。
【0038】
図1に示すように、デフロックスイッチ1のケース3では、係合部31における嵌合部32側の端面31cに、この切欠き383に整合する形状の突起312が形成されており、プレート38を嵌合部32に外挿した際に、ケース3側の突起312がプレート38の切欠き383に嵌合することで、プレート38とケース3とが、軸線X周りの相対回転が規制された状態で組み付けられるようになっている(
図2の(b)参照)。
【0039】
ここで、実施の形態では、軸線X方向から見た突起312の角度位置が、前記したロッド支持部33の連通孔331、331を通る直径線Lmに一致するように、連通孔331、331を形成する角度位置が決められている(
図2の(a)参照)。
そして、デフロックスイッチ1をデフケース160に取り付けた際に、プレート38のボルト孔381と嵌合孔382とが、同一の鉛直線VL上に位置するように、デフケース160におけるプレート38の取付角度が設定されている。
そのため、係合部31の突起312を、プレート38の切欠き383に嵌合して、デフロックスイッチ1をデフケース160に取付けると、連通孔331、331の一方が、デフロックスイッチ1の設置方向(鉛直方向)における下側に配置されるようになっている。
【0040】
かかる構成のデフロックスイッチ1の動作を説明する。
図3は、デフロックスイッチ1の動作を説明する図であり、(a)は、デフロック機構が作動状態になって、ロッド6がスイッチ機構SWをオンさせる位置に移動した状態を、(b)は、デフロック機構が非作動状態になって、ロッド6がスイッチ機構SWをオフさせる位置に移動した状態を示している。
【0041】
図1に示すように、実施の形態のデフロックスイッチ1は、デフケース160に取付けられた状態で、連通孔331が形成されたロッド支持部33を、デフケース160内の掻き上げられた潤滑油が作用する位置に配置させており、ロッド支持部33から突出してデフケース160内に位置するロッド6の他端6b側は、当該他端6bに設けた係合部6cを、デフロック機構(図示せず)側の被係合部材150に係合させている。
【0042】
そして、デフロック機構が作動して、被係合部材150が図中左側に移動すると、ロッド6が被係合部材150により牽引されて、図中左側に移動する。
そうすると、このロッド6の一端6aに連結されたインシュレータ35が、ロッド6の移動に連動して図中左側に移動する。
【0043】
ここで、ダイヤフラム5を挟んでインシュレータ35の反対側に位置するプランジャ43と可動接点42は、スプリングSP1の付勢力で図中左側に付勢されているので、プランジャ43と可動接点42は、インシュレータ35の移動に連動して、図中左側に移動して、可動接点42の先端422aと固定接点41とが接触して、デフロックスイッチ1がオンされることになる。
【0044】
この際、ロッド6の移動に連動して図中左側に移動するインシュレータ35は、空間S2の容積を狭めながら図中左側(ロッド支持部33側)に移動する。
ここで、ロッド支持部33には、挿通孔34bとロッド支持部33の外部とを連通させる連通孔331が形成されている。そのため、空間S2の容積が狭まる際に、空間S内の気体が、連通孔331を介してデフロックスイッチ1(ロッド支持部33)の外部に排出されるので、ロッド6の移動が阻害されないようになっている(
図3の(a)参照)。
【0045】
また、空間S2内に潤滑油が侵入している場合、軸線Xの軸方向から見て下側に連通孔331が位置するようになっているので、空間S2の容積が狭まる際に、空間S2内の潤滑油は、挿通孔34b内をロッド支持部33側に移動し、挿通孔34b内で下側に開口する連通孔331から、デフロックスイッチ1(ロッド支持部33)の外部に排出される(
図3の(a)参照)。
よって、空間S2内に浸入していた潤滑油により、ロッド6の移動が阻害されないようになっている。
【0046】
さらに、ロッド6がロッド支持部33側(図中左側)に移動すると、ロッド6に外挿されたスプリングSP2が、段部332と、ロッド支持部33側に移動するカラー37との間で圧縮されて、スプリングSP2の軸線X方向の長さが短くなる(
図3の(a)参照)。
この際、挿通孔34b内に位置する潤滑油は、圧縮されるコイル状のスプリングSP2により押されて、ロッド支持部33側に移動することになる。
ここで、実施の形態では、挿通孔34b内のロッド支持部33側(スプリングSP2の圧縮側)に連通孔331が形成されており、スプリングSP2により押された潤滑油が、この連通孔331を通って、デフロックスイッチ1(ロッド支持部33)の外部に排出される。よって、圧縮されるスプリングSP2により、潤滑油をより確実に、ロッド支持部33の外部に排出できるようになっている。
【0047】
なお、空間S2が密閉されている場合には、空間S2内の気体や潤滑油の逃げ場がないために、ロッド6は、空間S2内の気体や潤滑油を圧縮しながら移動することになる。
この気体や潤滑油を圧縮する力は、ロッド6の移動の抵抗になるので、ロッド6の移動が阻害されてしまうことになる。
【0048】
そして、デフロック機構が非作動状態になって、被係合部材150が図中右側に移動すると、被係合部材150からロッド6に作用していた牽引力が無くなることになる。
そうすると、ロッド6は、スプリングSP2により図中右側(ターミナルブロック4側)に付勢されているので、ロッド6とロッド6の一端6aに連結されたインシュレータ35が図中右側に移動することになる。
【0049】
ここで、ダイヤフラム5を挟んでインシュレータ35の反対側に位置するプランジャ43と可動接点42を付勢するスプリングSP1の付勢力は、スプリングSP2の付勢力よりも小さいので、プランジャ43と可動接点42は、スプリングSP1を圧縮しながら図中右側に移動する。
これにより、可動接点42の先端422aが、固定接点41から離れて、非接触状態となるので、デフロックスイッチ1がオフされることになる。
【0050】
この際、ロッド6の移動に連動して図中右側に移動するインシュレータ35は、空間S2の容積を広げながら図中右側(ターミナルブロック4側)に移動する。
ここで、ロッド支持部33には、挿通孔34bとロッド支持部33の外部とを連通させる連通孔331が形成されている。そのため、空間S2の容積が広がる際に、空間S内の気体が、連通孔331を介してデフロックスイッチ1(ロッド支持部33)の内部に流入するので、ロッド6の移動が阻害されないようになっている。
【0051】
なお、空間S2が密閉されている場合には、空間S2内に気体が流入できる隙間は、ロッド6と挿通孔34aとの間の僅かな隙間に限られているので、ロッド6は、空間S2内の負圧を高めつつ移動することになる。
この空間S2内の負圧は、ロッド6に付着した潤滑油の空間S2内への侵入をひき起こす要因となり、空間S2内に侵入した潤滑油と空間S2内の負圧とが、ロッド6の移動の抵抗になるので、ロッド6の移動が阻害されてしまうことになる。
【0052】
ここで、実施の形態では、挿通孔34bとロッド支持部33の外部とが連通孔331を介して連通しており、外部の気体が連通孔331を介して流入することで、空間S2内が負圧状態にならないようになっている。そのため、ロッド6の他端6b側などに潤滑油が付着していたとしても、潤滑油がロッド6と挿通孔34aとの間の僅かな隙間を通って空間S2内に流入しないようになっている。
【0053】
さらに、デフケース160内の潤滑油には、粘度の高いものが用いられる傾向があるので、仮にデフケース160内で下側に位置する連通孔331に潤滑油が付着している場合や、下側に位置する連通孔331が、潤滑油の液面よりも下側に位置している場合でも、上側に位置するもう一つの連通孔331からの気体の流入の方が、下側に位置する連通孔331からの潤滑油の流入よりも容易であるので、空間S2内への潤滑油の流入を好適に抑えることができるようになっている。
【0054】
以上の通り、第1の実施の形態では、
(1)固定接点41と可動接点42とを有するスイッチ機構SWが、本体ケース2内の空間Sに収容されており、本体ケース2に貫入させたロッド6の軸線X方向の進退移動に連動して、可動接点42が固定接点41に対して接離するデフロックスイッチ1において、
本体ケース2は、ロッド6が軸線X方向から貫通した有底筒状のケース3と、有底筒状のターミナルブロック4とを、軸線X上で、互いの開口を対向させた向きで組み付けて形成されており、
本体ケース内の空間Sは、ケース3とターミナルブロック4の間に介在させたダイヤフラム5により、ケース3側の空間S2と、ターミナルブロック4側の空間S1とに区画されており、
スイッチ機構SWは、ターミナルブロック4側の密閉された空間S1に設けられており、
本体ケース2のケース3に、本体ケース2内の空間S2と本体ケース2の外部とを連通させる連通孔331を少なくとも2つ設けた構成とした。
【0055】
このように構成すると、本体ケース2内の空間S2が、連通孔331を介して本体ケース2の外部と連通しているので、空間S2内に潤滑油が侵入しても、侵入した潤滑油が連通孔331を通って本体ケース2の外部に排出されるので、潤滑油によりロッド6の進退移動が妨げられることがない。
【0056】
(2)本体ケース2は、軸線X方向の両端が封止された筒状を成すと共に、軸線X方向からケース3を貫通したロッド6は、ケース3のロッド支持部33で、軸線X方向に進退移動可能に支持されており、
軸線X方向から見て連通孔331は、本体ケース2のケース3を径方向に貫通して形成されており、連通孔331は、軸線X周りの周方向に等間隔で複数設けられている構成とした。
【0057】
このように構成すると、軸線Xが略水平になるように、デフロックスイッチ1の本体ケース2を設けた場合、軸線X周りの周方向の異なる角度位置に連通孔331のうちの少なくとも1つを下側に配置できるので、デフロックスイッチ1を設置する際に、本体ケースの軸線X周りの角度位置を厳密に決める必要が無い。
よって、デフロックスイッチ1の設置がより簡単に行えるようになる。
【0058】
(3)本体ケース2のケース3内では、ロッド6を軸線X方向におけるターミナルブロック4側に付勢するスプリングSP2が、ロッド6に外挿して設けられており、
連通孔331は、ロッド6がターミナルブロック4から離れる方向に移動した際に、スプリングSP2が圧縮されて移動する側(圧縮側)で、本体ケース2内の空間S2に開口している構成とした。
【0059】
このように構成すると、空間S2内の潤滑油は、圧縮されるコイル状のスプリングSP2により押されて、連通孔331側に移動するので、潤滑油をより確実に、本体ケース2の外部に排出できる。
【0060】
(4)デフロックスイッチ1は、ロッド6とケース3のロッド支持部33がデフケース160内に配置されて、デフロック機構の作動を検出するものであり、
連通孔331は、ロッド支持部33におけるデフケース160内の空間と本体ケース2内の空間S2とを連通させる位置に設けられている構成とした。
【0061】
このように構成すると、デフロックスイッチ1のデフケース160内に位置する部位には、回転体などに掻き上げられた潤滑油が作用するので、この作用した潤滑油が、本体ケース2内の空間に侵入しても、連通孔331からデフケース内に確実に戻すことができる。
【0062】
(5)デフロックスイッチ1は、本体ケース2のケース3に回り止めされた状態で係合したプレート38を介して、デフケース160に取り付けられており、
プレート38には、当該プレート38をデフケース160に固定するボルト162のボルト孔381と、本体ケース2の嵌合部32に外挿される嵌合孔382とが、軸線X方向に貫通して形成されており、
軸線X方向から見た連通孔331の位置は、軸線X方向から見たボルト孔381の位置を基準として設定されている構成とした。
【0063】
このように構成すると、デフロックスイッチ1をデフケース160に取り付けた際に、プレート38のボルト孔381と嵌合孔382とが、同一の鉛直線VL上に位置するように設定すると、ボルト孔381の軸線X周りの角度位置を基準として、連通孔331のひとつが、デフロックスイッチ1の設置方向(鉛直方向)における下側に常に配置されるようにすることができる。
よって、本体ケース2内に侵入した潤滑油を、確実に排出させることができるようになる。
【0064】
(6)ケース3側の空間S2内では、ロッド6の進退移動に連動して軸線X方向に移動すると共に、ロッド6がターミナルブロック4側に移動した際に、ダイヤフラム5を介してスイッチ機構SWを操作するインシュレータ35が設けられており、
インシュレータ35は、ケース3側の空間S2のうち、インシュレータ35を軸線X方向に移動可能に支持する係合部31の挿通孔34cにより形成される空間内に配置される共に、挿通孔34cの内径に略整合する外径を有している構成とした。
【0065】
このように構成すると、インシュレータ35が軸線方向に移動する際に、空間S2内の気体や潤滑油が、インシュレータ35の外周と挿通孔34cの内周との隙間を通って移動し難くなる。
よって、インシュレータ35が連通孔331に近づく方向に移動した際に、空間S2内の気体や潤滑油を、連通孔331から本体ケース2の外部により確実に排出させることができる。
【0066】
以下、デフロックスイッチの第2の実施形態を説明する。
図4は、第2の実施形態にかかるデフロックスイッチ1Aの断面図である。
図5は、第2の実施形態にかかるデフロックスイッチ1Aの連通孔331を説明する図である。
【0067】
デフロックスイッチ1Aは、嵌合部32の外周に形成した雄ネジ323を、デフケース160の貫通孔161の雌ネジ163に螺入して、デフケース160に取り付けられるようになっている。
そのため、Oリング39を外嵌させる嵌合溝322(
図1参照)や、デフロックスイッチ1のデフケース160への取り付けに用いられるプレート38(
図1参照)を備えていないという点において、前記した第1の実施形態のデフロックスイッチ1と相違している。
【0068】
ここで、嵌合部32の雄ネジ323をデフケース160の雌ネジ163に螺入して、デフロックスイッチ1Aを、デフケース160に取り付けると、ロッド支持部33に形成された連通孔331の軸線X周りの角度位置が、雄ネジ323の締め付け具合に応じて変化する。
【0069】
そのため、第2の実施形態にかかるデフロックスイッチ1Aでは、ロッド支持部33に設けた連通孔331の数が、第1の実施形態にかかるデフロックスイッチ1と異なっている。
具体的には、
図5の(a)に示すように、軸線Xの軸方向から見て、連通孔331は、軸線X周りの周方向に等間隔(120°間隔)で3つ設けられている。
【0070】
このように構成すると、
図5の(a)に示すように、下側に位置する連通孔331が鉛直線VLに沿う向きでデフロックスイッチ1Aが取り付けられた際には、挿通孔34b内に侵入した潤滑油の総てが連通孔331から、ロッド支持部33の外部に排出される。
【0071】
また、
図5の(c)に示すように、上側に位置する連通孔331が鉛直線VLに沿う向きでデフロックスイッチ1Aが取り付けられた際には、挿通孔34b内に侵入した潤滑油のうち、下側に位置する連通孔331の開口高さまでの潤滑油が挿通孔34bに残ることになるが、挿通孔34b内に残る潤滑油の量が抑えられること、連通孔331を介して挿通孔34bの内部とロッド支持部33とが連通していることから、残留している潤滑油によりロッド6の移動が阻害される程度は、空間S2が密閉されている場合に比べて、許容できる程度に抑えられるようになっている。
【0072】
なお、連通孔331が3つ形成されたロッド支持部33の場合、連通孔331が
図5の(c)に示す角度位置に配置されたときに、最も多くの潤滑油が挿通孔34b内に残るため、連通孔331が、
図5の(a)に示す角度位置と
図5の(c)に示す角度位置の間の角度位置に配置された場合(例えば
図5の(b))には、
図5の(c)の場合よりも少ない量の潤滑油が残ることになる。よって、この場合にも、残留した潤滑油によるロッド6の移動が阻害される程度が、抑えられるようになっている。
【0073】
なお、第2の実施形態では、連通孔331の数が3つである場合を例示したが、連通孔の数は、少なくとも3つ以上であれば良い。
しかし、連通孔331の数が増えると、ロッド支持部33の剛性強度が弱くなる可能性があるので、連通孔331の最大数は、ロッド支持部33の厚み(肉厚)や外径に応じて決まるロッド支持部33に必要とされる最小の剛性強度よりも低くならない数に設定されることが好ましい。
【0074】
以上の通り、第2実施形態では、
(7)デフロックスイッチ1Aでは、本体ケース2のケース3の外周に雄ネジ323が形成されており、デフロックスイッチ1Aは、デフケース160の貫通孔161の雌ネジ163に雄ネジ323を螺入して、軸線X回りに回転させながら、デフケース160に取り付けられるようになっており、
軸線X方向から見てケース3のロッド支持部33の連通孔331は、軸線X周りの周方向に等間隔で少なくとも3つ設けられている構成とした。
【0075】
このように構成すると、雄ネジ323の締め付け量に応じて連通孔331の軸線X周りの角度位置が変化しても、少なくともひとつの連通孔331から、本体ケース2の空間S2内の潤滑油が排出されることになる。
この場合、潤滑油の一部が空間S2内に残る場合が生じるものの、挿通孔34b内に残る潤滑油の量が抑えられること、連通孔331を介して挿通孔34bの内部とロッド支持部33とが連通していることから、残留している潤滑油によりロッド6の移動が阻害される程度は、空間S2が密閉されている場合に比べて、許容できる程度に抑えられる。
よって、空間S2内に潤滑油が侵入しても、侵入した潤滑油が連通孔331を通って本体ケース2の外部に排出されるので、潤滑油によりロッド6の進退移動が大きく妨げられることがない。
【0076】
また、連通孔331の軸線X周りの角度位置を気にしつつ、雄ネジ323の締め付け具合を調整する必要が無いので、デフロックスイッチ1Aのデフケース160への取付けを容易に行うことができる。
【0077】
前記した第1の実施形態では、ロッド支持部33に設けた連通孔331の数が2つである場合を例示したが、連通孔331の数は3つ以上であっても良い。
さらに、ロッド支持部33において連通孔331を、軸線X周りの周方向で、180度間隔で2つ設けた場合を例示したが、プレート38によりデフケース160内での連通孔331の位置を規定できる場合には、一方の連通孔331をデフケース160内の下側に、他方の連通孔331をデフケース内の上側に位置させることができるので、軸線X周りの周方向における連通孔331、331の間隔は、必ずしも等間隔にする必要は無い。
【0078】
前記した第1の実施の形態では、デフロックスイッチ1が組み付けられたプレート38をデフケース160に取り付ける際に、プレート38のボルト孔381と嵌合孔382とが、同一の鉛直線VL上に位置するように、デフケース160におけるプレート38の取付角度を設定する場合を例示したが、
図6に示すように、プレート38に、二面幅部384、384を設けて、この二面幅部384、384を用いて、ボルト孔381と嵌合孔382とが同一の鉛直線VL上に配置されるようにしても良い。
この場合、プレート38の嵌合孔382を挟んだ両側に、鉛直線VLに対して平行に、二面幅部384、384を設けると共に、デフケース160側に二面幅部384、384が嵌合する嵌合部を設けておくことで、デフロックスイッチ1が組み付けられたプレート38をデフケース160に取り付ける際のボルト孔381と嵌合孔382の位置決めを、より簡単に行うことができるようになる。
【0079】
前記した実施の形態では、本発明のスイッチが、デファレンシャル装置におけるデフロック機構の作動を検出するデフロックスイッチの場合を例に挙げて説明をしたが、本発明のスイッチは、本体ケースの少なくとも一部が、粘性流体(潤滑油)が封入された変速機ケース内に配置されて、変速レンジ位置を検出するニュートラルスタートスイッチであっても良い。
【0080】
この場合にも、ロッド6とケース3の少なくとも一部が変速機ケース内に位置しており、変速機ケース内に設けられた回転体で掻き上げられた潤滑油が、ニュートラルスタートスイッチの変速機ケース内に位置する部分に作用するので、デフロックスイッチの場合と同様の課題を解決することができる。