【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の例示の実施形態によれば、刺激リード線装置は、リード線への複数のポートを含むプログラミングソース、例えば、埋込みパルス発生器(IPG)に接続された複数のリード線を含み、ここで、リード線は多くの電極を含む。例示の実施形態において、配置は、リード線及び電極の特定のものを選択するためのマルチプレクサを更に含む。電極又はその少なくとも一部分は、リード線を埋込む患者の解剖学的領域、例えば脳を刺激するために電気パルスを放出するように制御可能である。これに加えて、電極又はその少なくとも一部分は、例示の実施形態によれば、刺激の効果を感知するためのセンサとして使用可能である。多くのリード線及び電極の包含に起因して、電極は、刺激及び感知が多くの位置で実施される多くの異なる位置に置くことができ、それによって多くの情報を蓄積することができ、それに基づいて、システムは、例示の実施形態によれば、影響を受けた神経変調部位に刺激部位及びそれらの対応する刺激パラメータを関連付ける患者特有相互作用モデルを生成する。例えば、システムは、電極を制御して刺激を行い、電極からセンサ読取値を取得し、センサ読取値に従って刺激パラメータを修正する。システムは、複数のそのような印加された刺激にわたって取得されるセンサ情報を使用して患者特有相互作用モデルを生成及び/又は更新する。更に、例示の実施形態において、システムは、以前の刺激の効果を示すセンサ情報に従って更新された患者特有相互作用モデルに基づいて刺激パラメータを修正する。しかし、以下に説明するように、患者特有相互作用モデルは、これに代えて又は補足として、トラクトグラフィーマッピングのような他の入力に基づいて生成することができる。
【0015】
更に、本発明は、複数の解剖学的位置に位置決めされた多くの埋込み電極を有するシステムが過度に扱いにくくないようにパラメータ選択を簡素化する例示の方法を提供する。例えば、システムは、ユーザが神経変調効果領域での望ましい結果を選択することができるモデルを使用し、システムは、ユーザが多数の電極の各々に対してパラメータを選択する必要がないように、実施する特定の電極と、それらの電極に対して使用する特定の設定値とを選択する。すなわち、マッピングは、多くの電極を含むそのようなシステムの実施を考慮するものである。
【0016】
本発明の例示の実施形態は、神経系の複数の部位で同時に刺激かつ感知するように構成された感知及び刺激システムを提供する。システムは、刺激が生又は処理済み感知情報に応答するものである開ループモード又は閉ループモードのいずれかで刺激が行われるように構成される。システムは、1又は2以上の解剖学的領域、組織、及び/又は構造を刺激するための1又は2以上のモジュールを含む。1又は2以上のモジュールは、同時に複数の感知部位において感知し、かつ1又は2以上の刺激部位を刺激するように構成される。
【0017】
例示の実施形態によれば、システムは、患者の状態及び/又はシステムの状態を決定するためのセンサ情報及び/又はユーザ入力を取得し、かつ刺激情報と共同してそのような情報に基づいて、影響を受けた神経変調部位に刺激部位及び関連の刺激パラメータを関連付ける本明細書では患者特有相互作用モデルとも呼ぶ伝達関数を生成するように構成される。
【0018】
例えば、例示の実施形態によれば、システムは、1つの刺激パラメータセット又は複数の刺激パラメータセットで1つずつ複数の解剖学的部位を刺激する。各そのような刺激に対して、システムは、センサから及び/又は患者に対するそれぞれの刺激の効果に関するユーザ入力情報から取得される情報を使用し、それによって、影響を受けた神経変調部位に対する刺激部位の相関関係を学習し、そのような相関関係は、特定の刺激部位に対して影響を受ける神経変調部位(例えば、それらは異なる刺激パラメータに対して異なる可能性がある)を予想する患者特有相互作用モデルを形成する。システムは、1又は2以上のターゲットにされた神経変調領域のユーザ入力に応答して、相互作用モデルを使用してその後に推奨刺激部位(及び刺激パラメータ)を出力するように構成される。例えば、既知の伝達関数に基づいて、システムは、推奨される1又は2以上の刺激部位と、刺激部位とは異なる場合がある1又は2以上のターゲット部位で神経変調を達成するための1又は2以上のパラメータセットとを決定する最適化アルゴリズム使用する。例えば、例示の実施形態によれば、システムは、初期候補を取得するために相互作用モデルの線形拡張性を最初に仮定し、次に、いずれかの適切に妥当な最適化、例えば、勾配降下最適化アルゴリズムを使用して候補選択を精緻化する。
【0019】
例示の実施形態によれば、システムは、1又は2以上の部位を刺激し、かつ複数の部位で同時又は順番のいずれかで感知するように構成され(例えば、局所電界電位(LFP)、個々のニューロンでの活動電位、平均発射率、特定周波数帯域での電力)、例示の実施形態によれば、システムは、複数の部位での感知に基づいて1又は2以上の部位での刺激を修正するように構成される。てんかんは、感知に応答する刺激が価値を有するように示された最適な適応症のうちの1つである。脊髄刺激(SCS)では、感知はまた、患者に対する振幅を管理するための価値(Saluda/NICTA)を有するように示されている。臨床評価が行われており、本発明によるシステムは、そのような感知における更に別の価値を決定するための評価を行うのを補助することができる。具体的には、例示の実施形態は、強化された閉ループ作動を提供する複数の部位での感知、及び/又は上述のような感知活動電位、平均発射率、及び/又は周波数帯域特定電力の使用を提供する。
【0020】
例示の実施形態において、システムは、1又は2以上の刺激部位での刺激による影響を受けると予想される神経系の区域及び/又は構成要素を視覚化する(及び/又はそのリストを出力する)ためのモジュールを更に含む。モジュールは、システムモデルに基づいて予想部位を決定するように構成される(モデルは、患者特有X線画像データ、地図状モデル、システムによって測定された時の刺激に対する誘発応答から導出される情報、類似のデータから平均患者モデルに編成された情報、又はPET、MRI、又は他の機能的画像データから導出される情報から導出することができる)。
【0021】
システムは、例示の実施形態によれば、相互作用モデルの自動決定のためのアルゴリズムと、ユーザ定義の刺激目標、例えば、区域X及びYの刺激、並びに特定の目標を達成するようなA及びBの抑制(観察された兆候(例えば、LFP、平均発射率、その他)に応答して開ループ又は閉ループ)のための刺激ソリューションを自動的に導出するアルゴリズムとを含む。更にこれに関して、ユーザ入力目標は、ある一定の神経変調効果を生じること、及び/又は1又は2以上の領域で神経活動を低減することである可能性がある。例えば、センサは、1又は2以上の領域で神経活動を感知することができると考えられ、臨床医が入力することができるこの神経活動は、低減されるべきである。次に、システムは、最適化アルゴリズムを使用して、どの1又は2以上の領域で刺激を行うか、どの刺激パラメータを使用して示された部位で示された神経変調を最も効果的に達成し、かつ示された神経効果を最も効果的に低下させるか(例えば、示された領域で)を出力する。
【0022】
更に、システムは、高度に拡張可能であり、すなわち、複合多点神経系(ほとんどの神経系は、このタイプのものである)と相互作用するように、かつ神経系との時空相互作用の進歩に応答して新しい及び改善された治療のために使用することができる。
【0023】
本発明の例示の実施形態によれば、リード線は、16よりも多い電極を含み、システムは、そのようなリード線を使用して刺激を制御するように構成される。例示の実施形態によれば、システムは、何百もの電極を提供し、制御し、かつモニタするように拡張可能である。
【0024】
例示の実施形態によれば、システムは、臨床医が複合刺激プログラムを調節するのを助けることができる神経系視覚化支援を提供する。
【0025】
本発明の実施例により、コンピュータ実施方法は、患者の神経変調効果領域を選択するユーザ入力をコンピュータプロセッサによって受信する段階と、入力に応答して、選択された神経変調効果領域にプロセッサによってマッピングされ、かつそこから距離を置いた少なくとも1つのターゲット解剖学的刺激候補領域を少なくとも部分的に取囲む組織活性化容積を埋込まれた電極リード線に印加された時に生成するようにプロセッサによって推定された電極神経変調設定をプロセッサによって決定する段階とを含む。
【0026】
本方法の例示の態様により、リード線は、患者の脳に埋込まれる。これに代えて又はこれに加えて、少なくとも1つのターゲット解剖学的刺激候補領域は、複数の個別の領域を含む。これに代えて又はこれに加えて、ユーザ入力は、神経活動が低下されるべき領域として神経変調効果領域を指定する。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づく。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づく。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、患者に特定であり、かつ以前の神経変調に対する患者による前の応答を示す応答情報に基づく患者特有マッピングを含む。
【0027】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、選択された神経変調効果領域は、ユーザ入力によって選択された複数の神経変調効果領域のうちの1つであり、決定する段階は、複数の神経変調効果領域で選択された治療効果を生じるようにリード線の1又は2以上の電極に分配されるべき1又は2以上のセットの神経変調設定値を決定する段階を含む。
【0028】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、プロセッサによって実行されるマッピングは、モデル内で神経変調効果領域にマッピングされたモデル化刺激パラメータから新しい刺激パラメータを外挿することによって実行され、この刺激パラメータは、選択された神経変調効果領域で選択された効果を生じるようにプロセッサによってかつモデルに基づいて推定され、選択された神経変調効果領域での選択された効果は、モデル内でマッピングされない。
【0029】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、マッピングを生成する段階を更に含み、マッピングの生成は、それぞれの複数のセットの神経変調設定値での複数の神経変調を実行する段階と、神経変調の少なくともサブセットの各々に対して、それぞれの1又は2以上の解剖学的領域で発生する少なくとも1つの神経変調効果を記録する段階とを含み、1又は2以上の解剖学的領域は、それぞれの神経変調によって活性化されたとプロセッサによって推定された組織のそれぞれの1又は2以上の刺激領域にプロセッサによって応答的にマッピングされる。
【0030】
直前の態様の例示の更に別の態様により、マッピングは、患者特有マッピングであり、複数の神経変調は、患者に対して実行される。
【0031】
2つの直前の態様のうちのいずれかの例示の更に別の態様により、神経変調効果の少なくとも一部は、リード線の電極によって感知される。
【0032】
直前の態様の例示の更に別の態様により、複数の神経変調は、神経変調効果の少なくとも一部を感知した電極とは異なるリード線の電極によって実行される。これに代えて、リード線の電極の少なくともサブセットの各々は、神経変調を実行して神経変調の効果を感知するその両方を行うように構成される。
【0033】
神経変調効果がそれに従って記録される先行態様のうちのいずれかの例示の更に別の態様により、神経変調効果の少なくとも一部は、ユーザによって入力される。
【0034】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、リード線は、16よりも多い電極を含み、リード線は、リード線の32の電極に電気刺激パルスを同時に出力させるように構成された埋込み式パルス発生器を通じて制御され、及び/又はリード線は、複数のリード線の32の電極に電気刺激パルスを同時に出力させるように構成された埋込み式パルス発生器を通じて全て制御される複数のリード線のうちの1つである。
【0035】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、埋込まれたリード線の電極を決定された設定値に従って神経変調治療を実行するように制御する段階と、電極からセンサ読取値を取得する段階と、センサ読取値に応答して刺激設定値を修正する段階とを更に含む。
【0036】
直前の態様の例示の更に別の態様により、本方法は、臨床状態の複数のユーザ入力を経時的に受信する段階と、ユーザ入力臨床状態を臨床状態がそれぞれ対応する時間に電極によって感知された生体電位特徴にプロセッサによって相関させる段階とを更に含む。更に、設定値がそれに応答して修正されるセンサ読取値は、それぞれの生体電位特徴を示し、修正は、相関関係に基づく。
【0037】
センサ読取値に応答して刺激設定値がそれに従って修正される態様の例示の更に別の態様により、センサ読取値は、修正が平均発射率に基づくものである神経要素の平均発射率を示し、指定された周波数帯域での電力読取値であり、及び/又は局所電界電位のものである。
【0038】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、リード線は、複数のリード線のうちの1つであり、リード線の各々は、埋込み式パルス発生器(IPG)によって制御される少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、埋込み式パルス発生器(IPG)は、複数のポートを含み、少なくとも1つのマルチプレクサが、ポートのそれぞれの1つと複数のリード線のうちの1つよりも多いもののそれぞれのサブセットとの間に設けられ、このマルチプレクサは、複数のリード線のうちの1つよりも多いもののサブセットの間でそれぞれのポートからの信号のその電極への印加に対して選択するように構成され、信号は、リード線のサブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスをその電極に生成させる。
【0039】
本発明の実施例により、コンピュータ実施方法は、埋込まれたリード線の電極を1組の刺激パラメータに従って神経変調治療を実行するように制御する段階と、電極からセンサ読取値を取得する段階と、センサ読取値に応答して刺激パラメータを修正する段階とを含む。
【0040】
本方法の例示の態様により、本方法は、臨床状態の複数のユーザ入力を経時的に受信する段階と、臨床状態がそれぞれ対応する時間にユーザ入力臨床状態を電極によって感知される生体電位特徴にプロセッサによって相関させる段階とを更に含む。更に、刺激パラメータがそれに応答して修正されるセンサ読取値は、それぞれの生体電位特徴を示し、修正は、相関関係に基づく。
【0041】
直前の態様と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、複数の状態のユーザ入力と、複数の状態の各々に対して、状態のうちの少なくとも1つが非埋込みセンサの読取値によって定められるそれぞれの状態の感知に応答して印加されるべきそれぞれのセットの刺激パラメータとを受信する段階と、リード線の電極の読取値を非埋込みセンサの読取値にプロセッサによって時間的に相関させる段階と、リード線の電極の読取値に従って状態のうちの少なくとも1つの定義を状態の代替定義でプロセッサによって置換する段階であって、上記修正する段階が代替定義に基づいて実行される上記置換する段階とを更に含む。
【0042】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、修正は、それぞれの複数の解剖学的位置に位置決めされた複数の電極のセンサ読取値に基づく。
【0043】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、神経要素の平均発射率を示し、修正は、平均発射率に基づく。
【0044】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、指定された周波数帯域での電力読取値を含む。
【0045】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、局所電界電位の読取値を含む。
【0046】
本発明の例示の実施形態によれば、刺激システムは、複数のポートを含む埋込み式パルス発生器(IPG)と、少なくとも1つのそれぞれの電極を各々が含む複数のリード線と、ポートのそれぞれの1つと複数のリード線のうちの1つよりも多いもののそれぞれのサブセットとの間の少なくとも1つのマルチプレクサとを含み、このマルチプレクサは、複数のリード線のうちの1つよりも多いもののサブセットの間でそれぞれのポートからの信号のその電極への印加に対して選択するように構成され、信号は、リード線のサブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスをその電極に生成させる。
【0047】
本明細書に説明する様々な構成要素及び方法は、各単独で又は様々な組合せに実施され、及び/又は提供することができる。
【0048】
本発明の例示の実施形態は、単独又は組合せで本明細書に説明する方法のいずれかを実行するのに例えば任意の従来のメモリデバイスを含むハードウエアコンピュータ可読媒体上に設けられたコードを実行するために任意の従来の処理回路及びデバイス又はその組合せ、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)の中央演算処理ユニット(CPU)又は他のワークステーションプロセッサを使用して実施する、ことができるプロセッサに関する。メモリデバイスは、任意の従来の恒久的及び/又は一時的メモリ回路又はその組合せを含むことができ、その非網羅的リストは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び磁気テープを含む。
【0049】
本発明の例示の実施形態は、本明細書に説明する方法を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を格納した例えば上述のようなハードウエアコンピュータ可読媒体に関する。
【0050】
本発明の例示の実施形態は、本明細書に説明する方法を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を伝達する例えばハードウエア構成要素又は機械の方法に関する。