(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入庫優先モードにおいて、車両を載置していない前記搬送機が前記格納階と前記乗入階との間を昇降している最中に次の出庫が発生した場合、前記搬送機の昇降を停止させ、該出庫させる車両が格納されている前記格納階へ前記搬送機を昇降させる請求項1から請求項7の何れか1項記載の機械式駐車装置の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている機械式駐車装置は、入庫優先モードと出庫優先モードとの切り替えに関するものであり、入庫優先モードを効率的に運用するものではない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、入庫優先モードをより効率的に運用できる、機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0008】
本発明の第一態様に係る機械式駐車装置の制御装置は、車両の入出庫が行われる乗入階と該車両が格納棚に格納される格納階との間で、搬送機によって車両を昇降させる機械式駐車装置の制御装置であって、前記機械式駐車装置の運転モードとして、前記搬送機を前記乗入階に待機させる入庫優先モードを設定する第1設定手段と、前記第1設定手段によって前記入庫優先モードが設定された場合、車両の入庫又は出庫が完了した後、前記搬送機を所定の待機時間で前記格納階に待機させ、その後に前記搬送機を前記乗入階に待機させる設定を可能とする第2設定手段と、を備える。
【0009】
本構成に係る機械式駐車装置は、搬送機によって乗入階と格納階との間で車両を昇降させる。なお、搬送機は、パレットを用いて車両を昇降させてもよい。
【0010】
機械式駐車装置の運転モードとして、搬送機を乗入階に待機させる入庫優先モードが第1設定手段によって設定される。入庫優先モードは、搬送機が乗入階に待機するため、次が入庫処理の場合に速やかに対応できる。しかしながら、例えば、次が入庫処理ではなく出庫処理の場合、乗入階に搬送機が待機しているため、この搬送機を格納階へ移動させた後に、出庫させる車両を搬送機によって格納階から乗入階へ昇降させなければならない。このような場合では、入庫優先モードが設定されていない場合に比べて出庫に要する時間が長くなる。このように、機械式駐車装置を入庫優先モードで運用しても、効率的に運用できない場合があった。
【0011】
そこで、入庫優先モードが設定された場合、車両の入庫又は出庫が完了した後、搬送機を所定の待機時間で格納階に待機させ、その後に搬送機を乗入階に待機させる設定が第2設定手段によって可能とされる。
第2設定手段による設定では、入庫優先モードが設定されても、車両の入庫又は出庫が完了した後、所定の待機時間の間、搬送機が格納階に待機する。これにより、車両の入庫又は出庫が完了した直後に車両の出庫を行う等、車両を格納階から乗入階へ昇降させる必要が生じた場合でも、搬送機が格納階で既に待機しているので、速やかに出庫処理が可能となる。
一方、待機時間が経過すると、搬送機は乗入階へ昇降され、乗入階に待機する。これにより、機械式駐車装置は、次が入庫処理の場合に速やかに対応できる。
【0012】
従って、本構成によれば、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0013】
上記第一態様では、前記第2設定手段が、前記待機時間を予め指定した固定時間とすることが好ましい。
【0014】
本構成によれば、例えば待機時間は30秒とされ、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0015】
上記第一態様では、前記第2設定手段が、前記待機時間を時間帯によって異なる時間とすることが好ましい。
【0016】
本構成によれば、例えば車両の入庫が集中する時間帯は待機時間が短く、車両の出庫が集中する時間帯は待機時間を長くする等、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0017】
上記第一態様では、前記入庫優先モードが、予め設定した車種を指定車種として、入庫車両を該指定車種に対応する前記格納棚に格納し、前記入庫優先モードにおいて、前記指定車種を固定する固定モード、又は予め設定した所定条件に応じて前記指定車種の変更を行う変更モードに切り替える切替手段を備えることが好ましい。
【0018】
本構成に係る入庫優先モードは、予め設定した車種を指定車種として、入庫車両を該指定車種に対応する格納棚に格納する。これにより、指定車種に該当する車両の入庫に要する時間が短くなる。
【0019】
しかし、従来では、指定車種の変更は機械式駐車装置の管理者等によって手動で行われていた。すなわち、指定車種が一度設定されると手動で変更しない限り指定車種が固定されていた。指定車種を変更しないと、指定車種に対応する車両が優先的に入庫されたり、指定車種とは異なる車両が指定車種に対応する格納棚に格納される可能性があり、指定車種に対応する格納棚が他の格納棚に比べて満車となりやすかった。
【0020】
そこで、本構成は、切替手段によって、指定車種を固定する固定モード、又は予め設定した所定条件に応じて指定車種の変更を行う変更モードに切り替えられる。固定モードは、上述したように、例えば管理者によって指定車種が手動で変更されるまで、指定車種が固定されるモードである。変更モードは、所定条件に応じて指定車種が自動的に変更されるモードである。
【0021】
このように、本構成は、入庫優先モードで指定車種を手動又は自動で変更可能なので、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0022】
上記第一態様では、前記変更モードが、前記所定条件として、前記格納棚のうち、最も空きの多い前記格納棚の車種に前記指定車種を変更することが好ましい。
【0023】
本構成は、格納棚に格納されている車種の数に応じて指定車種を変更するので、指定車種が設定されている入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0024】
上記第一態様では、前記変更モードが、前記所定条件として、予め設定したスケジュールに応じて前記指定車種を変更することが好ましい。
【0025】
本構成は、予め設定したスケジュールに応じて指定車種を変更するので、指定車種が設定されている入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0026】
上記第一態様では、前記変更モードが、出庫予約件数が所定数以上となった場合、前記指定車種の設定を解除することが好ましい。
【0027】
出庫予約件数が所定数以上となると出庫が連続するため、指定車種を設定する必要性が無い。そこで、本構成は、出庫予約件数が所定数以上となった場合、指定車種の設定を解除するので、指定車種が設定されている入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0028】
上記第一態様では、前記入庫優先モードにおいて、車両を載置していない前記搬送機が前記格納階と前記乗入階との間を昇降している最中に次の出庫が発生した場合、前記搬送機の昇降を停止させ、該出庫させる車両が格納されている前記格納階へ前記搬送機を昇降させることが好ましい。
【0029】
入庫優先モードでは、搬送機を乗入階に待機させるために格納階と乗入階との間で昇降させている最中に出庫が発生しても、搬送機はいったん乗入階に到着した後に出庫のために格納階へ再び戻っていた。これでは、出庫に要する時間が長くなる。
【0030】
本構成によれば、入庫優先モードにおいて、車両を載置していない搬送機が格納階と乗入階との間を昇降している最中に次の出庫が発生した場合、搬送機の昇降を停止させる。その後、出庫させる車両が格納されている格納階へ搬送機が昇降される。
【0031】
このように、入庫優先モードにおいて、搬送機を乗入階に待機させるために搬送機を昇降させている最中に次の出庫が発生すると入庫優先モードがキャンセルされ、搬送機は乗入階に昇降せず、格納階で一旦停止する。そして、搬送機は、格納階から出庫させる車両を取り出す。これにより、入庫優先モードにおいて出庫に要する時間が長くなることを抑制でき、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0032】
本発明の第二態様に係る機械式駐車装置は、車両の入出庫が行われる乗入階と、車両が格納棚に格納される格納階と、前記乗入階と前記格納階の間で、車両を昇降させる搬送機と、上記記載の制御装置と、を備える。
【0033】
本発明の第三態様に係る機械式駐車装置の制御方法は、車両の入出庫が行われる乗入階と該車両が格納棚に格納される格納階との間で、搬送機によって車両を昇降させる機械式駐車装置の制御方法であって、前記機械式駐車装置の運転モードとして、前記搬送機を前記乗入階に待機させる入庫優先モードを設定する第1工程と、前記入庫優先モードが設定された場合、車両の入庫又は出庫が完了した後、前記搬送機を所定の待機時間で前記格納階に待機させ、その後に前記搬送機を前記乗入階に待機させる設定を可能とする第2工程と、を含む。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、入庫優先モードをより効率的に運用できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0037】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0038】
図1は、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の概略図である。
図1に示されるように、機械式駐車装置10は、複数の階を有する構造物内に設置され、車両12を昇降させるリフト搬送機14、リフト搬送機14が昇降(移動)する昇降路16に沿って格納階18に配設された格納棚18A、及びリフト搬送機14により把持され、入出庫させる車両12を載置させ、車両12の種類(以下「車種」という。)に対応させた複数種類のパレット17を備える。
上記車種とは、例えば、普通車、ミッドルーフ車、ハイルーフ車等の車高の相違による種類や、普通車、電気自動車、低床車両、バリアフリー車等の車両の特徴の相違や、充電必要性の有無による相違による車両12の種類である。
【0039】
なお、以下の説明において、機械式駐車装置10へ入庫させる車両12を入庫車両といい、機械式駐車装置10から出庫させる車両12を出庫車両という。また、車両12が載置されていないパレット17を空パレットといい、車両12が載置されているパレット17を実パレットという。
【0040】
本第1実施形態では、機械式駐車装置10を90°旋回型の機械式駐車装置として説明するが、旋回角度は90°に限定されず、例えば30°や180°であってもよい。なお、90°旋回型とは、車両12を入出庫させる乗入階13に車両12を入庫させる向きと格納棚18Aに格納される向きとが90°異なり、格納棚18Aに格納する場合に、乗入階13の車両12を90°旋回させる方式である。
【0041】
図1に示されるように、機械式駐車装置10は、最下階である1階に乗入階13を備え、乗入階13の上階が格納階18とされている。機械式駐車装置10に一つ設けられる入出庫扉15を開けて乗入階13に車両12を入庫させ、乗入階13の上階である格納階18の格納棚18Aに格納させる。また、機械式駐車装置10は、出庫させる車両12を格納棚18Aから取り出し、入出庫扉15を開けて乗入階13から出庫させる。
また、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10、乗入階13が1階に設けられるが、乗入階13の配設位置は特に限定されない。すなわち、乗入階13が最上階とされ、格納階18が乗入階13よりも下階とされてもよく、乗入階13が中階とされ、上階及び下階が格納階18とされてもよい。
【0042】
図2は、機械式駐車装置10の電気的構成を示した機能ブロック図である。
機械式駐車装置10は、操作盤11、制御装置20、動力ユニット21、リフト搬送機14、横送装置22、及び旋回装置23を備えている。
操作盤11は、車両12を入庫する操作(以下「入庫予約」という。)及び出庫する操作(以下「出庫予約」という。)を受け付ける。
制御装置20は、操作盤11に対する利用者による操作内容に基づいて、機械式駐車装置10を制御する。制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0043】
そして、制御装置20は、動力を供給する動力ユニット21を介して、リフト搬送機14によってパレット17を乗入階13と格納階18との間で昇降させる。また、制御装置20は、リフト搬送機14と格納棚18Aとの間でパレット17を横送させる横送装置22、乗入階13においてパレット17を旋回させる旋回装置23等を制御する。
【0044】
さらに、制御装置20は、予約盤30を備えている。
予約盤30も、入庫予約及び出庫予約を受け付け、実行部31及び予約テーブル32を備えている。
【0045】
実行部31は、入庫予約に応じて、乗入階13において車両12をパレット17に入車させ、車両12が載置された実パレットを格納棚18Aに格納させる入庫処理を実行する。また、実行部31は、出庫予約に応じて、実パレットを格納棚18Aから取り出し、乗入階13においてパレット17から車両12を出車させる出庫処理を実行する。具体的には、実行部31は、実行テーブルに格納される運転処理を実行する。予約テーブル32は、操作盤11及び予約盤30で受け付けた入庫予約及び出庫予約を記憶する。
【0046】
なお、機械式駐車装置10から離れた遠隔に予約盤30が配置される場合には、
図3に示されるように、遠隔の予約盤30から予約テーブル32に予約できる件数は最大でも1件とし、操作盤11を介して予約テーブル32に予約できる件数は最大でも1件とすることが好ましい。これにより、機械式駐車装置10の予約テーブル32が、予約盤30からの予約、或いは、操作盤11からの予約のどちらか一方で予約がいっぱいになることを防ぐ。従って、機械式駐車装置10の予約テーブル32は、予約盤30からの予約と操作盤11からの予約を均等に受け付けることができる。
【0047】
さらに、制御装置20は、運転モード設定部40、遅延タイマー設定部41、指定車種切替部42、及びキャンセル設定部43を備える。
【0048】
運転モード設定部40は、機械式駐車装置10の運転モードを入庫優先モード又は出庫優先モードに設定する。なお、入庫優先モード又は出庫優先モードの設定の入力は、操作盤11を介して機械式駐車装置10の管理者によって行われる。
【0049】
入庫優先モードは、空パレットを把持したリフト搬送機14を乗入階13に待機させ、次の入庫処理に速やかに対応させる運転モードである。すなわち、入庫優先モードは、実パレットを格納階18へ格納する入庫処理が完了すると(
図4(A))、格納階18から空パレットを把持したリフト搬送機14を乗入階13に昇降させ、乗入階13に待機させる(
図4(B))。また、入庫優先モードは、出庫処理が完了すると(
図5(A))、空パレットを把持したリフト搬送機14を乗入階13に待機させる(
図5(B))。
【0050】
なお、入庫優先モードでは、予め設定した車種を指定車種として、入庫車両を該指定車種に対応する格納棚18Aに格納することも可能とされている。
上述の
図5(B)は、指定車種が設定されている例である。
図5(B)では、出庫車両が載置されていた空パレットが指定車種とは異なるパレット17であるため、空パレットを対応する格納棚18Aに戻した後に、指定車種に対応する空パレットを取り出し、把持したリフト搬送機14が乗入階13に待機する。
指定車種が設定されていない入庫優先モードでは、出庫処理が完了すると、空パレットを把持したリフト搬送機14を格納階18へ戻すことなく、そのまま乗入階13に待機させる。
【0051】
出庫優先モードは、リフト搬送機14を格納階18で待機させ、出庫処理に速やかに対応させる運転モードである。すなわち、出庫優先モードは、入庫処理が完了すると(
図6(A))、そのままリフト搬送機14を格納階18に待機させる(
図6(B))。また、出庫優先モードは、出庫処理が完了すると(
図7(A))、乗入階13からリフト搬送機14を格納階18に昇降させ、そのままリフト搬送機14を格納階18に待機させる(
図7(B))。
【0052】
遅延タイマー設定部41は、入庫優先モードが設定された場合、車両12の入庫又は出庫が完了した後、リフト搬送機14を所定の待機時間で格納階18に待機させ、その後にリフト搬送機14を乗入階13に待機させる設定(以下「遅延タイマー設定」という。)を可能とする。
【0053】
指定車種切替部42は、入庫優先モードにおいて。指定車種を固定する固定モード、又は予め設定した所定条件に応じて指定車種の変更を行う変更モードに切り替える設定(以下「指定車種切替設定」という。)を可能とする。
【0054】
キャンセル設定部43は、入庫優先モードにおいて、空パレットを把持したリフト搬送機14が格納階18と乗入階13との間を昇降している最中に次の出庫(出庫予約)が発生した場合、リフト搬送機14の昇降を停止させ、出庫車両が格納されている格納階18へリフト搬送機14を昇降させる設定(以下「キャンセル設定」という。)を可能とする。
【0055】
なお、遅延タイマー設定、指定車種切替設定、キャンセル設定は、機械式駐車装置10の管理者によって操作盤11を介しその有無が決定される。
【0056】
次に、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の制御装置20に係る作用を説明する。
【0057】
〔遅延タイマー設定〕
入庫優先モードは、リフト搬送機14が乗入階13に待機するため、次が入庫処理の場合に速やかに対応できる。しかしながら、例えば、次が入庫処理ではなく出庫処理の場合、乗入階13にリフト搬送機14が待機しているため、このリフト搬送機14を格納階18へ移動させた後に、出庫車両をリフト搬送機14によって格納階18から乗入階13へ昇降させなければならない。この乗入階13から格納階18へのリフト搬送機14の昇降は無駄な動作であり、出庫優先モードに比べて出庫に要する時間が長くなる。このように、機械式駐車装置10を入庫優先モードで運用しても、効率的に運用できない場合があった。
【0058】
ここで、入庫優先モードが設定されている場合に入庫処理が行われると、リフト搬送機14は、格納階18に昇降する。また、指定車種が設定されている入庫優先モードでは出庫処理の場合でも、出庫後の空パレットが指定車種のものでない場合に、リフト搬送機14は、格納階18まで昇降し、指定車種に該当する空パレットを取り出す。このように、入庫優先モードでも、リフト搬送機14が格納階18に昇降するので、このときに格納階18で一時的に待機することで、待機中に出庫予約がされた場合に速やかに出庫を行うことができる。
【0059】
そこで、本第1実施形態に係る制御装置20が備える遅延タイマー設定部41は、入庫優先モードが設定されても、車両12の入庫又は出庫が完了した後、所定の待機時間の間、リフト搬送機14を格納階18に待機させる。
【0060】
このように、遅延タイマー設定により、車両12の入庫又は出庫が完了した直後に車両12の出庫を行う等、車両12を格納階18から乗入階13へ昇降させる必要が生じた場合でも、リフト搬送機14が格納階18で既に待機しているので、速やかに出庫処理が可能となる。
一方、待機時間が経過すると、リフト搬送機14は、乗入階13へ昇降され、乗入階13で待機する。これにより、機械式駐車装置10は、次が入庫処理の場合に速やかに対応できる。
従って、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0061】
なお、遅延タイマー設定は、待機時間を予め指定した固定時間(以下「時間固定」という。)、又は待機時間を時間帯によって異なる時間(以下「時間変動」という。)とする。
時間固定では、例えば待機時間は30秒とされる。
時間変動では、例えば車両12の入庫が集中する時間帯は待機時間を短く、車両12の出庫が集中する時間帯は待機時間を長くする。より具体的には、例えば、入庫が集中する午前の時間帯の待機時間を短くし(例えば15秒)、出庫が集中する夕方は待機時間を長くし(例えば45秒)、午前と夕方との間である日中の平準時は午前の待機時間と夕方の待機時間との間(例えば30秒)とする。
なお、以下の説明において、待機時間を遅延タイマーともいう。
【0062】
なお、時間固定又は時間変動の設定は、機械式駐車装置10の管理者によって操作盤11を介して切り替えられる。
【0063】
また、遅延タイマーのカウントダウンを示す値は、操作盤11の操作画面に表示されてもよい。
図8は、操作盤11の操作画面に表示される管理者用の入出庫操作画像50の一例である。
入出庫操作画像50は、例えば機械式駐車装置10の内部の構造が簡略的に表示されており、各格納棚18Aを示すアイコン18Aiが、その各々の番号と、空車/在車状況と共にリアルタイムに表示されている。空車のアイコン18Aiにはパレット17を示す画像のみが表示され、在車のアイコン18Aiにはパレット17と、その上に載置された車両12の画像が表示される。また、入出庫操作画像50は、リフト搬送機14の位置をリアルタイムに示すアイコン14iが表示される。そして、入出庫操作画像50の上方には、遅延タイマーのカウントダウン値52が表示される。
これにより、管理者は、リフト搬送機14の位置及び遅延タイマーのカントダウン値を認識でき、機械式駐車装置10の次の動作を簡易に予測できる。
【0064】
〔指定車種切替設定〕
入庫優先モードは、予め設定した車種を指定車種として、指定車種に対応したパレット17を乗入階13に待機させ、入庫車両を該指定車種に対応する格納棚18Aに格納することが可能とされている。これにより、指定車種に該当する車両12の入庫に要する時間が短くなる。
しかし、従来では、指定車種の変更は機械式駐車装置10の管理者等によって手動で行われていた。すなわち、指定車種が一度設定されると手動で変更しない限り指定車種が固定されていた。このため、指定車種とは異なる車両12を入庫させる場合は、管理者が入庫車両の車種に対応したパレット17を操作盤11を介してあらためて呼び出していた。
そして、指定車種を変更しないと、指定車種に対応する車両12が優先的に入庫されたり、指定車種とは異なる車両12が指定車種に対応する格納棚18Aに格納される可能性があり、指定車種に対応する格納棚18Aが他の格納棚18Aに比べて満車となりやすかった。
【0065】
そこで、指定車種切替設定によって、指定車種を固定する固定モード、又は予め設定した所定条件(以下「変更条件」という。)に応じて指定車種の変更を行う変更モードに切り替えられる。固定モードは、上述したように、例えば管理者によって指定車種が手動で変更されるまで、指定車種が固定されるモードである。変更モードは、所定条件に応じて指定車種が自動的に変更されるモードである。
このように、指定車種切替設定は、入庫優先モードで指定車種を手動又は自動で変更可能なので、指定車種が設定されている入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0066】
なお、変更モードは、第1変更モード及び第2変更モードが設定されている。
第1変更モードは、変更条件として、車種に対応して分けられている格納棚18Aのうち、最も空きの多い格納棚18Aの車種に指定車種を変更する。すなわち、第1変更モードは、格納棚18Aに格納されている車種の数に応じて、指定車種が変更される。
第2変更モードは、変更条件として、予め設定したスケジュールに応じて指定車種を変更する。上記スケジュールとは、例えば、時間帯、曜日、及び月日等である。
【0067】
また、出庫予約件数が所定数以上となると出庫が連続するため、指定車種を設定する必要性が無い。そこで、変更モードは、出庫予約件数が所定数以上となった場合、指定車種の設定を解除するので、指定車種が設定されている入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
【0068】
〔キャンセル設定〕
入庫優先モードでは、空パレットを把持したリフト搬送機14を乗入階13に待機させるために格納階18と乗入階13との間で昇降させている最中に出庫が発生しても、リフト搬送機14はいったん乗入階13に到着した後に出庫のために格納階18へ再び戻っていた。これでは、リフト搬送機14に無駄な操作が生じ、出庫に要する時間が長くなる。
キャンセル設定が行われると、入庫優先モードにおいて、空パレットを把持したリフト搬送機14が格納階18と乗入階13との間を昇降している最中に次の出庫が発生した場合、リフト搬送機14の昇降を停止させる。すなわち、入庫優先モードがキャンセルされ、リフト搬送機15は、格納階18で一旦停止する。その後、リフト搬送機14は、空パレットを把持して乗入階13まで昇降することなく、出庫車両が格納されている格納階18へ昇降し、格納棚18Aから出庫車両が載置された実パレットを取り出す。
【0069】
これにより、入庫優先モードにおいて出庫に要する時間が長くなることを抑制でき、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。
なお、本第1実施形態に係るキャンセル設定では、リフト搬送機14が空パレットを取り出すために格納階18へ到着したとき、この空パレットを取り出したとき、この空パレットを把持して乗入階13へ到着したときに、出庫が発生したか否かを判定する。
【0070】
図9,10は、本第1実施形態に係る入庫優先モードの処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図9,10のフローチャートにより示される処理は、制御装置20によって実行される。
【0071】
まず、ステップ100では、入庫処理による実パレット又は出庫処理による空パレットをリフト搬送機14によって昇降させ、乗入階13から格納階18の格納棚18Aに格納する。
リフト搬送機14は、実パレット又は空パレットを格納棚18Aへ格納した後、その格納棚18Aの格納階18に待機する。
【0072】
次のステップ102では、遅延タイマーの設定を行う。遅延タイマーは、予め設定されている時間固定又は時間変動に応じて、遅延タイマー設定部41によって設定される。なお、ステップ102の処理は、ステップ100においてリフト搬送機14が格納階18に到達する前に実行されてもよい。
【0073】
次のステップ104では、遅延タイマーのカウントダウンを開始する。
【0074】
次のステップ106では、遅延タイマーの値がゼロ(0)になったか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ108へ移行する一方、否定判定の場合は遅延タイマーのカウントダウンを継続する。
遅延タイマーがゼロになるまでの間、リフト搬送機14は格納階18に待機している。そして、遅延タイマーがゼロになるまでの間に次の出庫(出庫予約)が発生した場合は、機械式駐車装置10は出庫処理を行う。すなわち、格納階18に待機しているリフト搬送機14は、出庫車両が格納されている格納階18へ昇降運転し、実パレットを取り出し、把持して乗入階13へ昇降運転する。
【0075】
ステップ108では、指定車種の空パレットがある格納棚18Aを検索する。なお、ステップ108の処理は、遅延タイマーのカウントダウンを行っている間に実行されてもよい。
【0076】
次のステップ110では、検索した空パレットがある格納階18へリフト搬送機14を昇降運転させ、到着させる(ステップ112)。
【0077】
次のステップ114では、出庫予約があるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ116へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ124へ移行する。
【0078】
ステップ116では、出庫車両を格納している格納階18へリフト搬送機14を昇降運転させる。そして、リフト搬送機14に、出庫車両が載置されている実パレットを取り出させ、把持させることで、実パレットを格納階18から乗入階13へ呼び出す。
【0079】
次のステップ118では、入出庫扉15を開く。
【0080】
次のステップ120では、乗入階13から出庫が行われる。
【0081】
次のステップ122では、入出庫扉15を閉じ、ステップ100へ戻る。
【0082】
ステップ114で否定判定となった場合に移行するステップ124では、リフト搬送機14に、到着した格納階18の格納棚18Aから指定車種に対応する空パレットを取り出させ、把持させる。
【0083】
次のステップ126では、出庫予約が有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ128へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ130へ移行する。
【0084】
ステップ128では、リフト搬送機14が把持している空パレットを対応する格納棚18Aに格納し、ステップ116へ移行する。
【0085】
ステップ130では、リフト搬送機14を乗入階13へ昇降運転させ、乗入階13へ到着させる(ステップ132)。
【0086】
次のステップ134では、出庫予約が有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ136へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ138へ移行する。
【0087】
ステップ136では、空パレットが格納されていた格納階18へリフト搬送機14を昇降運転させ、空パレットを格納棚18Aへ格納し、ステップ116へ移行する。
【0088】
ステップ138では、空パレットを把持したリフト搬送機14を乗入階13に待機させて、終了する。
【0089】
以上説明したように、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、乗入階13と格納階18との間で、リフト搬送機14によって車両12を昇降させる。そして、機械式駐車装置10の制御装置20は、運転モード設定部40及び遅延タイマー設定部41を備える。
運転モード設定部40は、機械式駐車装置10の運転モードとして、リフト搬送機14を乗入階13に待機させる入庫優先モードを設定する。また、遅延タイマー設定部41は、入庫優先モードが設定された場合、車両12の入庫又は出庫が完了した後、リフト搬送機14を所定の待機時間で格納階18に待機させ、その後にリフト搬送機14を乗入階13に待機させる設定を可能とする。
従って、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、入庫優先モードをより効率的に運用することができる。また、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、不要なリフト搬送機14の昇降を削減することができ、省エネルギー化に寄与する。
【0090】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0091】
なお、本第2実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、
図1,2,3に示す第1実施形態に係る機械式駐車装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0092】
図11,12は、本第2実施形態に係る入庫優先モードの処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図11,12における
図9,10と同一のステップについては
図9,10と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0093】
検索した空パレットがある格納階18へリフト搬送機14を昇降運転させた後(S110)、ステップ113ではリフト搬送機14が格納階18へ到着したか否かを判定する。肯定判定の場合はステップ123へ移行し、否定判定の場合はステップ115へ移行する。
【0094】
ステップ115では、出庫予約が有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ117へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ110へ戻る。
【0095】
ステップ117では、リフト搬送機14を最寄の格納階18へ一時停止させ、ステップ116へ移行する。
【0096】
格納階18へ到着するとステップ123では、出庫予約が有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ116へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ124へ移行する。
【0097】
そして、リフト搬送機14は、格納棚18Aから空パレットを取り出し、把持した後に(ステップ124)、乗入階13へ昇降運転する(ステップ130)。
【0098】
次のステップ131では、乗入階13にリフト搬送機14が到着したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ134へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ133へ移行する。
【0099】
ステップ133では、出庫予約が有るか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ135へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ130へ戻る。
【0100】
ステップ135では、リフト搬送機14を最寄の格納階18へ一時停止させ、ステップ136へ移行する。
【0101】
このように、本第2実施形態に係るキャンセル設定では、リフト搬送機14が格納階18又は乗入階13への昇降運転を行っているときでも、出庫が発生したか否かを判定する。
【0102】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0103】
例えば、上記各実施形態では、リフト搬送機14がパレット17を把持し、パレット17を乗入階13と格納階18との間で昇降させる形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、パレット17を用いず、リフト搬送機14が直接車両12を昇降させる形態としてもよい。
また、機械式駐車装置10は、リフト搬送機14を昇降させるエレベータ式であればよく、水平循環式の機械式駐車装置や平面往復式の機械式駐車装置でもよい。
【0104】
また、制御装置20は、外部との情報の送受信のためにインターネット等の外部ネットワークとも接続され、指定車種切替部42に相当する処理を外部ネットワークに接続される情報処理装置で行ってもよい。
【0105】
また、上記各実施形態で説明した入庫優先モードの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。