【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、独立請求項の特徴を有する方法、洗浄デバイス及び組立キットによって達成される。単独で又は所望の組合せで実現できる有利な改善は、従属請求項に表されている。
【0016】
以下で使用する「ある」、「有する」、「備える」又は「含む」等の用語及びこの活用形は、非排他的な意図で使用される。すなわち、これらの用語は、何れも、これらの用語によって導入される特徴の他に、この文脈において記述される実体に更なる特徴が存在しない状況と、1つ以上の更なる特徴が存在する状況との両方に使用される。例えば、「Aには、Bがある」、「Aは、Bを有する」、「Aは、Bを備える」及び「Aは、Bを含む」という表現は、何れも、Bの他に、他の如何なる要素もAに存在しない条件(すなわち、単独で排他的にBのみから構成される条件)と、Bの他に、要素C、要素C、D又はこれ以上の要素等、1つ以上の更なる要素が実体Aに存在する条件との両方を意味する。
【0017】
更に、以下で使用する「好ましくは」、「特に」、「例えば」及びこれらに類似する用語は、他の可能性を制限することなく、オプションの特徴とともに使用される。このように、これらの用語によって導入される特徴は、オプションの特徴であり、如何なる形式であれ、特許請求の範囲を制限することを意図しない。本発明は、当業者にとって明らかなように、他の改良を用いて実現してもよい。同様に、「本発明の実施形態において」、「本発明の例示的な実施形態において」又は類似した表現によって導入される特徴は、オプションの特徴を意味するものであり、改良又は独立請求項による保護範囲が、このようなオプションの特徴によって制限されることはない。更に、このような導入的表現によって導入された特徴によって、本発明の他のオプション又は非オプションの特徴の組合せの可能性が制限されることはない。
【0018】
本発明の第1の側面として、洗浄デバイスを較正する方法を提案する。本発明の範囲内において、較正とは、包括的に、少なくとも1つの状態変数の少なくとも1つの測定値をチェック及び/又は補正し、又は補正された測定値に変更して、少なくとも予め定義された許容度の範囲内で、補正された測定値を状態変数の実測値に一致させる処理を意味する。
【0019】
本発明の範囲内において、状態変数とは、包括的に、洗浄デバイスの動作及び/又は何らかの形で洗浄デバイスの洗浄結果に影響する可能性がある少なくとも1つの環境因子の定量化可能な変数を意味する。後に更に詳しく説明するように、この少なくとも1つの状態変数は、特に、温度及び/又は圧力の少なくとも1つであってもよい。例えば、少なくとも1つの状態変数は、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の温度あってもよく、及び/又は被洗浄物に適用される洗浄デバイスの少なくとも1つの洗浄流体の温度であってもよい。これに代えて又はこれに加えて、少なくとも1つの状態変数は、例えば、少なくとも1つの圧力、例えば、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の少なくとも1つの圧力及び/又は少なくとも1つの洗浄流体の圧力であってもよい。更に、この方法では、状態変数の組合せを較正することもでき、例えば、少なくとも1つの温度の形式である少なくとも1つの状態変数及び少なくとも1つの圧力の形式である少なくとも1つの状態変数を同時に較正することができる。
【0020】
本発明の範囲内において、洗浄デバイスとは、包括的に、被洗浄物に付着した不純物及び/又は細菌を少なくとも部分的に取り除くように設計されたデバイスを意味する。特に、洗浄デバイスは、上述したように、被洗浄物に少なくとも1つの洗浄流体、すなわち洗浄液及び/又は洗浄ガスを適用するように設計することができる。例えば、この洗浄流体は、洗浄液、例えば、オプションとして1つ以上の添加物、例えば、濃縮洗剤、最終すすぎ補助剤及び殺菌剤からなるグループから選択される少なくとも1つの添加物を含む水性洗浄液であってもよい。これに代えて又はこれに加えて、洗浄流体は、例えば、蒸気であってもよい。なお、原理的に、他の改良も可能である。
【0021】
後に詳細に説明するように、洗浄デバイスは、例えば、食器洗浄機、特に、業務用の食器洗浄機、例えば、バッチ式食器洗浄機及び/又は運搬式食器洗浄機あってもよい。また、これに代えて又はこれに加えて、洗浄デバイスは、完全に又は部分的に、洗浄及び殺菌装置、例えば、屎尿を回収する容器を洗浄する洗浄デバイスとして設計することもできる。これに関しては、包括的に、例えば、DE 10 2004 056 052 A1及び/又はDE 10 2007 025 263 A1に開示されている洗浄デバイスを参照することができる。洗浄デバイスは、食品製造及び/又は食品加工の現場において容器を洗浄するために使用される洗浄機であってもよい。更に、洗浄デバイスは、殺菌洗浄機あってもよく、例えば、人工呼吸器マスクを洗浄及び消毒するための洗浄機であってもよい。なお、原理的に、他の改良も可能である。
【0022】
洗浄デバイスは、少なくとも1つの状態変数を検出するための少なくとも1つのセンサを備える。本発明の範囲内では、センサとは、包括的に、望ましくは1つ以上の電子測定値の形式で1つ以上の状態変数の測定値を検出するように設計されたデバイスを意味する。測定値は、アナログ形式及び/又はデジタル形式であってもよい。センサは、例えば、検出すべき状態変数に応じて少なくとも1つのセンサ信号、例えば、アナログ信号又はデジタルセンサ信号を生成するように設計された少なくとも1つのセンサ要素を備えていてもよい。また、センサは、少なくとも1つのセンサ要素に加えて、1つ以上の更なる要素を備えていてもよい。例えば、センサは、特に、センサ要素及び/又はセンサの他の要素に接続された1つ以上の供給ラインを備えていてもよい。更に、少なくとも1つの駆動及び/又は評価回路を設けてもよく、例えば、この駆動及び/又は評価回路をセンサ要素に接続してもよく、この駆動及び/又は評価回路は、測定プリント回路基板又は単にプリント回路基板とも呼ばれる。更に、センサは、例えば、少なくとも1つのアナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)、及び/又は、例えば、少なくとも1つの信号線及び/又はデータ回線及び/又はインタフェース等の更なる要素を備えていてもよい。少なくとも1つのセンサ要素と、オプションとして少なくとも1つの更なるセンサの要素とを含むユニット全体は、センサシステム及び/又はセンサの測定チェーンを形成し、これは、最終的に、例えば、後に更に詳細に説明するコントローラに接続されている。したがって、センサは、それ自体がセンサシステムあってもよく、センサシステムの構成要素あってもよい。測定チェーン及びこの測定チェーンの設計は、最終的に、状態変数の特定の値及び/又はこの値の変化によって、コントローラが利用できる1つ以上のセンサ信号にどのような影響が生じるかを決定することができる。したがって、センサは、全体として、少なくとも1つのセンサ要素と、更に、少なくとも1つの更なる要素、具体的には、(特に少なくとも1つの測定値又はセンサ値を処理するための)駆動及び/又は評価回路、インタフェース、アナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)、無線及び/又は有線伝送要素、信号線及び/又はデータ回線、電源、A/Dコンバータ、インジケータ要素、データメモリ及びラジオモジュールからなるグループから選択される少なくとも1つの更なる要素とを備えることができる。なお、他の改良も可能である。
【0023】
例えば、センサは、少なくとも1つの温度センサ、特に、例えば、NTC及び/又はPTC等、温度依存性抵抗器の形式で、少なくとも1つのセンサ要素を備えることができる。これに代えて又はこれに加えて、センサは、圧力センサ、例えば、マイクロメカニカル圧力センサの形式の少なくとも1つのセンサ要素を備えていてもよい。なお、他の改良も可能である。
【0024】
この方法は、以下のステップを含み、これらは、必要条件ではないが、ここに記述した順序で実行することが好ましい。更に、方法は、ここに示さない追加的な方法ステップを含んでいてもよい。更に、これらの方法ステップは、異なる順序で実行してもよい。更に、個々の、複数の又は全ての方法ステップは、繰り返し実行してもよい。更に、個々の又は複数の方法ステップは、時間的に平行して実行してもよく、時間的に重なるように実行してもよい。
【0025】
方法ステップは以下の通りである。
【0026】
a)洗浄デバイスのセンサから独立して、少なくとも1つの較正センサによって、少なくとも1つの状態変数を検出し、少なくとも1つの基準値を判定する較正測定を行うステップ。
【0027】
b)較正センサと、洗浄デバイスのコントローラとの間に電子接続を確立し、基準値をコントローラに電子的に送信するステップ。
【0028】
c)基準値と、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値とを比較し、比較に基づいて少なくとも1つの補正関数を調整するステップであって、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値は、補正関数を使用して自動的に補正されるステップ。
【0029】
この場合、較正測定とは、包括的に、上述したように、基準値を判定する処理を意味する。上述の定義の意味の範囲内で、較正センサは、包括的に、洗浄デバイスの構成要素ではなく、洗浄デバイスの他の構成要素から独立して操作され又は動作し、好ましくは、高い信頼性を有するセンサを意味する。較正センサは、上述したように、較正センサ要素と、更に、オプションの少なくとも1つの更なる要素、例えば、それぞれのケースにおいて、(特に少なくとも1つの測定値又はセンサ値を処理するための)駆動及び/又は評価回路、インタフェース、アナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)、無線及び/又は有線伝送要素、信号線及び/又はデータ回線、電源、A/Dコンバータ、インジケータ要素、データメモリ及びラジオモジュールからなるグループから選択される1つ以上要素を備えていてもよい。なお、他の改良も可能である。例えば、較正センサは、洗浄デバイスの他の構成要素から独立して較正されるセンサあってもよく、これは、例えば、対応する較正初期仕様に基づいて、例えば、工場において及び/又は本方法の範囲内で較正してもよい。例えば、較正環境内で定義済みの環境条件、例えば、較正器のチャンバ内の定義済みの較正温度及び/又は定義済みの較正圧力を設定するように設計された1つ以上の較正器を使用してもよい。較正器は、例えば、携帯型装置あってもよい。例えば、較正センサは、10℃から100℃までの範囲内で+/−1.0℃以下の精度、特に、+/−0.5℃以下の精度を有する較正温度センサを備えていてもよい。
【0030】
本発明の範囲内では、洗浄デバイスのセンサから独立した少なくとも1つの状態変数の独立した検出とは、較正センサによる測定が洗浄デバイスのセンサによって影響されることなく、洗浄デバイス内のセンサによっても検出される同じ状態変数が較正センサによって検出される処理を意味する。したがって、較正センサは、状態変数を検出し、処理において、状態変数の値を特徴付ける少なくとも1つの基準値を生成する。したがって、比較値とも呼ばれる基準値は、包括的に、較正センサが状態変数を検出することによって生成する測定値、すなわち、較正センサによって検出される状態変数の少なくとも1つの測定値又は一組の測定値を意味する。この場合、複数の基準値、例えば、同じ状態変数の一連の基準値、例えば、時間的シーケンスを検出してもよい。変形例として、複数の状態変数を同時に検出し、したがって、異なる状態変数の複数の基準値を判定するように設計されている較正センサとして、複数の種類の状態変数を検出するための複数の較正センサを使用してもよい。
【0031】
方法ステップb)において電子接続を確立することは、包括的に、洗浄デバイスのコントローラへの少なくとも1つの基準値の電子的送信を可能にする処理を意味する。この目的で、例えば、有線接続及び/又は無線接続を使用することができ、ここで、無線接続、特に、更なる配線接続が不要な完全無線接続が好ましい。電子接続が確立されると、更なる基準値の送信のために上述した電子接続を維持してもよく、或いは、基準値の送信の後に電子接続を切断してもよい。
【0032】
洗浄デバイスのコントローラは、包括的に、洗浄デバイスの構成要素であり、洗浄デバイスの1つ以上の機能を制御及び/又は調整するように設計されているデバイスを意味するものと理解される。コントローラは、一体型設計であっても、複数の部分から構成される設計であってもよい。具体的には、コントローラは、少なくとも1つのデータ処理デバイス、例えば、少なくとも1つのマイクロコンピュータを備えていてもよい。後に更に詳細に説明するように、洗浄デバイスのコントローラは、例えば、洗浄デバイスの1つ以上の状態変数及び/又は1つ以上のパラメータを設定するように設計してもよい。これに代えて又はこれに加えて、コントローラは、洗浄デバイスのプログラムシーケンスを制御するように設計してもよい。例えば、コントローラは、1つ以上の洗浄プログラムを実行し、及び/又は洗浄処理の他のパラメータを設定するように設計してもよい。コントローラは、例えば、洗浄デバイスの中央マシンコントローラあってもよい。コントローラは、集中型であっても、分散型であってもよい。更に、コントローラは、例えば、外部デバイス、例えば、コンピュータと、洗浄デバイスとの間でデータ及び/又は命令を送信し、及び/又は情報を送信するための1つ以上のインタフェースを備えていてもよい。この送信は、一方向であっても双方向であってもよい。更に、コントローラは、1つ以上のユーザインタフェース、例えば、1つ以上のディスプレイ及び/又は1つ以上のキーパッドを備えていてもよい。なお、原理的に、他の改良も可能である。
【0033】
この場合、コントローラへの基準値の電子的送信は、包括的に、人間による送信動作なしで、特に、手動による入力なしで、基準値が較正センサからコントローラに送信される処理を意味する。したがって、電子的送信は、例えば、有線信号及び/又は無線信号の形式のみで実行してもよい。
【0034】
方法ステップc)における基準値と、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値との比較は、包括的に、基準値及び測定値の一致及び/又は乖離をチェックする処理を意味する。このとき、異なる種類の状態変数の基準値及び/又は測定値が使用される場合、方法ステップc)におけるこの比較は、状態変数の少なくとも1つの基準値と、同じ状態変数の少なくとも1つの測定値との比較のみを含む。これにかかわらず、オプションとして、他の状態変数の少なくとも1つの基準値と、同じ他の状態変数の少なくとも1つの測定値との少なくとも1つの比較を実行してもよい。
【0035】
後に更に詳しく説明するように、比較は、例えば、測定値から基準値を減算し及び/又は基準値から測定値を減算する差の計算を含んでいてもよい。なお、これに代えて又はこれに加えて、比較は、例えば、基準値を測定値で除算した商及び/又は測定値を基準値で除算した商の算出を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の範囲内で、補正関数は、包括的に、少なくとも予め定義された許容範囲(例えば、1つ以上の許容度閾値)内で、センサによって検出することが意図された対応する状態変数の実測値に測定値が一致するように、洗浄デバイスのセンサが提供する測定値に影響するように設計されているアルゴリズムを意味する。この場合、補正関数は、測定値に直接的に適用してもよく、或いは、例えば、温度測定値及び他の1つ以上の変数(例えば、温度適用動作の期間)から熱当量が算出される場合、測定値の更なる処理に進んでもよい。
【0037】
この場合、補正関数の較正は、包括的に、基準値と測定値の比較を考慮して、補正関数に影響を与えることを意味する。補正関数は、この調整の前に既に存在していてもよく、或いは、調整の範囲内で最初に生成してもよい。
【0038】
洗浄デバイスのセンサの未来の測定値は、補正関数を用いて自動的に補正される。上述したように、この補正は、測定値に直接的に適用される補正関数によって直接実行してもよく、測定値の更なる処理の範囲内で最初に実行してもよい。例えば、測定値は、1つ以上の評価関数に変数として入力することができ、評価関数は、補正関数に基づいて補正してもよい。原理的に、他の改良も可能である。
【0039】
この方法、特に、少なくともこの方法の大部分は、自動化された手法で実行してもよい。例えば、較正測定は、少なくとも概略的に洗浄プログラムをシミュレートするように実行することができる。更に、較正測定は、既知の状態変数又は少なくとも判定されている基準値に基づいて検出できる状態変数が設定されるように実行してもよい。?例えば、洗浄デバイスを動作させながら、例えば、洗浄デバイスの洗浄チャンバに配置された較正センサによって較正測定の範囲内で現実の又は仮想的な洗浄プログラムを実行してもよい。例えば、この試運転の範囲内で洗浄流体の適用及び/又は温度適用動作を実行してもよい。
【0040】
特に、方法ステップb)及び/又はc)は、完全に又は部分的に、例えば、ユーザによる介入なしで、自動的に実行してもよい。但し、特に、方法ステップb)は、例えば、部分的に自動化された手法で実行してもよく、例えば、較正センサとコントローラの間の電子接続を手動で確立し、続いて、コントローラへの基準値の電子的送信を自動的に実行してもよい。方法ステップc)は、特に、完全に自動的に実行してもよい。方法ステップb)及び/又はc)を開始するために、例えば、洗浄デバイスの対応する較正プログラムを開始するためのユーザ操作を要求してもよい。この開始は、例えば、較正センサとコントローラの間の電子接続を確立することによって自動的に実行してもよく、及び/又は、ユーザ及び/又は保守担当者が対応する較正プログラムを呼び出すことによって実行してもよい。
【0041】
上述したように、方法ステップc)における基準値と、センサの少なくとも1つの測定値との比較及び/又は補正関数の調整は、異なる手法で実行してもよい。したがって、補正関数は、例えば、少なくとも1つのオフセット、すなわち、補正関数を用いる測定値の補正の範囲内で、測定値から減算され及び/又は、測定値に加算される予め定義された値を含んでいてもよい。したがって、例えば、方法ステップc)において、基準値と測定値の差又はこの逆の差の少なくとも1つを算出してもよく、補正関数は、この差をオフセットとして含むことができ及び/又はこの差をオフセットとして補正関数に加えることができる。オフセットは、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値から自動的に減算してもよく、或いは、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値に加算してもよい。これに代えて又はこれに加えて、方法ステップc)における基準値とセンサの少なくとも1つの測定値との比較の間、基準値と測定値の間の少なくとも1つの商を算出してもよく、補正関数は、この商又はこの商の逆数を補正係数として含んでいてもよく及び/又はこの商又はこの商の逆数を補正係数と補正関数に加えてもよい。補正係数は、特に、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値に自動的に乗算してもよい。
【0042】
但し、これらの可能な単純な補正関数は、単に、対応する補正関数の例示的な実施形態にすぎない。包括的に言えば、例えば、比較的複雑な補正アルゴリズムの適用及び/又は比較的複雑な補正曲線の適用等、比較的複雑な補正関数も可能である。例えば、補正関数は、少なくとも1つの多項式を含むことができ、方法ステップc)の範囲内で多項式のパラメータを決定してもよい。したがって、例えば、異なる温度及び/又は異なる圧力において、異なる大きさの状態変数の比較を行うことができ、補正関数、例えば、多項式のパラメータをこれに応じて調整してもよい。そして、これらの調整されたパラメータを用いて、洗浄デバイスの未来の測定値に自動的に適用できる補正関数を提供してもよい。これに代えて又はこれに加えて、比較に基づいて選択できる対応する補正関数を、例えば、コントローラのデータメモリに保存してもよい。様々なオプションが可能である。
【0043】
上述したように、少なくとも1つの状態変数は、特に、温度、特に、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の温度及び/又は洗浄デバイスの少なくとも1つの洗浄流体の温度、圧力、特に、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の圧力、湿度、特に、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の湿度、体積流量及び/又は質量流量、特に、洗浄デバイスのラインシステムの一部における体積流量及び/又は質量流量からなるグループから選択される少なくとも1つの変数を含むことができる。
【0044】
上述したように、方法ステップb)における電子的送信は、電子形式でのみでの送信を含むことが望ましい。特に、方法ステップb)は、少なくとも1つの電子インタフェース、特に、較正センサとコントローラとを、直接的又は間接的に、及び一方向又は双方向に接続するインタフェースによって実行してもよい。特に、方法ステップb)は、無線接続、特に、ラジオ接続によって実行してもよい。これに代えて又はこれに加えて、方法ステップb)では、赤外線インタフェース及びブルートゥース(登録商標)インタフェースから選択されるインタフェースを使用してもよい。更に、これに代えて又はこれに加えて、方法ステップb)は、ドッキングステーションを用いて実行してもよく、この場合、較正センサをドッキングステーションに接続し、較正センサからドッキングステーションに基準値を送信する電子接続を確立し、ドッキングステーションによって基準値をコントローラに送信してもよい。したがって、まず、例えば、少なくとも1つの較正測定を行い、次に、較正センサをドッキングステーションに接続して、ドッキングステーションによって、少なくとも1つの基準値をコントローラに伝送することができる。
【0045】
較正センサは、特に、少なくとも1つのデータメモリを備え、複数の基準値を検出し、これらの複数の基準値をデータメモリに保存するように設計してもよい。データメモリは、例えば、揮発性及び/又は不揮発性データメモリを含んでいてもよい。
【0046】
包括的に言えば、較正センサは、例えば、他の装置への物理的な接続なしで、独立して基準値を検出するように設計できる自律システムあってもよい。例えば、較正センサは、筐体に収容された完全にカプセル化された較正センサあってもよい。更に、較正センサは、例えば、専用の電源、電池を備えていてもよい。少なくとも1つのオプションのデータメモリを、例えば、筐体に収容してもよい。データメモリは、異なる時点における複数の基準値を保存するように及び/又は複数の異なる種類の基準値、例えば、異なる状態変数の基準値を保存するように設計してもよい。
【0047】
データメモリは、特に、基準値の時間的シーケンスの形式で複数の基準値を含むように設計してもよい。例えば、較正センサは、定期的に又は不定期的に、例えば、予め定義された可変の測定頻度で基準値を検出し、好ましくは、基準値をデータメモリに保存するように設計してもよい。複数の基準値に加えて、更なる情報を保存してもよい。例えば、複数の基準値のそれぞれについて、基準値が検出された時点をデータメモリに保存してもよい。例えば、測定値に関するタイムスタンプを検出し、格納してもよい。
【0048】
コントローラは、比較の間に測定値及び基準値が検出される時点を互いに一致させるように設計してもよい。例えば、少なくとも同時に検出された、例えば、同時に及び/又は予め定義された時間差を超えない許容度で予め定義された時間窓の範囲内で検出された測定値及び基準値のみが互いに比較されることを確実にすることができる。例えば、状態変数が変化している場合でも、同じ状態変数の値に少なくとも略対応する基準値及び測定値のみを互いに比較することを確実にするすることができる。例えば、このように較正測定の間に状態変数を変化させ、例えば、洗浄チャンバ内及び/又は洗浄流体の温度を変化させ、例えば、異なる状態変数の値において較正測定を行うことができる。測定値及び基準値の時点を一致せさせることによって、対応する値が互いに比較されることが確実になる。したがって、コントローラは、包括的に、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値に加えて、その測定値が検出された、少なくとも1つの時点を登録するように設計してもよく、これは、例えば、1又は複数の測定値にタイムスタンプを追加することによって行ってもよい。そして、少なくとも1つの測定値が検出された時点を、基準値が検出された時点と一致させることができる。この場合、一致とは、上述したように、測定値と、この測定値に比較される基準値とが、同時に検出されていること、又は、予め定義されている同じ時間窓内で検出されていることを確実にする処理を意味する。
【0049】
上述したように、較正センサは、複数の基準値をコントローラに送信するように設計してもよい。コントローラへの基準値のこの送信は、オンラインで行ってもよく、例えば、基準値の検出と同時に実行してもよく、タイムリーに、例えば、次の基準値が検出される前に、予め定義された送信サイクルの範囲内で基準値がコントローラに送信されるように行ってもよい。また、これに代えて又はこれに加えて、複数の基準値を一括して送信してもよく、例えば、まず、複数の基準値を較正センサのデータメモリに格納し、続いて、これらをまとめてコントローラに送信してもよい。上述した送信は、例えば、上述のドッキングステーションの実施形態の範囲内で実行してもよい。
【0050】
方法ステップc)の範囲内で洗浄デバイスの診断を行ってもよい。本発明の範囲内で、診断は、包括的に、機能する洗浄デバイスの能力を定性化及び/又は定量化する処理を意味する。具体的には、方法ステップc)では、基準値と測定値の比較の間、予め定義された許容範囲からの逸脱が確認されたとき、警告を生成することができる。この警告は、電子形式で生成してもよく、他の如何なる望ましい形式で生成してもよい。例えば、電子的送信をログに記録してもよく及び/又は他のデバイスに電子的送信を行ってもよい。これに代えて又はこれに加えて、ユーザ、例えば、作業者及び/又は保守担当者に向けて警告を出力してもよく、この警告の形式は、視覚的警告、例えば、少なくとも1つのディスプレイ及び/又は少なくとも1つのインジケータ要素、音響的警告、例えば、スピーカ、及び触覚的警告、例えば、バイブレーション等の形式の1つ以上であってもよい。なお、他の改良も可能である。
【0051】
これに代えて又はこれに加えて、方法ステップc)では、基準値と測定値の比較の間に、逸脱が予め定義された異常なし範囲内であることが確認されると、異常なしメッセージを出力してもよい。この異常なしメッセージも、例えば、電子形式及び/又は他の形式で出力してもよい。例えば、異常なしメッセージは、ログに出力してもよく、例えば、上述した1つ以上の形式でユーザに向けて出力してもよい。許容範囲は、異常なし範囲に一致していてもよく、上述した異常なし範囲とは異なるものであってもよい。更に、例えば、診断状態を複数の状態に分類できるように複数の許容範囲及び/又は複数の異常なし範囲を予め定義してもよい。
【0052】
上述したように、較正センサは、特に、外部電源なしで独立して動作するカプセル化された較正センサであってもよい。この場合、カプセル化とは、包括的に、閉じた筐体、例えば、金属筐体及び/又はプラスチック筐体内への部分的に、好ましくは完全な較正センサの収容を意味する。特に、較正センサは、例えば、エネルギ供給線なしで独立して1つ以上の基準値を検出することができる自立型センサとして設計してもよい。
【0053】
特に、較正センサは、所謂データロガーあってもよい。様々な状態変数、例えば、温度、圧力若しくは湿度、又はこれらの状態変数の組合せについてのこの種のデータロガーは、通常、市販されている。包括的に言えば、データロガーは、自律的に動作し、外部からのエネルギ供給なしで測定値及び/又は基準値を受信できる自律的な測定システムである。特に、この種のデータロガーは、少なくとも10、好ましくは少なくとも1000及び特に好ましくは少なくとも10,000の測定値を保存できるデータメモリを有することができる。データロガーは、特に、インタフェース、例えば、少なくとも1つの基準値をコントローラに直接的又は間接的に送信するための無線インタフェースを備えることができる。この場合、上述したインタフェースは、例えば、ラジオインタフェースあってもよく、例えば、2.4GHzの無線周波数を用いるラジオインタフェースであってもよい。データロガーは、予め定義された又は調整可能な測定頻度で、例えば、数百ミリ秒、数秒又は更により長い時間間隔で測定値を受信できる。但し、包括的に、他の改良も可能である。
【0054】
上述したように、この方法は、上記以外の1つ以上の追加的な方法ステップを有することができる。例えば、方法ステップa)を実行する前に、方法は、以下の方法ステップを含むことができる。
【0055】
d)予め定義された規格に基づいて較正センサを較正する較正処理を実行するステップ。この場合、例えば、1つ以上の予め定義された及び/又は既知の状態変数を較正センサに適用してもよい。例えば、較正センサは、較正器によって較正してもよく、較正器は、較正処理の間に較正センサによって検出される状態変数を少なくとも1つの予め定義された値に調整するように設計されている。少なくとも1つの予め定義された値は、定数であっても変数であってもよく、例えば、経時的な変数であってもよい。すなわち、予め定義された値は、例えば、時間の経過に伴って、定義されたように変化する値であってもよい。例えば、これによって、予め定義されたプロファイルを有する温度曲線及び/又は圧力曲線を設定することができる。較正器は、例えば、予め定義されている既知の温度に設定されるように設計された熱チャンバ及び/又は加熱デバイスであってもよい。なお、これに代えて又はこれに加えて、他の規格を用いてもよい。例えば、較正センサは、2つ以上の既知の温度点を事前に特定することによって較正してもよく、例えば、上述した較正センサを氷水に浸すことによって較正センサに氷水を適用し、更に、例えば、上述した較正センサを沸騰水に浸すことによって、較正センサに沸騰水を適用することによって、較正センサを較正してもよい。この2つの測定値は、当然、0℃及び100℃に一致し、例えば、このように生成することができる。変形例として、例えば、これらの測定点の一方のみを判定してもよい。例えば、上述した既知の値からの較正センサの測定値の逸脱を用いて、較正センサを補正することができ、例えば、較正処理を実行した後に、氷水が適用されたときに較正センサが実際に0℃を示すように、及び沸騰水が適用されたときに較正センサが実際に100℃を示すようにしてもよい。
【0056】
較正センサ自体の較正処理は、好ましくは、本発明に基づく方法の他の部分とは時間的に独立して実行され、すなわち、例えば、方法ステップa)〜c)から独立して実行される。洗浄デバイスは、物理的に独立していてもよく、例えば、較正処理は、洗浄デバイスの設置場所とは異なる場所で実行してもよい。例えば、保守担当者が洗浄デバイスの設置場所に訪れ、予め較正された較正センサを用いてこれをテストしてもよい。
【0057】
これに代えて又はこれに加えて、方法は、1つ以上の更なる方法ステップを有することができる。例えば、方法ステップc)を実行した後に、方法は、以下の方法ステップを更に含むことができる。
【0058】
e)較正センサとコントローラの間の電子接続を切断するステップ。
【0059】
例えば、洗浄デバイスの通常動作、例えば、被洗浄物を洗浄するための通常の現場動作を行う目的で、較正センサは、洗浄デバイスから、特に、コントローラから切断してもよい。したがって、方法ステップe)を実行した後に、以下の方法ステップを更に実行してもよい。
【0060】
f)補正関数を考慮して、コントローラによって制御される少なくとも1つの洗浄プログラムを実行して、洗浄デバイスによって、被洗浄物を洗浄するステップ。換言すれば、洗浄プログラムは、洗浄プログラムを実行する際に補正関数を考慮するように実行してもよく、すなわち、例えば、洗浄プログラムの間に、洗浄デバイスの少なくとも1つのセンサの測定値を補正関数によって直接的又は間接的に補正するように実行してもよい。
【0061】
上述したように、状態変数は、特に、少なくとも1つの温度を含む。洗浄デバイスは、特に、少なくとも1つの洗浄プログラムの間に、温度を考慮して、被洗浄物に対する熱による衛生効果を監視するように設計してもよい。例えば、洗浄プログラムの間に、被洗浄物への温度の適用を追跡することによって、現在の熱当量の適用を算出してもよい。例えば、規格、例えば、EN ISO 15883規格及び/又はNSF規格3をこの目的のために使用してもよい。例えば、洗浄デバイスは、例えば、A0値及び/又はH.U.E値から選択される洗浄プログラムの間の被洗浄物への熱当量の適用を登録するように設計してもよい。この点に関しては、例えば、上述した文献DE 10 2004 056 052 A1及び/又はDE 10 2007 025 263 A1及びこれらの文献に記載されている方法を参照することができる。補正関数を使用することによって、従来の方法に比べて、熱当量及び衛生効果の適用の信頼度を著しく高めることができる。特に、洗浄デバイスは、洗浄プログラムの間に、温度を考慮して被洗浄物に対する熱の衛生効果を監視するように設計してもよく、方法ステップc)は、補正関数を調整して、熱の衛生効果に対応させることを含んでいてもよい。例えば、洗浄デバイスのセンサの補正されてない測定値に代えて、補正された測定値を使用して、衛生効果を算出及び/又は検出することができる。
【0062】
上述したように、1つ以上の上述の方法ステップの全部又は一部を繰り返し実行してもよい。特に、方法ステップa)及びb)は、反復的及び/又は連続的に実行してもよい。例えば、基準値は、較正センサからコントローラに連続的に送信することができる。
【0063】
方法ステップc)では、補正関数は、特に、コントローラの少なくとも1つのデータメモリに格納してもよい、これによって、例えば、以降の方法ステップにおいて補正関数を利用することができる。
【0064】
本発明の更なる側面では、被洗浄物を洗浄するための洗浄デバイスを提案する。洗浄デバイスは、少なくとも1つの状態変数を検出する少なくとも1つのセンサを備える。洗浄デバイスは、更に、少なくとも1つの較正センサへの電子接続を確立するためのインタフェースを備える。コントローラは、インタフェースを介して、洗浄デバイスの状態変数のセンサから独立して較正センサによって検出される少なくとも1つの基準値を受信するように設計されている。コントローラは、更に、基準値と、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値との比較を行い、比較に基づいて少なくとも1つの補正関数を調整し、更に、補正関数を使用して、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値を自動的に補正するように設計されている。
【0065】
洗浄デバイスは、特に、上述した改良の1つ以上に基づく方法を実行するように設計してもよい。したがって、洗浄のデバイス可能な改良については、上述の説明を参照することができる。
【0066】
洗浄デバイスは、特に、少なくとも1つの洗浄チャンバを有し、特に、洗浄チャンバ内の被洗浄物に少なくとも1つの洗浄流体、すなわち、液体状及び/又は気体状の洗剤を適用するように設計することができる。例えば、洗浄デバイスは、この目的のために1つ以上のノズルを備えていてもよい。洗浄チャンバは、1つの洗浄チャンバあってもよく、或いは、複数の洗浄チャンバを備えていてもよい。特に、洗浄チャンバは、洗浄トンネルを備えていてもよい。したがって、被洗浄物は、包括的に、洗浄チャンバ内で静止していてもよく、或いは、洗浄チャンバ内で運搬されてもよい。
【0067】
コントローラは、特に、少なくとも1つの洗浄プログラムを実行するように設計することができる。この場合、洗浄プログラムは、被洗浄物に対して様々な処理を行う一連のプログラムステップを意味する。例えば、洗浄プログラムは、予洗浄、主洗浄、殺菌、乾燥又はこれらのステップの2つ以上の組合せを含むことができる。なお、原理的に、他の改良も可能である。
【0068】
コントローラは、特に、洗浄プログラムの間に少なくとも1つの状態変数を検出し、及び/又は設定するように設計することができる。例えば、コントローラは、洗浄プログラムの間に洗浄チャンバ内及び/又は洗浄流体の温度を検出し、及び例えば、記録するように設計してもよい。これにより、上述したように、例えば、被洗浄物に適用された熱当量を検出することができる。なお、これに代えて又はこれに加えて、コントローラは、1つ以上の状態変数に意図された影響を与えるように設計してもよく、例えば、洗浄チャンバ内の温度及び/又は洗浄流体の温度が意図されたように調整されるように設計してもよい。例えば、コントローラは、温度及び/又は他の状態変数を設定値に調整するために適する較正手段を備えていてもよい。
【0069】
上述したように、洗浄デバイスは、原理的に、例えば、食器洗浄技術、特に業務用食器洗浄技術の分野又は器具洗浄の分野から選択することができる。特に、洗浄デバイスは、食器洗浄機、特に、業務用の食器洗浄機、好ましくはバッチ式食器洗浄機及び/又は運搬式食器洗浄機、及び屎尿を回収する容器を洗浄するための洗浄及び殺菌装置からなるグループから選択することができる。例えば、上述したDE 10 2007 025 263 A1には、洗浄及び殺菌装置及びバッチ式及び運搬装置食器洗浄機が記述されており、DE 10 2004 056 052 A1には、これらの洗浄デバイスの可能な改良が記述されており、これらを参照することができる。なお、原理的に、他の改良も可能である。
【0070】
本発明の更なる側面では、組立キットを提案する。本発明の範囲内では、組立キットは、キットとも呼ばれ、包括的に、原理的に独立し、個別に取扱うことができるが、本発明の範囲内で、相互に動作して組立キットの予め特定された目的を達成する2つ以上の要素の組合せを意味する。組立キットは、以下を含む。
*上述した1つ以上の改良に基づく洗浄デバイス。
*少なくとも1つの較正センサ。
【0071】
ここで、組立キットは、本発明に基づく方法を実行するように設計されている。
【0072】
本発明に基づく方法、洗浄デバイス及び組立キットは、従来の方法及び装置に対して多くの利点を有する。したがって、方法は、洗浄デバイスの製造時に実行してもよく、更に、例えば、実用又は現場使用におけるメンテナンス作業又は設置導入作業において実行してもよい。較正センサは、例えば、測定デバイス、例えば、1つ以上の開口を介して洗浄チャンバに挿入できるセンサを含む。更に、例えば、処置チャンバとも呼ばれる洗浄チャンバのプログラミング及び起動の後に、測定値を記録することができる業務用データロガーを使用することができる。そして、これらの記録をデータロガーによって呼び出し、コントローラに電子的に送信することができる。データロガーは、通常、完全にカプセル化された手法で設計してもよく、無線方式でラジオによって基地局及び/又はコントローラと通信することができる。データロガーは、例えば、温度データロガー又は圧力データロガーとして設計してもよい。他の物理的測定値、例えば、湿度のためのロガーも可能であり、市販されている。
【0073】
特に、ここに提案する方法によれば、間違いが生じやすい多くの複雑な手動ステップを回避することができる。例えば、特に、本発明の範囲内で、洗浄デバイスの制御システムへの手動干渉を回避でき、高レベルの時間的なコスト及び誤りが生じる可能性が大幅に削減される。この処理は、少なくとも大部分が自動化された手法で実行できる。
【0074】
特に、自動温度センサ検査及び/又は自動温度センサ較正又は、上述したように、自動熱当量確認、例えば、A0値確認を実行できる。この場合、包括的に、較正センサ又は較正センサシステムとして、独立した測定システムを使用することができる。例えば、上述したように、マシンのコントローラからのデータロガーを上述した較正目的のために使用することができる。較正センサとして動作する独立した測定システムは、複数の測定点のためのセンサを備えることができる。例えば、較正センサは、複数の測定点のための複数の個々のセンサを備えることができる。
【0075】
本方法を実行するための基礎は、洗浄デバイスの対応するコントローラハードウェア及び/又はコントローラソフトウェアに対応させることができ、これらは、完全に又は部分的にコントローラによって実現してもよく、少なくとも部分的に洗浄デバイスの他の構成部品に統合してもよい。したがって、洗浄デバイスは、安全指向で、本質的に安全な手法で設計することができる。
【0076】
上述したように、少なくとも1つの基準値は、様々な手法でコントローラに送信することができる。特に、送信は、ラジオ、例えば、ブルートゥース(登録商標)等のラジオプロトコルによって実行してもよい。送信プロトコルは、例えば、矛盾を回避するために少なくとも1つのタイムスタンプを含むことができる。更に、送信プロトコルは、それぞれ関連する測定データ及び/又は基準値と、更に、1つ以上の可能な制御コマンドとを含むことができる。送信プロトコルの更なる内容は、例えば、識別情報の1つ以上のアイテムあってもよい。したがって、包括的に、方法ステップb)の少なくとも1つの参照値に加えて、少なくとも1つの更なる情報のアイテム、例えば、時間情報のアイテム、特に、タイムスタンプ、制御コマンド及び識別情報のアイテムからなるグループから選択される少なくとも1つの情報の更なるアイテムを送信することができる。識別情報のアイテムは、例えば、各較正センサを識別することができ、したがって、例えば、複数の較正センサを使用することができる。識別情報のアイテムは、異なる較正センサの送信情報が混同されることを防止できる。更に、これに代えて又はこれに加えて、独立した測定システムとして設計することができ及び/又は上述した較正センサの一部を構成する個別の較正センサの較正が有効であることを保証する証明を示してもよい。
【0077】
上述したように、コントローラは、タイムスタンプを整合させるように設計することができる。コントローラは、更に、方法ステップa)及び/又はb)の1つ以上を完全に又は部分的に開始するように設計できる。例えば、コントローラは、較正測定を開始するように設計することができる。例えば、コントローラは、定義済みの装置識別番号を用いて、個々の値又は較正センサの一連の特定の品質の形式で温度測定をトリガすることができる。コントローラは、較正センサ、例えば、同じ装置識別番号を有する独立した温度測定システムから、測定データ、特に、1つ以上の基準値を受信し、例えば、タイムスタンプに基づいて、確実性を確認するように設計してもよい。コントローラは、更に、少なくとも1つの較正センサ及び洗浄デバイスに統合されている少なくとも1つのセンサの測定データから対応する評価を実行するように設計してもよく、この評価については、補正関数の較正として包括的に上述したものであってもよい。例えば、1つ以上のセンサの形式で洗浄デバイスに統合されている測定チェーンの機能を確認してもよく、或いはこのようにして、故障を特定してもよい。この機能は、包括的に、診断機能と呼ぶことができる。更に、これに代えて又はこれに加えて、測定チェーンのために要求される補正値を算出し、及び統合された測定チェーンの測定値を実測値に適応化するためのパラメータを生成/変更することができ、すなわち、温度測定チェーンを較正することができる。
【0078】
評価及びこれに派生する処置は、洗浄デバイスのコントローラの内部に保存してもよい。包括的に、評価、検査記録及び/又は状態及び診断データは、無線又は有線方式で、コントローラから適切な端末デバイスに送信することができる。
【0079】
少なくとも1つの較正センサによって、例えば、ラジオ温度ロガーによって、例えば、統合された測定チェーンについて、洗浄デバイスの少なくとも1つのセンサをチェックすることは、従来の方法に比べて多くの利点がある。特に、このチェックは、他のハードウェア及び/又はソフトウェア設備を使用することなく行うことができる。特に、このチェックは、更なる装置、例えば、ラップトップコンピュータ、コンピュータ又はこれに類するデバイスなしで実行することができる。この点で、本発明に基づく方法を実施するための設備の費用を低く抑えることができる。
【0080】
更に、較正測定は、特に、特別な温度較正器、水槽又は同様の設備についての追加的な設備投資を必要とすることなく実行できる。本方法に基づく較正は、特に、洗浄デバイスの設置状態で洗浄デバイスのセンサをチェックすることができ、したがって、実際の状態、すなわち、これらのセンサの測定チェーンの実際の配線、回路及び設計をもチェックすることができる。この結果、チェックが機能すれば、最大限の正確性及び安全性が達成される。更に、通常、センサを分解し、センサを個別にチェックするために必要な費用をなくすことができ、又は少なくとも削減することができる。
【0081】
組立後及び/又は現場で可能な修理又はメンテナンス作業の後に、市販のデータロガー、例えば、市販の熱ロガーのみを用いて、検査リグ上で洗浄デバイスを機能的にチェックすることもできる。自動較正の間、例えば、データロガーによる較正センサの測定値の更なる使用のために、ユーザ及び/又はメンテナンス担当者の側には、更なる作業が実質的に不要である。
【0082】
したがって、洗浄デバイスの製造の間及び/又は現場のメンテナンスの間に上述した方法を適用することによって、測定の精度を犠牲にすることなく、費用効率がよく、信頼度が高い方法を実現でき、すなわち、設備及び取扱い作業に関する比較的低いコストで全てのセンサ測定チェーンをチェック及び較正できる。
【0083】
1つの較正処理で、例えば、洗浄デバイスのコントローラによって同時に又は順次的にアドレス指定できる複数の較正センサを有する少なくとも1つの較正センサによって、洗浄デバイスの複数のセンサをチェックし、整合させることができる。これに代えて又はこれに加えて、コントローラは、例えば、洗浄デバイスの異なる位置に順次、較正センサを移動させ及び/又は異なる点に較正センサを配置するようにメンテナンス担当者に指示を出し及び/又は促す較正ソフトウェアを含んでいてもよい。これによって、高度な柔軟性が実現され、このような取扱いに関する較正処理の信頼度を高めることができる。
【0084】
上述したように、本発明は、温度センサを較正することに限定されない。1つ以上の温度センサに代えて又はこれに加えて、1つ以上の他のタイプのセンサ、例えば、1つ以上の圧力センサ及び/又は1つ以上の湿度センサを較正し、及び特に整合させることができる。
【0085】
要約すると、本発明の範囲内で、以下の実施形態が特に好ましい。
【0086】
実施形態1:少なくとも1つの状態変数を検出する少なくとも1つのセンサを備える洗浄デバイスを較正する方法において、
a)洗浄デバイスのセンサから独立して、少なくとも1つの較正センサによって、少なくとも1つの状態変数を検出し、少なくとも1つの基準値を判定する較正測定を行うステップと、
b)較正センサと、洗浄デバイスのコントローラとの間に電子接続を確立し、基準値をコントローラに電子的に送信するステップと、
c)基準値と、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値とを比較し、比較に基づいて少なくとも1つの補正関数を調整するステップであって、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値は、補正関数を使用して自動的に補正されるステップとを含む方法。
【0087】
実施形態2:方法ステップb)は、自動的に実行される実施形態1に基づく方法。
【0088】
実施形態3:方法ステップc)は、自動的に実行される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0089】
実施形態4:方法ステップc)において、基準値と、センサの少なくとも1つの測定値との比較の間、基準値と測定値の少なくとも1つの差を算出し、補正関数は、差をオフセットとして含み、オフセットは、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値から自動的に減算され、又は洗浄デバイスのセンサの未来の測定値に自動的に加算される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0090】
実施形態5:方法ステップc)において、基準値と、センサの少なくとも1つの測定値との比較の間、基準値と測定値の少なくとも1つの商を算出し、補正関数は、補正係数として商又は商の逆数を含み、補正係数は、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値に自動的に乗算される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0091】
実施形態6:前記状態変数は、温度、特に、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の温度及び/又は少なくとも1つの洗浄流体の温度、圧力、特に、洗浄デバイスの洗浄チャンバ内の圧力、洗浄デバイスの洗浄チャンバの湿度内の湿度、体積流量及び/又は質量流量、特に、洗浄デバイスのラインシステムの一部の体積流量及び/又は質量流量からなるグループから選択される少なくとも1つの変数を含む上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0092】
実施形態7:方法ステップb)における電子的送信は、電子形式でのみでの送信を含む上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0093】
実施形態8:方法ステップb)は、少なくとも1つの電子インタフェースを介して実行される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0094】
実施形態9:方法ステップb)は、無線接続、特にラジオ接続によって実行される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0095】
実施形態10:方法ステップb)で使用されるインタフェースは、赤外線インタフェース、WLANインタフェース及びブルートゥース(登録商標)インタフェースからなるグループから選択される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0096】
実施形態11:方法ステップb)は、ドッキングステーションを用いて実行され、較正センサをドッキングステーションに接続し、較正センサからドッキングステーションに基準値を送信する電子接続を確立し、ドッキングステーションによって基準値をコントローラに送信する上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0097】
実施形態12:較正センサは、少なくとも1つのデータメモリを備え、複数の基準値を検出し、これらの複数の基準値をデータメモリに保存するように設計されている上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0098】
実施形態13:複数の基準値は、基準値の時間的シーケンスを含む実施形態12に基づく方法。
【0099】
実施形態14:較正センサは、更に、複数の基準値のそれぞれについて、基準値が検出された時点をデータメモリに保存するように設計されている実施形態12又は13記載の方法。
【0100】
実施形態15:コントローラは、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値に加えて、測定値が検出された少なくとも1つの時点を登録し、測定値が検出された時点と、基準値が検出されれた時点とを比較するように設計されている実施形態14記載の方法。
【0101】
実施形態16:較正センサは、複数の基準値をコントローラに送信するように設計されている実施形態12乃至15何れかに記載の方法。
【0102】
実施形態17:方法ステップc)において、基準値と測定値の比較の間に、予め定義された許容範囲からの逸脱が確認されると、警告を生成する上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0103】
実施形態18:方法ステップc)において、基準値及び測定値の比較の間に、逸脱が予め定義された異常なし範囲内であることが確認されると、異常なしメッセージを出力する何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0104】
実施形態19:較正センサは、外部からのエネルギ供給なしで独立して動作するカプセル化された較正センサである上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0105】
実施形態20:較正センサは、データロガーである上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0106】
実施形態21:方法ステップa)を実行する前に、以下の方法ステップを含む上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0107】
d)予め定義された規格に基づいて較正センサを較正する較正処理を実行するステップ。
【0108】
実施形態22:方法ステップd)における較正処理を実行するために較正器を使用し、較正器は、較正処理の間に較正センサによって検出される状態変数を定義済みの値に設定するように設計されている実施形態21に基づく方法。
【0109】
実施形態23:方法ステップc)を実行した後に、以下の方法ステップを更に実行する上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0110】
e)較正センサとコントローラの間の電子接続を切断するステップ。
【0111】
実施形態24:方法ステップe)を実行した後に、以下の方法ステップを更に実行する実施形態23に基づく方法。
【0112】
f)補正関数を考慮して、コントローラによって制御される少なくとも1つの洗浄プログラムを実行して、洗浄デバイスによって、被洗浄物を洗浄するステップ。
実施形態25:状態変数は、少なくとも1つの温度を含み、洗浄デバイスは、洗浄プログラムの間に、温度を考慮して、被洗浄物上の熱衛生効果を監視し、方法ステップc)は、熱衛生効果のための補正関数の較正を含む上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0113】
実施形態26:方法ステップa)及びb)を反復的及び/又は連続的に実行する上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0114】
実施形態27:方法ステップc)において、補正関数は、コントローラのデータメモリに格納される上記何れか1つの実施形態に基づく方法。
【0115】
実施形態28:被洗浄物を洗浄する洗浄デバイスであって、少なくとも1つの状態変数を検出する少なくとも1つのセンサを備え、少なくとも1つのコントローラを更に備え、コントローラは、少なくとも1つの較正センサへの電子接続を確立する少なくとも1つのインタフェースを有し、コントローラは、インタフェースを介して、洗浄デバイスの状態変数のセンサから独立して、較正センサによって検出される少なくとも1つの基準値を受信するように設計されており、コントローラは、更に、基準値と、洗浄デバイスのセンサの少なくとも1つの測定値との比較を行い、比較に基づいて少なくとも1つの補正関数を調整し、更に、補正関数を使用して、洗浄デバイスのセンサの未来の測定値を自動的に補正するように設計されている洗浄デバイス。
【0116】
実施形態29:洗浄デバイスは、少なくとも1つの洗浄チャンバを有し、洗浄チャンバ内の被洗浄物に少なくとも1つの洗浄流体を適用するように設計されている実施形態28に基づく洗浄デバイス。
【0117】
実施形態30:コントローラは、少なくとも1つの洗浄プログラムを実行するように設計されている上記洗浄デバイスに関する実施形態の何れかに1つに基づく洗浄デバイス。
【0118】
実施形態31:コントローラは、洗浄プログラムの間に状態変数を検出及び/又は設定するように設計されている実施形態30に基づく洗浄デバイス。
【0119】
実施形態32:洗浄デバイスは、食器洗浄機、容器洗浄機、殺菌洗浄機、屎尿を回収する容器を洗浄するための洗浄及び殺菌装置からなるグループから選択される上記洗浄デバイスに関する実施形態の何れかに1つに基づく洗浄デバイス。
【0120】
実施形態33:上記洗浄デバイスに関する実施形態の何れかに1つに基づく洗浄デバイスと、
少なくとも1つの較正センサとを備え、
上記方法に関する実施形態の何れかに1つに基づく方法を実現するように設計されている組立キット。
【0121】
本発明の更なる任意の特徴及び実施形態は、好ましくは従属請求項に関連する、好ましい実施形態の説明によって更に詳細に開示される。ここで、任意の特徴のそれぞれは、独立した形式で実現してもよく、当業者にとって明らかな可能な任意の如何なる組合せによって実現してもよい。本発明の範囲は、例示的な実施形態によっては制限されない。これらの実施形態は、図面において図式的に表されている。これらの図面において、同一の符号は、同一又は機能的に等価な要素を示している。