(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブーフバルト重合によって製造されることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載のポリマーの製造方法。
少なくとも一つの式(I−1c)または(I−1d)の構造単位を含む請求項1〜4何れか1項記載の1以上のポリマーと、一以上の更なるポリマー状、オリゴマー状、樹状および/または低分子量物質とを含むポリマーブレンド。
有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光電池(OPV)素子もしくは有機光受容器(OPC)である請求項9記載の電子素子または光電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換オリゴアリーレン繰り返し単位、好ましくは、ビストリアリールアミン繰り返し単位を含むポリマー、その製造方法、それの電子素子または光電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子、いわゆるOLED(OLED=有機発光ダイオード)での使用に関する。本発明は、さらに、これらのポリマーを含む有機エレクトロルミッセンス素子に関する。
【0002】
電子素子または光電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)においては、種々の機能性成分が必要とされる。OLEDにおいては、異なる機能性成分が、異なる層に通常存在する。この場合に、用語多層OLED構造が使用される。これらの多層OLED構造は、特に、電子および正孔注入層等の電荷注入層、たとえば、電子および正孔伝導層等の電荷輸送層および発光成分を含む層を有する。これらの多層OLED構造は、連続層適用により一般的に製造される。
【0003】
複数の層が、溶液から適用されるならば、すでに適用された層が、乾燥された後、次の層の製造のための溶液の引き続く適用により破壊されないことが保証されねばならない。これは、層を、たとえば、架橋結合により不溶性にすることにより達成することができる。このようなプロセスは、たとえば、EP0 637 899およびWO 96/20253に記載されている。
【0004】
しかしながら、さらに、たとえば、寿命、効率等に関する可能な最良の結果が達成されるように、材料側からは、互いの個々の層の機能を適合させる必要もある。このように、特に、発光層に直接隣接する層、特に、正孔輸送層(HTL=正孔輸送層)は、隣接する発光層の特性に顕著な影響を有する。
【0005】
したがって、本発明の一つの目的は、一方で溶液から加工することができ、他方で電子素子または光電子素子、特に、OLEDにおいて、特に、ここで、その正孔輸送層において、素子、すなわち、OLEDの特性に改善をもたらす化合物を提供することであった。
【0006】
驚くべきことに、少なくとも一つのアリール基がオルト位で置換されたオリゴトリアリールアミン繰り返し単位を含むポリマーが、特に、OLEDの正孔輸送層での使用に関して、これらOLEDの寿命に顕著な増加をもたらすことが見出された。
【0007】
したがって、本発明は、少なくとも一つの以下の式(I)の構造単位を含むポリマーに関する。
【化1】
【0008】
式中:
Ar
1〜Ar
5は、出現毎に、各場合に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜60個の芳香族環原子を有するモノもしくはポリ環状の芳香族または複素環式芳香族環構造であり、
iおよびjは、それぞれ0または1であり、(i+j)の合計は1であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、O、SもしくはCONR
1で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するモノあるいはポリ環状の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基または1以上の基R
1により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアミノ基または架橋結合可能基Qであり;ここで、2個以上の基Rは、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してよく;
R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜20個のC原子を有する芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
1は、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよく;
nは、1、2もしくは3、好ましくは、1または2,特に、好ましくは、1であり;
ここで、破線はポリマー中の隣接する構造単位への結合であり;
i=0でj=1の場合には、Ar
2および/またはAr
4は、二個のオルト位のうちの少なくとも一つで、好ましくは、一つで、Ar
6によりそれぞれ置換され、ここで、Ar
6は、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜60個の芳香族環原子を有するモノもしくはポリ環状の芳香族または複素環式芳香族環構造であることを特徴とし、および
i=1でj=0の場合には、Ar
4および/またはAr
5は、二個のオルト位のうちの少なくとも一つで、好ましくは、一つで、Ar
6によりそれぞれ置換され、ここで、Ar
6は、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜60個の芳香族環原子を有するモノもしくはポリ環状の芳香族または複素環式芳香族環構造であることを特徴とする。
【0009】
したがって、式(I)の構造単位は、ポリマー中で隣接する構造単位に二個の結合を有する。ここで、iは1であることができ、jは0であることができるか、またはiは0であることができ、jは1であることができる
したがって、式(I)の構造単位は、以下の構造単位の一つに対応する。
【化2】
【0010】
式(I−1)の場合、置換基Ar
6は、Ar
2もしくはAr
4上だけか、またはAr
2とAr
4上の、何れかに配置されてよい。
【0011】
式(I−2)の場合、置換基Ar
6は、Ar
4もしくはAr
5上だけか、またはAr
4とAr
5上の、何れかに配置されてよい。
【0012】
ここで、Ar
6は、直接、すなわち、単結合を介してAr
2および/またはAr
4もしくはAr
4および/またはAr
5に結合するか、代替として結合基Xを介してかの何れかで結合されてよい。
【0013】
したがって、式(I)の構造単位は、好ましくは、以下の式(I−1a)、(I−1b)、(I−2a)および(I−2b)の構造単位を有する。
【化3】
【0014】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6およびRは、上記で示される意味をとることができ、
m=0、1、2、3または4であり、
Xは、CR
2、NR、SiR
2、O、SまたはP=O、好ましくは、CR
2、NR、OまたはSであり、および
r=0または1、好ましくは、0である。
【0015】
特に、好ましくは、式(I−1a)および(I−1b)である。
【0016】
本発明のさらに好ましい態様では、本発明のポリマーの少なくとも一つの式(I−1)の構造単位は、Ar
2および/またはAr
4が、二個のオルト位の一つでAr
6によりそれぞれ置換され、Ar
2および/またはAr
4が、置換されたオルト位に隣接するメタ位で追加的にAr
6にそれぞれ結合する。
【0017】
したがって、式(I−1)の構造単位は、好ましくは、以下の式(I−1c)および(I−1d)の構造単位を有する。
【化4】
【0018】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Rおよびmは、上記で示される意味をとることができ、
n=0、1、2または3であり、
Xは、CR
2、NR、SiR
2、O、S、C=OまたはP=O、好ましくは、CR
2、NR、OまたはSであり、および
pとqは、それぞれ0または1であり、ここで(p+q)の合計は1または2、好ましくは、1である。
【0019】
本出願において、用語ポリマーは、ポリマー化合物およびオリゴマー化合物ならびデンドリマーの双方の意味で使用される。本発明によるポリマー化合物は、好ましくは、10〜10,000、特に、好ましくは、10〜5000、非常に、特に、好ましくは、10〜2000の構造単位(繰り返し単位)を有する。本発明によるオリゴマー化合物は、好ましくは、3〜9の繰り返し単位を有する。ここで、ポリマーの分岐ファクターは、0(直鎖ポリマー、分岐点なし)と1(完全に分岐したデンドリマー)との間である。
【0020】
本発明によるポリマーは、好ましくは、1000〜2,000,000g/molの範囲の分子量M
w、特に、好ましくは、10,000〜1,500,000g/molの範囲の分子量M
w、非常に、特に、好ましくは、50,000〜1,000,000g/molの範囲の分子量M
wを有する。分子量M
wは、内部ポリスチレン標準に対するGPC(=ゲル透過クロマトグラフィー)により測定される。
【0021】
本発明のポリマーは、共約、部分共役または非共約ポリマーの何れかである。共約または部分共役ポリマーが好ましい。
【0022】
式(I)の構造単位は、本発明にしたがって、ポリマーの主鎖中か側鎖中に組み込まれ得る。しかしながら、式(I)の構造単位は、好ましくは、ポリマーの主鎖中に組み込まれる。ポリマーの側鎖中に組み込まれる場合には、式(I)の構造単位は、一価であるか二価である化合物の何れかであることができ、すなわち、それらは、ポリマー中で一つまたは二個の隣接する単位への結合を有する。
【0023】
本出願の意味で、「共役ポリマー」は、主としてsp
2混成(もしくは随意にsp混成も)の炭素原子を主鎖中に含むポリマーであり、炭素原子は対応する混成ヘテロ原子により置き代えられてもよい。最も単純な場合には、これは、主鎖中の二重および単結合の交互の存在を意味するが、たとえば、メタ結合フェニレンのような単位を含むポリマーも、本出願の意味での共役ポリマーとみなされることをも意図している。「主として」は、共役中断を生じる自然に(自発的に)生起する欠陥が、用語「共役ポリマー」を無効にはしないことを意味する。用語共役ポリマーは、同様に、共役主鎖と非共役側鎖を有するポリマーに適用される。さらに、主鎖が、たとえば、アリールアミン単位、アリールホスフィン単位、ある種のヘテロ環(すなわち、N、OもしくはS原子を介する共役)および/または有機金属錯体(すなわち、金属原子を介する共役)を含むならば、用語共役は、本出願で同様に使用される。類似の状況が共役デンドリマーにもあてはまる。反対に、たとえば、単純なアルキルブリッジ、(チオ)エーテル、エステル、アミドもしくはイミド結合のような単位は、明らかに非共約部分と定義される。
【0024】
本出願での、部分共役ポリマーは、非共役部分、特別な共役中断(たとえば、スペーサー基)もしくは分岐により互いに分離される共役領域を含むポリマー、たとえば、主鎖中の相対的に長い共約部分が、非共役部分により中断されるポリマー、または主鎖中で非共約であるポリマーの側鎖中に相対的に長い共約部分を含むポリマーの意味で使用される。共役および部分共役ポリマーは、共役、部分共役もしくは非共役デンドリマーを含んでもよい。
【0025】
本出願の意味での用語「デンドリマー」は、分岐モノマーが規則的な構造で結合され、その結果樹様構造が得られる多官能性中心(コア)から築き上げられた高度に分岐した化合物の意味で使用されることを意図している。ここで、コアとモノマーの双方共に、純粋に有機的な単位および有機金属化合物あるいは配位化合物の両方から成る任意の所望の分岐構造をここでとり得る。ここで、「デンドリマー」は、たとえばM.Fischer and F.Vogtle(Angew.Chem.,Int.Ed.1999,38,885)により記載されるとおりに理解されることを一般的に意図されている。
【0026】
本出願での用語「構造単位」は、少なくとも二個の、好ましくは、二個の反応性基を含むモノマーから出発して、結合形成反応によりその部分としてポリマー主鎖中に組み込まれ、そのため、結合繰り返し単位として調製されたポリマー中に存在する単位の意味で使用される。
【0027】
本出願の意味で、用語「モノあるいはポリ環状の芳香族環構造」は、6〜60個、好ましくは、6〜30個、特に、好ましくは、6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であって、必ずしも芳香族基のみを含む構造ではなく、その代わりに、複数の芳香族単位は、たとえば、sp
3混成のC原子またはOもしくはNO原子、CO基のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、H以外の原子は、5%より少ない)により中断されていてもよい構造の意味で使用される。したがって、たとえば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレンおよび9,9-ジアルキルフルオレントのような構造も、芳香族環構造と解されることを意図されてもいる。
【0028】
芳香族環構造は、モノあるいはポリ環状であってよく、換言すれば、1個の環(たとえば、フェニル)または複数の環を含んでもよく、縮合しても(たとえば、ナフチル)あるいは共有結合してもよく(たとえば、ビフェニル)または縮合環と連結環との組み合わせを含んでもよい。
【0029】
好ましい芳香族環構造は、たとえば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、[1,1’:3’,1”]テルフェニル-2’-イル、クアテルフェニル、ナフチル、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレンおよびスピロビフルオレンである。
【0030】
本出願で、用語「モノあるいはポリ環状複素環式芳香族環構造」は、5〜60個、好ましくは、5〜30個、特に、好ましくは、5〜24個の芳香族環原子を有する複素環式芳香族環構造であって、これら原子の一以上は、ヘテロ原子である意味で使用される。「モノあるいはポリ環状複素環式芳香族環構造」は、必ずしも芳香族のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数の芳香族単位は、たとえば、sp
3混成のC原子またはOもしくはNO原子、CO基のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、10%より少なく、好ましくは、H以外の原子は、5%より少ない)により中断されていてもよい構造の意味で使用される。
複素環式芳香族環構造は、モノあるいはポリ環状であってよく、換言すれば、1個の環または複数の環を含んでもよく、縮合してもあるいは共有結合してもよく(たとえば、ピリジルフェニル)または縮合環と連結環との組み合わせを含んでもよい。好ましくは、完全に共役したヘテロアリール基である。
【0031】
好ましい複素環式芳香族環構造は、たとえば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾールのような5員環、または、たとえば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジンのような6員環、または、たとえば、カルバゾール、インデノカルバゾール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントリイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンのような複数の環を有する基またはこれら基の組み合わせである。
【0032】
モノあるいはポリ環状の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、非置換でも置換されていてもよい。本出願での置換は、モノあるいはポリ環状芳香族もしくは複素環式芳香族環構造が、一以上の置換基Rを含むことを意味する。
【0033】
Rは、出現毎に、好ましくは、同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、NO
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、S(=O)R
1、S(=O)
2R
1、OSO
2R
1、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=S、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、O、SもしくはCONR
1で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基または1以上の基R
1により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアミノ基または架橋結合可能基Qであり;ここで、2個以上の基Rは、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してよい。
【0034】
Rは、出現毎に、特に、好ましくは、同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、P(=O)(R
1)
2、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、Si(R
1)
2、C=O、C=NR
1、P(=O)(R
1)、NR
1、OもしくはCONR
1で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
1により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基または1以上の基R
1により置換されてよい10〜20個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアミノ基または架橋結合可能基Qであり;ここで、2個以上の基Rは、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してよい。
【0035】
Rは、出現毎に、非常に、特に、好ましくは、同一であるか異なり、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、2〜10個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々1以上の基R
1により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
1C=CR
1、C≡C、C=O、C=NR
1、NR
1、OもしくはCONR
1で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
1により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
1により置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基または1以上の基R
1により置換されてよい10〜20個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアミノ基または架橋結合可能基Qであり;ここで、2個以上の基Rは、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してよい。
【0036】
1〜10個のC原子を有する好ましいアルキル基は、以下の表に示される。
【表1】
【0037】
R
1は、出現毎に、好ましくは、同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜20個のC原子を有する芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であって、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基R
1は、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0038】
R
1は、出現毎に、特に、好ましくは、同一であるか異なり、H、D、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜20個のC原子を有する芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり;ここで、2個以上の置換基R
1は、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してよい。
【0039】
R
1は、出現毎に、非常に、特に、好ましくは、同一であるか異なり、H、1〜10個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜10個のC原子を有する芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基である。
【0040】
好ましい態様では、少なくとも一つの式(I−1a)、(I−1b)、(I−1c)または(I−1d)の構造単位が、以下の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、および(IX)の構造単位から選ばれる。
【化5-1】
【化5-2】
【0041】
式中:Ar
1、Ar
3、Ar
5、Ar
6、R、m、nおよびXは、上記で示される意味をとることができ、および
p=0、1、2、3、4または5である。
【0042】
特に、好ましい態様では、(式II)および(III)の構造単位は、以下の式(IIa)および(IIIa)の構造単位から選ばれる。
【化6】
【0043】
式中:Ar
1、Ar
3、Ar
5、R、mおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0044】
式(IIa)および(IIIa)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【0045】
式中:Ar
1、Ar
2、R、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができ、k=0、1または2である。
【0046】
さらに、特に、好ましい態様では、式(IV)および(V)の構造単位は、以下の式(IVa)および(Va)の構造単位から選ばれる。
【化8】
【0047】
式中:Ar
1、Ar
3、Ar
5、R、m、nおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0048】
式(IVa)および(Va)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【0049】
式中:Ar
1、Ar
2、R、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0050】
なお、さらに、特に、好ましい態様では、式(VI)および(VII)の構造単位は、以下の式(VIa)および(VIIa)の構造単位から選ばれる。
【化10】
【0051】
式中:Ar
1、Ar
3、Ar
5、R、m、nおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0052】
式(VIa)および(VIIa)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【0053】
式中:Ar
1、Ar
2、R、k、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0054】
非常に、特に、好ましい態様では、式(IIa)および(IIIa)の構造単位が、以下の式(IIb)および(IIIb)の構造単位から選ばれる。
【化12】
【0055】
式中:Ar
3、R、mおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0056】
式(IIb)および(IIIb)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【0057】
式中:R、k、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0058】
さらに、非常に、特に、好ましい態様では、式(IVa)および(Va)の構造単位は、以下の式(IVb)および(Vb)の構造単位から選ばれる。
【化14】
【0059】
式中:Ar
3、R、X、mおよびnは、上記で示される意味をとることができる。
【0060】
式(IVb)および(Vb)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【0061】
式中:R、X、k、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができ、s=1〜20、好ましくは、1〜10である。
【0062】
なお、さらに、非常に、特に、好ましい態様では、式(VIa)および(VIIa)の構造単位は、以下の式(VIb)および(VIIb)の構造単位から選ばれる。
【化16】
【0063】
式中:R、X、mおよびnは、上記で示される意味をとることができる。
【0064】
式(VIb)および(VIIb)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化17-1】
【化17-2】
【0065】
式中:R、X、k、mおよびnは、上記で示される意味をとることができる。
【0066】
式(VIb)〜(VIIb)において、破線は、ポリマー中の隣接する構造単位への結合を表す。ここで、それらは、互いに独立して、同一か異なり、オルト-、メタ-またはパラ-位に、好ましくは、同一で、オルト-、メタ-またはパラ-位に、特に、好ましくは、メタ-またはパラ-位に、非常に、特に、好ましくは、パラ-位に位置することができる。
【0067】
ポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)の構造単位の割合は、1〜100モル%の範囲である。
【0068】
第1の好ましい態様では、本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)の一つの構造単位のみを含む、すなわち、ポリマー中のその割合は100%である。この場合に、本発明のポリマーは、ホモポリマーである。
【0069】
第2の好ましい態様では、ポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位の割合は、ポリマー中で構造単位として存在する全共重合可能なモノマー100%を基礎として、50〜95モル%の範囲、特に、好ましくは、60〜95モル%の範囲であり、換言すれば、本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位に加えて、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)の構造単位とは異なるさらなる構造単位をも含む。
【0070】
第3の好ましい態様では、ポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位の割合は、ポリマー中で構造単位として存在する全共重合可能なモノマー100%を基礎として、5〜50モル%の範囲、特に、好ましくは、25〜50モル%の範囲であり、換言すれば、本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位に加えて、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)の構造単位とは異なるさらなる構造単位を含む。
【0071】
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)の構造単位とは異なる構造単位は、特に、WO 02/077060 A1およびWO 2005/014689 A2に広範に開示され、挙げられるものである。これらは、参照として、本願に組み込まれる。更なる構造単位は、たとえば以下に記載されるクラスから生じることができる:
群1:ポリマーの正孔注入および/または輸送特性に作用する単位。
【0072】
群2:ポリマーの電子注入および/または輸送特性に作用する単位。
【0073】
群3:群1および群2からの個々の単位の組み合わせを有する単位。
【0074】
群4:電子燐光発光が電子蛍光発光の代わりに得られる程度に、発光特性を変更する単位。
【0075】
群5:いわゆる1重項状態から3重項状態への遷移を向上する単位。
【0076】
群6:得られるポリマーの発光色に作用する単位。
【0077】
群7:典型的にはポリマー骨格として使用される単位。
【0078】
群8:膜形態学特性および/または得られるポリマーのレオロジー特性に作用する単位。
【0079】
本発明の好ましいポリマーは、少なくとも1つの構造単位が電荷輸送特性を有するもの、すなわち群1および/または2からの単位を含むものである。
【0080】
正孔注入および/または正孔輸送特性を有する群1からの構造単位は、たとえば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール-パラ-フェニレンジアミン、トリアリールホスフィン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、チアントレン、ジベンゾ-パラ-ジオキシン、フェノキサチン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロールおよびフラン誘導体と、更には、O-、S-もしくはN-含有へテロ環である。
【0081】
群1からの好ましい構造単位は、以下の式(1a)〜(1q)の構造単位である。
【化18-1】
【化18-2】
【0082】
式中:R、k、mおよびnは、上記で示される意味をとることができる。
【0083】
式(1a)〜(1q)において、破線は、ポリマー中の隣接する構造単位への可能な結合を表す。二個の破線が式中に存在するならば、構造単位は、一または二個、好ましくは、二個の隣接する構造単位を有する。三個の破線が式中に存在するならば、構造単位は、一、二または三個、好ましくは、二個の隣接する構造単位を有する。四個の破線が式中に存在するならば、構造単位は、一、二または三個、好ましくは、二個の隣接する構造単位を有する。ここで、それらは、互いに独立して、同一か異なり、オルト-、メタ-またはパラ-位に位置することができる。
【0084】
電子注入および/または電子輸送特性を有する群2からの構造単位は、たとえば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフインオキシドおよびフェナジン誘導体のみならず、トリアリールボランならびにさらなるO-、S-もしくはN-含有へテロ環である。
【0085】
本発明のポリマーは、正孔移動性に作用する構造と、電子移動性を増加する構造(すなわち、群1および2からの単位)が互いに直接結合している構造または正孔移動性と電子移動性の双方を増加する構造を含む群3からの単位を含むことが好ましいかもしれない。これら単位の幾つかは、エミッターとして役立ち、発光色を緑色、黄色あるいは赤色にシフトすることができる。それゆえ、それらの使用は、たとえば、元来が青色発光のポリマーから他の発光色の生成のために適している。
【0086】
群4の構造単位は、室温でさえも、高効率で3重項状態から発光することができる、すなわち、電子蛍光発光の代わりに電子燐光発光を呈し、頻繁にエネルギー効率の増加を引き起こすことができる。この目的に適するのは、まず、36より大な原子番号を有する重い原子を含む化合物である。好ましい化合物は、上記条件を満足するdあるいはf遷移金属を含むものである。ここで、特に好ましいものは、8乃至10属(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)からの元素を含む対応する構造単位である。ここで、本発明のポリマーのために適する構造単位は、たとえば、種々の錯体であり、たとえば、WO 02/068435 A1、WO 02/081488 A1、EP 1239526 A2およびWO 2004/026886 A2に記載されているとおりのものである。対応するモノマーは、WO 02/068435 A1およびWO 2005/042548 A1に記載されているとおりのものである。
【0087】
群5の構造単位は、1重項状態から3重項状態への遷移を改善するものであり、群4の構造要素のサポートに使用され、これら構造要素の燐光特性を改善する。この目的のために適するものは、特に、カルバゾールおよび架橋カルバゾール2量体単位であり、たとえば、WO 2004/070772 A2およびWO 2004/113468 A1に記載されているとおりのものである。また、この目的のために適するものは、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体および類似化合物であり、WO 2005/040302 A1に記載されているとおりのものである。
【0088】
上記言及されたものに加えて群6の構造単位は、上記群の範囲に入らない少なくとも1つの更なる芳香族構造もしくは別の共役構造を有するものであり、すなわち、電荷担持移動性に関する作用が少ししかなく、有機金属錯体でなく、1重項-3重項遷移に作用しないものである。この型の構造要素は、得られるポリマーの発光色にも作用することができる。それゆえ、単位に応じて、それらはエミッターとしても使用されることもできる。ここで好ましいのは、6〜40個のC原子を有する芳香族構造またはトラン、スチルベンあるいはビスチリルアリーレン誘導体であり、夫々は1以上の基Rにより置換されていてもよい。ここで特に好ましいものは、1,4-あるいは9,10-アントリレン、1,6-、2,7-あるいは4,9-ピレニレン、3,9-あるいは3,10-ペリレニレン、4,4’-トラニレン、4,4’-スチルベニレン、ベンゾチアジアゾールおよび対応する酸素誘導体、キノキサリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ジヒドロフェナジン、ビス(チオフェニル)アリーレン、オリゴ(チオフェニレン)、フェナジン、ルブレン、ペンタセンまたはペリレン誘導体の組み込みであり、好ましくは、置換され、または、好ましくは、共役プッシュ-プル系(ドナーおよびアクセプター置換基により置換された系)、または、好ましくは、置換されたスクアリンもしくはキナクリドンのような系である。
【0089】
群7の構造単位は、ポリマー骨格として典型的に使用される6〜40個のC原子を有する芳香族構造を有する単位である。これらは、たとえば、4,5-ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10-テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、9,9’-スピロビフルオレン誘導体、フェナントレン誘導体、9,10-ジヒドロフェナントレン誘導体、5,7-ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、シス-およびトランス-インデノフルオレン誘導体のみならず、1,2-, 1,3-もしくは1,4-フェニレン、1,2-, 1,3-もしくは1,4-ナフチレン、2,2'-, 3,3'-もしくは4,4'-ビフェニレン、2,2"-, 3,3"-もしくは4,4''-テルフェニレン、2,2'-, 3,3'-もしくは4,4'-ビ-1,1'-ナフチレンもしくは2,2"'-, 3,3"'-もしくは4,4"'-クアテルフェニレン誘導体である。
【0090】
群7からの好ましい構造単位は、以下の式(7a)〜(7o)の構造単位である。
【化19-1】
【化19-2】
【0091】
式中:R、k、m、nおよびpは、上記で示される意味をとることができる。
【0092】
式(7a)〜(7o)において、破線は、ポリマー中の隣接する構造単位への可能な結合を表す。二個の破線が式中に存在するならば、構造単位は、一または二個、好ましくは、二個の隣接する構造単位ヘテロの結合を有する。四個以上の破線が式(式(7g)、(7h)および(7j))中に存在するならば、構造単位は、一、二、三または四個、好ましくは、二個の隣接する構造単位への結合を有する。ここで、それらは、互いに独立して、同一か異なり、オルト-、メタ-またはパラ-位に位置することができる。
【0093】
群8の構造単位は、膜形態学特性および/または得られるポリマーのレオロジー特性に作用する単位であり、たとえば、シロキサン、アルキル鎖またはフッ化物基のみならず、特に、たとえば、堅固もしくは柔軟な単位、液晶生成単位もしくは架橋結合可能基である。
【0094】
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位に加えて、本発明の好ましいポリマーは、同時に、群1乃至8から選ばれる1以上の単位を追加的に含んでもよい。1つの群からの1以上のさらなる構造単位が同時に存在することが同様に好ましいかもしれない。
【0095】
ここで、本発明のポリマーは、好ましくは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の少なくとも一つの構造単位に加えて、群7からの単位をも含む。
【0096】
同様に、本発明の好ましいポリマーは、好ましくは、電荷輸送または電荷注入を改善する単位、すなわち、群1および/または2からの単位を含む。
【0097】
さらに、本発明のポリマーは、群7からの構造単位と群1および/または2からの単位を含むことが、特に、好ましい。
【0098】
本発明によるポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)の構造単位を含むホモポリマーかコポリマーのいずれかである。本発明のポリマーは、直鎖もしくは分岐鎖、好ましくは、直鎖であってよい。本発明のコポリマーは、一以上の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位に加えて、上記群1乃至8からの1以上の更なる構造を含んでもよい。
【0099】
本発明のコポリマーは、ランダム、交互あるいはブロック様構造を有してもよく、または複数のこれら交互配置構造を有する。本発明のコポリマーは、特に、好ましくは、ランダムまたは交互構造を含む。コポリマーは、特に、好ましくは、ランダムまたは交互コポリマーである。ブロック様構造を有するコポリマーを得ることができる方法とどんなさらなる構造要素がこの目的のために特に好ましいかは、たとえば、WO 2005/014688 A2に詳細に記載されている。これは、参照として本願の部分である。ポリマーは、樹状構造であってもよいことが、同様に再度この時点で強調されねばならない。
【0100】
本発明のさらなる態様では、本発明のポリマーは、一以上の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位と随意に上記群1乃至8から選ばれるさらなる構造単位に加えて、少なくとも一つの、好ましくは、一つの架橋結合可能基Qを含む構造単位をも含む。
【0101】
本発明の意味での「架橋結合可能基Q」は、化学反応を受け、その結果不溶性化合物を生成することができる官能基である。ここで、反応は、さらなる同一の基Q、さらなる異なる基Qまたはそれの任意の所望の部分または別のポリマー鎖とともに生じることができる。したがって、架橋結合可能基は反応性基である。ここで、対応して、架橋化合物は、架橋結合可能基の反応の結果として得られる。化学反応は、層内でも実行することができ、不溶性層が形成される。架橋結合反応は、通常、熱によりまたはUV、マイクロ波、X線もしくは電子照射により、随意に開始剤の存在によりサポートすることができる。本発明の意味での「不溶性」は、架橋結合反応後、すなわち、架橋結合可能基の反応後の本発明のポリマーが、同じ有機溶媒中での本発明の対応する非架橋ポリマーよりも、少なくとも3因子、好ましくは、少なくとも10因子である室温での溶解度を有することを意味する。
【0102】
架橋結合可能基Qを担持する構造単位は、第1の態様では、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位から選ばれることができる。
【0103】
架橋結合可能基Qを担持する好ましい構造単位は、それぞれ、式(I−1a)、(I−1b)、(I−1c)および(I−1d)から由来する以下の式(XIa)、(XIb)、(XIc)および(XId)の構造単位である。
【化20】
【0104】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Q、R、n、rおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0105】
o、s、t、uおよびvは、それぞれ0または1であり、および合計(o+s+t+u+v)=1、2、3、4または5、好ましくは、1、2または3、特に、好ましくは、1または2、非常に、特に、好ましくは、1である。
【0106】
合計が2ならば、好ましくは、(o+v)=2または(s+v)=2である。
【0107】
合計が1ならば、好ましくは、o=1、s=1またはv=1、特に、好ましくは、s=1またはv=1である。
【化21】
【0108】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Q、R、n、rおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0109】
o、s、t、u、v、wおよびxは、それぞれ0または1であり、および合計(o+s+t+u+v+w+x)=1、2、3、4、5、6または7、好ましくは、1、2、3または4、特に、好ましくは、1、2または3、非常に、特に、好ましくは、1または2である。
【0110】
合計が2ならば、好ましくは、(o+x)=2、(t+v)=2または(s+w)=2である。
【0111】
合計が1ならば、好ましくは、o=1、s=1、u=1、w=1またはx=1、特に、好ましくは、s=1、u=1またはw=1である。
【化22】
【0112】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Q、R、k、n、p、qおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0113】
o、s、t、u、vおよびwは、それぞれ0または1であり、および合計(o+s+t+u+v+w)=1、2、3、4、5または6、好ましくは、1、2、3または4、特に、好ましくは、1、2または3、非常に、特に、好ましくは、1または2である。
【0114】
合計が2ならば、好ましくは、(o+w)=2、(s+w)=2、(t+w)=2、(u+w)=2または(o+v)=2である。
【0115】
合計が1ならば、好ましくは、o=1、s=1、t=1、v=1またはw=1、特に、好ましくは、o=1、s=1、t=1またはw=1である。
【化23】
【0116】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Q、R、k、n、p、qおよびXは、上記で示される意味をとることができる。
【0117】
o、s、t、u、v、w、x、yおよびzは、それぞれ0または1であり、および合計(o+s+t+u+v+w+x+y+z)=1、2、3、4、5、6、7、8または9、好ましくは、1、2、3または4、特に、好ましくは、1、2または3、非常に、特に、好ましくは、1または2である。
【0118】
合計が2ならば、好ましくは、(o+z)=2、(s+x)=2、(t+y)=2、(o+w)=2または(u+w)=2である。
【0119】
合計が1ならば、好ましくは、o=1、s=1、t=1、v=1、x=1、y=1またはz=1、特に、好ましくは、o=1、s=1、t=1、v=1、x=1、y=1またはz=1である。
【0120】
同様に、式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の構造単位は、また、架橋結合可能基Qを含んでよい。
【0121】
さらに、架橋結合可能基Qを担持する構造単位は、第2の態様では、群1〜8に開示された構造単位から選ばれることができる。
【0122】
架橋結合可能基Qを担持する好ましい構造単位は、群1のトリアリールアミン単位から由来する以下の式(X1I)の構造単位である。
【化24】
【0123】
式中:Ar
1、Ar
2およびAr
3は、式(I)に関して上記で示される意味をとることができる。
【0124】
式(X1I)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化25】
【0125】
架橋結合可能基Qを担持するさらに好ましい構造単位は、群7から由来する以下の式(X1II)の構造単位である。
【化26】
【0126】
式中:Ar
1は、式(I)に関して上記で示される意味をとることができる。
【0127】
式(X1II)の好ましい構造単位の例は、以下の表に示される。
【化27】
【0128】
上記記載のとおり、架橋結合可能基Qは、化学反応を受け、その結果不溶性ポリマー状化合物を生成することができる官能基である。この目的のために当業者により知られる全ての基Qを一般的に使用することができる。この基の作用は、特に、架橋結合反応によって、本発明の化合物を互いに結合し、随意にさらなる反応性化合物と結合することである。これは、架橋結合化合物を生じるか、または、反応が層中で実行されるならば、架橋結合された層を生じる。本発明の意味での架橋結合された層は、本発明の架橋結合可能なポリマー性化合物の層から架橋反応を実行することによって得ることができる層の意味で使用される。架橋結合反応は、一般的に、熱により、および/またはUV、マイクロ波、X線もしくは電子照射によりおよび/または遊離ラジカル生成剤、アニオン、カチオン、酸および/または光酸の使用によって開始することができる、触媒の存在も、同様に役立つかまたは必要であり得る。架橋結合反応は、好ましくは、開始剤も触媒も添加する必要のない反応である
本発明にしたがって好ましい架橋結合可能基Qは、以下に言及される基である。
【0129】
a)末端もしくは環状アルケニルまたは末端ジエニル基およびアルキニル基
適切な単位は、末端もしくは環状二重結合、末端ジエニル基または末端三重結合、特に、2〜40個のC原子、好ましくは、2〜10個のC原子を有し、個々のCH
2基および/または個々のH原子は上記言及される基Rにより置き代えられてもよい末端もしくは環状アルケニル基、末端ジエニル基もしくは末端アルキニル基を含むものである。さらにまた適切なのは、前駆体と見なされ、二重あるいは三重結合をその場で生成することのできる基である。
【0130】
b)アルケニルオキシ、ジエニルオキシもしくはアルキニルオキシ基
さらに、適切なのは、アルケニルオキシ、ジエニルオキシもしくはアルキニルオキシ基、好ましくは、アルケニルオキシ基である。
【0131】
c)アクリル酸基
さらに、適切なのは、最も広義の意味でのアクリル酸単位、好ましくは、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートおよびメタクリルアミドである。C
1−10-アルキルアクリレートおよびC
1−10-アルキルメタクリレートが、特に、好ましい。
【0132】
上記言及したa)〜c)の基の架橋結合反応は、フリーラジカル、カチオン性もしくはアニオン性機構のみならず、環付加により起こり得る。
【0133】
架橋結合反応のための対応する開始剤を添加することも助けになるかもしれない。フリーラジカル架橋結合用の適切な開始剤は、たとえば、過酸化ジベンゾイル、AIBNもしくはTEMPOである。カチオン性架橋結合用の適切な開始剤は、たとえば、AlCl
3、BF
3、過塩素化トリフェニルメチル、八塩化アンチモン酸トロピリウム等である。アニオン性架橋結合用の適切な開始剤は、塩基、特に、ブチルリチウムである。
【0134】
しかしながら、本発明の好ましい態様では、架橋結合反応は、開始剤を添加せずに実行され、熱的にのみ開始される。この選好は、開始剤の不在が、素子特性の劣化を生じ得る層の汚染を防止するという事実に基づく。
【0135】
d)オキセタンおよびオキシラン
架橋結合可能基Qのさらに適切なクラスは、開環によりカチオン的に架橋結合するオキセタンおよびオキシランである。
【0136】
架橋結合反応のための対応する開始剤を添加することも助けになるかもしれない。適切な開始剤は、たとえば、AlCl
3、BF
3、過塩素化トリフェニルメチル、八塩化アンチモン酸トロピリウム等である。同様に、開始剤として光酸を添加することもできる。
【0137】
e)シラン
架橋結合可能基としてさらに適切なのは、シラン基SiR
3であり、ここで、少なくとも2個の基R、好ましくは、全3個の基Rは、Clもしくは1〜20個のC原子を有するアルコキシ基である。この基は、水の存在下反応し、オリゴもしくはポリシロキサンを生じる。
【0138】
f)シクロブタン基
上記言及した架橋結合可能基Qは、これらの基の反応に使用される適切な反応条件のように、当業者に、一般的に知られている。
【0139】
好ましい架橋結合可能基Qは、以下の式Q1のアルケニル基、以下の式Q2ジエニル基、以下の式Q3のアルキニル基、以下の式Q4のアルケニルオキシ基、以下の式Q5のジエニルオキシ基、以下の式Q6のアルキニルオキシ基、以下の式Q7およびQ8のアクリル酸基、以下の式Q9およびQ10のオキセタン基、以下の式Q11のオキシラン基および以下の式Q12のシクロブタン基を含む。
【化28】
【0140】
式Q1〜Q8およびQ11中の基R
11、R
12およびR
13は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜6個のC原子、好ましくは、1〜4個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基である。基R
11、R
12およびR
13は、特に、好ましくは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル、非常に、特に、好ましくは、Hまたはメチルである。使用される添え字は、次の意味を有する:s=0〜8およびt=1〜8。
【0141】
式Q1〜Q11中の破線と式Q12中の破線は、構造単位への架橋結合可能基の結合を表す。
【0142】
式Q1〜Q12中の架橋結合可能基Qは、以下の式Q13〜Q24に示されるとおりに、構造単位に直接結合してもよいかまたは間接的にさらなるモノもしくはポリ環状の芳香族または複素環式芳香族環構造Ar
10を介して結合してよい。
【化29】
【0143】
式Q13〜Q24中のAr
10は、Ar
10と同じ意味をとることができる。
【0144】
特に、好ましい架橋結合可能基Qは、以下である;
【化30-1】
【化30-2】
【0145】
Q7aおよびQ13a〜Q10a中の基R
11およびR
12は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜6個のC原子、好ましくは、1〜4個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基である。基R
11およびR
12は、特に、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル、非常に、特に、好ましくは、メチルである。Q7bおよびQ19b中の基R
13は、出現毎に同一であるか異なり、1〜6個のC原子、好ましくは、1〜4個のC原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基である。基R
13は、特に、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチル、非常に、特に、好ましくは、メチルである。
【0146】
使用される添え字は、次の意味を有する:s=0〜8およびt=1〜8。
【0147】
非常に、特に、好ましい架橋結合可能基Qは、以下である:
【化31-1】
【化31-2】
【化31-3】
【0148】
好ましい基Q1〜Q24において、特に、好ましい基Q1a〜Q24aにおいて、および非常に、特に、好ましい基Q1b〜Q24bにおいて、破線は構造単位への結合を表す。これに関連して、Q12、Q12a、Q12bおよびQ24は、それぞれ、構造単位の二個の隣接する環炭素原子への二個の結合を有する。全ての他の架橋結合可能基は、構造単位への唯一の結合を有する。
【0149】
ポリマー中の架橋結合可能構造単位の割合は、ポリマー中で構造単位として存在する共重合された全モノマー100モル%を基礎として、0.01〜50モル%の範囲、好ましくは、0.01〜30モル%の範囲、特に、好ましくは、0.5〜20モル%の範囲、非常に、特に、好ましくは、1〜15モル%の範囲である。
【0150】
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位を含む本発明のポリマーは、一般的には、1以上の型のモノマーの重合により調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に少なくとも一つの式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および/または(IX)の構造単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CもしくはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のものである。
【0151】
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル(STILLE)重合;
(D)ヘック(HECK)重合;
(E)ネギシ(NEGISHI)重合;
(F)ソノガシラ(SONOGASHIRA)重合;
(G)ヒヤマ(HIYAMA)重合;および
(H)ハートウイッグ-ブーフバルト(HARTWIG-BUCHWALD)重合;
これらの方法により重合を行うことができる方法およびポリマーを反応媒体から分離し純化することのできる方法は、当業者に知られ、文献、たとえば、WO 03/048225 A2、WO 2004/037887 A2およびWO 2004/037887 A2に記載されている。
【0152】
C-C結合反応は、好ましくは、スズキカップリング、ヤマモトカップリングおよびスチルカップリングより成る群から選ばれ、C-N結合反応は、好ましくは、ハートウイッグ-ブーフバルトカップリングである。
【0153】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブーフバルト重合によって調製されることを特徴とする、本発明によるポリマーの調製方法に関する。
【0154】
本発明によるポリマーの合成のために、対応する式(MI)のモノマーが必要とされる。
【化32】
【0155】
式中:Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4およびAr
5は、式(I)の構造単位に関して上記で示される意味をとることができる。
【0156】
本発明によるポリマー中で式(I−1)または(I−2)の構造単位をもたらす式(MI−1)または(MI−2)のモノマーは、対応して置換され、このモノマーがポリマー中に組み込まれることを可能とする適切な官能基を二個の位置で有する。したがって、本発明は、同様に式(MI−1)または(MI−2)のモノマーに関する。Yは、出現毎に、同一であるか異なり、重合反応のために適切な脱離基であり、ポリマー化合物中へのモノマー単位の組み込みを容易にする。Yは、好ましくは、ハロゲン、O-トシレート、O-トリフレート、O-スルホネート、ボロン酸エステル、部分的にフッ素化されたシリル基、ジアゾニウム基および有機錫化合物の種から、同一であるか異なり、選択される化学官能基を表す。
【0157】
モノマー化合物の基本的構造は、標準的な方法、例えば、フリーデルクラフツアルキル化もしくはアシル化により、官能化することができる。更に、基本的構造は、有機化学の標準的な方法によりハロゲン化することができる。ハロゲン化化合物は、随意に、追加的官能化工程でさらに反応することができる。たとえば、ハロゲン化化合物は、直接か、ボロン酸誘導体もしくは有機錫誘導体への変換後、反応のための出発物質として使用され、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーが得られる。
【0158】
前記方法は、当業者に知られた反応からの単なる選択であり、本発明の化合物の合成のために当業者は、進歩性を要することなく、後者を使用することができる。
【0159】
本発明によるポリマーを純粋物としてだけではなく、その代わりに任意の所望の型の更なるポリマー状、オリゴマー状、樹状もしくは低分子量物質と一緒に、混合物として使用することができる。本発明での低分子量物質は、100〜3000g/モル%の範囲、好ましくは、200〜2000g/モル%の範囲の分子量を有する化合物という意味で使用される。これらのさらなる物質は、たとえば、電子特性を改善し、それ自体、発光し得る。前記のとおり、混合物は少なくとも一つのポリマー成分を含む混合物を意味する。こうして、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)の構造単位を含む本発明の一以上のポリマーと随意に一以上のさらなるポリマーを含む混合物(ブレンド)から成る一以上のポリマー層が、一以上の低分子量物質を使用して、調製することができる。
【0160】
したがって、本発明は、さらに、本発明による1以上のポリマーと、1以上のさらなるポリマー状、オリゴマー状、樹状または低分子量物質を含むポリマーブレンドに関する。
【0161】
本発明は、さらに、本発明による一以上のポリマーまたはブレンドを一以上の溶媒中に含む溶液および調合物に関する。このような溶液を調製することができる方法は、当業者により知られ、たとえば、WO 02/072714 A1、WO 03/019694 A2およびそこに引用された文献に記載されている。
【0162】
これらの溶液は、たとえば、表面被覆法(たとえば、スピンコーティング)あるいは印刷プロセス(たとえば、インクジェット印刷)により薄いポリマー層を製造するために、使用することができる。
【0163】
架橋結合可能基Qを含む構造単位を含むポリマーは、現場UV光重合もしくは光加工のような、熱もしくは光誘導現場重合および現場架橋によるフィルムまたは被覆の製造のために、特に、構造化された被覆の製造のために、特に、適切である。ここで、対応するポリマーを純粋物として使用するだけでなく、上記のとおりのこれらのポリマーの調合物もしくは混合物を使用することも可能である。
【0164】
これらは、溶媒および/またはバインダーの添加を使用しないことが、または、使用することができる。上記の方法のための適切な材料、プロセスおよび装置は、たとえば、WO 2005/083812 A2に記載されている。可能なバインダーは、たとえば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルブチラールおよび同様に光電子的に中性のポリマーである。
【0165】
適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジオン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0166】
したがって、本発明は、さらに、架橋結合されたポリマーの調製のための架橋結合可能基Qを含む構造単位を含むポリマーの使用に関する。架橋結合可能基は、好ましくは、ビニル基またはアルケニル基であり、好ましくは、ウイティッヒ反応またはウイティッヒ類似反応により、ポリマー中に組み込まれる。架橋結合可能基が、ビニル基またはアルケニル基であるならば、架橋結合は、フリーラジカルもしくはイオン性重合により生じることができ、熱的もしくは放射により誘導することができる。好ましくは、熱誘導されるフリーラジカル重合であり、温度は250℃未満が好ましく、温度は200℃未満が、特に、好ましい。
【0167】
より高度の重合度を達成するために、架橋結合プロセス中に、追加のスチレンモノマーが随意に添加される。添加されるスチレンモノマーの割合は、ポリマー中で構造単位として存在する共重合された全モノマー100モル%を基礎として、好ましくは、0.01〜50モル%の範囲、特に、好ましくは、0.1〜30モル%の範囲である。
【0168】
したがって、本発明は、また、以下の工程を含む架橋結合されたポリマーの調製方法に関する:
(a)一以上の。架橋結合可能基Qを含む構造単位を含むポリマーの提供;および
(b)熱的もしくは放射により、好ましくは、熱誘導することができるフリーラジカルもしくはイオン性架橋結合、好ましくは、フリーラジカル性架橋結合。
【0169】
本発明によるプロセスにより調製された架橋結合されたポリマーは、全ての通常の溶媒に不溶性である。こうして、引き続く層の適用によってさえ、溶解しないか、部分的にも溶解しない規定された層厚を製造することが可能となる。
【0170】
したがって、本発明は、また、上記プロセスにより得ることができる架橋結合されたポリマーに関する。架橋結合されたポリマーは、上記説明したとおり、好ましくは、架橋結合されたポリマー層の形で製造される。全溶媒中での架橋結合されたポリマーの不溶性に基づいて、さらなる層が、上記説明した技術を使用して、溶媒からこの型の架橋結合されたポリマー層の表面に適用することができる。
【0171】
本発明は、また、いわゆるハイブリッド素子を包含し、溶液から加工される一以上の層と低分子量物質の気相堆積により製造された層が、生じ得る。
【0172】
本発明によるポリマーは、電子もしくは光電子素子またはその製造のために使用することができる。
【0173】
したがって、本発明は、さらに、本発明によるポリマーの電子素子または光電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光電池(OPV)素子もしくは有機光受容器(OPC)、特に、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)における使用に関する。
【0174】
上記言及したハイブリッド素子の場合には、用語結合PLED/SMOLED(ポリマー発光ダイオード/小分子有機発光ダイオード)構造が、有機エレクトロルミッセンス素子に関して使用される。
【0175】
OLEDを製造することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、一般的プロセスとして、WO 2004/070772 A2に詳細に記載されており、個々の場合に対応して採用されるべきである。
【0176】
上記のとおり、本発明のポリマーは、OLEDまたはこうして製造されるディスプレーでのエレクトロルミネセンス材料として、非常に特に適切である。
【0177】
本発明の意味で、エレクトロルミネセンス材料は、活性層として使用することのできる材料とみなされる。活性層は、層が、電界の適用で発光することができるものであること(発光層)および/または、正および/または負電荷の注入および/または輸送を改善するものであること(電荷注入もしくは電荷輸送層)を意味する。
【0178】
それゆえ、本発明は、また、本発明のポリマーのOLEDでの、特に、エレクトロルミネセンス材料としての使用にも関する。
【0179】
したがって、本発明は、さらに、一以上の活性層を有し、少なくとも一つのこれらの活性層が、本発明の1以上のポリマーを含む電子素子または光電子素子、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機集積回路(O-IC)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機太陽電池(O-SC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機光電池(OPV)素子もしくは有機光受容器(OPC)、特に、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)に関する。活性層は、たとえば、発光層、電荷輸送層および/または電荷注入層であり得る。
【0180】
本出願のテキストおよび以下の例は、特に、OLEDと対応する表示装置に関する本発明のポリマーの使用に向けられている。説明の制限にもかかわらず、当業者には、更なる発明段階を要することなく、本発明のポリマーを他の電子素子中での上記される更なる使用のための半導体として使用することが可能である。
【0181】
以下の例は、本発明を説明する意図のものであるが、それにより限定するものではない。特に、関連する例に基づいて定義された化合物のそこに記載された特徴、特性および利点は、詳細には説明されていない他の化合物にも適用することができ、他に断らない限り、本発明の保護範囲内のものである。
【0182】
例:
パートA:モノマーの合成
全ての合成を、特に断らなければ、アルゴン雰囲気下で、無水溶剤中で行う。
【0183】
A1 前駆体の調製
A1.1 3-クロロ-3,7-ジメチルオクタンの調製
【化33】
【0184】
100ml(522ミリモル)の3,7-ジメチルオクタノール(CAS 78-69-3)を最初に導入し、0.2ml(2ミリモル)のピリジンを添加し、その混合物を−5℃まで冷却する。温度が5℃を超えない速度で撹拌しながら、45.6ml(628ミリモル)の塩化チオニルを滴下する。生成されたHClとSO
2ガスを、アルゴン流を使用して、装置から除去し、スクラブ塔を介して排出する。添加が完了したとき、混合物を2時間撹拌し、冷却を止め、混合物をさらに12時間撹拌する。最初に、余分な塩化チオニルを室温で、および減圧下で、ビグリューカラム(長さ約10cm)を介して蒸留する。次いで、生成物は2ミリバールで、および60〜65℃のヘッド温度で、分別蒸留にかけられ、88.9g(理論値の96%)の生成物を無色のオイルとして生じる。
【0185】
A1.2 アルキル化芳香族化合物Alk1〜Alk3の調製
アルキル化芳香族化合物を、以下例示して説明するプロセスAおよびBにより、フリーデル・クラフツ反応によって調製する。
【0186】
プロセスA:
4,4’-ジ-t-ブチルビフェニル(Alk1)を生じるための、塩化t-ブチルを使用するアルキル化
【化34】
【0187】
613gのビフェニル(3.975モル)を2.5lのジクロロメタン中で溶解し、24.5g(0.15モル)の塩化鉄(III)を添加する。1227mlの塩化t-ブチル(11.130モル)を3時間にわたって、室温で、激しく撹拌しながら滴下する。この添加期間中、生成されたHClガスを、アルゴン流を使用して、装置から除去し、スクラブ塔を介して排出する。添加が完了したとき、混合物を4時間、還流下で加熱する。次いで、加熱を止め、混合物をさらに12時間撹拌する。混合物を約750gのシリカゲルで濾過し、次いで、約500mlのジクロロメタンで洗浄する。黄色の溶液は、ロータリーエバポレーター中で溶媒を完全に除かれ、残留するオレンジ色の固形物を60℃で、約2lのエタノールと共に撹拌して洗浄する。混合物を1時間、0℃で冷却し、次いで、固形物を吸引濾過し、その度毎に300mlの冷温のエタノールで2度洗浄する。真空乾燥キャビネット中で乾燥後、827g(理論値の78%)の淡黄色の結晶性固形物が残留する。
【0188】
プロセスB:
ジ(3,7-ジメチルオクタン-3-イル)ビフェニルを生じるための、3-クロロ-3,7-ジメチルオクタンを使用するアルキル化(Alk2)
【化35】
【0189】
24.7g(160ミリモル)のビフェニルと26.0g(160ミリモル)の塩化鉄(III)を溶媒なしで、最初に導入し、精密ガラス攪拌器を使用して混合する。85.0g(480ミリモル)の6-クロロ-3,7-ジメチルオクタンを30分間にわたって、氷浴を使用して冷却しながら滴下して添加し、この場合、混合物は益々撹拌しやすくなる。この添加期間中、生成されたHClガスを、アルゴン流を使用して、装置から除去し、スクラブ塔を介して排出する。添加が完了したとき、混合物をさらに4時間、撹拌し、次いで、約100mlのヘプタンを添加する。懸濁液を約30gのシリカゲルを通して濾過し、次いで、それを約500mlのヘプタンで洗浄する。淡黄色の溶液は、ロータリーエバポレーター中で溶媒を完全に除かれ、黄色のオイルが残る。このオイルから、余分な3-クロロ-3,7-ジメチルオクタンと一置換ビフェニルとを、蒸留ブリッジを介して、10
−2ミリバールおよび170℃までのヘッド温度で、冷却せずに除く。少量の未反応のビフェニルは時折、ブリッジ中で結晶化することもある。54.9g(異性体混合物として理論値の79%)の黄色オイルが蒸留器中に残留する。
【0190】
Alk2のGC−MS分析は、生成物について予測される質量と共に、GCのピークの約60:35:5面積%の比により、3つの化合物を示す。NMR分光計と、アルキル化期間中に中間体として予想される3級カルボカチオンとにより、可能性のある以下の置換パターンが得られた(立体異性体を無視する)。
【化36】
【0191】
よって、示されているC
10−アルキル置換基は、任意の所望の割合の組成分における、以下の可能性のある異性体および/またはその混合物の典型であることを意図されている。
【0192】
フルオレンを同様にアルキル化して、Alk3を生じることができる:
【化37】
【0193】
A1.3 臭化物Bro1〜Bro5の調製
A1.3.1 化合物Alk1〜Alk3の臭素化
2-ブロモ-4,4’-ジ-t-ブチルビフェニル(bro1)の調製
【化38】
【0194】
54.9g(126ミリモル)の4,4’-ジ-t-ブチルビフェニルを120mlで溶解する。40mlのジクロロメタン中の12.9ml(253ミリモル)の臭素を、15分間にわたって、室温で、撹拌しながら滴下し、その期間に混合物は沸騰し始める。混合物をさらに3時間、還流下で加熱する。次いで、混合物を0℃まで冷却し、50mlの飽和含水チオ硫酸ナトリウム溶液を、激しく撹拌しながら添加し、その混合物をさらに15分間撹拌する。相が分離する。有機相を飽和含水チオ硫酸ナトリウム溶液で2度、飽和含水炭酸水素ナトリウム溶液で2度洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーター中で溶媒は完全に取り除かれる。残留物を50mlのヘプタンで取り、約50gのシリカゲルで濾過し、次いで100mlのヘプタンで洗浄する。溶媒をロータリーエバポレーター中で除く。残留する残留物を、10
−3ミリバール、および180℃まで段階的に増加するジャケット温度でのショートパス蒸留で精製する。60.6g(理論値の81%)の黄色の固形物が残留する。
【0195】
臭化物Bro2とBro3を同様に調製することができる。
【化39】
【0196】
A1.3.2 Bro4の調製
4-ブロモ-2,7-ジ-t-ブチルフルオレン(Bro3)をBull. Chem. Soc. Jpn. 1986, 59, 97-103にしたがって、脱アルキル化して、4-ブロモフルオレン(Bro5)を生じる:
【化40】
【0197】
A1.3.3 Bro5の調製
1-ヨードオクタン(CAS 629-27-6)を使用して、Organometallics 2013, 32, 460-467に類似して、4-ブロモフルオレン(Bro4)をアルキル化して、4-ブロモ-9,9-ジ-n-オクチルフルオレン(Bro5)を生じることができる。
【化41】
【0198】
A1.5 スピロビフルオレンSpi1〜Spi3の調製
4-ブロモ-9,9’スピロビフルオレン(Spi1)を、以下のスキームにしたがい、Organic Letters 2009, 11, 2607-2610に類似して調製することができ、2つの工程にわたって77%の収率である。
【化42】
【0199】
類似のプロセスで、化合物Spi2とSpi3について例示で示されているように、4,4’-ジアルキル置換-2-ブロモビフェニルと4-ブロモフルオレンとの反応により、2’,7’ジアルキル化4-ブロモ-9,9’-スピロビフルオレンを調製することができる:
【化43】
【0200】
A1.6 ジアリルアミンArA1とArA2の合成:
A1.6.1 ArA1の合成:
【化44】
【0201】
60.0g(220ミリモル)のBro5を0.8lの無水トルエン中で溶解し、20.5g(220ミリモル)のアニリンと42g(0.44モル)のナトリウムtert-ブトキシドを連続して添加し、溶液を窒素で飽和させる。1.8g(2.2ミリモル)の[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを添加し、反応混合物を還流下で24時間撹拌する。固形物を濾過し、トルエンで洗浄する。濾過物を蒸発させ、溶出剤として1/1トルエン/ヘプタン/混合物と共に、シリカゲルカラムを通過させる。次いで、溶媒をロータリーエバポレーター中で可能な限り取り除き、残留物を最後に真空乾燥キャビネットで乾燥させ、51.4g(論理値の82%)の粘性のオイルが残る。
【0202】
A1.6.2 ArA2の合成:
【化45】
【0203】
50.0g(126ミリモル)のSpi1を0.5lの無水トルエン中で溶解し、11.8g(126ミリモル)のアニリンと24.3g(253ミリモル)のナトリウムtert-ブトキシドを連続して添加し、溶液を窒素で飽和させる。1.0g(1.2ミリモル)の[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを添加し、反応混合物を還流下で24時間撹拌する。固形物を濾過し、トルエンで洗浄する。濾過物を蒸発させ、高温のエタノールと共に撹拌し、酢酸エチルから再結晶化させる。固形物を吸引濾過し、真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、40.2g(理論値の78%)の白色の固形物が残る。
【0204】
A1.6 トリアリールアミンMo1.A、Mo4.A、Mo6.A、Mo11.A、Mo13.A、Mo15.Aの調製
2,8-ジブロモ-6,6,12,12-テトラオクチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレンを、Macromolecules 2000, 33, 2016-2020にしたがって調製することができる。
【化46】
【0205】
プロセスA:
30.0g(34.9ミリモル)の2,8-ジブロモ-6,6,12,12-テトラオクチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレンを0.3lの無水トルエン中で溶解し、18.1g(72.6ミリモル)のビフェニル-2-イルフェニルアミン(CAS 35887-50-4)と、36.7g(111ミリモル)の炭酸セシウムと、0.32g(1.4ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とを固形物として連続して添加し、溶液を窒素で飽和させる。2.8ml(2.8ミリモル)のトリ-t-ブチルホスフィン溶液(トルエン中1M)を添加し、反応混合物を還流下で24時間撹拌する。形物を濾過し、トルエンで洗浄する。濾過物を蒸発させ、高温のエタノールと共に撹拌し、吸引濾過し、沈殿した固形物と共に真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、28.3g(理論値の68%)の黄色の固形物が残る。
【0206】
プロセスB:
エタノールで(24時間まで)延長撹拌した後でさえも、固形物として得られないか、または再結晶後に適切な純度で得られない化合物については、溶出剤としてトルエンを用いて、シリカゲル(物質の単位グラム当たり約20g)においてカラムクロマトグラフィーによる精製を行う。次いで、溶媒をロータリーエバポレーター中で可能な限り取り除き、最後に、真空乾燥キャビネットで乾燥させる。
【0207】
以下の化合物を、説明したプロセスに類似して調製することができる:
【化47】
【0208】
A2. 4-ブロモフェニルラジカルを含む本発明によるビストリアリールアミンMo1.Br、Mo4.Br、Mo6.Br、Mo11.Br、Mo13.Br、Mo15.Brの調製
プロセスA:Mo1.Brの調製
【化48】
【0209】
28.3g(23ミリモル)の2,8-ジ[(ビフェニル-2-イル)フェニルアミノ]-6,12,12-テトラオクチル-6H,12H-インデノ[1,2-b]フルオレン(Mo1.A)を0.7lの無水テトラヒドロフラン(THF)中で溶解し、0℃まで冷却する。8.5g(47ミリモル)のN-ブロモスクシンイミドを、固形物として小分けして添加し、溶液を14時間、20℃で撹拌する。
【0210】
反応混合物を蒸発させる。残留物を高温のエタノール中で撹拌する。固形物を濾過し、酢酸エチル(この場合は0.8l)から3度再結晶化させる。固形物を吸引濾過して真空乾燥キャビネット中で乾燥させた後、10
−5ミリバールおよび180℃で加熱して溶媒の残留物と揮発性の不純物を取り除き、HPLCによると、純度99.8%をもつ22.0g(理論値の71%)の黄色の粉末を生じる。
【0211】
プロセスB:
エタノールで(24時間まで)延長撹拌した後でさえも、固形物として得られないか、または再結晶後に適切な純度で得られない化合物については、溶出剤としてトルエンを用いて、シリカゲル(物質の単位グラム当たり約20g)においてカラムクロマトグラフィーによる精製を行う。次いで、溶媒をロータリーエバポレーター中で可能な限り取り除き、最後に、10
−5ミリバールおよび180℃で加熱して溶媒の残留物と揮発性の不純物を取り除く。
【0212】
以下の化合物を、説明したプロセスに類似して調製することができる:
【化49】
【0213】
A3. 4-ピナコラートボラニルフェニルラジカルを含む本発明によるビストリアリールアミンMo1.Bo、Mo4.Bo、Mo6.Bo、Mo11.Bo、Mo13.Bo、Mo15.Boの調製
プロセスA:Mo1.Boの調製
【化50】
【0214】
22.0g(16.3ミリモル)の2,8-ジ[(ビフェニル-2-イル)-(4-ブロモフェニル)アミノ]-6,6,12,12-テトラオクチル-6H,12H-インデノ[1,2-b]フルオレン(Mo1.Br)と、8.8g(35ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと、8.0g(82ミリモル)の硝酸カリウムとを200mlのジオキサンに最初に導入する。混合物をアルゴンで飽和させ、0.38g(0.69ミリモル)の1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンと0.15g(0.69ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加し、混合物を還流下で14時間加熱する。室温まで冷却後、混合物を約50gのセライトを通して濾過し、ロータリーエバポレーター中で溶媒を可能な限り取り除く。残留する濃茶色の残留物を約150mlのヘプタンで取り、3時間、激しく撹拌する。吸引濾過後、吸着剤なしで、連続高温抽出器中の相互に挿入された2つの円筒ろ紙から、約16時間、200mlのヘプタンで固形物を抽出する。室温まで冷却後、固形物を吸引濾過し、母液をロータリーエバポレーター中で蒸発乾固させる。2つの固形物を合わせ、約150mlのヘプタンで取る。懸濁液を加熱して還流し、トルエン(約40ml)を完成した溶液へ滴下して添加する。室温まで冷却後、生成した固形物を吸引濾過し、説明したように再結晶化させる。固形物を吸引濾過して真空乾燥キャビネット中で乾燥させた後、10
−5ミリバールおよび200℃で加熱して、溶媒の残留物と揮発性の不純物を取り除き、HPLCによると、純度99.8%をもつ11.7g(理論値の50%)の黄色の固形物が残る。
【0215】
プロセスB:
ヘプタンで(24時間まで)延長撹拌した後でさえも、固形物として得られないか、または再結晶後に適切な純度で得られない化合物については、溶出剤としてトルエンを用いて、シリカゲル(物質の単位グラム当たり約20g)においてカラムクロマトグラフィーによる精製を行う。次いで、溶媒をロータリーエバポレーター中で可能な限り取り除き、最後に、10
−5ミリバールおよび180℃で加熱して溶媒の残留物と揮発性の不純物を取り除く。
【0216】
以下の化合物を、説明したプロセスに類似して調製することができる:
【化51】
【0217】
A4. 使用する他のモノマーMo7.Bo、Mo8.Bo、Mo9.Br、Mo9.Bo、Mo12.Br、Mo12.Bo、Mo16.Boの調製
A4.1 3,3’-ビス(ピナコラートボラニル)ビフェニル(Mo7.Bo)の調製
【化52】
【0218】
100.0g(321ミリモル)の3,3’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル(CAS 16400-51-4)と、244.2gのビス(ピナコラート)ジボラン(963ミリモル)と、125.8g(1.3モル)の硝酸カリウムと、5.24g(6ミリモル)の1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリドとを激しく撹拌しながら、1lのテトラヒドロフラン中で2日間、還流下で加熱する。反応混合物を室温でセライトを通して濾過する。溶媒を真空で取り除き、残留する固形物をアセトニトリルから再結晶化させる。生成した固形物を濾過し、真空中で乾燥させ、その後140℃および10
−5ミリバールの圧力で昇華させ、HPLCによると、純度99.7%をもつ55.7g(理論値の43%)の無色の粉末を生じる。
【0219】
A4.2 Mo8.Brの調製
工程1:Mo8.Aの調製
【化53】
【0220】
50.7g(100ミリモル)のSpi2と、16.9g(100ミリモル)のジフェニルアミンと、14.4g(150ミリモル)のナトリウムt-ブトキシドとを0.4lのトルエン中で懸濁させる。混合物をアルゴンで飽和させ、2ml(2ミリモル)のトリ-t-ブチルホスフィン(トルエン中1M)と、0.2g(1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加し、混合物を6時間、還流下で加熱する。室温まで冷却後、固形の構成成分を濾過し、有機相をその度毎に100mlの水で3度洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除く。残留する固形物を30分間、その度毎に50mlのヘプタンで2度撹拌し、濾過し、真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、54.8g(理論値の92%)のベージュ色の固形物が残る。
【0221】
工程2:Mo8.Brの調製
【化54】
【0222】
54.8g(92ミリモル)のMo8.Aを最初に600mlのTHFへ導入し、0℃まで冷却する。混合物の温度が5℃を超えない速度で激しく撹拌しながら、固形物として32.7g(184ミリモル)のN-ブロモスクシンイミドを、小分けして添加する。冷却を止め、混合物をさらに12時間撹拌する。溶媒をロータリーエバポレーター中で完全に取り除く。残留物を約350mlのトルエン中で溶解し、酸化アルミニウム(塩基、活性度1)を通して濾過し、再度、ロータリーエバポレーター中で蒸発乾固させる。残留する固形物を約1lのヘプタンから3度、再結晶化させる。スクシンイミドの残留物を、温エタノールと共に撹拌することにより、固形物の洗浄を反復することによって取り除く。吸引濾過および真空乾燥キャビネットでの乾燥後、これは10
−5ミリバールおよび270℃で、2度の分別昇華にかけられ、HPLCによると、純度99.9%をもつ43.0g(理論値の62%)の無色のガラス様の固形物が残る。
【0223】
A4.3 Mo9.Brの調製
工程1:
【化55】
【0224】
50.0g(295ミリモル)のジフェニルアミンを最初に、1000mlのトルエン中へ、64.5g(355ミリモル)の3-ブロモベンゾニトリルと、20ml(20ミリモル)のトリ-t-ブチルホスフィン溶液(トルエン中1M)と、2.65g(11ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、85.2g(886ミリモル)のナトリウムt-ブトキシドと共に導入し、15時間、撹拌しながら還流下で加熱する。冷却後、有機相をその度毎に1000mlの水で3度洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、真空で蒸発乾固させる。残留する固形物を、酸化アルミニウム(塩基、活性度1)のベッドを通して、連続高温抽出器中で約400mlのヘプタンにより抽出する。冷却後、沈殿した固形物を濾過し、約200mlのヘプタンで2度洗浄し、真空で乾燥させ、53.0g(理論値の66%)の淡色の固形物が残る。
【0225】
工程2:
【化56】
【0226】
53.0g(196ミリモル)の3-ジフェニルアミノベンゾニトリルを、500mlの乾燥したテトラヒドロフラン中で溶解し、0℃まで冷却する。氷冷却と、温度が5℃を超えない速度での激しい撹拌とをしながら、固形物として69.8g(392ミリモル)のN-ブロモ-スクシンイミドを、小分けして添加する。冷却を止め、混合物をさらに12時間撹拌する。溶媒を真空で取り除き、残留する固形物を、可能な限り少量の酢酸エチル中に溶解させる。溶液を、約500mlの水酸化ナトリウム水溶液(5%)で3度、水で2度洗浄する。有機相を蒸発乾固させ、70.8g(理論値の84%)の無色の固形物が残る。
【0227】
工程3:
【化57】
【0228】
70.8g(165ミリモル)の3-[ビス-(4-ブロモフェニル)]ベンゾニトリルを700mlの無水ジクロロメタン中で溶解し、−78℃まで冷却する。トルエン中の174ml(174ミリモル)の水素化ジイソブチルアルミニウムの1M溶液を、温度が−50℃を超えない速度で、滴下する。冷却を止め、混合物を10℃まで温めさせておき、再度−10℃まで冷却する。175mlのテトラヒドロフランの添加後、43gの濃硫酸と175mlの水の混合物を迅速に添加し、その混合物をさらに冷却せずに、12時間撹拌する。混合物を、水酸化ナトリウム水溶液を使用して中性にさせる。有機相を分離させ、約350mlの水で2度、350mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1度洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーター中で取り除き、黄色のオイルを残し、これは24時間以内に結晶化する。固形物を酸化アルミニウム(塩基、活性度1)のベッドを通して、連続高温抽出器中で約300mLのヘプタンにより抽出し、冷却後、濾過し、イソプロパノールから3度再結晶化させる。真空で乾燥させると、13.0g(理論値の18%)の黄色の固形物が残る。
【0229】
A4.4 Mo9.Boの調製
【化58】
【0230】
13.0g(30ミリモル)の3-[ビス-(4-ブロモフェニル)アミノ]ベンズアルデヒドと、33.7g(137ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと、14.8g(151ミリモル)の酢酸カリウムと、0.27g(1.2ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、0.69g(1.2ミリモル)のビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを、14時間激しく撹拌しながら、還流下で、500mlのジオキサン中で加熱する。溶媒を真空で取り除き、残留した固形物を可能な限り少量の酢酸エチルで取り、酢酸エチルとヘプタンの混合物(1:1)と共に、シリカゲルを通して濾過する。溶媒を真空で取り除き、残留したオイルを約100mlのヘプタンで2時間撹拌する。この期間に生成された固形物を濾過し、真空で乾燥させ、その後、200℃および10
−5ミリバールの圧力下で、分別昇華にかけ、HPLCによると、純度99.8%をもつ3.5g(理論値の22%)の無色の粉末として生成物を生じる。
【0231】
A4.5 Mo12.Brの調製
【化59】
【0232】
71.5gのN4,N4’-ビスビフェニル-4-イル- N4,N4’-ジフェニルビフェニル-4,4’-ジアミン(112ミリモル)(CAS:134008-76-7)を、1.5lの無水テトラヒドロフラン(THF)中で溶解し、0℃まで冷却する。40gのN-ブロモスクシンイミド(224ミリモル)を固形物として、小分けして添加し、溶液を14時間、20℃で撹拌する。
【0233】
固形物を濾過し、THFで洗浄する。濾過物を共に蒸発させ、水と共に撹拌し、吸引濾過し、真空乾燥キャビネット中で乾燥させる。残留物を、ジメチルホルムアミド(DMF)から2度、再結晶化させる(700mlと500ml)。次いで、固形物を700mlのエタノールで3度撹拌し、その後、乾燥キャビネット中で乾燥させ、HPLCによると、純度99.9%をもつ72.7g(理論値の82%)の淡色の固形物が残る。
【0234】
A4.6 Mo12.Boの調製
【化60】
【0235】
58.3gのN4,N4’-ビスビフェニル-4-イル- N4,N4’-ビス-(4-ブロモフェニル)ビフェニル-4,4’-ジアミン(73ミリモル)を、1.5lの無水THF中で溶解し、44.5gのビス(ピナコラート)ジボロン(175.2ミリモル)と、43gの酢酸カリウム(438ミリモル)を固形物として連続して添加し、溶液をアルゴンで飽和させ、1.2gの1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-Pd(II)ジクロリド錯体を添加し、反応混合物を22時間、還流下で撹拌する。
【0236】
固形物をシリカゲルとセライトを通して濾過し、その溶液を蒸発させる。800mlのジクロロメタンを残留物に添加する。相を分離させる。有機相を300mlの水で3度洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、次いで濾過し、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。生成物をシリカゲル(溶出剤としてトルエン)を通して濾過する。クリーン部分(約35g)を、50mlのヘプタンと170mlのトルエンの混合物から再結晶化させる。固形物を濾過し、ヘプタンで洗浄し、乾燥させ、HPLCによると、純度99.1%をもつ33.5g(理論値の52%)の無色の粉末として生成物を生じる。
【0237】
A4.7 Mo16.Boの調製
2’,7’-ビス-(3,7-ジメチルオクタン-3-イル)-9,9’-スピロビフルオレン-4-イルビス-(3-ブロモフェニル)アミン(Mo16.Bo)の調製
工程1:
【化61】
【0238】
180.0g(266ミリモル)の4-ブロモ-2,7’-ビス-(3,7-ジメチルオクタン-3-イル)-9,9’-スピロ-ビフルオレン(Spi3)を2lの無水ジオキサン中で溶解し、56.2g(480ミリモル)のカルバミン酸t-ブチル(CAS 4248-19-5)と、182.5g(560ミリモル)の炭酸セシウムと、12.3g(21.3ミリモル)の4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(キサントホス)を固形物として連続して添加し、次いで、溶液を窒素で飽和させる。3.6g(16ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加し、反応混合物を還流下で2日間撹拌する。溶媒をロータリーエバポレーター中で可能な限り取り除き、暗色の残留物を高温のヘプタンで抽出する。溶媒をロータリーエバポレーター中で完全に取り除き、残留する固形物をトルエン/ヘプタン混合物(1:1)から再結晶化させる。固形物を吸引濾過し、真空乾燥キャビネット中で乾燥させ、119.5g(理論値の63%)の淡黄色の固形物が残る。
【0239】
工程2:
【化62】
【0240】
119.0g(167.2ミリモル)のt-ブチルN-[2’,7’-ビス-(3,7-ジメチルオクタン-3-イル)-9,9’-スピロビフルオレン-4-イル]カルバミン酸を、500mlの無水ジクロロメタン中で溶解し、51.5ml(670ミリモル)のトリフルオロ酢酸を慎重に滴下する。反応混合物を室温で2時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残留物を300mlのトルエンで溶解する。有機相をその度毎に300mlのNaOH(1M溶液)で2度洗浄し、次いで400mlの水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーター中で除き、96.2g(理論値の94%)の白色の固形物が残る。
【0241】
工程3:Mo16.Brの調製
【化63】
【0242】
97.8g(346ミリモル)の1-ブロモ-3-ヨードベンゼンと、96.1g(157ミリモル)の4-アミノ-2’,7’-ビス-(3,7-ジメチルオクタン-3-イル)-9,9’-スピロビフルオレンと、2.4g(12.6ミリモル)のヨウ化銅(I)と、70.4g(1.26モル)の水酸化カリウムと、2.27g(12.6ミリモル)の1,10-フェナントロリンとを、750mlのo-キシレン中で懸濁させる。反応混合物をアルゴンで飽和させ、還流下で終夜、撹拌する。混合物を室温まで冷却し、その後、トルエンと共に、シリカゲルおよび酸化アルミニウムを通して濾過し、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。薄茶色の固形物を吸引濾過する。次いで、固形物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)により精製する。生成物をヘプタン/トルエン混合物(1:1)から再結晶化させ、HPLCによると、純度99.7%をもつ76.8g(理論値の53%)の無色の粉末として生成物を生じる。
【0243】
ステップ4:Mo16.Boの調製
【化64】
【0244】
70.0g(76ミリモル)のMo16.Brと、41.0g(161ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと、37.6g(383ミリモル)の硝酸カリウムとを0.8lのジオキサンに最初に導入する。混合物をアルゴンで飽和させ、1.75g(3.22ミリモル)の1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンと0.72g(3.22ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を添加し、混合物を還流下で14時間加熱する。室温まで冷却後、混合物を約50gのセライトを通して濾過し、ロータリーエバポレーター中で溶媒を可能な限り取り除く。残留する暗色の残留物を約700mlのヘプタンで取り、3時間、激しく撹拌し、その期間には茶色の固形物が沈殿する。吸引濾過後、吸着剤なしで、連続高温抽出器中の相互に挿入された2つの円筒ろ紙から、約16時間、1000mlのヘプタンで固形物を抽出する。室温まで冷却後、固形物を吸引濾過し、母液をロータリーエバポレーター中で蒸発乾固させる。2つの固形物を合わせ、説明したように再度、高温抽出する。使用する円筒ろ紙は、第2の抽出後、依然として軽く色づいているだけである。母液を再度、蒸発乾固させ、析出した固形物と合わせる。混合物を約250mlのヘプタンで取り、懸濁液を加熱して還流させ、完全に溶解するまでトルエンを滴下する(約190ml)。室温まで冷却後、生成した固形物を吸引濾過し、説明したように再度、再結晶化させる。固形物を吸引濾過して真空乾燥キャビネット中で乾燥させた後、これを10
−5ミリバールおよび180℃で加熱して、溶媒の残留物と揮発性の不純物を取り除き、HPLCによると、純度99.7%をもつ38.7g(理論値の48%)の無色のガラス様の固形物が残る。
【0245】
A2.5 さらなるモノマー
本発明によるポリマーの調製用のモノマーについては先行技術で既に説明がなされており、市販され、あるいは文献の手順にしたがって調製され、以下の表に要約する:
【化65-1】
【化65-2】
【0246】
パートB:ポリマーの合成
比較ポリマーV1とV2および本発明によるポリマーPo1〜Po14の調製
比較ポリマーV1とV2および本発明によるポリマーPo1〜Po14を、WO 2010/097155に記載のプロセスにしたがい、スズキカップリングによってパートAに示したモノマーから調製する。
【0247】
このようにして調製したポリマーV1とV2およびポリマーPo1〜Po15は、脱離基の除去後、表2(パーセントデータ=モル%)に示されているようにパーセンテージの割合で構造単位を含む。アルデヒド基を含むモノマーから調製したポリマーの場合、WO 2010/097155に記載のプロセスによれば、これらはウィッティヒ反応により、重合化後に架橋性ビニル基へ変換される。以下の表に対応して示され、パートCで使用するポリマーは、よって、当初存在したアルデヒド基ではなく、架橋性ビニル基を含む。
【0248】
ポリマーのパラジウムおよび臭素含有量は、ICP−MSにより測定される。測定された値は10ppm未満である。
【0249】
分子量M
Wと多分散性Dは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)手段により測定される(モデル:Agilent HPLC System Series 1100)(カラム:Polymer LaboratoriesからのPL-RapidH;溶媒:0.12容量%のo-ジクロロベンゼンを含むTHF;検出:UVと屈折率;温度:40℃)。較正をポリスチレン標準を使用して行う。
【0250】
結果を以下の表に要約する。
【表2】
【0251】
パートC:デバイス例
本発明によるポリマーを溶液から処理することができ、OLEDは、真空処理のOLEDよりも製造が非常に容易であるにもかかわらず良品質をもつ結果が得られた。
【0252】
本発明によるポリマーの架橋結合可能な変型が、架橋後、完全に不溶性の層を生じるかについて、WO 2010/097155に類似して試験した。
【0253】
表C1は、WO 2010/097155に記載の洗浄操作後の当初の厚さ20nmの残留層について示している。層の厚さが減少していないならば、ポリマーは不溶性であり、よって、架橋は適切である。
【0254】
表C1:
洗浄試験後の当初の厚さ20nmの残留層をチェック
【表3】
【0255】
表C1で分かるように、架橋基をもたない比較ポリマーV1は、220℃ではほとんど架橋しない。比較ポリマーV2と本発明によるポリマーPo01、Po02、Po05、Po13、Po14は220℃で完全に架橋する。
【0256】
このタイプの溶液ベースのOLEDの生産は、たとえばWO 2004/037887とWO 2010/097155等、文献で既に多数回記載されている。プロセスは以下記載する状況に適している(層厚、バリエーション、材料)。
【0257】
本発明によるポリマーを2つの異なる層のシーケンスで使用する:
構造Aは以下のとおりである:
−基板、
−ITO(50cm)、
−PEDOT(80nm)、
−正孔輸送層(HTL)(20nm)、
−発光層(EML)(60nm)、
−正孔ブロック層(HBL)(10nm)、
−電子輸送層(ETL)(40nm)、
−陰極。
【0258】
構造Bは以下のとおりである:
−基板、
−ITO(50cm)、
−PEDOT(20nm)、
−正孔輸送層(HTL)(40nm)、
−発光層(EML)(30nm)、
−電子輸送層(ETL)(20nm)、
−陰極。
【0259】
厚さ50nmの構造化ITO(インジウムスズ酸化物)で被覆されたガラスプレートは基板としての役目をする。これらはより良好な処理のためにPEDOT:PSSで被覆される。スピンコーティングを空気中の水から行う。層を180℃で10分間加熱することにより乾燥させる。PEDOT:PSSをHeraeus Precious Metals GmbH & Co. KG、ドイツから購入する。正孔輸送層と発光層をこれらのコーティングされたガラスプレートに適用する。
【0260】
いずれの場合でもトルエンで溶解されている本発明による化合物と比較化合物とを、正孔輸送層として使用する。このような溶液の典型的な固形物含有量は約5g/lであり、ここでのように、素子に典型的である20または40nmの厚さがスピンコーティング手段により実現される。層を、不活性ガス雰囲気、本願の場合はアルゴンで、スピンコーティングにより適用し、180℃または220℃で60分間の加熱により乾燥させる。
【0261】
発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材(ホスト材料)と発光ドーパント(エミッター)からなる。さらに、複数のマトリックス剤と共ドーパントとの混合物が生じ得る。H1(92%):ドーパント(8%)のような表現はここでは、材料H1が92重量%の割合で発光層に存在し、ドーパントは8重量%の割合で発光層に存在することを意味している。発光層の混合物は構造Aについてはトルエン中に溶解されている。このような溶液の典型的な固形物含有量はここでは、約18g/lであり、ここでのように、素子に典型的である60nmの層厚は、スピンコーティング手段によって実現される。層を不活性ガス雰囲気、本願の場合にはアルゴンで、スピンコーティングにより適用し、180℃で10分間の加熱により乾燥させる。構造Bでは、発光層は真空チャンバ中での熱蒸発により形成される。ここでの層は1より多数の材料からなることができ、これらの材料は共蒸発によって、ある重量の割合で相互に混合されている。H3:ドーパント(95%:5%)のような表現はここでは、材料H3とドーパントが95重量%:5重量%の割合で層に存在することを意味している。
【0262】
本願の場合に使用する材料を表C2に示す。
【0263】
表C2:
発光層で使用する材料の構造的な化学式
【化66】
【0264】
正孔ブロック層および電子輸送層の材料を同様に、真空チャンバ中での熱気相堆積により適用し、表3に示す。正孔ブロック層はETM1からなる。電子輸送層は2つの材料ETM1とETM2からなり、これらは共蒸発によって、それぞれ50重量%の割合で相互に混合されている。
【0265】
表C3:
使用するHBLとETL材料
【化67】
【0266】
陰極を100nmの厚さを有するアルミニウム層の熱蒸発により形成する。
【0267】
OLEDの正確な構造を表C4に示す。HTLの列は、使用するポリマーと、層が加熱により乾燥されて任意に架橋する温度とを示している。
【表4】
【0268】
OLEDは、標準的な方法により特性決定される。この目的で、エレクトロルミネッセンススペクトルと、ランバート発光特性を仮定する電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)と、(駆動)寿命とを決定する。IUL特性線を、駆動電圧(Vで表示)と、ある輝度における外部量子効率(%で表示)のような、固有値を決定することに使用する。1000cd/m
2におけるLT50は、OLEDが初期輝度1000cd/m
2から初期強度の50%、即ち500cd/m
2へ低下する寿命である。対応して、1000cd/m
2におけるLT80は、OLEDが初期輝度10000cd/m
2から初期強度の80%、即ち8000cd/m
2へ低下する寿命である。
【0269】
種々のOLEDの特性を表C5aとbに要約する。例C01とC02は比較例であり、全ての他の例は本発明によるOLEDの特性を示している。
【0270】
表C5a−b:OLEDの特性
表C5a
【表5】
【0271】
表C5b
【表6】
【0272】
表C5a−bが示すように、本発明によるポリマーは、OLEDで正孔輸送層として使用する際、特に寿命と動作電圧に関して先行技術よりも改良されている。本発明による材料を含んでいる緑色−青色発光OLEDが製造される。