【実施例】
【0052】
実施例において反応粗製物、精製物の測定は次の分析機器を用いて行なった。
【0053】
GC測定:GC−2014(島津製作所社製)およびクロマトパックC−R8A(島津製作所社製)
GC測定用GCカラム:ジーエルサイエンス社製TC−1(長さ30m、内径0.53mm、液層膜厚1.50マイクロメータ)、ジーエルサイエンス社製TC−1701(長さ30m、内径0.53mm、液層膜厚1.00マイクロメータ)
GC/MS測定:5973N(Agilent社製)
GC/MS測定用GCカラム:ジーエルサイエンス社製TC−1701(長さ30m、内径0.25mm、液層膜厚0.25マイクロメータ)
NMR測定:ECX−400A(JEOL RESONANCE社製)。
【0054】
参考例1:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンの調製
200mLフラスコに25重量%水酸化ナトリウム水溶液(44.24g,277mmol)、2−ピリジンプロパノール(5.00g,36.4mmol)、塩化ベンジル(5.53g,43.7mmol)、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(0.59g,1.8mmol)を加え、45℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、ヘキサン50mLを加えて抽出し、有機層を分離した。この有機層に2mol/L塩酸(50mL)を加え、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを塩酸塩として水層に抽出した。続いて水層に25重量%水酸化ナトリウム水溶液をpH9になるまで加えて塩酸塩を中和し、酢酸エチル(50mL)で抽出した。この有機層を20%食塩水(50mL)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ロータリーエヴァポレーターで溶媒を減圧下に留去して濃縮物(6.09g)を得た。これを減圧蒸留により精製することで2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン(収量4.34g、収率52.5%,純度99.6%)を得た(参考品1)。
【0055】
2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン物性データ
沸点 152〜155℃/0.13kPa
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 2.07(tt,2H,J=7.8,6.0Hz)2.89(t,2H,J=7.8Hz),3.53(t,2H,J=6.0Hz),4.51(s,2H),7.10(ddd,1H,J=7.6,5.2,1.2Hz),7.14(d,1H,J=7.6Hz),7.26−7.35(m,5H),7.57(dt,1H,J=2.0,7.6Hz),8.52(dd,1H,J=4.8,0.8Hz).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 29.65,34.87,69.56,72.81,120.95,122.83,127.46,127.59(2C),128.31(2C),136.22,138.54、149.24,161.68.
MS(EI,70eV) m/z 65(8),78(5),91(30),92(12),93(100),94(8),106(13),118(6),120(15),121(10),136(86),137(8).
【0056】
参考例2:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンの香気評価
参考例1で合成した参考品1(2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン)の0.1%エタノール溶液を評価液として調製した。評価液をサンプル瓶に用意し、瓶口からの香気評価および評価液を含浸させたにおい紙により、よく訓練された5名のパネラーにより香気評価をおこなった。その平均的な評価は以下の通りであった。
【0057】
香気評価(5名のパネラーの平均的評価):ややハーバル、グリーン、ナッティーな天然感あふれる香気
【0058】
参考例3:2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジンの調製
300mLフラスコに25重量%水酸化ナトリウム水溶液(120.0g、750mmol)、2−ピリジンエタノール(12.34g、100mmol)、塩化ベンジル(15.51g、123mmol)および臭化テトラn−ブチルアンモニウム(1.61g、4.99mmol)を入れ、45℃で3時間撹拌し、反応液をヘキサン(100mL)で抽出した。有機層を20%食塩水(100mL)で洗浄後、2mol/L塩酸(100mL)で目的物を塩酸塩にすることで水層に抽出し、ついで水層に飽和炭酸ナトリウム水溶液(150mL)を加えてアルカリ性とし、目的物を含む水層から酢酸エチル(100mL×1回、50mL×1回)で抽出した。得られた有機層を合わせ、20%食塩水(100mL)で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥、減圧下に酢酸エチルを回収し濃縮物(22.75g)を得た。この濃縮物を減圧蒸留で精製することで2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジン(16.51g、収率77.4%、純度99.9%)を得た(参考品2)。
【0059】
2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジン(参考品2)物性データ
沸点: 139℃/0.13kPa
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ 3.11(t,2H,J=6.8Hz),3.86(t,2H,J=6.8Hz),4.53(s,2H),7.12(dd,1H,J=7.6,5.2Hz),7.22(d,1H,J=7.6Hz),7.24−7.33(m,5H),7.60(dt,1H,J=1.2,7.6Hz),8.53(dm,1H,J=5.2Hz).
13C NMR(100MHz,CDCl3) δ 38.71,69.59,72.95,121.31,123.59,127.50,127.58(2C),128.31(2C),136.23,138.35,149.26,159.20.
MS(EI,70eV) m/z 39(10),51(12),65(27),78(12),79(13),91(75),92(10),93(24),106(61),107(100),122(71),168(2),182(6).。
【0060】
参考例4:旨味の確認
参考品1および2をそれぞれ適当濃度にエタノールに希釈した後、それをさらに水に希釈して表1に示す濃度の2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンおよび2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジン水溶液を調製した。それぞれの濃度の溶液および無添加の水をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、呈味および香気についての官能評価を行った。
【0061】
5名のパネラーの結果平均的な評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示した通り、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン(参考品1)の水溶液は呈味があり、その呈味は旨味であった。また、その濃度としては、質量を基準として、0.01ppm〜200ppmの範囲内で旨味が感じられ、特に0.1ppm〜20ppm程度で良好な旨味が感じられることが分かった。
【0064】
一方、2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジン(参考品2)の水溶液も呈味があり、その呈味は旨味であった。また、その濃度としては、質量を基準として、0.1ppm〜200ppmの範囲内で旨味が感じられ、特に1ppm〜200ppm程度で良好な旨味が感じられることが分かった。
【0065】
すなわち、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンは2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジンの10倍程度旨味付与作用が強いことが認められ、同程度の旨味強度を得るための濃度は、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンは2−(2−ベンジルオキシエチル)ピリジンの1/10程度であった。
【0066】
実施例1:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを含有する乳化組成物の調製
油相として2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン(1.0g)、SAIB9.0gおよびMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)9.0gを混合溶解し、水相としてグリセリン66g、イオン交換水11gおよびデカグリセリンモノオレエート(4.0g)を混合溶解し、両液をTK−ホモゲナイザー(特殊機化工業社製)により、8000rpmで撹拌混合し、10分間の乳化を行った。イオン交換水で2000倍希釈時の波長680nmにおける吸光度が0.2AbsとなるようなO/W型エマルジョンとした(本発明品1:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度1.0%)。
【0067】
比較例1:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンのエタノール溶液
2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン(1.0g)を99.5%エタノール99.0gに溶解した溶液を調製した(比較品1:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度1.0%)。
【0068】
実施例2:旨味の確認
本発明品1および比較品1を水に溶解し、表2に示す濃度の2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン溶液を調製した。それぞれの溶液をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、呈味および香気についての官能評価を行った。
【0069】
5名のパネラーの結果平均的な評価結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表2に示した通り、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンのエタノール希釈品(比較品1)を水に希釈した場合も、乳化品(本発明品1)を水に希釈した場合も、いずれも旨味が感じられたが、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンの濃度が同一の場合において、エタノール希釈液と比較して、乳化品はよりマイルドで持続性があるという結果であった。
【0072】
実施例3:旨味付与および塩味増強効果の確認
0.3質量%の塩化ナトリウム水溶液(コントロール)、および、0.3質量%塩化ナトリウムに本発明品1または比較品1を、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして表3に示す濃度に溶解した溶液を調製した。それぞれの溶液をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、旨味の付与および塩味の増強についての官能評価を行った。その平均的な評価結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3に示した通り、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを0.3質量%の塩化ナトリウム水溶液に希釈した場合には旨味および塩味が感じられ、その旨味は水に希釈した場合よりも、1/10程度、低濃度でも感じられた。したがって、食塩と併用することで旨味の付与および塩味増強を感じる2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンの濃度としては、質量を基準として、0.1ppb〜50ppm、好ましくは1ppb〜10ppm、より好ましくは10ppb〜2ppmの範囲と考えられた。
【0075】
また、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを乳化品の形態で添加した場合は、エタノール希釈品で添加した場合と比較して、旨味および塩味がマイルドで持続性があった。特に高濃度(0.5ppm以上)での添加の場合に、エタノール希釈品で添加した場合と比較して、旨味のくどさが低減し、よりマイルドで持続性があることが認められた。
【0076】
実施例4:旨味および塩味増強の確認
0.3質量%の食塩および0.03質量%のグルタミン酸ナトリウム(MSG)の水溶液と、これに、本発明品1または比較品1を、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして10ppb加えた水溶液を、よく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、旨味および塩味の増強についての官能評価を行った。その結果、5名全員が、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを10ppb加えた方が旨味および塩味が強く、また本発明品1(乳化品)を加えた方が、比較品1(エタノール希釈品)と比較して、旨味および塩味がマイルドで持続性があるという評価であった。
【0077】
実施例5:旨味増強効果の確認
(1)0.3質量%の食塩および0.05質量%のグルタミン酸ナトリウム(MSG)の水溶液と、(2)0.3質量%の食塩および本発明品1を2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして10ppb加えた水溶液をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、旨味について官能的に比較を行った。その結果、5名全員が、両者[(1)と(2)]はほぼ同等の旨味の強さであるという評価であった。
【0078】
実施例6:旨味増強効果の確認
(1)0.1質量%のイノシン酸ナトリウム(5’−IMP・2Na)と、(2)0.1質量%のイノシン酸ナトリウムに本発明品1を2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして5ppb加えた水溶液をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、旨味についての官能評価を行った。その結果、5名全員が、(2)の2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを5ppb加えた方が旨味が強いという評価であった。
【0079】
実施例7:甘味増強効果の確認
(1)3質量%ショ糖水溶液と、(2)3質量%ショ糖水溶液に本発明品1を2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして5ppb加えた水溶液をよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、呈味についての官能評価を行った。その結果、5名全員が、(2)の2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを5ppb加えた方が甘味が強いという評価であった。
【0080】
実施例8:うどんつゆへの添加
市販のうどんつゆ(3倍濃縮)に本発明品1を2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンとして0.05ppm添加したものを調製した。調製したうどんつゆおよび無添加のうどんつゆそれぞれ100mlに熱湯200mlを加え、よく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、旨味についての官能評価を行った。その結果、5名全員が、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを0.05ppm加えたうどんつゆの方が旨味、塩味および甘みが強いという評価であった。
【0081】
実施例9:カツオブシ様乳化香料組成物
下記表4の処方により、カツオブシ様の調合香料組成物(参考品3)を調合した。
【0082】
【表4】
【0083】
油相として表4のカツオブシ様の調合香料組成物(参考品3:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度1.0質量%)100g、水相としてグリセリン312.5g、イオン交換水65gにデカグリセリンモノステアレート22.5g溶解したものを調製し、両液をTK−ホモゲナイザー(特殊機化工業社製)により、8000rpmで撹拌混合し、10分間の乳化を行った。イオン交換水で2000倍希釈時の波長680nmにおける吸光度が0.2AbsとなるようなO/W型エマルジョンとしたカツオブシ様乳化香料組成物を得た(本発明品2:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.2質量%)。
【0084】
実施例10:カツオブシ様乳化香料組成物のめんつゆへの添加
下記表5の処方によりめんつゆを調製し、これに本発明品2のカツオブシ様乳化香料組成物を0.01%添加したものを調製した(2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.2ppm)。
【0085】
【表5】
【0086】
カツオブシ様乳化香料組成物無添加のめんつゆつゆと、添加しためんつゆを、よく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、官能評価を行った。その結果、5名全員が、本発明のカツオブシ様乳化香料組成物を添加した方が、カツオブシ様の香気が付与されており好ましく、その呈味は旨味、塩味および甘味が増強されており、非常に美味であり良好であるという評価であった。
【0087】
実施例11:カツオブシ様粉末香料組成物
水相として水150gにアラビアガム70g及びトレハロース20gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌し、40℃に冷却した。これに油相として参考品3を10gを添加混合した後、TK−ホモミキサーで乳化し、O/W型の乳化組成物を得た。この乳化組成物をニロ社のモービルマイナー型スプレードライヤーを使用して、入口温度140℃、出口温度75℃にて噴霧乾燥し、カツオブシ様粉末香料組成物95gを得た(本発明品3:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.1質量%)。
【0088】
実施例12:カツオブシ様粉末香料組成物の粉末ラーメンスープへの添加
表6の処方により粉末ラーメンスープを調製した。これにさらに本発明品3を1質量%添加したものを調製した。
【0089】
【表6】
【0090】
本発明品3添加および無添加の粉末ラーメンスープをそれぞれ10gずつ用意し、それぞれ熱水(70℃)を600mlずつ加えて希釈し、訓練されたパネラー5名により官能評価を行った。その結果、5名全員が、本発明のカツオブシ様粉末香料組成物を添加した方が、カツオブシ様の香気が付与されており好ましく、その呈味は旨味、塩味および甘味が増強されており、非常に美味であり良好であるという評価であった。
【0091】
実施例13:ミルク様乳化香料組成物
下記表7の処方により、ミルク様調合香料組成物(参考品4および参考品5)を調合した。
【0092】
【表7】
【0093】
油相として表7のミルク様調合香料組成物(参考品4:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度1.0質量%、または、参考品5:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン不使用)100g、水相としてグリセリン312.5g、イオン交換水65gにデカグリセリンモノパルミテート22.5g溶解したものを調製し、両液をTK−ホモゲナイザー(特殊機化工業社製)により、8000rpmで撹拌混合し、10分間の乳化を行った。イオン交換水で2000倍希釈時の波長680nmにおける吸光度が0.2AbsとなるようなO/W型エマルジョンとしたミルク様乳化香料組成物を得た(本発明品4:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.2質量%、比較品2:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン不使用)。
【0094】
実施例14:ミルク様乳化香料組成物のラクトアイスへの添加
下記表8の処方により、ラクトアイスを調製し、これに本発明品4または比較品2のミルク様調合香料組成物をそれぞれ0.01%添加したものを調製した(本発明品4を使用したラクトアイス中の2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.2ppm)。ラクトアイスの調製は、全原料を加熱溶解してホモジナイザー150kg/cm2 で乳化後、10°Cで一夜エージングを行った。フリーザーにてフリージング後−40°Cにて1時間硬化してラクトアイスを得た。
【0095】
【表8】
【0096】
比較品2または本発明品4のミルク様乳化香料組成物添加のラクトアイスと、香料無添加のラクトアイスを、よく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、官能評価を行った。その結果、5名全員が、まず、香料無添加のラクトアイスと比べ、比較品2を添加したラクトアイスの方がミルク様の香気が良好であるとの評価であった。さらにまた、5名全員が、比較品2を添加したラクトアイスよりも本発明品4を添加したラクトアイスの方が、ミルク様の香気が良好で、かつ、呈味においては旨味、甘味および乳のコクが増強されており、非常に美味であり良好であるという評価であった。
【0097】
実施例15:ミルク様粉末香料組成物
水相として水150gにアラビアガム70g及びトレハロース20gを加えて溶解し、85〜90℃で15分間加熱殺菌し、40℃に冷却した。これに油相として参考品4を10gを添加混合した後、TK−ホモミキサーで乳化し、O/W型の乳化組成物を得た。この乳化組成物をニロ社のモービルマイナー型スプレードライヤーを使用して、入口温度140℃、出口温度75℃にて噴霧乾燥し、ミルク様粉末香料組成物95gを得た(本発明品5:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.1質量%)。
【0098】
実施例16:脱脂粉乳水溶液への添加
脱脂粉乳(スキムミルク)、および脱脂粉乳(スキムミルク)99質量部に本発明品5(1質量部)をよく混合したものを調製した。それぞれの10質量部と水90質量部の混合溶液(脱脂粉乳水溶液)を調製し、これをよく訓練された5名のパネラーにより味わうことにより、官能評価を行った。その結果、5名全員が、無添加の脱脂粉乳水溶液よりも本発明品5を添加した脱脂粉乳水溶液の方が、ミルクの香気が強く、また、旨味および甘味が強く、さらに、乳特有のコクが強く、極めて良好なミルク風味であるという評価であった。
【0099】
実施例17:パイナップル様乳化香料組成物
下記表9の処方により、パイナップル様調合香料組成物を調合した(参考品6)。
【0100】
【表9】
【0101】
油相として表9のパイナップル様調合香料組成物(参考品6:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度0.02質量%)100g、水相としてグリセリン312.5g、イオン交換水65gにデカグリセリンモノオレエート22.5g溶解したものを調製し、両液をTK−ホモゲナイザー(特殊機化工業社製)により、8000rpmで撹拌混合し、10分間の乳化を行った。イオン交換水で2000倍希釈時の波長680nmにおける吸光度が0.2AbsとなるようなO/W型エマルジョンとしたパイナップル様乳化香料組成物を得た(本発明品6:2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度40ppm)。
【0102】
実施例18:パイナップル様の調合香料組成物のシャーベットへの配合
下記表10の処方により、シャーベットを調製し、これに本発明品6のパイナップル様乳化香料組成物を0.2%添加したものを調製した(2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジン濃度80ppb)。
【0103】
これらのシャーベットを、パネラー5人により官能評価を行った。その結果、パネラー5人全員が、本発明品6を添加したシャーベットは無添加のシャーベットに比べて、フレッシュで天然感あふれるパイナップル香気の特徴が強調されており、呈味についても旨味および甘味が強いと評価した。
【0104】
【表10】