(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352394
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】統合型センサ付ブレーキ要素、より詳細には、ブレーキパッドを製造する方法、統合型センサ付ブレーキパッド、車両ブレーキシステム、及び関連方法
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20180625BHJP
F16D 65/092 20060101ALI20180625BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20180625BHJP
B60T 8/171 20060101ALI20180625BHJP
G01L 5/22 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
B60T8/17 B
F16D65/092 B
F16D66/00 Z
B60T8/171 Z
G01L5/22
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-508249(P2016-508249)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公表番号】特表2016-516631(P2016-516631A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】IB2013060881
(87)【国際公開番号】WO2014170726
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】TO2013A000307
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514060514
【氏名又は名称】アイティーティー・イタリア・エス.アール.エル
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】メルロ、ファブリジオ
(72)【発明者】
【氏名】マリティノット、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ドンゼリー、ダニエル
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−037047(JP,A)
【文献】
特開2006−193091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
B60T 8/17
B60T 8/171
G01L 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)機械力を受けた際に、電気信号を発するように、その分極方向に受けた機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することができる少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)であって、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサは摂氏200度以上の作動温度でも作動する圧電セラミックセンサのグループから選択され、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)を、使用中に、被制動要素(3)に向けられることを意図されたブレーキ要素の金属サポート要素(11)の第1の表面(13)と共に及びその上に直接統合する工程と、
b)前記第1の表面(13)と接触して前記電気信号をピックアップする電気回路(18)を実装する工程であって、前記電気回路(18)を、前記金属サポート要素と統合されているコネクタ(20)に接続する工程と、
c)電気的絶縁層(12B)を、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ及び前記電気回路(18)が前記第1の表面と前記電気的絶縁層(12B)との間に挟まれ、前記電気的絶縁層(12B)内側に埋め込まれるように、前記第1の表面(13)上に、連続的又は非連続的に実装する工程と、
c’)減衰及び断熱層(12C)を、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)が直接及び完全に、前記減衰及び断熱層(12C)内側に、前記電気的絶縁層(12B)の介在を伴って埋め込まれるよう、前記電気的絶縁層(12B)及び前記第1の表面(13)上に直接、実装する工程と、
d)摩擦材のブロック(14)を、前記ブロックが前記金属サポート要素(11)によって固定されている状態で、前記減衰及び断熱層(12C)上に形成する工程と、
e)前記圧電セラミックセンサ(15、15C)の圧電セラミック材料を分極又は再分極させるよう、前記摩擦材のブロック(14)を形成する前記工程の後に、前記コネクタ(20)及び電気ケーブル(19)の手段を用いて、予め定められた電位差が必要なとき前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサに印加する工程と、
を備える、車両用センサ付ブレーキ要素(1)を製造する方法。
【請求項2】
前記ブレーキ要素(1)はブレーキパッドであり、ここにおいて、前記電気回路(18)は電気信号を処理し、前記コネクタ(20)はコネクタ(20)により終端されている電気ケーブル(19)によって金属サポート要素と統合され、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサはポリマー能動部品を使用していない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被制動要素(3)は車両のディスク又はドラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧電セラミックセンサが、前記第1の表面(13)に対して垂直に測定された際に、前記減衰及び断熱層(12C)の厚さ以下の厚さを有するよう選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサがそのまま、前記第1の表面(13)上に直接形成されており、摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料単独で作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の圧電セラミックセンサが、前記第1の表面(13)と統合され、前記第1の表面(13)の全体を離散的に占めるよう、対称アレイにより離間配置に配列されており、少なくとも1つの前記複数の圧電セラミックセンサは使用上では、前記ブレーキ要素(1)上の圧力の印加方向に対して横断する力に応答するように実装されており、前記複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)は互いに、及び内部に前記複数の圧電セラミックセンサを統合する前に前記第1の表面上に直接得られている前記電気回路(18)の手段を用いて前記コネクタ(20)に接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電気回路(18)は、複数の圧電セラミックセンサ(15)により生成された電圧又は電荷信号を処理する手段(21)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサの前記分極/再分極工程が、5秒と10秒との間の予め定められた時間の、及び、前記コネクタ(20)の手段を用いて、前記圧電セラミックセンサ(15、15C)自体の前記分極方向において測定されたとおりの、前記圧電セラミックセンサが作製されている圧電セラミック材料のミリメートル毎の厚さに対して、対向するセンサ電極(16)に、0.1kVと5kVとの間の電位差を印加することで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
金属サポート要素(11)と、被制動要素(3)に使用中に対向することを意図する、前記金属サポート要素(11)の第1の表面(13)の一側面上の前記金属サポート要素(11)上に配列された減衰及び断熱層(12C)と、前記金属サポート要素(11)によって前記第1の表面(13)の一側面上及び前記減衰及び断熱層(12C)の上に固定された摩擦材のブロック(14)と、を備える統合型センサ付ブレーキ要素(1)であって、
摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料にて作製され、前記金属サポート要素(11)の前記第1の表面(13)と共に、及び表面上に直接統合された少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)と、
前記第1の表面(13)と接触するよう、又は表面の直上に提供され、前記金属サポート要素(11)と統合されたコネクタ(20)及び/又は前記コネクタ(20)により終端された電気ケーブル(19)に接続された、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)により発せられた電気信号をピックアップする電気回路(18)と、
前記第1の表面(13)上に直接、及び前記減衰及び断熱層(12C)の下に直接配列された、連続的又は非連続的な電気的絶縁層(12B)と、を更に備え、
前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)及び前記電気回路(18)は、前記金属サポート要素(11)の前記第1の表面(13)と前記電気的絶縁層(12B)との間に挟まれており、そしてそれらの上に、前記摩擦材のブロック(14)及びその下に前記減衰及び断熱層(12C)を伴い、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサが直接及び完全に、前記減衰及び断熱層(12C)内側に、前記電気的絶縁層(12B)の介在を伴って埋め込まれるよう配列されており、ケーブル(19)及びコネクタ(20)並びに電気回路(18)は、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)を分極するために電圧発生手段(25、40)に接続されるよう適合されている、統合型センサ付ブレーキ要素(1)。
【請求項10】
ブレーキ要素は(1)はブレーキパッドであり、ここにおいて前記電気回路(18)は電気的な処理に適合している、請求項9に記載の統合型センサ付ブレーキ要素(1)。
【請求項11】
前記被制動要素(3)はブレーキディスク又はドラムである、請求項9に記載の統合型センサ付ブレーキ要素(1)。
【請求項12】
請求項1に記載の方法により得られた、請求項9に記載の統合型センサ付ブレーキ要素(1)。
【請求項13】
請求項9に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)と、前記電気回路(18)及び前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)に、前記コネクタ(20)及び前記電気ケーブル(19)の手段を用いて取り外し可能に接続された中央処理ユニット(22)と、少なくとも前記1つのブレーキ要素(1)に対向するよう配列された被制動要素(3)と、前記ブレーキ要素の前記摩擦材のブロック(14)を前記被制動要素に対して押すような前記ブレーキ要素の作動手段(5)と、前記少なくとも1つのブレーキ要素(1)及び前記作動手段(5)に対するサポート手段(4)と、を備える車両ブレーキシステム(2)であって、
前記少なくとも1つのブレーキ要素(1)が、対称アレイにより配列され、離間配置にある、個別に有効となり得る複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)と、前記車両ブレーキシステム(2)又は前記圧電セラミックセンサにより生成され、発せられた電圧又は電荷信号を処理する手段(21)をさらに含む、前記少なくとも1つのブレーキ要素の前記電気回路(18)と、を含み、前記車両ブレーキシステム(2)が、前記複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)の1つ又はそれ以上の有効化に応じて発せられた電気信号に応じて前記作動手段(5)を制御する手段(28)を更に備える、車両ブレーキシステム(2)。
【請求項14】
前記被制動要素(3)はブレーキディスク又はドラムである、請求項13に記載の車両ブレーキシステム(2)。
【請求項15】
少なくとも車両の移動に伴って、前記車両のバッテリ(41)の手段を用いて、前記中央処理ユニットによって荷電状態が維持され、前記中央処理ユニット(22)の制御の下で、前記作動手段(5)が有効であるときに、前記中央処理ユニットに到着する、前記電気回路(18)によって発せられた信号の異常又は信号がないことを前記中央処理ユニットが検出した場合に、前記複数の圧電セラミックセンサ(15,15C)の1つ又はそれ以上の再分極が可能である前記中央処理ユニット(22)に関連付けられたコンデンサー手段(40)を備える、請求項13に記載の車両ブレーキシステム(2)。
【請求項16】
請求項9に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)と、前記電気回路(18)及び前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)に、前記コネクタ(20)及び前記電気ケーブル(19)の手段を用いて取り外し可能に接続されている中央処理ユニット(22)と、少なくとも前記1つのブレーキ要素に対向するように配列された被制動要素(3)と、前記ブレーキ要素の前記摩擦材のブロック(14)を前記被制動要素に対して押すような前記ブレーキ要素の作動手段(5)と、少なくとも前記1つのブレーキ要素及び前記作動手段に対するサポート手段(4)と、を備える車両ブレーキシステム(2)であって、
前記作動手段(5)の作動が存在しない場合に、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15,15C)よって発せられた電気信号に応じて有効となり得る信号伝達手段(29)を更に備える、車両ブレーキシステム(2)。
【請求項17】
前記被制動要素はブレーキディスク又はドラムである、請求項16に記載の車両ブレーキシステム(2)。
【請求項18】
i)個別に有効にすることができ、離間して配置され、そして対称アレイにより配列された複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)と、前記圧電セラミックセンサ(15、15C)を、互いに、前記電気ケーブル(19)及びコネクタ(20)の手段を用いて、中央処理ユニット(22)に接続する、前記圧電セラミックセンサにより発せられた電圧又は電荷のいずれかの信号を処理する手段(21)を含む、又は、それぞれの圧電セラミックセンサによって発せられた電気信号を別々に供給するよう構成された電気回路(18)を含む、請求項9に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)を提供する工程と、
ii)前記1つ又はそれ以上の圧電セラミックセンサの有効化に応じて、前記電気回路(18)によって及び/又は前記それぞれの圧電セラミックセンサによって供給された前記電気信号を処理する工程と、
iii)車両ブレーキシステム(2)が有効となったか否かを検出する工程と、
iv)有効となっていない場合に、前記少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)の信号伝達手段(28)又は作動手段(5)のいずれかを有効にして、前記ブレーキ要素を、被制動要素(3)から離して格納する工程と、
v)有効となっている場合に、車両が異常に制動されているか否かを判定するために前記電気信号を更に処理し、前記制動が異常のときは、前記作動手段(5)が、前記少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)を前記被制動要素に対して押す圧力を検出し、そのような圧力を変更するために前記作動手段(5)に介入し、前記制動が異常でないときは、全体の制動動作を最適化する目的で、そのような処理された信号を使用する工程と、を含む、車両ブレーキシステム(2)制御方法。
【請求項19】
前記被制動要素はブレーキディスク又はドラムである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキ要素を製造する方法に関し、より詳細には、車両の制動中にブレーキパッドに作用する力の検出を可能にする、統合型センサ付ブレーキパッドに関する。本発明はまた、本方法を使用して構築された統合型センサ付ブレーキパッド、及び、本発明によるとおりに統合型センサ付ブレーキパッドを使用する車両ブレーキシステム及び関連制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在製造されている車両ブレーキシステムでは、外部システムを経由せずに、車両の使用中にブレーキパッド(又は、ドラムブレーキを備える車両についてはブレーキシュー)と、制動中であるホイールに取り付けられたディスク又はドラム要素との間で交換される力を検出する方法はない。これにより、制動中のノイズ、振動、及び好ましくないスキール音よりも、例えばキャリパの調整不良に起因する、制動中以外でもパッドがディスクに「接触」することによるブレーキパッドの異常摩耗によって様々となり得る多くの欠点の発生の検出及び/又は予想が不可能となっている。これらの問題は、不具合、又は、不要なブレーキパッドの早期かつ度重なる交換をも引き起こし得る。
【0003】
韓国特許出願第KR2004−48957A号は、制動中にノイズ及び振動が発生する問題を、「バックプレート」として知られる、ブレーキパッド用の金属サポートの背後に圧電素子を配列することで解決しようと試みている。これらの圧電素子は、使用中にバックプレートが受ける振動の結果として電気的エネルギーを発生し、このエネルギーは続いて複数のLEDに供給されることで消費される。このようにエネルギーを吸収することで、これらの振動は減衰される。
【0004】
より一般的に、実験目的での圧電素子(センサ又はアクチュエータ)の使用が、当該技術分野において知られている。例えば、制動ベンチテスト中のバックプレートの変形を検出するために、又は、圧電アクチュエータを電気的に供給し、このアクチュエータが続いて平衡すべき力をこのバックプレートに印加し、したがって振動を減衰するようにすることで制動中に発生する振動を弱めるために、圧電素子をバックプレートに対して、及びブレーキキャリパの外側に向けて配列することが知られている。
【0005】
例えば、SAE技術論文2004−01−2773は、Darmstadt大学によって行われた研究について記述しており、ここで圧電素子は加速度センサに連結されており、双方共、制動中のスキール音を抑制するためのセンサ及びアクチュエータとして使用されている。同研究はしかし、記述されたシステムは設計支援ツールとみなされるべきであり、ブレーキパッドの量産での使用に適切なシステムと考えることはできないと指摘している。
【0006】
欧州特許出願第EP1531110号及びドイツ特許出願第GB2478423号は、圧電センサがそれぞれブレーキディスク上、又は、ブレーキキャリパピストンとバックプレートとの間に配列されており、制動中にブレーキキャリパピストンの位置を調整するために電気モータにより使用される、又はホイールのロックのいずれの兆候を即座に検出するいずれかのために、信号をそれぞれ生成する車両ブレーキシステムを記述している。
【0007】
これは現時点において事実に留意すべきことであるが、圧電センサをブレーキパッド付近又はブレーキパッド自体の上に配置することは、生産工程中にブレーキパッドが受ける、又は制動中に発生するその高温及び高圧により、多くの既知の圧電センサがそれに適合しない温度及び圧力となるため、これは不可能ではなくとも、非常に難しいものとみなされている。
【0008】
欧州特許出願第EP 1431606B1号は、したがって、摩擦層に印加される力を測定する方法を記述しており、ここでは、印加される力の関数として電気抵抗が変化する機能層はこの摩擦層と関連しており、続いて機能層の電気抵抗における変化が測定され、したがって印加された力の量の示度が提供される。
【0009】
欧州特許出願第EP1923592B1号は、そうではなく、摩擦層及び、摩擦層とサポートプレートとの間に配列された、その静電容量がこの摩擦層に印加される力の関数として変化する少なくとも1つの静電容量センサを伴うサポートプレートを有するブレーキ要素又は摩擦要素を記述している。
【0010】
最後に、米国特許出願第US2006/0254868号は、欧州特許出願第EP 1431606B1号のそれに類似するシステムを記述し、ここでは、ブレーキパッドのそれといった、ブレーキ要素の摩擦層の電気抵抗における変化が直接測定されている。
【0011】
センサ又は機能層全体の静電容量又は電気抵抗の変化に基づいているこれらのシステムは、一方で実際における実施が非常に難しく、静止状態又は極ゆっくりと作用している状態にて印加された力の相対的に高精度な測定が一方で可能であるものの、制動中に発生するような、力の急速な変化を検出することが不可能であり、もう一方では連続的な電気供給も必要であり、したがって、相対的に速く動く部品に電気的エネルギーを供給しなければならないという点から、関連するエネルギー消費及び相当複雑な構造をもたらす。
【発明の開示】
【0012】
本発明の目的は、制動中にリアルタイムかつシンプルで正確な方法での、ブレーキ要素(パッド又はシュー)と被制動要素(ディスク又はドラムブレーキ)との間の相互作用における力の存在及び/又は程度の使用中での検出が、外部電源を必要とすることなく続いて可能である、ブレーキパッド及び、より一般的にはブレーキ要素、したがってブレーキシューも含む、のシンプルかつ経済的な構築方法を提供することである。
【0013】
本発明の更なる狙いは、ブレーキ要素、より詳細には、センサ付ブレーキパッドを提供することのそれであり、これは使用中に、被制動中の要素に接触する結果として、このブレーキ要素に印加された制動力に比例する電気信号を送信することができ、ブレーキ要素は容易な構築及び容易な使用の双方が可能である。
【0014】
最後に、本発明の更なる目的は、車両ブレーキシステム及び関連方法を提供することであり、ここでは、望ましくない振動及びスキール音といった不都合を削減する狙いでリアルタイムでのアクティブ又はパッシブな制動制御を行う、及び/又は異常な動作状態を示すことができる。
【0015】
本発明はしたがって、請求項1に画定されるように、センサを伴うブレーキ要素、より詳細にはブレーキパッドのシンプルかつ経済的な構築のための方法に関する。本発明は更に、請求項6による、センサを伴うブレーキ要素、より詳細にはブレーキパッドに関する。
【0016】
本発明は更に、請求項8による車両ブレーキシステム、及び請求項11による関連制御方法に関する。
【0017】
本発明の主な態様によると、機械力を受けると電気信号を発することができ、摂氏200度以上の温度にて動作できるよう選択された(すなわち、摂氏200度以上の最大動作温度を伴う圧電セラミックセンサからなるグループから選択された)、したがって摂氏200度を超えるキュリー温度を伴う圧電セラミック材料から作製された少なくとも1つの圧電セラミックセンサは、一体製、すなわち、ディスク又はドラムといった、使用中に車両の被制動要素に表面が向けられるよう意図されたブレーキ要素の(バックプレートと呼ばれる)金属性サポート要素の第1の表面に/上に直接結合されている。この少なくとも1つの圧電セラミックセンサは更に、金属サポート(バックプレート)上へのセンサの統合に関する工程の前又は直後に、少なくとも1つのセンサから電気信号をピックアップして潜在的に処理するために、電気回路が第1の表面上に実装されており、この電気回路は、金属性サポート要素に統合されているコネクタ又はコネクタに終端されている電気ケーブルに接続されており、続いて、連続的又は非連続的な電気的絶縁層が、この少なくとも1つの圧電セラミックセンサを電気回路と共に第1の表面と絶縁層との間に包含するような方法にて、第1の表面上に実装されている。この少なくとも1つの圧電セラミックセンサ及び電気回路はその結果として、電気的絶縁層内側にいずれの気泡を介在させることなく埋め込まれた状態で維持され、この電気的絶縁層上には断熱及び減衰層(基層として既知)が続いて形成され、後者の上には、金属サポートによって固定される摩擦材のブロックが最終的に形成される。その結果として、この少なくとも1つのセンサは、その関連電気回路と共に直接、摩擦材のブロック内側に埋め込まれているものの、それ自体もまた摩擦材のブロック内側に埋め込まれている電気的絶縁層の手段を用いて分離されている。必要に応じて、摩擦材のブロックを形成する工程の後、予め定められた電位差が少なくとも1つの圧電セラミックセンサに、コネクタ及びおそらくは存在する電気ケーブルを介して印加され、この電位差は、センサの圧電セラミック材料を分極又は再分極させるよう作用する。
【0018】
圧電セラミックセンサは、例えば力又は圧力の形態で受けた機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、その結果として、電源を必要とすることなく、その厚さを変化させるような刺激力の印加方向に制約が加えられた際に電荷の変化を生じ、これは、電位差、すなわち、双方とも印加された力の大きさにより異なる、電圧信号として又は電荷として測定される。
【0019】
本発明により使用される圧電セラミックセンサは、既知の圧電セラミック加速度計は振動性質量がなく、能動要素のみによって形成されているという事実においてそれらとは異なる。その上に、本発明によると、使用されているセンサは、リアルタイムでの信号応答を提供可能でなければならない。リアルタイムについては、センサの意図する変換速度(応答時間)は0.16マイクロ秒未満であり、通常で最大50kHzの音響範囲の逐次サンプリングを伴う取得頻度を可能とする。
【0020】
本発明の更なる態様によると、圧電セラミック材料のみを使用した、個別に有効化が可能であり、対称アレイにより離間配置に好適に配列された複数の圧電セラミックセンサが、最終的に第1の表面上に「そのまま」成形され、統合されている。続いて、電気回路は中央処理ユニットに接続され、この電気回路は任意選択的に、それぞれのセンサから発せられた電気信号を中央処理ユニットに別々に提供するよう適合された圧電セラミックセンサ又は同様のものによって発せられた電圧又は電荷信号を処理する手段を含む。
【0021】
これ以降は、好適な信号処理アルゴリズムの開発により、様々な起こり得る障害及び/又は不具合の検出、診断、及び/又は補正が可能となる。
【0022】
例えば、車両ブレーキシステムが作動していないにも関わらず、中央処理ユニットが1つ又はそれ以上のセンサから信号を受信している場合、ブレーキ要素、例えばブレーキパッドが被制動要素、例えば車両のホイールに付くブレーキディスクに「接触」していることを確立することができる。本発明により、例えばブレーキキャリパのシンプルな機械的調整により解消することができる異常について、ユーザーに注意喚起する警告装置を有効にするか、又は、被制動要素に対してブレーキ要素を格納するよう、ブレーキ要素作動メカニズム(ピストン又はキャリパ)上にて自動介入することのいずれかが続いて可能となるであろう。異常なブレーキパッドの消費はしたがって回避され、車両の運転において大幅にエネルギーを節約する。
【0023】
更なる利点は、アレイパターンによる、単一のブレーキ要素に適用された複数のセンサにより発せられた信号を好適に処理することで、いずれの振動及び/又は、摩耗差、並びに/若しくはノイズ及びスキール音を誘発する、ブレーキパッドとディスクとの間の接触圧の異常分布を検出することができるという事実からなる。これらの状態は通常、異常な圧力分布及び/又は接触圧の離散値の印加の結果として生じるため、これにより、圧力分布を再バランスさせること、又は場合によっては、現象を引き起こした圧力を検出し、例えば、統合型センサ付ブレーキ要素の作動メカニズム上に作用させることで、これにより、例えば、運転条件に依存するより高い又はより低い圧力を印加することで、この現象を誘発する圧力の印加を回避するように、ブレーキシステムを作動させることが可能である。
【0024】
より多くの圧電セラミックセンサから、すなわち、複数の独立した圧電セラミックセンサであって、それらの少なくとも1つが、ブレーキ要素によって印加された圧力の方向を横断する力に反応するよう設計されている、圧電セラミックセンサによって形成され、他の圧電セラミックセンサの分極方向に垂直の方向に分極されている、離散したセンサ一式からの信号を組み合わせることで、続いて統合型センサ付ブレーキパッドとディスクとの間の瞬間摩擦係数を計算することができる。車両オンボードコンピュータへ送信され、他のシステム(ABS、ESP、等)からの信号とリアルタイムで合成されるこの値を用いることで、これは、制動条件及びその結果としての車両の停止距離にわたる良好な制御を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下の純粋に例示の目的で記載された模範的かつ非制限の実施形態、及び付随する以下の図面内の図に関連しての説明から、本発明の更なる特徴及び利点が明確となるであろう。
【
図1】
図1は、略図的に示す、本発明による車両ブレーキシステムを、ホイール軸に関連して長手方向に描いた、正面図及び部分的断面図である。
【
図2】
図2は、略図的に示す、本発明により構築された、この場合はブレーキパッドである、ブレーキ要素の拡大縮尺での展開斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のブレーキパッドを構築する方法に関する工程の流れを順番に、矢印の方向にて略図的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1〜3に関連して、1に全体として示されるものはセンサ統合型車両ブレーキ要素であり、この例では、ブレーキシステム2(
図1)に装備されることを意図する、ディスク3(ディスクブレーキシステム)が装備されるブレーキパッドであり、ディスク3は、車両(簡略化のために図示せず)のそれぞれのホイールに既知の方法で取り付けられており、したがって、ホイール軸Aを中心として回転する。
【0027】
ディスク3に加えて、及びそれぞれのディスク3について(したがって車両のそれぞれのホイールについて)、ブレーキシステム2は、アクチュエータ5を装備するブレーキキャリパ4、これは例示にて油圧式5となるものが既知であるが、電気式とすることもできる、及び、ブレーキキャリパ4にアクチュエータ5と共に保持される一対のブレーキパッド1を含み、ブレーキパッド1は使用上では、ディスク3の回転を制動するように、アクチュエータ5の手段を用いて、軸Aに平行の方向にてディスク3に対して押されることができ、そのため、それが強固に取り付けられているホイールを共に制動し、その結果として、ブレーキシステム2を装備する車両が制動される。説明するアクチュエータ5は油圧式であってピストン6を装備し、このピストンは、車両のユーザーがブレーキペダルを踏み込んだ際にパイプ8の手段を用いて加圧されたオイルで満たされたチャンバ7内を摺動し、より一般的には、このピストンは車両オンボードコンピュータ10によって制御される。言うまでもなく、アクチュエータ5はまた電気式とすることができ、この場合はオンボードコンピュータ10によって直接制御される。また、本明細書のこれまで及びこれから詳述するものは、油圧電気複合式システムにも適用されることが明白である。
【0028】
これまで及びこれからの双方にて、ブレーキパッド1からなるブレーキ要素に対する特有の参照がなされるが、それらの説明もまた、上述のブレーキシステム2も、2枚のディスク3のみ(例えば、車両の前輪用)及び後輪用の2つのブレーキドラム(当該技術分野において既知のもの、簡略化のために図示せず)からなり、使用上では、ブレーキパッド1ではなくブレーキシューからなるブレーキ要素と共に作動する複合式とすることができるよう、ドラムブレーキのブレーキシューにあらゆる点で等しく適用可能であることが明白である。
【0029】
また、
図2に関連して、ブレーキパッド1といったブレーキパッドは通常、輪郭を伴って形成された平板形状での、「バックプレート」として既知でもある金属サポート要素11、金属サポート要素11の第1の表面13上に配列され、使用上では、例示ではディスク3の、車両の被制動要素に対向することを意図する、「基層」として既知の減衰及び断熱層12C、及び金属サポート要素11によって表面13の側面上及び既知の減衰/断熱層又は基層12Cの上に固定された、摩擦材製のブロック14からなる。
【0030】
ブレーキシューの場合には、ブレーキパッド1について詳述のそれらに対応する要素があり得、それに対して当業者には、以下の説明が、統合型センサ付ブレーキシューも構築できるよう、容易に移転可能であることが明白であろう。
【0031】
本発明の一態様によると、ブレーキパッド1(本発明によるブレーキシステム2内で使用されるブレーキパッドのペアのそれぞれに対する少なくとも1つのブレーキパッド1)は統合型センサを有し、このセンサは、使用中にブレーキパッド1とディスク3との間で接触が発生した際に交換される力の検出に使用されている。
【0032】
本発明によるブレーキパッド1はそのため、ポリマーフィルムといったその作動に必要なポリマー又はポリマー部品を、好ましくは個別に使用しないよう、例えば、対向する電気接続電極又は端子16が提供された、摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料にて全体が作製されたセンサなど、本発明により選択された少なくとも1つの圧電セラミック圧力センサ15も含む。ポリマー部品又はフィルムはまた、センサ15の作動を干渉/介入しない程度に存在してもよく、これは例えばその固定に関してのみサーブする。
【0033】
本発明によると、少なくとも1つのブレーキパッド1は、センサ15が、金属サポート要素11の表面13と共に、及びその上に、ブレーキパッド1全体を構築する前に、したがって、当該技術分野において既知の技術を用いて、断熱及び減衰層12C及び摩擦材のブロック14を成形する前に、直接統合されている。また、これらと組み合わせて、断熱/減衰層12Cを成形する前に、表面13と統合されている、少なくとも1つのセンサ15が内部に完全に封入されており、いずれの気泡を介在していない、連続的又は非連続的な電気的絶縁層12Bが、表面13と共に、及びその上に統合されている。
【0034】
電気的絶縁層12Bの上には、当該技術分野において既知の方法にて、層12C及び摩擦材のブロック14が続いて、表面13上に配列されたセンサ(単一又は複数)15を完全に覆うように、ブロック14がバックプレート11と一体に統合となるように、そして少なくとも1つのセンサ15が減衰及び断熱層12C内側に埋め込まれるように、関連する電気的絶縁層12Bの介在のみを伴ってその内部に直接組み込まれるよう、構築されている。少なくとも1つのセンサ15は、表面13上の1点のみを占めることができるか、又は、代替的に、表面13のすべて又は一部のみを覆うセラミックフィルムの形態で実装されることができる。
【0035】
図2の例示では、ブレーキパッド1は、互いに独立して表面13に直接統合されている複数のセンサ15から形成された圧電セラミックセンサの離散集合を備える。センサは個別に有効にすることができ、離間配置となっており、好ましくは対称アレイにより配列されている。複数の圧電セラミックセンサ15は圧力センサであり、好ましくは対称アレイによる離間配置となっており、表面13全体を占めるものの、離散の方法のみ、すなわち、この表面13の予め定められたポイント/限定部分となっている。
【0036】
本発明の好適な態様によると、
図2及び3に示す(15Cとして参照される)少なくとも1つのセンサ15は、他の圧電セラミックセンサの分極方向に垂直な方向に分極されており、そのため、ブレーキ要素1によって印加される圧力の方向に横断する力に反応するよう構成されている。ここに示す非制限例では、センサ15は、面13に垂直な方向により分極されており、一方でセンサ15Cは、面13に平行な方向、より詳細には、軸A対する接線方向に、すなわち、軸Aを中心とするブレーキディスク3の回転方向に関するブレーキディスク3への接線に分極されている。
【0037】
センサ15は、圧電セラミックのみであって、本発明の一態様により、表面13に垂直に測定した厚さが、減衰層又は基層12Cのそれ以下であるものから選択する場合に、市販の種類から選択することができる。センサは、例えば接着にて、又は当該技術分野において既知の他の技術にて表面13に取り付けられる。
【0038】
あるいは、センサ15、15Cは、サポート要素又はバックプレート11上に直接そのまま形成することができ、そのため、それらを表面13に一体統合するよう焼結結合することで、表面13に直接統合することができる。圧電セラミックセンサ15の焼結に使用する材料については、例えば、「ソフト」若しくは「ハード」タイプのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)化合物、又はチタン酸ビスマスナトリウム化合物、若しくは変性メタニオブ酸鉛を使用することができる。本明細書に提供する、考えられる材料一覧は包括的なものではなく、現在当該技術分野において既知の任意の圧電セラミック材料又は将来利用可能となり得、上記要件を満たすものを、本発明に使用してもよい。
【0039】
再度本発明によると、ブレーキパッド1はまた、概略説明のみでいずれの実際の関係なく
図2に示す電気回路18も含み、この回路18は電極又は端子16の手段を用いて、少なくとも1つの圧電セラミックセンサ15により生成された電気信号をピックアップし、最終的にこの信号を、以降に更に説明するように処理することができる。回路18は、表面13及びセンサ(単一又は複数)15と接触するよう配列されており、これは例えば、センサが(
図3内に破線にて示すように)この表面13に統合される前に、第1の表面13の上に直接成形されている、又は、使用上では表面13に対向する電気的絶縁層12Bの面上に、層12Bが表面13自体の上に成膜される前に予め印刷されており、層12Bは、例えば、プリント回路及び/又はマイクロ回路(マイクロチップ)に使用される、当該技術分野において既知の技術の手段を用いて、フィルムの形態にて構築されており、例えば、回路18は、表面13上、又は、使用中に表面13に対向し、表面13と接触するように配列され、金属サポート要素11と統合されるよう成形された電気ケーブル19に接続された、層12Bの面上にスクリーン印刷されている。電気ケーブル19は、コネクタ20内にて終端する(
図1)。あるいは、電気回路18は、それ自体が金属サポート要素11と一体で直接統合されているコネクタ20に直接統合接続され得る。
【0040】
ここに示す例では、ブレーキパッド1が複数のセンサ15及び少なくとも1つのセンサ15Cを備え、これらのすべては、電気回路18の手段を用いてケーブル19/コネクタ20に接続されており、後者(電気回路18)は、複数の圧電セラミックセンサ15、15Cにより生成された電圧又は電荷信号の(
図2内にブロックにて示す)前処理手段21を潜在的に含むような方法で構築されている。すなわち、回路18は、それぞれのセンサ15及び15Cから、ケーブル19(ケーブル19がある場合、これは場合により平型多信号ケーブル)の手段を用いて、又はいずれの場合にも、コネクタ20へ、電気出力信号が別々に提供可能となるような方法で構築されている。
【0041】
すべての場合において、少なくとも1つのセンサ15(複数のセンサ15及び15C)及び電気回路18は、ブレーキパッドに関して、金属サポート要素11の表面13と電気的絶縁層12Bとの間に挟まれており、その上に配列された減衰層12Cを伴い、この内側部にはセンサ(単一又は複数)15、15Cが、電気的絶縁層12Bを介在して直接封入されており、この上には摩擦材14のブロックが重ね合わせられており、断熱/減衰層12Cの介在を伴って、金属サポート要素11により統合され、固定されている。
【0042】
更に、本発明の最も重要な態様によると、ケーブル19(備えられている場合)、コネクタ20、及び電気回路18は、センサ(単一又は複数)15により使用中に生成され、発せられた電気信号をピックアップして送信するだけでなく、センサ(単一又は複数)15を分極及び/又は再分極するために、そうでなければ、無効状態が維持され得る、又は完全に機能し得ない電圧生成手段25(
図3)に、ここに見られるように、上記すべてが接続可能であるような方法で構築される。
【0043】
実際に、ブレーキパッド(ブレーキ要素)1に使用するために本発明により選択された圧電セラミックセンサ(単一又は複数)15(15C)は、圧電特性を生来示す材料で作製されていないものの、その結晶構造により、妥当な分極後にのみ圧電特性をとる材料のみで作製されている。
【0044】
本発明によるブレーキシステム2は、ディスク3と相互作用するよう配列された少なくとも1つの(例では2つ)ブレーキパッド(単一又は複数)1を含む、先に示す要素を備えることに加え、中央処理ユニット22も備えることができ、この中央処理ユニットは、電気回路18及び、少なくとも1つの圧電セラミックセンサ15(アレイパターンにて配列された複数のセンサ15及び15Cを伴う)に、それぞれのブレーキパッド1のコネクタ20及び、最終的に存在する電気ケーブル19の手段を用いて、脱着可能に接続されている。
【0045】
中央処理ユニット22は、例えばブレーキキャリパ4に直接取り付けることができ、ブレーキシステム2が搭載された車両内の車両オンボードコンピュータの一部又は中央処理ユニットのグループを形成することができる。すべての場合では、中央処理ユニット22は、ブレーキパッド1(又は、ドラムブレーキの場合はブレーキシュー)を形成するそれぞれのブレーキ要素の制動される要素を、ディスク3(又は、ドラムブレーキの場合はブレーキドラム)により画定される、被制動要素に対向するように配列された摩擦材のブロック14を使用中に押すアクチュエータ5を制御するオンボードコンピュータ10に接続されている(又はその一統合部である)。
【0046】
図3に関連して、本発明によるブレーキパッド1(又はブレーキシューといった、いずれの同様のブレーキ要素1)は、
図3に略図的に示される後続のプロセス又は方法の手段を用いて構築されることが、記述により明白である。この方法又はプロセスは、以下の工程を含む。
【0047】
a)被制動要素3と使用中に対向されることを意図されたブレーキ要素1と、適切に分極されると、機械力を受けた際に電気信号を生成及び出力可能な、その作動に必要なポリマー部品を使用しておらず、摂氏200度以上の温度でも完全に作動するよう好適に選択された少なくとも1つの圧電セラミックセンサ15と、を金属性サポート要素又はバックプレート11の表面13と共に及びこの上に直接統合する。この工程は、単純に接着するか、そうでなければ、市販のセンサ15Bを表面13上(
図2の非制限の場合に示すように、センサ15Bはリングの形態であるものの、本発明により使用される圧電セラミックセンサは様々な形状をとることができ、センサ15については一般的に円筒形、接線方向に分極したセンサ15Cについては矩形であり、ここで、電極16は、センサ15/15Cの基部の対向面により構成される)に取り付けるか、又は、
図3に示すように、センサ(単一又は複数)15/(15C)は、そのままとすることにして、当該技術分野において既知の構築技術によるように、例えば、レーザービーム30の手段を用いて、粉末から(焼結することで)それ/それらを形成することで完了することができる。この場合、表面13上にあり、サポート11に統合的に組み込まれているセンサ(単一又は複数)15/15Cは無効状態であって、依然として圧電特性を示さない。
【0048】
b)表面13と接触するように、例えば、使用中にセンサ15から電気信号をピックアップして任意選択的にそれを処理できる回路(この回路は
図3内に破線で示されている)上にセンサ15を統合する前に、この表面上に直接、回路18を構築する。この回路18はまた、バックプレート11と統合されて、コネクタ20内にて終端される電気ケーブル19にも接続されているか、又は、簡素化のために示されていない好適な実施形態によるように、この回路18は、バックプレート11に直接統合されているコネクタ20に直接接続される。
【0049】
c)センサ15及び回路18を包含する表面13(又はその一部)上に、電気的絶縁層12Bを形成する。これは、表面13と絶縁層12Bとの間に圧電セラミックセンサ(単一又は複数)15及び電気回路18の双方を挟むように予め印刷された層12Bによって実装することができる。
【0050】
c’)減衰及び断熱層又は「基層」12Cを、表面13上、及び、層12C内側に埋め込まれている/組み込まれている層12Bの直上に形成する。
【0051】
d)断熱層12C上に、金属サポート要素11により固定された摩擦材のブロック14を形成する。
【0052】
e)必要に応じて、表面13上に逐一分布する少なくとも1つの圧電セラミックセンサ15又は複数のセンサ15/15Cに、コネクタ20及び最終的に存在する電気ケーブル19の手段を用いて、センサが作製されているものの、摩擦材のブロック14の構築工程の完了時のみかつ単独で、圧電セラミック材料を初期的に分極又は再分極可能な予め定められた電位差を印加する。
【0053】
この最終フェーズe)は、実行する上で、摩擦材のブロック14がすでに形成され、中央処理ユニット26にて制御されている電圧発生手段25にコネクタ20を接続することでポリマー化され、熱処理された、完成したブレーキパッド1上にて行う。
【0054】
センサ(単一又は複数)15がそのまま直接表面13上に形成されている場合は、それ/それらは摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料にて単独に構成されており、まだ分極されていない。工程e)は上述のように、したがって必須である。
【0055】
本発明による方法の最終工程である、少なくとも1つの圧電センサ15の分極/再分極フェーズは、センサ15が構成されている圧電セラミック材料の厚さ1mmあたり0.1〜5kVにわたり得る電位差を、例えば5秒と10秒との間といった予め定められたタイムフレームにて、ケーブル19の手段を用いて、センサ(それぞれのセンサ)15の対向する電極16に印加することで行われる。この厚さは、センサの分極方向にて測定される。センサ15に対する好適な厚さは約1mmであり、これにより分極フェーズ中に、例えば2,500Vの電圧がコネクタ20に印加される。接線方向に分極するセンサ15Cに対する分極/再分極電圧はその代わり、12,500Vに上昇し、これは、側面あたり5mmの角型基盤を伴う角柱形状を有すると想定される。したがって、回路18及びコネクタ20は、最終的に存在するケーブル19と共に、この最大印加可能電圧に耐えるよう構築されなければならない。
【0056】
これは、統合型センサ付きで完成したブレーキパッド1を、センサ15の存在に干渉する通常のパッド成形プロセスを伴わずにもたらし、これらのセンサはまた、使用中にバックプレート11の剛性を妨げることなく、したがって、ブレーキパッド1から予想される性能を伴って、摩擦材のブロック14が受ける圧力を検出するよう好適に配置される。
【0057】
図2を再度参照すると、本発明によるブレーキシステムでは、パッド1は、アレイ状に配列された複数のセンサ15が常に好適に提供されており、電気回路18は、圧電セラミックセンサ15により生成され、送信される電圧又は電荷信号を予め処理し、続いて、中央処理ユニット22(又は、好適に接続され、プログラムされたいずれの他の回路)に、ブロック14に作用する(センサ15については、軸Aに平行に測定された、及びセンサ15Cに作用するせん断力については、軸Aに垂直な面上で測定された)接触圧構成を知らせる信号をケーブル19にて送信するための好適な手段21を備えるか、又は、存在するセンサ15/15Cのすべてから発せられた信号を、ケーブル19の手段を用いて/コネクタ20へ別々に及び個別に送信し、この信号は、中央処理ユニット22によって直接処理されるよう構成されている。
【0058】
すべての場合において、ブレーキシステム2は、電気回路18から中央処理ユニット22に送信される電気信号に応じて、それは次に、表面13上に位置する有効な圧電セラミックセンサのアレイ内の1つ又はそれ以上のセンサ15が有効になることに応じて、アクチュエータ手段5を制御する手段28を含む。この手段28は、中央処理ユニット22自体により、及び中央処理ユニット22とオンボードコンピュータ10との間の相互接続により規定される。言うまでもなく、オンボードコンピュータ10、中央処理ユニット22、及び手段28は、すでに車両に搭載されている中央処理ユニットの適切なプログラミングの手段を用いて、ソフトウェアを通してシンプルに実現され得る。
【0059】
更に、又は上記の代わりとして、ブレーキシステム2は、オンボードコンピュータ10との接続/インターフェースの手段を用いて中央処理ユニット22が検証することができる条件である、アクチュエータ手段5が有効ではなく、表面13上に位置する少なくとも1つの有効な圧電セラミックセンサ15によって発せられた電気信号に応じて、中央処理ユニット22によって有効となり得る信号伝達手段29を備えてもよい。
【0060】
最後に、ブレーキシステム2はまた、例えば車両バッテリ41の手段を用いて、少なくとも移動する車両に伴って、中央処理ユニット22によって荷電状態が維持され、アクチュエータ手段5が有効であるときに、電気回路18によって中央処理ユニット22に送信された信号が異常である、又は信号がないことを中央処理ユニット22が検出する場合に、中央処理ユニット22の制御の下で、ケーブル19及びコネクタ20の手段を用いて、表面13上に位置する単一の圧電セラミックセンサ15/複数の圧電セラミックセンサ15の再分極が可能である、中央処理ユニット22に関連付けられた容量性手段40を含み得る。これは、ブレーキの集中的な使用(例えば、下り道)がブレーキパッド1の過熱を引き起こし、続いてこの現象が、ブレーキパッド1内に埋め込まれた有効なセンサ(単一又は複数)15、15Cのすべて又は一部を消極し得る場合に起こり得る。
【0061】
上記より、本発明はまた、以下の工程を含む車両ブレーキシステムの制御方法に関することが明白である。
【0062】
i)個別に有効にされ得る、好ましくは対称アレイにより配列された、複数の離間配置された圧電セラミックセンサ15を備える、ブレーキパッド1といった、少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素と、電気ケーブル19及びコネクタ20の手段を用いて、圧電セラミックセンサ15を、中央処理ユニット22、又は、例えば、すでに車両に搭載されているものといった、任意の他の同等の中央処理ユニットに接続する電気回路18を提供する。
【0063】
ii)リアルタイムで有効となった1つ又はそれ以上の圧電セラミックセンサ15に応じて、電気回路18及び/又はそれぞれのセンサ15により供給された電気信号を処理する。
【0064】
iii)例えば、オンボードコンピュータ10に問い合わせることで、ブレーキシステムが有効となっているか否かを検出する。
【0065】
iv)有効となっていない場合、統合型センサ付ブレーキ要素1を被制動要素、例示ではブレーキディスク3、から離れるように格納するよう、信号伝達手段28が存在する場合はこれを有効にするか、又はブレーキ要素1の作動手段5を有効にする。第1のシナリオに関して、作動手段5に影響を及ぼすことなく、ユーザーは、ブレーキキャリパ4が正しく調整されていないこと、及び早期の摩耗及び過剰な燃料消費を防止する調整が必要であるという事実に対して警告を受けることができる。この限定範囲の文脈内では、ブレーキパッド1は1つのセンサ15のみを取り上げてもよい。第2のシナリオに関して、これは好適なものであるが、この問題は直接、完全に自動的な方法で解決される。
【0066】
v)有効となっている場合、ここではブレーキシステムが作動していることが検出されており、作動手段5が統合型センサ付ブレーキ要素1を被制動要素3に対して軸Aに平行の方向に局所的であっても押しており、個別の作動手段5に作用している圧力であって、それが車両運転条件に依存してより大きい又はより小さい圧力を他方に代わって印加している前述の圧力(異常現象を引き起こした圧力)を印加せず、そのため最適な圧力分布の適用を可能にするような圧力を測定することで、単一のブレーキ要素1内に埋め込まれた複数のセンサ15によりリアルタイムにて発せられた電気信号の適切な処理(例えば、いずれの異常振動の検出)の手段を用いて、車両が異常に制動されているか否かを判別する。車両が異常に制動されていない場合は、ブレーキ要素1上に配列された複数のセンサ15によりリアルタイムに発せられた電気信号の適切な処理は依然として、例えば、緊急制動を良好に扱うようにするための有用な情報を、オンボードコンピュータ等に提供する。
【0067】
より一般的には、本発明の手段を用いて、不十分なキャリパ調整を完全に自動で修正することに加え、ブレーキパッド摩擦材の不均等な摩耗及び上記のすべての補正が可能となり、補正されない場合にユーザーが認識し得る制動中のノイズ/スキール音/振動の発生を回避することができる。
【0068】
本発明の目的はしたがって、完全に達成される。
【0069】
その上に、電気回路18及び電気的絶縁層12Bの存在により、当該技術分野において既知の、簡略化のために図示されていない摩耗センサ及び/又は温度センサを、ブロック14を構築する前にバックプレート11に直接取り付けることができ、その結果として大幅なコスト削減及び作動の簡略化をもたらすことができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] a)機械力を受けた際に、電気信号を発するように、その分極方向に受けた機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することができる少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)であって、前記センサは摂氏200度以上の作動温度でも作動し、好ましくはポリマー能動部品を使用していない圧電セラミックセンサのグループから選択されている、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)を、使用中に、ディスク又はドラムといった、車両の被制動要素(3)に向けられることを意図されたブレーキ要素の金属サポート要素(11)の第1の表面(13)と共に及びその上に直接統合する工程と、
b)前記第1の表面(13)と接触して前記電気信号をピックアップし、場合により前記信号を処理する電気回路(18)を実装する工程であって、前記電気回路(18)を、前記金属サポート要素と統合されているコネクタ(20)に、前記コネクタ(20)によって終端されている電気ケーブル(19)の手段を任意選択的に用いて接続する工程と、
c)電気的絶縁層(12B)を、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)及び前記電気回路(18)が前記第1の表面と前記電気的絶縁層(12B)との間に挟まれ、前記電気的絶縁層(12B)内側に埋め込まれるように、前記第1の表面(13)上に、連続的又は非連続的に実装する工程と、
c’)減衰及び断熱層(12C)を、前記少なくとも1つのセンサ(15、15C)が直接及び完全に、前記減衰及び断熱層(12C)内側に、前記電気的絶縁層(12B)の介在を伴って埋め込まれるよう、前記電気的絶縁層(12B)及び前記第1の表面(13)上に直接、実装する工程と、
d)摩擦材のブロック(14)を、前記ブロックが前記金属サポート要素(11)によって固定されている状態で、前記減衰及び断熱層(12C)上に形成する工程と、
e)前記圧電セラミックセンサ(15、15C)の前記圧電セラミック材料を分極又は再分極させるよう、前記摩擦材のブロック(14)を形成する前記工程の後に、前記コネクタ(20)及び電気ケーブル(19)の手段を用いて、予め定められた電位差を必要に応じて前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)に印加する工程と、
を備える、車両用センサ付ブレーキ要素(1)、より詳細にはブレーキパッドを製造する方法。
[2] 前記圧電セラミックセンサ(15)が、前記第1の表面(13)に対して垂直に測定された際に、前記減衰及び断熱層(12C)の厚さ以下の厚さを有するよう選択されている、[1]に記載の方法。
[3] 前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)がそのまま、前記第1の表面(13)上に直接形成されており、摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料単独で作製されている、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 複数の圧電セラミック圧力センサ(15)が、前記第1の表面(13)と統合され、前記第1の表面(13)の前記全体を離散的に占めるよう、離間配置に、好ましくは対称アレイにより配列されており、前記少なくとも1つのセンサ(15C)は使用上では、前記ブレーキ要素(1)上の前記圧力の印加方向に対して横断する力に応答するような方法で好適に実装されており、前記複数のセンサ(15、15C)は互いに、及び前記コネクタ(20)並びに/若しくはケーブル(19)に、内部に前記複数のセンサを統合する前に前記第1の表面上に直接得られている、及び、任意選択的に、前記複数の圧電セラミックセンサ(15)により生成された電圧又は電荷信号を処理する手段(21)を含む前記電気回路(18)の手段を用いて接続されている、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)の前記分極/再分極工程が、5秒と10秒との間の予め定められた時間の、及び、前記コネクタ(20)及び/又はケーブル(19)の手段を用いての、前記センサ(15、15C)自体の前記分極方向において測定されたとおりの、前記センサ(15)が作製されている圧電セラミック材料のミリメートル毎の厚さに対して、前記対向するセンサ電極(16)に、0.1kVと5kVとの間の電位差を印加することで行われる、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 金属サポート要素(11)と、例えば、車両のディスク又はドラムなど、被制動要素(3)に使用中に対向することを意図する、前記金属サポート要素(11)の第1の表面(13)の一側面上の前記金属サポート要素(11)上に配列された減衰及び断熱層(12C)と、前記金属サポート要素(11)によって前記第1の表面(13)の一側面上及び前記減衰及び断熱層(12C)の上に固定された摩擦材のブロック(14)と、を備える統合型センサ付ブレーキ要素(1)、より詳細にはブレーキパッドであって、
摂氏200度を超えるキュリー温度を有する圧電セラミック材料にて作製され、前記金属サポート要素(11)の前記第1の表面(13)と共に、及び前記表面上に直接統合された少なくとも1つの圧電セラミック圧力センサ(15、15C)と、
前記第1の表面(13)と接触するよう、好ましくは前記表面の直上に提供され、前記金属サポート要素(11)と統合されたコネクタ(20)及び/又は前記コネクタ(20)により終端された電気ケーブル(19)に接続された、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)により発せられた前記電気信号をピックアップして任意選択的に処理する電気回路(18)と、
前記第1の表面(13)上に直接、及び前記減衰及び断熱層(12C)の下に直接配列された、連続的又は非連続的な電気的絶縁層(12B)と、を更に備え、
前記少なくとも1つのセンサ(15、15C)及び前記電気回路(18)は、前記金属サポート要素(11)の前記第1の表面(13)と前記電気的絶縁層(12B)との間に挟まれており、そしてそれらの上に、前記摩擦材のブロック(14)及びその下に前記減衰及び断熱層(12C)を伴い、前記少なくとも1つのセンサが直接及び完全に、前記減衰及び断熱層(12C)内側に、前記電気的絶縁層(12B)の前記介在を伴って埋め込まれるよう配列されており、前記ケーブル(19)及びコネクタ(20)並びに電気回路(18)は、前記少なくとも1つのセンサ(15)を分極するために電圧発生手段(25、40)に接続されるよう適合されている、統合型センサ付ブレーキ要素(1)、より詳細にはブレーキパッド。
[7] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の前記方法により得られる、[6]に記載の統合型センサ付摩擦要素(1)。
[8] [6]に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)と、前記電気回路(18)及び前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)に、前記コネクタ(20)及び前記電気ケーブル(19)の手段を用いて取り外し可能に接続された中央処理ユニット(22)と、ディスクブレーキ又はドラムブレーキといった、少なくとも前記1つのブレーキ要素(1)に対向するよう配列された被制動要素(3)と、前記ブレーキ要素の前記摩擦材のブロック(14)を前記被制動要素に対して押すような前記ブレーキ要素の作動手段(5)と、前記少なくとも1つのブレーキ要素(1)及び前記作動手段(5)に対するサポート手段(4)と、を備える車両ブレーキシステム(2)であって、
前記少なくとも1つのブレーキ要素(1)が、離間配置にある、好ましくは対称アレイにより配列された、個別に有効となり得る複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)と、前記圧電セラミックセンサ(15)により生成され、発せられた電圧又は電荷信号を処理する手段(21)を任意選択的に含む、前記少なくとも1つのブレーキ要素の前記電気回路(18)と、を含み、前記ブレーキシステム(2)が、前記複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)の1つ又はそれ以上の前記有効化に応じて発せられた電気信号に応じて前記作動手段(5)を制御する手段(28)を更に備える、車両ブレーキシステム(2)。
[9] [6]に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)と、前記電気回路(18)及び前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)に、前記コネクタ(20)及び前記電気ケーブル(19)の手段を用いて取り外し可能に接続されている中央処理ユニット(22)と、ブレーキディスク又はドラムといった、少なくとも前記1つのブレーキ要素に対向するように配列された被制動要素(3)と、前記ブレーキ要素の前記摩擦材のブロック(14)を前記被制動要素に対して押すような前記ブレーキ要素の作動手段(5)と、少なくとも前記1つのブレーキ要素及び前記作動手段に対するサポート手段(4)と、を備える車両ブレーキシステム(2)であって、
前記作動手段(5)の作動が存在しない場合に、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15)よって発せられた電気信号に応じて有効となり得る信号伝達手段(29)を更に備える、車両ブレーキシステム(2)。
[10] 少なくとも前記車両の移動に伴って、前記車両のバッテリ(41)の手段を用いて、前記中央処理ユニットによって荷電状態が維持され、前記中央処理ユニット(22)の前記制御の下で、前記作動手段(5)が有効である場合に、前記中央処理ユニットに到着する、前記電気回路(18)によって発せられた信号の異常又は信号がないことを前記中央処理ユニットが検出した場合に、前記少なくとも1つの圧電セラミックセンサ(15、15C)又は前記複数の圧電セラミックセンサ(15)の再分極が可能である前記中央処理ユニット(22)に関連付けられたコンデンサー手段(40)を備える、[8]又は[9]に記載のブレーキシステム(2)。
[11] i)個別に有効にすることができ、離間配置、好ましくは対称アレイにより配列された複数の圧電セラミックセンサ(15、15C)と、前記圧電セラミックセンサ(15、15C)を、互いに、前記電気ケーブル(19)及びコネクタ(20)の手段を用いて、中央処理ユニット(22)に接続する、前記圧電セラミックセンサ(15)により発せられた電圧又は電荷のいずれかの信号を処理する手段(21)を含む、又は、それぞれのセンサ(15)によって発せられた前記電気信号を別々に供給するよう構成された電気回路(18)を含む、[6]に記載の少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)を提供する工程と、
ii)前記1つ又はそれ以上の圧電セラミックセンサ(15)の前記有効化に応じて、前記電気回路(18)によって及び/又は前記それぞれのセンサ(15)によって供給された前記電気信号を処理する工程と、
iii)前記ブレーキシステム(2)が有効となったか否かを検出する工程と、
iv)有効となっていない場合に、前記少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)の信号伝達手段(28)又は前記作動手段(5)のいずれかを有効にして、前記ブレーキ要素を、例えばブレーキディスク又はドラムなどの被制動要素(3)から離して格納する工程と、
v)有効となっている場合に、前記車両が異常に制動されているか否かを判定するために前記電気信号を更に処理し、前記制動が異常の場合は、前記作動手段(5)が、前記少なくとも1つの統合型センサ付ブレーキ要素(1)を前記被制動要素に対して押す前記圧力を検出し、そのような圧力を変更するために前記作動手段(5)に介入し、前記制動が異常でない場合は、前記全体の制動動作を最適化する前記目的で、任意選択的にそのような処理された信号を使用する工程と、を含む、車両ブレーキシステム(2)制御方法。