特許第6352318号(P6352318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352318
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】フィルタバイパス
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20180625BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G01N15/06 D
   G01N21/53 A
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-1584(P2016-1584)
(22)【出願日】2016年1月7日
(62)【分割の表示】特願2012-555260(P2012-555260)の分割
【原出願日】2011年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-128815(P2016-128815A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】2010900938
(32)【優先日】2010年3月5日
(33)【優先権主張国】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517198355
【氏名又は名称】ギャレット・サーマル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GARRETT THERMAL SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ケマル・アジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ニティン・バイェダ
【審査官】 渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−250661(JP,A)
【文献】 特開平04−303736(JP,A)
【文献】 特開平08−271425(JP,A)
【文献】 特開2003−056898(JP,A)
【文献】 特表2009−527741(JP,A)
【文献】 特表2000−509535(JP,A)
【文献】 特開平10−309422(JP,A)
【文献】 特公平04−052519(JP,B2)
【文献】 特開平08−206540(JP,A)
【文献】 実開昭62−203437(JP,U)
【文献】 実開昭61−048023(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0084164(US,A1)
【文献】 特開2002−357117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00〜1/44
G01N15/00〜15/14
G01N21/00〜21/61
B01D39/00〜41/04
B01D46/00〜46/54
G08B17/00〜17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境内の粒子を検出する粒子検出器用のフィルタ構成であって、前記粒子検出器が、検出領域内の流体を分析して粒子濃度を表すセンサ出力を生成する1個以上のセンサを含み、前記フィルタ構成が、
前記環境から前記検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および前記フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、
前記第1の流路と前記第2の流路の相対的な流れの制約を変化させることにより前記第1の流路と前記第2の流路を通る流体の相対流速を調整する制御可能な機構と、
少なくとも2個の相対流速における粒子濃度を表す前記センサ出力を受信して、これにロジックを適用して前記フィルタの状態を表す出力を生成すべく構成されたコントローラとを含み、
前記機構が、前記相対流速を変化させるべく構成または制御され、前記コントローラが、前記フィルタの状態を表す出力を周期的に生成すべく構成されている、フィルタ構成。
【請求項2】
前記センサ出力が粒子濃度を表す、請求項1に記載のフィルタ構成。
【請求項3】
前記機構が、前記相対流速を変化させるべく構成または制御され、前記コントローラが、粒子濃度の検出された変化に応答して、前記フィルタの状態を表す出力を生成すべく構成されている、請求項1または2に記載のフィルタ構成。
【請求項4】
前記コントローラが、前記フィルタの状態が所定の閾値を上回った場合、誤り信号を生成すべく構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項5】
前記機構が、前記環境内の予測された汚染レベルに基づいて前記相対流速を変化させて前記検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく構成または制御される、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項6】
環境内の粒子を検出する粒子検出器用のフィルタ構成であって、前記粒子検出器が、検出領域内の流体を分析して粒子濃度を表すセンサ出力を生成する1個以上のセンサを含み、前記フィルタ構成が、
前記環境から前記検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および前記フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、
前記第1の流路と前記第2の流路の相対的な流れの制約を変化させることにより前記第1の流路と前記第2の流路を通る流体の相対流速を調整する制御可能な機構とを含み、
前記機構が、前記環境内の予測された汚染レベルに基づいて前記相対流速を変化させて前記検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく構成または制御され、前記予測された汚染レベルに基づいて前記相対流速を変化させるステップが、反復的スケジュールに基づいて前記相対流速を変化させるステップを含んでいる、フィルタ構成。
【請求項7】
前記スケジュールが、検出器の感度を相対的に高めるべく流体の相対的に低い割合が前記第1の流路を通って流れる夜間モード、および前記検出領域内の汚染を減らすべく流体の相対的に高い割合が前記第1の流路を通って流れる日中モードを含んでいる、請求項に記載のフィルタ構成。
【請求項8】
前記機構が、前記第2の流路を通る前記相対流速を周期的且つ一時的に速めて前記検出器の感度を周期的に向上させることにより、前記検出領域が前記第2の流路からの流体、従って前記流体が搬送する汚染物質にさらされる平均時間を短縮して前記検出領域内の汚染を減らすべく構成または制御される、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項9】
前記構造が、前記環境から流体の共通の流れを受容して前記流れの各部分を前記第1の流路および前記第2の流路へ誘導する分流装置を含んでいる、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項10】
前記構造が、前記第1の流路および前記第2の流路から流体を受容して、流体の複合流を前記検出領域へ向けて搬送する合流装置を含んでいる、請求項1〜のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項11】
前記機構がバルブを含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項12】
前記バルブがソレノイドバルブである、請求項11に記載のフィルタ構成。
【請求項13】
前記機構が電気機械装置を含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項14】
前記構造および前記機構が協働して、前記フィルタにより課される流れの制約よりも実質的に厳しい流れの制約を課すことにより、前記第1の流路および前記第2の流路を通る前記相対流速がフィルタの状態から実質的に独立している、請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項15】
前記フィルタがHEPA(高性能粒子空気)フィルタである、請求項1〜14のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項16】
前記第2の流路が、自身が搬送する流体から関心対象の粒子が実質的にフィルタリングされないように構成されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のフィルタ構成。
【請求項17】
環境内の粒子を検出する粒子検出器であって、
検出領域を画定する構造と、
前記検出領域内の流体を分析して粒子濃度を表すセンサ出力を生成する1個以上のセンサと、
前記流体を前記環境から前記検出領域まで搬送して、前記センサと協働すべく構成されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の前記フィルタ構成とを含む粒子検出器。
【請求項18】
コントローラを有し、前記コントローラは、
前記コントローラが前記機構を制御して前記第2の流路からの流体を前記検出領域からパージすべく実質的に前記第1の流路だけから流体を前記検出領域に配送するパージモードと、
前記コントローラが前記機構を制御して前記第2の流路からの流体の少なくとも一部を前記検出領域に配送する検出モードとを有し、
前記検出モードからのセンサ出力にロジックを適用して更なる出力を生成し、
必要ならば前記パージモードからのセンサ出力に基づいて前記ロジックを調整して前記検出領域内の汚染を補償すべく構成されている、請求項17に記載の粒子検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子の検出に関する。以下の説明は、煙探知器、特に光学式煙探知器に焦点を当てているが、当業者は本発明により幅広い用途があることが理解されよう。
【0002】
誤解を避けるべく、「粒子の検出」および類似用語を本明細書では固体および/または液体粒子の検出を指すために用いる。
【背景技術】
【0003】
粒子検出器は、潜在的なまたは初期の火事から生じる煙の存在を警報するために用いられることが多い。
【0004】
煙探知器は、例えば、オフィス環境、製造所や生産工場、発電所、およびクリーンルームを含む、様々な環境で動作する。これらの各々は異なるレベルのバックグラウンド粒状物質を有している。いくつかの環境において、バックグラウンド粒状物質の濃度はその時々に応じて変化する。
【0005】
そのような煙検出装置が、ある環境内に存在し得る空気中の相対的に高レベルのバックグラウンド汚染に連続的にさらされた場合、問題が生じる恐れがある。昨今における大規模な例が、アジア地域でよく見られる高レベルの煙公害であり、褐炭の燃焼によるところが大きい。
【0006】
バックグラウンド汚染は、例えば気道の詰まりや検出チャンバ内の最重要構成要素の光学特性の変化に起因する早期機能不全につながる、検出器内の構成要素の汚染を引き起こす恐れがある。
【0007】
散乱光検出器は、検出チャンバ全体に光線を投射すべく配置された光源を含んでいる。光電センサは、光線の一部がその視野を横断するように配置されている。光電センサは、検出チャンバに粒子が存在するために光線から散乱した光を受光する。時間の経過に伴い、埃や塵が検出チャンバ内の表面に堆積して光電センサの方へ光を反射するため、検出チャンバ内の粒子の存在を誤表示する恐れがある。塵や埃はまた、光源および/または光電センサに沈積するため、光の伝達および受光を妨げて検出器の感度が下がる恐れがある。
【0008】
これらの問題に対処する一つのアプローチに「空気バリア」の使用が含まれる。空気バリアは、新鮮な空気の一つ以上の流れを検出チャンバへ誘導して光源、光電センサ、および光電センサの視野内の壁等の最重要構成要素の上を流れるようにすることにより生成されて、塵や埃がその上に堆積するのを防ぐものである。
【0009】
吸引式煙探知器はアスピレータとして知られる送風機を用いて、調査対象の空気を検出チャンバから吸い込む。調査対象の空気は、吸入口(群)を介してチャンバに入る。空気バリア概念の望ましい実装は、フィルタ(群)を用いて新鮮な空気を生成する。フィルタは吸入口に平行に配置されているため、新鮮な空気はアスピレータによりフィルタを通って検出チャンバ内へ吸入される。例えばパイプのネットワークからの一般的な空気流を二つの部分に分割して、一方の部分がフィルタリングされて新鮮な空気を生成し、もう一方の部分が調査対象のチャンバに入る。
【0010】
検出チャンバ内における塵や埃の堆積に付随する問題に対処する別のアプローチは、堆積し塵や埃から反射された「バックグラウンド光」として知られる光に関連付けられた測定値を得て、バックグラウンド光に応答して光電センサから受信した信号に適用される検出基準を調整することである。バックグラウンド光の測定値を得る一つのアプローチは、検出チャンバ内における第2の光電センサの使用が含まれる。第2の光電センサは、自身の視野が光線を含まないように配置される。第2の光電センサからの信号は従って、光線から直接散乱された光よりも、検出チャンバ内で反射された光を表す。
【0011】
特許文献1「パージ装置付スモークメータ」の要約は測定装置を新鮮な空気で満たして較正を実行すべき新鮮な空気の不透明度を測定する方法を記述している。記述されている装置は、検出チャンバに新鮮な空気を供給する専用ブロワーを含んでいる。押下可能スイッチにより制御される弁を用いて流入管を閉じてパージ動作の前に検出チャンバへの排出ガスの流入を止める。
【0012】
特許文献2は、誤警報に応答して消火機器が起動されるのを防ぐことに関する。これは吸引式煙探知器に適用可能な動作手順を記述している。警報状態が検出された際に、チャンバ内が新鮮な空気で浄化されてバックグラウンド「煙」信号が測定される。バックグラウンド読取値が所定の閾値を下回らない場合、検出器の誤作動が表示される。バックグラウンド「煙」が所定の閾値を下回った場合、システムは消火システムを起動させる前に、検出された煙レベルが更なる閾値を上回るのを待つ。
【0013】
汚染された環境内で動作する粒子検出器に付随する問題を解決する他の試みとして、気流中に配置された塵フィルタが含まれる。塵フィルタは、検出対象の煙とは無関係な粒子をフィルタリング除去するために用られてきた。煙の粒子は、使用する燃料および燃焼条件に応じて様々な規模で生じる場合があり、フィルタの種類は予想される塵粒子の種類および検出対象の煙の種類に応じて選択される。
【0014】
従来の塵フィルタは詰まるにつれ、より多くの粒子を空気中から除去し始めて、最終的には煙粒子(または他の関心対象である小粒子)のフィルタリング除去を開始する。これは、より多くの粒子がフィルタを詰まらせるにつれフィルタの有効孔径が狭まるためである。ある種のフィルタ、特に泡フィルタは、フィルタの両端での圧力低下またはフィルタを通る流速が大幅に変化する前に、煙の粒子の除去を開始することができる。その結果として、圧力および/または流れ測定装置を用いてフィルタの詰まりが検出可能になるはるか以前に、フィルタは未知の割合の煙を除去されるかもしれない。
【0015】
いくつかの状況において、例えばサンプルフローを新鮮な空気で希釈することにより、煙探知器内に導入する前に空気サンプルを調整する試みがなされてきた。そのような希釈の目的は、粒子分布は不変であるが元のサンプルフローよりも粒子濃度が低いサンプルフローを検出チャンバに送り込むことである。そのような希釈構成は、同様な方法で汚染された環境での動作に付随する問題に対処するが、粒子濃度が低いため検出器の感度および精度が低下する。
【0016】
希釈は、パイプネットワークを用いて監視されている空間から空気を引き込む空気サンプリング煙探知器の問題を提起する。すなわち、検出器に入る流れの中へ希釈気流を導入することで、監視されている空間から引き込まれるサンプル空気の量が減少する。このため、監視されている領域からサンプル空気が煙探知器まで移動するのに要する「透明時間」と呼ばれる時間が長くなり、従って検出時間が長くなる。
【0017】
本願出願人は、自身の国際特許出願である特許文献3において、サンプルフローの第1の部分がHEPA(高性能粒子空気)フィルタを介してフィルタリングされる構成を提案している。HEPAフィルタは、サンプルフローの第1の部分から粒子の実質的に全量を除去して新鮮な空気を生成する。新鮮な空気を用いて、サンプルフローの第2の、フィルタリングされていない部分を希釈する。希釈されたサンプルフローは次いで検出領域へ送られる。この構成は、他の希釈構成に付随する遷移時間問題に効果的に対処するものであり、流れをより阻害する程度にフィルタが詰まり得るならば、検出領域における粒子の濃度は減少せずに増大する点で「フェールセーフ」動作を行なう。希釈の程度もまた、温度や湿度等の環境要因により変化し得る。希釈率の変化により、付随する煙探知器の精度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭59−192940号公報
【特許文献2】ニュージーランド国特許第250497号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/095675号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従来技術におけるこれら各種の進歩にもかかわらず、公知のフィルタリング構成および希釈構成では、検出領域に到達する粒子の濃度が結果的に低下し、粒子検出器の感度および精度が低下する恐れがある。無論、煙探知器は感度が高く且つ正確であることが望ましい。また、フィルタを用いる場合、当該フィルタの状態、特に、当該フィルタが関心対象の粒子(例:煙粒子)を除去する程度に詰まっているか否かが分かることも望ましい。
【0020】
本発明の目的には、改良された粒子の検出、改良された粒子検出器、およびそのための構成要素の提供、または少なくとも粒子の検出に関係する代替手段の提供が含まれる。
【0021】
本明細書において何らかの従来技術への参照があったとしても、当該従来技術がオーストラリアその他のいかなる管轄当局が有する一般的知識の一部をなす、あるいは当業者により当該従来技術が合理的に関連性を有することを保証、理解および認識されることを了承または如何なる形式においても示唆するものではなく、またそのように解釈してはならない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様は、環境内の粒子を検出する粒子検出器用のフィルタ構成を提供する。粒子検出器は、検出領域内の流体を分析してセンサ出力を生成する1個以上のセンサを含み、フィルタ構成は、環境から検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および当該フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、第1の流路と第2の流路を通る流体の相対流速(flow rate)を制御する機構と、少なくとも2個の相対流速に対応するセンサ出力を受信して、これにロジックを適用してフィルタの状態を表す出力を生成すべく構成されたコントローラとを含んでいる。
【0023】
センサ出力は好適には粒子濃度を表す。
【0024】
本発明の好適な形式において、当該機構は、相対流速を変化させるべく構成または制御され(例:コントローラにより制御され)、コントローラは、周期的に(例:一定間隔で、その時々でランダムに、または所定のスケジュールに従い)および/または粒子濃度の検出された変化に応答してフィルタの状態を表す出力を生成すべく構成されている。
【0025】
コントローラは、フィルタの状態が所定の閾値を上回る場合、誤り信号を生成すべく構成されていてよい。
【0026】
当該機構は、好適には、環境内の予測された汚染レベルに基づいて相対流速を変化させて検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく構成または制御される。
【0027】
本発明の別の態様は、環境内の粒子を検出する粒子検出器用のフィルタ構成を提供するものであり、粒子検出器は、検出領域内の流体を分析してセンサ出力を生成する1個以上のセンサを含んでいて、フィルタ構成は、環境から検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および当該フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、第1の流路と第2の流路を通る流体の相対流速を制御する機構とを含み、当該機構は、環境内の予測された汚染レベルに基づいて相対流速を変化させて検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく構成または制御される。
【0028】
本発明の好適な形式において、予測された汚染レベルに基づいて相対流速を変化させるステップは、反復的スケジュールに基づいて相対流速を変化させるステップを含んでいる。最も好適には、スケジュールは、検出器の感度を相対的に高めるべく流体の相対的に低い割合が第1の流路を通って流れる夜間モード、および検出領域内の汚染を減らすべく流体の相対的に高い割合が第1の流路を通って流れる日中モードを含んでいる。
【0029】
オプションとして、当該機構は、第2の流路を通る相対流速を周期的且つ一時的に速めて検出器の感度を周期的に向上させることにより、検出領域が第2の流路からの流体、従って当該流体が搬送する汚染物質にさらされる平均時間を短縮して検出領域内の汚染を減らすべく構成または制御される。
【0030】
本発明の別の態様は、環境内の粒子を検出する粒子検出器のフィルタ構成を提供するものであり、粒子検出器は、検出領域内の流体を分析してセンサ出力を生成する1個以上のセンサを含んでいて、フィルタ構成は、環境から検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および当該フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、第1の流路と第2の流路を通る流体の相対流速を制御する機構と、第2の流路を通る相対流速を周期的且つ一時的に速めて検出器の感度を周期的に向上させることにより、検出領域が第2の流路からの流体、従って当該流体が搬送する汚染物質にさらされる平均時間を短縮して検出領域内の汚染を減らすように当該機構を制御すべく構成されたコントローラとを含んでいる。
【0031】
本発明の好適な形式において、第2の流路を通る相対流速は、一時的に毎分1回以上速められる。
【0032】
好適には、当該機構は、第2の流路を通る相対流速が周期的且つ一時的に上昇する都度、流体の実質的に全量が第2の流路を介して搬送されるべく構成または制御される。最も好適には、当該機構は、第2の流路を通る相対流速が周期的且つ一時的に上昇する合間に、流体の実質的に全量が第1の流路を介して搬送されるように構成または制御される。
【0033】
当該構造は、環境から流体の共通の流れを受容して流れの各部分を第1の流路および第2の流路へ誘導する分流装置を含んでいてよい。好適には、当該構造は、第1の流路および第2の流路から流体を受容して、流体の複合流を検出領域へ向けて搬送する合流装置を含んでいる。
【0034】
当該機構は、バルブ、例えばソレノイドバルブを含んでいてよい。本発明の好適な形式において、当該機構は電気機械装置を含んでいる。
【0035】
好適には、当該構造および機構は協働して、フィルタにより課される流れの制約よりも実質的に厳しい流れの制約を課すことにより、第1の流路および第2の流路を通る相対流速はフィルタの状態から実質的に独立している。好適には、当該フィルタはHEPAフィルタである。
【0036】
本発明の好適な形式において、第2の流路は、自身が搬送する流体から関心対象の粒子が実質的にフィルタリングされないように構成されている。
【0037】
本発明の別の態様は、環境内の粒子を検出する粒子検出器を提供するものであり、粒子検出器は、検出領域を画定する構造と、検出領域内の流体を分析してセンサ出力を生成する1個以上のセンサとを含み、上述のフィルタ構成は、流体を当該環境から検出領域まで搬送してセンサと協働すべく構成されている。
【0038】
好適には、粒子検出器はコントローラを含み、コントローラは、コントローラが当該機構を制御して第2の流路からの流体を検出領域からパージすべく実質的に第1の流路だけから流体を検出領域に配送するパージモード、および当該コントローラが当該機構を制御して第2の流路からの流体の少なくとも一部を検出領域に配送する検出モードを有し、検出モードからのセンサ出力にロジックを適用して更なる出力を生成し、必要ならばパージモードからのセンサ出力に基づいてロジックを調整して検出領域内の汚染を補償すべく構成されている。
【0039】
本発明の別の態様は、検出領域内の粒子を検出する粒子検出器を提供するものであり、粒子検出器は、環境から検出領域に向けて流体を搬送する、フィルタを含む第1の流路、および当該フィルタをバイパスする第2の流路を含む流路を画定する構造と、第1の流路と第2の流路を通る流体の相対流速を制御する機構と、検出領域内の流体を分析してセンサ出力を生成する1個以上のセンサと、コントローラであって、コントローラが当該機構を制御して第2の流路からの流体を検出領域からパージすべく流体を実質的に第1の流路だけから検出領域に配送するパージモード、および当該コントローラが当該機構を制御して第2の流路からの流体の少なくとも一部を検出領域に配送する検出モードを有し、検出モードからのセンサ出力にロジックを適用して更なる出力を生成し、必要ならばパージモードからのセンサ出力に基づいてロジックを調整して検出領域内の汚染を補償すべく構成されたコントローラとを含んでいる。
【0040】
当該コントローラは好適には、パージモードと検出モードの間を周期的に(例:一定間隔で、その時々でランダムに、または所定のスケジュールに従い)遷移すべく構成されている。最も好適には、当該コントローラは、検出モードからパージモードへの遷移がセンサ出力に依存するように構成されている。
【0041】
当該コントローラは、チャンバがパージされた場合、一定時間にわたりセンサ出力に基づいて複数の測定値を保存することができる。本発明の好適な形式において、当該コントローラは、チャンバがパージされた場合、センサ出力に更なるロジックを適用し、必要ならば誤り信号を生成すべく構成されている。
【0042】
ロジックは、センサ出力からバックグラウンド光の測定値を減算するステップを含んでいてよい。ロジックの調整は、バックグラウンド光の新たな測定値を計算して置換するステップを含んでいてよい。
【0043】
センサは1個以上の光電装置を含んでいる。
【0044】
本発明の別の態様は、環境内の粒子を検出する粒子検出システムを提供するものであり、粒子検出システムは、環境から流体を受容する少なくとも1個の吸入口および少なくとも1個の排出口を画定する配管と、吸入口と排出口との間で配管を通って流体を移動させるアスピレータとを含み、上述の粒子検出器は、アスピレータの下流から流体を受容してアスピレータの上流に流体を配送することにより、アスピレータが流体を粒子検出器を通って移動させるべく配置されている。
【0045】
本発明の別の態様は、サンプル流体を受容して、粒子検出器の検出領域を通って移動する流体を供給するフィルタ構成を提供するものであり、フィルタ構成は、第1の流路および第2の流路を画定する構造、第1の流路および第2の流路を通って受容されたサンプル流体の相対流速を制御する制御可能な機構、およびコントローラを含み、少なくとも第1の流路は、第1の流路に沿って移動する流体からの粒子をフィルタリングするフィルタを含んでいて、第1のフィルタリングされた流路および第2の流路は平行に配置されていて、第2の流路に沿って移動する流体がフィルタをバイパスし、第1のフィルタリングされた流路、および第2のバイパス流路がフィルタの下流で検出領域と連通すべく配置されていて、制御可能な機構は少なくとも2個のモードを有し、当該少なくとも2個のモードが、第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパス流路を通る異なる相対流速に対応し、当該コントローラは、少なくとも2個のモードの各々について流体を特徴付ける少なくとも1個のパラメータを受信すべく構成またはプログラミングされていて、受信したパラメータに基づいてフィルタ状態を表すフィルタ状態信号を生成するロジックを適用すべく構成またはプログラミングされている。
【0046】
当該少なくとも1個のパラメータは好適には、粒子濃度を表す信号であり、最も好適には検出領域、例えば光電装置に関連付けられた粒子検出器の構成要素から受信される。
【0047】
本発明の好適な形態によれば、第1のフィルタリングされた流路、および第2のバイパス流路はフィルタの下流で合流し、その後検出領域と連通する。
【0048】
制御可能な機構は好適にはバルブである。制御可能な機構は、電気機械装置であってよい。本発明の好適な形式によれば、制御可能な機構はソレノイドバルブである。好適には、制御可能な機構がコントローラに動作可能に関連付けられていることにより、当該コントローラは少なくとも2個のモード間で切り替えを行う。これにより、少なくとも2個のモードの間で切り替えて前記フィルタ状態信号を生成すべくコントローラは構成またはプログラミングされる。例えば、当該コントローラは、周期的に、例えば週に1回、前記フィルタ状態信号生成すべく構成またはプログラミングされていてよい。
【0049】
当該コントローラは、検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく実際のまたは予測された汚染レベルに基づいてモード間で切り替わるべく構成またはプログラムされていてよい。例えば、受容されたサンプル流体の実質的に全量がフィルタリングされる第1のモードを工場環境(高い汚染レベルが予想される)の日中の動作時に用い、受容されたサンプル流体の実質的に全量がバイパスラインに沿って移動する第2のモードを夜間用いてもよい。このような方法で、粒子検出器は、夜間は完全感度で動作しながら日中は汚染から保護することができる。当該コントローラは、異なるレベルのフィルタリングに対応する3個以上のモードを有していてよい。
【0050】
オプションとして、当該コントローラは、粒子濃度の変化を表す信号に応答してフィルタ状態信号を生成するモード間で切り替わるべく構成またはプログラムされていてよい。例えば粒子濃度の急激な増加または減少(例:50%の減少)が検出された場合、当該コントローラは制御可能な機構を制御して前記フィルタ状態信号を取得することにより、急激な増加または減少が、受容したサンプル流体の変化またはフィルタ状態の変化に関連付けられているか否かを判定することができる。当該コントローラはまた、検出器の感度向上または汚染保護強化のために粒子濃度を表す信号に応答してモード間で切り替わるべく構成またはプログラムされていてよい。
【0051】
好適には、当該少なくとも2個のモードの一方はフィルタ検査モードと呼ばれ、実質的に第2のバイパス流路に沿って移動する受容されたサンプル流体の全量に対応する。
【0052】
本発明の好適な実施形態によれば、当該少なくとも2個のモードの少なくとも一方において、構造および/または制御可能な機構は、フィルタにより課される流れの制約よりも実質的に厳しい流れの制約を課すことにより、第1のフィルタリングされた流路および他の流路(群)を通って流れる流体の相対的な量はフィルタ状態から実質的に独立している。
【0053】
本発明の好適な形式のコントローラは、フィルタ状態信号が所定の閾値を上回った場合、誤り信号を生成するロジックを適用すべく構成またはプログラムされていてよい。
【0054】
当該構造は、例えば配管ネットワークに関連付けられた共通のパイプから、サンプル流体の共通な流れを、例えば共通の開口部を通って受容して、流れの各部分を第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパス流路へ誘導すべく構成された分流装置を含んでいてよい。
【0055】
本発明の当該態様はまた、フィルタ構成および検出領域を含む粒子検出器を提供するものであり、フィルタ構成は自身に流体を供給する検出領域と連通している。
【0056】
本発明の当該態様はまた、粒子検出器の上流におけるフィルタのフィルタ状態を判定する方法を提供するものであり、本方法は、フィルタおよび粒子検出器の上流でフィルタをバイパスすべく配置されたバイパスのうち少なくとも一方を通る第1の流体流を生成して、第1の流体流れに関連付けられた少なくとも1個の第1のパラメータを測定するステップと、第2の流体を生成すべくフィルタおよびバイパスを通る相対流速を変化させるステップと、第2の流体に関連付けられた少なくとも1個の第2のパラメータを測定するステップと、測定されたパラメータにロジックを適用してフィルタ状態を決定するステップとを含んでいる。
【0057】
測定されたパラメータは好適には粒子濃度であって、最も好適には粒子検出器で測定される。
【0058】
変化させるステップは好適には、少なくとも1個の電気機械バルブを起動するステップ含んでいる。
【0059】
本発明の好適な形式によれば、第1および第2の流体流は、バイパスを通る流体流を選択的に遮断または許容することにより好都合に生成される。
【0060】
本発明の別の態様は、サンプル流体を受容して、粒子検出器の検出領域を通って移動する流体を供給するフィルタ構成を提供するものであり、フィルタ構成は、第1の流路および第2の流路を画定する構造と、第1の流路および第2の流路を通る受容されたサンプル流体の相対流速を制御する制御可能な機構、およびコントローラを含み、少なくとも第1の流路は、第1の流路に沿って移動する流体からの粒子をフィルタリングするフィルタを含んでいて、第1のフィルタリングされた流路および第2の流路が平行に配列されていることにより、第2の流路に沿って移動する流体がフィルタをバイパスし、第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパスが、検出領域を有するフィルタの下流において連通すべく配置されていて、制御可能な機構は少なくとも2個のモードを有し、当該少なくとも2個のモードは第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパス流路を通る異なる相対流速に対応し、コントローラは、検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく実際のまたは予測された汚染レベルに基づいてモードの間で切り替わるべく構成またはプログラミングされている。
【0061】
本発明の当該態様はまた、フィルタ構成および検出領域を含む粒子検出器を提供するものであり、フィルタ構成は自身に流体を供給する検出領域と連通している。
【0062】
本発明の当該態様はまた、粒子検出器の検出領域に供給される流体の汚染の濃度を制御する方法を提供するものであり、本方法は、フィルタおよび当該フィルタをバイパスすべく配置されたバイパスのうちの少なくとも一方を通る流体流を生成するステップと、流体流を検出領域へ誘導するステップ、検出領域に到達する汚染の濃度を制御すべく実際のまたは予測された汚染レベルに基づいてフィルタおよびバイパスを通る相対流速を変化させるステップとを含んでいる。
【0063】
広義には本発明の更なる態様は、吸引式煙/粒子検出器(汚染された環境における)を監視する方法を目的とし、サンプリングされた空気の出口と煙/粒子検出器の検出ゾーンとの間に、フィルタを有する第1の流路を設けるステップと、サンプリングされた空気の出口と検出ゾーンの間に、第1のフィルタリングされた流路をバイパスする第2の流路を設けるステップと、第1のフィルタリングされた流路内の粒子濃度に関連付けられた第1の信号を取得するステップと、第2の流路を通るサンプリングされた空気を分岐させるステップと、第2の流路内の粒子濃度に関連付けられた第2の信号を取得するステップと、第1および第2の信号に基づいてフィルタの状態を表す測定値を取得するステップとを含んでいる。
【0064】
本発明は更に、吸引式粒子検出器を動作する方法を提供するものであり、吸引された煙/粒子検出器(汚染された環境における)を監視するステップと、サンプリングされた空気の出口煙/粒子検出器の検出ゾーンとの間に、フィルタを有する第1の流路を設けるステップと、サンプリングされた空気の出口と検出ゾーンとの間に、第1のフィルタリングされた流路をバイパスする第2の流路を設けるステップと、非表示粒子(例:塵粒子)の生成を表す信号に応答して、第1および第2の流路の間で切り替わるステップとを含んでいる。
【0065】
非表示粒子の生成を表す信号は、例えばタイミング信号または検出信号であってよい。
【0066】
本発明の別の態様において、検出領域と、検出領域内の粒子を検出して表示信号を出力する1個以上のセンサと、調査流体を検出領域へ搬送する調査流体流路を画定する構造と、調査流体流路に沿った流速を制御する制御可能な機構と、検出領域内の汚染を減少させるべく、検出領域を通って調査流体を選択的に移動させることにより検出領域が移動中の調査流体および自身が搬送する汚濁物にさらされるように制御可能な機構を制御すべく構成されるコントローラとを含む粒子検出器を提供する。
【0067】
好適には、当該構造は更に、サンプル空間から吸引されたサンプル流体の流れを搬送すべくサンプル流体流路を画定し、制御可能な機構は、サンプル流体の流れの少なくとも一部を、調査流体流路に沿って流れるように誘導すべく構成されていて、サンプル流体の流れの前記部分が調査流体を形成している。
【0068】
本発明の好適な実施形態によれば、当該構造は更に、第1のフィルタリングされた流路を画定し、調査流体流路は第2のバイパス流路を形成し、第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパス流路の各々が検出領域と連通している。
【0069】
粒子検出器は好適には、検出領域の下流に、前記流体の流れを生成して移動させるアスピレータを含んでいる。
【0070】
第2のバイパス流路は好適には、実質的にフィルタリングされていないため、調査流体は実質的にフィルタリングされていない。
【0071】
第1のフィルタリングされた流路は好適には、自身に沿って移動する流体からの汚染物質を実質的に全量フィルタリングすべく構成されている。例えば、第1のフィルタリングされた流路にはHEPAフィルタが張られていてよい。
【0072】
好適には、当該コントローラは、時間の約20%にわたり検出領域を通って調査流体を移動させるべく構成されている。最も好適には、調査流体は毎分1回以上、検出領域を通って移動する。例えば、検出領域は、第1のフィルタリングされた流路からのフィルタリングされた流体に4秒間、および第2のバイパス流路からの実質的にフィルタリングされていない流体に1秒間、交互にさらされてよい。
【0073】
当該コントローラは、表示信号を受信して追加的な信号を生成するロジックを適用すべく構成されていてよい。好適には、当該コントローラは、検出領域を通る調査流体の選択的な移動の間に表示信号を受信して、必要ならば検出領域内の前記汚染を補償すべく構成されている。
【0074】
本発明の当該態様はまた、検出領域を有する吸引式粒子検出器を動作させる方法を提供するものであり、本方法は、新規サンプル流を検出チャンバに断続的に導入するステップと、検出領域を通って調査流体を選択的に移動させるステップと、粒子濃度を表す信号を生成すべく検出領域内の調査流体を調査するステップとを含んでいることにより、検出領域内の汚染を減少すべく、検出領域が移動中の調査流体、および自身が搬送する汚濁物に選択的にさらされる。
【0075】
前記選択的な移動は好適には、遷移時間を短縮すべく、サンプル空間から吸引された流体の流れの少なくとも一部、より好適には実質的に全量を周期的に誘導するステップを含んでいる。前記周期的に誘導するステップは好適には、前記流れを第1のフィルタリングされた流路から第2のバイパス流路へ誘導するステップを含み、第1のフィルタリングされた流路および第2のバイパス流路の各々が検出領域と連通していて、第2のバイパス流路に沿って移動する流体が調査流体を形成する。本方法は好適には、検出領域の下流に、前記流体の流れを生成して移動させるアスピレータを起動するステップを含んでいる。
【0076】
第2のバイパス流路は好適には実質的にフィルタリングされていないため、調査流体は実質的にフィルタリングされない。
【0077】
第1のフィルタリングされた流路は好適には、自身に沿って移動する流体からの汚濁物質を実質的に全量をフィルタリングすべく構成されている。例えば、第1のフィルタリングされた流路にはHEPAフィルタが張られていてよい。
【0078】
好適には、本方法は、時間の約20%にわたり検出領域を通って調査流体を移動させるステップを含んでいる。最も好適には、調査流体は毎分1回以上、検出領域を通って移動する。例えば、検出領域は、第1のフィルタリングされた流路からのフィルタリングされた流体に4秒間、および第2のバイパス流路からの実質的にフィルタリングされていない流体に1秒間、交互にさらされてよい。
【0079】
本方法は、表示信号を受信して追加的な信号を生成するロジックを適用するステップを含んでいてよく、また、検出領域を通る調査流体の選択的な移動の間に表示信号を受信して、必要ならば検出領域内の前記汚染を補償するステップを含んでいてよい。
【0080】
本発明は別の態様において、検出領域と、検出領域内の粒子を検出して表示信号を出力する1個以上のセンサと、コントローラと、受容されたサンプル流体を検出領域に搬送するための第1の流路および第2の流路を画定する構造と、第1の流路および第2の流路を通る受容されたサンプル流体の相対流速を制御する制御可能な機構とを含む粒子検出器を提供するものであり、少なくとも第1の流路は、第1の流路に沿って移動する流体からの粒子をフィルタリングするフィルタを含んでいて、第1のフィルタリングされた流路および第2の流路は、第2の流路に沿って移動する流体がフィルタをバイパスするように配置されていて、制御可能な機構は、検出領域がフィルタリングされていない流体を検出領域からパージすべく実質的にフィルタリングされた流体だけを第1のフィルタリングされた流路から受容するパージモード、および検出領域が第2のバイパス流路から流体の少なくとも一部を受容する検出モードを有し、当該コントローラは、検出モードにおいて、追加的な信号を生成すべく表示信号を受信してロジックを適用すべく構成またはプログラミングされていて、当該コントローラは、検出領域からフィルタリングされていない流体がパージされていれば表示信号を受信し、必要ならば当該信号に応答してロジックを調整することにより検出領域内の汚染を補償すべく構成またはプログラミングされている。
【0081】
当該コントローラは好適には、パージモードと検出モードの間の遷移を制御すべく制御可能な機構に動作可能に関連付けられている。当該コントローラは、検出モードからパージモードへの遷移が表示信号に依存するように構成されていてよい。例えば、検出器は、表示信号が閾値に等しいか上回る場合はパージモードに入らないように構成されていてよい。開始時点におけるパージ閾値は好適には、警報閾値より低い、最も好適には約50%の粒子濃度に対応している。
【0082】
当該コントローラは好適には、チャンバがパージされるとき、ある時間にわたり表示信号に基づいて複数の測定値を保存する。当該コントローラは、チャンバがパージされるときの表示信号が、前回のパージおよび調整動作時の表示信号よりも低過ぎる、高過ぎる、可変的過ぎる、および/または違い過ぎる場合、誤り信号を生成すべく構成されていてよい。ロジックは、表示信号からバックグラウンド光の測定値を減算するステップを含んでいてよい。ロジックの調整は、バックグラウンド光の新規測定値を計算すべく保存された表示信号の平均を求めるステップを含んでいてよい。
【0083】
本発明の当該態様はまた、検出領域を有する粒子検出器を動作させる方法を提供するものであり、本方法は、検出領域を通って調査流体を移動させるステップと、粒子濃度を表す信号を生成すべく検出領域内の調査流体を調査するステップと、追加的な信号を生成すべく表示信号にロジックを適用するステップと、フィルタリングされた流体を生成すべくサンプル空間から吸引されたサンプル流体をフィルタリングするステップと、検出領域から調査流体をパージすべく検出領域を通ってフィルタリングされた流体を移動させるステップと、粒子濃度を表す第2の信号を生成すべく検出領域内のフィルタリングされた流体を調査するステップと、必要ならば、検出領域の汚染を補償すべく第2の表示信号に応答してロジックを調整するステップとを含んでいる。
【0084】
検出領域から調査流体をパージすべく検出領域を通ってフィルタリングされた流体を移動させるステップは表示信号に依存していてよい。
【0085】
文脈上別途必要な場合を除き、本明細書で用いる「含む」という用語、および当該用語の変化形である「含んでいる」「含まれる」等は、更なる追加物、構成要素、整数、またはステップを除外することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】本発明の好適な実施形態による粒子検出器の模式図である。
図2A】ある動作モードにおける本発明の好適な実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
図2B図2Aのフィルタ構成の別の動作モードにおける模式図である。
図3A】ある動作モードにおける本発明の更なる実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
図3B図3Aのフィルタ構成の別の動作モードにおける模式図である。
図4A】ある動作モードにおける本発明の更なる実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
図4B図4Aのフィルタ構成の別の動作モードにおける模式図である。
図5】ある動作モードにおける本発明の更なる実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
図6A】ある動作モードにおける本発明の更なる実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
図6B図3Aのフィルタ構成の別の動作モードにおける模式図である。
図7】ある動作モードにおける本発明の更なる実施形態によるフィルタ構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1に、本発明の好適な実施形態による粒子検出器12を示す。粒子検出器12は、フィルタ構成10、検出チャンバ30、およびアスピレータ14を含んでいる。
【0088】
アスピレータ14は、配管ネットワーク18から空気を吸引する。この空気を「サンプル空気」と呼ぶ。サンプル空気は、排気管46を介してアスピレータ14から排出口16へ排出される。サンプリングパイプ48が排気管46から分岐してフィルタ構成10まで延びてフィルタ構成10をアスピレータ排気口と連通させている。パイプ40は、フィルタ構成10を検出チャンバ30と連通させる。次いで検出チャンバ30がパイプ50を通ってアスピレータ吸入口と連通している。アスピレータ排気口からのサンプル空気は、これにより検出チャンバ30を通ってフィルタ構成10内を誘導されて、アスピレータ吸入口に戻る。この構成をサブサンプリングループと呼ぶ。
【0089】
フィルタ構成10は、第1の流路22および第2の流路24を画定する構造42を含んでいる。流路22、24は平行に配置されていて、マニホルド空間20とプレナム28の間に延在している。アスピレータ排気口からのサンプル空気はマニホルド空間20内に受容されて、第1および第2の流路22、24の間で分割される。2本の流路は合流し、流れはプレナム28内で複合される。複合流は次いで、検出チャンバ30へ搬送される。
【0090】
フィルタ26が第1の流路22に沿って配置されている。
【0091】
マニホルド空間20は、第1および第2の流路を通る相対流速を変化させるべく制御可能な機構を形成するバルブを含んでいる。バルブは、図2A、2Bに示すフラップ120Bのような簡単なフラップまたはバタフライバルブであってよい。バルブの動作を変化させることにより、プレナム28に到達するフィルタリングされた、またはフィルタリングされていない空気の相対的な割合、次いで検出チャンバ30に到達する複合空気の成分を制御することができる。
【0092】
フィルタ構成10は更に、コントローラ32を含んでいる。コントローラ32は検出チャンバ30から、検出チャンバ内の粒子の濃度を表す信号44の形式でセンサ出力を受信する。いくつかの実施形態において、当該コントローラは、受信した信号を処理して出力を生成すべく構成されていてよい。本実施形態において、コントローラ32は、第1の流路22および第2の流路24を通る相対流速を制御すべくマニホルド空間20内のバルブと動作可能に接続されている。
【0093】
本明細書に記述する「コントローラ」は、入力信号を受信して、当該信号を処理して更なる有用な信号を生成する任意の構成であってよい。例えば、コントローラには、マイクロプロセッサ、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、ASIC、マイクロコントローラ、または任意の機能的に等価なアナログまたはデジタル装置が含まれるが、これに限定されない。
【0094】
コントローラ32は、粒子濃度44を表す信号に基づいて、特定の警報基準が満たされた場合に警報信号(図示せず)を生成する。後述するように、コントローラ32はまた、フィルタ26の状態を表す信号34を生成するロジックを適用する。
【0095】
本発明の好適な形式による煙探知器は、火災警報ループ(図示せず)に沿って設置されていてよく、フィルタの状態を表す信号34は当該ループを介して火災警報制御パネル(FACP;図示せず)に送信される。FACPは、フィルタの状態を表示して、フィルタの状態が所定の閾値を上回った場合、例えば可聴信号を発するかまたはディスプレイを点灯させることにより、エラーを通知することができる。
【0096】
フィルタ26は、粒子濃度を公知の方法で減少させるべく構成されている。本発明の好適な形式によれば、コントローラ32の影響下で、バルブは、通常の検出モードにおいて、受容されたサンプル空気の実質的に全量が第1のフィルタリングされた流路22を通過すべく誘導されるようにマニホルド空間20内の配置されている。これにより、検出チャンバ30に到達する空気の実質的に全量がフィルタリングされる。検出チャンバ30は従って汚染から保護される。
【0097】
コントローラ32により信号44に適用される警報基準は、フィルタ26に関連付けられた粒子濃度の公知の減少に基づいて調整される。本発明の記載されている好適な形態によれば、調整はコントローラ32により自動的に実行され、調整の量は以下の手順で決まるフィルタ状態に基づいて定期的に更新される。
【0098】
コントローラ32は、週に1回、1日の決まめられた時刻に、マニホルド空間20内のバルブの位置を変える信号をマニホルド空間20に送って、受容されたサンプル空気の実質的に全量がバイパス流路24を通過すべく誘導されるように第1の流路22および第2の流路24を通る相対流速を変化させる。これにより、検出チャンバ30により受容されたる流体の実質的に全量がフィルタリングされていない状態になる。この状態を「フィルタ検査モード」と呼ぶ。
【0099】
通常の検出モードとフィルタ検査モードの信号44を比較することにより、コントローラ32は、フィルタ状態、特にフィルタ26が自身を通る流体からの関心対象である粒子をフィルタリングする程度を推定することができる。
【0100】
記述されている通常の検出モードにおいて、検出チャンバ30は、記述されている調整が他のフィルタ構成に対して向上した精度を維持する間、汚染から保護される。にもかかわらず、流入する空気をフィルタリングすることにより、検出チャンバ30に到達する粒子濃度は低下し、その結果フィルタリングされていない構成と比較して感度が若干低下する。
【0101】
本発明の好適な形式によれば、コントローラ32は、第1の流路22および第2の流路24を通る相対流速を変化させるべくマニホルド空間20内のバルブを制御し、従って、実際のまたは予測された汚染レベルに応答して、検出チャンバ30が受容する流体がフィルタリングされる程度を制御すべく動作する。相対流速がそのように調整された場合、コントローラ32は警報基準の対応する調整を行う。本発明はこれにより、空気が重大に汚染されている場合は汚染からの保護を最大限にし、空気が重大に汚染されていない場合は感度を最高にする。
【0102】
例えば、粒子検出器12は、汚染レベルが高い予想される場合、工場の日中操業時には通常の検出モードで動作し、工場が非稼働で汚染レベルが低いと思われる場合は「夜間」モードに戻る。夜間モードでは受容されたサンプル空気の実質的に全量または選択された一部が、第2のフィルタリングされていない流路24を通過すべく誘導され、コントローラ32により警報基準の対応する調整が行われる。検出チャンバ30は従って、夜間に最高感度が維持されているとき、日中の汚染から保護される。コントローラ32は、通常の検出モードと夜間モードの間で各遷移に対する信号44を比較してもよい。このようにフィルタ状態を調べて、1日2回の割合で警報基準が適切に更新される。
【0103】
本発明の特定の実施形態によれば、受容されたサンプル空気の一部または実質的に全量が、通常動作の間、感度を最大化させるべく第2のフィルタリングされていない流路24を通ることができる。これらの実施形態によれば、フィルタリングの量は、汚染事象(例:劇場における演出効果としての煙の放出、または駅に到着したディーゼル列車)が続けば増加するであろう。センサ出力に適用されるロジックは、相対流速の関数として変化し得る。例えば、フィルタリングの程度が増大した場合は警報閾値または警報遅延が下げられるであろう。フィルタリングの量の変化は、タイムテーブル(例:列車時刻表)または他の入力により制御することができる。例えば、単純な実装方式では、操作者が、大量の粒子汚染を生成することが知られている一組の機械を動作する前に高フィルタリングモードへ切り替える入力を与えることができる。特定の実施形態は、2個を超える、例えば異なる相対流速、従って異なるフィルタリングの量に対応する4個の異なる動作モードを有していてよい。
【0104】
フィルタリングの程度は、検出された粒子濃度に応答して調整することができる。例えば、フィルタ26は、煙粒子を通過させながら、塵をフィルタリングすべく選択された泡フィルタであってよい。当該実施形態によれば、コントローラ32は、受容されたサンプル流体のより大きな部分がフィルタリングされるように、流路22、24を通る相対流速を変化させることにより、増大した粒子濃度を表す信号44に応答する。信号44の変化を監視することにより、コントローラ32は、検出された粒子濃度の増加が塵または煙に関連付けられているか否かを推定することができる。
【0105】
図2A、2Bに、本発明の実施形態によるフィルタ構成の構造142を模式的に示す。サンプル空気が吸入口138を介してマニホルド空間120Aに受容される。当該構造は、2本の平行な流路122、124を画定する。流路122には泡フィルタ126が張られている。流路124には単純なピボット回転可能に搭載されたフラップが張られていて、流路124を通る流速、従って流路122、124を通る相対流速を変化させる制御可能な過程を形成している。図2Aに閉鎖位置におけるフラップ120Bを示す。図2Bに開放位置におけるフラップ120Bを示す。流路122、124は合流し、従ってプレナム128において流れが複合され、複合流体は排出口140を介して構造142から出る。
【0106】
図2Aに、上述の通常の検出モードと同様の構成を示す。流路124はフラップ120Bにより閉じられているため、受容流体の実質的に全量がフィルタ126を通過すべく誘導される。フィルタ126は相対的に高いインピーダンスを有するため、図2Bに示すように、フラップ120Bが開いた際に流れの実質的に全量が流路124を通過すべく誘導される。
【0107】
フィルタ126等の泡フィルタは、塵粒子を効果的にフィルタリング除去する。通常の動作範囲において、そのようなフィルタは、煙粒子のわずかな部分しか除去できない。煙および塵粒子の差動処理により、好適には、感度が相対的に若干低下するだけで検出チャンバを塵から保護する。そのような泡フィルタにおける問題は、それらが詰まるに従い、煙粒子のフィルタリング除去が始まり、フィルタ両端での圧力低下に何らかの感知可能な変化が生じる前に、大部分の煙粒子がフィルタリングされてしまう恐れがある。このため、フィルタが、煙粒子をフィルタリング除去する程度まで詰まった時点を判定することは困難である。当業者には理解されるように、本発明の好適な実施形態は、検出チャンバがフィルタリングされていない空気にさらされるようにフラップ120Bを開くことにより、この問題に対処する。
【0108】
図1の構造2A、2Bは、2個の更に望ましい動作モードに寄与する。
【0109】
これら2個のモードのうち第1のものによれば、フラップ120B、従ってバイパス124は周期的に開閉される。当該モードにおいて、検出器は、新鮮な空気の期間で区切られた、フィルタリングされていない空気の周期的突出を受容する。これは、新鮮な空気のデューティサイクルに比例して飛来する汚染物質を減らすことにより、検出器の寿命を延ばす効果がある。例えば、フィルタリングされていない空気が1秒間検出器に入ることが許され、続いてフィルタ126からの空気に4秒間さらされる場合、下流の検出器の汚染率は、検出器が常にフィルタリングされていない空気に完全にさらされる場合に生じる汚染率の5分の1に減るであろう。この方法は、出願人が国際特許出願の国際公開第2007/095675号パンフレットで提案した希釈構成と同様の寿命延長効果をもたらす。しかし、この時間依存方法の好適な形態は、流速の維持または測定に依存しないという利点がある。本発明の好適な形式によれば、チャンバ30がフィルタリングされていない空気で満たされている場合、コントローラ32は単に信号44に対して通常の処理技術を適用する一方、チャンバ30がフィルタリングされた空気で満たされている場合は信号44を無視する。
【0110】
これらの望ましい動作モードのうち第2のものは、自身を通って流れる流体から粒子の実質的に全量をフィルタリング除去するHEPAフィルタの利用に特に適している。受容されたサンプル流体の全量がフィルタ126を通過すべく誘導されるように、フラップ120Bが閉じている場合、新鮮な空気(すなわち、粒子が存在しないかまたは少なくとも関心対象の粒子が存在しない空気)が検出チャンバ30へ配送される。チャンバから一切のフィルタリングされていない空気がパージされて新鮮な空気で満たされたならば、信号44は検出チャンバにバックグラウンド光の表示を行う。この検出チャンバを用いて警報基準を調整することができる。例えば、バックグラウンド光の読取値を信号44から減算(チャンバ30がフィルタリングされていない空気で満たされている場合)して追加的な信号を生成し、追加的な信号が所定の閾値を上回った場合に警報を鳴らしてもよい。
【0111】
図3A、3Bに、本発明の別の実施形態を模式的に示す。当該実施形態は、3本の平行な流路222、224、および236を含んでいる。流路222にはHEPAフィルタが張られている。第2の流路224はフィルタリングされていない。第3の流路236にはフラップ220Bが張られている。
【0112】
通常の検出モードにおいて、フラップ220Bは図3Aに示すように流路236を閉じるべく閉じている。これにより、吸入口238を介してマニホルド空間220Aに受容されたサンプル空気の実質的に全量が流路222と224の間で分割される。流路222、224から、空気がプレナム空間228に受容されて排出口240を介して構造242から出る。当該構成によれば、流路222、224を通る相対流速は、これら2本の流路の相対インピーダンスで決定される。
【0113】
本発明の好適な形態は、1流路222、224の相対インピーダンスを制御すべく構成された開口付きバッフルプレート(図示せず)等の1個以上の構造的要素を含んでいる。バッフルプレートは好適には、フィルタ226よりもかなり大きいインピーダンスを備えている。2本の流路222、224の相対インピーダンスはこれによりバッフルプレートの幾何的形状に依存するため、相対流速がフィルタ状態(少なくともフィルタが極端に詰まるまで)から多少独立している。例えば、バッフルプレートは、フィルタリングされていない流路224と連通している単一の小さい穴、およびフィルタリングされた流路222と連通しているいくつかの同様の穴を含んでいてよい。
【0114】
更に、当該構成は、インピーダンスが知覚可能に変化する程度(例:推奨サービス間隔が無視された)まで詰まったフィルタが、より高い粒子濃度信号を生成する点で「フェールセーフ」動作を提供する。フィルタ226が詰まるに従い、流路222のインピーダンスは増大し、相対的により多くの空気が流路224を通って流れる。従って、フィルタ226が詰まるに従い、通常の検出モードにおいて構造242を通る空気は次第にフィルタリングされなくなり、すなわち粒子濃度が高くなる。
【0115】
図2A、2Bの実施形態のように、流路236は、フラップ220Bが開いた際に、受容された流体の実質的に全量がフィルタリングされていない流路236を通るように、流路222、224よりもかなり低いインピーダンスを有している。代替的に、図4A、4Bに示すように、追加的なフラップ320Cが設けられていてもよい。
【0116】
周期的に、または検出された煙の読取値が多少なりとも変化する都度、フラップ220Bの位置を、図3Aの閉鎖位置から図3Bの開放位置に変えてもよい。これを行う場合、煙探知器は希釈されていない煙にさらされており、検出器は実際にサンプリングされた煙の値を記録する。図3A、3Bに示す二つの構成に取り入れられた煙のレベルから比率を算出することにより、通常の検出モードにおける実際の希釈率(すなわち、流路222、224を通って移動する流体の比率)を決定することが可能であり、また後段の分析機器の閾値レベルまたは感度ゲインを調整することができる。
【0117】
同様の「フェールセーフ」動作は、図2A、2Bの構造を用いて通常の検出モードにおいてフラップ120Bの一部だけを閉じることにより実現できる。
【0118】
図4A、4Bの実施形態は、流路224を選択的に閉じる第3のバルブ320Dを導入して、フィルタ226を図5に示すようなHEPAフィルタとすることにより変更できる。流路224、236を閉じることにより、検出チャンバ(図に示すフィルタ構成の下流)からの信号がバックグラウンド光を表すように、空気の全量がフィルタリングされる。
【0119】
図6A、6Bに、フィルタリングされた流路322を選択的に閉じてフィルタ226’の状態すなわち希釈率を表すべく制御可能な機構がフラップ320C’の形状で配置されている代替的な構成を示す。図6Aに、フィルタリング空気をバイパス空気と混合させることにより吸入流に比べて希釈された粒子排出流の量を生じさせる、通常使用時における当該構成を示す。
【0120】
図6Bにおいて、フィルタを通る流れは実質的に遮断されて、不希釈空気だけが排出口を通過できる。このように必要なときに流路324を遮断することにより、実際の吸入された粒子濃度を測定し、次いでフィルタリングされた流路322が遮断されていないときに測定された濃度と比較することができる。このような方法で、フィルタ全体の希釈係数を決定して、次いで後段の分析機器の閾値レベルまたは感度ゲインを調整することができる。
【0121】
当業者には、多くのバルブ調節構成が用いられていることが理解されよう。出願人は、バルブ320Eがフィルタ226Eの下流に配置された図7に示す構成のようにフィルタの下流にバルブを配置してバルブを埃や塵から保護することによりバルブの寿命を延ばせると考察する。
【0122】
本発明について、実質的にフィルタリングされていないバイパス流路を有する実施形態を参照しながら記述してきた。これらのフィルタリングされていないバイパス流路には、極めて大きい粒状物質、例えば昆虫、をフィルタリング除去すべく粗いフィルタが張られていることが予期され、当該目的のためにそのような構成は実質的にフィルタリングされていないと考えられる。
【0123】
更に、当業者には、フィルタリングされていないバイパスを含まない、経済的に有利な実施形態が存在することが理解されよう。例えば、図1を参照するに、流路22、24の両方に、同一の泡フィルタ(新品のときは塵をフィルタリング除去するが煙は除去しない)が張られていてよい。この場合、一つの可能な構成において、フィルタ検査モードの間、一方のフィルタだけが流体にさらされることにより、粒状物質が吸着される(borne)。フィルタ検査モードは典型的には、通常の検出モードにおけるルーチン動作に比べて短時間且つ頻度が少ない。従って、当該フィルタは、他のフィルタの状態を検査すべく流れを受容する間、「新品同様の」状態で動作するものと仮定することができる。
【0124】
本明細書に開示および規定する本発明が、本文または図面に記述または明らかにされた個々の特徴のうち2個以上のあらゆる代替的な組合せを包含するものと理解されたい。これらの異なる組合せの全てが本発明の各種代替的な態様を構成する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7