(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エッチング液供給機構は、前記フッ酸供給機構から供給された前記フッ酸溶液が前記液溜め部に溜められた状態で、前記基板に前記エッチング液を供給することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
前記処理室内において、前記基板スピン機構の周囲には、内側液溜めカップと、この内側液溜めカップの外側に外側液溜めカップを有し、前記内側液溜めカップが前記液溜め部を構成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
1枚の前記基板の処理に使用された前記使用済みエッチング液と、前記フッ酸溶液とを、前記液溜め部にて混合し、前記リン酸を再生する請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置は、
図1に示すように構成される。
【0013】
図1において、基板処理装置は、エッチング液生成槽10、エッチング液貯留槽20、スピン処理ユニット30(エッチング処理部、リン酸再生部)、及びリン酸回収槽50(リン酸回収部)を有している。また、基板処理装置は、リン酸供給部12、水供給部13及びシリカ供給部14を有している。リン酸供給部12が所定濃度のリン酸溶液(H
3PO
4)を、水供給部13が純水(H
2O)を、シリカ供給部14がコロイダルシリカ(SiO
2)を、それぞれエッチング液生成槽10に供給する。エッチング液生成槽10にはヒータユニット11が設けられている。エッチング液生成槽10において、リン酸供給部12、水供給部13及びシリカ供給部14からそれぞれ適量供給されるリン酸溶液(H
3PO
4)、純水(H
2O)及びコロイダルシリカ(SiO
2)が混合され、ヒータユニット11による加熱によって所定の温度に維持される。所定の温度環境のもとでリン酸溶液(H
3PO
4)、純水(H
2O)及びコロイダルシリカ(SiO
2)が混合されて、リン酸及びシリコン成分を含むエッチング液が生成される。
【0014】
なお、シリカ供給部14から適量のコロイダルシリカ(SiO
2)をエッチング液(リン酸溶液)に添加してエッチング液中のシリコン濃度を調整することにより、エッチング処理される半導体ウェーハに形成された窒化膜(Si
3N
4)と酸化膜(SiO
2)との選択比を所定範囲に維持するようにしている。
【0015】
エッチング液生成槽10に対して循環経路が設けられ、その循環経路中に、ポンプ15、切替え弁16及び濃度検出器17が設けられている。この循環経路には更にヒータ(図示略)が設けられており、ポンプ15の動作によって、エッチング液生成槽10内のエッチング液が所定温度に維持された状態で切替え弁16及び濃度検出器17を介してエッチング液生成槽10に戻される。このようなエッチング液の循環により、エッチング液生成槽10内では、前記リン酸溶液(H
3PO
4)、純水(H
2O)及びコロイダルシリカ(SiO
2)が撹拌混合される。また、循環経路中に設けられた濃度検出器17による濃度検出情報に基づいて、生成されるエッチング液中のリン酸濃度が管理制御装置100によって監視される。切替え弁16は、前記循環経路と、エッチング液生成槽10からエッチング液貯留槽20への経路とを切り換える。切替え弁16によってエッチング液貯留槽20側の経路に切り替えられた状態でのポンプ15の動作によって、エッチング液生成槽10で生成されるエッチング液がエッチング液貯留槽20に供給されて溜められる。
【0016】
エッチング液貯留槽20には、ヒータユニット21が設けられ、エッチング液生成槽10から供給されて溜められたエッチング液が所定温度に維持される。エッチング液貯留槽20に対して循環経路が設けられている。この循環経路中には、開閉弁22a、ポンプ23、流量計24、切替え弁25、開閉弁22b及び冷却器26が設けられている。また、図示されてはいないが、循環経路のポンプ23と切替え弁25との間の経路部分にはヒータが設けられている。開閉弁22a,22bが開放された状態で、エッチング液貯留槽20に所定温度に維持されつつ溜められたエッチング液が、ポンプ23の動作により、循環経路(流量計24、切替え弁25、冷却器26)を通ってエッチング液貯留槽20に戻される。このようなエッチング液の循環により、エッチング液貯留槽20に溜められるエッチング液の温度及び濃度が一定条件に調整される。切替え弁25は、前記循環経路と、エッチング液貯留槽20からスピン処理ユニット30への経路とを切り換える。切替え弁25によってスピン処理ユニット30側の経路に切り替えられた状態でのポンプ23の動作によって、エッチング液貯留槽20に溜められたエッチング液がスピン処理ユニット30に供給される。
【0017】
スピン処理ユニット30(エッチング処理部、リン酸再生部)は処理室31を有し、処理室31内に、半導体ウェーハWを回転させる基板スピン機構32が設けられるとともに、基板スピン機構32に対向するよう配置されたエッチング液噴出ノズル34(エッチング液供給機構)、リンス液噴出ノズル35及びフッ酸噴出ノズル36が設けられている。また、処理室31内に、基板スピン機構32の周囲に配置されるようにセパレートカップ機構33(液溜め部)が設けられている。セパレートカップ機構33は、内側液溜めカップ33c及びその外側に配置された外側液溜めカップ33aを有し、内側液溜めカップ33cと外側液溜めカップ33aとの境界部にセパレータ33bが設けられている。セパレータ33bは、アクチュエータ(図示略)によって所定の範囲内において上昇動及び下降動を行う。エッチング液噴出ノズル34には、前述したエッチング液貯留槽20から切替え弁25を介してスピン処理ユニット30側に延びる経路が接続されている。また、基板処理装置は、リンス液供給部41及びフッ酸供給部42を有しており、リンス液供給部41からリンス液(例えば、純水)がリンス液噴出ノズル35に供給され、フッ酸供給部42から所定濃度のフッ酸溶液(HF)がフッ酸噴出ノズル36(フッ酸供給機構)に供給される。
【0018】
内側液溜めカップ33cから延びる経路が開閉弁37a及びポンプ38を介してリン酸回収槽50に至っている。また、外側液溜めカップ33aから延びる経路が開閉弁37bを介して廃液槽(図示略)に至っている。
【0019】
後述するようなリン酸再生の処理によりスピン処理ユニット30(リン酸再生部)の内側液溜めカップ33cに溜まったリン酸溶液(H
3PO
4)が、ポンプ38の動作により開閉弁37aを介してリン酸回収槽50に供給される。リン酸回収槽50にはヒータユニット51が設けられており、リン酸回収槽50に溜められたリン酸溶液が所定温度に維持される。リン酸回収槽50からエッチング液生成槽10にポンプ52を介して経路が延びており、ポンプ52の動作によって、リン酸回収槽50からリン酸溶液がその経路を通ってエッチング液生成槽10に戻される。
【0020】
なお、前述したようなエッチング液の温度、流量、濃度等の管理とともに、各ポンプ、各種弁、各切替え弁、各種ヒータの動作、スピン処理ユニット30の動作及びスピン処理ユニット30に対する半導体ウェーハWの供給及び排出を行う機構等の各部の動作は、管理制御装置100によって制御される。
【0021】
上述した基板処理装置では、管理制御装置100での管理及び制御のもと、次のようにして半導体ウェーハWに対する処理が行われる。
【0022】
エッチング液生成槽10においてリン酸溶液(H
3PO
4)、純水(H
2O)及びコロイダルシリカ(SiO
2)が混ざり合って生成されるエッチング液が、高い温度(例えば、160℃程度)に調整されつつ、所定のタイミングでエッチング液貯留槽20に移される。これにより、エッチング液貯留槽20は、常時、エッチング液が溜められた状態にある。エッチング液貯留槽20に溜められたエッチング液は高い温度(例えば、160℃程度)に調整されており、その高い温度に調整されたエッチング液がスピン処理ユニット30に供給される。
【0023】
スピン処理ユニット30(処理室31)では、1枚ずつ半導体ウェーハWが供給され、その供給されたそれぞれの半導体ウェーハWに対してエッチング処理が行われる。具体的には、
図2に示すように、供給された半導体ウェーハWが基板スピン機構32にセットされ、基板スピン機構32によって半導体ウェーハWが回転される。半導体ウェーハWが回転している状態で、エッチング液貯留槽20から供給される高い温度(例えば、160℃程度)に調整されたエッチング液がエッチング液噴出ノズル34から噴出する。エッチング液噴出ノズル34から噴出するエッチング液が回転する半導体ウェーハWの表面に与えられ、半導体ウェーハWに対するエッチング処理が行われる。
【0024】
そのエッチング処理では、高温のエッチング液(リン酸H
3PO
4、コロイダルシリカSiO
2、H
2Oを含む)が半導体ウェーハWに作用して、リン酸溶液の存在下で水蒸気(H
2O)と窒化膜(Si
3N
4)とが反応し、窒化膜(Si
3N
4)が除去されてリン酸アンモニウム([NH
4+]
3[PO
43-])及び二水素ケイ酸(H
2SiO
3)が析出される。そして、前記エッチング処理に供されたエッチング液、即ち、使用済みエッチング液LETC(リン酸アンモニウム([NH
4+]
3[PO
43-])及び二水素ケイ酸(H
2SiO
3)を含む)が、半導体ウェーハWの回転によって飛散し、その飛散したエッチング液LETCが上昇位置に調整されたセパレータ33bによって内側液溜めカップ33cに導かれて、溜められる。
【0025】
このようにして1枚の半導体ウェーハWに対するエッチング処理が終了すると、エッチング液噴出ノズル34からのエッチング液の噴出が止められ、
図3に示すように、セパレータ33bが下降位置に調整された状態で、リンス液供給部41から供給されるリンス液(例えば、純水)がリンス液噴出ノズル35から噴出する。リンス液噴出ノズル35から噴出するリンス液によって回転する半導体ウェーハWの表面が洗浄される。基板スピン機構32によって高速に回転する半導体ウェーハWを洗浄して飛散するリンス液が、内側液溜めカップ33cを越えて、外側液溜めカップ33aに、内側液溜めカップ33cに既に溜められた使用済みエッチング液LETCとは分離されて回収される。
【0026】
半導体ウェーハWのリンス処理が終了すると、リンス液噴出ノズル35からのリンス液の噴出が止められ、その半導体ウェーハWは、乾燥等の工程を経て処理室31から退出させられる。そして、処理室31内は、1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCが内側液溜めカップ33cに溜められた状態になる。
【0027】
その後、
図4に示すように、内側液溜めカップ33cに溜められた、1枚の半導体ウェーハを処理した分の使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液(HF)がフッ酸供給部42から供給されてフッ酸噴出ノズル36から噴出する。前記1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCに対して供給されるフッ酸溶液(HF)の量は、予め実験等によって決定される。
【0028】
フッ酸噴出ノズル36から噴出するフッ酸溶液(HF)は、高温(例えば、160℃程度)の使用済みエッチング液LETCが溜められて高温環境となる内側液溜めカップ33cに、霧状に、あるいは、その高温環境によって一部または全部が蒸気になって与えられる。内側液溜めカップ33cでは、使用済みエッチング液LETC(リン酸アンモニウム([NH
4+]
3[PO
43-])及び二水素ケイ酸(H
2SiO
3)を含む)とフッ酸溶液(HF)とが所定の高温環境のもとで混合して反応し、フッ化物成分が気散(気体状になって発散する)してリン酸(H
3PO
4)が溶液として再生される。
【0029】
上述したようにスピン処理ユニット30(処理室31)の内側液溜めカップ33cにおいて再生されたリン酸溶液(H
3PO
4)が、開閉弁37aが開放された状態でポンプ38(
図1参照)が動作することにより、リン酸回収槽50に供給される。前述したリン酸溶液(H
3PO
4)の再生処理及びそのリン酸溶液のスピン処理ユニット30(内側液溜めカップ33c)からリン酸回収槽50への転送は、1枚の半導体ウェーハWのエッチング処理が終了する毎に行われる。そして、リン酸回収槽50に順次溜められるリン酸溶液(H
3PO
4)は、ヒータユニット51によって所定の温度に調整されつつ、所定のタイミングでのポンプ52の動作によって、エッチング液生成槽10に戻される。
【0030】
上述した基板処理装置によれば、バッチ式のような大きなエッチング槽を必要とせず、スピン処理ユニット30によって1枚ずつ半導体ウェーハWのエッチング処理を行うことができる。また、スピン処理ユニット30において半導体ウェーハWのエッチング処理が終了した後に、内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCに、その使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液が与えられるので、別途大きな設備を用いることなく、スピン処理ユニット30を利用して1枚の半導体ウェーハを処理した分の使用済みエッチング液LETCと適量のフッ酸溶液とを効率的に反応させてリン酸(H
3PO
4)を再生することができる。特に、もともと高温(例えば、160℃程度)に調整された使用済みエッチング液LETCは内側液溜めカップ33cにおいても高い温度状態にあるので、フッ酸溶液を霧状または蒸気状にして与えることで、使用済みエッチング液LETC及びフッ酸溶液の反応性が高くなる。そして、高温状態の使用済みエッチング液LETCが溜められた内側液溜めカップ33c内の高温環境によって反応後のフッ化物成分(例えば、H
2SiF
6)やアンモニア成分(NH
3)が即座に気散し易くなり、更に効率的にリン酸を再生することができる。
【0031】
なお、前述した第1の実施の形態(
図2〜
図4参照)に係る基板処理装置では、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCに、その使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液が与えられたが、本発明は、これに限定されない。例えば、スピン処理ユニット30において2枚以上の所定枚数の半導体ウェーハWが1枚ずつ順次エッチング処理される過程で内側液溜めカップ33cに溜められた使用済みエッチング液LETCに、その所定枚数の半導体ウェーハWのエッチング処理に要したその使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液を与えるようにすることもできる。なお、前記所定枚数は、当該所定枚数の半導体ウェーハWをエッチング処理した分の使用済みエッチング液LETCとその使用済みエッチング液LETCの量に対する適量のフッ酸溶液LHFとを混ぜた全体の量が内側液溜めカップ33cの容量を越えない範囲で定められる。
【0032】
このように、1枚ずつ所定枚数の半導体ウェーハWを処理した使用済みエッチング液LETCにその使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液を混ぜる場合、前記所定枚数の半導体ウェーハWのエッチング処理が完了するまで、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに使用済みエッチング液LETCが順次溜められていく。このため、フッ酸溶液を添加するまでに内側液溜めカップ33cの前記使用済みエッチング液LETCの温度が低下してしまうのを防止する観点から、内側液溜めカップ33cにヒータを設けることが好ましい。
【0033】
上述した基板処理装置では、例えば、
図5に示すようにして、スピン処理ユニット30内でリン酸溶液(H
3PO
4)を再生することもできる(第1の実施の形態の変形例)。
【0034】
スピン処理ユニット30において、セパレータ33bが上昇位置に調整された状態で、内側液溜めカップ33cに、1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液の量に対して適量のフッ酸溶液LHF(HF)が予め溜められる。この状態で、スピン処理ユニット30において、基板スピン機構32によって回転される半導体ウェーハWにエッチング液貯留槽20から供給される高い温度(例えば、160℃程度)に調整されたエッチング液がエッチング液噴出ノズル34からかけられて半導体ウェーハWのエッチング処理が行われる。その過程で、回転する半導体ウェーハWの表面から飛散する使用済みエッチング液が、既にフッ酸溶液LHF(HF)が溜められた内側液溜めカップ33cに入り、内側液溜めカップ33cにおいて使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが混ざり合って前述したのと同様に反応し、リン酸(H
3PO
4)が再生される。
【0035】
このように、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33c内で少量の使用済みエッチング液(1枚の基板を処理する分の使用済みエッチング液)と少量のフッ酸とが反応するようにしているので、別途大きな設備を用いることなく、スピン処理ユニット30を利用して1枚の半導体ウェーハを処理した分の使用済みエッチング液と適量のフッ酸溶液LHFとを効率的に反応させてリン酸(H
3PO
4)を再生することができる。特に、内側液溜めカップ33cに溜められたフッ酸溶液LHFに対して高い温度の使用済みエッチング液が与えられるので、使用済みエッチング液LETC及びフッ酸溶液の反応性が高く、高温状態の使用済みエッチング液LETCの噴出により作られた高温環境によってフッ化物成分やアンモニア成分が即座に気散し易くなり、更に、効率的にリン酸を再生することができる。
【0036】
なお、前述した変形例に係る基板処理装置(
図5参照)では、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液LHFが予め溜められていたが、本発明は、これに限定されない。例えば、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに、2枚以上の所定枚数の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液LHFを予め溜めておき、所定枚数の半導体ウェーハWの処理が終了するまで、1枚ずつ半導体ウェーハWを処理する毎に、その使用済みエッチング液LETCを内側液溜めカップ33cに溜められた前記フッ酸溶液LHFに与えるようにすることもできる。前記所定枚数は、当該所定枚数の半導体ウェーハWを処理した使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液LHFと当該使用済みエッチング液LETCとを混ぜた全体の量が内側液溜めカップ33cの容量を越えない範囲で定められる。
【0037】
本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の要部は、
図6に示すように構成される。この基板処理装置では、スピン処理ユニット30内でリン酸の再生が行われるのではなく、スピン処理ユニット30の外部でリン酸の再生が行われる。
【0038】
図6において、スピン処理ユニット30の後段に再生処理槽60が設けられている。再生処理槽60には、使用済みエッチング液噴出ノズル63(使用済みエッチング供給機構)が設けられている。使用済みエッチング液噴出ノズル63には、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cから延びる経路が接続されており、その経路に開閉弁37a及びポンプ38が設けられている。また、再生処理槽60とリン酸回収槽50(
図1参照)が経路によって接続され、その経路中に開閉弁61及びポンプ62が設けられている。この基板処理装置は、前述した例(
図1参照)と同様に、フッ酸供給部42(フッ酸供給機構)を有しており、このフッ酸供給部42からフッ酸溶液(HF)が、スピン処理ユニット30ではなく、再生処理槽60に供給される。
【0039】
なお、フッ酸供給部42からフッ酸溶液(HF)が再生処理槽60に供給されるので、スピン処理ユニット30には、前述した例(
図1参照)のようにフッ酸噴出ノズル36が設けられてはいない。また、この基板処理装置は、
図1に示す例と同様に、エッチング液を生成する機構(エッチング液生成槽10、リン酸供給部12、水供給部13、シリカ供給部14を含む)、エッチング液を溜めてスピン処理ユニット30に送る機構(エッチング液貯留槽20を含む)、再生されたリン酸溶液を溜めてエッチング液生成槽10に戻す機構(リン酸回収槽50を含む)を有している。
【0040】
上述した本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置では、1枚の半導体ウェーハWを処理する分のエッチング液の量に対するフッ酸溶液LHF(HF)の量は、例えば、半導体ウェーハWに形成される窒化膜(Si
3N
4)を処理したときに、エッチング液中に溶け込んだSi成分の濃度に対してフッ素(F)の当量が6倍程度となるような量(適量)に決められ、そのような量(適量)のフッ酸溶液LHF(HF)が予め再生処理槽60に溜められている。この状態で、スピン処理ユニット30において半導体ウェーハWのエッチング処理が終了すると、開閉弁37aが開状態に切換えられ、ポンプ38の動作により、内側液溜めカップ33cに溜まった高温状態(例えば、160℃程度)の使用済みエッチング液LETCが再生処理槽60に供給される。再生処理槽60では、スピン処理ユニット30から供給される使用済みエッチング液LETCが使用済みエッチング液噴出ノズル63から噴出する。その高温状態の使用済みエッチング液は、霧状に、あるいは、その高温によって一部または全部が蒸気状になって、再生処理槽60に溜められたフッ酸溶液LHFに与えられる。再生処理槽60では、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが所定の高温環境のもとで混合して反応し、フッ化物成分やアンモニア成分が気散してリン酸(H
3PO
4)が再生される。
【0041】
なお、適量のフッ酸溶液(HF)は、再生処理槽60においてできるだけ広い表面積の状態で、かつ、できるだけ浅い状態で溜められることが、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが混合し易いという点で好ましい。
【0042】
再生処理槽60における使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとの混合によってリン酸の再生がなされたと見込まれるタイミングで開閉弁61が開放され、再生処理槽60において再生されたリン酸溶液(H
3PO
4)は、ポンプ62の動作により、リン酸回収槽50(
図1参照)に供給される。そして、前述したのと同様に、リン酸回収槽50からエッチング液生成槽10に戻される。開閉弁61の開放タイミングは、予め実験等で決定される。
【0043】
このような基板処理装置によれば、第1の実施の形態(
図1乃至
図4参照)と同様に、バッチ式のような大きなエッチング槽を必要とせず、スピン処理ユニット30によって1枚ずつ半導体ウェーハWのエッチング処理を行うことができる。また、予めフッ酸溶液LHFが溜められた再生処理槽60にスピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の量の使用済みエッチング液LETCが供給され、再生処理槽60において、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが反応してリン酸が再生されるので、1枚分の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCとそれに対して適量のフッ酸溶液LHFを溜めることのできる程度の大きさの再生処理槽60を用いて、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとを効率的に反応させて、リン酸を再生することができる。特に、再生処理槽60に溜められたフッ酸溶液LHFに高い温度の使用済みエッチング液LETCを霧状または蒸気状にして与えているので、使用済みエッチング液LETC及びフッ酸溶液LHFの反応性が高く、高温状態の使用済みエッチング液LETCの噴出により作り出される高温環境によってフッ化物成分やアンモニア成分が即座に気散し易くなり、更に、効率的にリン酸を再生することができる。
【0044】
なお、前述した第2の実施の形態(
図6参照)に係る基板処理装置では、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCを、再生処理槽60に溜められた前記使用済みエッチング液LETCに対して適量のフッ酸溶液LHFに、霧状または蒸気状にして与えているが、本発明は、これに限定されない。例えば、2枚以上の所定枚数の半導体ウェーハWをエッチング処理した分の使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液を予め再生処理槽60に溜めておき、スピン処理ユニット30において前記所定枚数の半導体ウェーハWが1枚ずつ順次エッチング処理される過程で内側液溜めカップ33cに溜められた使用済みエッチング液LETCを霧状または蒸気状にして再生処理槽60に溜められた前記フッ酸溶液に与えるようにすることもできる。前記所定枚数は、当該所定枚数の半導体ウェーハWのエッチング処理した分の使用済みエッチング液LETCの量が内側液溜めカップ33cの容量を越えない範囲で定められる。
【0045】
この場合も、内側液溜めカップ33cに予め溜められた使用済みエッチング液LETCの温度低下を防止する観点から、内側液溜めカップ33cにヒータを設けることが好ましい。
【0046】
また、前述した第2の実施の形態に係る基板処理装置では、再生処理槽60内に予めフッ酸溶液LHF(HF)を溜めておき、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた使用済みエッチング液LETCを霧状または蒸気状にして再生処理槽60内に噴出するようにしたが、本発明は、これに限られない。例えば、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた使用済みエッチング液LETCを予め再生処理槽60に供給して溜めておき、この状態で、フッ酸溶液LHFを霧状または蒸気状にして再生処理槽60内に噴出するようにしてもよい。この場合も、1枚の半導体ウェーハを処理した分の使用済みエッチング液LETCは、再生処理槽60においてできるだけ広い表面積の状態で、かつ、できるだけ浅い状態で溜められることが、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが混合し易いという点で好ましい。
【0047】
本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の要部は、
図7に示すように構成される。この基板処理装置も、スピン処理ユニット30内でリン酸の再生が行われるのではなく、スピン処理ユニット30の外部に設けられた再生処理槽60においてリン酸の再生が行われる。
図7に示す要部を備えた基板処理装置は、再生処理槽60にフッ酸噴出ノズル64(フッ酸供給機構)が設けられている点で、第2の実施の形態に係る基板処理装置(
図6参照)で異なっている。
【0048】
このような基板処理装置では、スピン処理ユニット30において半導体ウェーハWのエッチング処理が終了すると、開閉弁37aが開状態に切換えられ、ポンプ38の動作により、内側液溜めカップ33cに溜まった使用済みエッチング液LETCが再生処理槽60に供給される。また、同時に、フッ酸供給部42からフッ酸溶液(HF)が再生処理槽60に供給される。再生処理槽60では、スピン処理ユニット30から供給される高温状態(例えば、160℃程度)の使用済みエッチング液LETCが使用済みエッチング液噴出ノズル63から霧状に、あるいは、その高温によって一部または全部が蒸気状になって噴出し、同時に、フッ酸供給部42から供給されるフッ酸溶液(HF)がフッ酸ノズル64から、液状にて、好ましくは霧状になって、噴出する。そして、高温状態の霧状または蒸気状の使用済みエッチング液LETCと、その高温状態の使用済みエッチング液LETCが噴出することにより作られる高温環境によって全部または一部が蒸気化するフッ酸溶液とがその高温環境のもとで混ざり合って反応し、フッ化物成分やアンモニア成分が気散してリン酸(H
3PO
4)が再生される。
【0049】
なお、霧状となる用済みエッチング液LETC及びフッ酸溶液(HF)のそれぞれの粒径は、できるだけ小さいことが、混合し易く、高い反応性を呈し得るという点で好ましい。
【0050】
このような基板処理装置によれば、第1の実施の形態(
図1乃至
図4参照)及び第2の実施の形態(
図6参照)と同様に、バッチ式のような大きなエッチング槽を必要とせず、スピン処理ユニット30によって1枚ずつ半導体ウェーハWのエッチング処理を行うことができる。また、再生処理槽60において、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の量の使用済みエッチング液LETCとそのエッチング液の量に対して適量のフッ酸溶液LHFとが霧状または蒸気状になって反応してリン酸が再生されるので、第2の実施の形態と同様に、比較的小さい再生処理槽60を用いて、使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとを効率的に反応させて、リン酸を再生することができる。特に、再生処理槽60に霧状または蒸気状の使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが所定の高温環境で混合されているので、反応性が高く、高温環境によってフッ化物成分やアンモニア成分が即座に気散し易くなり、更に、効率的に反応させてリン酸を再生することができる。
【0051】
なお、前述した第3の実施の形態(
図7参照)に係る基板処理装置では、スピン処理ユニット30の内側液溜めカップ33cに溜められた1枚の半導体ウェーハWを処理した分の使用済みエッチング液LETCと、その使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液LHFとが、再生処理槽60内で、霧状または蒸気状にて混ざり合って反応するものであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、スピン処理ユニット30において2枚以上の所定枚数の半導体ウェーハWが1枚ずつ順次エッチング処理される過程で内側液溜めカップ33cに溜められた使用済みエッチング液LETCと、その使用済みエッチング液LETCの量に対して適量のフッ酸溶液LHFとが、再生処理槽60内で、霧状または蒸気状にて混ざり合って反応するものであってもよい。前記所定枚数は、当該所定枚数の半導体ウェーハWのエッチング処理した分の使用済みエッチング液LETCの量が内側液溜めカップ33cの容量を越えない範囲で定められる。
【0052】
この場合も、内側液溜めカップ33cに予め溜められた使用済みエッチング液LETCの温度低下を防止する観点から、内側液溜めカップ33cにヒータを設けることが好ましい。
【0053】
本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置の要部は、
図8に示すように構成される。この基板処理装置は、前述した各基板処理装置のように、半導体ウェーハWを1枚ずつ処理する枚葉式のものではなく、複数の半導体ウェーハWを一括して処理するバッチ式のものである。
【0054】
図8において、この基板処理装置は、バッチ処理槽70(エッチング処理部)と、再生処理槽80とを有している。バッチ処理槽70は、リン酸溶液(H
3PO
4)、純水(H
2O)及びコロイダルシリカ(SiO
2)を混合してエッチング液を生成するエッチング液生成槽(
図1におけるエッチング液生成槽10に相当)に接続されている。そして、バッチ処理槽70には、所定の枚数の半導体ウェーハWをエッチング処理するに十分なエッチング液がエッチング液生成槽から供給されて溜められる。バッチ処理槽70にはヒータユニット71が設けられ、溜められたエッチング液が所定の温度に維持される。
【0055】
基板処理装置は、更に、フッ酸供給部84を有している。再生処理槽80には、使用済みエッチング液噴出ノズル81及びフッ酸噴出ノズル82が設けられている。使用済みエッチング液噴出ノズル81はバッチ処理槽70と開閉弁72を介して接続され、フッ酸噴出ノズル82はフッ酸供給部84に接続されている。また、再生処理槽80の底部から延びる2つの経路のうち一方は、開閉弁86aを介してリン酸回収槽(
図1に示すリン酸回収槽50に相当)に接続され、他方は、開閉弁86bを介して廃液槽に接続されている。
【0056】
このような基板処理装置では、バッチ処理槽70において、所定枚数の半導体ウェーハWに対するエッチング処理が一括的に行われる。所定の枚数を単位として行われる半導体ウェーハWに対するエッチング処理が繰り返し行われる過程で、例えば、各半導体ウェーハWのエッチングレートが所定範囲に維持されるように、エッチング液生成槽から新たに生成されるエッチング液が所定のタイミングでバッチ処理槽70に供給される。また、開閉弁72が所定のタイミングで所定時間開放されることによりバッチ処理槽70から使用済みエッチング液LETCが再生処理槽80に供給される。
【0057】
再生処理槽80では、バッチ処理槽70から所定のタイミングで所定時間供給される高温状態(例えば、160℃程度)の使用済みエッチング液LETCが使用済みエッチング液噴出ノズル81から霧状に、あるいは、その高温によって一部または全部が蒸気状になって噴出し、それに同期して、フッ酸供給部84から供給されるフッ酸溶液LHFがフッ酸噴出ノズル82から、液状にて、好ましくは霧状になって噴出する。そして、それら霧状または蒸気状の使用済みエッチング液LETCと、その高温状態の使用済みエッチング液LETCが噴出することにより作られる高温環境によって全部または一部が蒸気化するフッ酸溶液LHFとがその高温環境のもとで混ざり合って反応し、フッ化物成分やアンモニア成分が気散してリン酸(H
3PO
4)が再生される。
【0058】
再生処理槽80において再生されたリン酸溶液は、リン酸回収槽に供給され、リン酸回収槽から更にエッチング液生成槽に戻される。
【0059】
上述した基板処理装置によれば、バッチ処理槽70において所定枚数の半導体ウェーハWの一括的なエッチング処理に多くの量のエッチング液を用いたとしても、再生処理槽80において使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとが霧状または蒸気状にて混合し、反応し合うので、複数の半導体ウェーハWに対するエッチング処理後の全ての量の使用済みエッチング液LETCとフッ酸溶液LHFとを溜めて反応させる設備を用いることなく、使用済みエッチング液とフッ酸溶液とを効率的に反応させてリン酸を再生することができる。
【0060】
なお、第2の実施の形態(
図6参照)、第3の実施の形態(
図7参照)及び第4の実施の形態(
図8参照)では、使用済みエッチング液噴出ノズル63、81から使用済みエッチング液LETCが霧状または蒸気状になって噴出するものであったが、使用済みエッチング液LETCは、霧状や蒸気状になることなく、液状のまま噴出するものであってもよい。