【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、薬物送達デバイスのためのアセンブリが提供される。アセンブリは、アクチュエータを含み、アクチュエータは、薬物の用量を設定するために近位方向での設定運動を実行するように構成され、アクチュエータは、薬物の用量を投薬するために遠位方向での投薬運動を実行するように構成される。アセンブリは、最大量の薬物が送達された後に作用する止め具機構をさらに含み、止め具機構は、用量の設定が阻害されるようにアクチュエータの設定運動を軸方向に制限するように構成され、アクチュエータの制限された軸方向運動が可能になる。制限された軸方向運動は0よりも大きいが、用量設定運動よりも小さくてもよい。
【0008】
最大量は、デバイス内で可能な薬物量であってもよい。たとえば、最大量はカートリッジが収容する量であってもよい。一実施形態によれば、アクチュエータの軸方向運動は、決まった回数の投薬運動の後制限されてもよい。特に、アクチュエータの軸方向運動は、最後の可能な用量が投薬された後に制限されてもよい。
【0009】
アクチュエータの制限された軸方向運動が可能なときに用量の設定を阻害する止め具機構の利点は、アクチュエータの制限された運動が、たとえば製作公差故に可能な場合でもいかなる用量も設定できないことである。このことにより、不十分な用量等の誤った用量が使用者により投薬され得ない。特に、使用者がデバイス内の薬物の残存量よりも大きい用量を設定することを阻害できる。これにより、用量の正確さが改善され得る。さらに、デバイスが空であるというフィードバックが使用者に与えられる。加えて、デバイスは止め具機構によってロックできる。これは、再使用不可能な使い捨て薬物送達デバイスにとって有利である。
【0010】
一実施形態によれば、アクチュエータはボタンであってもよい。アクチュエータの設定運動は、近位方向での並進運動であってもよい。特に、アクチュエータは使用者によって近位方向に移動され得る。特に、アクチュエータは機械式止め具に到達するまで近位方向に移動され得る。アクチュエータの投薬運動は、遠位方向での運動、たとえば、純粋な軸方向運動であってもよい。特に、アクチュエータは用量を投薬するために使用者によって遠位方向に押され得る。アクチュエータは軸方向に移動可能であり、主ハウジング部材に回転可能に固定され得る。
【0011】
一実施形態によれば、アセンブリは主ハウジング部材を含むことができ、アクチュエータは、薬物の用量を投薬するために主ハウジング部材に向かって押し下げられるように構成され得る。特に、アクチュエータは、投薬操作の最後に機械式止め具に当接するまで主ハウジング部材に向かって押し下げられてもよい。
【0012】
遠位方向はデバイスの投薬端寄りの方向であってもよい。同様に、アセンブリまたは任意の部品の遠位端は、投薬端に最も近い端部であってもよい。近位方向はデバイスの投薬端から離れる方向であってもよい。アセンブリまたは任意の部品の近位端は、投薬端から最も遠い端部であってもよい。
【0013】
一実施形態によれば、アセンブリは、ピストンロッドを含む。ピストンロッドは、主ねじとして構成され得る。アクチュエータの投薬運動中、ピストンロッドは遠位方向での軸方向および回転運動を行うことができる。このことにより、薬物の用量が投薬できる。用量の設定中、ピストンロッドはアセンブリの主ハウジング部材に固定され得る。デバイスの操作中、ピストンロッドは開始位置から終了位置まで移動できる。ピストンロッドは、デバイスから用量が一切送達されていないときに開始位置にあってもよい。開始位置は、ピストンロッドの最も近位の位置であってもよい。終了位置は、ピストンロッドの最も遠位の位置であってもよい。ピストンロッドは、用量投薬方向でのアクチュエータの動きによって、その終了位置に向かって移動され得る。ピストンロッドは、最大量の薬物が送達された、特に最後の用量が送達されたときに終了位置にあってもよい。
【0014】
一実施形態によれば、アセンブリは内部ハウジングを含むことができる。内部ハウジングは主ハウジングに固定され得る。内部ハウジングは、開口部を含むことができ、ピストンロッドは開口部を通って延びる。好ましくは、ピストンロッドは内部ハウジングと螺合する。
【0015】
ピストンロッドは少なくとも1つの最終用量止め具を含むことができる。最終用量止め具は、ピストンロッドの突起として構成され得る。一実施形態では、最終用量止め具は、対向して配置された2つの突起を含むことができる。最終用量止め具は、ピストンロッドの近位セクションまたは近位端近傍に配置され得る。
【0016】
止め具機構は、ピストンロッドの少なくとも1つの最終用量止め具と相互に作用するように構成される少なくとも1つの止め具要素を含むことができる。特に、止め具要素は最終用量止め具に当接するように構成され得る。アセンブリは、最大量の薬物が投薬された後に止め具要素が最終用量止め具と相互に作用できるように構成され得る。止め具要素が最終用量止め具に当接すると、近位方向でのアクチュエータの動きが阻害される。このことにより、さらなる用量の設定が阻害される。
【0017】
薬物の最大量、より詳細には最後の用量が送達されると、止め具要素は最終用量止め具に対してある軸方向距離を有して配置され得る。さらに、最終用量止め具は、デバイスの投薬端から見て止め具要素の真上に位置してもよい。止め具要素と最終用量止め具との軸方向距離は、アクチュエータの可能な制限された軸方向運動に対応する。
【0018】
一実施形態によれば、最終用量止め具は、止め具要素が最終用量止め具に当接したときに少なくとも部分的に止め具要素を取り囲むように形成される。それによってデバイスがロックされ得る。一実施形態によれば、最終用量止め具は挿入用溝を含むことができる。挿入用溝により、ピストンロッドの可能な回転方向の両方に対する当接が提供され得る。より詳細には、溝はデバイスの長手軸に対して傾斜していてもよい。たとえば、最終用量止め具は、ポケットの形態を含むことができる。止め具要素はポケット内に係合することができる。それによって、横方向に最終用量止め具を通過する止め具要素の動きが阻害できる。たとえば、最終用量止め具は、円錐の形態を含むことができ、またはテーパ形であってもよい。したがって、止め具機能は、最終用量止め具に嵌入するように形成され得る。
【0019】
一実施形態によれば、アセンブリは、駆動部材を含む。駆動部材はスリーブ部材であってもよい。駆動部材は、アセンブリのハウジングに対して回転可能に固定され得る。用量の設定中、駆動部材はピストンロッドに対して相対的な軸方向運動を行うことができる。駆動部材は、用量を設定するためにピストンロッドに沿って近位方向に移動するように構成され得る。用量は固定用量であってもよい。より詳細には、使用者は設定された用量の量を調節しなくてもよい。用量の投薬中、駆動部材はピストンロッドをデバイスの投薬端に向かって、つまり詳細には終了位置に向かって駆動してもよい。特に、駆動部材の遠位方向での動きによって、ピストンロッドが回転し、デバイスの遠位端に向かって軸方向に移動できる。用量の設定および投薬中の駆動部材の軸方向運動の量を決定してもよい。それによって、設定された用量の量が固定される。たとえば、アセンブリは止め具表面を含むことができ、駆動部材が止め具表面に当接したときにある方向でのさらなる軸方向運動が阻害される。止め具表面はハウジングに含まれてもよい。より詳細には、駆動部材は用量の設定および投薬中に軸方向の非回転運動を行うことができる。駆動部材はピストンロッド周りに同心円状に配置され得る。さらに、駆動部材はその内部表面にねじ山を含むことができる。それによって、駆動部材はピストンロッドの対応するねじ山と螺合できる。対応するねじ山はピストンロッドの近位端に配置され得る。
【0020】
用量を設定するために、アクチュエータが使用者により押されると、駆動部材は遠位方向に移動し、ピストンロッドへの軸方向の力を及ぼすことができる。それによって、ピストンロッドは内部ハウジングの開口部によって回転することができる。加えて、ピストンロッドはさらに、部分的に駆動部材内へと戻るように螺旋状に後退する。このことにより、用量の投薬中における駆動部材の軸方向変位は、用量の投薬中のピストンロッドの軸方向変位よりも大きい。このことにより、機械的利点を得ることができる。機械的利点は、駆動部材のねじ山の高さと、それに従うピストンロッドを選択することによって調整できる。
【0021】
止め具要素は、駆動部材の内部表面に配置され得る。たとえば、止め具要素は、駆動部材の内部表面における突起であってもよい。一実施形態によれば、駆動部材は2つの止め具要素、特に、その内部表面にて対向して配置される2つの突起を含むことができる。駆動部材の2つの突起は、最終用量止め具の2つの突起と相互作用してもよい。
【0022】
一実施形態によれば、駆動部材は、駆動部材の動きによりアクチュエータの動きが引き起こされ、またその逆が起きるように、アクチュエータに連結され得る。たとえば、使用者が用量を設定するためにアクチュエータを引っ張ると、駆動部材は近位方向に引っ張られてもよい。使用者が用量を投薬するためにアクチュエータを押すと、駆動部材は遠位方向に押され得る。一実施形態によれば、駆動部材およびアクチュエータは一体部品として形成され得る。
【0023】
一実施形態によれば、アセンブリはガイド機能を含む。より詳細には、ガイド機能はピストンロッドに含まれ得る。ガイド機能および止め具要素は、用量の設定中にピストンロッドの不意の回転が阻害されるように、相互作用するように構成され得る。より詳細には、用量の設定中に駆動部材によってトルクがピストンロッドに及ぼされたときに、ピストンロッドの不意の回転が阻害され得る。より詳細には、ガイド機能および止め具要素は用量の設定中互いに当接してもよい。これにより、用量の正確さが改善され得る。用量の投薬中、ピストンロッドの回転を有効にできる。
【0024】
一実施形態によれば、ガイド機能および止め具要素は用量の投薬中、互いを通過して移動するように構成される。特に、用量の投薬中のピストンロッドの回転は、ガイド要素が止め具要素に当接しないようなものであってもよい。止め具要素は、螺旋状経路に沿ってピストンロッドに対して移動してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、ガイド機能は複数のスプラインを含むことができる。スプラインは少なくとも1列で配置されてもよく、この列は軸方向にピストンロッドに沿って延在する。一実施形態によれば、ピストンロッドは3列のスプラインを含むことができる。列は、ピストンロッドの外周周りに均等に分布してもよい。
【0026】
用量の設定中、止め具要素はガイド機能のスプラインのうち少なくとも1つに当接してもよい。より詳細には、止め具要素は、軸方向に互いに上下に配置される2つのスプラインに当接してもよい。2つのスプライン間の距離は、止め具要素の軸方向伸長よりも小さくてもよい。それによって、ピストンロッドの回転は用量の設定中確実に阻害できる。しかし、止め具要素は、用量設定のまさに最初および最後ではスプラインに当接しない。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、薬物送達デバイスが提供される。薬物送達デバイスは、先に記載したような駆動アセンブリを含む。
【0028】
薬物送達デバイスは注射デバイス、特に、ペン型デバイスであってもよい。薬物送達デバイスは使用者に薬物の用量を送達するのに適していてもよい。用量はアクチュエータを押し下げることにより送達されてもよい。薬物送達デバイスは、使用者が用量のサイズを選択できないような固定用量デバイスであってもよい。たとえば、用量設定機構はプッシュプル式機構であってもよい。薬物送達デバイスは複数の用量用途のために構成され得る。薬物は針によって使用者に送達され得る。デバイスは、使える状態の完全組立状態で使用者に送達できる。より詳細には、デバイスは予め充填されていてもよい。薬物送達デバイスは使い捨てデバイスであってもよい。用語「使い捨て」とは、可能な量の薬物が薬物送達デバイスから送達された後に薬物送達デバイスが再使用できないことを意味する。あるいは、薬物送達デバイスは再利用可能デバイスであってもよい。薬物送達デバイスは液体薬物を送達するように構成され得る。薬物はたとえば、インスリンであってもよい。
【0029】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0030】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0031】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0032】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0033】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0034】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0035】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0036】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0037】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0038】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0039】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0040】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0041】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0042】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0043】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0044】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0045】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0046】
さらなる特徴、変形例および実施例が、図に関連した例示的な実施形態の以下の説明で明らかとなる。