特許第6352335号(P6352335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352335
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】骨盤帯付きズボン
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A41D1/06 J
   A41D1/06 B
   A41D1/06 G
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-116554(P2016-116554)
(22)【出願日】2016年6月10日
(62)【分割の表示】特願2015-211314(P2015-211314)の分割
【原出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-82373(P2017-82373A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 栽佑
(72)【発明者】
【氏名】松林 尚利
(72)【発明者】
【氏名】玉那覇 正平
(72)【発明者】
【氏名】佐古 かがり
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3052914(JP,U)
【文献】 特開2012−233292(JP,A)
【文献】 特開2006−063485(JP,A)
【文献】 特開2009−114553(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3172676(JP,U)
【文献】 特開平10−046409(JP,A)
【文献】 特開2001−181903(JP,A)
【文献】 特表平07−503647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/06−1/16
A41D13/00−13/12
A41D20/00
A41C 1/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボン本体の腰部に着脱可能に取り付けられ、前記ズボン本体への高さ方向の取付位置を調節できる取付位置調節手段が長手方向略中央に設けられている骨盤帯を備える骨盤帯付きズボンであって、
前記ズボンは、
着用者の腰部側においてベルト部の長手方向略中央に設けられ、前記取付位置調節手段を固定する固定具と、
着用者の腰部に対応する部位に設けられ、上端縁が前記ベルト部の下端に接合され、下端縁が後身頃に接合される伸縮性生地と、
前記伸縮性生地に重なる位置に設けられ、横方向に伸びた折り目で折り返された複数の襞であるプリーツを有する覆い布と、
を有すると共に、着用者の腹部に対応する部位に、前記骨盤帯を着脱自在に取り付ける取付手段を設け、
前記骨盤帯は、
前記ズボンと対向する第1面の一端側に設けられ、前記ズボンに設けられた前記取付手段と連結することにより前記骨盤帯を前記ズボンに対して固定する固定手段と、
前記固定手段の裏面に設けられた第1連結手段と、
前記第1面の他端側に設けられ、前記第1連結手段と連結することにより前記着用者の腹圧を上昇させる第2連結手段と、を有し、
前記伸縮性生地及び覆い布は、着用者の腰部側においてベルト部の長手方向中央を中心として、仙骨部の水平方向の長さの1.5〜3倍の幅を有することを特徴とする骨盤帯付きズボン。
【請求項2】
前記取付位置調節手段は、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材であって、前記雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が、骨盤帯本体の長手方向略中央であって、前記骨盤帯本体の長手方向と略直交する方向に少なくとも2個設けられ、前記ズボンに設けられた前記固定具を構成する前記雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する、前記一方の留め具を変えることにより前記骨盤帯本体の取付位置を調節することができることを特徴とする請求項1記載の骨盤帯付きズボン。
【請求項3】
前記取付位置調節手段は、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材であって、前記雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が骨盤帯本体の長手方向略中央に少なくとも1個設けられ、前記ズボン本体の腰部の位置であって、上下方向に少なくとも2個設けられた、固定具を構成する前記雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する、前記一方の留め具を変えることにより前記骨盤帯本体の取付位置を調節することができることを特徴とする請求項1記載の骨盤帯付きズボン。
【請求項4】
骨盤帯本体は、
伸縮性を有する主ベルトと、
前記主ベルトに縫製されて取り付けられた、伸縮性を有する略V字状の左補助ベルト及び右補助ベルトとを有し、
前記左補助ベルトは、頂部が前記主ベルトの左側で縫製され、両端が前記主ベルトの中央側で連結布を介して縫製され、
前記右補助ベルトは、頂部が前記主ベルトの右側で縫製され、両端が前記主ベルトに中央側で前記連結布を介して縫製され、
前記連結布には、前記取付位置調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の骨盤帯付きズボン。
【請求項5】
前記骨盤帯の前記第1連結手段の長手方向長さが、前記第2連結手段の長手方向長さよりも長いことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の骨盤帯付きズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズボンに装着できる腰痛保護帯及びこの腰痛保護帯を装着した腰痛保護帯付きズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来腰痛は、物の上げ下ろしを行う軽作業、店頭で立って行う販売、椅子に座って行うデスクワーク等の種々の原因が存在し、発症すると業務に支障をきたすことになる。このような腰痛の予防及び腰痛の軽減のために、腰部に装着する腰痛保護帯が存在する(例えば、特許文献1、2)。当該腰痛保護帯は、腰部に装着してから、その上にズボンを履くことになる。また、上記したような腰痛保護帯を最初からズボン本体のベルト部に固定して取り付けた腰痛保護帯付きズボンも存在する(例えば、特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3597228号公報
【特許文献2】実用新案登録第3086242号公報
【特許文献3】特開2008−81864号公報
【特許文献4】特開平10−46409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3、4の技術にあっては、腰痛帯とズボンとの相対位置を固定することができる。しかしながら、ズボンそのものが立位姿勢を基準に作られているため、立位時と座位時では、人体に対するズボンのベルト位置がずれてしまう。そのため、着用者が立位姿勢から座位姿勢等に姿勢を変更すると、ベルトに取り付けられた腰痛帯の位置がずれてしまい、腰痛帯を正しい装着位置で維持できないという問題点がある。換言すれば、特許文献3、4の技術において腰痛帯を正しい装着位置で維持するには、ズボン本体の穿く位置を本来予定されている位置から変えなければならず、着用者にとって快適性と本来の機能が損なわれるという問題点があ
【0005】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、ズボン本体への装着位置を調節して、確実にズボン着用者の望む位置で腰を保護することができる骨盤帯とその骨盤帯を備えた骨盤帯付きズボンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係る骨盤帯付きズボンは、上記目的を達成するため、ズボン本体の腰部に着脱可能に取り付けられ、ズボン本体への高さ方向の取付位置を調節できる取付位置調節手段が長手方向略中央に設けられている骨盤帯を備える骨盤帯付きズボンであって、
ズボンは、着用者の腰部側においてベルト部の長手方向略中央に設けられ、取付位置調節手段を固定する固定具と、着用者の腰部に対応する部位に設けられ、上端縁がベルト部の下端に接合され、下端縁が後身頃に接合される伸縮性生地と、伸縮性生地に重なる位置に設けられ、横方向に伸びた折り目で折り返された複数の襞であるプリーツを有する覆い布と、を有すると共に、着用者の腹部に対応する部位に、骨盤帯を着脱自在に取り付ける取付手段を設け、
骨盤帯は、ズボンと対向する第1面の一端側に設けられ、ズボンに設けられた取付手段と連結することにより骨盤帯をズボンに対して固定する固定手段と、固定手段の裏面に設けられた第1連結手段と、第1面の他端側に設けられ、第1連結手段と連結することにより着用者の腹圧を上昇させる第2連結手段と、を有し、
伸縮性生地及び覆い布は、着用者の腰部側においてベルト部の長手方向中央を中心として、仙骨部の水平方向の長さの約1.5〜3倍の幅を有することを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る骨盤帯付きズボンは、上記目的を達成するため、取付位置調節手段は、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材であって、雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が、骨盤帯本体の略中央であって、骨盤帯本体の長手方向と略直交する方向に少なくとも2個設けられ、固定具を構成する雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する一方の留め具を変えることにより骨盤帯本体の取付位置を調節することができることを特徴とする。
【0008】
本願請求項3に係る骨盤帯付きズボンは、上記目的を達成するため、取付位置調節手段は、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材であって、雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が骨盤帯本体の長手方向略中央に少なくとも1個設けられ、ズボン本体の腰部の位置であって、上下方向に少なくとも2個設けられた、固定具を構成する雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する一方の留め具を変えることにより骨盤帯本体の取付位置を調節することができることを特徴とする。
【0009】
本願請求項4に係る骨盤帯付きズボンは、上記目的を達成するため、骨盤帯本体は、伸縮性を有する主ベルトと、主ベルトに縫製されて取り付けられた、伸縮性を有する略V字状の左補助ベルト及び右補助ベルトとを有し、左補助ベルトは、頂部が主ベルトの左側で縫製され、両端が主ベルトの中央側で連結布を介して縫製され、右補助ベルトは、頂部が主ベルトの右側で縫製され、両端が主ベルトに中央側で連結布を介して縫製され、連結布には、取付位置調節手段が設けられていることを特徴とする。
本願請求項5に係る骨盤帯付きズボンは、骨盤帯の第1連結手段の長手方向長さが、第2連結手段の長手方向長さよりも長いことを特徴とする。
【0010】
本願発明に係る骨盤帯は、ズボン本体の腰部に着脱可能に取り付けられる骨盤帯であって、骨盤帯本体の長手方向略中央には、ズボン本体への高さ方向の取付位置を調節できる取付位置調節手段が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本願発明に係る骨盤帯は、取付位置調節手段により、ズボン本体に着脱可能に取り付けることができ、さらに腰痛の位置に合わせて取付位置を調節できるので、個人によって異なる腰痛の位置に対応させることができ、確実に着用者の望む位置で腰を保護することができるという効果がある。
【0012】
本願発明に係る骨盤帯は、取付位置調節手段が、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材である。雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が、骨盤帯本体の長手方向略中央であって、骨盤帯本体の長手方向と略直交する方向に少なくとも2個設けられている。本願発明に係る骨盤帯は、ズボン本体の腰部の位置に設けられた、雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する一方の留め具を変えることにより骨盤帯本体の取付位置を調節することができる。
【0013】
本願発明に係る骨盤帯は、取付位置調節手段が、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材である。雄留め具と雌留め具の内の一方の留め具が骨盤帯本体の長手方向略中央に少なくとも1個設けられている。本願発明に係る骨盤帯は、ズボン本体の腰部の位置であって、上下方向に少なくとも2個設けられた、雄留め具と雌留め具の内の他方の留め具に連結する一方の留め具を変えることにより骨盤帯本体の取付位置を調節することができる。
【0014】
本願発明に係る骨盤帯は、取付位置調節手段が、雄留め具と雌留め具とからなる留め部材なので、ズボン本体に簡単に着脱でき、ズボン本体への取付位置の調節が容易であるという効果がある。
【0015】
本願発明に係る骨盤帯は、骨盤帯が、伸縮性を有する主ベルトと、主ベルトに縫製されて取り付けられた、伸縮性を有する略V字状の左補助ベルト及び右補助ベルトとを有する。前記左補助ベルトは、頂部が主ベルトの左側で縫製され、両端が主ベルトの中央側で連結布を介して縫製されている。前記右補助ベルトは、頂部が主ベルトの右側で縫製され、両端が主ベルトに中央側で前記連結布を介して縫製されている。前記連結布には、前記取付位置調節手段が設けられている。
【0016】
本願発明に係る骨盤帯は、連結布付近が腰部(骨盤)に当接して腰部を保護するが、連結布に主ベルトを中心とした上下の位置で補助ベルトの両端が縫製され、主ベルトと2つの補助ベルトの3つが展開された形で幅広くなっており、腰部(骨盤)を主ベルトのみで局部的に保護するのではなく、主ベルトと二つの補助ベルトで腰部(骨盤)を全体的にサポートするので、腰痛を和らげる効果と腰の保護効果を高め、着用者に一層の安心感を与えることができるという効果がある。また、本願発明に係る骨盤帯は、取付位置調節手段によって腰痛の位置に合わせて取付位置を調節でき、個人によって異なる腰痛の位置に幅広く対応させることができるので、着用者の望む位置を含む周辺で腰を保護することができるという効果がある。
【0017】
本願発明に係る骨盤帯付きズボンは、上記効果を有する前記骨盤帯と、当該骨盤帯を着脱可能に取り付けるズボン本体とからなるので、ズボン本体を骨盤帯の形状に合わせてデザインすることができ、外観を整え、印象深い外観にすることができるという効果がある。
【0018】
本願発明に係る腰痛保護帯付きズボンは、上記効果を有する前記腰痛保護帯と、当該腰痛保護帯を着脱可能に取り付けるズボン本体とからなるので、ズボン本体を腰痛保護帯の形状に合わせてデザインすることができ、外観を整え、印象深い外観にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
腰痛保護帯(骨盤帯)31は、図3,4に示すように、ズボン本体1aの腰部に着脱可能に取り付けられる。当該腰痛保護帯31は、図1に示すように、保護帯本体(骨盤帯本体)32の略中央に、ズボン本体1aへの高さ方向の取付位置を調節できる取付位置調節手段71が設けられている。腰痛保護帯31は、取付位置調節手段71により、ズボン本体1aに着脱可能に取り付けることができ、さらに腰痛の位置に合わせて取付位置を調節できるので、個人によって異なる腰痛の位置に対応させることができ、確実に着用者の望む位置で腰を保護することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
腰痛保護帯31の取付位置調節手段71は、雄留め具73と雌留め具23とからなる留め部材であっても良い。係る場合、雄留め具73と雌留め具23の内の一方の留め具73が、保護帯本体32の略中央であって、保護帯本体32の長手方向と略直交する方向に少なくとも2個設けられている。腰痛保護帯31は、図8に示すように、ズボン本体1aの腰部の位置に設けられた、雄留め具73と雌留め具23の内の他方の留め具23(固定具)に連結する一方の留め具73を変えることにより保護帯本体32の取付位置を調節することができる。
【0021】
腰痛保護帯31の取付位置調節手段71は、雄留め具73と雌留め具23とからなる留め部材であっても良い。係る場合、雄留め具73と雌留め具23の内の一方の留め具73が、保護帯本体32の略中央であって、保護帯本体32の長手方向と略直交する方向に少なくとも2個設けられている。腰痛保護帯31は、図8に示すように、ズボン本体1aの腰部の位置に設けられた、雄留め具73と雌留め具23の内の他方の留め具23に連結する一方の留め具73を変えることにより保護帯本体32の取付位置を調節することができる。
【0022】
前記雄留め具73と雌留め具23の内の一方の留め具73が保護帯本体32の略中央に少なくとも1個設けられている場合であっても良い。腰痛保護帯31は、図8に示すように、ズボン本体1aの腰部の位置であって、上下方向に少なくとも2個設けられた、雄留め具73と雌留め具23の内の他方の留め具23に連結する一方の留め具73を変えることにより保護帯本体32の取付位置を調節することができる。腰痛保護帯31は、取付位置調節手段71が、雄留め具73と雌留め具23とからなる留め部材なので、ズボン本体1aに簡単に着脱でき、ズボン本体1aへの取付位置の調節が容易である。
【0023】
腰痛保護帯31は、図1,2に示すように、保護帯本体32が、伸縮性を有する主ベルト33と、主ベルト33に縫製されて取り付けられた、伸縮性を有する略V字状の左補助ベルト51及び右補助ベルト61とを有する。前記左補助ベルト51は、頂部52が主ベルト33の左側で縫製され、両端53,55が主ベルト33の中央側で連結布70を介して縫製されている。前記右補助ベルト61は、頂部62が主ベルト33の右側で縫製され、両端63,65が主ベルト33に中央側で前記連結布70を介して縫製されている。前記連結布70には、前記取付位置調節手段71が設けられている。
【0024】
なお、腰痛保護帯31は、保護帯本体32が、伸縮性を有する主ベルト33と、主ベルト33の両端側に縫製されて取り付けられた非伸縮性の左連結帯41及び右連結帯45と、主ベルト33に縫製されて取り付けられた、伸縮性を有する略V字状の左補助ベルト51及び右補助ベルト61とからなる構成にすることができる。左補助ベルト51及び右補助ベルト61は、両端53,55,63,65が主ベルト33に連結布70を介して縫製されている。左補助ベルト51は頂部52が主ベルト33の連結布70左側で縫製され、右補助ベルト61は頂部62が主ベルト33の連結布70右側で縫製されている。前記連結布70には前記取付位置調節手段71が設けられている。
【0025】
腰痛保護帯31は、連結布70付近が腰部に当接して腰部を保護するが、連結布70に主ベルト33を中心とした上下の位置で補助ベルト51,61の両端53,55,63,65が縫製され、主ベルト33と2つの補助ベルト51,61の3つが展開された形で幅広くなっており、腰部を主ベルト33のみで局部的に保護するのではなく、主ベルト33と二つの補助ベルト51,61で腰部を全体的にサポートするので、腰痛を和らげる効果と腰の保護効果を高め、着用者に一層の安心感を与えることができる。また、腰痛保護帯31は、取付位置調節手段71によって腰痛の位置に合わせて取付位置を調節でき、着用者個人の体型に応じて腰痛保護帯を適正な位置で装着することができる。
【0026】
腰痛保護帯付きズボン1は、前記腰痛保護帯31と、当該腰痛保護帯31を着脱可能に取り付けるズボン本体1aとからなるので、ズボン本体1aを腰痛保護帯31の形状に合わせてデザインすることができ、外観を整え、印象深い外観にすることができる。
【0027】
さらに、腰痛保護帯付きズボンについて、詳細に説明する。図6乃至9に示すように、腰痛保護帯付きズボン1のズボン本体1aは、左右一対の前身頃2と、左右一対の後身頃3と、内股側の襠部5とを縫い合わせたものである。襠部5は、右足部分6の裾から左足部分7の裾まで連続して設けられている。図7の右側は前側F、左側は後側Rである。襠部5は、前身頃2の股内側側縁2aと後身頃3の股内側側縁3aの間で縫製されている(図11参照)。
【0028】
図11に示すように、襠部5は、裁断された3パーツ5A,5B,5Cからなり、これらを縫い合わせて一体に製作されている。ズボン本体1aは、前記襠部5に、裁断された前身頃2,2と後身頃3,3とを縫い合わせることで製作されている。即ち、ズボン本体1aは、左右それぞれの襠部5の前側側縁5aと前身頃2の股内側側縁2aとを縫製し、襠部5の後側側縁5bと後身頃3の股内側側縁3aとを縫製し、左右の前身頃2の股外側側縁2bと後身頃3の股外側側縁3bと縫製し、更に、左右の前身頃2の胴部側端縁2c、2c同士をチャック部材(図示せず)を介して縫い合わせ、左右の後身頃3の胴部側端縁3c、3c同士を縫製して胴部を拵えることにより作製されている。
【0029】
また、ズボン本体1aは、図10に示すように、帯状のベルト布10を半分に折り返し、ベルト布10の折り返した端縁側10a,10aで前記前身頃2の上端縁2dと後身頃3の上端縁3dを挟み込み、ベルト布10の折り返した端縁側10a,10aと前記前身頃2及び後身頃3の上端縁2d,3dを縫製して、環状のベルト部11が作製されている。前身頃2、後身頃3、襠部5及びベルト布10は、布帛等の伸縮性をほとんど備えていない生地で形成されている。この前身頃2、後身頃3、襠部5及びベルト布10によって、ズボン本体1aを構成している。なお、ズボン本体1aは、襠部5を使用せず、前身頃2、後身頃3及びベルト布10からなる構成でも良い。
【0030】
図8,9に示すように、ズボン本体1aの後身頃3,3の上部、即ち、ズボン本体1aの着用者の腰部に対応する部位(腰部から臀部の上側に対応する部位;仙骨部とこの仙骨部の水平方向左右両側の部位)、即ちズボン本体1aの後身頃3,3のベルト部11の下に、背中を中心として仙骨部の幅の1.5倍〜3倍程度の横方向の長さ(ほぼ30cm)、及び、仙骨部の上下方向の長さの1.0倍〜1.5倍程度の上下方向の長さで切り欠かれてスペース12が形成されており、当該スペース12に、伸縮性生地15と覆い布16が設けられている。図9に示すように、伸縮性生地15は、矩形状に形成されており、この上端縁15aが、環状のベルト部11の下部、即ち、ベルト布10の折り返した端縁側10a,10aに挟み込まれて縫製されている(図10参照)。伸縮性生地15は、この下端縁15b及び左右両端縁15c、15dが後身頃3,3に縫製されている。
【0031】
前記伸縮性生地15は、ある程度の伸縮性と、弾力性と強度を備えた生地、例えばパワーネット生地等で構成されている。一般的に、パワーネット生地とは、ストレッチ性を備えた細かいネット状の編物である。ナイロン等の繊維とポリウレタンの弾性繊維とをお互いに交編して生成されており、伸びたときのキックバック性に優れている。しかし、パワーネット生地に限定されるものでないことは、勿論である。
【0032】
覆い布16は、幅寸法(横方向の寸法)が伸縮性生地15とほぼ等しく、上下方向の寸法が伸縮性生地15の上下方向の寸法よりも大きい矩形状に形成されている。覆い布16は、図10に示すように、横方向(幅方向)に伸びた複数の折り目17のところで山折り及び谷折りで180°折り返されて襞状もしくはジャバラ状に形成されている(プリーツになっている)。なお、襞状になっている覆い布16の上下方向の寸法は、伸縮性生地15の上下方向の寸法とほぼ等しくなっている。覆い布16は、後身頃3,3と同様に、布帛等の伸縮性をほとんど備えていない生地で形成されている。
【0033】
覆い布16は、ズボン本体1aの着用者の腰部に対応する部位で、伸縮性生地15に重ねられて設けられている。覆い布16は、伸縮性生地15と共に、この上端縁16aが、環状のベルト部11の下部、即ち、ベルト布10の折り返した端縁側10a,10aに挟み込まれて縫製されている。覆い布16は、伸縮性生地15と共に、この下端縁16b及び左右両端縁16c、16dが後身頃3,3に縫製されている。
【0034】
図10に示すように、覆い布16は、各折り目17のうちで上から偶数本目の谷折り側の折り目17B,17Dのところもしくは近傍で、横方向の全長にわたって伸びた縫い目18で伸縮性生地15に一体的に縫合されている。また、覆い布16の第1の折り目17Aの近傍と第3の折り目17Cの近傍とに、覆い布16の幅の全長にわたって延びている縫い目19が設けられており、覆い布16がお互いに重なっている。これにより、折り目17A,17Cの形状が維持されるようになっている。覆い布16は、プリーツ状に形成されているので、色落ちが少なく、縫い目18が隠れて糸切れが生じ難い。
【0035】
上述した伸縮性生地15と覆い布16とで、上下方向で伸縮する腰部伸縮部20を構成する。伸縮性生地15は、覆い布16の内側(ズボン本体1aの着用者の腰側)に位置するようにして設けられ、覆い布16と重なっているので、ズボン本体1aの外側から見えないようになっている。
【0036】
伸縮性生地15と覆い布16は、伸縮性生地15と覆い布16との上端縁15a,16aと伸縮性生地15と覆い布16との下端縁15b、16bが上下方向に引っ張られると、伸縮性生地15が弾性変形し、覆い布16の折り返された襞が拡がって、上下方向に伸びる。なお、覆い布16は、折り返された襞が拡がって折り目17が消滅すると、上下方向に伸びなくなるので、覆い布16と一体となっている伸縮性生地15もそれ以上は伸びない。
【0037】
ズボン本体1aは、図6に示すように、環状のベルト部11の長手方向(着用者の胴回りの方向)の一部、例えば、ズボン本体1aの着用者の腰の左右の側部に対応する部位が弾性を備えて伸縮自在に構成されている。この伸縮自在に構成されているベルト部11の部位には、筒状のベルト布10の内側にゴム紐等の弾性体13が縫製等により設けられている(図10参照)。
【0038】
ベルト布10の後部中央の位置(ズボン着用者の腰骨の部位)には、一対の雌ボタン23a,23bを有するテープスナップ24が縫製されて取り付けられている。一対の雌ボタン23a,23bは、上下方向(ベルト布10の長手方向と略直角の方向)に所定間隔あけて配置されている。また、ベルト布10の左腹部に相当する位置の部位には、左腹部面ファスナー25(取付手段)が縫製により固定して取り付けられている。さらに、ベルト布10の右腹部に位置する部位には、右腹部面ファスナー26(取付手段)が縫製により固定して取り付けられている。
【0039】
次に、腰痛保護帯31について説明する。図1,2に示すように、腰痛保護帯31の保護帯本体32は、伸縮性を有する主ベルト33を有する。主ベルト33は、幅が約5.5cm程度で長さが約60cm程度の2本のゴム帯33a,33bが重ねられて形成されている。主ベルト33の左端34側には、左連結帯41が縫製されて取り付けられている。左連結帯41は、非伸縮性の生地が折り返されて、幅が約5.5cm程度で長さが約27cm程度に形成され、主ベルト33の左端34側を挟み込むようにして、縫製されている。左連結帯41の内側(着用者側)には、左連結面ファスナー42(第2連結手段)が全面に縫製されて設けられている。
【0040】
主ベルト33の右端35側には、右連結帯45が縫製されて取り付けられている。右連結帯45は、非伸縮性の生地が折り返されて、幅が約5.5cm程度で長さが約15cm程度に形成され、主ベルト33の右端35側を挟み込むようにして、縫製されている。右連結帯45の内側(着用者側)には、右接続面ファスナー46(固定手段)が縫製されて設けられている。右連結帯45の外側(反着用者側)の全面には、右連結面ファスナー47(第1連結手段)が縫製されて設けられている。
【0041】
主ベルト33の端35側には、連結帯45が縫製されて取り付けられている。連結帯45は、非伸縮性の生地が折り返されて、幅が約5.5cm程度で長さが約15cm程度に形成され、主ベルト33の端35側を挟み込むようにして、縫製されている。連結帯45の内側(着用者側)には、接続面ファスナー46が縫製されて設けられている。連結帯45の外側(反着用者側)の全面には、連結面ファスナー47が縫製されて設けられている。
【0042】
腰痛保護帯31は、連結帯41、主ベルト33及び連結帯45によって主帯48が構成され、連結帯41の端から連結帯45の端までの長さが約1m程度となっている。この主帯48の略中心は、主ベルト33の連結帯45側に位置している。主帯48のこの中心を挟んで両側に略V字状の補助ベルト51,61が縫製されて取り付けられている。この補助ベルト51,61は、主ベルト33と同様に、幅が約5.5cm程度の伸縮性を有する1本のゴム帯で形成されている。
【0043】
主帯48の中心の側に位置する補助ベルト51は、略V字状に折り畳まれて、頂端縁52が主ベルト33の端34側に縫製されている。頂端縁52は、主ベルト33と略同一幅を有し、主ベルト33の上端33c及び下端33dからはみ出ない。補助ベルト51は、両端縁53,55が主帯48の略中心まで伸び、略V字状に折り畳まれているので、両端縁53,55が主ベルト33の上端33c及び下端33dから突出する。
【0044】
主帯48の中心の側に位置する補助ベルト61は、略V字状に折り畳まれて、頂端
縁62が主ベルト33の端35側に縫製されている。頂端縁62は、主ベルト33と略
同一幅を有し、主ベルト33の上端33c及び下端33dからはみ出ない。補助ベルト
61は、両端縁63,65が主帯48の略中心まで伸び、略V字状に折り畳まれているの
で、両端縁63,65が主ベルト33の上端33c及び下端33dから突出する。
【0045】
補助ベルト51の両端縁53,55と補助ベルト61の両端縁63,65と主ベルト33を、幅約2.5cmの非伸縮性の連結布70で包み込み、この連結布70と共に縫製して一体的に固定する。この連結布70には、腰痛保護帯31の取付位置調節手段71が設けられている。この取付位置調節手段71は、3つの雄ボタン73a,73b,73cであって、連結布70の位置に、3つの雄ボタン73a,73b,73cを有するテープスナップ72が縫製されて取り付けられている。
【0046】
3つの雄ボタン73a,73b,73cは、上下方向(保護帯本体32の長手方向と略直角の方向)に所定等間隔あけて配置されている。即ち、隣接する雄ボタン73a,73bと73b,73cの間隔は、等間隔であり、前記ベルト布10の後部中央の位置(ズボン着用者の腰骨の部位)に設けられた一対の雌ボタン23a,23bの間隔と略同じ距離で配置されている。このように、腰痛保護帯31は、取付位置調節手段71により、ベルト布10の後部中央の位置(ズボン着用者の腰骨の部位)に着脱可能に取り付けられる。
【0047】
腰痛保護帯31は、図3に示すように、連結布70に取り付けられたテープスナップ72の上位の雄ボタン73aと中位の雄ボタン73bを、ベルト布10に取り付けられたテープスナップ24の一対の雌ボタン23a,23bに着脱可能に連結して、ズボン本体1aのベルト布10の下側に取り付けられる。また、腰痛保護帯31は、図4に示すように、連結布70に取り付けられたテープスナップ72の中位の雄ボタン73bと下位の雄ボタン73cを、ベルト布10に取り付けられたテープスナップ24の一対の雌ボタン23a,23bに着脱可能に連結して、ズボン本体1aのベルト布10の上側に取り付けられる。
【0048】
腰痛保護帯31は、図3,4に示すように、ズボン本体1aに取り付けられた状態の時に、図5に示すように、連結帯41が連結帯45に重なる長さで形成されている。腰痛保護帯31は、ズボン本体1aに取り付けられた状態の時に、主ベルト33、左右補助ベルト51,61を弾性に抗して伸ばして、連結帯41を連結帯45に重ねると、連結面ファスナー47に連結面ファスナー42が連結するので、腹部全周を圧迫するようにして巻き付けることができる。連結面ファスナー47は、連結面ファスナー42の重ねる長さを調節して、主ベルト33、左右補助ベルト51,61の弾性強度(引っ張り強さ)を調節できるように、幅方向に長く形成されている。
【0049】
なお、連結帯45の内側面には、腹部面ファスナー25及び腹部面ファスナー26に着脱可能に連結される接続面ファスナー46が縫製して取り付けられている。接続面ファスナー46は、主ベルト33、左右補助ベルト51,61を弾性に抗して伸ばして、腹部面ファスナー25及び/又は腹部面ファスナー26に着脱可能に連結させるものである。
【0050】
腰痛保護帯付きズボン1は、上記構成を有し、腰痛保護帯31をズボン本体1aに取り付ける。腰痛保護帯31は、ズボン本体1aの着用者の腰痛部位に合わせて、取付位置を調節することができる。即ち、腰痛保護帯31は、連結布70に取り付けられたテープスナップ72の上位の雄ボタン73aと中位の雄ボタン73bを、ベルト布10に取り付けられたテープスナップ24の一対の雌ボタン23a,23bに着脱可能に連結して、ズボン本体1aのベルト布10の下側、即ち図3に示すように、ズボン本体1aの腰部に相当する部位の下部に取り付けられる。また、腰痛保護帯31は、連結布70に取り付けられたテープスナップ72の中位の雄ボタン73bと下位の雄ボタン73cを、ベルト布10に取り付けられたテープスナップ24の一対の雌ボタン23a,23bに着脱可能に連結して、ズボン本体1aのベルト布10の上側、即ち図4に示すように、ズボン本体1aの腰部に相当する部位の上部に取り付けられる。ズボン本体1aは、このように腰痛保護帯31を装着して、腰痛保護帯付きズボン1を構成する。
【0051】
腰痛保護帯付きズボン1は、通常のズボンと同様に履き、図3,4に示すように、
結帯41及び連結帯45をベルト通し21に通す。主ベルト33、補助ベルト61を
弾性に抗して伸長させて連結帯45を引き出し、図12(a)に示すように、連結帯
45に設けた接続面ファスナー46を、ベルト部11の腹部面ファスナー25に着脱
可能に連結させる。次に、図12(b)に示すように、主ベルト33、補助ベルト51
を弾性に抗して伸長させて連結帯41を引き出し、図12(c)に示すように、連結
帯41に設けた連結面ファスナー42を連結帯45に設けた連結面ファスナー47
に重ねて着脱可能に連結させる。このようにして、腰痛保護帯付きズボン1は、腰痛保護
帯31を腹部全周に圧迫するようにして巻き付けることができる。なお、連結面ファス
ナー47は、幅方向に長く形成されているので、連結面ファスナー42の取付位置を変
えて、着用者の体型に合わせて主ベルト33、左右補助ベルト51,61の弾性力を調節
することができる。
【0052】
腰痛保護帯付きズボン1は、腰痛保護帯31が腹部全周を締めることにより、腹圧が上昇し腹腔が硬い柱の役割を果たし、腰椎の保護強化を高め、腰部の負担を軽減することができ、腹筋を補強し、正しい姿勢を維持させることができる。腰痛保護帯付きズボン1は、連結帯45の連結面ファスナー47に対する連結帯41の連結面ファスナー42の長さ方向の連結位置を変えて、着用者の腹回りの長さに合わせて腹圧の締め付け具合を調節することができ、さらに取付位置調節手段71により上下方向の連結位置を変えると腰部の上下方向の補強位置を変更することができる。なお、連結帯45の接続面ファスナー46が、ベルト部11の腹部面ファスナー25又は/及び腹部面ファスナー26に着脱可能に連結し、腰痛保護帯31のベルト部11に対する位置決めをすることができる。
【0053】
前記雄ボタン73a〜73c(スナップボタン)と雌ボタン23a,23b(スナップボタン)によって、腰痛保護帯31の取付位置調節手段71を構成している。前記雄ボタン73a〜73c及び雌ボタン23a,23bは、テープスナップ72,24であり、薄く形成されているので、腰痛保護帯付きズボン1の装着時に腰部に違和感を与えることがない。雄ボタン73a〜73cと雌ボタン23a,23bは、腰痛保護帯31の長手方向(引っ張られる方向)と略直角の方向に、所定間隔あけて配置されている。雄ボタン73a〜73cと雌ボタン23a,23bは、連結時に両側から連結帯41と連結帯45によって、略均等に引っ張られるので、連結が容易に外れることはない。なお、着脱手段は、スナップボタンに限定されず、面ファスナーであってもよい。
【0054】
なお、腰痛保護帯付きズボン1は、前記雄ボタン73a〜73c(スナップボタン)が腰痛保護帯31に設けられ、前記雌ボタン23a,23b(スナップボタン)がズボン本体1aに設けられた構成で説明した。逆に、腰痛保護帯付きズボン1は、 前記雄ボタン73a〜73c(スナップボタン)がズボン本体1aに設けられ、前記雌ボタン23a,23b(スナップボタン)が腰痛保護帯31に設けられた構成であっても良い。
【0055】
なお、腰痛保護帯付きズボン1は、伸縮性生地15及び覆い布16を備えていない場合は、腰痛保護帯付きズボン1の着用者が、直立姿勢から立て膝・座位・しゃがみ姿勢等の腰を屈曲(前屈)させた時、皮膚の伸びにズボンが追随できず、後身頃3が直接ベルト部11に作用して、ベルト部11の後部が下方に引っ張られて腰痛保護帯31の位置が腰部からずれ下がり、腰痛保護帯31が着用者の腹部を圧迫して、腰部に負担をかけることも有り得た。
【0056】
しかし、腰痛保護帯付きズボン1は、上記したように、伸縮性生地15及び覆い布16が存在するので、腰痛保護帯31がずれることがなく、常に必要な位置に維持させることができる。腰痛保護帯付きズボン1は、着用者が直立姿勢である時、引っ張られておらず、腰痛保護帯31が着用者の腰回りに位置しており、伸縮性生地15及び覆い布16は、ほとんど延びていない。腰痛保護帯付きズボン1の着用者が、図13に示すように、しゃがんだ姿勢等をとった時、図14に示すように、椅子に腰掛けた等の腰を屈曲(前屈)させて腰部や臀部の皮膚が伸びた時、この皮膚の伸びに追随して、伸縮性生地15及び覆い布16が適宜伸縮するので、ズボンのベルト部11が下方に引っ張られて下がることがなく、腰痛保護帯31の位置が腰部からずれて下がることがない。また、着用者の腹部への圧迫が回避され、腰部に負担をかけることが低減される。さらに、伸縮性生地15及び覆い布16は、姿勢変化時の腰部の皮膚の伸びに追随するので、高い運動性能を確保できる。
【0057】
なお、ここでいう腰部とは、腰痛保護帯付きズボン1の着用者の骨盤における前方に突出した部位(一般的に「上前腸骨棘」と呼ばれる部位)の付近を示している。そして、腰痛保護帯31は、腰部に対応する位置に装着することで、腰痛の発生防止効果を最も引き出すことができる。当該効果を引き出すため、腰痛保護帯付きズボン1の股下(ベルト布10下端から股部上端における部位)を大幅に浅く形成することで、ズボン本体1a装着時に、ベルト布10が自然に腰部の位置にくるようにしている。ベルト布10が腰部に位置することで、ベルト布10に取り付けられる腰痛保護帯31も腰部に位置し、腰痛保護の効果を高めることができる。
【0058】
通常のズボンでは、股下を浅く形成すると、しゃがんだ姿勢等をとった場合一層ズボンの腰部が下方に引っ張られる。しかし腰痛保護帯付きズボン1は、腰部に腰部伸縮部20(伸縮性生地15及び覆い布16)が設けられているので、腰痛保護帯31の位置が腰部からずれて下がることがない。上述したように、しゃがんだ姿勢等をとった時に、図13のように腰部伸縮部20が適宜伸びるので、腰痛保護帯31が腰部からずれ下がることなく常に腰部に対応する位置に配置され、腰痛保護帯31が腰部の全周に亘って巻き付けている状態を維持することができる。そして、腰痛保護帯31はこの位置から上下にずれることなく、腰部に対応する位置だけを締め付けることができるようになるので、安定した腰痛の発生防止効果を得ることができる。
【0059】
腰痛保護帯付きズボン1は、会社における事務作業等の軽作業(たとえば、デスクワークを専らとする作業、スーパーマーケットの店員の作業、家電量販店員の作業、ウェイターの作業、調理師の作業、パチンコ店のホールスタッフの作業、清掃業者の作業等)の際に、従業員等が履いて作業を行う軽作業用ズボン(スラックス、トラウザーズ、パンツいわゆる通常ズボン)に適している。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明は、腰痛保護帯がズボン本体に固定して取り付けられた腰痛保護帯付きズボンに利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
F 前側
R 後側
1 腰痛保護帯付きズボン
1a ズボン本体
2 前身頃
2a 股内側側縁
2b 股外側側縁
2c 胴部側端縁
2d 上端縁
3 後身頃
3a 股内側側縁
3b 股外側側縁
3c 胴部側端縁
3d 上端縁
5 襠部
5a 前側側縁
5b 後側側縁
5A パーツ
5B パーツ
5C パーツ
6 右足部分
7 左足部分
10 ベルト布
10a 端縁側
11 ベルト部
12 スペース
13 弾性体
15 伸縮性生地
15a 上端縁
15b 下端縁
15c 左端縁
15d 右端縁
16 覆い布
16a 上端縁
16b 下端縁
16c 左端縁
16d 右端縁
17 折り目
17A 第1の折り目
17B 折り目
17C 第3の折り目
17D 折り目
18 縫い目
19 縫い目
20 腰部伸縮部
21 ベルト通し
23 雌留め具
23a 雌ボタン
23b 雌ボタン
24 テープスナップ
25 左腹部面ファスナー
26 右腹部面ファスナー
31 腰痛保護帯
32 保護帯本体
33 主ベルト
33a ゴム帯
33b ゴム帯
33c 上端
33d 下端
34
35
41 連結帯
42 連結面ファスナー
45 連結帯
46 接続面ファスナー
47 連結面ファスナー
48 主帯
51 補助ベルト
52 頂端縁(頂部)
53 端縁
55 端縁
61 補助ベルト
62 頂端縁(頂部)
63 端縁
65 端縁
70 連結布
71 取付位置調節手段
72 テープスナップ
73 雄留め具
73a 雄ボタン
73b 雄ボタン
73c 雄ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14