(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352198
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】クッション材用木材チップおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B27L 11/04 20060101AFI20180625BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
B27L11/04
A47G9/10 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-14109(P2015-14109)
(22)【出願日】2015年1月28日
(65)【公開番号】特開2016-55618(P2016-55618A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-13392(P2014-13392)
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-182788(P2014-182788)
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599174982
【氏名又は名称】横内 靖英
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】横内 靖英
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3089905(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27L 11/04
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材をチップ状に加工した3.0〜10.0mmの横幅の木材チップであり、当該木材チップはほぼ左右対称で円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分が0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部に向かって薄肉化してあることを特徴とするクッション材用木材チップ。
【請求項2】
前記木材チップは、円の1/5〜1/2の範囲でほぼ左右対称の円弧状にカールしていることを特徴とする請求項1に記載のクッション材用木材チップ。
【請求項3】
前記木材チップは、横幅と円弧状のカールの長さとの比が、1:1〜3であることを特徴とする請求項1または2記載のクッション材用木材チップ。
【請求項4】
前記チップ状に加工される木材は、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のクッション材用木材チップ。
【請求項5】
前記チップ状に加工される木材は、伐採後に芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状加工が施されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のクッション材用木材チップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は特にヒノキの間伐材等の木材を伐採後、芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状に加工したクッション材用木材チップ
およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで木材チップを袋詰め等をして人体の適所、例えば頭部その他の部位に当てて使用する枕として利用する例が従来からよく知られている。
例えば、以下のような先行技術が知られている。
1)特公昭30−6296号公報
固形木材をその目的に相応する特定の刃先の工具をもってあらかじめ分割してバラバラになり易くし、短いがしかし同形でその全長に亙り厚さを楔状に少しずつ増しいくらか湾曲した帯状の縦繊維の小木薄片となし、これに接着剤を噴射塗布し加圧成型する小木薄片と接着剤とから木薄片合材を製造する方法。
【0003】
2)特公昭39−29015号公報
丸太の有用な板に製材し、かつ製材作業の間に、木材パルプにするのに用いられる長手方向の木目に沿って充分な長さの削りくずを作るためののこぎり引方法において、歯が連続して切削を行うようにのこぎりのブレードの切削を行う周囲に沿って間隔を置いた関係でのこぎりのブレード上に歯を提供することと、前記ののこぎりのブレードを選択された円周速度で動かすと同時に選択された円周速度でのこぎりを作動させ、次に続く歯が長手方向の木目に沿って約0.32cmから2.54cmの間隔をおいて、次の切り込みを行うように、而も夫々の歯に丸太の長手方向の木目に沿って切削を行わせるようにのこぎりのブレードの切削の歯の円周速度に関係した送り速度でのこぎりの平面内の方向に、丸太をのこぎりへ送ることと、前記ののこぎりのブレードを、のこぎりの直径の約1/5〜1/20の深さで切削させるように配置することとよりなることを特徴とする製材ののこぎり引方法。
【0004】
3)特開平2−213310号公報
所定の寸法を保持して切削加工されて,リング状にカールされた薄片状木材からなる枕等の充填材および、芳香性を有する板材の厚み方向に.予め設定された薄片形状を画成する切込溝を形成し.この切込溝が形成された板材の表面から該板材を順次薄片状に切削して、多数個のリング状にカールされた薄片状木材を製造することを待燬とする枕等の充填材の製造方法。
【0005】
4)実用新案登録第3056889号公報
木材をその樹心の向きに対して斜めとなる向きでスライスすることによって得たものであって、当該スライスによりカールし、牛舎の床に敷き用いたときにその上に落ちた糞の重さで圧し潰されなくて牛の歩きによって砕かれる強さおよび大きさを有していることを特徴とする牛舎用敷料。
【0006】
5)特開2002−127111号公報
木板材の表面を切削する複数の切削刃が等間隔で設けられたかんな胴と、このかんな胴の上流側に設けられ、前記木板材をかんな胴に送り込む送込ローラと、前記かんな胴の下流側に設けられ、かんな胴の切削刃で表面が切削された木板材をかんな胴から送り出す送出ローラとを具備しており、前記送込ローラと送出ローラとによる木板材の送込速度が8〜10m/分、かんな胴の回転速度が3140〜4082m/分であることを特徴とするカール状木チップ製造装置。
【0007】
なお、前記各先行技術において得られる木材チップはそれぞれ以下のような形状となっている。
前記1)細幅の多少カーブした楔状板材(第3,4図)
前記2)細幅の多少カーブした楔状板材(第7,8図)
前記3)幅広の円筒状の厚さの同じ板材(第1図)
前記4)幅広の渦巻き状の厚さの同じ板材(第1,2図)
前記5)幅広の渦巻き状の厚さを変化させた板材(第5図)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭30−6296号公報
【特許文献2】特公昭39−29015号公報
【特許文献3】特開平2−213310号公報
【特許文献4】実用新案登録第3056889号公報
【特許文献5】特開2002−127111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記1)および2)の細幅の多少カーブした楔状板材では、不織布や布地等で袋詰めすることによってクッション材として使用する場合においては、楔状板材そのものにほとんど弾力性がないのでクッション性を利用することができないという欠点があった。
他方、前記3)〜5)の幅広の渦巻き状の板材では、不織布や布地等で袋詰めすることによってクッション材として使用する場合においては、渦巻き状の板材そのものは弾力性を有しているものの、渦巻き状の板材に圧縮するような負荷がかかった場合に板材が途中で折れやすく、したがってクッション性が長持ちしない上、折損した破片が不織布や布地等から室内に粉塵として放散されてしまうという欠点があった。
【0010】
この発明は、木材チップがほぼ左右対称で、なおかつ円の1/5〜1/2の範囲で円弧状にカールさせてあるので、充分なクッション性を有するとともに、円弧状にカールした木材チップに圧縮するような負荷がかかっても木材チップが途中で折れにくく、したがってクッション性が長持ちし、しかも折損した破片が袋詰めのための不織布や布地等から室内に粉塵として放散されにくいクッション材用木材チップおよびその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、この発明のクッション材用木材チップは前記課題を解決するため、木材をチップ状に加工した3.0〜10.0mmの横幅の木材チップであり、当該木材チップはほぼ左右対称で円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分が約0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部に向かって薄肉化してあることを特徴とするクッション材用木材チップ。
【0012】
この発明のクッション材用木材チップにおいて、前記木材チップは、前記木材チップは、円の1/5〜1/2の範囲でほぼ左右対称の円弧状にカールしていることをも特徴とするものである。
【0013】
この発明のクッション材用木材チップにおいて、前記木材チップは、横幅と円弧状のカールの長さとの比が、1:1〜3であることをも特徴とするものである。
【0014】
この発明のクッション材用木材チップにおいて、前記チップ状に加工される木材は、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類からなることをも特徴とするものである。
【0015】
この発明のクッション材用木材チップにおいて、前記チップ状に加工される木材は伐採後、芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状加工が施されることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明のクッション材用木材チップは、木材をチップ状に加工した3.0〜10.0mmの横幅の木材チップであり、当該木材チップがほぼ左右対称の円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分が約0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部に向かって薄肉化してあり、なおかつ前記木材チップは、ほぼ左右対称の円弧状にカールさせてあるので、充分なクッション性を有するとともに、円弧状にカールした木材チップに圧縮するような負荷がかかっても木材チップが途中で折れにくい。
したがってクッション性が長持ちし、しかも折損した破片が収納した袋詰めのための不織布や布地等から室内に粉塵として放散されにくいクッション材用木材チップを提供することができる。
【0017】
さらに前記木材チップは、円の1/5〜1/2の範囲でほぼ左右対称の円弧状にカールさせてあるので、袋詰めの際に適度の密集度で収納することができるためクッション材の嵩密度の変化が少ない、いわゆるヘタリにくいクッション材を得ることができる。
【0018】
前記木材チップは、横幅と円弧状のカールの長さとの比が1:1〜3としてあるので、充分なクッション性を有するとともに、円弧状にカールした木材チップに圧縮するような負荷がかかっても木材チップが途中で折れにくい。
【0019】
前記チップ状に加工される木材は、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類からなり、しかも前記チップ状に加工される木材は伐採後、芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状加工が施されるため、芳香が長続きするクッション材用木材チップを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明のクッション材用木材チップの1実施例を示す斜視図である。
【
図2】この発明のクッション材用木材チップの他の実施例を示す斜視図である。
【
図3】この発明のクッション材用木材チップが円弧状内面を上向きに接地した状態を示す側面図である。
【
図4】この発明のクッション材用木材チップが円弧状内面を下向きに伏せて接地した状態を示す側面図である。
【
図5】この発明のクッション材用木材チップを得るための切削刃の1例を示し、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
【
図6】木材から木材チップを得るに際して木材の表面を平滑にするための切削刃の例を示し、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
【
図7】前記切削刃を回転ドラムに取り付けた切削装置の側面図である。
【
図9】木材チップを得るために木材の搬送装置上を搬送される木材に対する切削刃の配置方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下この発明のクッション材用木材チップ
およびその製造方法の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1および
図2はこの発明のクッション材用木材チップの実施例を示すものである。
図1および
図2において11は、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類を伐採した後、芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状に加工した木材チップである。
すなわち、前記木材をチップ状に加工した3.0〜10.0mmの横幅の木材チップ11は、円の1/5〜1/2の範囲でほぼ左右対称の円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分11aが約0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部11bに向かって徐々に薄肉化してある。
図1では前記木材チップ11はほぼ半円形であり、また
図2では前記木材チップ11は約1/3の円弧状である。
【0022】
また、前記木材チップ11は、横幅と円弧状のカールの長さとの比が、1:1〜3であることが望ましい。
このように、木材チップ11はほぼ左右対称の円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分11aが約0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部11bに向かって薄肉化してあり、なおかつ前記木材チップ11は、円の1/5〜1/2の範囲で円弧状にカールさせてあるので、充分なクッション性を有するとともに、円弧状にカールした木材チップ11に圧縮するような負荷がかかっても当該木材チップ11が途中で折れにくいというメリットがある。
したがって木材チップ11のクッション性が長持ちし、しかも折損した破片が収納した袋詰めのための不織布や布地等から室内に粉塵として放散されにくいクッション材用木材チップを提供することができる。
さらに前記木材チップ11が、ほぼ半円から円形の範囲で円弧状にカールさせてあるので、袋詰めの際に適度の密集度で収納することができるため、クッション材の嵩密度の変化が少ない、いわゆるヘタリにくいクッション材を得ることができる。
【0023】
ちなみに、木材チップ11はほぼ左右対称の円弧状にカールしており、なおかつ当該カールの中央部分11aが約0.2〜2.5mmの厚さを備えるとともに、前記カールの前後の端部11bに向かって薄肉化してあり、なおかつ前記木材チップ11は、円の1/5〜1/2の範囲で円弧状にカールさせてあるので、
図3ないし
図4のように挙動する。
すなわち、上記木材チップ11のほとんどは
図3のように円弧状内面を上向きに接地したり、
図4のように円弧状内面を下向きに伏せて接地するのであって、厚さ方向には接地するものの、横向きに立った状態にはほとんど接地することがない。したがって、各木材チップ11は厚さ方向に積み上げられるような形で堆積する。同様に、不織布や布地等に袋詰めした場合、各木材チップ11は厚さ方向に積み上げられるような形で袋内に充填されるため、木材チップ11のもつ反発力が非常に大きく作用することとなるのである。
なお、長期間使用することによってヘタリが生じた場合、加湿等によって木材チップ11に含まれる水分量が上昇すると、ヘタリがやや解消することが判明している。
【0024】
以下表1にこの発明のクッション材用木材チップを枕の充填材として使用した場合に得た圧縮性、粉じんの発生度合、香りの残存性についてのデータを示す。
なお、比較例は木材チップの形状が半円形〜円形までのものが混在しているもの、実施例1はほぼ半円形(1/2)に近い円弧状、実施例2は円の1/4の円弧状のものをそれぞれ使用した場合である。
【0025】
【表1】
圧縮性:枕として使用した場合の3か月後の空隙率
1)粉じん:枕として使用した場合の3か月後の粉じんの発生状況
2)香り :枕として使用した場合の3か月後の香りの残存状況
【0026】
前記木材チップ11を得るために、次のように加工される。
図5ないし
図9は前記木材チップ11を得るために、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類を伐採した後、芳香が失われない程度に乾燥した上でチップ状に加工するための切削装置を示すものである。
図5は、そのための切削刃21の1例を示し、図では5mmの刃部22が5mmの間隔を空けて等間隔に形成してある。
図6は、木材から木材チップ11を得るに際して木材の表面を平滑にするための切削刃31の例を示し、平刃32が形成してある。
【0027】
図7および
図8は、前記切削刃21を回転ドラム41に取り付けた切削装置40を示すものである。図において、回転ドラム41上に適宜の間隔で例えば3つの取付溝42が配設されており、該取付溝42内に一対の切削刃21が、また残る1つの取付溝42に平刃32の切削刃31が取り付けられている。
したがって、一対の切削刃21によって5mm幅の木材チップ11が切り出され、その深さを変えることによりほぼ半円から円形の範囲で円弧状にカールした木材チップ11を得ることができる。
なお、5mm以下にした場合には切削刃31の強度が低下しやすく、5mm程度、あるいはそれ以上の場合には木材チップ11の大きさがクッション材用木材チップとして丁度よく、また割れにくいという利点がある。
【0028】
前記一対の切削刃21は、それぞれ刃22a,22bが互いに5mmずつずらして、刃と刃の間に次の刃が位置するよう回転ドラム41の取付溝42に取り付けてあるので、各切削刃21の刃22a,22bが隙間なく木材の表面を削り取ることとなる。
なお、残る1つの取付溝42に取り付けた平刃32の切削刃31は、前記各切削刃21の刃22a,22bによる切削作業の負荷とのバランスを整えるために念のために設けられたものである。
【0029】
図9は、本発明の木材チップを得るために、木材の搬送装置上を搬送される木材に対する切削刃の配置方法を示す説明図である。
すなわち、木材52はベルトコンベア51上を所定の速度で矢印方向に搬送され、その上部の所定位置に前記切削装置40が設置してあり、前記各切削刃21の刃22が反時計回りに回転して切削することによって、前記木材チップ11がほぼ半円から円形の範囲で円弧状にカールさせた状態で切り出されるのである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明のクッション材用木材チップ
およびその製造方法は以上の構成を有しており、袋詰め等の処理を施されて、人体の適所、例えば頭部その他の部位に当ててクッション材として利用される。
さらに、ペットその他の動物用として、あるいは商品をソフトに包み込むことができるため、ソフトな保持力を要求される種々の用途に適宜使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 木材チップ
11a 中央部分
11b 端部
21 切削刃
22 刃部
22a,22b 刃
31 切削刃
32 平刃
40 切削装置
41 回転ドラム
42 取付溝
51 ベルトコンベア
52 木材