【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.上方に開口する略四角箱状のコンテナに被せられる蓋部材であって、
コンテナの上部開口を閉塞可能な略矩形板状の天板部と、
前記天板部の外周縁から下方に突出する枠部と、
前記枠部の下縁部から前記天板部の外周側に(前記枠部の厚み程度)突出する段部と、
前記段部の外縁部から下方に突出する裾部とを備え、
蓋部材同士を上下に積み重ねた場合に、
下側の蓋部材の前記天板部、及び、前記枠部が、上側の蓋部材の前記裾部の内周側に対して挿入されるとともに、
上側の蓋部材の前記裾部の下縁部の少なくとも一部が、下側の蓋部材の前記段部の上面に当接して支持される、又は、
上側の蓋部材の前記枠部の下縁部の少なくとも一部が、下側の蓋部材の前記天板部の上面外周部に当接して支持される構成であって、
前記天板部の下面側には、前記枠部から前記天板部の内周側に向けて所定距離を隔てた位置において、前記天板部から下方に突出する段積み用突起が設けられ、
蓋部材同士を上下に積み重ねた場合に、上側の蓋部材の前記段積み用突起が、下側の蓋部材の前記天板部上面に当接又は近接するように構成されて
おり、
前記天板部の上面側には、上方に突出する凸部が形成され、
前記段積み用突起は、前記凸部が形成されることによって前記天板部の下面側に形成された凹部から下方に突出しており、
前記凸部の前記天板部上面からの突出長は、前記枠部の前記天板部下面からの突出長よりも短く構成されていることを特徴とする蓋部材。
【0009】
手段1によれば、蓋部材には、枠部の下縁部から外方に突出する段部、及び、段部の外縁部から下方に突出する裾部が設けられていることから、蓋部材同士を、左右方向における位置ずれを防止しつつ、上下に積み重ねる(段積みする)ことができる。
【0010】
また、蓋部材の段積み状態においては、上側の蓋部材の裾部下縁部が、下側の蓋部材の段部上面に当接して支持される、又は、上側の蓋部材の枠部下縁部が、下側の蓋部材の天板部上面外周部に当接して支持されるとともに、上側の蓋部材の天板部下面側に設けられた段積み用突起が、下側の蓋部材の天板部上面に当接又は近接するように構成されている。これにより、例えば、下側の蓋部材によって裾部、又は、枠部が支持された上側の蓋部材の天板部が下方に撓むようにして変形しようとした場合に、上側の蓋部材の段積み用突起が、下側の蓋部材の天板部上面に当接して支持されることとなり、かかる変形を防止することができる。従って、蓋部材を段積みした状態で保管するような場合に、天板部が下方に撓むようにして変形するとともに、それに伴って、枠部等が外方に開くようにして変形してしまう(変形が比較的長期に維持されることで塑性変形してしまう)といった事態を抑制することができる。
【0011】
加えて、例えば、段積みされた状態の蓋部材のうち一番上側の蓋部材の天板部に対して下方に向かう応力が加えられた(例えば、作業者が手や荷物を置いた)場合には、段積み用突起が、裾部、又は、枠部と協働して、天板部を支持することとなる。従って、例えば、段積み用突起が省略された構成を採用する場合のように、天板部を裾部、又は、枠部のみで支持することになり、場合によっては、裾部や枠部等がその負担に耐え切れず、変形、損傷等してしまうといった事態を回避することができる。
【0012】
さらに、天板部の下面全域に補強リブを設けなくても、上記のように天板部の変形を防止することができる。従って、補強リブの必要量を低減させることができ、それに応じて補強リブを設置することによって、蓋部材の適正な軽量化を図ることができる。結果として、蓋部材をコンテナに着脱したり、段積み状態の蓋部材に対して蓋部材を積み降ろししたりする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0013】
尚、段積みされた蓋部材のうち一番下に配置される蓋部材に関しては、当該蓋部材の段積み用突起を受ける天板部が存在しない。このため、該蓋部材の下方において、該蓋部材の天板部を支持できるような構成を設置することが望ましい。
【0014】
この点、例えば、パレット上面に並べて配置される複数のコンテナをまとめて覆う(塞ぐ)蓋部材に関しては、比較的大型で、その分、天板部の中央側の変形が懸念されるのではあるが、複数のコンテナに被せた状態であれば、天板部の下面が、複数のコンテナの側壁部の上辺部によって(格子状に)支持されることとなる。
【0015】
従って、例えば、前提として、「パレットの上面に対して(水平方向に)並べて載置される複数のコンテナをまとめて覆う蓋部材」として具体化し、「蓋部材を段積みする場合には、一番下に配置される蓋部材の下側に複数のコンテナを介在させる」ことにより、段積み状態で保管される蓋部材の変形を防止するといった作用効果がより確実に奏されることとなる。
【0016】
尚、側壁部の内周側において側壁部と同じ高さの仕切り壁を備えるコンテナに対し蓋部材を被せる場合にも、複数のコンテナをまとめて覆う蓋部材と同様に、コンテナに被せた蓋部材の天板部の変形を仕切り壁の上辺部で支持して防止することができる。
【0017】
蓋部材を段積みした場合には、上側の蓋部材の枠部の下縁部が、下側の蓋部材の天板部の上面に支持されることとなる。従って、蓋部材を段積みした場合に、上側の蓋部材の天板部から下方に突出する段積み用突起を、下側の蓋部材の天板部の上面に当接、又は、近接させる場合には、段積み用突起の天板部からの突出長を、枠部の天板部からの突出長と同じ(若干短い)とする必要がある。
【0018】
そこで、例えば、天板部全体が平板状に構成され、段積み用突起を天板部下面から枠部と同じだけ下方に突出させた場合には、段積み用突起の下端部についても、枠部の下縁部と同じ高さ位置となる。
【0019】
ところで、蓋部材をコンテナに被せた場合には、蓋部材は、天板部の下面において、コンテナの側壁部の上辺部によって支持されることとなる。このとき、上記のように、天板部全体が平板状である場合には、天板部の下面から突出する段積み用突起の全体が、コンテナの内側に進入することとなる。
【0020】
この場合、コンテナに収容された物品が、段積み用突起と干渉しないようにするためには、少なくとも物品の上端部が、コンテナの側壁部の上辺部から下方に向けて段積み用突起の突出長と同じ距離を変位した位置よりも下方に収まるようにする必要がある。従って、コンテナの実質的な容量(有効内寸)を減少させてしまうことが懸念され、物品の運搬・保管効率の低下等を招いてしまうおそれがある。
【0021】
この点、本手段
1によれば、天板部に対して上方に突出する凸部を形成するとともに、該凸部が形成されることによって該天板部の下面側に形成された凹部から段積み用突起を下方に突出させるように構成されている。このため、段積み用突起のうち天板部と連接する付根部を、枠部のうち天板部と連接する付根部よりも上方に位置させることができ、その分、段積み用突起の下端部についても、枠部の下縁部よりも上方に位置させることができる。従って、蓋部材をコンテナに被せた場合に、段積み用突起のコンテナ内部への進入長を極力短くすることができる。結果として、蓋部材を被せて使用するコンテナの実質的な容量を減少させてしまうといった事態を抑制することができ、物品の運搬・保管効率の向上等を図ることができる。
【0022】
また、手段
1によれば、凸部の天板部上面からの突出長が長くなり過ぎてしまい、蓋部材の高さが増してしまうといった事態を極力抑制することができる。さらに、凸部の突出長が極力抑えられることで、該凸部に対して、別の部材が引っ掛かる(例えば、
下記手段3に記載されたような蓋部材の上側にパレットを積み重ねるといった使用をする場合において、かかる積み重ね状態から、フォーク付き運搬手段によって、パレットを持ち上げるといった作業を行う場合に、フォークが凸部に引っ掛かる)等してしまうといった事態を抑制することができる。
【0023】
また、一般に、コンテナは、物品を収容した場合に、該物品がコンテナの側壁部の上辺部から若干下方に変位した位置よりも下方に収まるように設計される。このため、コンテナの側壁部の上辺部と、物品の上端部との間に形成される隙間に対して、コンテナに被せる蓋部材の前記段積み用突起が収容されるように構成することで、凸部の突出長を極力短くするとともに、段積み用突起を設けることに起因してコンテナの有効内寸を減少させてしまうといった事態を回避することができる。
【0024】
手段
2.前記段積み用突起には、テーパ状の補強リブが形成されていることを特徴とする手段
1に記載の蓋部材。
【0025】
手段
2によれば、段積み用突起等の強度を高めることができ、例えば、段積み用突起が天板部を支持する際に、段積み用突起が変形、損傷してしまうといった事態を防止することができる。また、補強リブをテーパ状とすることによって、例えば、蓋部材の天板部下面を、コンテナの1つの側壁部の上辺部に当てて滑らせるようにして、蓋部材をコンテナに被せる場合に、段積み用突起をコンテナに引っ掛かり難くしたり、接触した場合の衝撃を緩和したりすることができる。
【0026】
手段3.前記蓋部材は、略矩形状のパレットに載置され、上方に開口する略四角箱状のコンテナに被せられる蓋部材であって、
パレットは、略四角板状のデッキ部と、デッキ部から下方に突出する複数の脚部とを備え、各脚部の間には、フォークを有するフォーク付き運搬手段のフォークを差込み可能なフォーク差込み部が形成され、
前記凸部は、蓋部材の上側に、パレットを載置した場合に、パレットの下面に形成される開口部に対して下方から挿入可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の蓋部材。
かかる構成を採用する場合には、蓋部材の凸部がパレットの下面に形成された開口部に挿入されることによって、蓋部材と、パレットとの間の水平方向における位置ずれを防止することができる。このため、下側から、パレット、コンテナ、及び、蓋部材で構成されるユニットを、複数段重ねて、運搬・保管することが可能となる。さらに、段積み用突起に関しては、パレットとの間の位置ずれを防止するために形成された凸部の裏面側において結果的に形成されることとなった凹部を利用し、そこに設置されることで、コンテナ内部への進入長の抑制が図られている。
【0027】
手段
4.略矩形板状をなす底壁部と、前記底壁部の各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部とを具備する底壁構成部と、前記各土台部に対して、それぞれ前記土台部の上方に立設される起立位置と、前記底壁部の上方に畳まれる寝かせ位置との間を回動可能に連結された側壁部とを備える折畳みコンテナと、
上記手段1乃至
3のいずれかに記載の蓋部材と
を備える容器の折り畳み構造において、
前記土台部は、前記底壁部の相対する一対の側辺部に沿って設けられる一対の第1土台部と、前記一対の第1土台部の両端部間をそれぞれ連結するようにして、前記底壁部の側辺部に沿って設けられる一対の第2土台部とを備え、
前記側壁部は、前記第1土台部に対して連結される相対する一対の第1側壁部と、前記第2土台部に対して連結される相対する一対の第2側壁部とを備え、
前記第1土台部は、前記第2土台部よりも前記底壁部からの突出長が長く構成され、前記第2側壁部が前記底壁部の上方に重なるようにして折り畳まれた状態で、前記第1側壁部を前記折り畳まれた第2側壁部の上方に重なるようにして折り畳み可能に構成され、
前記第1土台部の上面は、前記寝かせ位置とされた前記第1側壁部よりも上方に位置する構成であって、
全ての前記側壁部が前記寝かせ位置とされた折畳み状態にある折畳みコンテナに対して前記蓋部材を被せた場合に、前記蓋部材の前記段積み用突起が、前記一対の第1土台部の間に位置する空間に収容されることを特徴とする容器の折り畳み構造。
【0028】
手段
4によれば、折畳み状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を被せようとした場合に、段積み用突起が、第1土台部の上面に接触してしまうといった事態を回避することができる。従って、折畳み状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を被せようとした場合に、蓋部材が段積み用突起によって支持されるような格好となってしまう(蓋部材が浮いた格好になってしまう)といった事態を回避し、折畳み状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を好適に被せる(天板部下面を第1土台部上面で支持する)ことが可能になる。結果として、折畳みコンテナを折畳み状態とした場合には、蓋部材を折畳みコンテナとは別にして保管等する必要が生じてしまう(無理に被せると段積み用突起が損傷する等してしまう)といった事態を回避することができ、利便性の向上等を図ることができる。
【0029】
尚、「上下方向において、前記蓋部材の前記天板部(凹部の形成されていない一般部)下面と、前記段積み用突起の下端部との間の距離は、前記折畳み状態にある折畳みコンテナの前記第1土台部上面と、前記寝かせ位置にある第1側壁部の上面との間の距離よりも短く構成されていること」としてもよい。この場合、折畳み状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を被せようとした場合に、蓋部材の天板部下面が、折畳みコンテナの第1土台部の上面に当接する前の段階で、段積み用突起が、寝かせ位置にある第1側壁部の上面に当接してしまうといった事態を回避することができ、上記作用効果がより確実に奏される。
【0030】
手段
5.前記寝かせ位置とされた一対の前記第1側壁部は、その上辺部を対向させるような格好で内側に畳まれて、互いに同じ高さ位置で維持され、
前記寝かせ位置とされた一対の前記第1側壁部の上辺部間には隙間が形成されるとともに、当該隙間に対し、前記折畳み状態にある折畳みコンテナに被せられた前記蓋部材の前記段積み用突起が収容されることを特徴とする手段
4に記載の容器の折り畳み構造。
【0031】
手段
5によれば、折畳み状態にある折畳みコンテナに被せた蓋部材の段積み用突起が第1側壁部に対して上下に接触(圧接)するといった事態をより確実に回避することができる。従って、第1側壁部において接触の跡が形成されてしまったり、段積み用突起が変形、損傷等してしまったりするといった事態を防止することができる。また、折畳み状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を好適に被せる(天板部下面を第1土台部上面で支持する)といった作用効果がより確実に奏されることとなる。
【0032】
さらに、上記作用効果は、上下方向において、蓋部材の天板部下面と、段積み用突起の下端部との間の距離が、折畳み状態にある折畳みコンテナの第1土台部上面と、寝かせ位置にある第1側壁部の上面との間の距離と同じ、又は、それよりも(若干)長く構成されている場合であっても奏されることとなる。従って、蓋部材等の設計の自由度を向上させる(他の条件を優先させる)ことができる。但し、「上下方向において、前記蓋部材の前記天板部(凹部の形成されていない一般部)下面と、前記段積み用突起の下端部との間の距離は、前記折畳み状態にある折畳みコンテナの前記第1土台部上面と、前記寝かせ位置にある第2側壁部の上面との間の距離よりも短く構成されていること」が望ましい。
【0033】
手段
6.略矩形板状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部とを備え、前記側壁部が前記底壁構成部の内周側に折り畳み可能に構成された折畳みコンテナと、
上記手段1乃至
3のいずれかに記載の蓋部材と
を備える容器の組立て構造において、
前記蓋部材は、前記枠部から前記天板部の内周側に向けて所定距離を隔てた位置において、前記天板部の下面から下方に突出する規制リブを備え、
全ての前記側壁部が前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びた組立状態にある折畳みコンテナに対して前記蓋部材を被せた場合に、
前記蓋部材の前記規制リブと、前記枠部との間に形成される隙間に対して、前記折畳みコンテナの前記側壁部の上端部が挿入されるとともに、
前記規制リブが前記側壁部の内面に対して当接、又は、近接することを特徴とする容器の組立て構造。
【0034】
手段
6によれば、組立状態にある折畳みコンテナに対して蓋部材を被せることにより、折畳みコンテナの側壁部の変形を防止することができる。従って、折畳みコンテナの組立状態をより確実に維持することができ、物品を収容して運搬等する場合の安定感の向上等を図ることができる。
【0035】
手段
7.前記規制リブは、対応する前記枠部に対して直交する方向に延在するとともに、
前記規制リブの下辺部のうち少なくとも前記天板部の内周側の部位が、前記天板部の下面と連続するようにして傾斜して延びていることを特徴とする手段7に記載の容器の組立て構造。
【0036】
手段
7によれば、例えば、蓋部材の天板部下面を、折畳みコンテナの1つの側壁部の上辺部に当てて滑らせるようにして、蓋部材を折畳みコンテナに被せる場合に、(最後のところで)規制リブが折畳みコンテナの前記側壁部に引っ掛かり、蓋部材のスライド変位が規制されてしまうといった事態を回避することができる。従って、蓋部材を折畳みコンテナに被せる際の作業性の向上等を図ることができる。
【0037】
尚、手段
6又は手段
7の容器の組立て構造と、手段
4又は手段
5の容器の折り畳み構造とを併用することも可能である。