特許第6352349号(P6352349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352349
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】太陽電池及び太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20180625BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01L31/04 440
   H01L31/06 300
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-158700(P2016-158700)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2017-38060(P2017-38060A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0113607
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】イ マン
(72)【発明者】
【氏名】リ テヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム チョンキョ
(72)【発明者】
【氏名】アン チョンヨン
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−516830(JP,A)
【文献】 特表平05−508742(JP,A)
【文献】 特開平06−283732(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0063326(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/034430(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/034677(WO,A1)
【文献】 特開平10−084125(JP,A)
【文献】 特開2013−171943(JP,A)
【文献】 特開2014−229851(JP,A)
【文献】 特開2015−061061(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1065384(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/18
H01L 31/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の不純物を含有した半導体基板の一面全体に前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物を注入する段階と、
前記半導体基板の一面全面と側面にドーピング防止膜を形成する段階と、
前記ドーピング防止膜が形成された状態で、前記半導体基板の反対面に前記半導体基板より高濃度で前記第1導電型の不純物を注入する段階と、
前記半導体基板を熱処理して、前記半導体基板に前記第2導電型のエミッタ部と前記第1導電型の背面電界部を同時に形成する熱処理段階と、
前記ドーピング防止膜を除去する洗浄工程とを含み、
前記ドーピング防止膜を形成する段階において、前記ドーピング防止膜は、前記半導体基板の反対面の端領域までさらに形成さ
前記熱処理段階によって形成される前記エミッタ部と前記背面電界部は、前記半導体基板の反対面の端で互いに離隔される、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理段階により、前記半導体基板に注入された前記第1、第2導電型の不純物が同時に活性化される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記第2導電型の不純物を注入する段階においては、前記半導体基板の反対面の端に至る側面まで前記第2導電型の不純物が注入される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記第2導電型の不純物を注入する段階において、前記第2導電型の不純物が半導体基板の側面に注入される深さは、前記第2導電型の不純物が半導体基板の一面に注入される深さより浅い、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板の反対面の端に形成される前記ドーピング防止膜の幅は、前記第2導電型の不純物が露出される前記半導体基板の反対面の端領域の幅より広い、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記ドーピング防止膜は、前記第1、第2導電型の不純物がドーピングされない、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記ドーピング防止膜は、シリカ(SiO2)を含む珪酸塩ガラス(silicate glass)である、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記第1導電型の不純物を注入する段階において、前記第1導電型の不純物は、前記半導体基板の反対面の端を除外した領域全体に注入される、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記第1導電型の不純物を注入する段階において、前記第1導電型の不純物は、前記第2導電型の不純物が露出される前記半導体基板の反対面の端から離隔して注入される、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項10】
第1導電型の不純物を含有する半導体基板と、
前記半導体基板の一面に位置し、前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物がドーピングされたエミッタ部と、
前記半導体基板の反対面に位置し、前記半導体基板より前記第1導電型の不純物が高濃度にドーピングされる背面電界部と、
前記エミッタ部に接続される第1電極と、
前記背面電界部に接続される第2電極とを含み、
前記エミッタ部は、前記半導体基板の側面に、さらに位置するが、前記半導体基板の反対面の端の側面まで位置し、
前記背面電界部は、前記半導体基板の反対面の端に位置するエミッタ部から離隔され、
前記半導体基板の反対面の縁端から前記背面電界部までの距離は、前記半導体基板の反対面の端に位置するエミッタ部の幅より広く、5mm以下であ
前記半導体基板の側面に位置するエミッタ部の深さは、前記半導体基板の一面に位置したエミッタ部の深さより小さい、太陽電池。
【請求項11】
前記半導体基板の側面に位置するエミッタ部の深さは、1nm〜10nmであり、
前記半導体基板の一面に位置するエミッタ部の深さは、0.2μm〜2μmである、請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記半導体基板の背面に位置する背面電界部の上には背面保護膜がさらに位置し、
前記背面保護膜は、前記半導体基板の反対面の端から前記背面電界部と前記エミッタ部の間の離隔された部分に露出される前記半導体基板を覆う、請求項10に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近石油や石炭のような既存エネルギー資源の枯渇が予測されながらこれらを取り替える代替エネルギーに対する関心が高くなり。これにより、太陽エネルギーから電気エネルギーを生産する太陽電池が注目されている。
【0003】
一般的な太陽電池は、p型とn型のように、互いに異なる導電型(conductive type)によってp-n接合を形成する半導体部、そして互いに異なる導電型の半導体部にそれぞれ接続された電極を備える。
【0004】
このような太陽電池に光が入射されれば半導体部で複数の電子―正孔対が生成され、生成された電子―正孔対は電荷である電子と正孔にそれぞれ分離され、電子はn型の半導体部の方向に移動し正孔はp型の半導体部の方向に移動する。移動した電子と正孔はそれぞれn型の半導体部とp型の半導体部に接続された互いに異なる電極によって収集され、この電極を電線で接続することにより電力を得る。
【0005】
一方、このような太陽電池を製造する工程の中で、互いに異なる導電型のエミッタ部と背面電界部を形成する際に、半導体基板の端の部分でエミッタ部と背面電界部が互いに触れ合う場合、エミッタ部と背面電界部のそれぞれに集まったキャリアが互いに会って消滅する逆電流(reverse current)が発生する問題点がある。
【0006】
このような逆電流を防止するために、太陽電池を製造する工程の中でエミッタ部と背面電界部との間の接続を切断するエッジアイソレーション(edge isolation)工程を追加でさらに行うことができるが、このような場合、エッジアイソレーションされた部分で、半導体基板が損傷して効率が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、効率が向上された太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る太陽電池の製造方法の一例は、第1導電型の不純物を含む半導体基板の一面全体に第1導電型と反対の第2導電型の不純物を注入する段階と、半導体基板の一面と側面の全面及び半導体基板の反対面の端までドーピング防止膜を形成する段階と、ドーピング防止膜が形成された状態で、半導体基板の反対面に半導体基板より高濃度で第1導電型の不純物を注入する段階と、半導体基板を熱処理して、半導体基板に第2導電型のエミッタ部と第1導電型の背面電界部を同時に形成する熱処理段階と、ドーピング防止膜を除去する洗浄段階とを含む。
【0009】
ここで、熱処理段階により、半導体基板に注入された第1、第2導電型の不純物が同時に活性化することができる。これにより、太陽電池の製造方法をさらに簡略化させることができる。
【0010】
さらに、第2導電型の不純物を注入する段階においては、半導体基板の反対面の端に至る面までの第2導電型の不純物が注入されることができる。
【0011】
このとき、第2導電型の不純物を注入する段階において、第2導電型の不純物が半導体基板の側面に注入される深さは、第2導電型の不純物が半導体基板の一面に注入される深さより小さいことができる。
【0012】
そして、ドーピング防止膜形成段階において、半導体基板の反対面の端に形成されるドーピング防止膜は、半導体基板の側面に注入された第2導電型の不純物が露出される半導体基板の反対面の端を覆うことができる。
【0013】
このとき、半導体基板の反対面の端に形成されるドーピング防止膜の幅は、第2導電型の不純物が露出される半導体基板の反対面の端の領域の幅より大きいことができる。
【0014】
ここで、ドーピング防止膜は、第1、第2導電型の不純物がドーピングされないことがあり、一例として、シリカ(SiO2)を含む珪酸塩ガラス(silicate glass)で有り得る。
【0015】
また、第1導電型の不純物を注入する段階において、第1導電型の不純物は、半導体基板の反対面の端を除外した領域全体に注入されるが、第1導電型の不純物を注入する段階で、第1導電型の不純物は、第2導電型の不純物が露出される半導体基板の反対面の端から離隔して注入することができる。
【0016】
以降、熱処理の段階により形成されるエミッタ部と背面電界部は半導体基板の反対面端で互いに離隔することができ、逆電流が発生することを防止することができる。
【0017】
本発明の一例に係る太陽電池は、第1導電型の不純物を含有する半導体基板と、半導体基板の一面に位置し、第1導電型と反対の第2導電型の不純物がドーピングされたエミッタ部と、半導体基板の反対面に位置し、半導体基板より第1導電型の不純物が高濃度にドーピングされる背面電界部と、エミッタ部に接続される第1電極と、背面電界部に接続される第2電極とを含み、エミッタ部は、半導体基板の側面に、さらに位置するが、半導体基板の反対面野端の側面まで位置し、背面電界部は半導体基板の反対面の端に位置するエミッタ部から離隔される。
【0018】
ここで、半導体基板の側面に位置するエミッタ部の深さは、半導体基板の一面に位置するエミッタ部の深さより小さいことがある。
【0019】
一例として、半導体基板の側面に位置するエミッタ部の深さは、1nm〜10nmの間であり、半導体基板の一面に位置するエミッタ部の深さは、0.2μm〜2μmの間で有り得る。
【0020】
さらに、半導体基板の背面に位置する背面電界部の上には背面保護膜がさらに位置し、背面保護膜は、半導体基板の反対面端から背面電界部とエミッタ部の間の離隔された部分に露出される半導体基板を覆うことができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明に係る太陽電池及びその製造方法は、半導体基板の一面に第2導電型の不純物を注入する段階の後、半導体基板の反対面に第1導電型の不純物を注入する前にドーピング防止膜を形成する段階を備えることにより、太陽電池の製造工程の中、半導体基板の反対面でエミッタ部と背面電界部が自然離隔されるようにして、太陽電池の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の製造方法により製造された太陽電池の一例を説明するための図である。
図2】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
図3】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
図4】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
図5】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
図6】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
図7】本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付した図面を参考にして本発明の実施の形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な形で実現することができ、ここで説明する実施の形態に限定されない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似の部分に対しては類似の符号を付与した。
【0024】
図面で複数の層と領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。逆にどの部分が他の部分の“真上に”あるとするときは、中間に他の部分がないことを意味する。また、どの部分が他の部分の上に“全体的”に形成されているとするときは、他の部分の全体面に形成されているものだけでなく、端の一部には形成されないことを意味する。
【0025】
以下において、前面とは、直射光が入射される半導体基板の一面で有り得、背面とは、直射光が入射されないか、直射光ではなく、反射光が入射することができる半導体基板の反対面で有り得る。
【0026】
併せて、以下の説明において、2つの互いに異なる構成要素の長さや幅が同じであることの意味は、10%の誤差の範囲内で互いに同じことを意味する。
【0027】
それでは、添付した図面を参考にして、本発明の一実施形態に係る太陽電池について説明する。
【0028】
図1は、本発明の製造方法により製造された太陽電池の一例を説明するための図である。
【0029】
ここで、本発明に係る太陽電池モジュールに適用される太陽電池の一例は、図1に示すように、半導体基板110、エミッタ部120、反射防止膜130、第1電極140、背面電界部170、背面保護膜160及び第2電極150を備えることができる。
【0030】
半導体基板110は、第1導電型、例えば、p型またはn型導電型を有しえ、このような半導体基板110は、単結晶シリコン、多結晶シリコンまたは非晶質シリコンの内、いずれか1つの形態で行うことができる。一例として、半導体基板110は、結晶質シリコンウエハに形成することができる。
【0031】
具体的に、半導体基板110がp型の導電型を有する場合、ホウ素、ガリウム、インジウムなどのような3価元素の不純物が半導体基板110にドーピング(doping)される。しかし、これとは異なり、半導体基板110は、n型導電型で有り得る。半導体基板110がn型の導電型を有する場合、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのように5価元素の不純物が半導体基板110にドーピングすることができる。
【0032】
このような半導体基板110の前面は、複数の凹凸面を有する。便宜上、図1で、半導体基板110の端の部分だけを凹凸面に示したが、実質的に半導体基板110の前面全体が凹凸面を有しており、これにより、半導体基板110の前面上に位置したエミッタ部120と反射防止膜130もまた凹凸面を有することができる。
【0033】
エミッタ部120は、図1に示すように、半導体基板110の一面と側面の全面に形成することができる。以下では、半導体基板110の一面は、半導体基板110の前面である場合、半導体基板110の反対面は、半導体基板110の背面である場合を一例に説明する。
【0034】
エミッタ部120は、半導体基板110の入射面である前面と側面に全体的に形成されるが、半導体基板110の側面に形成されるエミッタ部120は、半導体基板110の背面まで至って形成されることができ、半導体基板110の背面の端にも形成することができる。
【0035】
ここで、半導体基板110の側面に位置するエミッタ部120の深さは、半導体基板110の前面に位置するエミッタ部120の深さより小さいことができる。一例として、半導体基板110の側面に位置するエミッタ部120の深さは、1nm〜10nmの間であり、半導体基板110の前面に位置するエミッタ部120の深さは、0.2μm〜2μmの間で有り得る。
【0036】
これにより、半導体基板110の側面に位置するエミッタ部120に移動するキャリアの量より半導体基板110の前面に位置するエミッタ部120に移動するキャリアが十分に多いようにすることができ、半導体基板110の側面に位置するエミッタ部120にキャリアが移動されるキャリアの量を最小化することができる。このようなエミッタ部120は、第1導電型と反対の第2導電型、例えば、n型の導電型の不純物が半導体基板110にドーピングされた領域で有り得る。したがって、第2導電型のエミッタ部120は、半導体基板110の内、第1導電型の部分と、p-n接合を形成することができる。
【0037】
このような半導体基板110に入射された光は、電子と正孔に分離され、電子はn型の方向に移動し、正孔はp型の方向に移動することができる。したがって、半導体基板110がp型であり、エミッタ部120がn型である場合、分離された正孔は、半導体基板110背面の方向に移動し、分離された電子は、エミッタ部120の方向に移動することができる。
【0038】
エミッタ部120は、半導体基板110、すなわち、半導体基板110の第1導電性部分とp-n接合を形成するので、本実施例とは異なり、半導体基板110がn型の導電型を有する場合、エミッタ部120は、p型の導電型を有することができる。この場合、分離された電子は、半導体基板110の背面の方向に移動し、分離された正孔は、エミッタ部120の方向に移動することができる。
【0039】
エミッタ部120がn型の導電型を有する場合、エミッタ部120は、5価元素の不純物を半導体基板110にドーピングして形成することができ、逆にp型の導電型を有する場合、3価元素の不純物を半導体基板110にドーピングして形成することができる。
【0040】
反射防止膜130は、半導体基板110の入射面の上部に位置し、図1及び図5に示すように、エミッタ部120が半導体基板110の入射面に位置する場合は、反射防止膜130は、エミッタ部120の上部に位置することができる。
【0041】
このような反射防止膜130は、水素化されたシリコン窒化膜(SiNx:H)、水素化されたシリコン酸化膜(SiOx:H)、水素化されたシリコン窒化酸化膜(SiNxOy:H)、及び水素化された非晶質シリコン(a− Si:H)の内、少なくともいずれかが1つが複数の層で形成することもできる。
【0042】
このようにすることで、反射防止膜130のパッシベーション機能をさらに強化することができ、太陽電池の光電効率をさらに向上させることができる。
【0043】
複数の第1電極140は、図1に示すように、半導体基板110の前面上に互いに離隔されて、第1方向(x)に長く伸びて位置することができる。
【0044】
このとき、複数の第1電極140は、反射防止膜130を開けエミッタ部120に電気的に接続することができる。
【0045】
これにより、複数の第1電極140は、銀(Ag)のような少なくとも一つの導電性物質からなり、エミッタ部120の方向に移動した電荷、例えば、電子を収集することができる。
【0046】
背面電界部170は、半導体基板110の反対面である背面に位置することができ、半導体基板110と同じ第1導電型の不純物が半導体基板110より高濃度でドーピングされた領域、例えば、P+領域で有り得る。
【0047】
このような半導体基板110の第1導電領域と背面電界部170との間の不純物濃度の違いにより電位障壁が形成され、これにより、正孔の移動方向である背面電界部170の方向に電子移動を妨害する一方、背面電界部170の方向にの正孔の移動を容易にする。
【0048】
したがって、半導体基板110の背面とその付近で電子と正孔の再結合に損実される電荷の量を減少させ、所望する電荷(例えば、正孔)の移動を加速化させ、第2電極150への電荷移動量を増加させることができる。
【0049】
このような背面電界部170は、半導体基板110の背面領域の中から第2電極150が形成された領域を除外した残りの領域に全体的に形成されるが、半導体基板の背面の端からエミッタ部120と離隔されて形成することができる。
【0050】
このように、本発明に係る太陽電池は、半導体基板110の背面の端から背面電界部170とエミッタ部120が互いに離隔されるようにして、背面電界部170に移動したキャリアとエミッタ部120に移動したキャリアが互いに再結合されて消滅する逆電流(reverse current)を防止することができる。
【0051】
背面保護膜160は、第2電極150が形成された部分を除外した半導体基板110背面全体を覆うように形成されることがあり、半導体基板110の背面のパッシベーション機能と絶端機能を実行することができる。このような背面保護膜160は、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化膜(SiOx)またはシリコン窒化酸化膜(SiNxOy)の内、少なくとも一つが、少なくとも一つの層で形成することができる。
【0052】
このような背面保護膜160は、図1に示すように、太陽電池を背面から見たとき、半導体基板110の反対面端から背面電界部170とエミッタ部120間離隔された部分に露出される半導体基板110を覆うように形成することができる。
【0053】
第2電極150は、半導体基板110の反対面である背面に互いに離隔して長く形成することができる。
【0054】
このような第2電極150は、前述した背面電界部170と重畳されて電気的に接続され、背面電界部170の方から移動する電荷、例えば正孔を収集することができる。
【0055】
このとき、第2電極150は、半導体基板110より高い不純物濃度を維持する背面電界部170と接触しているので、つまり背面電界部170と第2電極150との間の接触抵抗が減少して、半導体基板110から第2電極150への電荷伝送効率が向上することがある。
【0056】
このような第2電極150には、インターコネクタ(IC)が接続されて、第2電極150に収集された電荷(例えば、正孔)がインターコネクタ(IC)を介して、隣接する他の太陽電池に伝達することができる。
【0057】
このような第2電極150は、良好な伝導度を有する金属物質を含むことができ、例えば、銀(Ag)のような少なくとも一つの導電性物質を含有することができる。
【0058】
以下では、このような太陽電池を形成するために、本発明に基づいてエミッタ部120と背面電界部170を形成する方法について説明する。
【0059】
図2図7は、本発明に係る太陽電池の製造方法の一例を説明するための図である。
【0060】
本発明に係る太陽電池の製造方法の一例は、図1で前述したエミッタ部120と背面電界部170を形成するために、第2導電型の不純物(IP2)を注入する段階、ドーピング防止膜(ADL)を形成する段階、第1導電型の不純物(IP1)を注入する段階と熱処理段階及び洗浄段階を含むことができる。
【0061】
ここで、エミッタ部120を形成するために、まず、図2に示すように、半導体基板110の前面全体に、図3に示すように、第2導電型の不純物(IP2)を注入することができる。ここで、半導体基板110は、一例として、前述したように、第1導電型の不純物が含有されたウェーハで有り得る。
【0062】
さらに具体的には、エミッタ部120を形成するために、半導体基板110の第1導電型がn型である場合、半導体基板110の前面の表面の第2導電型の不純物(IP2)中一つのホウ素(B)を不純物として注入して形成することができる。
【0063】
ここで、ホウ素を注入する方法としてはは、イオン注入法の内、1つであるイオンプレー ティング(ion implanting:イオン注入)法が利用されることができる。
【0064】
このように、第2導電型の不純物(IP2)を注入する段階でイオンプレー ティング (ion plating)法を利用する場合、図3に示すように、半導体基板110の前面の表面領域全体だけでなく、半導体基板110の背面の端に至る側面までの第2導電型の不純物(IP2)が注入されることができる。
【0065】
このような第2導電型の不純物(IP2)を注入する段階で、第2導電型の不純物(IP2)が半導体基板110の側面に注入される深さ(TSE)は、第2導電型の不純物(IP2)が半導体基板110の前面に注入される深さ(TFE)よりも小さいことがある。
【0066】
一例として、半導体基板110の前面に第2導電型の不純物(IP2)が注入される深さ(TFE)は0.2μm〜2μm間に形成されることがあり、第2導電型の不純物(IP2 )が半導体基板110の側面に注入される深さ(TSE)は、1nm〜10nmの間で形成することができる。
【0067】
このように、第2導電型の不純物(IP2)が半導体基板110の前面だけでなく、背面の端にまで至る側面に注入された状態で、後続工程で直接半導体基板110の背面に第1導電型の不純物(IP1)を注入して、背面電界部170を形成する場合、半導体基板110の背面端から背面電界部170とエミッタ部120が互いに接触することができ、これにより、前述した逆電流が発生することができる。
【0068】
このような場合、逆電流により太陽電池の効率が低下することがあるが、これを防止するために、本発明では、第2導電型の不純物(IP2)を注入する段階の後、第1導電型の不純物(IP1)を注入する前にドーピング防止膜(ADL)を形成する段階をさらに備えることができる。
【0069】
このようなドーピング防止膜(ADL)を形成する段階でおいては、図4に示すように、半導体基板110の前面と側面の全面と半導体基板110の背面端までドーピング防止膜(ADL)が形成されることができる。
【0070】
このようなドーピング防止膜(ADL)の材質は、第1、第2導電型の不純物がドーピングされない状態のシリカ(SiO2)を含有する珪酸塩ガラス(silicate glass)で有り得る。
【0071】
本発明においては、ドーピング防止膜(ADL)でシリカ(SiO2)を含有する珪酸塩ガラス(silicate glass)を一例として説明するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、不純物ドーピングを遮断する特性を有してある場合であれば、どのような材質も、本発明のドーピング防止膜(ADL)で利用することができる。
【0072】
一例として、ドーピング防止膜(ADL)でシリカ(SiO2)を含有する珪酸塩ガラスの代わりにシリコン窒化膜(SiNx)を用いることも可能である。
【0073】
このようなドーピング防止膜(ADL)は、熱酸化(thermal oxidation)法、化学気相蒸着(chemical vapor deposition; CVD)法、または電気化学的酸化(electrochemical oxidation; anodization(陽極酸化))法の内、少なくとも一つを利用して形成されることができる。
【0074】
このようなドーピング防止膜(ADL)は、後述する熱処理段階で、半導体基板110に注入された第2導電型の不純物(IP2)が半導体基板110の外に出ていくアウトディフュージョン(out diffusion)を防止し、第1導電型の不純物(IP1)注入段階で半導体基板110の背面端に第1導電型の不純物(IP1)が注入されることを防止することができる。
【0075】
このようなドーピング防止膜(ADL)の形成段階において、半導体基板110の背面の端に形成されるドーピング防止膜(ADL)は、図4の拡大された部分のように、半導体基板110の側面に注入された第2導電型の不純物(IP2)が露出される半導体基板110の背面の端を覆うように形成することができる。
【0076】
ここで、ドーピング防止膜(ADL)が半導体基板110の前面と側面だけでなく、背面の端まで形成させる方法は次の通りである。
【0077】
半導体基板110の前面上の方向でドーピング防止膜(ADL)を形成する際に、蒸着特性により、半導体基板110の前面と側面までドーピング防止膜(ADL)が形成されることがあり、また、ドーピング防止膜(ADL)を蒸着する際に、半導体基板110の端が浮き上がることができるが、これにより、浮き上がる半導体基板110の端にドーピング防止膜(ADL)が形成されることができる。この時、半導体基板110が 浮き上がる高さはドーピング防止膜(ADL)を蒸着するとき、蒸着温度を制御して調節することができる。
【0078】
このように、ドーピング防止膜(ADL)が半導体基板110の背面の端を覆うように形成されることにより、第1導電型の不純物(IP1)が半導体基板110の背面に注入されたとき、半導体基板110の背面端から第1導電型の不純物(IP1)が注入された領域と第2導電型の不純物(IP2)が注入された領域と、互いに直接接触することを防止することができる。
【0079】
このため、さらに好ましくは、半導体基板110の背面の端に形成されるドーピング防止膜(ADL)の幅(WAD)が第2導電型の不純物(IP2)が露出される半導体基板110の背面端領域の幅(TSE)より大きく形成することができる。
【0080】
一例として、半導体基板110の背面の端に形成されるドーピング防止膜(ADL)の幅(WAD)は、第2導電型の不純物(IP2)が露出される半導体基板110の背面の端領域(TSE)の幅より大きく、5mm以下で有り得る。
【0081】
ここで、第2導電型の不純物(IP2)が露出される半導体基板110の背面の端領域の幅(TSE)は、第2導電型の不純物(IP2)が半導体基板110の側面に注入される深さ(TSE)と同じである1nm〜10nmの間で形成されることができる。
【0082】
以降、第1導電型の不純物(IP1)を注入する段階は、図5に示すように、ドーピング防止膜(ADL)が形成された状態において、半導体基板110の背面が上に向くように覆った後、第1導電型の不純物(IP1)の内、1つであるリン(P)を半導体基板110の背面に半導体基板110より高濃度で注入することにより、行うことができる。
【0083】
このような第1導電型の不純物(IP1)を注入する段階もイオンプレー ティング(ion implanting)法が利用されることができる。
【0084】
このような第1導電型の不純物(IP1)を注入する段階においては、図5に示すように、第1導電型の不純物(IP1)が半導体基板110の背面の端を除外した全領域に注入することができる。
【0085】
しかし、第1導電型の不純物(IP1)を注入する段階において、第1導電型の不純物(IP1)は、半導体基板110の背面の端領域に形成されたドーピング防止膜(ADL)により、第2導電型の不純物(IP2)が注入された半導体基板110の背面の端領域からDBI幅だけ離隔して注入することができる。
【0086】
この時、図5の拡大された部分に示すように、第2導電型の不純物(IP2)の一部は、半導体基板110の背面の端領域に形成されたドーピング防止膜(ADL)の表面に注入することもできる。
【0087】
このように、第1、第2導電型の不純物注入段階が完了した後、図6に示すように、半導体基板110を拡散炉(FNS)内に位置させた状態で、半導体基板110を熱処理して、半導体基板110に第2導電型のエミッタ部120と、第1導電型の背面電界部170を同時に形成する熱処理段階を実行することができる。
【0088】
さらに具体的には、このような熱処理段階により、半導体基板110に注入された第1、第2導電型の不純物が同時に活性化することができる。
【0089】
このように、第1、第2導電型の不純物を活性化させエミッタ部120と背面電界部170を形成する熱処理段階は、950℃〜1050℃の間で30分〜40分の間行われるすることができる。
【0090】
このように、熱処理段階によって形成されるエミッタ部120と背面電界部170は、半導体基板110の背面端で互いに離隔して形成することができる。
【0091】
以降、洗浄工程で半導体基板110の前面と側面及び背面の端に形成されたドーピング防止膜(ADL)が除去されることがある。
【0092】
このような洗浄段階で使用される洗浄液としては、フッ酸(HF)を純水(DI)で希釈した希釈フッ酸(DHF、Diluted HF)を用いることができる。このような希釈フッ酸(DHF)は、一例として、純水(DI)対比フッ酸(HF)の比が15:2の条件となるように希釈して形成することができ、このような希釈フッ酸(DHF)に半導体基板110を5分〜10分程度浸漬してドーピング防止膜(ADL)を除去することができる。
【0093】
以降、半導体基板110の前面に反射防止膜130と、第1電極140と半導体基板110の背面に背面保護膜160と第2電極150を形成し、図1に示すような太陽電池を製造することができる。
【0094】
このように、本発明に係る製造方法は、半導体基板110の一面に第2導電型の不純物(IP2)を注入する段階の後、半導体基板110の反対面に第1導電型の不純物(IP1)を注入する前にドーピング防止膜(ADL)を形成する段階を備えることにより、太陽電池の製造工程の中でエミッタ部120と背面電界部170が自然に離隔されるようにして、太陽電池の効率をさらに向上させることができる。
【0095】
図2乃至図7に示すように、本発明に係る太陽電池の製造方法の一例では、半導体基板110の前面にエミッタ部120を形成し、半導体基板110の背面に背面電界部170を形成する場合を一例として説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、エミッタ部120が半導体基板110の背面に形成され、背面電界部170が半導体基板110の前面に形成される場合にも、本発明に係る太陽電池の製造方法が同様に適用することができる。
【0096】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本的な概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7