特許第6352416号(P6352416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイションの特許一覧

特許6352416システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール
<>
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000002
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000003
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000004
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000005
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000006
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000007
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000008
  • 特許6352416-システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352416
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】システムレベル相互作用モデルを用いる神経系の刺激及び感知のためのシステム、方法、及び視覚化ツール
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A61N1/372
【請求項の数】18
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-531002(P2016-531002)
(86)(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公表番号】特表2017-500911(P2017-500911A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】US2014064966
(87)【国際公開番号】WO2015073411
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/904,248
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/058,131
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】モフィット マイケル エイ
(72)【発明者】
【氏名】カルブナル ラファエル
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/054612(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/057046(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実施される方法であって、
患者の神経変調効果領域及び治療効果を選択するユーザ入力をコンピュータプロセッサによって受信する段階と、
前記ユーザ入力に応答して、電極神経変調設定を前記コンピュータプロセッサによって推定する段階と、を含み、前記電極神経変調設定は、それが埋込み済みの電極リード線に適用されたときに、選択された前記神経変調効果領域に前記コンピュータプロセッサによってマッピングされている少なくとも1つの刺激部位を含む組織活性化容積を生成するためのものであり、前記刺激部位は、選択された前記神経変調効果領域から或る距離のところにあり、前記電極神経変調設定は、それが埋込み済みの電極リード線に適用されたとき、選択された治療効果を、選択された前記神経変調効果領域で生じさせ、
前記少なくとも1つの刺激部位は、複数の個別の部位を含み、及び/又は、前記ユーザ入力は、前記神経変調効果領域を、神経活動が低下されるべき領域として決定し、及び/又は、前記マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づき、及び/又は、前記マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づき、及び/又は、前記マッピングは、前記患者に特有であり且つ以前の神経変調に対する前記患者による以前の応答を指示する応答情報に基づく患者特有マッピングを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの刺激部位は、複数の個別の部位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ入力は、前記神経変調効果領域を、神経活動が低下されるべき領域として決定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づく、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づく、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記マッピングは、前記患者に特有であり且つ以前の神経変調に対する前記患者による以前の応答を指示する応答情報に基づく患者特有マッピングを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
選択された前記神経変調効果領域は、前記ユーザ入力によって選択された複数の前記神経変調効果領域のうちの1つであり、
前記推定する段階は、選択された前記治療効果を前記複数の神経変調効果領域で生じさせるように前記電極リード線の1又は2以上の電極に分配されるべき1又は2以上の神経変調設定セットを推定する段階を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電極リード線は、16よりも多い電極を含み、及び/又は、
前記電極リード線は、埋込み式パルス発生器を介して制御され、前記埋込み式パルス発生器は、複数の前記電極リード線の32の電極が電気刺激パルスを同時に出力するように構成され、及び/又は、
前記電極リード線は、埋込み式パルス発生器を介して全てが制御される複数のリード線のうちの1つであり、前記埋込み式パルス発生器は、前記複数のリード線の32の電極が電気刺激パルスを同時に出力するように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電極リード線は、複数の前記電極リード線のうちの1つであり、前記電極リード線の各々は、埋込み式パルス発生器(IPG)によって制御される少なくとも1つの電極を含み、前記埋込み式パルス発生器(IPG)は、複数のポートを含み、
少なくとも1つの多重化モジュールが、前記ポートの各々とそれに対応する前記複数の電極リード線のうちの2つ以上のサブセットとの間に位置し、前記多重化モジュールは、前記複数の電極リード線のうちの2つ以上のサブセットのうちの電極リード線を選択して、前記ポートからの信号を前記電極リード線の電極に適用させるように構成され、前記信号により、前記電極リード線の電極は、前記サブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスを生じさせる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータによって実施される方法であって、
患者の神経変調効果領域及び治療効果を選択するユーザ入力をコンピュータプロセッサによって受信する段階と、
前記ユーザ入力に応答して、電極神経変調設定を前記コンピュータプロセッサによって推定する段階と、を含み、前記電極神経変調設定は、それが埋込み済みの電極リード線に適用されたときに、選択された前記神経変調効果領域に前記コンピュータプロセッサによってマッピングされている少なくとも1つの刺激部位を含む組織活性化容積を生成するためのものであり、前記刺激部位は、選択された前記神経変調効果領域から或る距離のところにあり、前記電極神経変調設定は、それが埋込み済みの電極リード線に適用されたとき、選択された治療効果を、選択された前記神経変調効果領域で生じさせ、
前記電極リード線は、前記患者の脳に埋込まれるものであり、及び/又は、前記少なくとも1つの刺激部位は、複数の個別の部位を含み、及び/又は、前記ユーザ入力は、前記神経変調効果領域を、神経活動が低下されるべき領域として決定し、及び/又は、前記マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づき、及び/又は、前記マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づき、及び/又は、前記マッピングは、前記患者に特有であり且つ以前の神経変調に対する前記患者による以前の応答を指示する応答情報に基づく患者特有マッピングを含む、方法。
【請求項11】
前記電極リード線は、前記患者の脳に埋込まれるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの刺激部位は、複数の個別の部位を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザ入力は、前記神経変調効果領域を、神経活動が低下されるべき領域として決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記マッピングは、前記患者に特有であり且つ以前の神経変調に対する前記患者による以前の応答を指示する応答情報に基づく患者特有マッピングを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
選択された前記神経変調効果領域は、前記ユーザ入力によって選択された複数の前記神経変調効果領域のうちの1つであり、
前記推定する段階は、選択された前記治療効果を前記複数の神経変調効果領域で生じさせるように前記電極リード線の1又は2以上の電極に分配されるべき1又は2以上の神経変調設定セットを推定する段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記コンピュータプロセッサによる前記マッピングは、新しい刺激パラメータを、モデルにされた複数の刺激パラメータから外挿することによって実行され、前記刺激パラメータは、前記モデルにおいて複数の神経変調効果領域にマッピングされ、且つ、選択された効果を選択された前記神経変調効果領域のところで生じさせるように前記コンピュータプロセッサによって前記モデルに基づいて推定され、選択された前記神経変調効果領域における選択された前記効果は、前記モデルにおいてマッピングされない、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の側面は、刺激が感知信号に応答するようにプログラマブルである埋込みリード線の電極による感知及び解剖学的刺激のためのシステム及び方法に関する。本発明の側面は、患者特有相互作用モデルを生成し、刺激部位及び神経変調部位を含む刺激パラダイム間の関係を決定し、ある状態への感知された変化に応答して刺激目標及びパラダイム(paradigms)を動的に変更し、及び/又は候補刺激部位と影響を受けた解剖学的領域の間の相関関係の視覚表現を出力するためのシステムに関する。本発明の側面は、刺激を行い、かつ刺激の効果に関するデータの入力を感知又は受信して、ユーザによって選択された部位で神経変調を引き起こすためのかつ候補刺激部位と影響を受けた神経変調部位の間の関係の視覚的マッピングを出力するための刺激すべき部位を決定するためにシステムによって使用可能な患者特有相互作用モデルを生成するように構成されたシステムに関する。本発明の側面は、候補刺激部位とリード線の異なる配置に対して影響を受ける神経変調部位との間の様々な関係を示し、リード線のための最適埋込み部位を手術前に決定するためのユーザによる使用のために出力される患者特有相互作用モデルをリード線の埋込み前にトラクトグラフィー(tractography)解析に基づいて生成することに関する。システムは、臨床用途と解析及び科学的調査との両方に対して使用可能である。本発明は、これによりその内容全体が本明細書に引用によって全体的に組み込まれる特許文献1として公開された特許文献2の主題に更に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の解剖学的領域の刺激は、疾患の処置に対する臨床的技術である。そのような刺激は、脳深部刺激(DBS)、脊髄刺激(SCS)、後頭NS治療、三又神経NS治療、周囲視野刺激治療、仙髄根刺激治療、又は他のそのような治療を含むことができる。例えば、脳深部刺激(DBS)は、視床又は基底核の電気刺激を含む場合があり、本態性振戦、パーキンソン病(PD)、及びジストニア、並びに他の生理障害のような運動障害のような疾患を処置するために使用する場合がある。脳深部刺激(DBS)はまた、外傷性脳損傷及び卒中に有用である場合がある。脳深部刺激(DBS)はまた、抑鬱症、肥満、てんかん、及び強迫性障害、トゥーレット症候群、統合失調症、及び他の適応症を処置するのに有用である場合がある。
【0003】
脳深部刺激(DBS)のような刺激手順は、典型的には、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナデバイス、磁気共鳴撮像(MRI)デバイス、又はいずれかの他の画像診断法などを使用して患者の脳の手術前画像を最初に取得することを伴う。これは、画像診断法によって生成される画像上で見える球状又は他の基準マーカを患者の頭蓋骨に最初に固定することを伴う場合がある。基準マーカは、後の外科的手順中に手術室で患者の実際の物理的位置に手術前画像を位置合わせするのを補助する。
【0004】
手術前画像を画像診断法によって取得した後に、次に、それらは、画像支援式手術(IGS)ワークステーションの上にロードされ、画像支援式手術(IGS)ワークステーション上に表示された手術前画像を使用して、神経外科医は、患者生体構造内、例えば、脳内のターゲット領域と、例えば、患者の頭蓋骨上の進入点と、進入点とターゲット領域の間の望ましい軌道とを選択することができる。進入点及び軌道は、典型的には、ある一定の近くの重要な構造又は血管系を交差又はそうでなければ損傷するのを避けるために注意深く選択される。
【0005】
手術室において、医師は、患者の頭蓋骨上の進入点をマーク付けし、その位置に穿頭孔を穿孔し、穿頭孔の回りに軌道ガイドデバイスを固定する。軌道ガイドデバイスは、ターゲット領域への望ましい軌道を取得するために視準することができるボアを含む。視準した後に、軌道ガイドは、視準した軌道をターゲット領域に向けて保つようにロックされ、次に、マイクロドライブ導入器を使用して、例えば脳のターゲット領域に向けて軌道に沿って手術器具を挿入する。手術器具は、取りわけ、例えば脳の固有電気信号を記録するための記録電極リード線、例えば脳のターゲット領域に電気エネルギを提供するための刺激電極リード線、又は例えば脳のターゲット領域に向けて主な器具をステアリングするための関連の補助ガイドワイヤ又はガイドカテーテルを含むことができる。
【0006】
複数の密接に離間して電気的に独立した刺激電極接点を典型的に含む刺激電極リード線は、次に、刺激のターゲットにされた組織に近接して導入かつ位置決めされ、例えば脳のターゲット領域に治療刺激を送出する。埋込み式パルス発生器(IPG)は、リード線を通じて信号を伝達するために電気パルスを発生させる。リード線は、作動可能な時にリード線の中心長手方向軸線に垂直に電極を横断する任意の平面において電極から同じ距離で全ての位置でほぼ同じ電気値を生成する円筒対称電極を含むことができる。これに代えて、リード線は、電極からの方向に応じて異なる電気値を生成する有向電極を含むことができる。次に、刺激電極リード線は、その後に実施すべき脳深部刺激(DBS)治療のために、例えば患者の頭蓋骨における穿頭孔入口に位置付けられた器具不動化デバイスを使用するなどによって不動化される。
【0007】
ターゲット解剖学的領域は、高い導電性を示す組織を含む可能性がある。与えられた刺激パラメータ設定値に対して、神経要素のそれぞれのサブセットは、応答して活性化される。刺激パラメータは、例えば、電流振幅又は電圧振幅を含むことができ、それは、リード線の電極の全てに対して同じとすることができ、又はリード線の異なる電極間で変わる場合がある。適用された振幅設定値は、周囲神経要素に対応する電流及び従って周囲組織に対応する電圧分布をもたらす。
【0008】
刺激電極リード線の不動化後に、実際の刺激治療は、多くの場合に、約2週間から1か月の期間が経過した後まで開始されない。これは、主として、導入された電極リード線に対する脳組織の急性応答(例えば、隣接する瘢痕組織の形成)及び患者の病徴の安定化のためである。その時点で、刺激電極接点のうちの特定の1又は2以上が、治療刺激を送出するために選択され、他の刺激パラメータは、治療利益の受容可能なレベルを達成するために調節される。埋込み式パルス発生器(IPG)は、刺激によって治療的に影響を受けている組織の容積のサイズ、形状、及び位置を相応に変更するために独立に又は同時に変えることができる広範囲の刺激設定値を提供する。
【0009】
どの治療レジメンが特定の患者又は患者の群に最良に適するかを決定するために刺激及び刺激治療のターゲット領域の診査を容易するシステム及び方法を提供する。
【0010】
処置している医師は、典型的には、特定の患者に対する刺激パラメータ(刺激電極接点のうちのどの1又は2以上を使用するか、刺激パルス振幅、例えば、使用されている刺激に応じて電流又は電圧、刺激パルス幅、及び/又は刺激周波数のような)を調整して治療の有効性を改善したいであろう。刺激のためのパラメータ選択は、例えば、試行錯誤を通じて達成することができる。しかし、誘導式視覚化ソフトウエアの使用は、効率的刺激パラメータ選択を提供する。Frankemolle,A.他著「脳深部刺激プログラミングに計算モデル化手法を使用するパーキンソン病患者における認知運動障害の克服」、Brain133(3):746−761(2010)を参照されたい。実際に、刺激による影響を受ける組織の容積の計算モデルと共に組織媒体における電極位置の視覚的支援を提供し、それによってパラメータ選択を容易にするシステム及び方法が提供されている。例えば、各々の内容がこれにより全体的に本明細書に引用によって組み込まれる特許文献3として公開された2009年5月15日出願の特許文献4(「’330出願」)、特許文献5として刊行された2009年5月15日出願の特許文献6(「’312出願」)、特許文献7として公開された2009年5月15日出願の特許文献8(「’340出願」)、特許文献9として公開された2009年5月15日出願の特許文献10(「’343出願」)、及び特許文献11として公開された2009年5月15日出願の特許文献12(「’314出願」)を参照されたい。それらの出願は、刺激パラメータの入力に基づく推定活性化容積(VOA)の生成のための方程式ベースのモデルを含むシステムを説明している。説明されたシステム及び方法は、刺激容積の推定と、推定刺激容積とそれらが患者生体構造の様々な領域と相互作用する方法とをグラフィックに識別する患者生体構造及び/又は刺激リード線の表示モデルとを提供する。医師が治療刺激パラメータ組合せを選択する場合に、ソフトウエアは、システムによって活性化されると推定される周囲組織の容積の表現を表示する。S.Miocinovic他著「案内人:定位固定神経生理学的記録及び脳深部刺激電極配置ソフトウエアシステム」、Acta Neurochir.Suppl.97(2):561−567(2007)も参照されたい。図3は、例示のユーザインタフェースを示し、それを使用してユーザは、左の2つのパネルにおいて刺激装置設定値を入力及び/又は修正することができ、一方、右パネルは、解剖学的構造のモデル、埋込みリード線、及び推定VOAを示している。
【0011】
各々がこれにより全体的に引用によって組み込まれる2011年8月9日出願の特許文献13(「’583出願」)及び2012年6月22日出願の特許文献14(「’270出願」)、及び特許文献15として公開された2012年8月9日出願の特許文献16(「’962出願」)は、ファイバ特定ベースでVOAの生成を更に説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0014580号明細書
【特許文献2】米国特許出願出願番号第13,160,104号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0287271号明細書
【特許文献4】米国特許出願出願番号第12/454,330号明細書
【特許文献5】米国特許第8,326,433号明細書
【特許文献6】米国特許出願出願番号第12/454,312号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0287272号明細書
【特許文献8】米国特許出願出願番号第12/454,340号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2009/0287273号明細書
【特許文献10】米国特許出願出願番号第12/454,343号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2009/0287467号明細書
【特許文献12】米国特許出願出願番号第12/454,314号明細書
【特許文献13】米国仮特許出願第61/521,583号明細書
【特許文献14】米国仮特許出願第61/690,270号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2013/0116744号明細書
【特許文献16】米国特許出願出願番号第13/507,962号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2014/0066999号明細書
【特許文献18】米国仮特許出願第61/753,232号明細書
【特許文献19】米国特許出願出願番号第14/011,870号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Frankemolle,A.他著「脳深部刺激プログラミングに計算モデル化手法を使用するパーキンソン病患者における認知運動障害の克服」、Brain133(3):746−761(2010)
【非特許文献2】S.Miocinovic他著「案内人:定位固定神経生理学的記録及び脳深部刺激電極配置ソフトウエアシステム」、Acta Neurochir.Suppl.97(2):561−567(2007)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の例示の実施形態によれば、刺激リード線装置は、リード線への複数のポートを含むプログラミングソース、例えば、埋込みパルス発生器(IPG)に接続された複数のリード線を含み、ここで、リード線は多くの電極を含む。例示の実施形態において、配置は、リード線及び電極の特定のものを選択するためのマルチプレクサを更に含む。電極又はその少なくとも一部分は、リード線を埋込む患者の解剖学的領域、例えば脳を刺激するために電気パルスを放出するように制御可能である。これに加えて、電極又はその少なくとも一部分は、例示の実施形態によれば、刺激の効果を感知するためのセンサとして使用可能である。多くのリード線及び電極の包含に起因して、電極は、刺激及び感知が多くの位置で実施される多くの異なる位置に置くことができ、それによって多くの情報を蓄積することができ、それに基づいて、システムは、例示の実施形態によれば、影響を受けた神経変調部位に刺激部位及びそれらの対応する刺激パラメータを関連付ける患者特有相互作用モデルを生成する。例えば、システムは、電極を制御して刺激を行い、電極からセンサ読取値を取得し、センサ読取値に従って刺激パラメータを修正する。システムは、複数のそのような印加された刺激にわたって取得されるセンサ情報を使用して患者特有相互作用モデルを生成及び/又は更新する。更に、例示の実施形態において、システムは、以前の刺激の効果を示すセンサ情報に従って更新された患者特有相互作用モデルに基づいて刺激パラメータを修正する。しかし、以下に説明するように、患者特有相互作用モデルは、これに代えて又は補足として、トラクトグラフィーマッピングのような他の入力に基づいて生成することができる。
【0015】
更に、本発明は、複数の解剖学的位置に位置決めされた多くの埋込み電極を有するシステムが過度に扱いにくくないようにパラメータ選択を簡素化する例示の方法を提供する。例えば、システムは、ユーザが神経変調効果領域での望ましい結果を選択することができるモデルを使用し、システムは、ユーザが多数の電極の各々に対してパラメータを選択する必要がないように、実施する特定の電極と、それらの電極に対して使用する特定の設定値とを選択する。すなわち、マッピングは、多くの電極を含むそのようなシステムの実施を考慮するものである。
【0016】
本発明の例示の実施形態は、神経系の複数の部位で同時に刺激かつ感知するように構成された感知及び刺激システムを提供する。システムは、刺激が生又は処理済み感知情報に応答するものである開ループモード又は閉ループモードのいずれかで刺激が行われるように構成される。システムは、1又は2以上の解剖学的領域、組織、及び/又は構造を刺激するための1又は2以上のモジュールを含む。1又は2以上のモジュールは、同時に複数の感知部位において感知し、かつ1又は2以上の刺激部位を刺激するように構成される。
【0017】
例示の実施形態によれば、システムは、患者の状態及び/又はシステムの状態を決定するためのセンサ情報及び/又はユーザ入力を取得し、かつ刺激情報と共同してそのような情報に基づいて、影響を受けた神経変調部位に刺激部位及び関連の刺激パラメータを関連付ける本明細書では患者特有相互作用モデルとも呼ぶ伝達関数を生成するように構成される。
【0018】
例えば、例示の実施形態によれば、システムは、1つの刺激パラメータセット又は複数の刺激パラメータセットで1つずつ複数の解剖学的部位を刺激する。各そのような刺激に対して、システムは、センサから及び/又は患者に対するそれぞれの刺激の効果に関するユーザ入力情報から取得される情報を使用し、それによって、影響を受けた神経変調部位に対する刺激部位の相関関係を学習し、そのような相関関係は、特定の刺激部位に対して影響を受ける神経変調部位(例えば、それらは異なる刺激パラメータに対して異なる可能性がある)を予想する患者特有相互作用モデルを形成する。システムは、1又は2以上のターゲットにされた神経変調領域のユーザ入力に応答して、相互作用モデルを使用してその後に推奨刺激部位(及び刺激パラメータ)を出力するように構成される。例えば、既知の伝達関数に基づいて、システムは、推奨される1又は2以上の刺激部位と、刺激部位とは異なる場合がある1又は2以上のターゲット部位で神経変調を達成するための1又は2以上のパラメータセットとを決定する最適化アルゴリズム使用する。例えば、例示の実施形態によれば、システムは、初期候補を取得するために相互作用モデルの線形拡張性を最初に仮定し、次に、いずれかの適切に妥当な最適化、例えば、勾配降下最適化アルゴリズムを使用して候補選択を精緻化する。
【0019】
例示の実施形態によれば、システムは、1又は2以上の部位を刺激し、かつ複数の部位で同時又は順番のいずれかで感知するように構成され(例えば、局所電界電位(LFP)、個々のニューロンでの活動電位、平均発射率、特定周波数帯域での電力)、例示の実施形態によれば、システムは、複数の部位での感知に基づいて1又は2以上の部位での刺激を修正するように構成される。てんかんは、感知に応答する刺激が価値を有するように示された最適な適応症のうちの1つである。脊髄刺激(SCS)では、感知はまた、患者に対する振幅を管理するための価値(Saluda/NICTA)を有するように示されている。臨床評価が行われており、本発明によるシステムは、そのような感知における更に別の価値を決定するための評価を行うのを補助することができる。具体的には、例示の実施形態は、強化された閉ループ作動を提供する複数の部位での感知、及び/又は上述のような感知活動電位、平均発射率、及び/又は周波数帯域特定電力の使用を提供する。
【0020】
例示の実施形態において、システムは、1又は2以上の刺激部位での刺激による影響を受けると予想される神経系の区域及び/又は構成要素を視覚化する(及び/又はそのリストを出力する)ためのモジュールを更に含む。モジュールは、システムモデルに基づいて予想部位を決定するように構成される(モデルは、患者特有X線画像データ、地図状モデル、システムによって測定された時の刺激に対する誘発応答から導出される情報、類似のデータから平均患者モデルに編成された情報、又はPET、MRI、又は他の機能的画像データから導出される情報から導出することができる)。
【0021】
システムは、例示の実施形態によれば、相互作用モデルの自動決定のためのアルゴリズムと、ユーザ定義の刺激目標、例えば、区域X及びYの刺激、並びに特定の目標を達成するようなA及びBの抑制(観察された兆候(例えば、LFP、平均発射率、その他)に応答して開ループ又は閉ループ)のための刺激ソリューションを自動的に導出するアルゴリズムとを含む。更にこれに関して、ユーザ入力目標は、ある一定の神経変調効果を生じること、及び/又は1又は2以上の領域で神経活動を低減することである可能性がある。例えば、センサは、1又は2以上の領域で神経活動を感知することができると考えられ、臨床医が入力することができるこの神経活動は、低減されるべきである。次に、システムは、最適化アルゴリズムを使用して、どの1又は2以上の領域で刺激を行うか、どの刺激パラメータを使用して示された部位で示された神経変調を最も効果的に達成し、かつ示された神経効果を最も効果的に低下させるか(例えば、示された領域で)を出力する。
【0022】
更に、システムは、高度に拡張可能であり、すなわち、複合多点神経系(ほとんどの神経系は、このタイプのものである)と相互作用するように、かつ神経系との時空相互作用の進歩に応答して新しい及び改善された治療のために使用することができる。
【0023】
本発明の例示の実施形態によれば、リード線は、16よりも多い電極を含み、システムは、そのようなリード線を使用して刺激を制御するように構成される。例示の実施形態によれば、システムは、何百もの電極を提供し、制御し、かつモニタするように拡張可能である。
【0024】
例示の実施形態によれば、システムは、臨床医が複合刺激プログラムを調節するのを助けることができる神経系視覚化支援を提供する。
【0025】
本発明の実施例により、コンピュータ実施方法は、患者の神経変調効果領域を選択するユーザ入力をコンピュータプロセッサによって受信する段階と、入力に応答して、選択された神経変調効果領域にプロセッサによってマッピングされ、かつそこから距離を置いた少なくとも1つのターゲット解剖学的刺激候補領域を少なくとも部分的に取囲む組織活性化容積を埋込まれた電極リード線に印加された時に生成するようにプロセッサによって推定された電極神経変調設定をプロセッサによって決定する段階とを含む。
【0026】
本方法の例示の態様により、リード線は、患者の脳に埋込まれる。これに代えて又はこれに加えて、少なくとも1つのターゲット解剖学的刺激候補領域は、複数の個別の領域を含む。これに代えて又はこれに加えて、ユーザ入力は、神経活動が低下されるべき領域として神経変調効果領域を指定する。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像に基づく。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、確率的トラクトグラフィーモデルに基づく。これに代えて又はこれに加えて、マッピングは、患者に特定であり、かつ以前の神経変調に対する患者による前の応答を示す応答情報に基づく患者特有マッピングを含む。
【0027】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、選択された神経変調効果領域は、ユーザ入力によって選択された複数の神経変調効果領域のうちの1つであり、決定する段階は、複数の神経変調効果領域で選択された治療効果を生じるようにリード線の1又は2以上の電極に分配されるべき1又は2以上のセットの神経変調設定値を決定する段階を含む。
【0028】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、プロセッサによって実行されるマッピングは、モデル内で神経変調効果領域にマッピングされたモデル化刺激パラメータから新しい刺激パラメータを外挿することによって実行され、この刺激パラメータは、選択された神経変調効果領域で選択された効果を生じるようにプロセッサによってかつモデルに基づいて推定され、選択された神経変調効果領域での選択された効果は、モデル内でマッピングされない。
【0029】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、マッピングを生成する段階を更に含み、マッピングの生成は、それぞれの複数のセットの神経変調設定値での複数の神経変調を実行する段階と、神経変調の少なくともサブセットの各々に対して、それぞれの1又は2以上の解剖学的領域で発生する少なくとも1つの神経変調効果を記録する段階とを含み、1又は2以上の解剖学的領域は、それぞれの神経変調によって活性化されたとプロセッサによって推定された組織のそれぞれの1又は2以上の刺激領域にプロセッサによって応答的にマッピングされる。
【0030】
直前の態様の例示の更に別の態様により、マッピングは、患者特有マッピングであり、複数の神経変調は、患者に対して実行される。
【0031】
2つの直前の態様のうちのいずれかの例示の更に別の態様により、神経変調効果の少なくとも一部は、リード線の電極によって感知される。
【0032】
直前の態様の例示の更に別の態様により、複数の神経変調は、神経変調効果の少なくとも一部を感知した電極とは異なるリード線の電極によって実行される。これに代えて、リード線の電極の少なくともサブセットの各々は、神経変調を実行して神経変調の効果を感知するその両方を行うように構成される。
【0033】
神経変調効果がそれに従って記録される先行態様のうちのいずれかの例示の更に別の態様により、神経変調効果の少なくとも一部は、ユーザによって入力される。
【0034】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、リード線は、16よりも多い電極を含み、リード線は、リード線の32の電極に電気刺激パルスを同時に出力させるように構成された埋込み式パルス発生器を通じて制御され、及び/又はリード線は、複数のリード線の32の電極に電気刺激パルスを同時に出力させるように構成された埋込み式パルス発生器を通じて全て制御される複数のリード線のうちの1つである。
【0035】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、埋込まれたリード線の電極を決定された設定値に従って神経変調治療を実行するように制御する段階と、電極からセンサ読取値を取得する段階と、センサ読取値に応答して刺激設定値を修正する段階とを更に含む。
【0036】
直前の態様の例示の更に別の態様により、本方法は、臨床状態の複数のユーザ入力を経時的に受信する段階と、ユーザ入力臨床状態を臨床状態がそれぞれ対応する時間に電極によって感知された生体電位特徴にプロセッサによって相関させる段階とを更に含む。更に、設定値がそれに応答して修正されるセンサ読取値は、それぞれの生体電位特徴を示し、修正は、相関関係に基づく。
【0037】
センサ読取値に応答して刺激設定値がそれに従って修正される態様の例示の更に別の態様により、センサ読取値は、修正が平均発射率に基づくものである神経要素の平均発射率を示し、指定された周波数帯域での電力読取値であり、及び/又は局所電界電位のものである。
【0038】
上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、リード線は、複数のリード線のうちの1つであり、リード線の各々は、埋込み式パルス発生器(IPG)によって制御される少なくとも1つのそれぞれの電極を含み、埋込み式パルス発生器(IPG)は、複数のポートを含み、少なくとも1つのマルチプレクサが、ポートのそれぞれの1つと複数のリード線のうちの1つよりも多いもののそれぞれのサブセットとの間に設けられ、このマルチプレクサは、複数のリード線のうちの1つよりも多いもののサブセットの間でそれぞれのポートからの信号のその電極への印加に対して選択するように構成され、信号は、リード線のサブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスをその電極に生成させる。
【0039】
本発明の実施例により、コンピュータ実施方法は、埋込まれたリード線の電極を1組の刺激パラメータに従って神経変調治療を実行するように制御する段階と、電極からセンサ読取値を取得する段階と、センサ読取値に応答して刺激パラメータを修正する段階とを含む。
【0040】
本方法の例示の態様により、本方法は、臨床状態の複数のユーザ入力を経時的に受信する段階と、臨床状態がそれぞれ対応する時間にユーザ入力臨床状態を電極によって感知される生体電位特徴にプロセッサによって相関させる段階とを更に含む。更に、刺激パラメータがそれに応答して修正されるセンサ読取値は、それぞれの生体電位特徴を示し、修正は、相関関係に基づく。
【0041】
直前の態様と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、本方法は、複数の状態のユーザ入力と、複数の状態の各々に対して、状態のうちの少なくとも1つが非埋込みセンサの読取値によって定められるそれぞれの状態の感知に応答して印加されるべきそれぞれのセットの刺激パラメータとを受信する段階と、リード線の電極の読取値を非埋込みセンサの読取値にプロセッサによって時間的に相関させる段階と、リード線の電極の読取値に従って状態のうちの少なくとも1つの定義を状態の代替定義でプロセッサによって置換する段階であって、上記修正する段階が代替定義に基づいて実行される上記置換する段階とを更に含む。
【0042】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、修正は、それぞれの複数の解剖学的位置に位置決めされた複数の電極のセンサ読取値に基づく。
【0043】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、神経要素の平均発射率を示し、修正は、平均発射率に基づく。
【0044】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、指定された周波数帯域での電力読取値を含む。
【0045】
本方法の上述の態様のうちのいずれか1又は2以上と組合せて提供することができる本方法の例示の態様により、センサ読取値は、局所電界電位の読取値を含む。
【0046】
本発明の例示の実施形態によれば、刺激システムは、複数のポートを含む埋込み式パルス発生器(IPG)と、少なくとも1つのそれぞれの電極を各々が含む複数のリード線と、ポートのそれぞれの1つと複数のリード線のうちの1つよりも多いもののそれぞれのサブセットとの間の少なくとも1つのマルチプレクサとを含み、このマルチプレクサは、複数のリード線のうちの1つよりも多いもののサブセットの間でそれぞれのポートからの信号のその電極への印加に対して選択するように構成され、信号は、リード線のサブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスをその電極に生成させる。
【0047】
本明細書に説明する様々な構成要素及び方法は、各単独で又は様々な組合せに実施され、及び/又は提供することができる。
【0048】
本発明の例示の実施形態は、単独又は組合せで本明細書に説明する方法のいずれかを実行するのに例えば任意の従来のメモリデバイスを含むハードウエアコンピュータ可読媒体上に設けられたコードを実行するために任意の従来の処理回路及びデバイス又はその組合せ、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)の中央演算処理ユニット(CPU)又は他のワークステーションプロセッサを使用して実施する、ことができるプロセッサに関する。メモリデバイスは、任意の従来の恒久的及び/又は一時的メモリ回路又はその組合せを含むことができ、その非網羅的リストは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び磁気テープを含む。
【0049】
本発明の例示の実施形態は、本明細書に説明する方法を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を格納した例えば上述のようなハードウエアコンピュータ可読媒体に関する。
【0050】
本発明の例示の実施形態は、本明細書に説明する方法を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を伝達する例えばハードウエア構成要素又は機械の方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の例示の実施形態による感知及び刺激デバイスを示す図である。
図2】本発明の例示の実施形態による多重化モジュールを備えた感知及び刺激デバイスを示す図である。
図3】刺激プログラムを設定及び視覚化するための従来のユーザインタフェースの図である。
図4】グレースケール画像では示されていないが、異なる表示された神経要素が異なる色で表示され、異なる色が対応する神経変調効果を表す本発明の例示の実施形態によるトラクトグラフィーマッピング及び刺激モデルを示すユーザインタフェースの例示の表示を示す図である。
図5】本発明の例示の実施形態による部位A−C(図示の図表の横列)のうちのそれぞれのものでの刺激に対する部位A−C(図示の図表の縦列)での予想神経変調効果を示す確率的患者特有トラクトグラフィーベースのモデルを示す図である。
図6】本発明の例示の実施形態による部位A−C(図示の図表の横列)のうちのそれぞれのものでの刺激に対する部位A−C(図示の図表の縦列)での予想神経変調効果を示す確率的患者特有生体電位ベースのモデルを示す図である。
図7】本発明の例示の実施形態により特定の刺激パラダイムの影響を受ける可能性が高い区域をグラフィックに識別する例示のユーザインタフェース表示を示す図である。
図8】本発明の例示の実施形態によりユーザ入力に応答して刺激パラダイム及び関連のパラメータを提案するシステムのための例示のデータフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
例示の実施形態によれば、システムは、電源を備えた少なくとも1つの能動刺激/感知モジュールを含む。
【0053】
例示の実施形態によれば、システムは、拡張可能性を提供する1又は2以上のモジュールを含む。複数のモジュールは、1次モジュールによって給電することができ、又は各々はそれ自体電源を有することができる。例示の実施形態において、複数のモジュールは、ワイヤ(又は別の有形接続)によって相互接続される。これに代えて、モジュールは無線で接続される。更に、例示の実施形態によれば、システムは、モジュールの間に有線及び無線接続を含む。
【0054】
例示の実施形態によれば、システムは、16よりも多い感知/記録電極を含む1又は2以上のリード線を含み、かつその刺激及び感知を管理する。複数の電流源アーキテクチャ(電極の全てに対する単一電圧又は電流源とは対照的)は、それが安定した刺激に最高の機会を提供するので最適刺激アーキテクチャであり、かつ1又は2以上の刺激部位で刺激の微調節を可能にする。
【0055】
本発明の例示の実施形態によれば、システムは、複数の位置を同時に(又は高いサンプリング速度によりほぼ同時に)記録して少なくとも1つの部位を刺激するように構成される。複数の部位からの感知データは、一緒に処理されて1又は2以上の部位で刺激を駆動することができる。
【0056】
すなわち、例えば、本発明の実施例により、方法は、1組の刺激パラメータに従って神経変調治療を実行するように埋込まれたリード線の電極を制御する段階と、電極からセンサ読取値を取得する段階と、センサ読取値に応答して、刺激パラメータを修正する段階とを含む。更に、実施例により、修正は、それぞれの複数の解剖学的位置に位置決めされた複数の電極のセンサ読取値に基づく。以下には、感知及び刺激を実行するために使用するのに特に適するリード線システムを説明しており、ここでシステムは、感知及び/又は刺激するために多くの解剖学的位置に位置決めされた電極を含む。
【0057】
システムはまた、開ループモードでプログラムされた刺激をサポートする。システムはまた、開ループモードでの感知をサポートし、ここでシステムは、ユーザインタフェースを通じて感知データ(生又は処理済み)をユーザに提供し、データは、電極が正しい位置にあるかをユーザが知るのを助けることができ(例えば、誘発電位特徴の知識により)、そうでなければ臨床医/医師が神経系と相互作用するのを助けることができる。刺激応答は、必要ではないが感知部位と一致することができる1つ又は複数の位置で起こるようにプログラムすることができることに注意すべきである。
【0058】
そのような複雑さを有するシステムの有用性は、視覚化及びアルゴリズムによって大いに高められる。すなわち、本発明の例示の実施形態によれば、システムは、1つの部位でのいずれかの刺激が他の部位に影響を与えるかを医師が推定するのを補助する視覚化構成要素を提供する。例示の実施形態によれば、システムは、拡散テンソル撮像(DTI)又は感受性加重撮像(SWI)画像に基づく確率的トラクトグラフィーモデルのような患者特有データに基づいて刺激効果(それが視覚化する)の推定を生成する。例示の実施形態によれば、トラクトグラフィーモデルは、刺激パラメータ(例えば、パルス幅(PW)、振幅、速度、アノード/カソード及びパーセントの観点からの電界構成)の効果が視覚化推定に含まれるように刺激の計算モデルと組合せられる。換言すると、計算刺激モデルを使用して電界、活性化閾値、及び従って直近推定活性化領域を決定し、次に、トラクトグラフィーモデルを計算刺激モデルに適用して、どの神経要素が直近推定活性化領域にあるかを決定し、システムは、そのような神経要素の延長を辿ってそれらの神経要素の影響を受けると考えられる範囲外の部位を決定する。例示の実施形態において、計算モデルは、代表的な神経要素の線形(例えば、線形システムの定義に適合する簡単なモデル)又は非線形(例えば、微分方程式及びその解を含む)モデルを含む。
【0059】
例示の実施形態によれば、患者特有トラクトグラフィーデータセットが利用できない事例において、システムは、別のトラクトグラフィーモデル又はアトラス(例えば、患者に登録された患者集団モデル又はアトラス)を登録し、与えられた患者のための推定を生成するように構成される。他のX線要素を使用して相互作用モデルに寄与することができる(例えば、fMRI、PET、EEG、MEGなどのような機能的撮像)。例えば、例示の実施形態によれば、システムは、MR撮像に基づいてトラクトグラフィーモデルを生成する。
【0060】
例示の実施形態において、システムは、神経変調が望ましい脳内のポイントをユーザが選択することを可能にし、ユーザが神経変調することを望む脳領域のうちの1又は2以上に影響を与える可能性が高い候補刺激部位を識別するアルゴリズムを実行する。例示の実施形態において、システムは、ユーザによって視覚されるべき候補部位のための出力を生じ、異なる色(又は他の視覚的特性)を使用してユーザが神経変調ターゲットとして識別した与えられた脳領域に接続された位置を識別する。ツールの1つの利点は、複数の候補ターゲット、すなわち、ある一定の神経活動が抑制されるべき神経変調ターゲット及び/又は部位を含むことができる入力目標を達成するための候補手術及び刺激ターゲットを表す「ノード」の神経変調を可能にする可能性が高い位置を識別することができる点である。それらのツールは、臨床医が特定の患者に対する刺激ターゲットを識別するために働いている時に手術前に助けになる可能性が高い。
【0061】
すなわち、実施例により、方法は、患者の神経変調効果領域を選択するユーザ入力をコンピュータプロセッサによって受信する段階と、入力に応答して、埋込まれた電極リード線に印加された時に、選択された神経変調効果領域にプロセッサによってマッピングされてそこから距離を置かれた少なくとも1つのターゲット解剖学的刺激候補領域を少なくとも部分的に取囲む組織活性化容積を生成するようにプロセッサによって推定された電極神経変調設定をプロセッサによって決定する段階とを含む。実施例において、ユーザ選択ポイントは、複数の個別の領域にある可能性があり、プロセッサが決定するこれらは、1又は2以上の直接刺激部位の影響を受けると考えられる。
【0062】
上述のように、ユーザ選択領域と刺激候補領域の間のマッピングは、感受性加重撮像(SWI)画像及び/又は確率的トラクトグラフィーモデルに基づくことができる。
【0063】
更に、例示の実施形態によれば、マッピングは、以前の神経変調に対する患者による以前の応答を示す応答情報に基づくことができる。例えば、本発明の例示の実施形態によれば、システムは、刺激に対する患者応答を感知するためのセンサを含み、システムは、感知情報に基づいて予想活性化及び抑制の患者特有神経部位相互作用モデルを生成するように構成される。例えば、システムは、刺激パラダイム(これは、様々なパラメータ、波形、及び/又は時間的パターンを含むことができる)を使用して刺激を行い、一部の特性、例えば、記録された信号のスペクトルのある部分のパワーを使用して刺激に対する応答を評価する。(使用するパラダイムは手動的に選択することができ、又は最良の実施の理解に基づいてシステムに予めプログラムすることができる。)評価されたパラダイムは、多点刺激を含むことができる。すなわち、例示の実施形態は、刺激、トラクトグラフィー、fMRI、PET、発生源定位、及び/又は他のデータに応答して生体電位に基づいて(すなわち、感知信号を引き起こした推定発生源の記録を使用して)患者特有応答モデルを生成するシステムを提供する。
【0064】
例示の実施形態において、システムは、例えば、電流ステアリングを使用して(例えば、各々が本明細書に引用によって全体的に組み込まれている特許文献17として公開された2013年1月16日出願の特許文献18及び2013年8月28日出願の特許文献19を参照)1つずつ(及び例示の実施形態によれば、異なるパラメータ使用して繰返して)定められた組の部位を刺激し、かつ定められた組の部位のうちの1又は2以上での刺激に対する誘発応答を感知してその患者に特定の相互作用モデルを生成するための自動アルゴリズムを含む。プロセッサに刺激のためのパルスをトリガさせる自動アルゴリズムは、臨床医の注意深い目の下で実行することができ、かつ応答待ち時間が許容する場合に短い刺激を引き起こすことができる。
【0065】
感知された応答、及び従って感知することは、刺激されているところ以外の部位にある可能性がある。換言すると、位置Aでの刺激は、位置Bで応答を引き起こす可能性がある。例示の実施形態によれば、アルゴリズムは、相互作用モデルを拡張するために1又は2以上の部位での同時多点刺激及び感知の自動評価を含む。多点刺激組合せの数は大きくすることができ、可能な組合せの全ての自動試験は非効率的である可能性がある。従って、例示の実施形態によれば、システムは、アルゴリズム自動評価に対して特定のタイプの刺激(例えば、特定のパルス幅、パルスのある一定の指定された周波数、その他を有するアノードのみの単極刺激、カソードのみの単極刺激)を含めるように選択する機能をユーザに与え、かつ神経系相互作用モデルを試験してこれに追加するように手動で特定の刺激構成を規定する機能も与えられている。
【0066】
例示の実施形態によれば、システムは、「逆」機能を提供し、それによってシステムは、刺激に対する望ましいシステムレベルの応答(例えば、1又は2以上の神経領域を興奮させ、及び/又は1又は2以上の神経領域を抑制する)の識別のユーザ入力を取得し、システムは、(1)刺激パラダイムを評価し(システムによって感知された誘発応答を通じて)、ユーザ説明刺激目的を達成する刺激パラダイムに関して刺激パラメータ空間(刺激部位、PW、速度、振幅、形態、及び部位間の時空刺激パラダイムのようなパラメータ)を検索し、かつ刺激パラメータを有する決定されたパラダイムをユーザに出力すること、すなわち、システムが、システムがセンサ及び/又はユーザ入力データに基づいて決定することができる入力目標を達成するか又はそれに近づくまで、新しいパラダイム及びパラメータを繰返し試行すること、(2)相互作用モデル(上述のように、X線画像的に導出及び/又は誘発電位導出のもの)を使用し、刺激パラダイム(各部位に対して独立刺激パラメータを有する単一部位又は多重部位とすることができ、刺激の時空関係、すなわち、いつどこに刺激するかが、パラダイムの一部である場合がある)を決定してユーザに提供すること、すなわち、相互作用モデルを使用してどの刺激部位及び設定が望ましい目標をもたらすと考えられるかを推定すること、及び(3)パラダイムを評価して刺激パラメータを検索するために、刺激対応答マッピング、相互作用マトリックス、その他の視覚化のような情報をユーザに提供することのうちの1又は2以上を行うようにアルゴリズムを実行する。特に巨大なパラメータ空間に対して及び/又は非線形であるシステムに対して、遺伝的最適化アルゴリズム及び/又はサポートベクトル機械ベースのアルゴリズムは、刺激パラダイム及び関連のパラメータを選択するために使用するのに良好な候補であることに注意すべきである。
【0067】
すなわち、実施例により、プロセッサは、それぞれの複数のセットの神経変調設定値で複数の神経変調を実行し、神経変調の少なくともサブセットの各々に対して、それぞれの1又は2以上の解剖学的領域で発生する少なくとも1つの神経変調効果を記録することによってモデルを生成し、1又は2以上の解剖学的領域は、プロセッサによってそれぞれの神経変調によって活性化されたと推定された組織のそれぞれの1又は2以上の刺激領域にプロセッサによって応答的にマッピングされる。しかし、実施例において、ターゲット解剖学的刺激候補領域とユーザ選択の神経変調効果領域との間でプロセッサによって実行されるマッピングは、モデル内にマッピングされたモデル化刺激パラメータから神経変調効果領域に対して新しい刺激パラメータを外挿することによって実行され、この刺激パラメータは、プロセッサによりかつモデルに基づいて推定され、選択された神経変調効果領域で選択された効果を生じ、選択された神経変調効果領域での選択された効果は、モデル自体内にマッピングされる必要はない。
【0068】
例えば、図6は、例示の患者特有相互作用モデルを示し、ここで横列は刺激部位を示し、縦列は様々な部位での得られる神経変調効果を表している。例えば、横列Aは、部位Aにおいて特定のパラメータセットでの刺激が、特定の神経変調効果(例えば、局所電界電位(LFP)、特定の周波数帯域での電力、及び/又は神経活性化スパイク)の変化を生成することを示し、ここでその変化は、部位A及びBにおいて最小であるが(それぞれ0.01及び0.09)、部位Cにおいてはより大きい(0.52)。横列B及びCはそれぞれ、部位B及びCでの刺激に応答して部位A−Cで起こる変化を同様に示している。
【0069】
例示の実施形態において、システムは、刺激パラメータに対する及び/又は組合せに対する(部位A及びBでの刺激が、個々の部位A及びBでの刺激の加算的効果を生じると仮定される)それらの関係の線形性の仮定(例えば、刺激振幅の増加が、示される変化の線形増加を引き起こすと仮定される)を最初に適用する。線形性仮定を有するモデルに基づいて候補刺激部位及びパラメータを取得した後に、システムは、適切に妥当な最適化アルゴリズム、例えば、従来から公知である勾配降下最適化ルーチン又はその変形を適用し、ターゲット神経変調を達成するために使用すべき推奨される部位及びパラメータを更に精緻化する。
【0070】
図8は、入力ターゲット神経変調部位のための推奨刺激部位及び/又はパラメータを出力する方法のデータフローを示している。図8は、ユーザが刺激目標を定め、例えば、1又は2以上のそれぞれの領域で神経活動を増大及び/又は低減することを示している。図8に示す実施例において、ユーザは、部位Aでの特定の定められた特性(LFP又はスパイクのようないくつかの特性が存在する場合がある)の適度な増加、部位Bでの変化なし、及び部位Cでの強固な抑制変化のターゲットを入力する。次に、システムは、上述のように、逆最適化アルゴリズムを応答的に実行し、推奨刺激部位及び/又はパラメータを決定して示されたターゲット部位で入力目標神経変調効果を達成し、次に、ユーザへの推奨として決定された部位及び/又はパラメータを出力する。
【0071】
患者特有相互作用モデル(単独又は最適化アルゴリズムとの組合せ)は、ターゲット式神経変調を生成する複数の方法を示すことができるが、1つの方法は別の方法よりも多くの部位での刺激を伴うことが起こる場合があり、その場合に、例示の実施形態によれば、システムは、刺激パラダイムを推奨する時にこれを考慮に入れ、より少ない部位での刺激は、他の全てが同じならばより最適であると考えられることに注意すべきである。
【0072】
例示の実施形態によれば、相互作用モデルの開発と「逆」問題に対する解の決定とは、医師/臨床医/ユーザが、システムレベルの刺激目標のみを定め、システムが、望ましい刺激パラダイム(これは、非常に複合的である場合がある)を決定してそれをユーザに出力するように自動化される。
【0073】
本発明の例示の実施形態において、システムは、例えば相互作用モデルに基づいて神経系のどの部分が影響を受けることができる可能性が高いか(機能対影響モデル)をユーザに示すユーザインタフェース表示を出力する。そのような出力は、刺激目標を定める時に制約の感覚をユーザに与えることができる(与えられた埋込まれたシステムに対して)。相互作用モデルが、例えば、トラクトグラフィー、機能撮像、その他を通じて非侵襲的に導出される時に、この出力は、機能対影響モデルが候補電極部位に対して特定である手術計画を補助することができる。例えば、システムは、ユーザによって入力された複数のリード線部位の各々に対して機能対影響モデルを出力し、かつ入力リード線部位の各々に対して機能対影響モデルを提供することができる。次に、ユーザは、最良のカバレージを提供するいずれかの部位を選択することができる。
【0074】
例示の実施形態によれば、ユーザは、刺激目標を定め、開ループモードで実行されるようにシステムを設定することができる。ユーザはまた、これに代えて、感知されたシステム状態に応答して動的に変化するように刺激目標を設定することができる。例えば、ユーザは、1又は2以上の感知されたシステム状態及び1又は2以上のそれぞれの神経系刺激目標を定め(対応する刺激パラダイムと共に)、どの刺激パラダイムが与えられた感知されたシステム状態に対してトリガされるかを定めることができる。
【0075】
システムは、感知されたシステム状態を定めるユーザのためのツールを提供する。状態は、例えば、センサデータ(例えば、システムに無線で接続された外部センサの)及び/又はユーザフィードバック(例えば、遠隔制御器による患者フィードバック入力)を含むフィードバックパラメータによって定めることができる。例えば、例示の実施形態によれば、特定の部位で測定された周波数スペクトルの一部又は全てにおける電力又は電力の変化(例えば、区域Aにおけるベータ電力は高く、区域Dにおけるガンマ電力も高い)は、感知されたシステム状態を定める1つの方法である。これに加えて又はこれに代えて、ユーザは、刺激目標を動的に変更するのに基づくシステム状態を取得するための時間領域解析を実行するようにシステムを設定することができる。そのような解析は、例えば、ウェーブレット解析、統計的尺度、単一単位発射パターン、すなわち、単一ニューロンの活動電位の発射パターンの特性(例えば、スパイク間間隔関係、すなわち、活動電位とそのような間隔のパターンの間の時間、及び/又は小さい電極で測定可能なニューロンに関する他の関係)を含むことができる。
【0076】
システム作動(センサからの生又は処理済みデータに基づく)に使用する例示のセンサの非網羅的リストは、埋込むか又はそうでない場合がある生体電位センサ、化学(例えば、神経伝達物質)センサ、温度センサ、及び加速度計、角度計などのような物理センサを含む。例えば、例示の実施形態において、1又は2以上の外部センサは、無線でシステムに接続される。一部の実施形態において、それらのセンサによって感知されたデータは、ユーザがそれに基づいて刺激目標を定めることができる(上述のように)システム相互作用モデルに寄与する(又はそれを含む)。一部の実施形態において、それらのセンサによって感知されたデータは、これに代えて又はこれに加えて、感知されたシステム状態を例えば閉ループ制御器に提供する。
【0077】
すなわち、例えば、実施例により、方法は、1組の刺激パラメータに従って神経変調治療を実行するように埋込まれたリード線の電極を制御し、患者状態を示す電極からのセンサ読取値を取得し、かつセンサ読取値によって示された状態に応答してかつユーザ入力状態情報に基づいて刺激パラメータを修正するシステムを含む。
【0078】
更に、実施例により、システムは、臨床状態の複数のユーザ入力を経時的に受信し、臨床状態がそれぞれ対応する時に電極によって感知された生体電位特徴にユーザ入力臨床状態を相関付け、ここで、それに応答して刺激パラメータを修正するセンサ読取値は、それぞれの生体電位特徴を示し、修正は相関関係に基づく。
【0079】
本発明の例示の実施形態において、非埋込みセンサ(例えば、血圧センサ)からのデータは、ユーザが外部センサを通じて感知されたシステム状態を定めることができるように、アルゴリズム(例えば、サポートベクトル機械、人工神経回路網)を使用して埋込みセンサからのデータに対して時間的に相関付けられ、埋込可能センサによって行われた感知に基づく代理の感知されたシステム状態が定められ(例えば、自動的に)、外部感知ツールがない時に使用することができる。例えば、外部センサからの信号は、埋込みシステムによる測定値に相関付けられ、良好な相関関係がある場合に、埋込みシステムによって測定された信号を代わりに使用することができる。その後に、埋込まれたリード線の電極からの感知測定値は、閉ループ制御器に使用することができる。
【0080】
設定値を修正するのに基づく状態とシステムによって相関させることができる一部の例示のセンサ読取値は、平均発射率、指定された周波数帯域での電力読取値、及び局所電界電位を含む。
【0081】
例示の実施形態において、システムは、それを通じて患者がいくつかの時点で存在状態(例えば、疼痛スコア、又は抑鬱スコア、又はストレス/不安スコア)を定めることができるインタフェースを提供するように構成され、システムは、患者スコアと相関性がある埋込可能センサを通じて感知されたシステム状態に関してアルゴリズムを通じて検索する。すなわち、システムは、患者の状態に関する患者入力と相関性がある感知データ(例えば、生体系によって発生する電圧のような生体電位、例えば、LFP及び活動電位)内の特徴を探す。センサデータ及び/又は患者入力は、生体電位特徴対状態関係がそれによって決定される「訓練」データをアルゴリズムが収集する1又は2以上のセッションにおいて提供することができる。例示の実施形態において、アルゴリズムは、新しい「訓練」データが患者フィードバックによって取得される時に連続的に更新する動的学習アルゴリズムである(それらのアルゴリズムは、経時的な神経系の可塑的変化の可能性及び恐らくは高い可能性が与えられた時に特に有用である可能性がある)。次に、刺激は、感知システム生体電位状態に応答するように設定することができる。すなわち、訓練データに基づいて、システムは、生体電位を特定の患者状態に関連付け、その後に、システムは、生体電位状態に応答して刺激パラダイム及び/又は刺激設定値を変更することができる。感知されたシステム状態を定めるための自動アルゴリズムは、それらが、上述のように、そのような大変複雑なシステムを臨床診療で使用可能にするので特に有用である。
【0082】
例えば、システムは、複数の刺激セッションの各々に対して、特定の症状、例えば、抑鬱症、ストレス、疼痛、その他に関するフィードバック、例えば、OK、Mild、Medium、Severe、その他を患者からかつ経時的に取得し、そのようなフィードバックに基づいて、好ましい刺激パラダイム及びパラメータを更新するように構成される。更に、フィードバックは、生体電位に関連付けることができ、この生体電位特徴は、システムが、どのパラダイム及び設定を異なる感知生体電位に使用するかを変更するように、異なる刺激パラダイムが関連付けられるシステム状態として機能することができる。例示の実施形態において、システムは、好ましいプログラムがユーザ定義のパラメータ制約内にある限り、更新された好ましい刺激パラダイム及びパラメータを使用して自動で刺激するように構成される。
【0083】
例示の実施形態において、システムは、複数の独立電流制御器(すなわち、複数の電流源)を使用し、それによってより安定な刺激及びより微調節された刺激を提供する(多くの刺激部位をより少ない数の電極で定めることができるように「仮想接点」を可能にする)。「仮想接点」はまた、電極が存在しないリード線の位置に刺激を中心に置くことによって神経系のより高い解像度のマッピングを可能にする。
【0084】
上述のように、実施例により、本発明のシステムは、患者特有相互作用生体電位解析ベースのモデル又はトラクトグラフィーモデルを使用して、入力神経変調ターゲットに対して推奨される刺激パラダイムを出力する。これは、例示の実施形態によれば、フォーカスすべき刺激領域に関するガイダンスなしにどの電極を使用するか又はパラメータを使用するかを臨床医が選択する必要がないので、システムが、多数の電極、例えば、32又はそれ以上の電極、更には何百もの電極を有する1又は2以上のリード線を含むことができるように、刺激パラメータの臨床医による設定をかなり簡素化する。これに代えて、システムは、多くの電極を含むシステムのための患者特有相互作用モデルを生成することができる。ユーザは、ターゲット神経変調部位及び効果を入力することができ、モデルに基づいて、システムは、電極の推奨される組合せ(それぞれの刺激部位での)とターゲット神経変調応答を達成するためのそれぞれの刺激パラメータとを出力する。(推奨される刺激パラダイムは、シーケンスを通じて異なるポイントでの異なる設定での異なる組合せの電極を使用する刺激のシーケンスを含むことができることに注意すべきである。)
【0085】
従って、図1は、その各々がそれぞれのセットの8つの接点に有線接続で示されている4つのポートA−Dを有する埋込み式パルス発生器(IPG)を含む本発明の例示の実施形態によるシステムの構成要素を示している。ポートA及びBを接続するそれぞれの8つの接点は、例えば、脳の中に埋込まれたそれぞれの経皮円筒形リード上にある。ポートC及びDを接続する2組の8つの接点は、単一パドルリード上にあるように示されており、すなわち、パドルリードは、ポートC及びDを通じて埋込み式パルス発生器(IPG)を接続する16の電極を含む。パドルリードは、例示の実施形態によれば、脳の上に埋込むように適応させることができる。
【0086】
図2は、合計176の電極を有する22のリード線を含む別の例示の実施形態を示し、ここで埋込み式パルス発生器(IPG)は、いずれの一時点でも電極のうちの32個を制御するように適応される。図示の埋込み式パルス発生器(IPG)は、それぞれの多重化モジュールに8つの入力を提供する4つのポートA−D各々を含む。多重化モジュールの各々は、埋込み式パルス発生器(IPG)からの入力に基づいて制御するように、それぞれの多重化モジュールを接続する複数の電極のうちの8つまでの電極を選択する。この実施形態は、システムがターゲットを達成するために176の電極の様々な組合せの間で選択すると仮定し、ここで任意の出力パラダイムは、32までの電極だけをいずれの一時点でも使用する刺激を含むと考えられる。しかし、パラダイムは、176の電極から32までの電極の異なる組合せを異なる時間に使用するシーケンスを含むことができ、パラダイムは、潜在的に全て176の電極を利用する。これに加えて、それらの数は、例として提供されている。他の実施形態は、異なる数の合計電極を含むことができ、例えば、32よりも多い異なる数の電極を同時に使用することを可能にすることができる。
【0087】
すなわち、本発明の例示の実施形態によれば、刺激システムは、複数のポートと、リード線の各々が少なくとも1つのそれぞれの電極を含む複数のリード線と、ポートのそれぞれの1つと複数のリード線のうちの1つよりも多いもののそれぞれのサブセットとの間の少なくとも1つのマルチプレクサとを含む埋込み式パルス発生器(IPG)を含み、マルチプレクサは、複数のリード線のうちの1つよりも多いもののサブセットの間でそれぞれのポートからの信号のその電極への印加のために選択するように構成され、信号は、リード線のサブセットが埋込まれた組織の神経変調のための電気パルスをその電極に生成させる。
【0088】
図4は、トラクトグラフィーマッピングに取り込まれた情報を示し、上記で考察したように、それを使用して画像からのファイバ経路を解析することによって脳の異なる部分の間の関係を理解することができる。図5は、例示の確率的トラクトグラフィーベースの刺激対神経変調マッピングを示している。例えば、例示の実施形態において、図4に示すようなトラクトグラフィーマッピングに基づいて、システムは、1つの領域での刺激が別の領域での神経変調応答をそれらの2つの領域の間の神経要素の拡張に起因して引き起こすことが予想されると決定する(逆も同じである)。上述のように、確率的トラクトグラフィー相互作用モデルは、生体電位応答ベースのモデルの代わりに使用することができる。
【0089】
例示の実施形態において、確率的トラクトグラフィー神経変調応答マッピングは、図4に示すようなトラクトグラフィーマッピングだけに基づく。代替の例示の実施形態において、確率的トラクトグラフィー神経変調応答マッピングは、これに加えて、特定の刺激パラメータでの患者生体構造に生成された電界のモデルを含み、そのような電界が神経活性化を引き起こすための閾値に達する神経モデルに基づく。そのような神経モデルをトラクトグラフィーマッピングと組合せることで、更に精緻化されたデータを提供することができる。具体的には、例示の実施形態によれば、システムは、神経モデルを使用して、どの神経要素が特定の刺激パラダイムで活性化されるかを決定し、次に、トラクトグラフィーマッピングを使用して、それらの活性化された神経要素の影響を受けると考えられる神経変調部位を決定する。例えば、システムが、部位Aが活性化されると神経モデルから決定し、かつ部位Aに位置付けられた特定の神経要素が部位Bまで延びると決定する場合に、システムは、部位Bも活性化されるであろうと推定すると考えられる。
【0090】
以上の説明は、例示であり制限ではないように意図している。本発明を様々な形態に実施することができること、及び様々な実施形態を単独又は組合せで実施することができることを当業者は以上の説明から認めることができる。従って、本発明の実施形態は、本発明の特定の例を用いて説明したが、本発明の実施形態及び/又は方法の真の範囲は、他の修正が図面、明細書、及び特許請求の範囲を研究すると当業者には明らかになるので、そのように限定すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8