特許第6352095号(P6352095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352095
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】保護素子
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/76 20060101AFI20180625BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20180625BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20180625BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01H37/76 F
   H02H7/18
   H01M2/34 A
   H02H9/02 B
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-153858(P2014-153858)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-46390(P2015-46390A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-156826(P2013-156826)
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516119106
【氏名又は名称】Littelfuseジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】横田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩井 正明
(72)【発明者】
【氏名】田中 新
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−184138(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/118153(WO,A1)
【文献】 特開2009−032696(JP,A)
【文献】 特開2007−280807(JP,A)
【文献】 特開昭55−062637(JP,A)
【文献】 特開平10−275546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76 , 69/02
H01H 85/00 − 87/00
H01M 2/20 − 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)貫通開口部を有する絶縁性樹脂を含んで成る層状要素、
(ii)層状要素を貫通する少なくとも1つの低融点金属部材、および
(iii)層状要素の両主表面に位置し、低融点金属部材により電気的に接続されている一対の層状の金属電極
を有して成り、
前記層状要素の厚さは、1mm以上10mm以下であり、
前記低融点金属部材は、前記貫通開口部の壁面に沿った層を形成し、
フラックスが、前記貫通開口部に注入されており、
前記低融点金属部材は、異常時に溶断して電流を遮断する、保護素子。
【請求項2】
層状要素の一部または全部が、PTC組成物により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
2つ以上の低融点金属部材を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の保護素子。
【請求項4】
2つ以上の低融点金属部材が、互いに接触して配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の保護素子。
【請求項5】
2つ以上の低融点金属部材が、互いに離隔して配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の保護素子。
【請求項6】
2つ以上の低融点金属部材が、均等に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の保護素子。
【請求項7】
低融点金属部材が、Sn、Bi−Cd合金、Bi−Pb合金、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Bi−In合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Cu−Bi合金、Sn−Ag−Cu−Bi−In合金、Sn−Ag−Cu−Co−Ni合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Ni−Co合金、Sn−Bi合金、Sn−Bi−Ag合金、Sn−Bi−Cd合金、Sn−Bi−In合金、Sn−Bi−Pb合金、Sn−Bi−Pb−Cd合金、Sn−Bi−Pb−Cd−In合金、Sn−Bi−Pb−In合金、Sn−Bi−Zn合金、Sn−Cu合金、Sn−Cu−Ni合金、Sn−Cu−Ni−P−Ge合金、Sn−Cd合金、Sn−In合金、Sn−Pb合金、Sn−Pb−Cd合金、Sn−Zn合金およびSn−Sb合金からなる群から選択される1種またはそれ以上の低融点金属から形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の保護素子。
【請求項8】
低融点金属が、80〜90℃の融点を有することを特徴とする、請求項7に記載の保護素子。
【請求項9】
低融点金属が、Sn−Bi−Pb合金、Sn−Bi−Pb−Cd合金、Sn−Bi−Pb−Cd−In合金およびSn−Bi−In合金からなる群から選択される1種またはそれ以上であることを特徴とする、請求項8に記載の保護素子。
【請求項10】
金属電極が、貴金属および卑金属を含む非鉄金属からなる群から選択される1種またはそれ以上の金属から形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の保護素子。
【請求項11】
非鉄金属が、Ni、Cu、Sn、Al、Ti、Cr、Mn、Zn、Ag、Au、W、Pt、Pb、MoおよびBeからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の保護素子。
【請求項12】
絶縁性樹脂が、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される1種またはそれ以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の保護素子。
【請求項13】
絶縁性樹脂が、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、およびポリプロピレンからなる群から選択される1種またはそれ以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の保護素子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の保護素子を有して成ることを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池が異常発熱した場合に電流を遮断する保護素子として、温度ヒューズ素子、PTC(positive temperature coefficient)素子、およびバイメタル素子とPTC素子とを並列に接続した保護デバイス(特許文献1)等が使用されている。中でも、大きな電流(例えば、30A)が流れるような用途、例えば電動自転車等の輸送機器のリチウムイオンポリマー二次電池の保護に用いる場合、サイズの大きなPTC素子、またはバイメタル素子とPTC素子とを並列に接続した保護デバイスが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2008/114650号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した保護素子のうち、温度ヒューズ素子は、その設置位置が、異常発熱が生じる位置から離れていると、迅速かつ確実な保護を提供することが難しくなる。したがって、温度ヒューズ素子は、迅速かつ確実に異常発熱に応答できるような位置に設置する必要があるが、異常発熱が生じうる箇所が広範囲にわたる場合、そのような設置箇所を決定することは必ずしも容易ではない。
【0005】
PTC素子には、ポリマーPTC素子およびセラミックPTC素子がある。このうちポリマーPTC素子は、トリップ温度が比較的高温であり、比較的低温の異常発熱、例えば異常発熱の温度が80℃である場合には、適切な保護を提供するのが必ずしも容易ではない。また、セラミックPTC素子は、衝撃に弱く、特に平型で大きな素子は、衝撃により割れが生じやすい。
【0006】
バイメタル素子とPTC素子とを並列に接続した保護デバイスは、保持電流を大きくすることができるが、機械的な接点を有しているため、環境による不具合、例えば腐食などによる接点不良、あるいは衝撃による瞬断などが生じやすい。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、異常温度をより確実に感知して動作することができ、耐衝撃性および耐環境性に優れた保護素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の要旨において、
(i)絶縁性樹脂を含んで成る層状要素、
(ii)層状要素を貫通する少なくとも1つの低融点金属部材、および
(iii)層状要素の両主表面に位置し、低融点金属部材により電気的に接続されている一対の層状の金属電極
を有して成る、保護素子を提供する。
【0009】
第2の要旨において、上記保護素子を有して成ることを特徴とする二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の保護素子は、層状の金属電極を用いることにより表面積が大きくなるので、より確実に異常発熱による熱を拾うことができ、より確実な保護を提供することができる。また、本発明の保護素子は、機械的な接点を有しないので、腐食などによる接点不良および衝撃による瞬断を起こさず、耐環境性および耐衝撃性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一の態様の保護素子の斜視図を模式的に示す。
図2図2は、図1の保護素子の直線x−xを含む平面に対して垂直な面に沿った断面図を模式的に示す。
図3図3は、別の態様の保護素子の断面図を図2と同様に模式的に示す。
図4図4は、さらに別の態様の保護素子の断面図を図2と同様に模式的に示す。
図5図5は、本発明の保護素子の層状要素の一の態様の斜視図を模式的に示す。
図6図6は、本発明の保護素子の層状要素の別の態様の斜視図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本発明の保護素子を詳細に説明する。但し、本発明の保護素子は、図示する態様に限定されない。
【0013】
図1に、本発明の一の態様の保護素子の斜視図を模式的に示し、図2に、図1に示す保護素子の直線x−xを含む平面に対して垂直な面に沿った断面図を模式的に示す。本発明の保護素子1は、層状要素2、層状要素を貫通する低融点金属部材4、およびこれらを覆う一対の層状の金属電極6を有して成る。
【0014】
本発明の保護素子1は、絶縁性樹脂を含んで成る層状要素2を有する。
【0015】
一の態様において、層状要素2は、絶縁性樹脂により形成される(以下、この絶縁性樹脂により形成された層状要素を、「層状樹脂要素」ともいう)。この態様において、平常時、電流は、一方の金属電極6から低融点金属部材4を介して他方の金属電極6に流れる。異常時、周囲で生じた熱が金属電極6を介して低融点金属部材4に伝わり、低融点金属部材4が溶断して、電流が遮断される。ここに、「平常時」とは、異常発熱が生じておらず、保護素子および保護すべき回路・機器ならびにそれらの周囲環境の温度が所定の温度以下であることを意味する。「異常時」とは、異常発熱が生じ、保護すべき回路・機器またはその周囲の温度が、所定の温度、例えば不具合が生じうる温度以上になることを意味する。
【0016】
層状要素を構成する絶縁性樹脂は、電気的に絶縁性を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリカーボネート−ABSアロイ樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタラート)樹脂、エラストマー等の樹脂を含む。該絶縁性樹脂は、本発明の保護素子の動作温度よりも高い分解温度および融点を有する樹脂であることが好ましい。ここに、「動作温度」とは、保護素子が動作して電流を遮断する最低温度を意味する。保護素子の動作温度よりも高い分解温度および高い融点を有する絶縁性樹脂を用いることにより、異常発熱が生じた場合に、絶縁性樹脂の分解温度または融点に達する前に保護素子が動作して電流を遮断するので、絶縁性樹脂の分解および溶融を防止することができる。また、本発明の保護素子は異常発熱により動作することを目的としているので、低融点金属部材に熱を伝えやすいという観点から、絶縁性樹脂は、熱伝導性が高い樹脂であることが好ましい。好ましい絶縁性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、フェノール系樹脂等が上げられる。
【0017】
別の態様において、層状要素2は、絶縁性樹脂に導電性フィラーを含む組成物、いわゆるPTC組成物により形成される(以下、このPTC組成物により形成された層状要素を、「層状PTC要素」ともいう)。層状要素として層状PTC要素を用いることにより、低融点金属部材が溶断する際、低融点金属部材を流れている電流が、層状PTC要素に転流するので、低融点金属部材の溶断に伴うアークの発生を抑制することができる。即ち、保護素子の耐電圧を向上させることができる。
【0018】
上記PTC組成物は、例えば、導電性フィラーを含むポリマー材料(例えば、カーボンブラック粒状物質を分散状態で含む高密度ポリエチレン)であって、PTC特性を示すポリマー組成物であり、自体既知のものであってよく、本発明の保護素子に用いることができるものである限り、特に限定されるものではない。
【0019】
好ましくは、上記層状PTC要素の動作温度は、低融点金属部材4を構成する低融点金属の融点よりも高い温度、例えば5℃高い温度、10℃高い温度、または20℃高い温度とすることができる。このような動作温度とすることにより、低融点金属部材が溶断する際、低融点金属部材を流れている電流を、より確実に層状PTC要素に転流させることができる。ここに、「動作温度」とは、層状PTC要素が動作(トリップ)する最低温度を意味する。
【0020】
さらに別の態様において、層状要素2は、層状樹脂要素および層状PTC要素の組み合わせであってもよい。層状樹脂要素および層状PTC要素の大きさ、形状および配置は、特に限定されるものではなく、製造の容易性、負荷される電圧・電流、用いるPTC組成物の種類、低融点金属の種類などの因子に応じて、適宜決定できる。例えば、図5に示されるように、層状樹脂要素8および層状PTC要素10は、互いに隣接して存在してもよい。また、図6に示されるように、層状PTC要素10は、層状樹脂要素8に囲まれるように位置してもよい。なお、図5および6において、簡単のため貫通開口部は省略されている。図示した態様では、層状PTC要素10と層状樹脂要素8は、接触して配置されているが、これに限定されず、離隔して配置してもよい。
【0021】
上記層状要素の形態は、厚さ方向のディメンションが他のディメンションより小さいもの(例えば板状またはシート状形態)であれば、特に限定されるものではない。具体的には、厚さに対する長さまたは幅の比が、3以上、例えば5〜100であるものが好ましい。層状要素の平面形状(層状要素を真上から見た場合の形状、または層状要素の厚さ方向に垂直な方向の断面形状)は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、正方形、長方形、菱形、環状等の形状であってもよい。この層状要素の平面形状は、保護すべき機器、例えば二次電池セルの平面形状と実質的に同一であることが好ましい。このように、層状要素の平面形状と保護すべき機器の平面形状を実質的に一致させることにより、保護すべき機器で異常発熱が生じた場合、より迅速かつ確実に熱を拾い、低融点金属部材に伝えることができるので、より迅速かつ確実な保護を提供することができる。
【0022】
上記層状要素の厚さは、特に限定されるものではないが、異常時における一対の電極間の絶縁を確実にし、低融点金属部材の溶断を容易にするために、1mm以上であることが好ましく、異常時に迅速に低融点金属部材全体に熱を伝えるために、また、小型化の観点から、10mm以下であることが好ましい。例えば、層状要素の厚さは、1〜8mm、好ましくは1〜6mmの範囲である。
【0023】
上記層状要素は、少なくとも1つの貫通開口部を有し、この貫通開口部を低融点金属部材が貫通する。層状樹脂要素および層状PTC要素の両方が存在する場合、この貫通開口部は、層状樹脂要素および層状PTC要素のどちらに存在してもよく、両方に存在してもよい。この貫通開口部は、層状要素の厚さ方向に沿って延びて層状要素を貫通しており、その厚さ方向に垂直な方向の断面形状は特に限定されるものではなく、例えば円形、正方形、菱形、長方形、楕円形であってもよい。貫通開口部の数は、用いる低融点金属部材の数に応じて適宜選択できる。
【0024】
本発明の保護素子1は、上記層状要素2の貫通開口部を貫通し、一対の層状の金属電極6のそれぞれに電気的に接続されている低融点金属部材4を有する。
【0025】
層状要素の厚さ方向に垂直な方向の低融点金属部材の断面形状は特に限定されるものではなく、例えば円形、正方形、菱形、長方形、楕円形または円環状であってもよい。
【0026】
低融点金属部材の厚さ(層状要素の厚さ方向の厚さ)は、実質的に層状要素の厚さと同じである。
【0027】
図2に示した態様では、上記低融点金属部材の数は、1つであるがこれに限定されず、2つ以上、例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上であってもよい。低融点金属部材の数を増やすことにより、保護素子の保持電流を大きくすることができる。したがって、低融点金属部材の数は、保護素子に要求される保持電流の程度に応じて、適宜選択できる。ここに、「保持電流」とは、本発明の保護素子が、動作することなく流すことができる最大電流を意味する。
【0028】
低融点金属部材が複数存在する場合、それらは、図3に示すように互いに接触するように配置していてもよく、または、図4に示すように互いに離隔するように配置してもよい。
【0029】
低融点金属部材を、互いに接触するように配置する場合、これらは、層状要素の主要面に対して垂直な方向から見た場合に、直線状となるように配置してもよく、あるいは、円周形、稲妻形、波形または凹凸形となるように配置してもよい。この場合、互いに接触した低融点金属部材は、より大きな1つの低融点金属部材とみなすこともできる。
【0030】
低融点金属部材を、互いに離隔して配置する場合、これらは層状要素に均等に配置することが好ましい。ここに、「均等に配置」とは、低融点金属部材の配置が、対称軸または対称点を有することを意味する。好ましくは、低融点金属部材の配置の対称軸または対称点が、層状要素の主表面の対称軸または対称点と一致する。例えば、低融点金属部材を直線的に配置する場合、隣り合う各低融点金属部材同士の距離が等しく、層状要素の主表面の中心線の両側に同じ数の低融点金属部材が存在するように配置することができる。また、低融点金属部材を円周状に配置する場合、層状要素の主表面の中心点から等距離に、等角度、例えば45°毎に低融点金属部材が存在するように配置することができる。また、1つまたはそれ以上の直線的な配置および1つまたはそれ以上の円周状の配置を組み合わせて配置してもよい。
【0031】
上記低融点金属部材は、低融点金属により構成されている。この低融点金属としては、特に限定されないが、例えば、Sn、Bi−Cd合金、Bi−Pb合金、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Bi−In合金、Sn−Ag−Cu合金、Sn−Ag−Cu−Bi合金、Sn−Ag−Cu−Bi−In合金、Sn−Ag−Cu−Co−Ni合金、Sn−Ag−Cu−Sb合金、Sn−Ag−Ni−Co合金、Sn−Bi合金、Sn−Bi−Ag合金、Sn−Bi−Cd合金、Sn−Bi−In合金、Sn−Bi−Pb合金、Sn−Bi−Pb−Cd合金、Sn−Bi−Pb−Cd−In合金、Sn−Bi−Pb−In合金、Sn−Bi−Zn合金、Sn−Cu合金、Sn−Cu−Ni合金、Sn−Cu−Ni−P−Ge合金、Sn−Cd合金、Sn−In合金、Sn−Pb合金、Sn−Pb−Cd合金、Sn−Zn合金およびSn−Sb合金が挙げられる。
【0032】
本発明の保護素子の動作温度は、低融点金属部材を構成する低融点金属の融点と実質的に同じになる。したがって、低融点金属の融点を調整することにより、保護素子の動作温度を変更することができる。例えば、低融点金属の融点を80℃とすると、異常発熱としては比較的低温である80℃の温度に対しても保護を提供することができる。低融点金属の融点は、用いる金属または合金を変更することにより、適宜調整することができる。
【0033】
好ましい態様において、低融点金属部材は、80〜90℃の融点を有する。このような80〜90℃の融点を有する低融点金属としては、特に限定されないが、Sn−Bi−Pb合金、Sn−Bi−Pb−Cd合金、Sn−Bi−Pb−Cd−In合金、Sn−Bi−In合金等が挙げられる。
【0034】
また、低融点金属部材は、その溶断を補助するフラックスを含有していてもよく、あるいは、層状要素の貫通開口部においてフラックスと共存していてもよい。例えば、貫通開口部において、1つまたはそれ以上の低融点金属部材および1つまたはそれ以上のフラックス部を交互に隣接して配置することができる。
【0035】
本発明の保護素子1は、層状要素2の2つの主表面の少なくとも一部およびこの主表面から露出した低融点金属部材4を覆うように配置され、低融点金属部材4により互いに電気的に接続されている一対の層状の金属電極6を有する。
【0036】
上記金属電極を構成する金属材料は、特に限定されないが、Feまたは貴金属および卑金属を含む非鉄金属、具体的には、Ni、Cu、Sn、Al、Ti、Cr、Mn、Zn、Ag、Au、W、Pt、Pb、Mo、Beなど、またはこれらの合金を用いることができる。中でも、熱伝導性が高いことから、Au、Ag、CuおよびAlが好ましい。
【0037】
上記金属電極の厚さは、特に限定されず、例えば板状または箔状であり得るが、異常時に熱を効率的に低融点金属部材に伝えるために、十分な量の熱容量を確保しつつ、熱を電極の温度上昇に消費してしまわないような厚み、例えば0.1〜2mmであることが好ましい。
【0038】
上記金属電極は、層状要素の主表面の一部を覆っていてもよく、または全部を覆っていてもよい。異常時に広範囲から熱をより確実に拾うことができるので、層状要素の主表面の全部を覆うことが好ましい。また、金属電極は、層状要素の外縁よりも外側まで延在してもよい。
【0039】
上記金属電極の表面(層状要素の主要面と接する面に対向する面)の形状は、特に限定されないが、製造の容易性の観点からは平面形状であることが好ましく、また、異常時に熱を拾いやすいという観点からは、保護素子を設置する面、例えば保護すべき機器の表面の形状に一致することが好ましい。
【0040】
上記、低融点金属部材と金属電極との電気的接続は、特に限定されないが、例えば、圧着、溶着、メッキによる接合、または導電性接着材などによる接着などにより行うことができる。
【0041】
図示した態様では、一対の金属電極は、層状要素の主表面上に直接接触するように配置されているが、これに限定されるものではなく、低融点金属部材と電気的に接続されている限り、他の部材を介していてもよい。例えば、層状要素の主表面上に金属薄層を配置し、その上に金属電極を配置してもよい。
【0042】
本発明の保護素子は、保護すべき機器に直接設置することができる。しかしながら、例えば、保護すべき機器の設置面の形状が、保護素子の設置面の形状と一致しない場合、熱伝導性がよい樹脂、例えばシリコーン樹脂を介して設置してもよい。
【0043】
本発明の保護素子、種々の方法により製造することができ、当業者であれば、本発明の保護素子の構成から、その製造方法を理解することができる。例えば、本発明の保護素子は、以下のように製造することができる。最初に絶縁性樹脂のシートを準備し、これを所定の寸法および形状に打ち抜き、所望の数および形状の貫通開口部を形成する。貫通開口部に溶融した低融点金属を流し込み、貫通開口部の壁面に沿って低融点金属の層を形成して、低融点金属部材を形成する。ついで、層状の金属電極を、層状要素の主表面および低融点金属部材を覆うように、例えば導電性接着剤などを用いて層状要素の表面に貼り付けて、本発明の保護素子を製造することができる。所望により、一方の金属電極を貼り付けた後、貫通開口部に低融点金属部材の溶断を補助するフラックスを注入して、他方の金属電極を貼り付けて封じてもよい。
【0044】
本発明の保護素子は、異常温度をより確実に感知して動作することができ、さらに機械的接点を有しないので、腐食などによる接点不良および衝撃による瞬断を起こさないので、種々の電子・電気機器、例えば二次電池に好適に用いることができる。したがって、本発明は、本発明の保護素子を有して成ることを特徴とする電子・電気機器、例えば二次電池をも提供する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の保護デバイスは、保持電流が大きく、異常発熱に応答よく動作することができるので、例えば高容量のリチウムイオン二次電池用の保護素子として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…保護素子
2…層状要素
4…低融点金属部材
6…金属電極
8…層状樹脂要素
10…層状PTC要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6