(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の透光性部材)
先ず、本発明の透光性部材について説明する。本発明の透光性部材は、合成樹脂層と、上記合成樹脂層の両面に接合されたガラスクロスとを備えた積層体から形成されている。また、上記合成樹脂層を形成する合成樹脂のMI値は、50以上に設定され、その上限について制限はないが通常70以下に設定される。上記MI値は、60以上65以下がより好ましい。更に、上記合成樹脂層の屈折率をn
P、上記ガラスクロスの屈折率をn
Gとした場合、|n
P−n
G|の値は、0.07以下に設定され、0.03以下がより好ましい。
【0012】
本発明の透光性部材は、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとを備えているため剛性を有する。
【0013】
また、本発明の透光性部材は、上記合成樹脂層を形成する合成樹脂のMI値が50以上、より好ましくは60以上65以下に設定され、且つ、上記合成樹脂層の屈折率と上記ガラスクロスの屈折率との差である|n
P−n
G|の値が0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定されているため、光透過性に優れ、モアレ縞が発生しない。
【0014】
ここで、MI値とは、日本工業規格(JIS)K7210で規定された方法で測定される合成樹脂の流動性を表わす指標であるメルトインデックス値を意味する。
【0015】
即ち、上記合成樹脂層を形成する合成樹脂のMI値が50以上、より好ましくは60以上65以下に設定されているため、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとの密着性に優れ、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとの間に空気層が生じない。ここで、空気層の屈折率をn
Aとすると、通常下記関係式(1)が成立する。
n
P≒n
G>n
A (1)
【0016】
従って、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとの間に空気層が存在すると、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとの間で屈折率が大きく変化し、光透過性が低下し、モアレ縞が発生する。
【0017】
一方、本発明の透光性部材では、上記空気層が発生せず、更に|n
P−n
G|の値が0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定されているため、上記合成樹脂層と上記ガラスクロスとの間で屈折率が大きく変化せず、光透過性が向上し、モアレ縞が発生しないことになる。
【0018】
本発明において上記屈折率は、JIS K7142に規定するプラスチックの屈折率の求め方により測定するものとする。
【0019】
上記合成樹脂としては、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下のものであれば熱可塑性樹脂でも、熱硬化性樹脂でも用いることができるが、通常MI値を容易に高く設定できる熱可塑性樹脂が好ましい。
【0020】
また、上記熱可塑性樹脂としては、MI値が50以上で、光透過性が高いものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド(PA)、ABS樹脂、アクリル樹脂等が使用できる。これらの中でも特にポリカーボネートが好ましい。ポリカーボネートは、光透過性に優れ、強度及び成型性が優れているからである。
【0021】
上記合成樹脂層の厚さは特に限定されないが、本発明の透光性部材の全光線透過率を低下させないために、150μm〜250μmとすることが好ましい。
【0022】
本発明の透光性部材に用いるガラスクロスとしては、透光性を有していれば特に限定されないが、本発明の透光性部材の全光線透過率を低下させないために、目付け量が100g/m
2〜300g/m
2のガラスクロスが好ましい。
【0023】
また、上記ガラスクロスは、上記合成樹脂層との接合強度を高めるために、カップリング処理されていることが好ましい。上記カップリング処理としては、シランカップリング剤を用いるシランカップリング処理が好ましい。上記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン類、アミノシラン類、クロルシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリルシラン類等を用いることができる。
【0024】
また、上記ガラスクロスに用いられるガラス繊維としても特に限定されず、例えば、Eガラス、Dガラス、Tガラス、Cガラス、ECRガラス、Aガラス、Lガラス、Sガラス、Hガラス等からなるガラス繊維を用いることができる。
【0025】
また、本発明の透光性部材は、上記積層体の少なくとも一方の表面にシリコーン樹脂層が更に接合されていることが好ましい。上記シリコーン樹脂層を接合することにより、過熱時において上記合成樹脂層の合成樹脂が溶融した場合にその流出を上記シリコーン樹脂層により抑制することができ、本発明の透光性部材を不燃性部材とすることができる。具体的には、上記シリコーン樹脂層を備える本発明の透光性部材は、例えば、平成16年12月27日発令の国土交通省令「国鉄技第124号」に記載される「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準の一部改正について」の第83条に示される客車・天井部材料に適用される不燃基準に適合することができる。
【0026】
本発明の透光性部材の不燃性をより向上させるためには、上記シリコーン樹脂層は本発明の透光性部材を構成する積層体の両表面に接合することが好ましい。
【0027】
上記シリコーン樹脂層は、シリカ粒子を含んでいることが好ましい。上記シリコーン樹脂層がシリカ粒子を含むことにより、上記シリコーン樹脂層の耐熱性を向上できる。上記シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は6nm以上100nm以下が好ましい。
【0028】
また、上記シリカ粒子は、フュームドシリカであることが好ましく、上記フュームドシリカのBET法による比表面積は、100m
2/g以上300m
2/g以下であることが好ましい。上記フュームドシリカは、親水性であってもよく、疎水性であってもよい。
【0029】
本発明の透光性部材は、その用途により異なるが、通常その全光線透過率を30%以上80%以下とすることが好ましい。ここで、本明細書において、全光線透過率とは、東洋精機製作所製の光透過率測定装置“ヘイズガードII”(商品名)を用い、JIS K7105の「プラスチックの光学的特性試験」に準拠して測定した値をいうものとする。
【0030】
本発明の透光性部材の形状は特に限定されず、シート状透光性部材として使用することができるが、その用途に応じて上記シート状透光性部材を更に成型して種々の形状とすることができる。例えば、半筒状、ドーム状、ボール状、傘状、ボックス状等の形状とすることができる。
【0031】
以下、本発明の透光性部材を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の透光性部材の一例を示す模式断面図である。
図1において、本発明の透光性部材10は、合成樹脂層11と、その両面に接合されたガラスクロス12、13とを備えている。合成樹脂層11の厚さは、本発明の透光性部材10の全光線透過率を低下させないため、例えば150μm〜250μmに設定されている。また、ガラスクロス12、13の目付け量は、本発明の透光性部材10の全光線透過率を低下させないため、例えば100g/m
2〜300g/m
2に設定されている。
【0032】
合成樹脂層11は、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下の合成樹脂で形成されている。また、合成樹脂層11の屈折率とガラスクロス12、13の屈折率との差が0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定されている。このため、透光性部材10は、光透過性に優れ、モアレ縞が発生しない。
【0033】
通常、ガラスクロス12、13は同じ材料を用いるため、それぞれの屈折率は同じであるが、ガラスクロス12、13の屈折率がそれぞれ異なる場合では、合成樹脂層11の屈折率とガラスクロス12、13のそれぞれの屈折率との差が0.07以下、より好ましくは0.03以下であればよい。
【0034】
また、
図2は、本発明の透光性部材の他の例を示す模式断面図である。
図2において、本発明の透光性部材20は、合成樹脂層11と、その両面に接合されたガラスクロス12、13と、ガラスクロス12に接合されたシリコーン樹脂層14とを備えている。本発明の透光性部材20は、
図1に示した本発明の透光性部材10に更にシリコーン樹脂層14を接合したものであり、
図1に示した透光性部材10と同様に光透過性に優れ、モアレ縞が発生しない。更に、本発明の透光性部材20は、シリコーン樹脂層14を備えているため、不燃性も向上する。
【0035】
以上のように、本発明の透光性部材は、剛性を有し、光透過性に優れ、且つモアレ縞が発生せず、更に不燃性も付与できるため、例えば、車両用照明カバー、建物用照明カバー等、不燃性が要求される照明カバーとして好適に用いることができる。
【0036】
(本発明の透光性部材の製造方法)
次に、本発明の透光性部材の第1と第2の製造方法について説明する。
【0037】
先ず、本発明の透光性部材の第1の製造方法は、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下の合成樹脂からなる合成樹脂シートの両面にガラスクロスを配置して積層体を形成する工程と、上記積層体を熱圧着して、上記合成樹脂シートと上記ガラスクロスとを接合する工程とを備えている。また、上記合成樹脂シートの屈折率をn
P、上記ガラスクロスの屈折率をn
Gとした場合、|n
P−n
G|の値が、0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定されている。
【0038】
本発明の透光性部材の第1の製造方法では、上記合成樹脂シートを形成する合成樹脂のMI値が50以上、より好ましくは60以上65以下であり、且つ、上記合成樹脂シートの屈折率と上記ガラスクロスの屈折率との差である|n
P−n
G|の値を0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定しているため、光透過性に優れ、モアレ縞が発生しない透光性部材を製造できる。また、上記本発明の製造方法で製造した透光性部材は、合成樹脂シートとガラスクロスとを備えているため剛性を有する。
【0039】
上記合成樹脂シートとしては、前述の本発明の透光性部材で説明した合成樹脂からなるシートを用いることができる。また、上記ガラスクロスも、前述の本発明の透光性部材で説明したガラスクロスを用いることができる。
【0040】
上記熱圧着の方法は特に限定されないが、例えば、熱ロールを用いる方法、加熱プレスによる方法等が使用できる。また、熱圧着する際の温度は、上記合成樹脂シートに用いた合成樹脂のガラス転移温度以上の温度であればよく、例えば、200℃以上300℃以下とすればよい。また、熱圧着する際の圧力は、上記透光性部材の全面に均一に加圧できれば特に限定されない。また、熱圧着する際の時間も特に限定されないが、例えば、1分以上10分以下とすればよい。
【0041】
次に、
図1を用いて本発明の透光性部材の第1の製造方法を説明する。
【0042】
先ず、
図1に示すように、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下の合成樹脂シート11の両面に第1のガラスクロス12及び第2のガラスクロス13を配置して積層体を形成する。次に、上記積層体を熱圧着して、合成樹脂シート11とガラスクロス12、13とを接合して透光性部材10を作製する。上記熱圧着の方法は特に限定されないが、例えば、上記積層体を熱ロール等に通すことにより熱圧着できる。
【0043】
また、上記により作製した透光性部材10は、その後に成型等を行い種々の形状に加工することもできる。
【0044】
次に、本発明の透光性部材の第2の製造方法は、第1のガラスクロスの片面にシリコーン樹脂とシリカ粒子とを含む塗布材を塗布して、上記第1のガラスクロスの表面にシリコーン樹脂塗布層を形成する工程と、上記シリコーン樹脂塗布層を加熱してシリコーン樹脂層を上記第1のガラスクロスの表面に形成する工程と、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下の合成樹脂からなる合成樹脂シートの一方の面に、上記シリコーン樹脂層を形成した上記第1のガラスクロスのガラスクロス側を配置し、上記合成樹脂シートの他方の面に第2のガラスクロスを配置して、積層体を形成する工程と、上記積層体を熱圧着して、上記第1のガラスクロス、上記合成樹脂シート及び上記第2のガラスクロスを接合する工程とを含み、上記合成樹脂シートの屈折率をn
P、上記ガラスクロスの屈折率をn
Gとした場合、|n
P−n
G|の値が、0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定されている。
【0045】
本発明の透光性部材の第2の製造方法では、上記合成樹脂シートを形成する合成樹脂のMI値が50以上、より好ましくは60以上65以下であり、且つ、上記合成樹脂シートの屈折率と上記ガラスクロスの屈折率との差である|n
P−n
G|の値を0.07以下、より好ましくは0.03以下に設定しているため、光透過性に優れ、モアレ縞が発生しない透光性部材を製造できる。また、上記本発明の製造方法で製造した透光性部材は、合成樹脂シートとガラスクロスとを備えているため剛性を有する。
【0046】
上記塗布材に含まれる上記シリカ粒子は、上記塗布材の粘度を調整する増粘剤として添加される。上記塗布材の粘度が低すぎると、上記第1のガラスクロスに塗布した際に、上記塗布材を上記第1のガラスクロスの表面に保持できなくなるからである。この観点から、上記シリカ粒子は、フュームドシリカであることが好ましく、上記フュームドシリカのBET法による比表面積は、100m
2/g以上300m
2/g以下であることが好ましい。
【0047】
上記塗布材には、通常、溶媒等が含まれる。上記シリコーン樹脂に上記シリカ粒子を均一に分散させるためである。
【0048】
上記シリコーン樹脂塗布層の加熱温度は、上記シリコーン樹脂塗布層に含まれる溶媒を除去できる温度であればよく、例えば、100℃以上350℃以下とすればよい。また、加熱時間も特に限定されず、例えば、15分以上60分以下とすればよい。
【0049】
上記熱圧着の方法については、前述の透光性部材の第1の製造方法と同様の方法を採用できる。また、上記合成樹脂シートとしては、前述の本発明の透光性部材で説明した合成樹脂からなるシートを用いることができる。更に、上記第1及び第2のガラスクロスも、前述の本発明の透光性部材で説明したガラスクロスを用いることができる。
【0050】
上記本発明の透光性部材の第2の製造方法は、熱圧着した上記積層体を成型する工程を更に備えることができる。これにより、半筒状、ドーム状、ボール状、傘状、ボックス状等の種々の形状を有する透光性部材を製造できる。
【0051】
次に、
図2を用いて本発明の透光性部材の第2の製造方法を説明する。
【0052】
先ず、第1のガラスクロス12の片面にシリコーン樹脂とシリカ粒子とを含む塗布材を塗布して、第1のガラスクロス12の表面にシリコーン樹脂塗布層を形成する。その後、上記シリコーン樹脂塗布層を加熱してシリコーン樹脂層14を第1のガラスクロス12の表面に形成する。次に、MI値が50以上、より好ましくは60以上65以下の合成樹脂からなる合成樹脂シート11の一方の面に、シリコーン樹脂層14を形成した第1のガラスクロス12のガラスクロス側を配置し、更に、合成樹脂シート11の他方の面に第2のガラスクロス13を配置して、積層体を形成する。次に、上記積層体を熱圧着して、第1のガラスクロス12、合成樹脂シート11及び第2のガラスクロス13を接合して透光性部材20を作製する。
【0053】
上記熱圧着の方法は特に限定されないが、例えば、上記積層体を熱ロール等に通すことにより熱圧着できる。
【0054】
更に、必要に応じて作製した透光性部材20を加熱した後に成型加工を行うことができる。上記成型加工により、種々の形状の透光性部材を製造できる。上記加熱温度は特に限定されず、透光性部材が軟化する温度であればよい。また、上記成型加工の方法も限定されず、加熱プレス加工等により行うことができる。
【0055】
図3は、上記で作製した透光性部材20を成型加工した後の状態の一例を示す斜視図であり、
図4は、上記で作製した透光性部材20を成型加工した後の状態の一例を示す正面図である。
図3及び
図4において、透光性部材20は、半筒状部21とフランジ部22とを備えている。成型加工した透光性部材20は、例えば、車両用照明カバー、建物用照明カバー等、不燃性が要求される照明カバーとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により説明する。但し、本発明は、下記の実施例により限定されない。
【0057】
(実施例1)
先ず、厚さ0.2mmのポリカーボネートシート(MI値:65、屈折率:1.58)の両面に、厚さ0.175mmのガラスクロス(屈折率:1.55)を配置して積層体を作製した。
【0058】
次に、上記積層体を温度260℃に設定した熱ロールに通して熱圧着して、実施例1の透光性部材を作製した。
【0059】
(実施例2)
ポリカーボネートシートのMI値を56に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の透光性部材を作製した。
【0060】
(実施例3)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”(商品名)及び“KR−255”(商品名)を1:1の重量比で混合した溶液93重量部に、日本アエロジル社製のフュームドシリカ“AEROSIL RX−200”(商品名、BET比表面積:140m
2/g)を7重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”(商品名)を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。次に、第1のガラスクロス(屈折率:1.55)の片面に、上記シリコーン樹脂含有塗布材を塗布してシリコーン樹脂塗布層を形成した後、温度150℃で30分乾燥して上記シリコーン樹脂塗布層を硬化させた。その後、更に上記シリコーン樹脂塗布層を温度300℃で15分加熱して、第1のガラスクロスの表面に厚さ50μmのシリコーン樹脂層を形成した。次に、厚さ0.2mmのポリカーボネートシート(MI値:65、屈折率:1.58)の一方の面に、シリコーン樹脂層を形成した第1のガラスクロスのガラスクロス側を配置し、上記ポリカーボネートシートの他方の面に第2のガラスクロス(屈折率:1.55)を配置して積層体を作製した。
【0061】
次に、上記積層体を温度260℃に設定した熱ロールに通して熱圧着して、実施例3の透光性部材を作製した。
【0062】
(実施例4)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”の混合割合を重量比で2:1に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例4の透光性部材を作製した。
【0063】
(実施例5)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”の混合割合を重量比で3:1に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例5の透光性部材を作製した。
【0064】
(実施例6)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”の混合割合を重量比で1:2に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例6の透光性部材を作製した。
【0065】
(実施例7)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液90重量部に、日本アエロジル社製のフュームドシリカ“AEROSIL 200”(商品名、BET比表面積:200m
2/g)を10重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例7の透光性部材を作製した。
【0066】
(実施例8)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液90重量部に、日本アエロジル社製のフュームドシリカ“AEROSIL 300”(商品名、BET比表面積:300m
2/g)を10重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例8の透光性部材を作製した。
【0067】
(実施例9)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液95重量部に、日本アエロジル社製のフュームドシリカ“AEROSIL R974”(商品名、BET比表面積:170m
2/g)を5重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例9の透光性部材を作製した。
【0068】
(実施例10)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液95重量部に、日本アエロジル社製のフュームドシリカ“AEROSIL RY−200”(商品名、BET比表面積:100m
2/g)を5重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例10の透光性部材を作製した。
【0069】
(実施例11)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液60重量部に、AGCエスアイテック社製のシリカ粒子“サンラブリーC”(商品名、BET比表面積:50〜300m
2/g)を40重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例11の透光性部材を作製した。
【0070】
(実施例12)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の質量比で混合した溶液60重量部に、ポッターズ・バロティーニ社製のシリカ粒子“CMC−20”(商品名)を40重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例12の透光性部材を作製した。
【0071】
(実施例13)
信越化学工業社製のシリコーン樹脂“KE−106”及び“KR−255”を1:1の重量比で混合した溶液60重量部に、ポッターズ・バロティーニ社製のシリカ粒子“Sphericel 110P8”(商品名)を40重量部加えて攪拌して混合液を調製した。次に、上記混合液に信越化学工業社製の硬化剤“CAT−RG”を上記シリコーン樹脂“KE−106”100重量部に対して10重量部を加えて攪拌してシリコーン樹脂含有塗布材を調製した。上記シリコーン樹脂含有塗布材を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例13の透光性部材を作製した。
【0072】
(比較例1)
ポリカーボネートシートのMI値を45に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の透光性部材を作製した。
【0073】
(比較例2)
ポリカーボネートシートのMI値を40に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の透光性部材を作製した。
【0074】
(比較例3)
ポリカーボネートシートのMI値を45に変更した以外は、実施例3と同様にして比較例3の透光性部材を作製した。
【0075】
上記実施例1〜13及び上記比較例1〜3の透光性部材について下記のようにして全光線透過率を測定し、モアレ縞の有無を評価した。
【0076】
<全光線透過率の測定>
東洋精機製作所製の光透過率測定装置“ヘイズガードII”(商品名)を用い、JIS K7105の「プラスチックの光学的特性試験」に準拠して測定した。
【0077】
<モアレ縞の有無>
透光性部材の両面について目視により観察し、モアレ縞が全く確認されなかった場合を良好(A)と評価し、少しでもモアレ縞が確認された場合を不良(B)と評価した。
【0078】
以上の結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1より、本発明の実施例1〜13の透光性部材は、全光線透過率が高く、モアレ縞の発生もないことが分かる。一方、比較例1〜3の透光性部材は、モアレ縞が発生したことが分かる。