【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の、光学読取装置デバイスと組み合わせた医療デバイスによって達成される。この目的はさらに、請求項19に記載の説明メッセージを生成する方法によって達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。
【0011】
本発明によれば、光学読取装置デバイスと組み合わせた医療デバイスは、少なくとも1つのセンサと、複数の独立制御可能な表示要素を表示するための計器ディスプレイと、該センサで測定された少なくとも1つの測定値および/またはそれから導出されたデータが機械読取可能信号に符号化されるように該計器ディスプレイを制御するよう適用された計器制御ユニットとを含み、光学読取デバイスは、機械読取可能信号を読み取るように、機械読取可能信号を復号するように、かつ復号された機械読取可能信号に対応するメッセージを生成するように適用される。
【0012】
機械読取可能信号は、既定の幾何学的配置内の少なくとも1つの独立制御可能な表示要素の輝度の変化によって特徴づけられる。測定値などの情報は、複数の独立制御可能な表示要素のそれぞれに、その位置に応じた輝度値を割り当てることによって静的に符号化することができる。情報はまた、複数の独立制御可能な表示要素の輝度の経時的な共通の変化によって動的に符号化することもできる。情報はさらに、隣接する独立制御可能な表示要素の個々のサブセットの輝度の独立した変化によって符号化することもできる。
【0013】
独立制御可能な表示要素は、矩形マトリックスの形に配置される画素として形成することができる。
【0014】
独立制御可能な表示要素の既定の幾何学的配置により、前記輝度変化を光学読取デバイスによってサンプリングおよび復号することが可能であり、感光要素の幾何学的配置が独立制御可能な表示要素の幾何学的配置と位置合わせされる。したがって、前記輝度変化は機械読取可能信号を形成する。
【0015】
独立制御可能な表示要素は、オンまたはオフに切り替えられるように制御することができるよう、切替可能表示要素として形成することができる。独立制御可能な表示要素はまた、その輝度および/または色を不連続に段階的に変えるように制御することもできる。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、計器制御ユニットは、複数の独立制御可能な表示要素が、その輝度によって、また既定の符号化方式に従って、センサから取り出された少なくとも1つの測定値、および/またはそれから導出された値を機械読取可能信号として符号化するように、計器ディスプレイを制御する。したがって、感光要素からなる対応する幾何学的配置を備えた光学読取デバイスは、センサから取り出された少なくとも1つの測定値、またはそれから導出された値を復号することができる。
【0017】
一例として、2
n個の異なる測定値のうちの1つを、暗くまたは明るくなるように制御できる、既定の幾何学的配置とした計器ディスプレイのn個の複数の画素によって符号化することが可能である。別の例として、b
n個の異なる測定値のうちの1つを、既定の幾何学的配置とした計器ディスプレイのn個の複数の画素によって符号化することが可能であり、画素の輝度は、暗と明の間のb個の段階で制御することができる。
【0018】
医療試験計器として形成された場合、この医療試験計器を用いて取得された測定値に関する情報が、手作業で前記測定関連情報を再入力する必要なしに、また無線アダプタまたは電気接続などの専用通信手段の必要なしに、前記測定関連情報を処理および/または記憶する物理的に分離された光学読取デバイスへ転送できるデータを形成することは、本発明の特別の利点である。一利点として、通常は比較的小型の計器ディスプレイを含む、現況技術から知られている医療試験計器を本発明により、ハードウェア変更または商品のコスト増大なしに拡張することができる。
【0019】
センサはまた、医療試験計器を用いて取得された測定値と、それに割り当てられるタイムスタンプとの両方が、計器ディスプレイによって符号化されるべきデータを形成するように、クロックを含むこともできる。医療デバイスが薬物送達デバイスとして形成される場合、このようなデータが、デバイスをオンもしくはオフに切り替える、または注射を実施するなどの、医療デバイスと患者のいくつかの対話に関連したタイムスタンプによって形成されることもまた可能である。
【0020】
計器ディスプレイの所与の数の独立制御可能な表示要素に対し、前記計器ディスプレイの人間可読なテキスト出力またはグラフィック出力よりも多数の異なる値を機械読取可能信号に符号化できるように、符号化能力が大きく増大されることは、本発明の別の利点である。言い換えると:所与の数の独立制御可能な表示要素に対して測定値の出力の処理を改善することができるか、または既定の出力精度に対して独立制御可能な表示要素の総数を低減させることができる。
【0021】
計器ディスプレイのすべての独立制御可能な表示要素が測定値の符号化に使用されるとは限らない可能性がある。いくつかの用途では、使用者可読のテキストメッセージおよび/またはグラフィックメッセージを表示するために計器ディスプレイの第1の部分を使用すること、および機械読取可能信号を表示するために計器ディスプレイの個々の第2の部分を使用することが有利であり得る。さらに、人間にも可読である機械読取可能信号を設計することも可能である。たとえば、英数字を機械可読信号として形成することができるように、光学式文字読取(OCR)の方法が知られている。
【0022】
測定値は別にして、試験計器の確実性および信頼性を向上させる、電池状態、ありうる不具合または警告コードなどの医療試験計器についての別の情報を符号化することもまた可能である。さらに、正しくない情報転送が欠陥または乱れた独立制御可能な表示要素の存在下でも防止されるように、機械読取可能信号に対し誤り検出または誤り補正符号化方式を使用することが可能である。
【0023】
一実施形態では、計器ディスプレイは、既定の幾何学的配置で構成された既定の幾何学的形状の複数の独立制御可能な表示要素を含む。一例として、独立制御可能な表示要素を構成する液晶ディスプレイ(LCD)の一領域をアイコンとして、または既定の英数字として形成することができる。このような実施形態では、計器制御ユニットおよび/または計器ディスプレイは、オンに切り替えられる独立制御可能な表示要素のサブセットとして機械読取可能信号を形成するように適用される。
【0024】
一例として、LCDとして形成された計器ディスプレイは、個数nの独立制御可能な表示要素を含むことができる。このような計器ディスプレイでは、独立制御可能な表示要素の2
n個の異なるサブセットを形成することができ、それぞれのサブセットは、両方のサブセットが同じ状態ではない、すなわちどちらか一方がオンに切り替えられている、またはオフに切り替えられている少なくとも1つの独立制御可能な表示要素によって互いに異なる。したがって、このような計器ディスプレイによって2
n個の区別可能な機械読取可能信号を形成することができる。さらに、計器ディスプレイのn個の画素によりb
n個の異なる測定値から1つを符号化することによって、画素の輝度を暗と明の間のb個の段階で制御することができる。
【0025】
この実施形態の利点として、アイコンおよび/または英数字として形成される独立制御可能な表示要素を通常含む、現況技術から知られている医療試験計器の計器ディスプレイは、付加的なハードウェア労力または商品コストなしで機械読取可能信号を形成するように拡張することができる。
【0026】
一実施形態では、独立制御可能な表示要素は、マトリックスの形で配置される実質的に矩形の画素として形成される。このような実施形態では、計器制御ユニットおよび/または計器ディスプレイは、機械読取可能信号をバーコードとして形成するように適用される。このようなバーコードの様々な実施形態は、たとえばコード39、コード93、またはコード128として当業者に知られている。利点として、このようなバーコードは読取りおよび符号化が容易である。別の利点として、このようなバーコードは、計器ディスプレイおよび光学読取装置の位置合わせ不良に対して堅牢である。
【0027】
一実施形態では、独立制御可能な表示要素は、マトリックスの形で配置される実質的に矩形の画素として形成され、計器制御ユニットおよび/または計器ディスプレイは、機械読取可能信号を二次元コードとして形成するように適用される。このような二次元バーコードの様々な実施形態は、たとえば、コード49もしくはPDF417のようなスタック化二次元バーコード、またはquick response(QR)コード、DataMatrix、MaxiCodeもしくはAztecコードのようなマトリックスコード、または別の例として、SnowflakeコードもしくはBeeTagのようなドットコードとして当業者に知られている。このような二次元コードにより、より高い情報密度という利点が得られる。一例として、二次元コードではバーコードよりも多くの測定値を符号化することができる。
【0028】
一実施形態では、二次元バーコードはDataMatrixコードとして形成することができる。利点として、DataMatrixコードでは、間違って設定された画素の補正を可能にする。したがって、これは特に、計器ディスプレイの画素マトリックス中の孤立した欠陥に対して堅牢である。
【0029】
一実施形態では、二次元バーコードはQRコードとして形成される。QRコードは、機械読取可能信号用の堅牢、効率的、かつ標準化された符号化方式として現況技術から知られている。その標準化により、QRコードを読み取るためのアルゴリズムおよびソフトウェアアプリケーションが広く利用可能である。したがって、QRコードとして符号化されている測定値を識別することは、企業独自の形式で機械読取可能信号として符号化されている測定値を識別することに比較して、著しく容易になる。
【0030】
計器ディスプレイのかなりの数の画素が機能しなくても符号化測定値を正しく識別できるようにQRコードが誤り補正アルゴリズムを提供することは、この実施形態の別の利点である。テキスト情報(たとえば測定値のテキスト表示、または測定値に関連した他の何らかの情報)をQRコードの上に重ね合わせることさえ、符号化された情報の正しい識別を損なうことなく可能であり、その結果、人間可読信号と機械読取可能信号を有利に組み合わせることができるようになる。
【0031】
一実施形態では、少なくとも1つの独立制御可能な表示要素または画素は、経時的にその輝度および/または色が変えられ、その経時的な輝度および/または色の変化により、センサで取得された測定値および/またはそれに関連した情報を符号化する。以下でクロック表示要素または画素と呼ばれる少なくとも1つの特定の独立制御可能な表示要素を、その輝度および/または色が、計器制御ユニットから与えられるクロック周期に従って変えられるように制御することが可能である。前記クロック表示要素または画素によって表示される前記クロック周期と比較することによって、機械読取可能信号を形成する複数の二次元コードは、計器ディスプレイで符号化することができる。一例として、有利には、より多くの測定値のような、より多くの情報が計器ディスプレイから送出されるように、単独の二次元コードがクロック周期ごとに計器ディスプレイから出される。さらに特定の例として、クロック周期当たり1つの測定値を二次元コードとして符号化することができ、その結果、次の複数の二次元コードにより一連の測定値が符号化されるようになる。
【0032】
一実施形態では、計器制御ユニットおよび/または計器ディスプレイは機械読取可能信号を、隣接画素からなる少なくとも1つのセグメントの輝度および/または色の経時的な変化として形成するように適用される。
【0033】
経時的な輝度および/または色の変化により、医療デバイスまたは試験によって得られたデータが符号化される。一例として、画素のマトリックスとして形成された計器ディスプレイのすべての画素は、同じ輝度および/または色で同時に現われるように制御することができる。振幅変調すなわち輝度の変調、周波数変調またはパルス幅符号化などの様々な符号化方式が当業者に知られている。同時に制御される複数の画素により、この実施形態は特に、単一画素の障害に関して、また計器ディスプレイと光学読取デバイスの間の位置合わせ不良に対して堅牢である。別の利点として、このような実施形態では必要とする画素の総数が少なく、かつ/または必要とする計器ディスプレイの解像度が低く、そのため、通常は比較的小さい計器ディスプレイを含む、現況技術から知られている医療試験計器を本発明により、ハードウェア変更または商品コストの増大なしで拡張できるようになる。
【0034】
いくつかの用途では、計器ディスプレイのすべての独立制御可能な表示要素を同時に制御しないこと、しかし計器ディスプレイを個々の計器ディスプレイセグメントに分割すること、が有利であり得る。それぞれの計器ディスプレイセグメントは、1つまたは隣接する複数の独立制御可能な表示要素を含み、これらは同時に制御されるが、他の計器ディスプレイセグメントの独立制御可能な表示要素とは独立している。利点として、独立している個々の計器ディスプレイセグメントのこのような配置の情報転送能力は、倍増させることができる。
【0035】
当業者には、計器ディスプレイセグメントの様々な幾何学的配置が知られている。一例として、電子銀行業務認証コードの転送からフリッカコードとして知られている配置では、少なくとも1つの独立制御可能な表示要素によって形成された実質的に矩形の5つの計器ディスプレイセグメントが並べて配置され、その計器ディスプレイセグメントのうちの1つの輝度が、クロックを転送するために周期的に変えられる。フリッカコードを復号するためのアルゴリズムおよび/またはソフトウェアアプリケーションは広く利用可能であるので、計器ディスプレイセグメントのそのような幾何学的配置を適用することは有利である。
【0036】
本発明の実施形態ではセンサが、血液分析物、特に血糖を測定するためのセンサとして形成される。
【0037】
本発明によれば、血糖計として形成された医療試験計器を用いて測定された血糖値は、機械読取可能信号として血糖計から、これらの血糖値が表示され、処理され、かつ/または記憶される物理的に分離された光学読取デバイスまで、転送することができる。
【0038】
分離された光学読取デバイスは、血糖計から得られたコード値を使用可能説明メッセージに変換するために、十分な処理力、メモリ、および十分な出力周辺部を有するように選択することができる。これらの説明メッセージは、患者の健康状態を改善するために、患者へのフィードバックを提供して患者の行動を指導することができる。一例として、フィードバックは、規則的な使用を促進するための積極的な補強、血糖を試験する方法についての役立つ助言、または測定血糖値の経時的な変化のような、検出された規則性またはパターンについての情報を含むことができる。
【0039】
この実施形態は特に、血糖の患者自己監視(SMBG)に有用である。分離された光学読取デバイスの処理力および出力周辺部により、測定値の適正な解明を容易にする、情報価値のある詳細な説明メッセージが有効になる。これらの説明メッセージにより、食物摂取、運動、または薬理療法を調整して具体的な血糖目標を達成するように患者を指導することができる。患者がこのような説明メッセージの値を認識すると、血糖計を規則的に使用するための患者の動機づけが強められる。
【0040】
一実施形態では、本発明による医療デバイスはさらに、少なくとも1つの測定値および/またはそれから導出された値を記憶する計器記憶ユニットを含み、複数の測定値および/またはそれから導出された値は、機械読取可能信号に符号化される。
【0041】
この実施形態の利点として、医療デバイスから光学読取デバイスへの測定値の転送があまり頻繁に必要とされず、その結果、医療デバイスの操作が容易になる。
【0042】
この実施形態の別の利点として、使用頻度などのさらなる情報を医療デバイス内で記憶すると共に、分離された光学読取デバイスまで機械読取可能信号として転送することができる。このさらなる情報によって、より多く情報価値があり正確な、患者を指導する説明メッセージを生成することができる。
【0043】
さらに別の利点として、たとえば、測定値の傾向またはパターンを認識することのように、医療試験計器による複数の測定値に検出アルゴリズムを適用することが可能である。これらの傾向またはパターンは、機械読取可能信号として符号化することができる。
【0044】
一実施形態では、医療デバイスは薬物送達デバイスとして形成され、センサは、少なくとも1つの注射のパラメータを測定するように適用される。一例として、医療デバイスは、糖尿病治療用の電子インスリン注射器として形成され、そのセンサは、インスリン注射の時点および用量を測定するように適用される。これらのパラメータは、複数の注射に関する機械読取可能信号として符号化し、分離された光学読取デバイスまで転送することができ、ここでパラメータは、定量化された治療イベントのジャーナルを形成する。利点として、特定の投薬治療中の患者の服用遵守を追跡すること、または長期にわたる特定の注射計画の悪影響をより適切に識別することが可能である。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、光学読取デバイスは、本発明の第1の態様による医療デバイスまたは試験計器からデータを読み取るように適用される。光学読取装置デバイスは、少なくとも1つの感光要素を備える光受信器と、デバイス記憶ユニットと、デバイス制御ユニットと、デバイス出力ユニットとを含み、光受信器で受信された機械読取可能信号はデバイス制御ユニットで復号され、かつ場合によりデバイス記憶ユニットで記憶され、復号された光信号に対応する説明メッセージがデバイス制御ユニットで生成され、デバイス出力ユニットから出される。
【0046】
光学読取デバイスは、以下の通り動作するよう設計される。機械読取可能信号を読み取るために、光受信器は、少なくとも1つの感光要素の幾何学的配置が独立制御可能な表示要素の幾何学的配置と、または計器ディスプレイの少なくとも1つのセグメントと位置合わせされるように、計器ディスプレイと光学的接触の状態にすることができる。言い換えると:光受信器の感光要素は、計器ディスプレイの1つの独立制御可能な表示要素(たとえば1つの画素)、または計器ディスプレイの1つの計器ディスプレイセグメントの輝度変化を、光受信器の少なくとも1つの感光要素によって測定できるように配置される。
【0047】
光受信器は機械読取可能信号を復号する。一例として、光受信器は、方形のQRコードのコーナマーキングを検出し、方形内部の画素輝度値を決定し、前記画素輝度値のマトリックスを、もともとは医療試験計器で符号化された測定値に変換する。別の例として、光受信器は、振幅変調光信号(たとえば、画素からなる計器ディスプレイセグメントの輝度の経時的な変化)を復調し、また輝度値の並びを測定値に変換する。
【0048】
光受信器は、復号された情報をデバイス制御ユニットへ転送する。前記情報により、デバイス制御ユニットは、デバイス記憶ユニット内の、復号された情報に対応する説明メッセージが記憶されている記憶位置を決定する。デバイス制御ユニットは、この説明メッセージをデバイス記憶ユニットから取り出し、デバイス出力ユニットへ転送する。
【0049】
デバイス記憶ユニットが、復号された情報に対応する複数の説明メッセージを記憶することが可能である。一例として、デバイス制御ユニットが光学読取デバイスの現在の言語設定に基づいて複数の記憶位置から1つを決定できるように、デバイス記憶ユニットは、異なる言語への説明メッセージの複数の訳文を記憶することができる。
【0050】
デバイス制御ユニットは、復号された情報に対応する説明メッセージをデバイス出力ユニットへ転送する。一例として、デバイス出力ユニットは情報ディスプレイとして形成することができる。その場合、デバイス出力ユニットは、説明メッセージをテキスト出力および/またはグラフィック出力として表示する。デバイス出力ユニットはまた、スピーカとして形成することもできる。その場合、説明メッセージは可聴音声として出される。デバイス出力ユニットはさらに、ユニバーサルシリアルバス(USB)アダプタ、Bluetooth(登録商標)アダプタ、またはグローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)アダプタなどの電子通信ユニットとして形成することができる。その場合、説明メッセージはコンピュータまたは携帯電話へ電子的に送出される。デバイス出力ユニットのそれぞれ異なる実施形態を光学読取デバイスの中で組み合わせることも可能である。一例として、説明メッセージは表示すること、また同時に電子メールまたはショートメッセージサービス(SMS)メッセージとして送出することができる。したがって患者は、自分の現在の測定値について即時に知らされ、また自分の携帯情報端末(PDA)を使用して以前の説明メッセージを簡単に記憶し、また見直すことができる。または、介護者もしくは医療関係者は、患者の医学的状態について、電子メールまたはSMSとしてこのようなデータ転送によって知らされ、それによって、そのようなメッセージがそうした人たちの関与を要求する可能性がある場合に、たとえば未成年者がメッセージを受け取ったときに、メッセージの有用性がさらに拡大する。
【0051】
光学読取デバイスのデバイス出力ユニットおよびデバイス制御ユニットが、たとえば医療試験計器の幾何学的な設置面積および許容電力消費によって制限されないことは、この実施形態の利点である。したがって、光学読取デバイスから出される説明メッセージが、医療試験計器を用いて取得された測定値に関して、患者のより細部にわたる詳細な情報を有効にする。一例として、ある説明メッセージが、ある測定値の、またはそのような値を含むパターンの潜在的な理由を解明する助けになり得る。
【0052】
別の利点として、説明メッセージのローカリゼーションを医療試験計器から取り去り、代わりに光学読取デバイスで実施することができる。これにより、医療試験計器の開発、操作および販売プロセス、ならびに調節プロセスが容易になる。一例として、医療試験計器は、国際的および/または地域的に唯一の最小在庫管理単位(SKU)として取り扱うことができる。
【0053】
本発明の第2の態様による実施形態では、光受信器はカメラを含む。現況技術からの、様々な符号化技法の機械読取可能信号を記録するのに十分な空間分解能および十分な時間分解能を実現するカメラが知られている。一例として、カメラは、QRコードとして形成された機械読取可能信号を表示する計器ディスプレイから画像を取り込むことができる。カメラはまた、フリッカコードとして形成された機械読取可能信号を記録するビデオストリームまたは一連の画像を取り込むこともできる。したがってカメラは、汎用性がありコスト効率が高い光受信器の構成要素である。
【0054】
本発明の第2の態様による実施形態では、デバイス出力ユニットは情報ディスプレイとして形成される。光受信器で受信され復号されたメッセージをテキスト出力および/またはグラフィック出力として表示できることは、この実施形態の特別な利点である。このようなテキスト出力および/またはグラフィック出力は、患者についての細部にわたる、詳細な、かつ信用できる情報を有効にする。
【0055】
本発明の第2の態様による実施形態では、デバイス制御ユニットは、受信された、かつ場合により、記憶され復号された機械読取可能信号を処理することによって説明メッセージを生成する。この実施形態によれば、数個より多い既定の説明メッセージを患者に提供することが可能である。
【0056】
一例として、デバイス制御ユニットは、制御プログラムを実行するマイクロコントローラとして形成することができる。制御プログラムは、受信され復号された機械読取可能信号を評価することができる。場合により、制御プログラムは加えて、以前に受信され記憶された記憶機械読取可能信号をデバイス記憶ユニットから取り出すことができる。したがって、制御プログラムにより、現在の測定値に関してより広範な状況を評価し、また現況技術から知られている医療試験計器の場合と同様に、より情報価値のある説明メッセージを生成することができる。
【0057】
本発明の第2の態様による実施形態では、説明メッセージは、医療試験計器によって測定された値に関して少なくとも1つの既定の基準を満たすように、医療試験計器の使用者の行動についての勧告を含む。一例として、望ましくない測定値の傾向またはパターンは、投薬治療の変化、または患者の行動パターンの変化が前記傾向またはパターンの潜在的な理由として検出されるように、デバイス制御ユニットで実行する制御プログラムによって解明することができる。この場合、説明メッセージは、前記望ましくない傾向またはパターンを元に戻し、かつ患者の健康状態を改善する助けになり得る助言またはヒントを含むことができる。したがって患者は、医療試験計器によって提供される測定値をどのように使用するかについて定期的に教えられて、食物摂取または運動のような自分の行動を調整し、かつ/または自分の薬理療法を調整することができる。
【0058】
本発明の第2の態様による実施形態では、デバイス制御ユニットは、説明メッセージを生成する推論エンジンを含む。推論エンジンは、1組の既定の推論ルールに基づいて入力データを処理する、また入力データおよびルールの組に基づいて結論を選択および/または適用する、状態機械として当業者に知られている。推論エンジンは、ニューラルネットワークとして形成することができる。推論エンジンはまた、統計的決定法を実施するプログラムとして形成することもできる。推論エンジンによって導出された結論が既定の最適化基準に対して最適化されるように、推論エンジンを入力データに基づいて適用することが可能である。
【0059】
勧告を患者が順守することがより実現しそうに、またより成功しそうになるように、生成された説明メッセージが患者の個別の状態によりいっそう正確に適用されることがこの実施形態の利点である。
【0060】
本発明の第2の態様による実施形態では、光学読取デバイスは、カメラ、処理ユニット、記憶ユニット、ならびに情報ディスプレイおよび/またはスピーカを含む携帯電話または携帯情報端末(PDA)として形成される。
【0061】
このような携帯電話およびPDAは広く利用可能であり、また使用されている。これらは、機械読取可能信号の画像または映像をカメラで取り出し、さらに処理ユニットで復号することができるように、処理ユニットで実行するソフトウェアプログラムによって適用することができる。その場合、携帯電話またはPDAの処理ユニット、記憶ユニットおよびディスプレイはそれぞれ、光学読取デバイスのデバイス制御ユニット、デバイス記憶ユニットおよびデバイスディスプレイに対応する。携帯電話またはPDAのディスプレイおよびスピーカは、光学読取デバイスのデバイス出力ユニットの実施形態に対応する。したがって、このようなソフトウェアプログラムによって適用された携帯電話またはPDAは、光学読取デバイスを形成する。
【0062】
処理ユニットで実行するソフトウェアプログラムは、復号された機械読取可能信号に対応する説明メッセージを記憶ユニットに記憶されたメッセージから取り出し、かつ/また適用することができるように、さらにディスプレイ上でテキスト出力および/またはグラフィック出力として表示することができるように、適用することができる。説明メッセージはまた、スピーカを介して可聴音声として出すこともできる。説明メッセージはさらに、コンピュータまたは別の携帯電話へ電子的に送出することもできる。
【0063】
説明メッセージを生成および出力するために、この実施形態では携帯電話またはPDAなどの一般大衆になじみのある、普通に使用されるデバイスを利用することが、この実施形態の特別な利点である。すでに携帯電話またはPDAを所有する患者には、この実施形態に伴う追加コストは小さいか、またはまったくない。さらなる利点として、この実施形態により、患者が自分の測定値をなじみのあるソフトウェア環境で記憶および管理することが可能になる。
【0064】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様による光学読取デバイスから出される説明メッセージを生成する方法は、
− 1組の既定のテキストテンプレートメッセージを検索することによって説明メッセージを取り出す工程であって、入力信号が検索キーとして使用され、検索が既定の検索ルールに従って実行される、工程と、
− 入力信号に関して少なくとも1つの既定の基準を満たすようにする医療試験計器の使用者の行動についての勧告を含むように説明メッセージを適用する工程と、
− 構成可能なローカライズ設定に従って説明メッセージを場合により翻訳する工程とを含み、
ここで、入力信号は、少なくとも1つの復号された光信号を含む。
【0065】
有利なことに、この実施形態により生成される説明メッセージは、1つの測定値または複数の測定値について、現況技術から知られている医療試験計器で生成および/または表示できるものよりも詳細な情報を提供する。これは、このような医療試験計器の処理資源および表示資源が限定されていることによる。さらなる利点として、この実施形態により生成される説明メッセージは、前記メッセージによって与えられた勧告を患者が順守することがより実現しそうに、またより成功するように、患者個人の状態にいっそう正確に適用することができる。
【0066】
本発明のさらなる適用可能性の範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すとはいえ、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者には明らかになるので、例示としてのみ提示されていることを理解されたい。
【0067】
本発明は、以下に示す詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されることになろう。図面は例示としてのみ与えられており、したがって、本発明を限定するものではない。