(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも第1の部分が、前記側壁および前記上壁の前記少なくとも一方の第2の部分の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料を含む、請求項1に記載の加湿装置。
前記加湿チャンバの少なくとも一部分は、前記加湿チャンバ内の前記ある量の液体を攪乱して、前記液体に隣接する前記ガス流路にあるガスの境界層の形成を阻止するように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加湿装置。
1つ以上の加熱部品をさらに含み、当該加熱部品は、上方に延在して前記加湿チャンバへの追加的な熱伝導を提供し、かつ、全体として前記加湿チャンバの少なくとも垂直方向に延在する部分を取り囲むように構成されている、請求項5または6に記載の加湿装置。
前記加熱板は、前記加湿チャンバ内のある量の液体を攪乱して、前記液体に隣接する前記ガス流路にあるガスの境界層の形成を阻止するように構成されている、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の加湿装置。
前記加湿チャンバの面は、壁面、非底面、底面、及び少なくとも前記底面の一部分及び側面に広がる面、のうちの一つを含む、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の加湿装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一部の実施形態では、加湿システムが、ヒーターを有するヒーターベースと、加湿チャンバと、回路とを含む。回路は、吸息導管、呼息導管、Yピース、患者導管、および/または乾燥導管を含む様々な導管を含み得る。使用時、加湿チャンバには、ある量の液体が入っている。ヒーターベースはヒーターを作動し、このヒーターが次に、蒸発、気化および/または噴霧化の1つ以上によって少なくともある程度の液体が蒸気になるような温度まで液体を加熱し、それにより、ガスがチャンバ内の液体の上方を通過するときにガスを加湿する。加湿ガスは、吸息導管を経由して患者に送達され得る。一部の実施形態では、加湿システムはフロー源を含む。
【0005】
一部の実施形態では、加湿回路は、電熱線または他のタイプのヒーターまたは発熱体を有する導管を含み得る。一部の構成例では、加湿回路は、吸息導管および呼息導管が単一導管として形成される構造を含み得る。単一導管は、電熱線が切断されず、両導管に沿って実質的に連続して延びるようにし得る。一部の構成例では、回路は、通気性のある外側導管を有する同軸導管を含む。一部の実施形態では、導管は、導管の圧縮性体積を低減させるように構成された内側チューブを含む。一部の実施形態では、導管は、加熱されたビードすなわちホットビード、温度センサー、および流れセンサーを含み、および導管を流れるガスの湿度は、電力損、温度、および流れの測定値に基づいて決定され得る。
【0006】
一部の実施形態では、加湿チャンバは、チャンバに液体を加える/チャンバから液体を除去するように構成されたポンプに結合され、それにより、チャンバが可変圧縮性体積を有することができるようにする。一部の実施形態では、加湿チャンバは1つ以上のフロートを含み、フロートは、チャンバ内の液体レベルが高くなりすぎる可能性を低下させるまたはなくすのを助けるように機能する。1つまたは複数のフロートが存在することに起因する、チャンバ内の液体の表面積の縮小を小さくするために、1つまたは複数のフロートは、少なくとも部分的に吸収材料または親水性材料で作製される。一部の実施形態では、加湿チャンバ壁は、少なくとも部分的に疎水性材料または親水性材料で作製され、凝縮物の蓄積を低減させることによる湿度の損失を小さくする。
【0007】
一部の実施形態では、様々なタイプのセンサーが加湿システムに設けられる。例えば、温度は、好適な温度センサー、1つ以上の光ファイバーケーブル、および/または超音波反射によって感知し得る。一部の実施形態では、1つ以上のセンサーは、1つ以上のプロセッサーと無線で通信して、システムの制御を助け得る。
【0008】
別の態様では、本発明は、図面のいずれか1つ以上を参照して本明細書で説明するような構成要素にある。
【0009】
要約すれば、本開示は、以下の番号を付した項目に従って説明し得る。
【0010】
項目1.加湿装置は:ある量の液体を保持するように構成された加湿チャンバを含み、チャンバは:側壁;側壁に接続された上壁;および上壁および側壁の少なくとも一方を通って延在する入口および出口であって、入口と出口との間で加湿チャンバ内にガス流路が画成されている、入口および出口を含み;側壁および上壁の少なくとも一方の少なくとも第1の部分は、側壁および上壁の少なくとも一方の第2の部分と比較して、ガス流路にあるガスの熱損失を増やすことができるように構成されて、ガス流路にあるガスの熱損失がガスの温度を低下させ得る。
【0011】
項目2.項目1に記載の加湿装置であって、熱損失を増やすことができるように構成された第1の部分が、側壁および上壁の少なくとも一方の第2の部分よりも熱伝導率が高い材料を含む。
【0012】
項目3.項目1または2に記載の加湿装置であって、熱損失を増やすことができるように構成された第1の部分が、使用時に通常の運転水位の上方にあるように構成された側壁および上壁の少なくとも一方の領域に位置決めされている。
【0013】
項目4.項目1〜3のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、加熱板を含む加湿器を含み、加湿器が、加湿チャンバを収容して、チャンバの底面が少なくとも部分的に加熱板に接触するように構成され、加熱板は、振動して、加湿チャンバ内のある量の液体を攪乱し、流路中に液体に隣接するガスの境界層の形成を阻止するように構成されている。
【0014】
項目5.項目1〜4のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、加湿チャンバと流体連通するポンプを含み、ポンプは、チャンバから液体を除去して加湿チャンバの圧縮性体積を変更させて、所与の加湿チャンバを、一回換気量または頻度が異なる呼吸療法を必要とする患者に適合させることができるように、構成されている。
【0015】
項目6.項目1〜5のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、外側チューブと、外側チューブ内に配置された内側チューブとを含む導管を含み;内側チューブ内、または外側チューブと内側チューブとの間のいずれかにガス流路が画成され、内側チューブが導管の有効体積を低減させ、導管のコンプライアンスを低下させる。
【0016】
項目7.項目6に記載の加湿装置であって、ガス流路が内側チューブ内に画成され、および外側チューブと内側チューブとの間の空間が少なくとも部分的に流体で満たされて、導管のコンプライアンスを低下させる。
【0017】
項目8.項目1〜7のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、液体を紫外線光に曝すように構成された紫外線光源を含み、汚染の可能性を低下させる。
【0018】
項目9.項目8に記載の加湿装置であって、紫外線光源が、加湿チャンバ内に位置決めされたスリーブ内に含まれている。
【0019】
項目10.項目8に記載の加湿装置であって、紫外線光源が、加湿チャンバに液体を供給するように構成された液溜め内に位置決めされている。
【0020】
項目11.項目1〜10のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、装置の表面上に印刷された導体材料のパターンを含む少なくとも1つの水位センサーを含む。
【0021】
項目12.項目1〜11のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、加湿装置の少なくとも1つの構成要素の少なくとも一部に結合されるかまたはそれを形成する少なくとも1つの変色指示体を含み、指示体は、構成要素を流れるガスの温度および/または湿度の変化に応答して色を変えるように構成されている。
【0022】
項目13.項目12に記載の加湿装置であって、少なくとも1つの変色指示体が、加湿装置の構成要素上を覆っている。
【0023】
項目14.項目12に記載の加湿装置であって、少なくとも1つの変色指示体が、構成要素の一部分に置き換わる。
【0024】
項目15.項目12〜14に記載のいずれかの加湿装置が、さらに、少なくとも1つの変色指示体を監視するように位置決めされたカメラを含む。
【0025】
項目16.項目15に記載の加湿装置であって、カメラが、構成要素を流れるガスの湿度、流量、温度、圧力、および/またはガス含有量の1つ以上を監視するように構成されている。
【0026】
項目17.加湿装置が:ある量の液体を保持するように構成された加湿チャンバを含み、チャンバが:側壁;側壁に接続された上壁;側壁に接続された底面;および上壁、側壁および底面のうちの少なくとも1つに形成された入口および出口であって、入口と出口との間にガス流路が形成されている、入口と出口を含み;および加湿チャンバの底面が、熱伝導性であって曲げやすいすなわち柔軟性の材料を含む。
【0027】
項目18.項目17に記載の加湿装置であって、柔軟性の熱伝導性材料が、アルミニウム箔を含む。
【0028】
項目19.項目17または18に記載の加湿装置が、さらに、加湿チャンバ内に配置されたチャンバ加熱板を含む。
【0029】
項目20.項目19に記載の加湿装置が、さらに、加熱板を含む加湿器を含み、加湿器は、加湿チャンバを収容して、チャンバ加熱板が加湿器の加熱板に熱的に接続されているように構成されている。
【0030】
項目21.項目19または20に記載の加湿装置であって、チャンバ加熱板は、チャンバ加熱板を加熱するように構成されたヒーター線を含む。
【0031】
項目22.加湿装置がYピースを含み、Yピースが:呼吸回路アセンブリの吸息リム(limb)に結合されるように構成された第1の枝管;呼吸回路アセンブリの呼息リムに結合されるように構成された第2の枝管;患者供給導管または患者インターフェースに結合されるように構成された第3の枝管;およびYピースの少なくとも一部分に沿ってまたはその周りに延在する加熱素子を含む。
【0032】
項目23.項目22に記載の加湿装置であって、加熱素子が1つ以上のヒーター線を含む。
【0033】
項目24.項目22または23に記載の加湿装置が、さらに、Yピースに結合されたように構成された少なくとも1つの導管を含む。
【0034】
項目25.項目24に記載の加湿装置であって、導管が、導管を部分的に通って軸方向に延在する切込みを含んで、吸息リムおよび呼息リムを形成し、およびYピースの第1および第2の枝管は、切込みに隣接する吸息リムおよび呼息リムの端部にそれぞれ結合されるように構成され、切込みは、加熱手段を切断しないように形成されるため、加熱手段は、吸息リムおよび呼息リムの双方に沿って途切れずに延びている。
【0035】
項目26.項目22〜25のいずれかに記載の加湿装置が、さらに、Yピースの一部または全てに結合されるかまたはそれを形成する少なくとも1つの変色指示体を含み、指示体は、構成要素を流れるガスの温度および/または湿度の変化に応答して、色を変えるように構成されている。
【0036】
項目27.項目26に記載の加湿装置であって、少なくとも1つの変色指示体は、Yピース上を覆っている。
【0037】
項目28.項目26に記載の加湿装置であって、少なくとも1つの変色指示体は、Yピースの一部分に置き換わる。
【0038】
項目29.項目26〜28に記載のいずれかの加湿装置が、さらに、少なくとも1つの変色指示体を監視するように位置決めされたカメラを含む。
【0039】
項目30.項目29に記載の加湿装置であって、カメラが、構成要素を流れる湿度、流量、温度、圧力、および/またはガス含有量の1つ以上を監視するように構成されている。
【0040】
項目31.加湿システムを流れるガスの湿度を決定する方法であって、この方法は、ガスの流量を測定するステップ;ガスの温度を測定するステップ;サーミスタを予め決められた温度に維持するために、加熱されたサーミスタによって使用された電力を測定するように構成された電力計を使用して、電力損を測定するステップ;および測定された流量、温度、および電力損を使用してガスの湿度を決定するステップを含む。
【0041】
項目32.加湿装置が:ある量の液体を保持するように構成されたチャンバを含み、チャンバは:チャンバを画成する外装体;チャンバへの通路を画成する入口ポート;チャンバからの通路を画成する出口ポート;入口ポートと出口ポートとの間に画成されたガス流路;入口ポートに位置決めされた流量センサー;入口ポートに位置決めされた少なくとも1つのサーミスタプローブ;および出口ポートに位置決めされた少なくとも1つのサーミスタプローブ;およびチャンバを収容するように構成された加湿器であって、流量センサーおよびサーミスタプローブから温度、流量、および熱放散データを受信し、それらのデータを使用して、流路を入口ポートと出口ポートとの間で移動するガスによって得られた湿度を決定するように構成されたプロセッサーを含む加湿器を含む。
【0042】
項目33.呼吸回路アセンブリが、回路アセンブリの複数の位置において、導管内を流れるガスの温度および/または導管の周囲の気温を測定するための手段を有する1つ以上の導管を含む。
【0043】
項目34.項目33に記載の呼吸回路アセンブリであって、温度を測定するための手段が、導管の1つ以上の内表面または外表面に印刷された導体材料のパターンを含む、1つ以上の印刷された温度センサーを含む。
【0044】
項目35.項目33または34に記載の呼吸回路アセンブリであって、温度を測定するための手段が、1つ以上の導管の外側に沿っておよび/または1つ以上の導管内に長手方向に延在する1つ以上の光ファイバーケーブルを含む。
【0045】
項目36.項目33〜35のいずれかに記載の呼吸回路アセンブリであって、温度を測定するための手段が:音波発生器;音波発生器から離間した波受信器;および音波発生器と波受信器との間に位置決めされたプレートであって、プレートの1つまたは複数の特性が、温度変化に応答して変化するように構成されている、プレートを含む。
【0046】
項目37.加湿装置が:項目33〜36のいずれかに記載の呼吸回路アセンブリ;プロセッサーを含む加湿器;および温度を測定するための手段とプロセッサーとの間でデータおよび/または命令を通信しかつ転送することができるように構成された無線通信手段を含む。
【0047】
項目38.項目37に記載の加湿装置であって、温度を測定するための手段が発電手段を含む。
【0048】
項目39.項目38に記載の加湿装置であって、発電手段が、呼吸回路アセンブリ内を流れるガスの熱エネルギーから電力を発生させるように構成された熱エネルギー収集手段を含む。
【0049】
項目40.項目38または39に記載の加湿装置であって、発電手段が、呼吸回路アセンブリ内の振動から電力を発生させるように構成された圧力エネルギー収集手段を含む。
【0050】
項目41.項目38〜40のいずれかに記載の加湿装置であって、発電手段が、放射エネルギー収集手段を含む。
【0051】
項目42.加湿装置が:ある量の液体を保持するように構成された加湿チャンバ;プロセッサーおよび加熱板を含む加湿器であって、チャンバを収容して、チャンバの底面が加熱板に接触するように構成されている加湿器;および患者の皮膚温を測定するために使用時に患者の皮膚に位置決めされ、かつ有線または無線接続を介してプロセッサーに接続されるように構成された温度センサーを含み;プロセッサーは温度センサーからのデータを受信するように構成されている。
【0052】
項目43.項目42に記載の加湿装置であって、プロセッサーは、データに基づいて加湿装置の1つ以上の動作パラメータを調整するように構成されている。
【0053】
項目44.項目43に記載の加湿装置であって、1つ以上の動作パラメータが、加熱板の温度および/またはチャンバ内のある量の液体を含む。
【0054】
項目45.項目42に記載の加湿装置であって、加湿器がさらにディスプレイを含み、およびプロセッサーが、患者の皮膚温をディスプレイ上に表示するように構成されている。
【0055】
項目46.加湿チャンバが:チャンバを画成する外装体;チャンバ内に配置されかつ制御された量の液体をチャンバに排出するように構成された1つ以上のエジェクタ;および1つ以上のエジェクタから排出された液体を、液体を蒸発させるのに十分な温度まで加熱するように構成された加熱手段を含む。
【0056】
項目47.項目46に記載の加湿チャンバであって、加熱手段が、チャンバ内に配置された加熱板を含み、およびエジェクタが加熱板に液体を排出する。
【0057】
項目48.項目46に記載の加湿チャンバであって、加熱手段が、1つ以上のエジェクタの各々のノズルにまたはそれに近接して位置決めされた1つ以上のヒーターを含む。
【0058】
項目49.加湿システムが:プロセッサーを含む加湿器、制御プログラムまたはアルゴリズムを格納する第1のメモリ、および第1のデータ転送接続;および加湿システムの構成要素に結合された第2のメモリおよび第2のデータ転送接続を含み、第2のメモリは、第1のメモリに格納された制御プログラムまたはアルゴリズムの少なくとも一部分を更新するかまたは置き換えるように構成されたデータを格納し;使用時、第2のデータ転送接続は、第1のデータ転送接続に動作可能に接続されて、第2のメモリとプロセッサーおよび/または第1のメモリとの間に動作可能な接続を形成する。
【0059】
項目50.項目49に記載の加湿システムであって、第2のメモリおよび第2のデータ転送接続は、加湿器によって収容されるように構成された加湿チャンバに結合されている。
【0060】
項目51.項目49に記載の加湿システムであって、第2のメモリおよび第2のデータ転送接続は、呼吸回路アセンブリの導管に結合されている。
【0061】
項目52.項目51に記載の加湿システムが、さらに、第3のデータ転送接続を含む加湿チャンバを含み、使用時、呼吸回路アセンブリの第2のデータ転送接続は、加湿チャンバの第3のデータ転送接続に動作可能に結合され、これは、加湿器の第1のデータ転送接続に動作可能に結合されている。
【0062】
項目53.項目49〜52のいずれかに記載の加湿システムであって、第1および第2のデータ転送接続の一方はRFIDタグであり、および第1および第2のデータ転送接続の他方はRFID質問機であり、物理的接触がなくても第1および第2のデータ接続を動作可能に結合できるようにする。
【0063】
本開示と、従来技術を上回って達成された利点とを要約するために、特定の目標および利点を本明細書で説明する。当然ながら、必ずしもそのような全ての目標または利点が、任意の特定の実施形態に従って達成される必要はないことを理解されたい。それゆえ、例えば、当業者は、本開示を、本明細書で教示または提案されるように1つの利点または利点群を達成するまたは最適にするように供し得るまたは実施され得るが、必ずしも本明細書で教示または提案されるような他の目標または利点を達成するわけではないことを認識する。これらの実施形態の全ては、本明細書の開示の範囲内にあるものとする。これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照する以下の詳細な説明から当業者に容易に分かり、本開示は、任意の特定の1つまたは複数の開示の実施形態に限定されない。
【0064】
本明細書では、特許明細書、他の外部文書、または他の情報源を参照したが、これは、概して、本発明の特徴を説明する内容を提供するためのものである。他で具体的に示さない限り、そのような外部文書の参照は、いずれの管轄区域においても、そのような文書またはそのような情報源が、従来技術であること、または当業界の共通の一般知識の一部を形成することの自認とはみなされない。
【0065】
本発明のさらなる態様および利点は、例として与えられるにすぎない次の説明から明らかとなる。
【0066】
本明細書および特許請求の範囲では、用語「〜を含む(comprising)」は、「少なくとも一部は〜にある」を意味する。用語「〜を含む」を含む本明細書および特許請求の範囲での各記述を解釈する際、それ以外の特徴またはその用語の付いた特徴も存在する可能性がある。「〜を含む(comprise)」および「〜を含む(comprises)」などの関連語は、同じように解釈される。
【0067】
本発明はまた、本願明細書中および/または発明の個別にまたは集合的な記述中において、参照されるまたは提示された部分、要素および特徴、および任意の2つ以上の前記部分、要素、特徴または発明の記述のいずれかまたは全ての組み合わせにあると広く言うことができ、および本発明が関係する当業界において公知の等価物を有する具体的な整数を本明細書で述べる場合、そのような公知の等価物は、個別に説明される場合には、本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0068】
本発明は、前述のものにあり、かつまた、下記で例として与えるにすぎない構造を予想する。
【0069】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、以下の図面を参照して説明し、これら図面は説明のためのものであり、本開示を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0071】
いくつかの実施形態および例を下記に示すが、当業者には、本開示が、具体的に開示した実施形態および/または使用およびそれらの明らかな修正例および等価物を超えていることが認識される。それゆえ、本明細書で開示した本開示の範囲は、下記で説明する任意の特定の実施形態に限定されないものとする。
【0072】
本明細書で説明されるような様々な特徴は、システムを制御するのを支援し、かつ患者が、所望の条件を有するガスを受け取る可能性を高め得る。本明細書で説明する特徴は、既存の加湿システムにおいて、および/または呼吸気加湿、腹腔鏡検査、および他の目的のための改良型システムにおいて、個別に、または様々な組み合わせおよび副結合で使用できる。
【0073】
加湿システムの概要
図1を参照して説明すると、加湿システム100の例示的な実施形態が示されている。加湿システム100は任意の好適な構成を有し得る。いくつかの例として、一部の適用例では、加湿システム100は、呼吸治療、陽圧装置、非侵襲的換気療法、および腹腔鏡検査を含むがこれに限定されない外科的処置と共に使用できる。望ましくは、加湿システム100は、湿気または水蒸気をガスの供給源に供給するように適合され得る。一部の構成例では、加湿システム100は、パスオーバー(passover)型加湿器、ブローバイ(blow−by)型加湿器、バブルスルー(bubble through)型加湿器(例えば、Wolfe bottle、AquinOx)、ディフューザーベースの加湿器、噴霧器などを含み得る。一部の構成例では、加湿システム100は、所望の実装例に依存して、加熱されてもまたは加熱されなくてもよい。一部の構成例では、加湿システム100にフロー源を統合できる。
【0074】
加湿器
図1を参照して説明すると、図示の加湿システムは、加熱されたパスオーバー型加湿器を含み得る。加湿器は、2012年3月15日出願の米国仮特許出願第61/611331号明細書(この全体が、参照することにより本書に援用される)に記載されているように構成できる。図示の加湿システムは加湿器102を含む。
図2にも示すように、加湿器102は加湿チャンバ104を収容する。一部の構成例では、加湿器102は、加湿チャンバ104を収容するハウジング103を含む。一部の構成例では、ハウジング103は、加湿チャンバ104を越えて上方に延在し得る。一部の構成例では、ハウジング103は、加湿チャンバ104の少なくとも一部分の上部を覆うように延在し得る。一部の構成例では、ハウジング103は、加湿チャンバ104全体を覆い得る。一部の構成例では、ハウジング103は、完全にまたは実質的に完全に加湿チャンバ104を覆い隠す。
【0075】
引き続き
図1を参照して説明すると、加湿器102は加熱板108を含み得る。加熱板108は任意の好適な構成を有し得る。加熱板108は、好ましくは、ほぼ水平な上面109に沿って位置決めされ得る。一部の構成例では、加熱板108は、上面109に対してほぼ同一平面にある、わずかに下方に凹んでいる、またはわずかに上方に位置決めされている。一部の構成例では、固定カラー106が加熱板108の周りに少なくとも部分的に延在している。固定カラー106を使用して、加熱板108上の適所に加湿チャンバ104を固定できる。
【0076】
一部の構成例では、加熱板108は、アクセス可能な上面111を含み得る。換言すると、加熱板108は、好ましくは、加熱板108の上面111がハウジング103の上面109によって隠されないように、露出している。一部の配置例では、加熱板108の少なくとも上面111は保護カバーによって覆われ得る。一部の配置例では、追加的な加熱部品が上方に延在し、追加的な加熱部品が加湿チャンバに追加的に熱伝達をもたらすようにし得る。一部の構成例では、1つ以上のそのような追加的な加熱部品は、概して、チャンバ104の少なくとも垂直方向に延在する部分をスリーブのように取り囲み得る。
【0077】
加熱板108は、任意の好適な加熱素子を含み得る。加熱素子は、例えば、限定するものではないが、加湿器102によって作動され得るかまたは電力供給され得る。加熱板108の加熱素子が作動されるかまたは電力供給されるとき、加熱板108は温度を、例えば、予め決められたまたは設定可能な温度まで上昇させ得る。温度は、設定可能または調整可能とし得るが、好ましくは、加熱板108から加湿チャンバ104への熱伝達を可能するのに十分な高温とし、チャンバ内の液体を十分に加熱し、加湿チャンバ104を通過するガスの流れを加湿し得る。
【0078】
使用時、ガスが液体の上を流れると、加熱ガスの境界層が加湿器チャンバ104内に生じ得る。境界面は、水表面であるとみなすことができ、かつ一般的に、水表面の上を流れるガスの熱および速度プロフィールを指す。温度プロフィールが不変の領域は、熱的に発達した領域すなわち熱確立済み領域と呼ばれ得る一方、上方に熱境界が生じる流れの領域は、熱的に発達している領域すなわち熱確立段階領域と呼ばれ得る。熱伝達係数は、熱境界領域の熱確立段階領域において最大である。これは、境界面(例えば、水)に接触している流体粒子が停止し、かつ一般に、完全な熱確立済み領域中の水の表面温度であるとみなされるためであると考えられている。そのようなものとして、温度プロフィールは、全体的に均一になる。
【0079】
従って、
図2に示す加湿器では、液体表面付近の気体粒子が、抗力(drag)ゆえに表面の上方をよりゆっくりと流れ、液体表面と接触している粒子が停止するため、境界層は、加湿チャンバ104内の液体表面の上面にまたは液体表面に隣接して生じ得る。これにより、境界層への熱損失に起因して液体表面温度がより低くなり得る。それゆえ、蒸発速度が遅くなる。そのような境界層は、液体加熱中の蒸気の生成を抑制する可能性があり、これは、高いガス流量が望まれるときには特に懸念される。一部の実施形態では、そのような境界層の可能性を低下させるのを支援するために、加熱板108および/またはチャンバ104の少なくとも一部は振動し得る。振動は、チャンバ104内の液体を攪乱し、かつ境界層の形成を阻止する。液体が動くことによって、境界層が消散するのを助け、それにより、熱損失を低下させかつ液体の温度を維持するのを助け、それにより、蒸発による加湿ガスの生成量を増やす。一部の実施形態では、ヒーターベース
108は、偏心重りおよび/または好適に構成された圧電素子を備えるモータを含み、チャンバ104内の水を振動させ得る。
【0080】
引き続き
図1を参照して説明すると、加湿システム100は、さらに、電力源110を含み得る。使用時、電力源110は加湿器102に電力を供給し、次に、これにより加熱板108を作動させ、加熱板108を所望の温度まで加熱させる。一部の構成例では、電力源110はハウジング103に組み込まれ得る。一部の構成例では、電力源110はハウジング103に結合され得る。しかしながら、好ましくは、電力源110は、ハウジング103の外部にあり、かつ加湿器102に電気的に接続される。好都合には、別個の電力源110にすることよって、加湿器102をより軽量にすることができ、加湿器102内で生成される熱を減らし、かつ修理を簡単にする。
【0081】
電力源110は加湿器102に電力を提供する。電力源110からの電力は、必要に応じて、加湿器から他の構成要素に提供され得る。一部の実施形態では、電力源110を使用して、複数の別個の装置に電力を供給し得る。電力源110は、例えば、限定するものではないが、変圧器113およびコンセント接続部115を含み得る。電力源110は、スイッチモード電力供給装置とし得る。電力源110は、従来の2ピンまたは3ピン型の電気コネクタによって加湿器102に接続できる。電力源110は、主電源に接続できる。その代わりにまたはそれに加えて、電力源110は、電力貯蔵装置(1つ以上のバッテリーなど)、発電機(1つ以上の太陽電池など)および/またはサージ保護装置などを有し得る。
【0082】
加湿器102は、1つ以上のプロセッサー112および1つ以上の関連のメモリ114を含み、これらは、とりわけ、加熱板108の加熱を制御するのに役立ち得る。
【0083】
加湿チャンバ
加湿チャンバ104は、ある量の液体、例えば水を含むように構成できる。
図2に示す例示的な加湿チャンバは、少なくとも1つの側壁117および少なくとも1つの上壁119を含み得る。
【0084】
チャンバ104の側壁117および上壁119のうちの少なくとも一方の少なくとも一部分130は、透明材、例えばガラス、ポリカーボネートなどを含み、使用者がチャンバ104内の液体量を簡単に見て評価することができるようにする。一部の構成例では、不透明または非半透明の材料を使用して、チャンバ104の部分131を形成してもよい。そのような構成では、好ましくは、透明部分130は窓または他の構造を画成して、液体レベルを示し得る。
【0085】
一部の構成例では、側壁117および上壁119のうちの少なくとも一方の少なくとも一部分129は、チャンバの残りの部分の熱伝導率よりも高いおよび/または好ましくはポリカーボネートの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料から形成できる。好ましくは、部分129は、一般的に通常の運転水位よりも高い領域に形成される。換言すると、一部の構成例では、通常の水位の上方の領域の少なくとも一部分は、通常水と接触している領域と比較して熱伝導率が高い。そのような適用例では、側壁117および上壁119のうちの少なくとも一方の部分129によって、高い熱損失が発生し得る。熱損失によって、ガスを、吸息導管120に流入する前に、冷却できる。これは、同様に、チャンバ104内の水の動作温度を、そうでない場合に可能である温度よりも高くすることができ、それにより、水をより気化させ、かつチャンバ104を通過するガスをより加湿する一方、患者に送達されるガスは、好適な温度に維持できる。
【0086】
チャンバ104は、チャンバ104に液体導管116を接続するための開口部またはポートを含み得る。あるいは、
図1に示すように、液体導管116は、チャンバ104と一体的に形成できるまたはチャンバに永久的に結合できる。使用時、液体導管116は、液体源からチャンバ104へ液体、例えば水を輸送する。チャンバ104および/または液体導管116は、チャンバ104および/または液体導管116内の液体の流れおよび/または量を制限または限定するための、任意の好適な構造を含み得る。
【0087】
一部の構成例では、液体源は水袋とし、および水袋は、例えば導管116によってチャンバ104に接続できる。一部の構成例では、液体源は加湿器102に組み込まれ得る。一部の構成例では、液体源は、水道水や配水本管からの水(mains water)を含み得る。そのような実施形態では、液体源とチャンバ104との間に水フィルタが含まれ、鉱物、汚染物質などがチャンバ104に持ち込まれて、システム100の構成要素の性能に損傷を与えるまたは妨害する可能性を低下させ得る。
【0088】
液体源が加湿器102に組み込まれるか、または液体導管116が加湿器102のハウジング103を通過する構成では、液体は紫外線光に曝して、例えば限定するものではないが、細菌および/または菌・カビ類によって汚染される可能性を低下し得る。一部の構成例では、紫外線光は、例えば、UV−BまたはUV−C光源を含むことができ、これらは、低圧または中圧水銀灯、エキシマーランプ、キセノンおよび他の充填混合物による閃光灯、ガス放電灯、LED(例えば、サファイア基板上で成長された、ピーク発光波長が260nm〜340nmの範囲のAIGaNベースのDUV LED)、レーザ、マイクロ波駆動型ランプまたは任意の他の好適な構成例とし得る。一部の構成例では、拡散または鏡面反射体を使用して、紫外線光源の効果を増幅させ得る一方、加湿器102またはその構成要素を製造するために使用される材料への紫外線光源の影響を低下させる。一部の配置例では、液体を含む部材は、限定するものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、または他の同様のプラスチックなどの任意のタイプの反射性材料、または被覆された、陽極処理されたまたは研磨されたアルミニウム、または316Lステンレス鋼などのステンレス鋼を含む他の高反射性材料で被覆し得る。
【0089】
加湿チャンバ104自体が紫外線光に曝され得る。一部の構成例では、紫外線光源は、チャンバ104自体の内部にあるか、またはチャンバ104に対して露出している加湿器の一部分の内部にある。紫外線光源が液体に曝される構成例では、紫外線光源は、好ましくはスリーブ、例えば、限定するものではないが石英スリーブなどの内部に含まれる。スリーブは、最大動作温度を維持し、かつ液体と接触する可能性を低下させ得る。スリーブは、チャンバまたは液溜め内に位置決めし得る。紫外線光源がUV−C放射線を生成する場合、紫外線光源は、好ましくは、非常に小さい領域(例えば、約200〜280ナノメートル)に曝されて、波長を最大限生かすようにする。そのような適用例では、紫外線光源は、好ましくは、液体が通過するスリーブに向けられる。これは、スリーブが導管116を中断するか、それに隣接するか、またはそれを包むかに関わらない。一部の構成例では、導管116を使用して、液体を、紫外領域を複数回通過するように方向付け得る。一部の実施形態では、紫外線光の少なくとも一部がシステム100から逃げるのを阻止するように遮蔽材が設けられ、それにより、患者および/または操作者が紫外線に曝される危険性を低下させ得る。
【0090】
加湿チャンバ104の面121の少なくとも一部分は、熱伝導性材料で形成され得る。一部の構成例では、面121は壁面とし得る。一部の構成例では、面121は、非底面とし得る。一部の構成例では、面121は底面とし得る。一部の構成例では、面121は、例えば、限定するものではないが、底面の少なくとも一部分および側面に広がり得る。加湿チャンバ104が加湿器102に設置されるとき、加湿チャンバ104は加湿器102に取り外し可能に取り付け可能であるため、チャンバ104の熱伝導面(例えば底面121)は、加熱板108の上面に接触する。使用時、面121の熱伝導性材料は、加熱板108からチャンバ104の内容物に熱を伝える。
【0091】
一部の適用例では、面121は、熱伝導性金属、例えばアルミニウムで形成できる。好ましくは、材料は、十分に強固であり、かつ容易に加工でき、単純な製造プロセスを可能にする。一部の適用例では、底面121の少なくとも一部分は、曲げやすいすなわち柔軟性の金属箔、例えばアルミニウム箔で形成できる。一部の実施形態では、加熱板108は、加熱板108と底面121との間に気泡が形成される危険性を低下させるように適合された1つ以上の孔135を含み得る。一部の適用例では、チャンバ104の底部121の少なくとも一部分は、プラスチック材料で形成できる。一部の構成例では、熱伝導性インサート(好ましくは金属)137が、面121を通って加湿チャンバ104まで延在し得る。加湿チャンバ104内の液体がインサート137を取り囲み、およびインサート137は、加熱板108からの熱を液体へ伝えることができる。
【0092】
一部の実施形態では、チャンバ104の面121の少なくとも一部分は、熱伝導性のプラスチック材料から形成できる。例えば、限定するものではないが、面121は、少なくとも一部分が、熱伝導性の充填材を含む材料から形成され得る。例えば、そのような材料は、以下のリストから選択される1つまたは複数の補強充填材を含み得る:銅、ミルドガラスファイバー、炭化ケイ素粒子、連続炭素繊維、不連続炭素繊維、および以下のリストから選択されるマトリクス:銅、タングステン、ポリマー、Al/SiC、アルミニウムおよび炭素。一部の適用例では、使用される材料の厚さ方向(through−thickness)熱伝導率は、約40W/m.K〜約400W/m.Kである。一部の適用例では、使用される材料の厚さ方向熱伝導率は、約120W/m.K〜約290W/m.Kである。適切なプラスチック材料の使用は、好都合には、製造コストを削減し、底部を成形する能力ゆえに製造可能性を高め、かつチャンバ104の重量を削減し得る。
【0093】
チャンバ104は、ガスがチャンバ104に流入および/またはそこから流出できるようにする1つ以上のポート118(118a、118b)を含み得る。ポート118は、上壁119から外側に突出し得る。一部の構成例では、ポート118は、側壁117および上壁119の一方または双方から外側に突出し得る。一部の構成例では、ポート118の1つ以上が、必ずしも上方に突出することなく、チャンバ104への開口部によって画成され得る。
図1に示す実施形態は、上方に延出する出口ポート118bと、上方に延出する入口ポート118aとを含み、双方とも、チャンバ104の上壁119に配置されている。
【0094】
回路アセンブリ
回路アセンブリ123はポート118に接続され得る。任意の好適な回路アセンブリ123を使用し得る。一部の実施形態では、回路アセンブリ123は吸息導管120を含み、この吸息導管120は、チャンバ104の出口ポート118bに結合され、かつそれと流体連通し得る。人工呼吸器などの加圧ガス源125と共に使用されるものなどの一部の実施形態では、呼息導管122が、ガス源125に結合され、かつそれと流体連通し得る。チャンバ104の出口ポート118bに対向する吸息導管120の端部と、ガス源125に対向する呼息導管122の端部とは、Yピース124によって互いに接続することができ、このYピースは、カテーテルマウントなどの患者供給導管126に結合し得る。Yピース124に対向する患者供給導管126の端部はインターフェース128に結合でき、これにより、患者が、吸息導管120および患者供給導管126を経由して加湿チャンバ104からのガスを吸入し、かつ患者供給導管126および呼息導管122を経由してガスを呼気することができるようにする。インターフェースは、任意の好適なものを使用し得る。例えば、限定するものではないが、インターフェース128は、鼻カニューレ、マスク、気管内チューブ、気管チューブ、または任意の他の好適なインターフェースとし得る。一部の実施形態では、呼息導管122およびYピース124を省略し、および吸息導管120をインターフェース128に接続できる。
【0095】
一部の実施形態では、例えば
図1に示すように、回路アセンブリ123は、ガス源125(例えば、人工呼吸器、ブロワなど)とチャンバ104の入口ポート118aとに結合された供給導管132を含み得る。一部の構成例では、回路アセンブリは、チャンバ104の出口ポート118bとインターフェース128とに結合された吸息導管120を含み得る。一部の実施形態では、例えば
図1に示すように、回路アセンブリ123は、さらに、インターフェース128とガス供給源125とに結合された呼息導管122を含み得る。吸息導管120および呼息導管122は、Yピース124を、および、一部の構成例では、患者導管126を介して、インターフェース128に結合され得る。
【0096】
好ましくは、吸息導管120、呼息導管122、Yピース124、患者供給導管126および供給導管132の1つ以上は、任意の好適な方法で加熱され得る。場合によっては、これらの構成要素の1つ以上はヒーター線を備え、ヒーター線は、構成要素の長さのある程度の部分に沿って延在し得る。例えば、1本のヒーター線または複数のヒーター線は、導管によって画成されたルーメン内をまたはその外側を長手方向に延在でき、または1本のヒーター線または複数のヒーター線は、ルーメン内をまたはその外側をらせん状に延在できる。1本のヒーター線または複数のヒーター線の少なくとも一方の端部は加湿器102に接続でき、加湿器102が、1本のヒーター線または複数のヒーター線に電力を供給できるようにする。一部の配置例では、1本のヒーター線または複数のヒーター線に供給された電力は、加湿器のプロセッサー112によって扱われ得る。好ましくは、ヒーター線は、関連の導管または他の構成要素が加湿器に接続されるときに、加湿器に接続される。例えば、空気圧接続が確立されると、電気的接続を確立できる。一層好ましくは、空気圧接続が確立され得る前に電気的接続を確立する必要がある。一部の実施形態では、電気的接続が確立され得る前に空気圧接続を確立する必要がある。どちらの場合も、ガス流中のスパークの危険性を低下させ得る。
【0097】
導管の特徴
単一チューブ導管
一部の実施形態では、回路アセンブリ123の構成要素の1つ以上を、例えば、それらの長さに沿って長手方向にまたはらせん状に設けられたヒーター線138によって加熱できる。ヒーター線138は、回路アセンブリ123を通過するガスを所望の温度および/または湿度に維持するのを助け、かつレインアウト(rain out)の可能性を低下させるまたはなくすのを助け得る。ヒーター線138は、加湿器102によって電力供給できる。そのような実施形態では、吸息導管120および呼息導管122は、それぞれ、導管のYピース124の端部における電気的接続を必要とし、そのために、製造コストが増大し、かつシステム100に故障の原因が加わることなり得る。あるいは、一部の実施形態では、
図3A〜3Cに示すように、吸息導管120および呼息導管122は、最初は一体形に形成される。次いで、複合導管を、ヒーター線138が切断されないように構成部分(すなわち、吸息導管120および呼息導管122)に切り分け得る。それゆえ、単一のヒーター線138が、吸息導管120および呼息導管122の双方の全長に沿って途切れずに延びる。その後、吸息導管120および呼息導管122の切断端部にYピース124のアームを挿入して、接着剤、締り嵌め、または任意の他の適切な構成要素またはアセンブリを用いて適所に保持し得る。一部の実施形態では、吸息導管120と呼息導管122とを接続するピボット点121を、製造プロセスの最中に一時的に、または永久的に強化して、複合導管が切断される危険性を低下させ得る。
【0098】
同軸導管
一部の実施形態では、例えば
図4Aおよび
図4Bに示すように、吸息導管120、呼息導管122、患者導管126、および/または乾燥導管132の1つ以上を、同軸導管160とし得る。同軸導管160は、外側導管162および内側導管164を含むことができ、それらの間には中間空間166が存在する。流体、例えば絶縁性流動体が中間空間166を循環し得る。使用時、患者によって吸入されたおよび/または呼気されたガスは、内側導管164内をおよび/または中間空間166を移動できる。
【0099】
中間空間166はまた、1本以上のヒーター線138を含み得る。1本または複数本のヒーター線138は、らせん状に巻かれる(
図4Aに示すように)、または導管の長さに沿って長手方向に延び得る(
図4Bに示すように)。ヒーター線138は、中間空間166の流体を予め決められた温度にまたは予め決められた温度範囲内に維持できる。ヒーター線138は同様に、またはその代わりに、流体が中間空間166を循環することなく、内側導管164および/または外側導管162を、予め決められた温度にまたは予め決められた温度範囲内に維持するように構成できる。そのような構成では、ヒーター線138を、所望の温度制御を達成するのに適切なように、内側導管164または外側導管162に当接できる。
【0100】
中間空間166および/または内側導管164での凝縮物の形成を低下させるのを助けるために、内側導管164および外側導管162の一方または双方は、少なくとも部分的に、実質的に通気性のある材料、例えば通気性ポリマーで作製できる。通気性材料は、内側導管164、中間空間166、および/または外部環境の湿度を等しくするのを助け得る。これにより、ヒーター線138が湿度を管理する必要性を低下させるため、ヒーター線138がより効果的に動作するのを助けることができる。
【0101】
導管のコンプライアンスの低下
伝統的な加湿システムでは、回路アセンブリ123の様々な導管が、曲げやすいすなわち可撓性の構造を有し、それにより、必要に応じて、導管を自由に位置決めし、かつ曲げることができるようにする。しかしながら、この可撓性構造は、加圧時の回路アセンブリ123におけるコンプライアンスを大きくし得る。呼吸回路設計(例えば導管設計)との関連では、「コンプライアンス」は、体積変化対圧力変化の比率であると定義され、および「スティフネス」または「剛性」に類似している。
【0102】
一部の構成例では、
図1の構成を含め、呼吸回路は、人工呼吸器と組み合わせて使用される。換気療法では、取り組むべき主要な懸案事項は、送達された一回換気量の「損失」を最小限にしながら、吸息の最中に所望の気道圧を維持することである。この状況において、「一回換気量」は、吸息流と呼息流とで置換される空気の量である。
【0103】
十分に高い圧力のガス流を仮定すると、導管は膨張して、実際に患者に送達されるガスの圧力を低下させ得る。これは、高頻度換気法を使用するときに特に懸念される。高頻度換気法では、適切なガス流を維持するためには、導管内の圧力を十分に高くする必要がする。例えば、いくつかの新生児の示すところによれば、システム100は、約5Hzの吸入−呼気サイクルで動作し得る。高圧下では、導管の体積は、静止状態の導管体積の約120%まで増え得る。さらに、高頻度換気法は、一般に、比較的少ない一回換気量を送達するために使用されるため、圧縮性体積の減少量が小さくても、送達される一回換気量における縮小率は比較的大きくなり得る。
【0104】
高頻度換気法の最中、回路の共鳴が発生し得る。つまり、患者に到達するのではなく、チューブによって貯蔵されるおよび/または吸収されるエネルギーの割合が増え、それにより、送達される容積の減少を引き起こし得るか、または実際の気道圧の望ましくない変動を引き起こし得る。送達される一回換気量の「損失」を最小限にするまたは低下させる一方で、所望の気道圧を維持することに関与する設計パラメータは、コンプライアンス、圧縮性体積および流れ抵抗であり、これらは全て相互に関係する。
【0105】
任意の所与の導管内の流れ抵抗は、導管の直径および長さと組み合わせて、導管壁のプロフィールならびに表面粗さによる影響を受け得る。これらのパラメータは、導管の圧縮性体積に影響を及ぼす。導管壁に選択された材料特性およびプロフィール、ならびに対応する壁の厚さは、導管コンプライアンスに影響を及ぼす。換言すると、所与の圧縮性体積に関して、コンプライアンスは、圧縮性体積を変化させることなく、導管壁の特性を修正することによって、高くもまたは低くもなり得る。同様に、圧縮性体積が大きい導管はまた、圧縮性体積が小さい同様の導管よりも高いコンプライアンスを有する。
【0106】
圧縮性体積は、導管を単に短くする一方、同じ導管の構造および直径を維持することによって、小さくし得る。しかしながら、多くの人工呼吸器の適用では、長さは重視すべき事柄であり、それゆえ、単に長さを短くすることは、実行可能な選択肢ではないことが多い。
【0107】
導管の長さを単に短くすることの代替例として、
図5Aに示すように、内部に内側チューブ172が同軸に配置されている導管170を、回路アセンブリ123の導管のいずれかまたは全てに使用できる。内側チューブ172は、有底チューブとすることができ、および導管170の曲げを大幅に抑止しないように、十分に可撓性があり得る。一部の実施形態では、内側チューブ172は、導管170と実質的に同じ構造で、より直径が小さいとし得る。
【0108】
使用時、回路アセンブリ123を移動するガスは、導管170と内側チューブ172との間の中間空間174を通過する。導管170の体積部の一部分は内側チューブ172によって占有されるため、導管170の体積は、高周波流れの最中でも、静止状態の導管170単独の体積の約100%とし得る。換言すると、非輸送用内側チューブを含むことによって生じた体積減少は、導管内のコンプライアンスを効果的に低下させる。一部の実施形態では、導管170内に内側チューブ172を含めることによって、導管170の体積を、導管170単独の体積の約60%まで、さらに減少させることができる。体積は、内側チューブ172のサイズによって変動し、それゆえ、そのサイズを変化させることによって選択できる。一部の適用例では、内側チューブ172を使用して、導管170によって貯蔵されるおよび/または吸収されるエネルギーの割合を低下させ得る。
図5Bを参照して説明すると、内側チューブ172は、複数の半径方向支持構造176によって外側導管170に結合され得る。図示の構成例では、流れは内側チューブ172を通って輸送される一方、外側導管170は停滞空気などで充填され得る。内側チューブ172と外側導管170との間に延在する構造176は、ばねのような特徴または構造とし得る。支持構造176は、同軸のチューブ172と導管170の中心軸に沿って分布配置され得る。支持構造176の効果的なばね定数は、例えば、内側チューブ172内の圧力の変化に起因する導管170内の内側チューブ172の振動を減衰させるように調整できる。チューブの長さに沿った密度は、所望の減衰に従って決定できる。一部の構成例では、半径方向に延在するばねのような構造176を使用するのではなく、内側チューブ172の外表面に、半径方向にチューブなどを位置決めできる。一部の構成例では、ばねのような構造、チューブなどの代わりか、またはそれらの構造に加えてのいずれかとして、内側チューブ172の端部を、スパイン(spine)のような構造を用いて両端部で固着できる。そのような構成は、内側チューブ172を所望のレベルまでプレテンションできるようにし、それにより、導管のコンプライアンスを、任意の特定の人工呼吸器のパラメータに合うように、適合できるようにする。
【0109】
内側チューブ172が流れを運ぶ一部の構成例では、内側チューブ172と外側導管170との間の空間174は、例えば、限定するものではないが、一方の端部において封止でき、かつ他方の端部において加圧できる。換言すると、空間174は封止され、かつ加圧され得る。一部の構成例では、圧力は、所望の性能特性に合うように調整できる。空間174内の加圧ガスは、内側チューブ172の寸法の変化を制限することによって、内側チューブ172のコンプライアンスを低下させ得る。そうでなければ、コンプライアンスの低下が、例えば換気の最中に内側チューブ172内の圧力が高くなると、生じ得る。
【0110】
一部の実施形態では、空間174を加圧空気またはガスで充填するのではなく、中間空間174は、非ニュートン性流体で充填または部分的に充填され得る。ニュートン性流体は、グラフで表すときに、応力対歪みの曲線が全体的に線形であり、かつ原点を通過する流体である。それゆえ、曲線の傾きは一定であり、これは、ニュートン性流体の流体粘度と定義できる。非ニュートン性流体は、せん断応力とせん断率との関係が非線形であり、および時間依存性の可能性もあるものである。それゆえ、非ニュートン性流体は、一定の粘性係数を定義できない流体と定義できる。空間174内に配置されているそのような流体の効果は、非線形である。中間空間174に非ニュートン性流体を含めることによって、内側チューブ172内の様々なガス圧の存在下での内側チューブ172の剛性が明らかに高いことにゆえに、導管170のコンプライアンスを低下させるのを助け得る。それゆえ、非ニュートン性流体は、内側チューブ172内の圧力変化に応答して、内側チューブ172の物理的な振動を減衰し得る。
【0111】
一部の実施形態では、導管170は、繊維性材料で作製できるかまたはそれを含むことができ、および中間空間174は、加圧流体、例えば、送達中のガスで充填または部分的に充填され、流体静力学的骨格と同様の構造を形成し得る。一部の実施形態では、導管170は、繊維性材料で作製できるかまたはそれを含むことができる。繊維性材料の繊維は、導管170またはチューブ172の長手方向軸の周りに形成された、交差らせん編成(interwoven crossed helices)として配置できる。この配置は、導管170またはチューブ172の曲げまたは収縮を可能にし得る。あるいは、繊維性材料は、互いに垂直方向に向けられた2層の繊維を含むことができ、外層は、導管170またはチューブ172の長手方向軸と位置合わせされている。そのような構成を、加圧された非ニュートン性流体と共に使用できる。この配置は、導管170またはチューブ172の拡張および収縮に抵抗でき、それにより、コンプライアンスを低下させ、かつ、加圧流体と組み合わせて、ガス経路での圧力振動に起因する導管170またはチューブ172の物理的かく乱を減衰できる。
【0112】
代替的な湿度測定
本明細書で説明するように、システム100の特定の構成要素内、例えば、回路アセンブリ123内のガスの湿度を測定して、湿度が、患者の治療に最適であると予測される範囲またはその目標範囲内にあることを保証することが有益であることが多い。測定された湿度レベルおよびその分析に基づいて、プロセッサー112は、システム100のパラメータを調整して、目標送達湿度、例えば、温度37℃において100%の相対湿度を達成する。例えば、プロセッサー112は、加熱板108および/または1本または複数本のヒーター線138の温度を調整し得る。
【0113】
一部の従来技術の加湿システムは、湿度を測定するために、従来の独立型の湿度センサーを含む。しかしながら、従来の独立型の湿度センサーは、嵩張り、壊れやすく、および/または高価なことがある。さらに、加湿チャンバから通じる導管や、相対湿度が0%または100%に近いなど、高湿度環境に発生し得る結露がセンサーにあると、湿度センサーの測定は不正確となることがあったり、または湿度センサーが完全には機能しなかったりする。
【0114】
従来の湿度センサーの代替例として、湿度は、他の測定値に基づいて決定できる。一部の実施形態では、例えば
図6に示すように、導管180は、加熱されたビードすなわちホットビード182を含み、ビードは、導管180を通るガスの流路に位置決めされる。ホットビード182は、加湿器102への電気的接続を介して電力供給され、ホットビード182を予め決められた温度、例えば、約80℃に維持し得る。一部の実施形態では、ホットビード182の熱出力は、導管180を通過するガスの量と比較すると比較的小さく、ホットビード182によるガスの著しい加熱を回避するまたは制限する。
【0115】
使用時、例えば、電力計によってホットビード182の電力使用量を監視する。この電力計は、ホットビード182の比較的近くにあるか、または、例えば、ホットビード182の電力源など、ホットビード182から離れた場所にあるかのいずれかである。導管180内のガスが停滞している場合、ホットビード182の電力使用量は実質的に一定である。しかしながら、ガスがホットビード182を流れ過ぎる場合、ガス流がホットビード182から熱を運び去るため、ホットビード182は冷え始める。そのため、ホットビード182を予め決められた温度に維持するためには追加的な電力供給が必要となり、ホットビード182による電力使用量が増大する。それゆえ、ガス流が多いことは、電力使用量の増大に相関する。電力使用量はまた、ガスの温度および湿度に関係する。低温のガスは、高温のガスよりも速い速度でホットビード182を冷却する傾向を有する。それゆえ、ガスの温度が低下するにつれて、電力使用量は増大する。より高い湿度のガスは、加熱するためにより大量のエネルギーを必要とする傾向を有し、それにより、より大きな冷却効果をもたらすため、湿度が増すにつれて、電力使用量は増大する。
【0116】
これらの関係性に基づいて、電力損、ガスの流量、ガスの温度、およびガスの湿度のうちの3つの変数の測定値が分かっている場合、残りの1つを計算することが可能である。これは、独立型の湿度センサーを必要とすることなく、流量、温度、および電力損に基づいて湿度を計算できるようにする。そのためには、導管180はまた、温度センサー184および流れセンサー186を含み得る。温度センサー184は、ホットビード182の上流に配置されて、温度を測定する前にホットビード182によりガスを加熱することを回避するまたは最小限にするのを助け得る。一部の実施形態では、温度センサー184とホットビード182とを分離するのは小さな空間にすぎない。なぜなら、空間が大きすぎると、ホットビード182に到達する前にガスの温度を変化させてしまい得るためである;例えば、ガスは、導管180の長さが長すぎる場合には、長さ部分に沿って顕著に冷えることがある。同時に、温度センサー184とホットビード182との間の空間が小さすぎる場合、ホットビード182は、温度センサー184における温度測定値をつり上げる。温度センサー184とホットビード182との間の間隔に対して適切な距離は、少なくとも一部にはホットビード182の熱出力およびガスの温度プロフィールに依存して、当業者が決定できる。流れセンサー186は、ホットビード182の近くに配置されて、ホットビード182を通過するガスの流れを正確に測定し得る。一部の実施形態では、ホットビード182はチャンバ出口に配置され得る。流れセンサー186はチャンバ入口に配置され得る。
【0117】
一部の実施形態では、加湿チャンバへの入口に2つのサーミスタプローブを位置決めでき、および加湿チャンバからの出口に1つまたは2つのサーミスタプローブを位置決めできる。これら3つまたは4つのプローブの各々は、ガスの温度を測定するために使用でき、かつまた、対流熱損失を測定するために特定の温度に加熱することができる。これら3つまたは4つのプローブを複数のモードで駆動できる能力により、信号対雑音比高めるために様々な信号処理技術を実施する、かつまたガスの他の特性を測定する可能性を考慮に入れる。例えば、3つまたは4つのプローブを使用することによって、加湿チャンバ104を通過するガスに加えられた湿度を決定できる。
【0118】
湿度の高い空気は、加熱されたサーミスタの熱放散を高めることが分かっている。追加的な水蒸気が密度、粘度を変化させ、さらに重要なことには、熱伝導率は対流熱損失を増大させる。37℃および1気圧での乾燥空気と飽和空気との差は、流量測定値に約12%のずれをもたらす。このシフトは、
図12のグラフから分かる。
【0119】
一般的に、チャンバの入口側での流量測定値におけるずれは、望ましくない。しかしながら、加熱されたプローブをチャンバの出口ポートおよび入口ポートの双方に配置することによって、チャンバ内でピックアップされた湿気の量を測定できる。一部の構成例では、この測定値を使用して、水の流出を検出できる。一部の構成例では、(1)チャンバ入口側の流量測定値は湿度とは無関係である、または(2)チャンバの入口ポートに存在する湿気の量が分かっている(例えば、入口ポートにあるまたはその近くにある湿度センサーの使用)のいずれかである。一部の実施形態では、例えば、温度センサー184および流れセンサー186はプロセッサー112に温度測定値および流れ測定値を提供するため、プロセッサーは、式、ルックアップテーブルなどを使用してガスの湿度を決定できる。その後、決定された湿度を使用して、システム100の1つ以上の他の構成要素、例えば、加熱板108の温度を制御し得る。一部の実施形態では、ホットビード182、温度センサー184、および流れセンサー186は、回路アセンブリ123以外のシステム100の構成要素に配置され、システム100の他の箇所の湿度を決定できるようにし得る。さらに、一部の実施形態では、湿度センサーは、ホットビード182、温度センサー184、または流れセンサー186に代わって、電力損、温度、または流れを決定できるようにし得る。これは、電力、温度、または流れセンサーが利用できないとき、またはそれらをシステム100に含ませることができないときに、有用とし得る。
【0120】
センサー
一部の環境では、加湿システム100を最適に機能させることは、さらに難しいとし得る。場合によっては、回路アセンブリ123の複数の部分が、2つ以上の異なる温度環境にあることがあり、および温度差によって、加湿ガスを、回路アセンブリ123の低温セクション内でおよび/または高温セクションが低温セクションに接する境界セクションにおいて、凝縮させ得る。これらの状況では、ならびに回路アセンブリ123全体が概して実質的に同じ環境にある、より典型的な状況では、回路アセンブリ123に沿った様々な点で、回路アセンブリ123の温度および回路アセンブリ123の周囲の気温を監視することを有益とし得る。
図7Aに示すように、1つ以上の温度センサー340を、導管の外表面の周りに配置し得る。
図7Bに示すように、温度センサー340は、導管の長さまたはその一部分に沿って実質的に一直線に配置され得る。他の配置も可能である。一部の実施形態では、
図7Cに示すように、センサー340の1つ以上を、導管からセンサー340を分離させる離間部片342を介して導管に結合できる。場合によっては、これにより、好都合にも、気温をより正確に測定し得る。
【0121】
本明細書で説明した温度センサー340および/または他のセンサーは、別個の物理的な装置として設けられ得る。しかしながら、一部の実施形態では、1つ以上のセンサーをチャンバ104に、または回路アセンブリ123の一部に印刷により設けることができる。一部の実施形態では、例えば米国特許第6,406,181号明細書(その全体が、参照することにより本書に援用される)に説明されているように、センサーは、インクジェット印刷によって印刷される。他の方法も可能である。被印刷温度センサーは、所望の表面上に導体材料のパターンを印刷することによって、形成できる。一部の実施形態では、半導体(例えばシリコン)または有機材料を印刷できる。使用時にその表面温度が変化する場合、導体材料の抵抗に、対応する変化が引き起こされる。抵抗を測定することによって、プロセッサー112は温度を決定できる。
【0122】
複数の別個の温度センサー340の代わりにまたはそれらに加えて、回路アセンブリ123またはその一部分は、
図7Dに示すように導管の外側に、または
図7Eに示すように導管内に光ファイバーケーブル344を含むことができる。ラマン散乱などの光ファイバーケーブルのいくつかの特性は、ケーブルの温度に依存する。そのような特性を測定しかつ処理することによって、プロセッサー112は、ケーブル344に沿った温度プロフィールを決定できる。そのような特性を測定するためにケーブル344に沿って光パルスを送信して、監視手段がパルスの後方反射を監視する。その後、監視手段および/またはプロセッサー112は、ケーブル344に沿った温度プロフィールを決定し、それにより、隣接する導管の温度を示し得る。一部の実施形態では、ケーブル344は、導管と同時に製造でき、好ましくは押し出され得る。
【0123】
回路アセンブリ123の導管の温度はまた、超音波反射などの音響反射によって決定できる。
図7Fに示すように、導管内にプレート346を配置する。プレート346、例えば、プレート346を含む材料は、温度に依存してプレート346のサイズまたは別の特性が変化するように、選択される。一部の実施形態では、プレートは、一方の端部では固定され、かつ他方の端部で自由に拡張できる。プレートは、温度によって直径が変化するリング形状とし得る。波発生器348が超音波を発生し、超音波は、導管の内部を波受信器350まで移動する。波受信器は、マイクロフォン、圧電素子などを含み得る。波が導管を通って移動するとき、プレート346が波に干渉して、受信機350によって受信される信号に影響を及ぼす。その後、波受信器350は信号をプロセッサー112に送信し、プロセッサーは波を解釈して、プレート346の特性、それゆえプレート346の温度を決定し得る。プレート346の温度は導管の温度に密接に関係する。一部の実施形態では、波発生器348および波受信器350は、一緒に位置決めできる、または単一の装置に組み込むこともできる。そのような実施形態では、プロセッサー112は、受信機350によって受信された波の反射部分を示す信号を解釈できる。一部の実施形態では、波発生器348は超音波パルスを発生し、超音波パルスの反射を波受信器350が監視する。ガスを通って移動する音の速度は、温度に依存して変化するため、波が波発生器348と波受信器350との間を移動するのに費やす時間に基づいて温度を計算することが可能である。さらに、チューブの温度に依存して(すなわち、ガスの温度を厳密に反映して)、コルゲーションはそれらの分離距離を変化させる傾向を有するため、測定されたコルゲーション分離を参照コルゲーション分離と比較することによって、ガスの温度を計算することが可能である。これらの方法の任意の組み合わせを使用できることに留意されたい。
【0124】
一部の実施形態では、システム100の複数の構成要素は、表面上に導体材料のパターンを印刷することによって形成された1つ以上の水位センサーを含み得る。水が材料と接触すると、材料の表面静電容量が増大する。その代わりにまたはそれに加えて、表面、例えばハッチブラケットは、長さの異なる複数の導電性トラックを含み得る。最長のトラックに電力が印加され、他のトラックで電圧、抵抗、および/または電流を測定する。測定値が一定の閾値を超える場合、プロセッサー112は、液体が一定レベルで存在することを推測し得る。プロセッサーは、同様に、より高い静電容量はより高い湿度を示すため、静電容量を測定することによって空気の湿度を決定し得る。一部の実施形態では、システム100の複数の構成要素は、表面上のヒーター配置の形態でドラフト(draught)センサーを含み得る。ヒーター配置の電力損を監視でき、およびプロセッサー112はこの電力損を使用して、周囲空気の流れを、すなわち、通風があるかどうかおよびどの程度の通風があるかどうかを決定できる。
【0125】
患者側センサー
一般に、加湿システム、例えば本明細書で説明するシステム100は、体温が正常範囲内(例えば約35℃〜約39℃)の患者に使用するように適合されている。しかしながら、場合によっては、そのようなシステム100を、低体温または高体温の患者に対して、またはそうでなければ患者の核心温度すなわち深部体温および/または皮膚温を変化させることが望ましい場合に使用する必要があるまたはそれが望まれることがある。それゆえ、一部の実施形態では、システム100は、例えば患者の皮膚など、患者に、患者に隣接して、または患者の付近に配置された温度センサーを含み、患者の皮膚温および/または核心温度を測定し得る。
【0126】
使用時、患者の皮膚温が、第1の予め決められたレベル、例えば約35℃を下回る場合、システム100の動作パラメータは、回路アセンブリ123の患者側のガスの温度を対応して低下させるように調整できる。患者の皮膚が、第2の予め決められたレベル、例えば約39℃を上回る場合、これに対応して、システム100の動作パラメータを、回路アセンブリ123の患者側のガスの温度を上昇させるように調整できる。そのようなガス温度の調整によって、患者の気道に入ると大きな温度変化が発生する場合に患者の気道に凝縮物が形成される危険性を回避するまたは低下させるのを助け得る。患者体温センサーは、プロセッサー112にデータを提供でき、プロセッサーは、その後、動作パラメータ、例えば、加熱板108の温度、チャンバ104内の液体232の体積などを自動的に調整する。一部の実施形態では、プロセッサー112は、加湿器102のディスプレイに患者の体温を表示するため、使用者は、患者の病歴および状態に関する任意の他の関連知識を考えて、動作パラメータを手動で調整するかどうかを決定できる。一部の実施形態では、患者体温センサー自体が、例えば、数値表示、グラフ表示、色表示などによって、温度を表示し得る。その後、使用者は、同様に、いずれかの動作パラメータを調整するかどうか、およびどのように調整するかを決定できる。
【0127】
変色指示体
使用時、様々なセンサーからのデータをプロセッサー112に提供でき、プロセッサーは、センサーのデータを使用して、加熱板108の温度を変化させることにより、所望の通りにまたは必要に応じて、システム100を流れるガスの温度および/または湿度を調整できる。システム100は、1つ以上の構成要素の過熱などの危険な状況を阻止するために、様々な安全機構および/またはプロセスを含み得るが、使用者、患者、および/または電子機器、フィードバックシステムなどが、システム100内の空気の温度、湿度、および/または他の条件を監視し得る。一部の実施形態では、加湿器102はディスプレイ152を含み得る。プロセッサー112は、ディスプレイが1つ以上のセンサーの位置におけるガスの温度や湿度を示すように、構成できる。しかしながら、加湿器102にディスプレイを含めることによって、システム100はり嵩張り、壊れやすくなり、および/または高価になり得る。
【0128】
ディスプレイの代替例として、システム100の1つ以上の構成要素は、温度または湿度指示体、例えば、様々な温度および/または湿度に依存して色が変化する材料セクションを含み得る。そのような材料の例は、米国特許出願公開第2009/0266145号明細書に説明されており、その全体が、参照することにより本書に援用される。使用時、ガスが、温度または湿度指示体を通過して移動するとき、指示体の温度または湿度は、ガスの温度または湿度に近づく傾向を有する。例えば、一実施形態では、指示体は、指示体が第1の予め決められた温度を下回るとき、または第1の予め決められた範囲内の温度にあるとき、第1の色、例えば緑を示し、および指示体の温度が第2の予め決められた温度を超えるとき、または第2の予め決められた範囲内の温度にあるとき、第2の色、例えば赤を示す。ガスの温度または湿度の変化と指示体の温度または湿度の変化との間には、ある程度の遅れがあり得る。しかしながら、ガスの温度および湿度は一般に急速には変化しないため、指示体の遅れの潜在的な欠点は、指示体の利点に勝らない。
【0129】
一部の実施形態では、任意の1つ以上の構成要素は、部分的にまたは全体的に指示体材料で作製され得る。例えば、Yピース124は指示体材料製とし得る。そのような実施形態では、例えば十分な剛性、耐湿性などを有する一方、変色指示体の機能を果たすなど、構成要素の機能に好適なように特定の材料を選択する。あるいは、指示体材料は、既存のまたは従来の構成要素を覆い得るかまたはその上にオーバーモールディングし得る。これにより、1つまたは複数の指示体材料の選択の柔軟性を大きくし得る。なぜなら、指示体材料は、必ずしも、構成要素の機能に好適である必要はないためである。そのような実施形態では、主構成要素は、少なくとも部分的に、十分に熱伝導性を有する材料で作製され、ガスからの熱を、構成要素を通して指示体材料まで伝えることができるようにする。別の実施形態では、構成要素は、指示体材料の窓を含み得る、すなわち、構成要素の一部分が除去されて、指示体材料のセクションで置き換えられ得る。そのような実施形態では、構成要素は、熱伝導性材料製とする必要はない。一部の実施形態では、システム100は、指示体材料の複数の領域を含む。
【0130】
一部の実施形態では、1つ以上の変色領域を監視する位置にカメラなどが設けられ得る。カメラは、1つ以上の部分情報、水位、流量、湿度、温度、圧力、および/またはガス含有量、特に酸素含有量を監視し得る。
【0131】
導管からの凝縮物の除去
様々な設計特性を使用して回路アセンブリ123内の温度を制御するのを助け、凝縮物を減らすことができるが、凝縮物は、いくつかの状況では避けられない可能性がある。凝縮物が、回路アセンブリ123の物理的に低い箇所の領域に蓄積し、患者に流れるおよび/または回路アセンブリ123を塞ぐ危険性がある。一部の実施形態では、システム100は、回路アセンブリ123に沿って1つ以上の点に接続された導管を有するポンプを含み得る。ポンプは、システム100の一体部分とし得る。使用時、ポンプは、回路アセンブリ123の導管から凝縮物を除去するのを助ける。一実施形態では、ポンプは、インターフェース128に近接して患者導管126に接続されて、凝縮物が患者に到達する前に、患者導管126から凝縮物を除去し得る。一部の実施形態では、ポンプは、回路アセンブリ123内の物理的に低い点に接続されて、そこに蓄積し得る凝縮物の除去を助け得る。ポンプは、加湿チャンバ104または別個の溜め部に接続されて、そこに、収集された凝縮物を堆積させ得る。
【0132】
加湿チャンバの特徴
可変チャンバ圧縮性体積
加湿チャンバ104は、一般的に、
図8に示すように、空洞230を取り囲む外壁を含む。チャンバ104の壁は、一般に剛性であり、空洞230の総体積を固定する。空洞230は、ある量の液体232、多くの場合水を入れるように構成されている。チャンバ104は、液体導管116をチャンバ104に接続するためのチャンバ入口248を含み得る。あるいは、液体導管116は、チャンバ入口248および/またはチャンバ104に一体的に形成され得るか、または永久的に結合され得る。液体導管116は、液体源246からチャンバ104へ液体、例えば水を運ぶ。使用時、液体232は、空洞230に液体蒸気を生成するために加熱される。空洞230の総体積は固定され、かつ水は非圧縮性流体であるため、空洞230の圧縮性体積は、水の体積が一定であるとき、概して一定である。
【0133】
一部の実施形態では、システム100は、ポンプ導管236を介してチャンバ104と流体連通するポンプ234を含み得る。ポンプ234はチャンバ104から液体を除去でき、それにより、空洞230の圧縮性体積が増大する。空洞230から除去された液体は、溜め部導管240を介して溜め部238へポンプでくみ上げられ得る。一部の実施形態では、チャンバ230から除去された液体は廃棄される。除去された液体の一部分は溜め部238に貯蔵される一方、残りは廃棄される。一部の実施形態では、ポンプ234を使用して空洞230に液体を加え、それにより、空洞230の圧縮性体積を減少し得る。空洞230に加えられた液体は、溜め部238および/または液体源246からくることがある。使用時に空洞230の圧縮性体積を変化させる能力により、好都合にも、一回換気量および/または呼吸頻度が異なる様々な患者に同じチャンバ104を使用できるようにし得る。空洞230の圧縮性体積を変化させることによって、換気の波形に対する影響を小さくし得る。例えば、新生児患者に使用するためのシステム100は、成人患者と比較するとき、システム全体の圧縮性体積が小さい場合に、より効果的であるとし得る。
【0134】
フロート
一部の実施形態では、加湿チャンバ104は安全機能を含んで、空洞230内の液体232のレベルが特定のレベルを超えないようにするのを助け得る。そのような安全機能の例示的な実施形態は、
図8に示すようなフロートシステムである。チャンバ104は、第1のフロート250、および、任意選択的に第2のフロート252を含み得る。第1のフロート250および任意選択的な第2のフロート252は、垂直に延在するピストン254に結合される。ピストン254は、チャンバ入口248とほぼ整列するような向きにされる。ピストン254は、ピストン254の上端部にまたはその付近に第1のブロック256、および第1のブロック256の下方のピストン254の上端部付近に、任意選択的な第2のブロック258を含む。
【0135】
使用時、チャンバ104内の液体レベル232が上昇または下降するにつれ、フロート250、252は液体レベル232と共に上昇したり下降したりし、それにより、ピストン254を同様に上方または下方へ動かす。チャンバ104内の液体レベル232が第1の予め決められたレベルに達し、それゆえ、第1のフロート250をチャンバ230内の第1の予め決められた高さまで上昇させると、ピストン254は上方に動いて、第1のブロック256がチャンバ入口248を塞ぐようにする。それにより、第1のブロック256は、空洞230へ液体がさらに入るのを防止し得るまたは遅らせ得る。チャンバ104内の液体レベル232が第2の予め決められたレベルに達し、それゆえ第2のフロート252をチャンバ230内の第2の予め決められた高さまで上昇させると、ピストン254はさらに上方へ動き、第2のブロック258がチャンバ入口248を塞ぐようにする。第1のブロック256および第2のブロック258は、所望の通りにまたは必要に応じて、部分的にまたは完全にチャンバ入口248を塞ぐようなサイズに、形状にされ、およびそうでなければそのように構成され得る。一部の実施形態では、第1のブロック256および第2のブロック258は、異なる形状またはサイズとし得る。例えば、第1のブロック256は、部分的にのみチャンバ入口248を塞いで、チャンバ104へ液体が入るのを遅らせるようなサイズおよび形状にされ得る。第2のブロック258は、第1のブロック256よりも大きくでき、かつ全体的に、チャンバ入口248を完全に塞いで、チャンバ104へ液体がこれ以上入ることがないようにするようなサイズおよび形状にされ得る。他のサイズおよび構成も可能である。
【0136】
一部の実施形態では、第1のフロート250および第2のフロート252の一方または双方は、部分的にまたは全体的に、液体、例えば水の吸収および/または蒸発を可能にする材料で被覆され得るかまたは作製され得る。それゆえ、第1のフロート250および/または第2のフロート252は、チャンバ104内の液体232に浮いているときに、少なくともある程度の液体を吸収できる。
【0137】
代替的な加湿器
図1に示す加湿チャンバ104の実施形態は、比較的単純な構造であり、製造コストの削減を可能にし得る。しかしながら、場合によっては、
図9に示すようなチャンバ304の代替的な実施形態を使用することを有益とし得る。チャンバ304は、チャンバ304の底部付近に配置され得る加熱板308を含む。加熱板308は、加熱されるのに好適な任意の材料、例えば、アルミニウム、銅、または本明細書で説明するような好適なプラスチックで作製し得る。
【0138】
一部の実施形態では、加熱板308は加熱板108に熱的に接続されているため、加熱板308は、加熱板108によって生成された熱を伝導する。あるいは、加熱板308は、例えば、加熱板308に埋め込まれかつ加湿器102への電気的接続によって電力供給されるヒーター線を介して、独立して加熱され得る。加熱板308が独立して加熱される場合、加熱板108は省略できる。一部の実施形態では、加熱板308は、部分的に自己発熱し、かつ部分的に加熱板108によって加熱される。
【0139】
一部の実施形態では、チャンバ304は、制御された量の液体、例えば水を排出するように適合された1つ以上のエジェクタ310を含み得る。エジェクタ310は、米国特許第6,260,959号明細書に説明されているもののような、インクジェット応用に使用されるエジェクタと同様とし得る。しかしながら、制御された量の液体を排出できる他の装置を使用できる。使用時、加熱板308は十分な温度に加熱され、接触するとチャンバ304内の液体を蒸発させる。その後、エジェクタ310は加熱板308に、制御された量の液体を排出し、液体は蒸発する。使用される液体が水である場合、加熱板308との接触による蒸発により、チャンバ304に湿度をもたらす。一部の実施形態では、エジェクタ310によって排出される液体の量は、チャンバ304内の湿度レベルを制御するために、可変とし得る。一部の実施形態では、エジェクタ310は、本明細書で説明した様々なセンサーおよび/またはプロセッサー112と協働して、排出される液体の量、それゆえ湿度を所望のレベルに変更する。代替的な実施形態では、チャンバ304は、各エジェクタ310のノズルにまたはその付近にヒーターを含み得る。エジェクタ310から液体が排出されるため、液体はヒーターを通過し、液体を蒸発させる。この実施形態は、加熱板308の必要性をなくし得る。
【0140】
RFID(無線周波数識別)
図10は、加湿器102の例示的な実施形態の様々な内部構成要素を示す。一部の実施形態では、加湿器102は、プロセッサー112に動作可能に接続された1つ以上のセンサーを含む。それに加えてまたはその代わりに、システム100は、システムのどこか他の箇所に配置されているがプロセッサー112に動作可能に接続された1つ以上のセンサーを含み得る。いくつかのそのようなセンサーを本明細書で説明する。一部の実施形態では、センサーのいずれかまたは全てが、プロセッサー112に加えてまたはその代わりに、加湿器102から離れた場所にあるプロセッサーに動作可能に接続され得る。一部の実施形態では、プロセッサー112および/リモートプロセッサーは、いくつもの異なるセンサーからデータを受信し、その後、データをコンパイルして処理し、特定のエラー状態に適合するかどうかを決定する。例えば、プロセッサーは、複数の個別のセンサーからのデータに基づいて特定のエラー状態に適合するかどうか決定するために、ニューラルネットワークを実装し得る。
【0141】
一部の実施形態では、システム100は、プロセッサー112に動作可能に接続された無線通信手段320を含む。無線通信手段320は、無線周波数スペクトルで通信できる任意の好適な装置または構成要素を含み得る。センサーの全ておよび/またはリモートプロセッサーのいずれかも同様に、無線通信できる。それゆえ、1つまたは複数のセンサーおよび1つまたは複数のプロセッサーは、データおよび命令を無線で通信および転送できる。例えば、患者の近くのインターフェース128に配置されたセンサーは、プロセッサー112と無線で通信できる。場合によっては、センサーとプロセッサーとの間に有線接続があることが好ましいことがある;しかしながら、無線接続は、好都合にも、ケーブルの必要性をなくす。
【0142】
一部の実施形態では、近距離(low−distance)無線通信方法、例えば、Bluetooth(登録商標)またはZigBeeを使用して、センサーおよびプロセッサー間でデータを送信できる。センサーのいくつかまたは全ては、それら自体が一緒になってプロセッサーの方へ信号を伝搬するように構成できる。それゆえ、情報は、なおも、1つ以上のセンサーがプロセッサーの通常の範囲の外側にあるときでも、送信できる。
【0143】
一部の実施形態では、複数の加湿システム100からのセンサーおよびプロセッサー112は、単一のリモート監視システムと通信できる。これにより、好都合にも、使用者または操作者が複数の患者を同時にかつ都合よく監視できるようにし得る。一部の実施形態では、プロセッサー112は、ネットワーク、例えば病院のネットワークと通信するように適合できる。プロセッサー112は、ネットワークから情報、例えば、業務規程を検索できる。業務規程は、とりわけ、回路変更周波数、噴霧器の使用、警報レベルに関する規則を含み得る。これは、好都合にも、あるネットワークに関連付けられた特定の位置にシステム100を自動的にセットアップできるようにし、時間のかかる手作業でのセットアップをなくすかまたは減らし得る。
【0144】
一部の実施形態では、無線センサーの1つ以上は、有線接続以外の電源から電力を受けることができる。例えば、1つまたは複数のセンサーは、導管内の暖かいガスの熱エネルギーから電力を発生させる熱エネルギー収集手段(例えば、ペルティエ素子);導管内の振動から電力を発生させる圧力エネルギー収集手段(例えば、圧電素子);および/または放射エネルギー収集手段(例えば、ソーラーパネル)などの発電手段を含み得る。
【0145】
傾きセンサー
一部の実施形態では、加湿器102は、加湿器の傾き状態を感知するように設計された傾きセンサー322を含み得る。傾きセンサー322は加速度計を含み得る。傾きセンサー322は、連続的にまたは実質的に連続的にデータを収集し得るか、または加湿器の状態を定期的にポーリングし得る。傾き状態は、とりわけ、システム100が装着されているブラケットのたるみまたは不良、システムが配置される表面のでこぼこ、または誤った向き(例えば、落下した結果)などのいくつもの状況から生じ得る。
【0146】
使用時、傾きセンサー322が傾き状態を感知するとき、センサーは、警報信号をプロセッサー112に送信できる。その代わりにまたはそれに加えて、傾きセンサー322は、傾き情報をプロセッサー112に送信でき、プロセッサー112は傾き状態を感知できる。その後、プロセッサー112は、加湿システム100に含まれる任意の警報手段を作動できる。例えば、システム100は、可聴警報を発するために可聴警報手段324、例えばスピーカー、ベル、および/またはサイレンを含み得る。一部の実施形態では、可聴警報手段324は、特定の警報に関連付られてメモリ114に格納された、事前に録音された音および/またはメッセージを放送し得る。例えば、可聴警報手段324は、使用者にシステム100の向きを正しくするよう指示するメッセージを放送できる。システム100は同様に、またはその代わりに、視覚的な警報を表示するための可視警報手段326、例えば定常光(constant light)(例えば、LED)、点滅光、エラー状態に関連付けられた1色以上の光、および/またはスクリーン(例えば、LCDパネル)を含み得る。一部の実施形態では、可視警報手段326は、特定の警報に関連付けられた、予め決められた光の配置および/またはメッセージを表示し、これらは、メモリ114に格納され得る。例えば、可視警報手段326は、使用者にシステム100の向きを正しくするよう指示するメッセージを表示できる。一部の実施形態では、加湿器102は、リモートコンピュータシステムおよび/または遠く離れた操作者と通信できるリモート通信手段328を含み得る。リモート通信手段328は、好適な使用者にシステム100向きを正しくするよう指示する遠隔警報を生じ得る。
【0147】
一部の実施形態では、加湿器
102は、誤った向きの影響を改善するまたは最小にすることができる。例えば、システム100は、システム100の少なくとも一部、例えば、加湿器102および/またはチャンバ104の向きを変更できる方向付け手段を含み得る。方向付け手段は、システムの向きを変更するために伸長したり引っ込んだりする液圧式および/または空気式の脚部を含み得る。システム100の部分は、枢動式にヒンジで動き、それらの部分が、自然に正しい向きに戻るようにし得る。他の手段が可能である。
【0148】
制御アルゴリズム
使用時、加湿システム100は、概して、メモリ114に格納されたプログラムまたはアルゴリズムによって一般に動作するプロセッサー112によって制御できる。加湿器102は、長期使用を意図していることが多い一方、システムの他の構成要素、例えば、加湿チャンバ104、回路アセンブリ123などは使い捨てであり、患者毎におよび/または一人の患者でも周期的に交換し得る。加湿器102の寿命、およびこの分野における進歩に基づいて、メモリ114に格納されたプログラムやアルゴリズムは、時間が経つにつれて時代遅れになる可能性がある。従来の方法でメモリ114を更新することは、ある期間、加湿器を使用不能にすることを必要とし得る。
【0149】
メモリプログラムやアルゴリズムを更新する改良型の装置および方法は、
図11に示すように、例えば頻繁に交換される構成要素など、システム100の他の構成要素にデータを格納および転送するように適合された構成要素に結合することを含み得る。一部の実施形態では、回路アセンブリ123は、データを格納するのに好適なメモリ260、およびメモリ260に動作可能に接続された第1のデータ接続262を含み得る。メモリ260および第1のデータ接続262は、互いに物理的に隣接するように配置でき、かつ回路アセンブリ123の外壁に接続できる。一部の実施形態では、メモリ260および第1のデータ接続262は、吸息導管120のチャンバ104側付近に配置できる。あるいは、メモリ260および第1のデータ接続262は、回路アセンブリ123の異なる個所に配置できる。メモリ260および/または第1のデータ接続262は除去可能および/または交換可能とし得る。これにより、メモリ260を、異なるソフトウェア、おそらく更新済みのソフトウェアを含む異なるメモリと交換できるようにする。
【0150】
別のシステムの構成要素、例えばチャンバ出口ポート118bには第2のデータ接続264が結合され、かつ第1の接続262に動作可能に接続するように構成される。一部の実施形態では、第1の接続262はオスコネクタを有し、かつ第2の接続264は、相補的なメスコネクタを有し得る。あるいは、第1の接続262はメスコネクタを有し、および第2の接続264は、相補的なオスコネクタを有し得る。一部の実施形態では、第1の接続262および第2の接続264は、相互に結合可能である。第1の接続262および第2の接続264が結合されると、メモリ260と加湿器102のプロセッサー112および/またはメモリ114との間に動作可能な接続が形成される。
【0151】
一部の実施形態では、メモリ260と加湿器102のプロセッサー112および/またはメモリ114との間の動作可能な接続は、加湿器102から延出するスパイン(spine)によって容易にされ得る。スパインは、プロセッサー112および/またはメモリ114への電気およびデータ転送接続および経路を含み得る。一部の実施形態では、第1の接続262は、スパインに直接、動作可能に接続する。あるいは、第1の接続262は第2の接続264につながり、これが次に、加湿チャンバ104が加湿器102に設置されると、スパインにつながる。一部の実施形態では、メモリ260および接続は、チャンバ104、例えば、出口ポート118bに結合され、および接続は、スパインに動作可能に接続するように構成される。接続の他の機構および接続のための他の位置も可能である。
【0152】
一部の実施形態では、第1のデータ接続262および第2のデータ接続264は、物理的に接触せずに、動作可能に接続できる。例えば、接続262、264のうちの一方はRFIDタグを含み、および他方はRFID質問機を含み得る。
【0153】
使用時、第1のデータ接続262、第2のデータ接続264、および/またはスパインを上首尾に接続すると、プロセッサー112は、メモリ260に格納された情報の少なくとも一部を、メモリ114に格納された情報と比較し、かつ認可された場合に、メモリ260からメモリ114へのデータ転送を開始し得る。例えば、プロセッサー112は、メモリ260に格納されたソフトウェアのバージョンに関する情報を検索でき、かつそれを、メモリ114に格納されたソフトウェアのバージョンに関する情報と比較できる。比較が、メモリ260は更新済みのソフトウェアを含むことを示す場合、プロセッサー112はデータ転送を開始し、かつメモリ260からメモリ114へソフトウェアをコピーする。メモリ114上の既存のソフトウェアは削除され得るか、または動作不能な方法で格納され得る。それゆえ、加湿器102、およびおそらく他の構成要素の動作に使用されたソフトウェアは、技術的専門知識がなくても、またはやり直しすることなく、更新できる。一部の実施形態では、メモリ260は、単に、入手可能なソフトウェアの最新バージョンに関する情報を含み得る。メモリ260とメモリ114のバージョン情報の比較が、メモリ114が時代遅れであることを示す場合、プロセッサー112は使用者に通知し得る。使用者は、所望の場合にメモリ114を更新するための適切な手段を講じ得る。これは、導管毎に更新済みのソフトウェア自体を含める費用をかけることなく、時代遅れのソフトウェアの通知をできるようにし得る。一部の実施形態では、更新済みのソフトウェアは、いくつもの別個のモジュールにセグメント化され、その各々が、異なる回路アセンブリ123に含まれ得る。使用時、プロセッサー112は、複数の回路アセンブリ123のアタッチメントから時間をかけてモジュールを収集する。全てのモジュールが収集されたら、更新済みのソフトウェアをコンパイルでき、および上記のプロセスを行うことができる。
【0154】
ディスプレイおよびフィードバック
一部の実施形態では、加湿器はディスプレイ152を含む。一部の実施形態では、ディスプレイ152は、OLEDグラフ表示である。一部の実施形態では、ディスプレイ152は、Eインク(電気泳動インク)表示である。Eインク表示は、好都合にも、ステータスを変更するために電力を必要とするにすぎないため、ディスプレイ152は、電源が切られていても情報を表示できる。例えば、ディスプレイ152は、電力が検出されるまで「電源につないでください」と表示し得る。患者を生かしておくために必要とし得る人工呼吸器の設定に介護士が時間と努力を集中しているために、加湿器は、忙しいICUおよび他の病院では忘れられることがあるため、そのようなディスプレイは、好都合にも、介護士に加湿器を設定するように気づかせるのを助け得る。
【0155】
プロセッサー112は、例えば、
図13Aおよび
図13Bに示すように、情報、例えば、情報用のプロンプト、フィードバック情報などをディスプレイ152に表示するように構成できる。加湿器は、さらに、ユーザ入力用の機構、例えば、電源、メニュー、OK、および上向き矢印および下向き矢印ボタン153を含み得る。メニューボタンを押すと、プロセッサー112に、ディスプレイ152上に様々なオプション、例えば、治療のタイプ、温度および/または湿度設定などを表示させ得る。上向き矢印および下向き矢印ボタンを使用して、ディスプレイ152に提供された様々なオプションをスクロールすることができる。OKボタンを押すと、例えば、ディスプレイ152上で強調または選択された特定の治療オプションまたはレベルに設定できる。メニューボタンは、治療の設定を変更するためのオプションのリストを表示させるために、いつでも押すことができる。一部の実施形態では、1つのボタンがOKおよびメニューボタンの機能を果たす。
【0156】
プロセッサー112はまた、図
13Bに示すように、様々なエラーまたは警告メッセージをディスプレイ152上に表示させるように構成できる。例えば、加湿器102および/または加湿システムの他の構成要素がバッテリー電源で動作していて、バッテリー電源が特定の閾値未満に降下した場合、「電源につないでください」メッセージがディスプレイ152上に点滅し得る。ガス流が加湿システム100において検出されるが、加湿器102および/またはディスプレイ152の電源が入っていない場合、「Onボタンを押してください」メッセージがディスプレイ152上に点滅し得る。例示的なエラーメッセージは以下を含み得る:加湿チャンバ104が加湿器102に設置されていない、加湿システムにおいていずれかの電気的接続が適切になされていない、または本明細書で詳細に説明したようなセンサーが設置されていない、および適切に位置決めされていない場合には、「回路がありません」または「回路を修理してください」;吸息導管120および/または呼息導管122が誤って接続されている場合には、「ベントポートを取り換えてください」;液体源246、例えば水袋が空である、液体源246から加湿チャンバ104への液体導管116が適切に接続されていない、液体導管116がねじれている、または液体導管116から加湿チャンバ104への弁に欠陥がある場合には、「水が必要です」;導管のいずれかにおいてヒーター線138またはセンサーに欠陥がある場合には、「回路を交換してください」;および欠陥のある接続など、内部故障がある場合には、「サービスに送付してください」。他のエラーメッセージまたはフィードバック情報は同様に、またはその代わりに、ディスプレイ152に提供され得る。
【0157】
本開示は、いくつかの実施形態および例との関連で説明されたが、当業者には、本開示は、具体的に開示した実施形態を超えて他の代替的な実施形態および/または使用およびその明白な修正例および均等物まで及ぶことを理解されたい。さらに、本開示の実施形態のいくつかの変形例を詳細に示しかつ説明したが、当業者には、本開示の範囲内にある他の修正例が容易に分かるであろう。実施形態の具体的な特徴および態様の様々な組み合わせまたは副結合がなされてもよく、なおも本開示の範囲内にあることも考慮される。本開示の実施形態の様々なモードを形成するために、開示の実施形態の様々な特徴および態様は、互いに組み合わせることができる、または置き換えることができることを理解されたい。さらに、本明細書で提供された様々な構成要素の寸法は例示であり、および他の寸法を使用してもよい。それゆえ、本明細書に開示の範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるものではない。