(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352197
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】サイクロン装置
(51)【国際特許分類】
B04C 5/181 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
B04C5/181
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-12054(P2015-12054)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-137415(P2016-137415A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】504360299
【氏名又は名称】西岡 祺人
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】西岡 祺人
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−031820(JP,A)
【文献】
特開2013−146653(JP,A)
【文献】
特開昭55−064854(JP,A)
【文献】
米国特許第05071542(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/12、50/00
B04C 5/181
B07B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方ほど内径が縮径し、上端及び下端がともに開口した円錐台状のコニカル部(20)と、
前記コニカル部(20)の下端側に接続され、下端部に紛体取出口(50)が形成された、前記コニカル部(20)の錐面を下方に延長した仮想錐面(S)が集まる頂点(T)を内部に含むチャンバ(30)と、
上端部に透孔(41)が形成され、この透孔(41)が前記頂点(T)の位置にくるように前記チャンバ(30)の内部に配置される傘状の隔離部材(40)と、
を備えたサイクロン装置。
【請求項2】
前記隔離部材(40)の下方に、この隔離部材(40)の傘の傾斜角よりも大きい傾斜角を形成した傘状の補助隔離部材(42)をさらに備えた請求項1に記載のサイクロン装置。
【請求項3】
前記紛体取出口(50)が、前記チャンバ(30)の下端から上向きに突出する取出管(51)と、前記取出管(51)の先端側から前記チャンバ(30)の下端側に向かって傾斜する傾斜部材(52)と、を備えた請求項1又は2に記載のサイクロン装置。
【請求項4】
前記取出管(51)の突出量を調節する突出量調節機構(53)を設けた請求項3に記載のサイクロン装置。
【請求項5】
前記隔離部材(40)に、前記透孔(41)を通って流れる流体の流量を調節する流量調節機構(43)を設けた請求項1から4のいずれか1項に記載のサイクロン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紛体を含んだ流体から紛体のみを分離するサイクロン装置に関し、特に、この紛体を所定時間旋回流中に滞留させて、装置内で化学反応(熟成)させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業、粉末冶金等の分野では、原料となる紛体を所定条件下(所定の温度及び雰囲気ガス)において保持することによって、その紛体にゆっくりと化学変化を生じさせて(紛体を熟成させて)、所望の化学特性を備えた紛体が製造される。この製造においては、原料となる粉末を反応装置内に入れて、所定時間化学反応させる方法が採用されるのが一般的であるが、例えば特許文献1に示すような、サイクロン装置を使用することも考えられる。
【0003】
このサイクロン装置は、紛体を含む流体を装置内で旋回させて、遠心力によって流体から紛体のみを分離する装置であるが、各紛体は互いにばらばらとなった状態で装置内を旋回するとともに、各紛体が、所定の温度に保持された状態で、流体を構成する雰囲気ガスに効率よく接触するという特性を利用して、化学反応装置としても有用と考えられるためである。
【0004】
例えば、
図6に示すサイクロン装置を化学反応装置として利用する場合を考える。このサイクロン装置は、紛体分離用として一般的に広く用いられるものと同じ構成であって、装置上部側から下部側に向かって順に、水平方向に流体導入口100が、上部に排出管101がそれぞれ設けられた円筒部102と、円筒部102の下端側に接続され、下方ほど内径が縮径し、上端及び下端がともに開口した円錐台状のコニカル部103と、コニカル部103の下端側に接続され、下端部に紛体取出口104が形成されたチャンバ105と、を備えている。
【0005】
紛体を含む流体は、流体導入口100から導入されて、円筒部102内を旋回する。そして、その旋回状態を維持したまま、次第にコニカル部103に移動する。このコニカル部103においては、流体中の紛体は、この紛体に作用する遠心力によってコニカル部103の内壁面に沿って旋回する一方で、この紛体を搬送する気体部分は円筒部102に設けられた排出管101から排出される。コニカル部103の内壁面に沿って旋回する紛体は、次第にチャンバ105に移動する。
【0006】
このコニカル部103の錐面を下方に延長した仮想錐面Sはコニカル部103の下方の頂点Tに集まっている。サイクロン装置においては、この頂点Tよりも上では器内旋回は正圧となっており、紛体にはチャンバ105の中心から内壁側への力が作用する一方で、この頂点Tよりも下では器内旋回は負圧となっており、紛体にはチャンバ105の内壁側から中心向きへの力が作用する。すなわち、
図6に示すサイクロン装置においては、頂点Tはチャンバ105の下方に位置しているため、紛体には常にチャンバ105の中心から内壁側への力が作用する。このため、この紛体は、チャンバ105の内壁に沿って旋回しつつ次第に下方に移動し、最終的に紛体取出口104から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−205267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6に記載のサイクロン装置においては、紛体は旋回しながら円筒部102、コニカル部103、及びチャンバ105の内部を下方に向かって移動し、そのまま紛体取出口104から取り出されるため、紛体(原料粉)を十分長い時間、装置内に滞留させることが困難である。このため、紛体の大きさや種類によっては、化学反応を十分に完了させることができない虞がある。
【0009】
そこで、この発明は、粉末を装置内に十分な時間滞留させて、化学反応を確実に完了させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明は、下方ほど内径が縮径し、上端及び下端がともに開口した円錐台状のコニカル部と、前記コニカル部の下端側に接続され、下端部に紛体取出口が形成された、前記コニカル部の錐面を下方に延長した仮想錐面が集まる頂点を内部に含むチャンバと、上端部に透孔が形成され、この透孔が前記頂点の位置にくるように前記チャンバの内部に配置される傘状の隔離部材と、を備えたサイクロン装置を構成した。
【0011】
上述したように、コニカル部の錐面を下方に延長した仮想錐面の頂点をチャンバの内部に位置させると、この頂点よりも上か下かによって、紛体に作用する力の向きが異なり、チャンバ内で上下方向の旋回流が生じる。しかも、隔離部材によって、チャンバの中心から内壁側に移動する紛体の流れと、チャンバの内壁側から中心に移動する紛体の流れが隔離され、チャンバ内の紛体の流れに対する整流作用が発揮される。その結果、チャンバの負圧領域(チャンバの下側)に降下した紛体が、隔離部材に形成した透孔を通って上方に向かう上昇流に乗って再び上昇し、所定の時間、前記旋回流とともに旋回する。このように、紛体をチャンバ内で旋回させてチャンバ内の雰囲気ガス(反応ガス)中に所定時間滞留させることによって、粉末の化学反応(熟成)を確実に完了させることができる。この隔離部材の傘の傾斜角度を変えることによって、前記旋回流の流動状態、すなわち滞留時間を変化させることができ、種々の大きさ、種類の粉末に対応することができる。
【0012】
また、このチャンバ内において、紛体は、一カ所に停滞することなく、常に旋回流に乗って旋回した状態となっており、チャンバの内壁への付着や、紛体同士の付着が生じにくい。このため、紛体の化学反応を均質にかつ速やかに行うことができ、高品質な反応生成物を得ることができる。
【0013】
前記構成においては、前記隔離部材の下方に、この隔離部材の傘の傾斜角よりも大きい傾斜角を形成した傘状の補助隔離部材をさらに備えた構成とすることもできる。
【0014】
このように、補助隔離部材を設けることにより、チャンバの負圧領域においてこのチャンバの内壁側から中心に移動する紛体の流れを効率よく隔離部材の下側に集めることができ、この紛体を隔離部材に形成した透孔を通る上昇流に確実に乗せることができる。このため、紛体のチャンバ内における滞留時間を十分に確保することができ、この紛体の化学反応をより確実に完了させることができる。
【0015】
前記各構成においては、前記紛体取出口が、前記チャンバの下端から上向きに突出する取出管と、前記取出管の先端側から前記チャンバの下端側に向かって傾斜する傾斜部材と、を備えた構成とするのが好ましい。
【0016】
このように、取出管を上向きに突出させたことにより、チャンバの下端に到達した紛体が紛体取出口からそのまま取り出されるのを防止して、紛体のチャンバ内での滞留時間を確保することができる。さらに、傾斜部材を設けたことにより、化学反応が十分に完了した紛体を傾斜部材に沿って越流させて、スムーズに紛体取出口から取り出すことができる。
【0017】
前記取出管を備えた構成においては、この取出管の突出量を調節する突出量調節機構を設けた構成とすることもできる。
【0018】
このように、取出管の突出量を変化させると、紛体の越流量も変化し、この紛体のチャンバ内の滞留時間を微調整することができる。
【0019】
前記各構成においては、前記隔離部材に、前記透孔を通って流れる流体の流量を調節する流量調節機構を設けた構成とすることもできる。
【0020】
このように、流量調節機構を設けることにより、透孔を通ってチャンバ内を上下方向に旋回する旋回流の強さを変えることができ、これにより、紛体のチャンバ内の滞留時間を微調整することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明は、紛体を旋回させるコニカル部の錐面を下方に延長した仮想錐面が集まる頂点を内部に含むようにチャンバを配置し、このチャンバ内に、上端部に透孔が形成された傘状の隔離部材を、この透孔が前記頂点の位置にくるように配置したサイクロン装置を構成した。この構成によると、前記頂点の上か下かによって、紛体に作用する力の向きを異ならせることができ、チャンバ内で上下方向の旋回流を生じさせることができる。このように、旋回流を生じさせることにより、隔離部材に形成した透孔を通過する上向きの紛体の流動が生じ、この紛体のチャンバ内における滞留時間を十分に確保することができる。このため、この紛体の化学反応を確実に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願発明に係るサイクロン装置の第一実施形態を示し、(a)は側面図、(b)は平面図
【
図2】
図1(a)に示すサイクロン装置の要部(チャンバ)を示す縦断面図
【
図3】本願発明に係るサイクロン装置の第二実施形態の要部(チャンバ)を示す縦断面図
【
図4】本願発明に係るサイクロン装置の第三実施形態の要部(チャンバ)を示す縦断面図
【
図5】本願発明に係るサイクロン装置の第四実施形態の要部(チャンバ)を示す縦断面図
【
図6】従来技術に係るサイクロン装置を示し、(a)は側面図、(b)は平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願発明に係るサイクロン装置の第一実施形態を
図1(a)(b)、
図2に示す。このサイクロン装置は、装置上部側から下部側に向かって順に、円筒部10、コニカル部20、及びチャンバ30を備えている。
【0024】
円筒部10の円筒面には、紛体を含む流体を装置内に導入する流体導入口11が、この円筒部10の周方向の接線に沿うように設けられている。この流体導入口11から、所定流速の流体を導入すると円筒部10内に旋回流が生じ、紛体はこの旋回流に乗って旋回し始める。また、円筒部10の上部には、流体から紛体のみを除去した気体成分を排出する排出管12が、この円筒部10の上面を貫通するように設けられている。
【0025】
円筒部10の下端側には、コニカル部20が接続されている。このコニカル部20は、下方ほど内径が縮径し、上端及び下端がともに開口した円錐台状となっている。紛体は、旋回状態を維持しつつ、次第に円筒部10からコニカル部20に移動する。このコニカル部20は下方に向かうほど内径が縮径するため、旋回流の旋回周速度は次第に大きくなる。このように旋回周速度が大きくなることにより、紛体には次第に大きな遠心力が作用することになり、流体中の紛体と気体成分の分離が促進される。その結果、紛体は、旋回しつつコニカル部20の内壁面に沿うように集められる一方で、気体成分は上向きに方向転換して円筒部10に形成された排出管12に向かって流動する。
【0026】
コニカル部20の下端側には、チャンバ30が接続される。このチャンバ30は、上部が円筒状、下部が下方に向かうほど若干縮径した円筒箱型をしており、コニカル部20の錐面を下方に延長した仮想錐面Sが集まる頂点Tをその内部に含む位置に配置されている。
【0027】
チャンバ30の内部には、保持部材(図示せず)を用いて隔離部材40が固定されている。この隔離部材40は傘状をしており、この傘の中央の上端部には透孔41が形成されている。この隔離部材40は、透孔41が頂点Tの位置(高さ)にくるように配置されている。隔離部材40の傘の外周縁とチャンバ30の内壁との間には紛体が旋回し得る程度の十分な隙間が設けられている。このチャンバ30の容量は、処理する紛体の量や滞留時間を考慮した上で適宜決定することができる。一般的には、チャンバ30の容量を大きくするほど、滞留時間を長くすることができる。
【0028】
チャンバ30の下部には、紛体取出口50が設けられている。この紛体取出口50は、チャンバ30の下端から上向きに突出する取出管51と、この取出管51の先端側からチャンバ30の下端側に向かって傾斜する傾斜部材52と、を備える。このように、取出管51を上向きに突出させたことにより、チャンバ30の下端に到達した紛体がこの取出管51からそのまま取り出されるのを防止して、紛体のチャンバ30内での滞留時間を確保することができる。しかも、傾斜部材52を設けたことにより、化学反応が十分に完了した紛体を傾斜部材52に沿って越流させて、スムーズに紛体取出口50から取り出すことができる。取出管51の突出量や傾斜部材52の角度を変えて越流の流動状態を変えることによって、紛体のチャンバ30内の滞留時間を調節することができる。装置内における紛体の滞留時間は、例えば10秒から数分程度の範囲内とするのが一般的であるが、紛体の大きさ、種類、化学反応の反応速度等の種々の要因を考慮して前記範囲外とすることも勿論許容される。このチャンバ30に加熱装置又は冷却装置を併設して、紛体の化学反応に適するようにチャンバ内温度を制御する構成とすることもできる。
【0029】
次にコニカル部20からチャンバ30に送り込まれた紛体の挙動について説明する。チャンバ30に送り込まれた紛体は、旋回流に乗って旋回した状態が維持されている。このチャンバ30内においては、コニカル部20の錐面の下方への仮想錐面Sが集まる頂点Tよりも上か下かによって、紛体に作用する力の向きが異なる。すなわち、頂点Tよりも上では器内旋回は正圧となっており、紛体にはチャンバ30の中心から内壁側への力が作用する一方で、この頂点Tよりも下では器内旋回は負圧となっており、紛体にはチャンバ30の内壁側から中心向きへの力が作用する。
【0030】
このため、
図2に示すように、隔離部材40の透孔41よりも上の領域(本図中で、「正」と示した領域)では、紛体にはチャンバ30の中心から内壁側(本図中の矢印f1参照)への力が作用する一方で、隔離部材40の透孔41よりも下の領域(本図中で、「負」と示した領域)では、紛体にはチャンバ30の内壁側から中心向き(本図中の矢印f2参照)への力が作用する。この結果、チャンバ30内には、隔離部材40に形成した透孔41を通って上方に向かう上昇流(本図中の矢印f3参照)が生じ、この上下方向の旋回流によって紛体を旋回させることができる。
【0031】
チャンバ30内に十分な時間滞留して、化学反応(熟成)が完了した紛体は、次第にチャンバ30の下端部に集まり、傾斜部材52に沿って取出管51に向かう越流(本図中の矢印f4参照)に乗って流動し、装置外に取り出される。
【0032】
本願発明に係るサイクロン装置の第二実施形態を
図3に示す。このサイクロン装置の全体の基本構成は、第一実施形態に係るサイクロン装置と同じであるが、隔離部材40の傘の傾斜角が第一実施形態のものと比較して大きい点で異なる。このように傾斜角を変えることにより、チャンバ30内の上下方向の旋回流の流動状態が変わり、紛体のチャンバ30内での滞留時間を調節することができる。
【0033】
本願発明に係るサイクロン装置の第三実施形態を
図4に示す。このサイクロン装置の全体の基本構成も、第一及び第二実施形態に係るサイクロン装置と同じであるが、隔離部材40の下方に、この隔離部材40の傘の傾斜角よりも大きい傾斜角を形成した傘状の補助隔離部材42をさらに備えた点で異なる。隔離部材40と補助隔離部材42との間には、紛体がスムーズに流動することができる程度の隙間が設けられている。なお、隔離部材40とは異なり、この補助隔離部材42には透孔は形成されていない。
【0034】
このように補助隔離部材42を設けることにより、チャンバ30の内壁側から中心向きに隔離部材40の下側を移動する紛体を、この補助隔離部材42の傘によって、効率的に隔離部材40に形成した透孔41の方に誘導することができる。このため、透孔41を通る上昇流f3の流動が増大して、チャンバ30内における紛体の滞留時間をさらに長くすることができる。また、隔離部材40と補助隔離部材42との間の隙間の大きさを変えて、上昇流f3の流動を増減することによって、紛体の滞留時間を微調整することもできる。
【0035】
本願発明に係るサイクロン装置の第四実施形態を
図5に示す。このサイクロン装置の全体の基本構成も第一から第三実施形態に係るサイクロン装置と同じであるが、隔離部材40に流量調節機構43を設けるとともに、紛体取出口50に取出管51の突出量を調節する突出量調節機構53を設けた点で異なる。
【0036】
流量調節機構43は、隔離部材40の上端部に、透孔41と連通して上方に突出するように設けられる調節管44と、この調節管44の内部に設けられる弁体45と、から構成される。この弁体45として、例えばバタフライ弁が採用される。この弁体45の開弁度を調節することにより、透孔41を通る上昇流f3の流量を増減することができ、紛体のチャンバ30内の滞留時間を適宜調節することができる。この流量調節機構43は、本図に図示した構成に限定されず、透孔41を通る上昇流f3を調節できる構成であれば、適宜変更した構成を適用することができる。
【0037】
突出量調節機構53は、外周に突条51aを形成した取出管51と、この突条51aと螺合する雌ねじ54aが形成され、取出管51と同軸に相対回転する調節部材54と、この調節部材54をチャンバ30に保持する保持部材55と、を備える。調節部材54を軸周りに回転すると、取出管51がその軸方向に進退して、この取出管51のチャンバ30内への突出量が変化する。この突出量を大きくするほど、チャンバ30の下端部に集まった紛体の越流量が小さくなり、その結果、紛体のチャンバ30内での滞留時間を長くすることができる。この突出量調節機構53は、本図に図示した構成に限定されず、取出管51を軸方向に進退できる構成であれば、適宜変更した構成を適用することができる。
【0038】
なお、この第四実施形態においては、サイクロン装置に、流量調節機構43及び突出量調節機構53の両方を設けた構成としたが、これらのうち一方の機構のみを設けた構成としてもよい。
【0039】
上記各実施形態に示すサイクロン装置はあくまでも一例であって、粉末を装置内に十分な時間滞留させて、化学反応を確実に完了させる、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、コニカル部20、チャンバ30、隔離部材40等の各部材の形状や位置を適宜変更することも許容される。
【符号の説明】
【0040】
10 円筒部
11 流体導入口
12 排出管
20 コニカル部
30 チャンバ
40 隔離部材
41 透孔
42 補助隔離部材
43 流量調節機構
44 調節管
45 弁体
50 紛体取出口
51 取出管
51a 突条
52 傾斜部材
53 突出量調節機構
54 調節部材
54a 雌ねじ
55 保持部材
S 仮想錐面
T 頂点