(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クラッチ部材は、前記駆動歯車を軸線方向に移動させて前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合を解除することを特徴とする請求項2または3に記載のリニアアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のリニアアクチュエータでは、いずれの状況でも、モータが回転すると第2従動歯車が直線移動する。このため、蓋ロック装置のように、蓋が閉位置に到達したとき等の特定の条件下でのみ、第2従動歯車が直線駆動されることが求められる装置では、特許文献1に記載のリニアアクチュエータの利用が困難である。かといって、リニアアクチュエータの外部にクラッチ機構を設けると、装置が大型化してしまう。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、2つの歯車の差動を利用して出力部材を直動させるにあたって、簡素な構成で、駆動源と出力部材との機構的な接続を継断することができるリニアアクチュエータ、および蓋ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1駆動歯車と、該第1駆動歯車と一体に回転する第2駆動歯車と、前記第1駆動歯車および前記第2駆動歯車を回転駆動する駆動源と、軸線方向において固定され、前記第1駆動歯車と噛合する第1従動歯車と、前記第1従動歯車に対して軸線方向の一方側に当該第1従動歯車と同軸状に配置され、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車とのギア比と異なるギア比をもって前記第2駆動歯車と噛合する第2従動歯車と、前記第1従動歯車に対する前記第2従動歯車の相対回転を前記第2従動歯車が軸線方向に移動する動作に変換する回転直動変換機構と、前記第1駆動歯車および前記第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させて、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合、および前記第2駆動歯車と前記第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除するクラッチ部材と、前記第2従動歯車に連動して移動する出力部材と、を有し
、前記回転直動変換機構は、前記第1従動歯車および前記第2従動歯車のうちの一方の従動歯車において他方の従動歯車に向く面に形成された傾斜カム面と、前記他方の従動歯車に形成され、前記傾斜カム面に当接する摺動部と、前記第2従動歯車を軸線方向の他方側に向けて付勢する付勢部材と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、駆動源が第1駆動歯車および第2駆動歯車を駆動すると、第1駆動歯車と噛合する第1従動歯車、および第2駆動歯車と噛合する第2従動歯車が回転する。その際、第1駆動歯車と第1従動歯車とのギア比と、第2駆動歯車と第2従動歯車とのギア比とが相違しているため、第1従動歯車と第2従動歯車とが相対回転(差動)する。従って、回転直動変換機構によって、第1従動歯車に対する第2従動歯車の差動を第2従動歯車が軸線方向に移動する動作に変換すれば、第2従動歯車に連動して出力部材を直線移動させることができる。また、本発明では、クラッチ部材によって、第1駆動歯車および第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させて、第1駆動歯車と第1従動歯車との噛合、および第2駆動歯車と第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除するため、例えば、駆動源によって第1駆動歯車および第2駆動歯車を駆動している状態でも、第2従動歯車の直線駆動を停止することができる。それ故、伝達機構を構成する第1駆動歯車および第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させるクラッチ部材を設けるという簡素な構成で、駆動源と出力部材との機構的な接続を継断することができる。
また、回転直動変換機構の構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
本発明において、前記第1駆動歯車と前記第2駆動歯車とは、一体の駆動歯車として構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、歯車機構において、構成の簡素化を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記第1駆動歯車の歯と前記第2駆動歯車の歯は、前記駆動歯車において軸線方向で連続して形成されており、前記第1従動歯車と前記第2従動歯車とでは、歯数が相違することが好ましい。かかる構成によれば、歯車機構において、構成の簡素化を図ることができる。
【0011】
本発明において、前記クラッチ部材は、前記駆動歯車を軸線方向に移動させて前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合を解除することが好ましい。かかる構成によれば、軸線方向に固定されている第1従動歯車と駆動歯車との噛合を解除すればよいので、駆動歯車の軸線方向への移動距離が短く済む。
【0013】
本発明において、前記付勢部材は、前記出力部材を介して前記第2従動歯車を軸線方向の前記他方側に向けて付勢していることが好ましい。かかる構成によれば、付勢部材によって、出力部材を軸線方向の他方側に移動させることができる。
【0014】
本発明において、前記駆動源は、前記第1駆動歯車および前記第2駆動歯車を双方向に回転駆動可能なモータであり、前記第2従動歯車の軸線方向の少なくとも一方への可動範囲を規制するストッパを備えていることが好ましい。一方方向への回転のみがモータの場合、ストッパで停止を利用した構成を採用できないため、タイマー等によって、回転時間を制御する必要があるが、双方向に回転可能なモータであれば、ストッパによって、第2従動歯車の軸線方向の移動範囲を規定することができる。
【0015】
本発明では、第1駆動歯車と、該第1駆動歯車と一体に回転する第2駆動歯車と、前記第1駆動歯車および前記第2駆動歯車を回転駆動する駆動源と、軸線方向において固定され、前記第1駆動歯車と噛合する第1従動歯車と、前記第1従動歯車に対して軸線方向の一方側に当該第1従動歯車と同軸状に配置され、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車と
のギア比と異なるギア比をもって前記第2駆動歯車と噛合する第2従動歯車と、前記第1従動歯車に対する前記第2従動歯車の相対回転を前記第2従動歯車が軸線方向に移動する動作に変換する回転直動変換機構と、前記第1駆動歯車および前記第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させて、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合、および前記第2駆動歯車と前記第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除するクラッチ部材と、前記第2従動歯車に連動して移動する出力部材と、を有するリニアアクチュエータ
を蓋ロック装置に用いることができ、かかる蓋ロック装置では、機器本体の開口部を開閉する蓋が設けられた機器において前記機器本体および前記蓋の一方には、前記リニアアクチュエータと、前記出力部材としてのロック部材と、が設けられ、前記機器本体および前記蓋の他方には、前記ロック部材が係合して前記蓋の開閉を規制する被係合部が設けられ、前記蓋の位置に連動して移動する蓋検出部材を備え、前記蓋検出部材は、前記クラッチ部材として、前記蓋が開位置にあるときに、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合、および前記第2駆動歯車と前記第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除することが好ましい。かかる構成によれば、蓋が開位置にあるときには、ロック部材の駆動を停止することができる。
【0016】
本発明において、前記ロック部材は、前記第2従動歯車が軸線方向の前記一方側に移動した際、前記蓋の前記被係合部と係合することが好ましい。
【0017】
本発明において、前記クラッチ部材として、外部操作に基づいて、前記第1駆動歯車と前記第1従動歯車との噛合、および前記第2駆動歯車と前記第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除する操作部材を有している構成を採用してもよい。かかる構成によれば、蓋がロックされた状態で停電が発生しても、操作部材を操作すれば、第1駆動歯車と第1従動歯車との噛合、および第2駆動歯車と第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方が解除されているため、蓋を開くことができる。
【0018】
本発明において、前記第1駆動歯車と、前記第2駆動歯車、前記駆動源、前記第1従動歯車、前記第2従動歯車、および前記回転直動変換機構を収容するケースを備え、前記操作部材は、前記ケースから一部が露出していることが好ましい。かかる構成によれば、操作部材に対する操作が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、クラッチ部材によって、第1駆動歯車および第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させて、第1駆動歯車と第1従動歯車との噛合、および第2駆動歯車と第2従動歯車との噛合のうちの少なくとも一方を解除するため、例えば、駆動源によって第1駆動歯車および第2駆動歯車を駆動している状態でも、第2従動歯車の直線駆動を停止することができる。それ故、伝達機構を構成する第1駆動歯車および第2駆動歯車のうちの少なくとも一方を軸線方向に移動させるクラッチ部材を設けるという簡素な構成で、駆動源と出力部材との機構的な接続を継断することができる。
また、回転直動変換機構の構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るリニアアクチュエータ1、および蓋ロック装置100を説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、ロック部材8(出力部材80)の軸線方向を軸線Lとして、ロック部材8のロック方向を軸線L方向の一方側L1とし、ロックの解除方向を軸線L方向の他方側L2として説明する。また、軸線Lが延在している方向をZ方向とし、Z方向に直交する方向をX方向とし、X方向およ
びZ方向に直交する方向をY方向として説明する。
【0022】
(蓋ロック装置100の用途)
図1は、本発明を適用した蓋ロック装置100の斜視図であり、
図1(a)、(b)、(c)は、蓋230が開状態にある蓋ロック装置100を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図、蓋230が開状態にある蓋ロック装置100を軸線L方向の他方側L2からみた斜視図、および蓋230が閉状態にある蓋ロック装置100を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図である。
【0023】
図1に示す蓋ロック装置100は、洗濯機や乾燥機などの機器200において、洗濯機本体や乾燥機本体などの機器本体210側に設けられ、機器本体210の開口部(図示せず)を開閉する蓋230をロックするための装置である。蓋230には、蓋230を閉状態としたとき、蓋ロック装置100の軸線L方向の一方側L1に出現する突出部235が設けられており、かかる突出部235には、軸線L方向に開口する被係合穴からなる被係合部236が形成されている。従って、蓋ロック装置100において、ロック部材8を軸線L方向の他方側L2(待機位置)から一方側L1(ロック位置)に直線移動させれば、ロック部材8のロック軸85が被係合部236内に嵌って係合し、蓋230をロックする。ここで、蓋ロック装置100は、蓋230がロックされた際、ロック完了信号を発生するので、機器本体210側では、ロック完了信号に基づいてドラム(図示せず)の回転などを行なうことができる。それ故、ドラムの回転は、常に蓋230がロックされた状態で行なわれることになる。また、蓋230を開けるときには、ロック部材8を軸線L方向の一方L1から他方側L2に移動させ、ロック部材8のロック軸85と被係合部236との係合を解除する。
【0024】
蓋ロック装置100は、蓋230の位置によって移動する蓋検出部材9を有しており、蓋230が閉状態になるまではロック部材8の軸線L方向の一方側L1に蓋検出部材9が位置している。このため、ロック部材8の軸線L方向の一方側L1への移動が阻止されている。そして、蓋230が閉まって、被係合部236がロック部材8と係合可能な個所に到達すると、蓋検出部材9は、蓋230の突出部235によってY方向の一方側Y1に押し退けられる。このため、ロック部材8の軸線L方向の一方側L1への移動が許容される。
【0025】
(蓋ロック装置100の全体構成)
図2は、本発明を適用した蓋ロック装置100の内部構成を示す分解斜視図であり、
図2(a)、(b)は、蓋ロック装置100において第1ケース11から第2ケース12を外した状態を第2ケース12の側(Y方向の他方側Y2)からみた分解斜視図、および第1ケース11から第2ケース12を外した状態を第1ケース11の側(Y方向の一方側Y1)からみた分解斜視図である。
図3は、本発明を適用した蓋ロック装置100から第2ケース12を省略した様子をY方向の他方側L2からみた斜視図であり、
図3(a)、(b)は、第1ケース11から蓋検出部材9を外した様子を示す分解斜視図、および第1ケース11からモータ20等を外した様子を示す分解斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本形態の蓋ロック装置100は、薄型の略直方体のケース10を備えており、ケース10のZ方向の一方側Z1には、ロック部材8のロック軸85が突出する開口部18が形成されている。ケース10は、Y方向の一方側Y1に位置する第1ケース11と、第1ケース11にY方向の他方側Y2から被さる第2ケース12とからなり、第1ケース11と第2ケース12とは、ねじ13によって連結されている。
【0027】
図2および
図3に示すように、第1ケース11は、底板部111と、4つの側板部113、114、115、116とを有しており、第2ケース12は、底板部121と、4つ
の側板部123、124、125、126とを有している。第1ケース11において、X方向の一方側X1かつ軸線L方向の他方側L2には、蓋ロック装置100を機器本体210に固定するための固定板14aがX方向の一方側X1に突出するように設けられ、X方向の他方側X2かつ軸線L方向の一方側L1には、蓋ロック装置100を機器本体210に固定するための固定板14bがX方向の他方側X2に突出するように設けられている。
【0028】
(蓋ロック装置100の内部構成)
図4は、本発明を適用した蓋ロック装置100に用いたリニアアクチュエータ1の説明図であり、
図4(a)、(b)、(c)は、リニアアクチュエータ1の分解斜視図、従動歯車の分解斜視図、駆動歯車の分解斜視図である。
【0029】
図2、
図3および
図4に示すように、ケース10の内側(第1ケース11と第2ケース12との間)には、ロック部材8を軸線L方向に駆動するリニアアクチュエータ1のモータ20(駆動源)等が配置されており、リニアアクチュエータ1における出力部材80によってロック部材8が構成されている。
【0030】
リニアアクチュエータ1は、軸線Lと平行な軸線周りに回転する第1駆動歯車31と、軸線Lと平行な軸線周りに第1駆動歯車31と一体に回転する第2駆動歯車32と、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32を回転駆動するモータ20(駆動源)とを有している。モータ20のモータ軸21にはピニオン24が固着されており、ピニオン24の回転は、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32に伝達される。本形態において、モータ20はステッピングモータである。
【0031】
また、リニアアクチュエータ1は、第1駆動歯車31と噛合する第1従動歯車41と、第1従動歯車41に対して軸線L方向の一方側L1において第1従動歯車41に対して同軸状に配置された第2従動歯車42とを有しており、第2従動歯車42は、第2駆動歯車32と噛合している。第1従動歯車41は軸線L方向に固定されている一方、第2従動歯車42は軸線L方向に移動可能である。かかる構成を採用するにあたって、第1従動歯車41はシャフト43に固定されている一方、第2従動歯車42は、シャフト43に対して回転可能かつ軸線L方向に回転可能に支持されている。第1ケース11には、軸線L方向の一方側L1の側板部115に溝115aが形成され、軸線L方向の略中央の壁部112に溝112aが形成されている。従って、シャフト43は、溝112a、115aに両端が回転可能に支持され、この状態で、シャフト43は、軸線L方向への移動が不能である。
【0032】
第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とは、一体の駆動歯車30として構成されており、シャフト33に回転可能に支持されている。また、シャフト33は、ケース10に支持されたホルダ60に回転可能に支持されている。ホルダ60は、軸線L方向で対向する2枚の支持板部(第1支持板部61および第2支持板部62)と、2枚の支持板部をX方向の一方側X1で連結する第1連結板部63と、2枚の支持板部をY方向の一方側Y1で連結する第2連結板部64とを有している。シャフト33の両端は、第1支持板部61のY方向の他方側Y2の端部に形成された溝61aと、第2支持板部62のY方向の他方側Y2の端部に形成された溝62aとによって回転可能に支持されている。この状態で、駆動歯車30は、第1支持板部61と第2支持板部62との間に位置する。従って、ピニオン24は、一部が第1支持板部61と第2支持板部62との間に位置し、第1支持板部61と第2支持板部62との間で駆動歯車30と噛合している。このため、第1支持板部61には、モータ軸21およびピニオン24を配置するための切り欠き61bが形成されている。
【0033】
ホルダ60に対して軸線L方向の一方側L1にはコイルバネ69が配置されている。コ
イルバネ69は、軸線L方向で圧縮された状態で、ホルダ60の第2支持板部62と第1ケース11の側板部115との間に配置されている。従って、ホルダ60は、軸線L方向の他方側L2に付勢されている。
【0034】
本形態において、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とのギア比は、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とのギア比と相違している。ここで、第1駆動歯車31の歯と第2駆動歯車32の歯は、駆動歯車30において軸線L方向で連続して形成されており、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とは歯数が等しい。このため、本形態では、第1従動歯車41と第2従動歯車42とでは、歯数が相違する。より具体的には、第1従動歯車41の歯数は、第2従動歯車42の歯数より1枚多い。例えば、第1従動歯車41の歯数は21枚であり、第2従動歯車42の歯数は20枚である。従って、駆動歯車30が回転した際、第1従動歯車41と第2従動歯車42とでは回転速度が相違しており、第1従動歯車41と第2従動歯車42とは相対回転(差動)することになる。そこで、本形態のリニアアクチュエータ1では、第1従動歯車41と第2従動歯車42との差動を回転直動変換機構50によって、第2従動歯車42をシャフト43に沿って直動させる力に変換して、出力部材80(ロック部材8)を直動させる。本形態において、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32は一体に樹脂成形された部材からなる。また、第1従動歯車41および第2従動歯車42はいずれも転移歯車であり、ピッチ円が等しい。
【0035】
(回転直動変換機構50の構成)
図5は、本発明を適用した蓋ロック装置100に用いたリニアアクチュエータ1の回転直動変換機構50の説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)は、第1従動歯車41を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図、第2従動歯車42を軸線L方向の他方側L2からみた斜視図、および第2従動歯車42の部分断面図である。
【0036】
本形態において、回転直動変換機構50は、第1従動歯車41と第2従動歯車42との間に構成されている。具体的には、
図5に示すように、第1従動歯車41は、外周面に外歯41aが形成された円板部411と、円板部411から軸線L方向の一方側L1に突出した円筒部412と、円筒部412の内側に形成された軸部413とを有しており、軸部413に形成された穴415にシャフト43が嵌っている。円筒部412において、第2従動歯車42と軸線L方向の他方側L2で対向する端部は、シャフト43周りの時計周りCWの方向に沿って第2従動歯車42から離間する方向に傾いた傾斜カム面414になっている。
【0037】
第2従動歯車42は、外周面に外歯42aが形成された円板部421と、円板部421から軸線L方向の一方側L1に突出した円筒部422と、円筒部422の内側に形成された軸部423とを有しており、軸部423に形成された穴425にシャフト43が嵌っている。また、円筒部412の内側には、第1従動歯車41の傾斜カム面414に当接する摺動部424が形成されている。本形態において、摺動部424は、シャフト43周りの時計周りCWの方向に沿って第1従動歯車41に接近する方向に傾いた傾斜面になっている。ここで、傾斜カム面414の傾斜角は、傾斜カム面414と摺動部424との摩擦角より大になっている。なお、本形態では、第1従動歯車41に傾斜カム面414を設け、第2従動歯車42に摺動部424を設けたが、第2従動歯車42に傾斜カム面を設け、第1従動歯車41に摺動部を設けてもよい。
【0038】
図2および
図3に示すように、回転直動変換機構50は、コイルバネからなる付勢部材51を有しており、付勢部材51は、第2従動歯車42を軸線L方向の他方側L2に向けて付勢している。本形態において、付勢部材51は、
図6を参照して以下に説明するように、ロック部材8(出力部材80)を介して第2従動歯車42を軸線L方向の他方側L2に向けて付勢している。
【0039】
(ロック部材8の構成)
図6は、本発明を適用した蓋ロック装置100に用いたロック部材8の説明図であり、
図6(a)、(b)は、ロック部材8に付勢部材51等を組み合わせた状態を軸線L方向の一方側L1からみた斜視図、およびロック部材8から付勢部材51等を取り外した状態を軸線L方向の一方側L1からみた分解斜視図である。
【0040】
図2、
図3、
図4および
図6に示すように、ロック部材8(出力部材80)は、軸線L方向に延在する軸状の第1ガイド部81と、第1ガイド部81の軸線L方向の一方側L1に位置する部分からX方向の一方側X1に延在する板状の第2ガイド部82と、第2ガイド部82に対して第1ガイド部81とは反対で軸線L方向の一方側L1に向けて延在する第3ガイド部83とを有している。第1ガイド部81は、第2ケース12においてX方向の他方側X2に位置する側板部124の内面に沿って延在し、第3ガイド部83は、第2ケース12の底板部121のX方向の略中間位置で軸線L方向に延在するリブ状の凸条部128に沿って延在している。第2ガイド部82は、円弧状に湾曲して凸曲面を第2ケース12の底板部121に向けており、第2ケース12の底板部121において、第2ガイド部82と重なる部分は、第2ガイド部82に沿って湾曲して軸線L方向に延在した凹曲面129になっている。従って、ロック部材8は、第2ケース12によって姿勢を保持した状態で軸線L方向に移動可能である。
【0041】
図2(b)に示すように、凹曲面129の軸線L方向の一方側L1の端部で軸線L方向の他方側L2に向く壁面129aは、ロック部材8(出力部材80)の第2ガイド部82の軸線L方向の一方側L1の端部820と当接してロック部材8の軸線L方向の一方側L1への可動範囲、すなわち、第2従動歯車42の軸線L方向の一方側L1への可動範囲を規定するストッパ127になっている。
【0042】
また、ロック部材8は、第2ガイド部82から軸線L方向の一方側L1に突出した第1板部86と、第1板部86のX方向の一方側X1の端部からY方向の一方側Y1に屈曲した第2板部87と、第2ガイド部82の軸線L方向の一方側L1の端部からY方向の一方側Y1に屈曲した第3板部88とを有している。第3ガイド部83、第1板部86、および第2板部87は、軸線L方向の一方側L1の端部が軸線L方向において同一の位置にあり、第2板部87のY方向の一方側Y1の端部からロック軸85が軸線L方向の一方側L1に突出している。
【0043】
第3板部88には、軸線L方向で貫通する開口部89がY方向に延在する溝状に形成されており、シャフト43は、開口部89を貫通して軸線L方向に延在している。第3板部88の軸線L方向の他方側L2では、第2従動歯車42の円筒部422の軸線L方向の一方側L1の端部が当接している。これに対して、第3板部88の軸線L方向の一方側L1では、シャフト43を囲むように付勢部材51が配置され、付勢部材51の軸線L方向の他方側L2の端部511は、第3板部88に当接している。また、付勢部材51は、軸線L方向で圧縮した状態で配置されており、付勢部材51の軸線L方向の一方側L1の端部512は、第2ケース12の側板部125の内面および第1ケース11の側板部115の内面に当接している。このため、付勢部材51は、第3板部88を介してロック部材8を軸線L方向の他方側L2に付勢し、その結果、第2従動歯車42は、付勢部材51によって第1従動歯車41に向けて付勢されている。
【0044】
(スイッチ27の構成)
図2、
図3および
図4に示すように、第1ケース11において、モータ20に対してX方向の他方側X2には、モータ基板25が配置され、モータ基板25には、モータ20とは反対側にコネクタ26およびスイッチ27が実装されている。また、スイッチ27に対
してモータ基板25とは反対側には可動部材28が配置されている。可動部材28は、Y方向に貫通する穴281が形成されており、穴281は、第1ケース11の支持板部119から第2ケース12に向けて突出した突起119a、および第2ケース12の底板部121から第1ケース11に向けて突出した突起121aが嵌っている。この状態で、可動部材28は、突起119a、121aによって回転可能に支持されている。
【0045】
可動部材28は、穴281が形成されている位置からX方向の一方側X1に突出した第1突出部286と、穴281が形成されている位置からX方向の他方側X2に突出した第2突出部287とを有している。第2突出部287は、ロック部材8の第1ガイド部81の軸線L方向の他方側L2の端部に対して軸線L方向の他方側L2で重なる位置にあり、第1突出部286は、スイッチ27の入力部270に対して軸線L方向の一方側L1で重なる位置にある。また、第1突出部286に対して軸線L方向の一方側L1にはコイルバネ29が配置されており、コイルバネ29は、第1突出部286と第1ケース11の壁部112との間に圧縮された状態で配置されている。このため、可動部材28は、突起119a、121aを中心に第1突出部286がスイッチ27の入力部270を押圧する方向に付勢されている。
【0046】
但し、ロック部材8が軸線L方向の他方側L2の待避位置にある状態では、第2突出部287がロック部材8の第1ガイド部81の軸線L方向の他方側L2の端部に当接して可動部材28の回転が阻止されている。このため、第1突出部286は、スイッチ27の入力部270から離間した位置で停止している。これに対して、ロック部材8が軸線L方向の一方側L1のロック位置に移動すると、可動部材28の回転が許容される。このため、第1突出部286は、コイルバネ29の付勢力によって、スイッチ27の入力部270を押圧する結果、ロック部材8が軸線L方向の一方側L1のロック位置に移動した旨の信号がコネクタ26に出力される。本形態において、スイッチ27は、タクタイルスイッチであり、入力部270が押圧されている間、オン状態となって、ロック部材8が軸線L方向の一方側L1のロック位置に移動した旨の信号を、コネクタ26を介して、機器本体210に設けられた制御部(図示せず)に出力する。
【0047】
(蓋検出部材9の構成)
図7は、本発明を適用した蓋ロック装置100のリニアアクチュエータ1をY方向の他方側L2からみた斜視図であり、
図7(a)、(b)は、蓋230が開位置にあるときのリニアアクチュエータ1の様子をY方向の他方側L2からみた斜視図、および蓋230が閉位置にあるときのリニアアクチュエータ1の様子をY方向の他方側L2からみた斜視図である。
【0048】
図7を参照して以下に説明するように、本形態の蓋ロック装置100のリニアアクチュエータ1には、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32のうちの少なくとも一方を軸線L方向に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第2駆動歯車32と第2従動歯車42との噛合のうちの少なくとも一方を解除するクラッチ部材7が設けられている。ここで、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とは一体の駆動歯車30として構成されていることから、クラッチ部材7は、駆動歯車30(第1駆動歯車31および第2駆動歯車32)を軸線L方向に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第2駆動歯車32と第2従動歯車42との噛合のうちの少なくとも一方を解除する。本形態において、クラッチ部材7は、駆動歯車30(第1駆動歯車31および第2駆動歯車32)を軸線L方向の一方側L1に移動させ、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とを噛合させたまま、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とを噛合を解除する。
【0049】
本形態において、クラッチ部材7は、まず、蓋230が開位置にあるときには、駆動歯
車30を軸線L方向の一方側L1に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合を解除することにより、モータ20が回転してもロック部材8の駆動を停止する蓋検出部材9として構成されている。また、クラッチ部材7は、後述する操作部材65としても構成されている。
【0050】
図1、
図2、および
図3に示すように、蓋検出部材9(クラッチ部材7)は、軸線L方向に延在する延在部91と、延在部91の軸線L方向の他方側L2の端部でY方向の他方側Y2に屈曲した基端部92と、延在部91の軸線L方向の一方側L1の端部でY方向の他方側Y2に屈曲した先端部93とを有している。基端部92のY方向の他方側Y2の端部には、X方向に延在する軸部98が形成されている。軸部98の両端部は、第1ケース11の側板部116においてX方向で対向する2つの支持板部116a、116bの切り欠き116c、116dと、第2ケース12の側板部126においてX方向で対向する2つの支持板部126a、126bの切り欠き126c、126dとに嵌っており、蓋検出部材9は、軸部98を中心に回転可能である。また、軸部98の周りには、捩りコイルバネ99が設けられており、捩りコイルバネ99の両端部は各々、蓋検出部材9の基端部92、および第2ケース12の側板部126に当接している。この状態で、捩りコイルバネ99は、先端部93がY方向の他方側Y2に位置するように蓋検出部材9を付勢している。
【0051】
蓋検出部材9において、先端部93は、ロック軸85が内側に位置する凹部930と、
図1(c)に示す蓋230の突出部235によって押圧される被押圧部931とを有している。従って、閉位置に蓋230が到達した際、蓋230の突出部235によって被押圧部931がY方向の一方側Y1に押圧されると、蓋検出部材9は、軸部98周りに回転し、先端部93は、ロック軸85の軸線L方向の一方側L1で対向する位置からY方向の一方側Y1に押し退けられる。
【0052】
ここで、蓋検出部材9は、延在部91からY方向の他方側Y2に向けて突出した板状の凸部95を有している。本形態において、凸部95の先端部(Y方向の他方側Y2)には、軸線L方向の一方側L1の角が切り欠かれた斜面951が形成されている。
【0053】
一方、第1ケース11の底板部111において、凸部95に対してY方向の他方側Y2で重なる位置には開口部111cが形成されている。また、ホルダ60の第2連結板部64において凸部95および開口部111cに対してY方向の他方側Y2で重なる位置には開口部64cが形成されている。また、ホルダ60は、第1ケース11の底板部111および第2ケース12の底板部121によって軸線L方向に移動可能に支持されている。
【0054】
(蓋ロック装置100におけるロック動作)
図8は、本発明を適用した蓋ロック装置100のリニアアクチュエータ1をY方向の一方側L1からみた斜視図であり、
図8(a)、(b)は、蓋230が開位置にあるときのリニアアクチュエータ1の様子をY方向の他方側L2からみた斜視図、および蓋230が閉位置にあるときのリニアアクチュエータ1の様子をY方向の他方側L2からみた斜視図である。
【0055】
本形態の蓋ロック装置100において、
図1(a)、(b)に示すように、蓋230が開状態にあって、蓋検出部材9の延在部91が第1ケース11の底板部111に沿う姿勢にあると、
図7(a)に示すように、蓋検出部材9の凸部95は第1ケース11の底板部111に形成された開口部111cを経由して、ホルダ60の開口部64cからY方向の他方側Y2に突出する。この状態で、凸部95の斜面951がホルダ60の開口部64cの縁に当接するので、ホルダ60は、軸線L方向の一方側L1に移動する。その結果、駆動歯車30が軸線L方向の一方側L1に移動するため、
図8(a)に示すように、駆動歯
車30は、第2従動歯車42と噛合するが、第1従動歯車41との噛合が解除された状態となる。この状態では、モータ20が回転しても、第1従動歯車41と第2従動歯車42とが相対回転せずに供回りするため、第2従動歯車42およびロック部材8(出力部材80)は、軸線L方向の一方側L1に駆動されない。このようにして、蓋検出部材9は、モータ20とロック部材8(出力部材80)との機構的な接続を継断するクラッチ部材7として構成されている。
【0056】
これに対して、
図1(c)に示すように、蓋230が閉状態となると、蓋検出部材9の延在部91がY方向の一方側Y1に移動する結果、凸部95は、ホルダ60の開口部64cおよび第1ケース11の開口部111cから抜けるため、
図7(b)および
図8(b)に示すように、ホルダ60は、コイルバネ69の付勢力によって軸線L方向の他方側L
2に移動する。その結果、駆動歯車30が軸線L方向の他方側L
2に移動するため、駆動歯車30は、第1従動歯車41および第2従動歯車42の双方と噛合する。従って、蓋230を閉じた後、利用者が機器本体210側でスイッチ操作を行って、洗濯や乾燥が開始されると、モータ20が一方方向に回転し、第1従動歯車41と第2従動歯車42とが相対回転するため、第2従動歯車42は、軸線L方向の一方側L1に駆動される。従って、ロック部材8(出力部材80)が軸線L方向の一方側L1に駆動されるので、ロック部材8のロック軸85が被係合部236内に嵌って係合し、蓋230をロックする。そして、ロック部材8の第2ガイド部82の軸線L方向の一方側L1の端部820が、
図2(b)に示すストッパ127に当接する位置で、ロック部材8および第2従動歯車42が停止する。
【0057】
また、ロック部材8(出力部材80)が軸線L方向の一方側L1に駆動されると、可動部材28の回転が許容される。このため、第1突出部286は、スイッチ27の入力部270を押圧するので、ロック部材8が軸線L方向の一側方L1のロック位置に移動した旨の信号がコネクタ26を介して制御部に出力される。その結果、制御部は、モータ20への給電を停止させ、ロック部材8によって蓋230がロックされた状態が維持される。
【0058】
そして、洗濯や乾燥が終了すると、モータ20が他方方向に回転し、第2従動歯車42は、軸線L方向の他方側L2に駆動される。従って、ロック部材8(出力部材80)が軸線L方向の他方側L2に駆動されるので、蓋230のロック状態が解除される。それ故、蓋230を開くことができる。
【0059】
(操作部材65の構成)
図7および
図8に示すように、ホルダ60には、X方向の一方側X1に突出した操作部材65が構成されており、操作部材65は、ケース10からX方向の一方側X1に突出し、露出した状態にある。本形態において、操作部材65も、駆動歯車30(第1駆動歯車31および第2駆動歯車32)を軸線L方向に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第2駆動歯車32と第2従動歯車42との噛合のうちの少なくとも一方を解除するクラッチ部材7として機能する。本形態において、操作部材65は、駆動歯車30(第1駆動歯車31および第2駆動歯車32)を軸線L方向の一方側L1に移動させ、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とを噛合させたまま、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とを噛合を解除する。
【0060】
より具体的には、
図7(b)および
図8(b)に示すように、ロック部材8によって蓋230がロックされた状態において、ホルダ60は、軸線L方向の他方側L2に位置する。従って、操作部材65も軸線L方向の他方側L2に位置する。この状態では、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とが噛合し、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とが噛合している。従って、この状態で停電すると、モータ20が回転しないため、蓋230を開けることができない。
【0061】
このような場合、手動により操作部材65を軸線L方向の一方側L1に移動させると、ホルダ60および駆動歯車30が軸線L方向の一方側L1に移動し、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とを噛合させたまま、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とを噛合を解除することができる。ここで、第2従動歯車42は、付勢部材51によって軸線L方向の他方側L21に付勢されている。また、第1従動歯車41と第1駆動歯車31との噛合が解除されると、第1従動歯車41および第2従動歯車42は独立して回転することができる。また、第1従動歯車41と第2従動歯車42との間において、回転直動変換機構50を構成する傾斜カム面414の傾斜角は、傾斜カム面414と摺動部424との摩擦角より大になっている。従って、第2従動歯車42が付勢部材51によって軸線L方向の他方側L21に付勢される結果、摺動部424が傾斜カム面414を押圧し、第1従動歯車41あるいは第2従動歯車42が回転しながら、摺動部424が傾斜カム面414上を移動する。それ故、ロック部材8(出力部材80)が軸線L方向の他方側L2に駆動されるので、蓋230のロック状態が解除される。従って、蓋230を手動で開くことができる。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の蓋ロック装置100において、モータ20(駆動源)が第1駆動歯車31および第2駆動歯車32を駆動すると、第1駆動歯車31と噛合する第1従動歯車41、および第2駆動歯車32と噛合する第2従動歯車42が回転する。その際、第1駆動歯車31と第1従動歯車41とのギア比と、第2駆動歯車32と第2従動歯車42とのギア比とが相違しているため、第1従動歯車41と第2従動歯車42とが相対回転(差動)する。従って、回転直動変換機構50によって、第1従動歯車41に対する第2従動歯車42の相対回転を第2従動歯車42が軸線L方向に移動する動作に変換すれば、第2従動歯車42に連動して出力部材80(ロック部材8)を直線移動させることができる。
【0063】
また、本形態では、蓋検出部材9(クラッチ部材7)によって、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32のうちの少なくとも一方を軸線L方向に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第2駆動歯車32と第2従動歯車42との噛合のうちの少なくとも一方を解除する。このため、モータ20によって第1駆動歯車31および第2駆動歯車32を駆動している状態でも、第2従動歯車42の直線駆動を停止することができる。それ故、2つの歯車(第1従動歯車41および第2従動歯車42)の差動を利用して出力部材80を直線駆動する場合でも、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32のうちの少なくとも一方を軸線L方向に移動させるクラッチ部材7(蓋検出部材9)を設けるという簡素な構成で、モータ20(駆動源)と出力部材80との機構的な接続を継断することができる。
【0064】
また、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とは、一体の駆動歯車30として構成されているため、歯車機構において、構成の簡素化を図ることができる。また、第1駆動歯車31の歯と第2駆動歯車32の歯は、駆動歯車30において軸線L方向で連続して形成されている。このため、第1駆動歯車31の歯数と第2駆動歯車32の歯数とが等しいので、第1従動歯車41と第2従動歯車42とでは、歯数が相違させてある。かかる構成によれば、歯車機構において、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32の構成の簡素化を図ることができる。また、駆動歯車30において第1駆動歯車31の歯と第2駆動歯車32の歯とが軸線L方向で連続して形成されているため、駆動歯車30を軸線L方向に移動させた際の第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合の解除が容易である。
【0065】
また、クラッチ部材7は、駆動歯車30を軸線L方向の一方側L1に移動させて、第1
駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合を解除している。このため、軸線L方向に固定されている第1従動歯車41と駆動歯車30との噛合を解除すればよいので、駆動歯車30の軸線L方向への移動距離が短く済む。
【0066】
また、回転直動変換機構50は、第1従動歯車41において第2従動歯車42に向く面に形成された傾斜カム面414と、第2従動歯車42において傾斜カム面414に当接する摺動部424と、第2従動歯車42を第1従動歯車41の側に向けて付勢する付勢部材51とを備えている。このため、回転直動変換機構50の構成の簡素化を図ることができる。また、付勢部材51は、出力部材80を介して第2従動歯車42を第1従動歯車41の側に向けて付勢している。このため、付勢部材51によって、出力部材80を軸線L方向の他方側L2に移動させることができる。
【0067】
また、本形態において、モータ20(駆動源)は、駆動歯車30を双方向に回転駆動可能なステッピングモータであり、ケース10には、第2従動歯車42の軸線L方向の一方側L1への可動範囲を規制するストッパ127が構成されている。このため、第2従動歯車42および出力部材80を適正な位置で停止させることができる。すなわち、一方方向への回転のみがモータの場合、ストッパで停止を利用した構成を採用できないため、タイマー等によって、回転時間を制御する必要があるが、双方向に回転可能なモータであれば、ストッパ127によって、第2従動歯車42および出力部材80を適正な位置で停止させることができる。
【0068】
また、本形態のリニアアクチュエータ1は蓋ロック装置100に搭載されており、蓋検出部材9がクラッチ部材7として構成されている。このため、蓋230が開位置にあるときには、ロック部材8(出力部材80)の駆動を停止することができる。
【0069】
また、ロック部材8は、第2従動歯車42が軸線L方向の一方側L
1に移動した際、蓋230の被係合部236と係合するため、回転直動変換機構50の付勢部材51は、ロックを解除する方向にロック部材8を付勢している。このため、手動によってロック部材8をロック状態の解除方向に移動させる際、必要な力が小さくてよい。
【0070】
また、本形態においては、外部操作される操作部材65が、駆動歯車30と第1従動歯車41との噛合を解除するクラッチ部材7として構成されている。このため、蓋230がロックされた状態で停電が発生しても、操作部材65を操作すれば、駆動歯車30と第1従動歯車41との噛合が解除されるため、蓋230を開くことができる。
【0071】
また、操作部材65は、駆動歯車30、モータ20、回転直動変換機構50等を収容するケース10から一部が露出しているため、操作部材65に対する操作が容易である。
【0072】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とが一体の駆動歯車30として構成されていたが、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とが別体に構成されていてもよい。この場合、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とは、一体に回転するように連結される。また、第1駆動歯車31と第2駆動歯車32とにおいて歯数を相違させてもよく、この場合、第1従動歯車41と第2従動歯車42を転移歯車ではなく通常の歯車で構成することができる。
【0073】
上記実施の形態では、クラッチ部材7(蓋検出部材9および操作部材75)が第1駆動歯車31と第1従動歯車41との係合を解除したが、第2駆動歯車32と第2従動歯車42との係合を解除する構成を採用してもよい。また、クラッチ部材7(蓋検出部材9および操作部材75)が、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との係合、および第2駆動歯
車32と第2従動歯車42との係合の双方を解除する構成を採用してもよい。
【0074】
上記実施の形態では、リニアアクチュエータ1が蓋ロック装置100に搭載されていたが、リニアアクチュエータ1を流体装置において流体の流れを制御する弁体駆動装置として用いてもよい。かかる構成の場合、例えば、クラッチ部材7としてソレノイドを用い、ソレノイドによって、第1駆動歯車31および第2駆動歯車32のうちの少なくとも一方を軸線L方向に移動させて、第1駆動歯車31と第1従動歯車41との噛合、および第2駆動歯車32と第2従動歯車42との噛合のうちの少なくとも一方を解除してもよい。