(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー(F)が、フッ化ビニリデン(VDF)に、1個もしくは複数個のカルボン酸官能末端基を含む少なくとも1つの含水素モノマー[モノマー(H)]におよび、任意選択的に、VDFとは異なる1つもしくは複数のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む、請求項1に記載の方法。
前記ポリマー(Fg)が、前記組成物(C)中のポリ(アルキレンオキシド)(PAO)の総容積に対して、少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%、より好ましくは少なくとも25モル%の式−CH2CHRAO−(式中、RAは、請求項9におけるように定義される)のアルキレンオキシド繰り返し単位を含む、請求項9または10に記載の緻密フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の緻密フィルムは有利には、本発明の方法によって得られる。
【0016】
本出願人は、これが本発明の範囲を限定することなく、ポリ(アルキレンオキシド)(PAO)が本発明の方法の下で分解し、その結果それによって提供される緻密フィルムを構成するポリマー(Fg)が有利には、それらに由来する式−CH
2CHR
AO−のアルキレンオキシド繰り返し単位を含むペンダント側鎖を含むと考える。
【0017】
本発明の緻密フィルムは、電気化学デバイスにおける緻密セパレータとしての使用に特に好適である。
【0018】
緻密セパレータは有利には、本発明の方法によって得られる。
【0019】
電気化学デバイスの製造方法がまた本発明の目的であり、前記方法は、以下の工程:
(i)緻密セパレータを提供する工程と、
(ii)工程(i)で提供された緻密セパレータを、負電極と正電極との間に置き、それによって電気化学デバイスを組み立てる工程と、
(iii)工程(ii)で提供された電気化学デバイス中へ電解質を注入する工程と
を含み、好ましくはそれらからなり、
ここで、緻密セパレータは、
(a)
− 1個もしくは複数個のカルボン酸官能末端基を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデン(VDF)フルオロポリマー[ポリマー(F)]、
− 式(I):
HO−(CH
2CHR
AO)
n−R
B (I)
(式中、R
Aは、水素原子またはC
1〜C
5アルキル基であり、R
Bは、水素原子または−CH
3アルキル基であり、nは、2000〜40000、好ましくは4000〜35000、より好ましくは11500〜30000に含まれる整数である)
の少なくとも1つのポリ(アルキレンオキシド)(PAO)、および
− 任意選択的に、少なくとも1つの無機充填材[充填材(I)]
を含む、好ましくはそれらからなる固体組成物[組成物(C)]を提供する工程と;
(b)前記組成物(C)を溶融相で加工し、それによって5μm〜30μmの厚さを有する緻密セパレータを提供する工程と
によって製造される。
【0020】
用語「緻密な」とは、ここでは、前記フィルムまたはセパレータの総容積に対して、5容積%未満の気孔率を有するフィルムかセパレータかのどちらかを意味することを意図する。
【0021】
フィルムの気孔率の測定は、任意の好適な方法によって行うことができる。SMOLDERS,K.ら、Terminology for Membrane Distillation.Desalination.1989,vol.72,p.249−262に記載されている手順をとりわけ挙げることができる。
【0022】
本出願人は意外にも、本発明の方法によって提供される緻密フィルムが、電気化学デバイスにおける緻密セパレータとして好適にも使用されるために、傑出したイオン伝導率値および−30℃〜100℃の範囲の温度にわたる傑出した機械的特性の両方に首尾よく恵まれていることを見いだした。
【0023】
本出願人はまた意外にも、ここで提供される緻密セパレータが、5μm〜30μmの比較的小さい厚さのために、電気化学デバイスの製造方法においてその中に注入される電解質による満足できる膨潤性を確実にすることを見いだした。
【0024】
フィルムの厚さの測定は、任意の好適な方法によって行うことができる。DIN 53370標準手順に従った測定をとりわけ挙げることができる。
【0025】
用語「フッ化ビニリデン(VDF)フルオロポリマー」とは、ここでは、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位を含むポリマーを意味することを意図する。
【0026】
VDFポリマーは更に、VDFとは異なる1つもしくは複数のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含んでもよい。
【0027】
用語「フッ素化モノマー」とは、ここでは、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン系不飽和モノマーを意味することを意図する。
【0028】
ポリマー(F)は典型的には、フッ化ビニリデン(VDF)に、1個もしくは複数個のカルボン酸官能末端基を含む少なくとも1つの含水素モノマー[モノマー(H)]におよび、任意選択的に、VDFとは異なる1つもしくは複数のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む。
【0029】
用語「含水素モノマー」とは、ここでは、少なくとも1個の水素原子を含み、フッ素原子を含まないエチレン系不飽和モノマーを意味することを意図する。
【0030】
用語「少なくとも1つのモノマー(H)」は、ポリマー(F)が、上に定義されたような1つもしくは2つ以上のモノマー(H)に由来する繰り返し単位を含んでいてもよいことを意味すると理解される。本文の残りにおいて、表現「モノマー(H)」は、本発明の目的のためには、複数形および単数形の両方で、すなわち、それらが、上で定義されたような1つもしくは2つ以上のモノマー(H)の両方を意味すると理解される。
【0031】
ポリマー(F)は、好ましくは少なくとも0.01モル%、より好ましくは少なくとも0.05モル%、更により好ましくは少なくとも0.1モル%の上で定義されたような少なくとも1つのモノマー(H)に由来する繰り返し単位を含む。
【0032】
ポリマー(F)は、好ましくは最大でも20モル%、より好ましくは最大でも15モル%、更により好ましくは最大でも10モル%、最も好ましくは最大でも3モル%の上で定義されたような少なくとも1つのモノマー(H)に由来する繰り返し単位を含む。
【0033】
ポリマー(F)中のモノマー(H)繰り返し単位の平均モル百分率の測定は、任意の好適な方法によって行うことができる。酸−塩基滴定法(例えば、アクリル酸含有量の測定によく適している)を、NMR法(側鎖に脂肪族水素を含むモノマー(H)の定量化に適切である)を、ポリマー(F)製造中に供給された全モノマー(H)および未反応の残存モノマー(H)に基づく重量バランスをとりわけ挙げることができる。
【0034】
モノマー(H)は好ましくは、式(II):
(式中:
− 互いに等しいかもしくは異なる、R
1、R
2およびR
3は独立して、水素原子およびC
1〜C
3炭化水素基から選択され、
− R
Xは、水素原子または少なくとも1個のカルボン酸官能末端基を含むC
1〜C
5炭化水素基である)
の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]である。
【0035】
モノマー(H)はより好ましくは、式(II−A):
(式中、R
Xは、水素原子または少なくとも1個のカルボン酸官能末端基を含むC
1〜C
5炭化水素基である)
の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]である。
【0036】
好適なモノマー(MA)の非限定的な例としては、とりわけ、アクリル酸(AA)およびメタクリル酸が挙げられる。
【0037】
モノマー(MA)は、更により好ましくは、式:
のアクリル酸(AA)である。
【0038】
好適なフッ化モノマーの非限定的な例としては、とりわけ、次のもの:
− テトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロペンなどの、C
3〜C
8パーフルオロオレフィン;
− フッ化ビニル、1,2−ジフルオロエチレンおよびトリフルオロエチレンなどの、C
2〜C
8含水素フルオロオレフィン;
− 式CH
2=CH−R
f0(式中、R
f0は、C
1〜C
6パーフルオロアルキルである)に従うパーフルオロアルキルエチレン;
− クロロトリフルオロエチレンのような、クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨード−C
2〜C
6フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6フルオロ−またはパーフルオロアルキル、例えば、CF
3、C
2F
5、C
3F
7である)に従う(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
− CF
2=CFOX
0(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル(式中、X
0は、C
1〜C
12アルキル、またはC
1〜C
12オキシアルキル、またはパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピルのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキルである);
− 式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6フルオロ−もしくはパーフルオロアルキル基、例えば、CF
3、C
2F
5、C
3F
7または−C
2F
5−O−CF
3のような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
6(パー)フルオロオキシアルキル基である)に従う(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOY
0(式中、Y
0は、C
1〜C
12アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル、またはC
1〜C
12オキシアルキル、または1つもしくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキルであり、Y
0は、その酸、酸ハライドもしくは塩の形態での、カルボン酸もしくはスルホン酸を含む)に従う官能性(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル;
− フルオロジオキソール、とりわけパーフルオロジオキソール
が挙げられる。
【0039】
ポリマー(F)はより好ましくは:
(a’)少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも75モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(VDF)と;
(b’)任意選択的に、0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜12モル%、より好ましくは0.1モル%〜10モル%のフッ化ビニル(VF
1)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)およびそれらの混合物から選択されるフッ素化モノマーと;
(c’)0.01モル%〜20モル%、好ましくは0.05モル%〜18モル%、より好ましくは0.1モル%〜10モル%の上で定義されたような式(II)の少なくとも1つのモノマー(MA)と
を含む。
【0040】
ポリマー(F)は、水性懸濁重合法によってまたは水性乳化重合法によって製造することができる。ポリマー(F)は好ましくは、国際公開第2008/129041号パンフレット(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)2008年10月30日に記載されているような水性懸濁重合法によって製造される。
【0041】
上で定義されたような式(I)のポリ(アルキレンオキシド)(PAO)は典型的には、100000〜1800000、好ましくは500000〜1500000に含まれる平均分子量を有する。
【0042】
上で定義されたような式(I)のPAOは通常、粉末の形態下での固体として提供される。
【0043】
本発明の目的のためには、用語「固体」とは、ここでは、大気圧下に20℃で固体状態の材料を意味することを意図する。
【0044】
上で定義されたような式(I)のPAOは好ましくは、式(I−A):
HO−(CH
2CH
2O)
n−CH
3 (I−A)
(式中、nは、2000〜40000、好ましくは4000〜35000、より好ましくは11500〜30000に含まれる整数である)
に従うポリ(エチレンオキシド)(PEO)である。
【0045】
非常に良好な結果は、上で定義されたような式(I−A)(式中、nは、4000〜30000に含まれる整数である)に従うPEOで得られた。
【0046】
無機充填材(I)は一般に、粒子の形態下で供給される。
【0047】
充填材(I)粒子は一般に、0.001μm〜1000μm、好ましくは0.01μm〜800μm、より好ましくは0.03μm〜500μmに含まれる平均粒度を有する。
【0048】
本発明の方法において使用されるのに好適な充填材(I)の中に、混合酸化物などの、無機酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属硫化物等を挙げることができる。
【0049】
金属酸化物の中に、SiO
2、TiO
2、ZnOおよびAl
2O
3を挙げることができる。
【0050】
本発明の方法の固体組成物[組成物(C)]は、大気圧下に20℃でその固体状態で存在する。
【0051】
本組成物(C)は典型的には、
− 組成物(C)の総容積に対して、20容積%〜95容積%、好ましくは45容積%〜90容積%の上で定義されたような少なくとも1つのポリマー(F)と、
− 組成物(C)の総容積に対して、5容積%〜80容積%、好ましくは10容積%〜55容積%の上で定義されたような式(I)の少なくとも1つのPAO、好ましくは上で定義されたような式(I−A)の少なくとも1つのPEOと
を含む、好ましくはそれらからなる。
【0052】
本組成物(C)は典型的には、標準方法を用いて調製される。
【0053】
静的ミキサーおよび強力ミキサーなどの通常の混合装置を用いることができる。強力ミキサーが、より良好な混合効率を得るために好ましい。
【0054】
本発明の方法の工程(b)において、組成物(C)は典型的には、溶融加工技術を用いて溶融相で処理される。
【0055】
組成物(C)は通常、100℃〜300℃、好ましくは100℃〜250℃に一般に含まれる温度でのダイを通しての押出によって処理されてストランドを生成し、ストランドはペレットを提供するために通常切断される。
【0056】
二軸スクリュー押出機が、組成物(C)の溶融配合を成し遂げるための好ましい装置である。
【0057】
5μm〜30μmの厚さを有する、本発明の緻密フィルムは次に、そのようにして得られたペレットを、従来のフィルム押出技術によって加工することによって製造することができる。フィルム押出は好ましくは、フラットキャストフィルム押出法またはホットブローンフィルム押出法を用いて成し遂げられる。
【0058】
本発明の特に好ましい緻密フィルムは、5μm〜25μmの厚さを有するものである。
【0059】
本発明の方法によって提供される緻密フィルムは有利には、
− 前記組成物(F)の総重量に対して、55重量%〜95重量%の上で定義されたような少なくとも1つのポリマー(Fg)と、
− 前記組成物(F)の総重量に対して、5重量%〜45重量%の上で定義されたような式(I−A)の少なくとも1つのPEOと
を含む、好ましくはそれらからなる組成物(F)で作られ、
前記フィルムは5μm〜30μmの厚さを有する。
【0060】
用語「フッ素化骨格」とは、ここでは、1つもしくは複数のフッ素化モノマーに、および1つもしくは複数の含水素モノマーに由来する繰り返し単位を含むフルオロポリマー鎖であって、前記繰り返し単位が骨格鎖に沿ってランダムに分布しているフルオロポリマー鎖を意味することを意図する。
【0061】
ポリマー(Fg)のペンダント側鎖は好ましくは、式:
−(CH
2CH
2O)
n−
(式中、nは、1〜35000に含まれる整数である)
のエチレンオキシド繰り返し単位を含む。
【0062】
ポリマー(Fg)のフッ素化骨格は好ましくは、ポリマー(F)に由来する繰り返し単位を含み、前記フッ素化骨格は、フッ化ビニリデン(VDF)に、少なくとも1つの含水素モノマーにおよび、任意選択的に、VDFとは異なる1つもしくは複数のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み、前記繰り返し単位は、フッ素化骨格に沿ってランダムに分布している。
【0063】
本発明のグラフト化フルオロポリマー[ポリマー(Fg)]は有利には、組成物(C)中のポリ(アルキレンオキシド)(PAO)の総容積に対して、少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%、より好ましくは少なくとも25モル%の式−CH
2CHR
AO−(式中、R
Aは、上で定義された通りである)のアルキレンオキシド繰り返し単位を含む。
【0064】
本発明のグラフト化フルオロポリマー[ポリマー(Fg)]は有利には、組成物(C)中のポリ(アルキレンオキシド)(PAO)の総重量に対して、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも50重量%の式−CH
2CHR
AO−(式中、R
Aは、上で定義された通りである)のアルキレンオキシド繰り返し単位を含む。
【0065】
ポリマー(Fg)中のアルキレンオキシド繰り返し単位の平均百分率の測定は、任意の適切な方法で行うことができる。
【0066】
好適な電気化学デバイスの非限定的な例としては、とりわけ、アルカリまたはアルカリ土類二次電池などの二次電気が挙げられる。
【0067】
アルカリまたはアルカリ土類二次電池の代表的な負極としては、とりわけ以下のもの:
− リチウム、ナトリウム、マグネシウムまたはカルシウムなどの、アルカリまたはアルカリ土類金属;
− アルカリまたはアルカリ土類金属のホストとして機能する粉末、フレーク、繊維または球体(例えば、メソカーボンマイクロビーズ)などの形態で典型的には存在している、アルカリまたはアルカリ土類金属を挿入することができる黒鉛状炭素;
− ケイ素ベースの合金、ゲルマニウムベースの合金などの、アルカリまたはアルカリ土類金属合金組成物;
− アルカリまたはアルカリ土類金属を誘起歪が全くなしに挿入するのに有利にも好適な、アルカリまたはアルカリ土類金属チタネート
が挙げられる。
【0068】
本発明の二次電池はより好ましくは、リチウムイオン電池である。
【0069】
リチウムイオン電池の代表的な負極としては、とりわけ、以下のもの:
− リチウムのホストとして機能する粉末、フレーク、繊維または球体(例えば、メソカーボンマイクロビーズ)などの形態で典型的には存在している、リチウムを挿入することができる黒鉛状炭素;
− リチウム金属;
− とりわけ米国特許第6203944号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES CO.)2001年3月20日におよび/または国際公開第00/03444号パンフレット(MINNESOTA MINING AND MANUFACTURING CO.)2000年1月20日に記載されているものなどの、リチウム合金組成物;
− 一般に式Li
4Ti
5O
12で表される、リチウムチタネート(これらの化合物は一般に、可動イオン、すなわち、Li
+を引き取る時に低レベルの物理的膨脹を有する、「ゼロ歪」挿入材料と考えられる);
− 高いLi/Si比のケイ化リチウムとして一般に知られる、リチウム−ケイ素合金、特に式Li
4.4Siのケイ化リチウム;
− 式Li
4.4Geの結晶相を含む、リチウム−ゲルマニウム合金
が挙げられる。
【0070】
負極は、当業者によく知られているであろうような添加剤を含有してもよい。それら中に、とりわけカーボンブラック、グラフェンまたはカーボンナノチューブを挙げることができる。
【0071】
当業者によって認識されるであろうように、負極もしくは陰極は、箔、板、棒、ペーストなどの任意の都合のよい形態にあっても、または導電性集電体もしくは他の好適な支持材上に負極材料のコーティングを形成することによって作られた複合材料としてであってもよい。
【0072】
当業者によって認識されるであろうように、電解質は、液体およびゲルなどの任意の都合のよい形態にあってもよい。
【0073】
好適な電解質の非限定的な例としては、とりわけ、十分な量の金属塩と、任意選択的に、他の成分または添加剤とを可溶化することができ、その結果好適な量の電荷を正極と負極との間で輸送することができる、液体またはゲル(例えば、ポリ(オキシエチレン)などの溶媒和ポリマー)が挙げられる。
【0074】
代表的な電解質としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチル−メチル、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸フルオロプロピレン、ガンマ−ブチロラクトン、ジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロ酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、非プロトン性イオン液体、ポリ(オキシエチレン)およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
様々な金属塩が電解質に用いられてもよい。選ばれた電解質中で安定であり、かつそれに可溶である金属塩が一般に、本発明の金属イオン電池向けに選択されるであろう。
【0076】
本発明のメタルイオン電池に好適な金属塩はとりわけ、M(PF
6)
n、M(BF
4)
n、M(ClO
4)
n、M(ビス(オキサラト)ボレート)
n(「M(BOB)
n」)、M[N(CF
3SO
2)
2]
n、M[N(C
2F
5SO
2)
2]
n、R
FがC
2F
5、C
4F
9、CF
3OCF
2CF
2である状態の、M[N(CF
3SO
2)(R
FSO
2)]
n、M(AsF
6)
n、M[C(CF
3SO
2)
3]
nであり、Mは金属、好ましくは遷移金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、より好ましくはMは、Li、Na、KまたはCsであり、nは、前記金属の原子価であり、典型的にはnは、1または2である。
【0077】
リチウムイオン電池用の好ましいリチウム塩の中に、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、リチウムビス(オキサラト)ボレート(「LiBOB」)、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、M[N(CF
3SO
2)(R
FSO
2)]
nを挙げることができ、R
Fは、C
2F
5、C
4F
9、CF
3OCF
2CF
2、LiAsF
6、LiC(CF
3SO
2)
3およびそれらの組み合わせである。
【0078】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が、用語を不明確にし得るほどに本出願の記載と矛盾する場合には、本明細書が優先するものとする。
【0079】
本発明は、その目的が例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定しない以下の実施例に関してより詳細にここで記載される。
【実施例】
【0080】
原材料
ポリマー(F−1):ASTM D1238(230℃、2.16Kg)に従って測定されるように5.2g/10分のメルトフローインデックスおよび169℃の融点を有する、1モル%のアクリル酸(AA)を含有するVDF/AAコポリマー。
ポリマー(F−2):162℃の融点を有する下に記載されるように製造されるVDF/HFP/AAコポリマー。
ASTM D1238(230℃、2.16Kg)に従って測定されるように6.4g/10分のメルトフローインデックスおよび134℃の融点を有するSOLEF(登録商標)21508 VDF/HFPコポリマー。
ASTM D1238(230℃、2.16Kg)に従って測定されるように6.0g/10分のメルトフローインデックスおよび172℃の融点を有するSOLEF(登録商標)6008 PVDFホモポリマー。
PEO−1:1000000〜1200000に含まれる平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)。
【0081】
ポリマー(F−2)の製造
880rpmの速度で動作する羽根車を備えた4リットル反応器に、2460gの脱塩水と0.63gのMETHOCEL(登録商標)K100 GR懸濁化剤とを順次導入した。反応器をガス抜きして窒素で1バールに加圧し、次にイソドデカン中のt−アミルパーピバレート開始剤の75容積%溶液9.98gと5.35gの炭酸ジエチルとを反応器に導入し、続いて0.5gのアクリル酸(AA)、107gのHFPモノマーと、949gのVDFモノマーとを導入した。次に反応器を徐々に55℃に、110バールの最終圧力まで加熱した。温度は、全試行の初めから終わりまで55℃で一定に維持した。圧力は、17.44g/lのAAモノマーの水溶液を総量750mlまで供給することによって全試行の初めから終わりまで110バールで一定に維持した。516分後に、重合作業を、大気圧に達するまで懸濁液を脱ガスすることによって停止させた。そのようにして得られたポリマーを次に回収し、脱塩水で洗浄し、50℃でオーブン乾燥させた(852g)。そのようにして得られたポリマーは、NMRによって測定されるように、2.5モル%のHFPと1.0モル%のAAとを含有していた。
【0082】
フィルムの製造のための一般的手順
ポリマーとポリ(アルキレンオキシド)(PAO)とを、所要の容積比を有する均質な粉末混合物を得るために粉末の形態下でブレンドし、3段パドルミキサーを備えた高速ミキサーで混合した。混合物を3分間300rpmで撹拌し、次に6つの温度ゾーンと4mm−2ホールダイを備えた、LEISTRITZ LSM 30/34二軸スクリュー押出機での押出によって処理した。押出機における温度の設定は、140℃〜180℃にわたった。押し出されたストランドを空気中で冷却し、乾燥させ、ペレタイザーで切断した。そのようにして得られたペレットから、フラットキャストフィルム押出によってかホットブローンフィルム押出によってかのどちらかによってフィルムを製造した。
【0083】
フラットキャストフィルム押出
210℃に維持された5つの温度ゾーンおよび0.5mm×100mmテープダイを備えた一軸スクリューBraebender押出機(スクリュー速度=25rpm)でペレットを処理した。ダイから出るとすぐに、溶融テープを、115℃の温度に保たれた2つのそれに続く冷却ロールに巻き取り、その速度は、約10〜30μmのフィルム厚さを得るように調整した。
【0084】
ホットブローンフィルム押出
30mmの直径および28のL/Dを有する一軸スクリューDr.Collin GmbH押出機でペレットを処理した。押出機は、本明細書で以下の表1に詳細に示されるようにセットされた、5つの加熱ゾーンと、51.5mmの外径および0.25mmのギャップを有する環状ダイとを備えており、このダイは、225℃に維持された4つの加熱ゾーンを有していた。
【0085】
【0086】
押出機速度は20rpmに設定し、ライン速度は、フィルムの所望の厚さを得るように調節した。溶融温度は214℃であった。ブローンアップ比は、気泡内部空気圧によって制御した。押出時に、気泡を収束フレーム中で崩壊させ、低温ローラを用いて冷却し、巻き取った。
【0087】
組成物(C)中のPAOの総量に対してポリマー(F)にグラフトされたPAOの量の測定
約6×6cmのフィルム試料を、2分間、攪拌下に、25℃で1リットル水浴中に浸漬した。この洗浄工程を3回繰り返した。フィルムを次に、一晩水浴中に入れたままにし、その後本明細書で上に詳述されたような手順に従って水浴中に再び浸漬した。フィルムをその後、4時間60℃でオーブン中で乾燥させ、秤量した[M
ポリマー(Fg)]。ポリマー(F)にグラフトされたPAOの量は、次式:
ポリマー(F)にグラフトされたPAO[重量%]=[(M
ポリマー(Fg)−M
ポリマー(F))/(M
PAO)]×100
(式中:
− M
ポリマー(Fg)は、洗浄手順後のポリマー(Fg)の総重量[グラム]を表し、
− M
ポリマー(F)は、組成物(C)中のポリマー(F)の総重量[グラム]を表し、
− M
PAOは、組成物(C)中のPAOの総重量[グラム]を表す)
に従って測定した。
【0088】
フィルムの厚さの測定
フィルムの厚さは、DIN 53370標準手順に従って測微ねじを用いて測定した。
【0089】
実施例1−ポリマー(F−1)とPEO−1とのブレンド(50:50容積比)
ポリマー(F−1)とPEO−1との容積で50:50のブレンドからホットブローンフィルム押出によって24μmの厚さを有するフィルムを製造した。そのようにして得られた緻密フィルムに関するFT−IR分光分析は、約1730〜1740cm
−1にエステルバンドの出現を示した。
ポリマー(F−1)にグラフトされたPEO−1の式−CH
2CH
2O−の繰り返し単位の量は、ブレンド中のPEO−1の総重量に対して、34重量%であった。そのようにして得られた緻密フィルムは、4.58×10
−4S/cmのイオン伝導率を有した。ASTM D638標準手順(Type V)(グリップ距離:25.4mm、Lo:21.5mm、速度率:1〜50mm/分)に従って、23℃で縦方向(MD)および横方向(TD)における、そのようにして得られた緻密フィルムの機械的特性を本明細書で下の表2に示す。
【0090】
【0091】
このようにして、本発明による方法によって提供される緻密フィルムは有利にも、以下のフルオロポリマーでできた商業的に入手可能な緻密フィルムのそれらと比較して秀でたイオン伝導率値に恵まれていることが分かった:
− ポリマー(F−1):2.13×10
−5S/cm
− ポリマー(F−2):4.47×10
−5S/cm
− SOLEF(登録商標)21508 VDF/HFP:5.1×10
−5S/cm
【0092】
実施例2−ポリマー(F−1)とPEO−1とのブレンド(90:10容積比)
ポリマー(F−1)とPEO−1との容積で90:10のブレンドからフラットキャストフィルム押出によって13μmの厚さを有するフィルムを製造した。そのようにして得られた緻密フィルムに関するFT−IR分光分析は、約1730〜1740cm
−1にエステルバンドの出現を示した。
ポリマー(F−1)にグラフトされたPEO−1の式−CH
2CH
2O−の繰り返し単位の量は、ブレンド中のPEO−1の総重量に対して、88重量%であった。ASTM D638標準手順(Type V)(グリップ距離:25.4mm、Lo:21.5mm、速度率:1〜50mm/分)に従って、23℃および−30℃で横方向(TD)における、そのようにして得られた緻密フィルムの機械的特性を本明細書で下の表3に示す。
【0093】
【0094】
本明細書で上の表2および3に示される結果は、本発明による方法によって提供される緻密フィルムが有利にも、商業的に入手可能な緻密フィルムのそれらと比べて−30℃〜100℃の広い範囲の温度で秀でた機械的特性に恵まれていることを示している。
【0095】
上記を考慮して、本発明による方法によって提供される緻密フィルムは、傑出したイオン伝導率および傑出した機械的特性の両方を有利にも組み合わせて、電気化学デバイスにおける緻密セパレータとしての使用に特に好適であることが分かった。
【0096】
リチウムイオン電池の製造
実施例1に従って製造されたような緻密フィルムを、リチウム金属負極と、活性材料としてのLiFePO
4、バインダーとしてのSOLEF(登録商標)5130 PVDFおよびSuper P(登録商標)Li伝導性カーボンブラックを含有する正極との間に置くことによってコイン電池を製造した。
このコイン電池を、炭酸エチレン/ジメチル炭酸(1:1重量比)中のLiPF
6の1M溶液からなる200μlのSelectilyte(登録商標)LP30電解質で満たした。異なる放電率でのそのようにして得られたコイン電池の放電容量値を本明細書で下の表4に示す。
【0097】