特許第6352163号(P6352163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352163
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】簡易建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   E04B1/343 Y
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-241730(P2014-241730)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-102349(P2016-102349A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 純平
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勝也
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−217965(JP,A)
【文献】 特開2007−217967(JP,A)
【文献】 特開平06−299607(JP,A)
【文献】 特開平11−159002(JP,A)
【文献】 特開2008−127861(JP,A)
【文献】 特開平09−004242(JP,A)
【文献】 実開昭61−157607(JP,U)
【文献】 特開2010−261208(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0088976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 − 1/36
E04B 7/00 − 7/24
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
稜角部柱と、一方の屋根と、他方の屋根とを備え、稜角部柱は一方の屋根と他方の屋根の連結部の後側に位置して一方及び他方の屋根を支持しており、一方の屋根と他方の屋根は隣り合う端部を連結して任意の角度を形成しており、一方の屋根は後側に一方の樋を有し、他方の屋根は後側に他方の樋を有し、一方の樋と他方の樋とは互いに端部を突き合せて配置してあると共に突合せ端部に各々排水孔が設けてあり、一方の樋と他方の樋の突合せ端部の下方側に集水部品が設けてあり、集水部品は、稜角部柱に取付けてあり、一方の樋の排水孔及び他方の樋の排水孔から排水を受けると共に、稜角部柱内部に設けた排水路に連通する排水孔を有することを特徴とする簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路シェルター等の簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、図23に示すように、柱101と屋根103とを備える通路シェルター等の簡易建物105において、屋根に設けた樋104の排水孔と柱に設けた排水路とを蛇腹等の排水管(排水路)107で接続することが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第76頁「三協立山アルミ パブリックエクステリア 施工手引き書 通路シェルター・サイクルポート編」カタログNo.STX0255A 三協立山アルミ株式会社 2007年12月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の簡易建物105は排水管(排水路)107が目立って、外観を損なうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、排水路を目立たなくできる簡易建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、稜角部柱と、一方の屋根と、他方の屋根とを備え、稜角部柱は一方の屋根と他方の屋根の連結部の後側に位置して一方及び他方の屋根を支持しており、一方の屋根と他方の屋根は隣り合う端部を連結して任意の角度を形成しており、一方の屋根は後側に一方の樋を有し、他方の屋根は後側に他方の樋を有し、一方の樋と他方の樋とは互いに端部を突き合せて配置してあると共に突合せ端部に各々排水孔が設けてあり、一方の樋と他方の樋の突合せ端部の下方側に集水部品が設けてあり、集水部品は、稜角部柱に取付けてあり、一方の樋の排水孔及び他方の樋の排水孔から排水を受けると共に、稜角部柱内部に設けた排水路に連通する排水孔を有することを特徴とする簡易建物である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、集水部品が一方及び他方の樋の排水孔から水を受けて稜角部柱内部の排水路に直接排水するから、排水路を目立たなくでき、外観が良い。そして、一方及び他方の樋の突合せ端部の突合せ角度が異なる場合にも集水部品で一方及び他方の樋の排水孔から集水部品が水を受けて稜角部柱内部に排水できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施の形態にかかる簡易建物であって、コーナー屋根部の平面図である。
図2】コーナー屋根部の縦断面図であり、(a)は図1に示すB−B断面、(b)は図1に示すC−C断面図である。
図3図1に示すコーナー屋根部の柱を集水部品がある個所で切断して示す水平断面図である。
図4図1に示すA−A断面図である。
図5図4に示す稜角部柱を一方及び他方の樋の突合せ部と共に示す分解斜視図である。
図6図7に示すD−D断面図である。
図7】直線状屋根部の正面図である。
図8】直線状屋根部の側端部柱の上側を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
図9図1に示すコーナー屋根部においてコーナー屋根パネル及び垂木を取付ける前の状態を示す斜視図である。
図10】(a)はコーナー屋根部の各梁に垂木を取付けた状態を示す斜視図であり、(b)は稜角部柱に稜角部垂木を取付ける状態を示す分解斜視図である。
図11】コーナー屋根部及び直線状屋根部の一部を示す図であり、コーナー屋根部にコーナー屋根パネルを取付けた状態を示す斜視図である。
図12】コーナー屋根部にコーナー屋根パネルを取付ける前の状態を示す分解斜視図である。
図13】直線部梁と稜角部梁との間にコーナー屋根パネルを取付ける状態を示す正面図である。
図14】コーナー屋根部における隣り合うコーナー屋根パネルどうしの連結を示す断面図である。
図15】コーナー樋を抜き出して示す斜視図である。
図16】コーナー屋根部の屋根パネルの断面図であり、(a)は前枠側の断面図であり、(b)は樋側の断面図である。
図17】直線状屋根部の側端部を示す斜視図であり、(a)は垂木カバーを取付けた状態、(b)は垂木カバーを取り付ける前の分解斜視図である。
図18】本発明の第2実施の形態にかかる簡易建物のコーナー屋根部を示す平面図である。
図19図18に示すコーナー屋根部におけるコーナー屋根パネルの取付け状態を示す分解斜視図である。
図20図18に示す稜角部柱を集水部品がある個所で切断して示す水平断面図である。
図21】第1実施の形態の変形例を示す図であり、コーナー屋根部の柱を集水部品がある個所で切断して示す水平断面図である。
図22】第2実施の形態の変形例を示す図であり、稜角部柱を集水部品がある個所で切断して示す水平断面図である。
図23】従来の簡易建物のコーナー屋根部を、屋根パネルを除いて示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、まず図1図17を参照して本発明の第1実施の形態について説明する。
本発明の第1実施の形態にかかる簡易建物1は、図1に示すように、角度Rを形成するコーナー屋根部3と、コーナー屋根部3の両側端部には各々コーナー屋根部3に連続する直線状屋根部5、5が設けてある。このコーナー屋根部3は出隅タイプのコーナー屋根部である。
コーナー屋根部3は、稜角部柱(柱)7、一方の屋根9と、他方の屋根11とを備えており、一方の屋根9と他方の屋根11は、隣り合う端部を連結してコーナー角度Rを形成している。稜角部柱7は、一方の屋根9と他方の屋根11の後側に位置して一方及び他方の屋根9、11を支持している。
図1及び図7に示すように、直線状屋根部5は、直線部屋根13と直線部柱15とを備えている。
図2及び図11に示すように、第1実施の形態では、コーナー屋根部3では、稜角部柱7に連結した片持ちの稜角部梁17の下側で左側に設けた稜角部垂木19で一方のコーナー屋根9の稜角側を支持しており、同様に直線状屋根部5では、直線部柱15に連結した片持ちの直線部梁21の下側に設けた直線部垂木23で一方のコーナー屋根9の直線部側を支持している。
同様に、稜角部梁17の右側に設けた稜角部垂木19で他方のコーナー屋根11の稜角側を支持しており、他方の直線部柱15の直線部垂木23でコーナー屋根11の直線部側を支持している。
【0010】
また、図1に示すように、コーナー屋根部3において、一方の屋根9及び他方の屋根11の前側には各々前枠25が取り付けてあり、後側には一方の屋根9の後側に一方の樋27が、他方の屋根11の後側に他方の樋29が設けてあり、各樋は各々屋根の雨水を受けるようになっている。
図3及び図5に示すように、一方の樋27と他方の樋29とは、稜角部柱7側の端部を互いに突き合せてあり、突合せ端部側に各々排水孔27a、29aが形成されている。
【0011】
図4及び図5に示すように、稜角部柱7は、柱本体7aと、柱カバー7b(図4参照)と、排水管31と、集水部品33を備えており、柱本体7aに排水管31を取り付けて柱カバー7b(図4参照)で排水管31を隠している。尚、柱カバー7bには、稜角部梁17との連結部の下側に空間部35が形成してある。
空間部35には、一方の樋27及び他方の樋29の突合せ端部及び集水部品33が配置してあり、集水部品33の下に排水管31が配置されている。
図3及び図5に示すように、集水部品33は、その輪郭壁が平面視略円形を成しており、稜角部柱7側の輪郭部33aが直線状を成し、その他の周囲部33bが円弧状を成している。集水部品33の底面33cには稜角部柱7側に排水孔33dが形成されている。
一方の樋27と他方の樋29との各突合わせ端部側の排水孔27a、29aは、各々集水部品33の底面33cの上方に位置しており、且つ集水部品33の底面33cに形成されている排水孔33dよりも前側にずれた位置に配置されている。尚、突合せ端部の排水孔27a、29aは、各樋27、29の下面に各々取り付けた導水部品34により排水孔27a、27bの水を集水部品33内に案内している。
集水部品33の排水孔33dには、排水管31の上端が接続してあり、排水管31の下端は稜角部柱7の外へ導出して排水するようにしてある。
図4に示すように、柱カバー7bの上端部は柱本体7aと稜角部梁17との連結部を隠している。
【0012】
次に、図6を参照して、直線状屋根部5にある直線部柱15の排水構造について説明する。直線部柱15には、稜角部柱7と同様に、柱本体7aと、柱カバー7bと、排水管31とが設けてあるが、集水部品33を設けていない。
即ち、直線部柱15にも、直線部屋根13の後側端部13aが入り込む空間部35が設けてあり、この空間部35には直線部屋根13の後側に設けた直線部屋根樋37が配置してあり、直線部屋根樋37には、排水管31の上端に対応する位置に排水孔37aが形成してある。その他の構成は、図4に示す稜角部柱7の排水構造と略同じである。
直線部柱15における直線部梁21との連結部は、図8に示すように、柱本体7aに柱カバー7bの上側部で隠し、直線部柱15の上端にキャップ16を被せてある。稜角部柱7においても同様に柱カバー7bの上側部で柱本体7aと稜角部梁17との連結部を隠して、柱本体7aの上端にはキャップ16を被せてある。
【0013】
次に、コーナー屋根部3について詳細に説明する。コーナー屋根部3は、図10図12に示すように、稜角部梁17の左右両側面に各々稜角部垂木19が垂木吊り金具41により固定してある。各稜角部垂木19には屋根パネル取付け部19aが設けてある。図2(b)、図12及び図15に示すように、左右の稜角部垂木19間の下側には、稜角部梁17の長手方向に設けたコーナー樋43が各稜角部垂木19に固定してある。図10(b)に示すように、各稜角部垂木の前側端部にはキャップ19bが装着されている。尚、図15に示すように、コーナー樋43にはその前側に止水材45を設けて前側に雨水が流れるのを防止してある。
【0014】
図2に示すように、コーナー樋43の下面には補助樋部47が設けてあり、この補助樋部47がコーナー樋43の下で、後述するコーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cの下方に配置してある。
図2(a)及び図13に示すように、直線部梁21に設けた直線部垂木21の下面には断面略L字形状を成す補助樋部49が設けてあり、コーナー屋根パネル51の直線部垂木側端部51bの下方に配置してある。
図12に示すように、コーナー屋根パネル51は、平面視略台形形状を成し、直線部垂木23と稜角部垂木19との間で直線部垂木23に対して長辺51aを直角にして配置してある。また、コーナー屋根パネル51は、直線部垂木側端部51bを長辺51aに対して直角にしてあり、稜角部垂木側端部51cを長辺51aに対して所定の角度Sにしてある。
【0015】
この実施の形態では、コーナー屋根パネル51は直線部屋根パネル53と同種のものを用いており、平面視長方形形状の直線部屋根パネル53の短辺側を所定の角度Sで切断したものを用いている。
そして、図12及び図13に示すように、コーナー屋根パネル51の直線部垂木側端部51bを直線部垂木23の下に配置し、稜角部垂木側端部51cを稜角部垂木19の下に配置して上から止めるボルト46で各垂木23、19に固定してある。また、図14に示すように、隣り合うコーナー屋根パネル51どうしもビス52で固定してある。
図2(a)に示すように、コーナー屋根パネル51の直線部垂木側端部51bは補助樋部49の上方に位置し、図2(b)に示すように、コーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cは補助樋部47の上方に位置している。
尚、各垂木19、23の上面には垂木カバー54が被せてある。
【0016】
ここで、直線状屋根部5について説明する。図7に示すように、直線状屋根部5には、間隔をあけて直線部柱15と各直線部柱15に取り付けた直線部梁21が設けてあり、図17に示すように、各直線部梁21の下に野縁吊り金具57により野縁59を架設してある。野縁59の下面には屋根パネル吊り具61が固定してあり、屋根パネル吊り具61の下に直線部屋根パネル53を上から止めるビスで固定し、直線部屋根パネル53を隣り合わせに並べて固定する。直線部屋根パネル53は上述したように平面視長方形状を成している。
尚、図2(a)に示すように、コーナー屋根部3における直線部梁21では、野縁59の下に屋根パネル受け65が取り付けてあり、この屋根パネル受け65に直線部屋根パネル53の直線部梁側端53aを固定している。
【0017】
次に、簡易建物1におけるコーナー屋根部3の施工を説明する。
まず、図9に示すように、稜角部柱7及びその両側に各々直線部柱15、15を設置し、稜角部柱7に稜角部梁17を固定し、直線部柱15、15に各々直線部梁21を固定し、各直線部梁21には野縁吊り金具57により野縁59を取り付ける。野縁59にはその下面に屋根パネル吊り具61を固定する。
その後、図10(a)に示すように、各直線部梁21の下面には、稜角部梁17側に直線部垂木23を垂木吊り金具41で固定する。また、図10(b)に示すように、稜角部梁17の下面には左右両側に垂木吊り金具41で稜角部垂木19を固定する。図2及び図15に示すように、左右の稜角部垂木19の下には、止水材45を取り付けたコーナー樋43を固定する。
【0018】
次に、図11に示すように、コーナー屋根部3における一方の屋根9と他方の屋根11に各々コーナー屋根パネル51を取り付ける。コーナー屋根パネル51の取り付けは、一方の屋根9及び他方の屋根11とも同じであるから、以下に一方の屋根9のみについて説明する。
図12に示すように、予め各コーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cを所定角度Sに切断しておき、取付け位置に応じた長さの異なるコーナー屋根パネル51を用意して、直線部垂木23と稜角部垂木19との間に取り付ける。コーナー屋根パネル51は、長さの短いものから、即ち、矢印Eで示すように、後側から前側に並べるようにして順次取付ける。
図13に示すように、各コーナー屋根パネル51において、直線部垂木側端部51bは補助樋部49の上方に配置し、稜角部垂木側端部51cはコーナー樋43に隣接して配置し、各垂木23、19に上から止めるボルト46で固定する。図14に示すように、隣り合うコーナー屋根パネル51どうしはビス52で固定する。
その後、図2(b)に示すように、コーナー樋43の下面に補助樋部47を固定する。補助樋部47は、コーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cの下に配置する。
【0019】
次に、図16(a)に示すように、一方の屋根9及び他方の屋根11の前側に各々前枠25をビス止めし、一方の屋根9の後側に一方の樋27をビス止めし、他方の屋根11の後側に他方の樋29をビス止めする。尚、図3及び図5に示すように、一方の樋27及び他方の樋29は各々突合せ端をそれぞれ所定の角度に切断しておくと共に一方の樋27の突合せ端部に排水孔27aを形成しておき、他方の樋29の突合せ端部に排水孔29aを形成しておく。
【0020】
そして、図5に示すように、一方の樋27と他方の樋29の各排水孔27a、29aの下に各々、パッキンを介して導水部品34を取付ける。
稜角部柱7の柱本体7aにはサドル67で排水管31を取り付けると共に集水部品33の下面にも排水孔33dの位置に導水部品34を取り付けて、集水部品33を柱本体7aに固定する。尚、図3に示すように、一方の樋27の排水孔27aと、他方の樋29の排水孔29aは、集水部品33の排水孔33dに対して前側にずれた位置で並んで配置する。
その後、図4に示すように、柱本体7aに柱カバー7bを取り付ける。
【0021】
一方、直線状屋根部5では、図11に矢印Mで示すように、直線部屋根パネル53(図17参照)を野縁59の下に順次固定した後、コーナー屋根部3と同様にして前枠25及び直線部屋根樋37を取付ける。図6に示すように、直線部屋根樋37には、排水位置に排水孔37aを形成してある。
排水経路を備える直線部柱15では、集水部品33を設けることなく、直線部屋根樋37の排水孔37aの位置の下に排水管31を配置して、排水管31を柱本体7aに固定した後、柱カバー7bを取り付ける。
尚、図17に示すように、直線状屋根部5には前枠25及び直線部屋根樋37の他に側枠69及び野縁カバー71を取り付ける。
【0022】
次に、第1実施の形態にかかる簡易建物1の作用及び効果について説明する。
図3〜5に示すように、一方の屋根9の後側に設けた一方の樋27と、他方の屋根11に設けた他方の樋29には突合せ端部に各々排水孔27a、29aが設けてあり、集水部品33が一方の樋27の排水孔27a及び他方の樋29の排水孔29aから水を受けて、集水部品33の排水孔33dから稜角部柱(柱)7内部の排水管(排水路)31に直接排水するから、排水路を目立たなくでき、外観が良い。
一方及び他方の樋27、29の突合せ端部の突合せ角度が異なる場合にも、一方の樋27及び他方の樋29の各排水孔27a、29aが集水部品33の水受け面(底面33c)内に位置することで、各排水孔27a、29aから集水部品33が水を受けて柱7の内部に排水できる。
特に、集水部品33の柱側を除く輪郭を円弧にしているので、突合せ角度を変える場合でも、小さい集水部品の輪郭で、各排水孔27a、29aから水を受けることができる。
【0023】
図6に示すように、直線状屋根部5に設けた排水経路を有する直線部柱15は、直線部屋根13の後側に位置して直線部屋根13を支持しており、直線部屋根13の後側端部13aが入り込む空間部35を有し、この空間部35に直線屋根樋37を配置して、直線部屋根樋37の排水孔37aから柱内部に設けた排水管(排水路)31に水を直接流す構成であるから、排水路を目立たなくでき、外観が良い。
【0024】
図11及び図12に示すように、コーナー屋根部3では、コーナー屋根パネル51は、直線部垂木23と直交する方向に配置して、直線部垂木23と稜角部垂木19との間に列設してあると共に、稜角部垂木19の設置角度に応じて長さ及び稜角部垂木側端部51cの切断角度Sを任意に調整自在としてあるから、直線部垂木23と稜角部垂木19との間に従来必要としていた補助垂木等が不要であるから、部品点数が少なく、簡易な構成で施工性に優れる簡易建物を提供できる。
垂直部垂木23と稜角部垂木19とが形成する角度を任意に設定して、コーナー屋根パネル51の長さ及び端部の切断角度を調整することで、任意の角度のコーナー屋根部3を容易に形成できる。
【0025】
図2に示すように、稜角部垂木19の下面には、コーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cの下に配置する補助樋部47を設けてあり、直線部垂木23の下面には、コーナー屋根パネル51の直線部垂木側端部51bの下に配置する補助樋部49を設けてあるから、コーナー屋根パネル51の下面又は中空内に浸入した水を補助樋部47、49から一方の樋27に排水する構成としているので、コーナー屋根パネル51の下面や中空内に浸入した水を補助樋部47から排出でき、簡易な構造で効果的な排水ができる。
コーナー屋根パネル51が直線部垂木側端部51bと稜角部垂木側端部51cとのいずれかに傾斜して配置している場合には、少なくとも傾斜している下側にある補助樋部47又は補助樋部49を設ければ良いが、本実施の形態では、コーナー屋根パネル51の両側に補助樋部47、49を設けているので、例えば、積雪等により屋根の傾斜が変わった場合でも、コーナー屋根パネル51の下面又は中空内に浸入した水を排水できる。
【0026】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図18図20に第2実施の形態にかかる簡易建物1を示す。図18に示すように、この第2実施の形態では、コーナー屋根部3は入隅タイプであり、後側に稜角部柱7、直線部柱15、15が設けてあり且つこれらの柱7、15,15は第1実施の形態に比較して互いに離れた位置にある。
また、図19に矢印Fに示すように、入隅タイプのコーナー屋根部3では、コーナー屋根パネル51は、前側の方がその長さが短いので、前側から後側へ順次設置している。
図20に示すように、入隅タイプのコーナー屋根部3でも、稜角部柱7に設けた集水部品33は、一方の樋27と他方の樋29との突合せ端部の下に配置してあり、一方の樋27の排水孔27aと他方の樋29の排水孔29aからの排水を受けている。
その他の構成は第1実施の形態と同様である。
【0027】
この第2実施の形態によれば、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1実施の形態の出隅タイプの場合において、コーナー屋根部3で一方の屋根9と他方の屋根11とが形成する角度Rは90度にすることに限らず、図21に示すように、鈍角にするものであっても良いし、形成する角度は制限されない。この場合でも、一方の樋27と他方の樋29の突合せ部における排水孔27a、29aは、集水部品33内に配置することができる。
同様に、第2の実施の形態にかかる入隅タイプにおいても、図22に示すように、コーナー角度Rを鈍角に形成するものであっても良く、形成する角度は制限されない。
また、図21図22に示すように、第1実施の形態や第2実施の形態とは異なる角度で一方の屋根9と他方の屋根11を施工する場合には、コーナー屋根パネル51の稜角部垂木側端部51cを切除する角度S(図19参照)を調整し、各柱7、15の設置位置を調整することにより、各角度のコーナー屋根を容易に施工できる。
図2に示すように、上述した実施の形態では、稜角部垂木19に補助樋部47を設け、直線部垂木23に補助樋部49を設けて、屋根パネル51の両端に補助樋部47、49を設ける構成としたが、これに限らず、稜角部垂木19にのみ補助樋部47を設けたり、直線部垂木23にのみ補助樋部49を設ける構成であっても良い。
本発明にかかる簡易建物は、通路シェルターに限らず、カーポート等でも良く、用途は限定されない。
また、簡易建物は梁17、21の下に屋根9、11、13を設けて梁17、21で支持する上吊りタイプを例に説明したが、これに限らず、梁17、21の上に各屋根9、11、13を設置するタイプであっても良い。
上述した実施の形態では、一方の屋根9と他方の屋根11は、隣り合う端部を稜角部垂木19を挟んで連結して任意の角度Rを形成しているが、隣り合う端部を付き合わせて連結することで任意の角度Rを形成しても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 簡易建物
7 稜角部柱(柱)
9 一方の屋根
11 他方の屋根
13 直線部屋根(屋根)
27 一方の樋
27a 排水孔
29 他方の樋
29a 排水孔
31 排水管(排水路)
33 集水部品
33d 排水孔
図1
図2
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