(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の接触角領域と前記第2の接触角領域とは、前記第1の接触角領域と前記第2の接触角領域との幅が前記底壁から前記開口に向けて広くなるように前記側壁に設けられる、請求項1記載の反応容器。
前記第2の内面領域には、前記底壁から開口まで前記第1の接触角領域が接続されるために、前記第2の接触角領域の他に前記第1の接触角領域が局所的に設けられる、請求項7記載の反応容器。
前記第2の接触角領域は、フッ素化合物、オクトデシルトリクロロシラン、シリコン樹脂、パラフィン、又は疎水基を有する化合物により形成される、請求項1記載の反応容器。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる反応容器及び自動分析装置を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、自動分析装置1は、分析機構2、分析機構制御部3、解析部4、表示部5、操作部6、記憶部7、及びシステム制御部8を備える。
【0010】
分析機構2は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。分析機構2は、自動分析装置の筐体に設けられている。分析機構2は、例えば、
図1に示すように、反応ディスク11、サンプルディスク13、第1試薬庫15、第2試薬庫17、サンプルアーム19―1、サンプルプローブ21―1、第1試薬アーム19―2、第1試薬プローブ21―2、第2試薬アーム19―3、第2試薬プローブ21―3、撹拌部23、光学測定部25、及び洗浄部27を搭載する。
【0011】
反応ディスク(保持機構)11は、円周上に配列された複数の反応容器31を保持する。反応ディスク11は、既定の時間間隔で回動と停止とを交互に繰り返す。サンプルディスク13は、反応ディスク11の近傍に配置されている。サンプルディスク13は、検体が収容されたサンプル容器33を保持する。サンプルディスク13は、分注対象の検体が収容されたサンプル容器33を検体吸入位置に配置するために回動する。第1試薬庫15は、検体の測定項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の第1試薬容器35を保持する。第1試薬庫15は、分注対象の第1試薬が収容された第1試薬容器35を第1試薬吸入位置に配置するために回動する。第2試薬庫17は、反応ディスク11の近傍に配置される。第2試薬庫17は、第1試薬に対応する第2試薬が収容された複数の第2試薬容器37を保持する。第2試薬庫17は、分注対象の第2試薬が収容された第2試薬容器37が第2試薬吸入位置に配置されるように回動する。
【0012】
反応ディスク11とサンプルディスク13との間にはサンプルアーム19―1が配置される。サンプルアーム19―1の先端には、サンプルプローブ21―1が取り付けられている。サンプルアーム19―1は、サンプルプローブ21―1を上下動可能に支持している。また、サンプルアーム19―1は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能にサンプルプローブ21―1を支持している。サンプルプローブ21―1の回動軌跡は、サンプルディスク13上の検体吸入位置や反応ディスク11上の検体吐出位置を通過する。サンプルプローブ21―1は、サンプルディスク13上の検体吸入位置に配置されているサンプル容器33から検体を吸入し、反応ディスク11上の検体吐出位置に配置されている反応容器31に検体を吐出する。
【0013】
反応ディスク11の外周近傍には第1試薬アーム19―2が配置される。第1試薬アーム19―2の先端には第1試薬プローブ21―2が取り付けられている。第1試薬アーム19―2は、第1試薬プローブ21―2を上下動可能に支持する。また、第1試薬アーム19―2は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第1試薬プローブ21―2を支持している。第1試薬プローブ21―2の回動軌跡は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置と反応ディスク11上の第1試薬吐出位置とを通る。第1試薬プローブ21―2は、第1試薬庫15上の第1試薬吸入位置に配置されている第1試薬容器35から第1試薬を吸入し、反応ディスク11上の第1試薬吐出位置に配置されている反応容器31に第1試薬を吐出する。
【0014】
反応ディスク11と第2試薬庫17との間には第2試薬アーム19―3が配置される。第2試薬アーム19―3の先端には第2試薬プローブ21―3が取り付けられている。第2試薬アーム19―3は、第2試薬プローブ21―3を上下動可能に支持する。また、第2試薬アーム19―3は、円弧状の回動軌跡に沿って回動可能に第2試薬プローブ21―3を支持している。第2試薬プローブ21―3の回動軌跡は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置と反応ディスク11上の第2試薬吐出位置とを通る。第2試薬プローブ21―3は、第2試薬庫17上の第2試薬吸入位置に配置されている第2試薬容器37から第2試薬を吸入し、反応ディスク11上の第2試薬吐出位置に配置されている反応容器31に第2試薬を吐出する。
【0015】
反応ディスク11の外周近傍に撹拌拌部23が配置される。撹拌部23は、撹拌子保持機構(支持部)23−1と撹拌子23−2とが取り付けられている。撹拌子保持機構23−1は、撹拌子23−2を上下動可能に支持する。撹拌子23−2は、撹拌子保持機構23−1により、反応ディスク11上の撹拌位置に配置された反応容器31内に下降される。撹拌子23−1の下降後、撹拌部23は、撹拌子23−2を振動させ、反応容器31内の検体と第1試薬との混合液、または、検体と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する。以下、これら混合液を反応液と呼ぶことにする。
【0016】
反応ディスク11の近傍には、光学測定部25が設けられている。光学測定部25は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、光学測定部25は、光源210と検出器220とを有している。光源210は、光を発生する。検出器220は、光源から照射され反応容器31及び反応液を透過した光、反応容器31及び反応液により反射された光、あるいは、反応容器31及び反応液により散乱された光を検出する。検出器220は、検出された光の強度に応じた計測値を表現するデータ(以下、測光データと呼ぶことにする。)を生成する。生成された測光データは、解析部4に供給される。
【0017】
反応ディスク11の外周には、洗浄部27が設けられている。洗浄部27は、分析機構制御部3による制御に従って作動する。具体的には、洗浄部27は、洗浄ノズルと乾燥ノズルとを装備している。洗浄部27は、反応ディスク11の洗浄位置にある反応容器31を洗浄ノズルで洗浄し、乾燥ノズルで乾燥する。
【0018】
分析機構制御部3は、システム制御部8による制御に従って分析機構2の各装置や機構を作動する。解析部4は、測光データに基づいて反応液についての比色測定に関する測定項目値を計算する。具体的には、解析部4は、測光データに基づいて反応液の吸光度を算出し、算出された吸光度に基づいて測定項目値を計算する。表示部5は、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスを有する。表示部5は、解析部4により計算された測定項目値等の解析結果を表示する。操作部6は、オペレータからの入力機器を介した各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチボタン等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。記憶部7は、自動分析装置1の動作プログラム等を記憶している。システム制御部8は、自動分析装置1の中枢として機能する。システム制御部8は、記憶部7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って各部3,4,5,7を制御する。
【0019】
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の撹拌部23について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る撹拌部23の撹拌子23−2を正面から見た、筐体を一部切り欠いて示した概略図であり、
図3は、
図2の撹拌子23−2のA−A断面の概略図である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、撹拌子23−2は、筐体50を有している。筐体50の内部には、振動部51、保持部52、及びスペーサ53が収容されている。振動部51は、図示しない電源部からの電圧の印加を受けて振動する。振動部51は、圧電振動子からなる。圧電振動子51は、例えば、圧電セラミック素子により構成される。保持部52は、柔体構造を有する薄い金属基板により構成される。保持部52の表面と裏面との各々には圧電振動子51が貼り付けられている。すなわち、保持部52は圧電振動子に接続されている。以下、表面に張り付けられた圧電振動子51を表側振動子51−1と呼び、裏面に張り付けられた圧電振動子51を裏側振動子51−2と呼ぶことにする。このように、保持部52と表側振動子51−1と裏側振動子51−2とはバイモルフ圧電振動子を構成する。保持部52の一端は、ねじ等の締結具54−1により筐体50に固定されている。保持部52の他端には樹脂等のスペーサ53を介して、保護コーティングされたブレード(撹拌棒)55が取り付けられている。筐体50の下端には切欠きが形成され、スペーサ53とブレード55とが外部に露出されている。保持部52とスペーサ53とブレード55とは、筐体50の下部において、ねじ等の締結具54−2により一体に固定されている。ブレード55は、反応容器31内の液体を撹拌するための撹拌棒である。典型的には、ブレード55と保持部52とは、同一の材質の金属により形成される。ブレード55の表面は、反応容器31内の様々な液性の液体にブレード55が耐えられるように保護用コーティングがされている。このように撹拌部23は、薄い金属基板52の表と裏とに圧電振動子51が貼り付けられたバイモルフアクチュエータ構造を有している。
【0022】
撹拌部23は、ケーブルを介して、図示しない電源に接続されている。電源は、外部電圧を交流電圧に変換し、当該交流電圧を表側振動子51−1と裏側振動子51−2とに印加する。交流電圧の印加を受けた表側振動子51−1と裏側振動子51−2との各々は伸長と収縮とを交互に繰り返すことによりブレード55が振動する。
【0023】
次に、本実施形態に係る反応容器31について詳細に説明する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る反応容器31の外観の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る反応容器31は、反応液を収容するための容器である。反応容器31は、底面を有する底壁61と底面を囲うように底壁61に接続された側壁63とを有している。底壁61は、開口APに対向する位置に配置される。側壁63は、角筒形状を有する。側壁63は、平面形状を有する4つの側壁63により構成される。4つの側壁63の面積の大小関係は任意に設計可能である。例えば、
図4に示すように、4つの側壁63は、比較的に大きい面積を有する2つの側壁(以下、大面積の側壁と呼ぶ)65と比較的に小さい面積を有する2つの側壁(以下、小面積の側壁と呼ぶ)67とに形成されると良い。以下、大面積の側壁65と小面積の側壁67とを区別しないときは単に側壁63と呼ぶことにする。反応容器31は、例えば、光の透過性を有する任意の素材により形成可能である。以下、反応容器31の長軸に沿う方向を高さ方向と呼ぶことにする。
【0025】
図5は、撹拌部23と反応容器31との位置関係の一例を模式的に示す図である。
図5に示すように、反応ディスク11により反応容器31が撹拌位置に配置された場合、撹拌部23は、ブレード55を反応容器31に挿入し、ブレード55を振動する。ブレード55は、先端が往復運動するように振動する。ブレード55が振動することにより、反応容器31に収容された検体と試薬とが撹拌される。撹拌後、上述のように、光学測定部25により反応液の成分が光学的に測定される。以下、ブレード55の先端が往復運動する方向を振動方向と呼ぶことにする。振動方向に対する反応容器31の向きは任意に設定可能である。例えば、大面積の側壁65がブレード55の振動方向に直交し、小面積の側壁67がブレードの振動方向に平行するように、反応容器31が反応ディスク11に配置される。なお、ブレード55の振動方向に対する反応容器31の向きは、上記に限定されず、大面積の側壁65がブレード55の振動方向に平行し、小面積の側壁67がブレード55の振動方向に直交するように、反応容器31が反応ディスク11に配置されても良い。
【0026】
詳細は後述するが、本実施形態に係る反応容器31の内面には親水性領域と疎水性領域とが所定の配列パターンに従い設けられている。親水性領域は、反応容器31の内面のうちの親水性を示す内面領域である。疎水性領域は、反応容器31の内面のうちの疎水性を示す内面領域である。本実施形態において親水性と疎水性とは、接触角を基準として規定されるものとする。接触角は、物体に付着された液体の液面と当該物体の固体面との成す角により規定される。
【0027】
ここで、液体の接触角の測定について説明する。接触角は、例えば、静的接触角測定装置により測定可能である。静的接触角測定装置は、固体上に静止している液体を光学カメラにより光学撮影し、光学カメラからの出力画像に画像処理を施して接触角を測定する。接触角の測定原理としては、既存の如何なる方法が用いられても良いが、例えば、θ/2法が用いられると良い。以下、θ/2法による接触角の測定について説明する。
【0028】
図6は、液体と固体との間に働く力の釣り合いを模式的に示す図である。
図6に示すように、固体と当該固体において静止している液体との間には、以下の(1)に示すヤングの式により記述される力の釣り合いが生じる。なお(1)式においてγSは固体の表面張力を示し、γLは液体の表面張力を示し、γSLは固体の表面と液体の表面との間に働く界面張力を示し、θは固体に対する液体の接触角を示す。
【0029】
γS=γLcosθ+γSL …(1)
図7は、光学カメラからの出力画像を示す図である。
図7に示すように、出力画像は、液体に関する画像領域(以下、液体領域と呼ぶ)R1と固体に関する画像領域(以下、固体領域と呼ぶ)R2とを有している。液体領域R1の形状が円の一部であると仮定すると、幾何の定理により、以下の(2)式が成り立つ。ここで、θ1は、端点P1と液体領域R1の頂点P2とを結ぶ直線L1と、固体領域R2の表面とが成す角度である。端点P1は、液体領域R1の表面と固体領域R2の表面との交点である。
【0030】
θ=2・θ1 …(2)
従って、以下の(3)式が成り立つ。ここでrは液体領域R1の接触面S1の半径に規定され、hは液体領域R1の高さに規定される。より詳細には、半径rは、固体領域R2への液体領域R1の接触面S1の長さの1/2に規定される。高さhは、頂点P2と液体領域R1の接触面S1との間の距離に規定される。静的接触角測定装置は、以下の(3)式に従い、半径rと高さhとに基づいて接触角θを算出する。より詳細には、静的接触角測定装置は、出力画像に含まれる液体領域R1と固体領域R2とを画像処理により特定し、液体領域R1と固体領域R2とに基づいて半径rと高さhとを計測し、半径rと高さhとを(3)式に代入して接触角θを算出する。
【0032】
接触角の測定に用いられる液体としては、自動分析装置1による分析対象とされる種々の液体の液性を代表する標準的な液体が用いられる。例えば、当該液体としては、水やイオン交換水、グリセリン溶液等が用いられると良い。本実施形態においては、標準的な液体を滴下した場合に所定の基準角度より小さい接触角θが測定された固体が親水性であると規定し、同種の液体を滴下した場合に当該基準角度より大きい接触角θが測定された固体が疎水性であると規定する。基準角度は、標準的な液体の液性に応じて任意に設定可能である。しかしながら、以下の説明において基準角度は、90度であるとする。すなわち、以下の実施形態においては、
図8に示すように、標準的な液体を滴下した場合に90度より小さい接触角θが測定された固体が親水性であると規定し、
図9に示すように、標準的な液体を滴下した場合に90度より大きい接触角θが測定された固体が疎水性であると規定する。本実施形態に係る親水性領域は、親水性を有する物体により形成され、疎水性領域は、疎水性を有する物体により形成される。
【0033】
図10は、本実施形態に係る反応容器31の内面31sの展開図の一例を示す図である。
図10に示すように、各大面積の側壁の内面(以下、大面積の側壁内面と呼ぶ)65sと各小面積の側壁の内面(以下、小面積の側壁内面と呼ぶ)67sとには親水性領域71と疎水性領域73とが高さ方向に関して交互に設けられている。親水性領域71は、反応容器31の内面31sのうちの親水性を示す領域であり、疎水性領域は、反応容器31の内面31sのうちの疎水性を示す領域である。より詳細には、親水性領域71と疎水性領域73との各々は、所定幅を有する線状領域(縞状領域)に形成される。なお、領域71,73の幅は、高さ方向に関する当該領域71,73の長さに規定される。領域71,73の幅を調整することにより、隣り合う領域71,73同士の中心間間隔(ピッチ)を調整することができる。親水性領域71と疎水性領域73との各々は、例えば、底壁の内面(以下、底面と呼ぶ)61Sに平行する方向、すなわち、高さ方向に直交する方向(以下、水平方向と呼ぶ)に沿って形成される。親水性領域71の幅と疎水性領域73の幅とは同一であっても良いし、異なっていても良い。親水性領域71と疎水性領域73との各々の幅は、任意に設定可能である。
【0034】
ここで、親水性領域と疎水性領域との形成方法について説明する。まず、親水性領域の形成対象領域と疎水性領域の形成対象領域とが位置決めされる。親水性領域の形成対象領域と疎水性領域の形成対象領域とは、親水性領域と疎水性領域とが高さ方向に沿って交互に設けられるように設定される。親水性領域の形成対象領域と疎水性領域の形成対象領域との各々の幅及び間隔は、任意に設定可能である。
【0035】
例えば、反応容器31が親水性を示す物質(以下、親水性物質と呼ぶ)により形成されている場合、反応容器31の内面のうちの疎水性領域の形成対象領域に限定して疎水性を示す物質(以下、疎水性物質と呼ぶ)がコーティングされる。親水性領域の形成対象領域には疎水性物質がコーティングされない。
【0036】
反応容器31の素材として用いられる親水性物質としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)等が挙げられる。コーティングされる疎水性物質としては、例えば、フッ素化合物、オクトデシルトリクロロシラン(OTS)、シリコン樹脂、パラフィン、又は疎水基を有する化合物が挙げられる。フッ素化合物としては、例えば、固体構造の末端にフルオロメチル基(CF3)を配置するため、フルオロアルキル鎖を有する化合物が用いられる。典型的には、フッ素化合物として、フッ素樹脂の一種であるテフロン(登録商標)が用いられると良い。オクトデシルトリクロロシランは、酸化ケイ素膜に密着性の高い疎水膜を形成するために用いられる。疎水基を有する化合物としては、炭化水素基(例えば、メチル基、ビニル基、アルキル基)やベンゼン環を有する化合物が挙げられる。
【0037】
なお、反応容器31の素材は必ずしも親水性を有する必要は無い。この場合、反応容器31の内面に親水性領域を形成するために、反応容器31の内面に親水性物質をコーティングしても良い。この場合、コーティングされる親水性物質としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、水酸基(ヒドロキシル基)を含むガラス、親水基を有する化合物等が挙げられる。なお、酸化チタンは、紫外線を受けると超親水性と呼ばれる性質を有することとなる。超親水性は、液体が限りなく0度に近い接触角で固体に接触する性質である。親水性領域に超親水性を発揮させたい場合、反応容器の内面にコーティングされた酸化チタンに紫外線を照射すると良い。
【0038】
なお、親水性領域の表面の粗さに応じて親水性の度合い、すなわち、液体が形成する接触角を変化させることが可能である。例えば、親水性領域の表面を滑らかにすればするほど、当該親水性領域の親水性を強める、すなわち、接触角をより小さくすることができる。同様に、疎水性領域の表面の粗さに応じて疎水性の度合い、すなわち、液体が形成する接触角を変化させることが可能である。例えば、疎水性領域の表面を粗くすればするほど、当該疎水性領域の疎水性を強める、すなわち、接触角をより大きくすることができる。疎水性領域の表面は、例えば、サンドブラスト等の方法により粗くすると良い。
【0039】
また、親水性領域と疎水性領域との形成方法は、コーティングのみに限定されない。例えば、表面微細構造の技術により親水性領域と疎水性領域とが形成されても良い。表面微細構造の技術により形成される親水性領域と疎水性領域との微細構造パターンとしては、ラインアンドスペースパターンやピラーパターンが挙げられる。親水性領域と疎水性領域との微細構造パターンは、例えば、化学的又は機械的な表面加工技術により形成される。
【0040】
図11は、ラインアンドスペースパターンを有する側壁内面63sの平面図である。
図12は、
図11の側壁内面を高さ方向に沿って切断した断面図である。
図11及び
図12に示すように、親水性領域71と疎水性領域73とは、ラインアンドスペースのパターンを有している。すなわち、側壁内面63sのうちの親水性領域71の形成対象領域に凹部を設け、疎水性領域73の形成対象領域に凸部を設ける。高さ方向に関して凸部と凹部とがμmオーダで周期的に形成されることにより凹部に空気が留まりやすい。凹部に空気が留まることで側壁内面63sは高さ方向に関して疎水性を発揮する。水平方向に関しては凸部と凹部との周期的な構造を有しておらず、凸部または凹部が一様に形成される。そのため側壁内面63sは、水平方向に関して親水性を発揮する。凸部と凹部とは、反応容器31の素材と同一の素材により形成されても良いし、異なる素材により形成されても良い。また、凸部と凹部とは同一の素材により形成されても良いし、異なる素材により形成されても良い。例えば、反応容器31が親水性物質により形成されている場合、凸部が疎水性物質を材料とするパターンニングにより形成される。側壁内面63sのうちの凸部が形成されていない領域は凹部に相当する。このように、凸部を疎水性物質により形成することにより、側壁内面63sが有する疎水性をより強めることが可能となる。
【0041】
図13は、ピラーパターンを有する側壁内面63sの平面図である。
図14は、
図13の側壁内面を高さ方向に沿って切断した断面図である。
図13及び
図14に示すように、側壁内面63sのうちの疎水性領域73の形成対象領域に限定して複数のピラー構造体75を形成する。すなわち、複数のピラー構造体75は水平方向に配列されている。ピラー構造体75の密度や高さ等は任意に設定可能である。各ピラー構造体75は、凸形状を有する微小構造体である。各ピラー構造体75は、具体的には、円柱形状に形成される。例えば、複数のピラー構造体75は、疎水性領域73の形成対象領域に密に形成される。ピラー構造体75は、反応容器31の素材と同一の素材により形成されても良いし、異なる素材により形成されても良い。また、ピラー構造体75は疎水性物質により形成されても良い。このように、ピラー構造体75を疎水性物質により形成することにより、疎水性領域73が有する疎水性をより強めることが可能となる。側壁内面63sが液体に浸された場合、複数のピラー構造体75の隙間には気泡が留まりやすい。側壁内面63sのうちのピラー構造体75が形成されていない領域が親水性領域71として機能する。
【0042】
なお、上記の説明において、親水性領域71と疎水性領域73とは、水平方向に沿って設けられるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、親水性領域71と疎水性領域73とは、水平方向に対して所定角度傾斜した方向に沿って設けられても良い。また、ピラー構造体75の形状は、円柱形状に限定されず、角柱形状であっても良い。
【0043】
次に、本実施形態に係る親水性領域71と疎水性領域73との交互配列による効果について説明する。
図23に示すように、側壁内面全体が親水性を有する反応容器において液体を撹拌したとき、毛細管現象により内壁を伝い開口へ向けて液体が這い上がる。また、液体の這い上がりに伴い中央部の液面の高さが相対的に低下し、微小液滴や気泡等が発生し易くなってしまう。これら要因により液体を均一に混合することが困難となる。また、
図24に示すように、側壁内面全体が疎水性を有する反応容器において液体を撹拌したとき、液体の這い上がりは抑制されるが、微小液滴や気泡が形成され易くなってしまう。これは、疎水性領域が側壁内面において等方的に分布していることに起因する。また、側壁内面が疎水性を有していると撹拌により気泡や微小液滴が形成され易く、また、形成された微小液滴が撹拌により飛散して内面に付着してしまう場合がある。このため、液体を均一に混合することが困難となる。
【0044】
図15は、親水性領域71と疎水性領域73との交互配列による効果を説明するための図である。
図15の(a)は側壁内面63sの模式的な平面図であり、
図15の(b)は側壁内面63sの高さ方向に関する模式的な断面図であり、
図15の(c)は側壁内面63sに付着された液体の高さ方向に関する接触角を示す図であり、
図15の(d)は側壁内面63sに付着された液体の水平方向に関する接触角を示す図である。
図15の(a)及び(b)に示すように、側壁内面63sには高さ方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられている。親水性領域71と疎水性領域73との交互配列により側壁内面63sに付着された液体の接触角は異方性を有することとなる。例えば、
図15の(c)に示すように、側壁内面63sには高さ方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられているので、側壁内面63sは、高さ方向に関して疎水性を有する。高さ方向に関して疎水性を有しているので、反応容器31において液体を撹拌したときに毛細管現象による液体の這い上がりを防止することができる。また、
図15の(d)に示すように、側壁内面63sには水平方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが一様に設けられているので、側壁内面63sは、水平方向に関して親水性を有する。水平方向に関して親水性を有しているので、側壁内面63sでの這い上がりが抑えられた液体や側壁内面63sに接触した微小液滴が水平方向に流れるため、液体が側壁内面63sに付着しにくい。このように、本実施形態に係る反応容器31は、側壁内面63sに接触する液体の接触角に異方性を持たせることにより、側壁内面63sを伝う液体の這い上がりを抑制しつつ、撹拌による気泡や微小液滴の発生及び当該気泡や微小液滴の側壁内面63sへの付着を防止できる。
【0045】
また、底面に疎水性領域が設けられている場合、側壁内面に液体が吸い寄せられるため、液体の液量が少ないと底面が露出してしまう虞がある。本実施形態に係る底壁61の底面61sには親水性領域71が設けられている。底面61sに親水性領域71が設けられている場合、底面61sにおいて液体が一様に分布するため、液体の液量が少なくても底面61sが露出しづらい。従って本実施形態によれば、液体の液量が少ない場合であっても、底面61sが疎水性を有する場合に比して、反応容器31おいて液体を均一に混合することができる。
【0046】
上記の通り、本実施形態に係る反応容器31は、底面61sを有する底壁61と、底面61sを囲むように底壁61に接続された側壁63と、を有する。側壁63の内面63sには、反応容器31に含まれる液体に対して第1の接触角を有する親水性領域71と、当該第1の接触角よりも大きい第2の接触角を有する疎水性領域73とが高さ方向に交互に設けられる。反応容器31に含まれる液体の液量は反応容器31毎に異なるため、液体の液面高さはばらつくことがある。しかしながら、側壁内面63sにおける親水性領域71と疎水性領域73との交互配列により、液量に関係なく、側壁内面63sを伝う液体の這い上がりを抑制しつつ、撹拌による気泡や微小液滴の発生及び当該気泡や微小液滴の側壁内面63sへの付着を防止できる。結果的に、本実施形態によれば、側壁内面全体に親水性領域と疎水性領域との何れか一方が設けられていた従来に比して、反応容器31において液体をより均一に混合することができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る種々の応用例について説明する。
(応用例1)
図16は、応用例1に係る反応容器31の内面31s−1の展開図である。
図16に示すように、応用例1に係る反応容器31は、ブレード55の振動方向に直交する二つの大面積の側壁内面65sにおいて高さ方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられ、振動方向に平行する二つの小面積の側壁内面67sにおいては親水性領域71が設けられる。
【0048】
大面積の側壁内面65sは、振動方向に直交しているため、小面積の側壁内面67sに比して、ブレード55の振動により波立つ液体が衝突しやすい。そのため、大面積の側壁内面65sは、小面積の側壁内面67sに比して、液体の這い上がりが発生し易い。このような大面積の側壁内面65sにおいて高さ方向に親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられることにより、撹拌に伴う側壁内面65sを伝う液体の這い上がりを抑制することができる。また、側壁内面65sの親水性領域71は上下が疎水性領域73に挟まれているため、当該親水性領域71に付着された液滴は水平方向に流れ、小面積の側壁内面67sへ流れる。上記のように、小面積の側壁内面67s全面には親水性領域73が設けられている。そのため、親水性領域71を有する小面積の側壁内面67sは、大面積の側壁内面65sから流れてきた液滴を下方に流れ落とすことができる。また、小面積の側壁内面67s全面には親水性領域73が設けられているため、ブレード55の振動等により小面積の側壁内面67sに直接的に衝突した液体も、下方に流れ落ちることとなる。液体が下方に流れ落ちることにより、撹拌に伴う液体の中央部の凹みが回復し、中央部の凹みに起因する撹拌不良を改善することができる。
【0049】
このように、応用例1に係る反応容器31は、側壁内面65sを伝う液体の這い上がりを抑制しつつ、撹拌により発生する液体中央部の凹みに起因する撹拌不良を改善することができる。よって、従来に比してより液体を迅速且つ均一に混合することができる。なお、液体の這い上がりは、振動方向に平行する側壁内面に比して、振動方向に直交する側壁内面の方が大きく発生し易い。従って、液体の這い上がりの抑制と液体中央部の凹みの回復との効果を最大化するため、親水性領域と疎水性領域とが交互に設けられた大面積の側壁65が振動方向に直交するように、応用例1に係る反応容器31が反応ディスク11に配置されると良い。
【0050】
なお、上記の説明において、親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられる側壁は、対向する二つの側壁であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、隣接する二つの側壁の各々に親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられても良い。また、親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられる側壁は、四つの側壁のうちの二つの側壁に限定されず、三つの側壁であっても良いし、一つの側壁であっても良い。親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられない側壁の内面には、側壁の内面に付着された液滴を下方に流すため、親水性領域71が設けられると良い。
【0051】
(応用例2)
図17は、応用例2に係る反応容器31の内面31s−2の展開図である。
図17に示すように、応用例2に係る反応容器31は、応用例1に係る反応容器31と同様に、二つの大面積の側壁内面65sにおいて高さ方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられ、二つの小面積の側壁内面65sにおいては親水性領域71が設けられる。応用例2においては、高さ方向に関して底面61sから開口に向かうにつれて、親水性領域71と疎水性領域73との各々の幅が広がるように親水性領域71と疎水性領域73とが設けられる。幅の広がり度合いは任意に設定可能である。
【0052】
上記の通り、撹拌対象の液体の液量は一定ではないため、液体の液面高さが複数の反応容器31においてばらつく。液量が少ないほど液体の這い上がりの高さは低い。液体の這い上がりの高さに比して親水性領域71と疎水性領域73との幅が広すぎる場合、液体の這い上がりの抑制効果を発揮することができない。一方、液体の這い上がりの高さに比して親水性領域71と疎水性領域73との幅が狭すぎる場合、液体の這い上がりが過度に抑制され、気泡や微小液滴が発生し易い。この両課題を同時に解決する方法として、ブレードの振動態様を液量に応じて切り替える方法が考えられる。しかしながら、複数の振動態様を有する機構は、複雑且つ高価である。
【0053】
応用例2に係る反応容器31は、親水性領域71と疎水性領域73との幅が、反応容器31の底面61sに近いほど狭められ、開口に近いほど広げられている。このため、ブレード55の振動態様を切り替えることなく、気泡や微小液滴の発生を防止しつつ、液体の液量に応じて適切に毛細管現象による当該液体の這い上がりを抑制することができる。
(応用例3)
以下、応用例3に係る反応容器31について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0054】
図18は、応用例3に係る反応容器61の一側壁内面63s−3を模式的に示す図である。
図18に示すように、側壁内面63s−3には、線形状を有する第1の内面領域81と第2の内面領域83とが高さ方向に関して交互に設けられている。第1の内面領域81と第2の内面領域83とは、水平方向に平行に設けられる。第1の内面領域81には親水性領域71が設けられる。また、底面から開口までを親水性領域71で接続するために、第2の内面領域83には局所的に親水性領域71が設けられる。第1の内面領域81における線形状を有する親水性領域71は、第2の内面領域83における局所的な親水性領域71により接続される。第2の内面領域83における局所的な親水性領域71は、
図18に示すように、直線上に配置されずに互い違いに設けられると良い。換言すれば、第2の内面領域83における局所的な親水性領域71は、当該第2の内面領域83に近接する第2の内面領域83における局所的な親水性領域71に対して、水平方向の位置が異なるように配置されると良い。第2の内面領域83のうちの局所的な親水性領域71以外の内面領域には疎水性領域73が設けられる。このように、親水性領域71と疎水性領域73とを高さ方向に関して交互に設けたうえで、底面から開口まで高さ方向に関して途切れなく親水性領域71を分布させることにより、毛細管現象による液体の這い上がりを抑制しつつ、側壁内面63s−3により付着された液滴を下方に流すことができる。
【0055】
なお、上記の側壁内面63s−3の示す親水性領域71と疎水性領域73との配列パターンは、反応容器31に含まれる四つの側壁61のうちのいずれの側壁61の内面に設けられても良い。
【0056】
(応用例4)
以下、応用例4に係る反応容器31について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0057】
図19は、応用例4に係る反応容器31の一側壁内面63s−4を模式的に示す図である。
図19に示すように、側壁内面63s−4には、線形状を有する第1の内面領域85と第2の内面領域87とが高さ方向に関して交互に設けられている。第1の内面領域85と第2の内面領域87とは、水平方向に平行に設けられる。第2の内面領域87には疎水性領域73が設けられる。第1の内面領域85には、水平方向に沿って親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられている。例えば、親水性領域71は、高さ方向に関して互い違いに設けられると良い。換言すれば、親水性領域71は、当該第1の内面領域85に近接する第1の内面領域85における局所的な親水性領域71に対して、水平方向の位置が異なるように配置されると良い。
【0058】
応用例4に係る親水性領域71と疎水性領域73との配列パターンは、側壁内面全体に疎水性領域73を設ける場合に比して、水平方向に関する親水性を高めることができる。すなわち、親水性領域71と疎水性領域73とが水平方向に関して交互に設けられた第1の内面領域85と、疎水性領域73が設けられた第2の内面領域87とが高さ方向に関して交互に設けられることにより、毛細管現象による液体の這い上がりを抑制しつつ、側壁内面63s−3への液体の付着を抑制することができる。
【0059】
(応用例5)
以下、応用例4に係る反応容器31について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0060】
図20は、応用例5に係る反応容器31に関し、光学測定部25により照射される光線と当該反応容器31との位置関係を模式的に示す図である。
図20に示すように、反応液の撹拌後、光学測定のため、測光位置に照射された光線を反応容器31が横切るように反応ディスク11が回動する。光線の透過経路に親水性領域71と疎水性領域73とが混在している場合、光学測定に悪影響を及ぼす。そのため、光線の透過経路に相当する側壁内面31sの部分(以下、透過部分と呼ぶ)77には親水性領域又は疎水性領域の形成のための加工がされない方が良い。側壁内面31sにおける透過部分77の範囲は、光学測定部25から照射される光線の反応容器31の設置面からの高さに応じて位置決めされる。例えば、反応容器31自体が親水性を有する場合、
図20に示すように、透過部分77には疎水性領域73が形成されないことが好ましい。反対に、反応容器31自体が疎水性を有する場合、透過部分77には親水性領域71が形成されないことが好ましい。
【0061】
かくして応用例5によれば、光学測定の精度の劣化を防止することが可能となる。
【0062】
(変形例1)
上記の実施形態において反応容器31の側壁63は、角筒形状を有するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係る反応容器31は、既存のあらゆる形状にも適用可能である。以下、本実施形態の変形例に係る反応容器31について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0063】
図21は、変形例1に係る反応容器91の外観を示す図である。
図21に示すように、変形例1に係る反応容器91は、円形状を有する底壁93と円筒形状を有する側壁95とを有している。底壁93は、真円形状を有しても良いし、楕円形状を有していても良い。
図22は、変形例1に係る反応容器91の内面91sの展開図を示す図である。
図22に示すように、変形例1に係る反応容器91の側壁内面95sには、高さ方向に関して親水性領域71と疎水性領域73とが交互に設けられている。親水性領域71と疎水性領域73との各々の幅は、高さ方向に関して一定に設定されても良いし、応用例2のように、底面から開口に向けて広くなるように設定されても良い。反応容器91の底面93sには、液量が少ない場合における撹拌効率を高めるため、親水性領域71が設けられると良い。
【0064】
かくして、変形例1によれば、円筒形状を有する反応容器91であっても、側壁内面95sに親水性領域71と疎水性領域73とを高さ方向に関して交互に設けることにより、液量に関係なく、側壁内面95sを伝う液体の這い上がりを抑制しつつ、攪拌による気泡や微小液滴の発生及び当該気泡や微小液滴の側壁内面73sへの付着を防止できる。ひいては、反応容器91において液体をより均一に混合することができる。
【0065】
(変形例2)
上記の実施形態において撹拌部23はブレード55を往復運動することにより反応容器31,91において液体を撹拌するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係る撹拌部23の撹拌態様は既存の如何なる態様にも適用可能である。例えば、撹拌部23は、先端部に水掻きが取り付けられたブレード55を当該ブレード55の主軸回りに回転させることにより、液体を撹拌しても良い。本実施形態に係る反応容器31,91は、側壁内面31s,91sに親水性領域71と疎水性領域73とを高さ方向に関して交互に設けることにより、撹拌態様に関係なく、上記の実施形態において説明した同様の効果を発揮することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。