(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アレイコントローラは、前記複数の行の第2の行および前記複数の組の列の第2の組に関連した磁束の再蓄積中である所定の再蓄積時間の間に、前記複数の組の列の第1の組によって、前記複数の行の第1の行からのデータの読み出し、または前記複数の行の第1の行へのデータの書き込みを制御するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
前記アレイコントローラは、前記複数の行の第1の行および前記複数の組の列の第1の組の磁束の再蓄積に関連した所定の再蓄積時間の終了後に、前記複数の組の列の第1の組によって、前記複数の行の第1の行からのデータの読み出し、または前記複数の行の第1の行へのデータの書き込みを制御するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、広くは、量子および古典超伝導デジタル回路(quantum and classical digital superconducting circuits)に関し、特に、量子メモリシステムにおけるタイミング制御に関するものである。量子メモリシステムは、行と列に配列された量子メモリセルのアレイを有し得る。量子メモリセルは、超伝導ジョセフソン接合メモリ素子を実現する様々に異なるタイプのメモリセルのいずれかとして構成することができる。量子メモリシステムは、さらに、量子メモリセルアレイからのデータの読み出し、および量子メモリセルアレイへのデータの書き込みに関する、量子メモリセルアレイへのアクセスを制御するように構成されたアレイコントローラを有する。アレイコントローラは、(例えば、メモリコントローラからの)メモリ要求信号を受信するアドレスコントローラを含むことができ、これは、メモリ要求信号に応じて、アドレス指定信号を、量子メモリセルアレイにアクセスするための書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流およびビット書き込み電流)ならびに読み出し電流(例えば、ワード読み出し電流およびビット読み出し電流)を供給するように構成された複数のフラックスポンプ(flux pump)に供給することができる。従って、量子メモリセルアレイには、フラックスポンプから供給される極めて低振幅の電流信号に基づいて、書き込みオペレーションおよび読み出しオペレーションのためのアクセスが可能である。
【0008】
さらに、アレイコントローラは、書き込みオペレーションおよび読み出しオペレーションに関連したタイミングパラメータを制御するように構成された少なくとも1つのタイミングコントローラを含むことができる。一例として、タイミングコントローラは、供給中の書き込み電流および/または読み出し電流に基づき、または所与のフラックスポンプ群での磁束再蓄積に関連した所定の時間に基づいて、量子メモリセルアレイの所与の行もしくは列群へのアクセスが禁止されることを補償するために、フラックスポンプを監視することができる。例えば、タイミングコントローラは、タイマと比較器とを含むことができ、比較器は、関連したワード線およびビット線がビジーであること、または関連したフラックスポンプに関して磁束が不十分であることに基づいて、選択された量子メモリセル群へのアクセスを禁止するために、時間および選択された行もしくは列群のうちの少なくとも一方を、既に選択された1つ以上の行および列群と比較するように構成される。従って、メモリシステムは、ジョセフソンメモリシステムにおけるメモリアクセス競合を回避することが可能であり、例えば、メモリ要求をキューイングすることによって、または要求されたメモリセル群が使用不可能であると判断されたことに応じて使用可能メモリにアクセスするためのメモリ要求信号を供給することによって、より効率的に動作することができる。
【0009】
図1は、メモリシステム10の一例を示している。メモリシステム10は、超伝導コンピュータシステムまたはハイブリッド古典および超伝導コンピュータシステムなど、様々なコンピューティング用途におけるメモリ構造として具体化することができる。メモリシステム10は、量子メモリシステム16にメモリ要求信号REQを送信するとともに量子メモリシステム16からメモリアクセス信号MEMを受信するように構成されたメモリコントローラ14を備える。一例として、量子メモリシステム16は、キャッシュ、バッファ、および他の周知のメモリシステムに対して階層型メモリ群に編成された量子メモリシステム群のうちの1つの量子メモリシステムであり得る。
図1の例では、メモリコントローラ14は、メモリシステム10がインタフェースすることが可能な中央処理装置(CPU)からのものなど、メモリアクセスに関連したコンピューティング信号COMを受信および/または送信することができる。例えば、メモリシステム10は、フィールドプログラマブルゲートアレイなどの任意の周知の演算装置をサポートし得る。一例として、コンピューティング信号COMは、READ信号、WRITE信号、およびビジー信号を含むことができる。従って、コンピューティング信号COMに基づいて、メモリ要求信号REQおよびメモリアクセス信号MEMを供給することができる。
【0010】
図1の例では、量子メモリシステム16は、少なくとも1つの量子メモリセルアレイ18を有する。各々の量子メモリセルアレイ18は、行と列に配列された複数の量子メモリセルを含み得る。本明細書で記載する場合の「量子メモリセル」という用語は、磁気ジョセフソン接合(群)(例えば、ジョセフソン磁気ランダムアクセスメモリ(JMRAM:Josephson Magnetic Random Access Memory)セル(群))、超伝導回路(群)、および/または量子ビット(群)のような、それとの相互作用を磁束量子によって与えられることが可能な少なくとも1つの量子演算素子を含むアドレス可能なセルを指す。メモリ要求信号REQは、コンピューティング信号COMに応じるなどした、量子メモリセルアレイ(群)18からのデータの読み出しまたは量子メモリセルアレイ(群)18へのデータの書き込みのための、量子メモリシステム16に関連した量子メモリセルアレイ(群)18の部分(例えば、量子メモリセル群の行のうちの選択された行)へのアクセスの要求に相当し得る。一例として、メモリ要求信号REQは、量子メモリセルアレイ(群)18に対して同じくメモリ要求信号REQで指示される選択された行に書き込まれる予定のデータを含み得る。他の例として、メモリアクセス信号MEMは、読み出しオペレーションにおいて選択された行から読み出されたデータに相当し得る。
【0011】
量子メモリシステム16は、さらに、量子メモリセルアレイ(群)18へのアクセスを制御するように構成されたアレイコントローラ20を有する。
図1の例では、アレイコントローラ20は、アドレスコントローラ22と、複数のフラックスポンプ24と、少なくとも1つのタイミングコントローラ26と、を含む。アドレスコントローラ22は、メモリ要求信号REQを受信するとともに、それらを、量子メモリセルアレイ(群)18の特定の行および列に対応したアドレス情報として処理するように構成することができる。フラックスポンプ24は、量子メモリセルアレイ(群)18の行および列にアクセスするための書き込み電流および読み出し電流を、それぞれ書き込みオペレーションおよび読み出しオペレーションの際に生成するように構成される。一例として、それらのフラックスポンプ24の各々は、行または列の導体に供給される準DC/永久電流に基づくなどして、磁束エネルギーを蓄積するように構成された蓄積インダクタを含むことができ、その磁束エネルギーを、書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流もしくはビット書き込み電流)または読み出し電流(例えば、ワード読み出し電流もしくはビット読み出し電流)の対応する一方として放出することが可能である。フラックスシャトルループのように、フラックスシャトルループのジョセフソン接合をクロックに基づき順次トリガすることにより磁束量子をループに周回させることによって供給される漸増電流パルスにより磁束エネルギーがインダクタに蓄積されることによるなど、様々な形態で磁束エネルギーをフラックスポンプ24に蓄積することができる。タイミングコントローラ(群)26は、書き込み電流および読み出し電流の印加に関して、量子メモリセルアレイ(群)18への既アクセスに関連したタイミング、ならびに磁束エネルギー(例えば、本明細書で記載される「フラックス」)の再蓄積のための所定の時間、を監視するように構成することができる。従って、タイミングコントローラ(群)26は、選択された部分への既アクセスに関連した所定の時間の終了に基づき、または量子メモリセルアレイ(群)18の部分(例えば、量子メモリセルアレイ(群)18の列群に関連したビット線)に関連した磁束再蓄積に関連した所定の時間に基づいて、量子メモリセルアレイ(群)18の選択された部分(例えば、量子メモリセル群の選択された行)へのアクセスを提供するように構成することができる。
【0012】
図2は、量子メモリシステム50の一例を示している。量子メモリシステム50は、
図1の例における量子メモリシステム16に相当し得る。従って、
図2の例の以下の説明では、
図1の例を参照する。
【0013】
量子メモリシステム50は、メモリコントローラ14から供給されるメモリ要求信号REQを受信するように構成されたアドレスコントローラ52を有する。アドレスコントローラ52は、メモリ要求信号REQに応じて、
図1の例における量子メモリセルアレイ(群)18のうちの1つに相当し得る量子メモリセルアレイ54において選択された行に関連したアドレス信号ADDRを生成することができる。このように、アドレス信号ADDRによって、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションのために、量子メモリセルアレイ54の所与の行を選択することができる。さらに、量子メモリセルアレイ54は、インタリーブされた複数の列群を含むことができ、各々の列群は、行のうちの所与の1行の範囲内の個別の異なるデータワードに対応している。従って、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションに際し、量子メモリセルアレイ54の行の各々における所与のデータワードにアドレスするために、アドレス信号ADDRを、複数の列群のうちの特定の列群に関連付けることもできる。
【0014】
アドレス信号ADDRは、ワード用フラックスポンプ群56およびビット用フラックスポンプ群58に供給される。ワード用フラックスポンプ群56は、量子メモリセルアレイ54の選択された行に関連付けられたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流WWLと、量子メモリセルアレイ54の選択された行に関連付けられたワード読み出し線に供給されるワード読み出し電流WRLと、を生成することができる。同様に、ビット用フラックスポンプ群58は、量子メモリセルアレイ54の列群(例えば、インタリーブされた列群のうちの選択された列群)に関連付けられたビット書き込み線に供給されるビット書き込み電流BWLと、量子メモリセルアレイ54の列群に関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流BRLと、を生成することができる。例えば、ワード用フラックスポンプ群56は、量子メモリセルアレイ54の各ワード書き込み線および各ワード読み出し線に関連付けられたフラックスポンプを含むことができ、ビット用フラックスポンプ群58は、量子メモリセルアレイ54の各ビット書き込み線および各ビット読み出し線に関連付けられたフラックスポンプを含むことができる。
【0015】
図3は、量子メモリセルアレイ100の一例を示している。量子メモリセルアレイ100は、複数の量子メモリセル102を含み、それらの各々は、それらの量子メモリセル102の各々に関連したヒステリシス磁気ジョセフソン接合の状態に基づくなどして、単一量子ビットのデータを記憶するように構成することができる。量子メモリセルアレイ100は、
図2の例における量子メモリセルアレイ54に相当し得る。従って、
図3の例の以下の説明では、
図2の例を参照する。
【0016】
図3の例では、量子メモリセル102を、行と列のアレイで配列されたものとして示している。量子メモリセル102の行のそれぞれをデータワードに対応させることができ、このとき、量子メモリセルアレイ100は、0〜Yの番号を付した複数のデータワードを含み、ここで、Yは1より大きい整数である。それらの行のそれぞれは、量子メモリセル102の群を含み、これらの量子メモリセルは、それらの行を横切って列をなし、このとき、量子メモリセルアレイ100は、0〜Xの番号を付した複数の列を含み、ここで、Xは2より大きい偶数の整数である。
図3の例では、(例えば、列0から始まる)偶数番の列を網掛けなしで示しており、(例えば、列1から始まる)奇数番の列には網掛けを付している。このように、網掛け付きの列と網掛けなしの列を、それぞれ別々の列群に対応させることができ、ひいては、量子メモリセルアレイ100の所与の行において個々にアドレス可能な個別の異なるデータワードのそれぞれに対応させることができる。従って、量子メモリセルアレイシステム100のアレイにおける量子メモリセル102の各々には、行および列群のうちの1群によって個々にアドレス可能であり得る。
【0017】
図3の例では、行のそれぞれは、関連付けられたワード書き込み線104およびワード読み出し線106を有するものとして示している。
図3の例では、ワード書き込み線104は、ワード書き込み電流WWL
0〜WWL
Yを伝送するものとして示しており、ワード読み出し線106は、ワード読み出し電流WRL
0〜WRL
Yを伝送するものとして示している。さらに、量子メモリセル102の各々は、関連付けられたビット書き込み線108およびビット読み出し線110を有するものとして示している。
図3の例では、ビット書き込み線108は、ビット書き込み電流BWL
0〜BWL
Xを伝送するものとして示しており、ビット読み出し線110は、ビット読み出し電流BRL
0〜BRLxを伝送するものとして示している。ビット書き込み線108およびビット読み出し線110は、量子メモリセルアレイ100の各行104における対応する番号のメモリセル102にそれぞれ結合することができ、これにより、各列106におけるそれらの量子メモリセル102は、ビット書き込み線108およびビット読み出し線110に関して直列に配列される。一例として、ワード書き込み線104、ワード読み出し線106、ビット書き込み線108、およびビット読み出し線110は、量子メモリセルアレイ100のそれぞれの行および列のそれぞれにおける量子メモリセル102の各々に対して、誘導結合、磁気結合、容量結合、またはその他の方法で電気的に結合することができる。
図3の例では、ワード書き込み線104およびワード読み出し線106およびビット書き込み線108およびビット読み出し線110は、それぞれの行および列における他の隣接するメモリセルと直列に配置されることを示しているが、これに代えて、ワード書き込み線104およびワード読み出し線106およびビット書き込み線108およびビット読み出し線110は、各メモリセル102に対して専用のものとすることができる。
【0018】
量子メモリセル102の各々は、単一ビットのデータを記憶するように構成される。具体的には、量子メモリセル102の各々は、2値論理「1」または2値論理「0」に相当するデジタル状態を記憶するように構成することが可能な少なくとも1つの位相ヒステリシス磁気ジョセフソン接合を含むことができる。書き込みオペレーションのためのワード書き込み線104を選択するために当該ワード書き込み線104に供給されるワード書き込み電流WWL
0〜WWL
Yのうちの1つ、および当該ビット書き込み線群108に供給されるビット書き込み電流群BWL
0〜BWL
X(例えば、偶数番または奇数番のビット書き込み電流群BWL
0〜BWL
X)に応じて、量子メモリセル102のうちの1つ以上のデジタル状態を設定することができる。同様に、読み出しオペレーションのための行104の所与の1行を選択するために当該ワード読み出し線106に供給されるワード読み出し電流WRL
0〜WRL
Yの1つ、および当該ビット読み出し線群110に供給されるビット読み出し電流群BRL
0〜BRL
Xに基づいて、それらの量子メモリセル102に記憶されている当該デジタル状態を、それらの量子メモリセル102から読み出すことができる。
【0019】
図2の例を再び参照して、関連した行の量子メモリセル102の各々のデジタル状態を特定するために、当該ビット読み出し線110のそれぞれのビット読み出し電流BRLを測定するように構成されたセンスレジスタ60に、各列のビット読み出し線110は結合される。例えば、読み出しオペレーションの際には、量子メモリセルアレイ54の行の各々を選択するためのワード読み出し電流WRL
0〜WRL
Yの1つを供給するために、アドレス信号ADDRをワード用フラックスポンプ群56に供給することができ、さらに、選択された行におけるそれぞれの量子メモリセル群(例えば、量子メモリセル群102)のデジタル状態を読み出すためのビット読み出し電流群BRL
0〜BRLxを供給するために、アドレス信号ADDRをビット用フラックスポンプ群58に供給することができる。一例として、センスレジスタ60は、メモリアクセス信号MEMを供給するために、ビット読み出し線110に関連した電圧または電流を測定することができる。例えば、センスレジスタ60は、関連したビット読み出し線110の測定を、読み出しオペレーションにおいて実施することができ、またはトグル書き込みを適用する際の初期読み出しにおいて実施することができ、これにより、所与の行における量子メモリセル102の状態を測定することで、後続の書き込みオペレーションにおいて状態を変更する必要がある量子メモリセル102はどれであるかを特定する。
【0020】
図2の例では、量子メモリシステム50は、さらに、書き込み電流WWLとBWLおよび読み出し電流WRLとBRLの印加に関して、量子メモリセルアレイ54への既アクセスに関連したタイミング、ならびにワード用フラックスポンプ群56およびビット用フラックスポンプ群58の磁束再蓄積のための所定の時間を監視するように構成されたタイミングコントローラ62を有する。タイミングコントローラ62は、ビジーアドレスレジスタ64と、タイマ66と、比較器68と、を含む。ビジーアドレスレジスタ64は、量子メモリセルアレイ54の選択された1つ以上の行(例えば、既に選択された行)に関連したアドレス情報を記憶するためのメモリとして構成される。タイマ66は、ワード書き込み電流WWL、ワード読み出し電流WRL、ビット書き込み電流BWL、およびビット読み出し電流BRLの印加に関連した所定の時間周期を監視するように構成された1つ以上のタイマとして構成される。また、タイマ66は、後続の書き込みオペレーションおよび読み出しオペレーションにおけるワード書き込み電流WWL、ワード読み出し電流WRL、ビット書き込み電流BWL、およびビット読み出し電流BRLの十分な振幅を得るのに十分な磁束を確保するために、ワード用フラックスポンプ群56およびビット用フラックスポンプ群58の磁束再蓄積に関連した所定の時間を監視するように構成することもできる。従って、比較器68は、量子メモリシステム50が後続の書き込みオペレーションおよび/または読み出しオペレーションをその時点で許可すべきか、または書き込みオペレーションおよび/または読み出しオペレーションをその時点では禁止すべきかを判断するために、後続の書き込みオペレーションおよび/または読み出しオペレーションに関連した時間またはアドレスを比較することができる。
【0021】
一例として、アドレスコントローラ52は、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションの要求に関連したメモリ要求信号REQを受信したことに応じて、メモリ要求信号REQをタイミングコントローラ62に供給することができ、これにより、当該書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションが許可されるか、または禁止されるか判断する。従って、比較器68は、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションが許可されるべきか、または禁止されるべきか判断するために、タイマ66に基づいて、メモリ要求信号REQにおいて選択された行のアドレス情報を、ビジーアドレスレジスタ64に記憶されている既に選択された行(群)と比較することができる。その比較に応じて、タイミングコントローラ62は、比較のインディケーション(indication)をアドレスコントローラ52に提供するために、ビジー信号BSYをアドレスコントローラ52に供給する(例えば、それを、コンピューティング信号COMによって、関連したCPUに転送することができる)。一例として、ビジー信号BSYは、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションの許可を示す第1の状態と、書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションの禁止を示す第2の状態と、を有し得る。ビジー信号BSYによる許可のインディケーションに応じて、アドレスコントローラ52は、その書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションのためのそれぞれのワード用フラックスポンプ群56およびビット用フラックスポンプ群58を作動させるために、アドレス信号ADDRをワード用フラックスポンプ群56およびビット用フラックスポンプ58に供給することができる。また、アドレスコントローラ52は、アドレス信号ADDRをタイミングコントローラ62に供給することもでき、これにより、タイマ66による指示に応じて、所定の時間に関して、選択された行をビジーアドレスレジスタ64に追加することが可能となる。ビジー信号BSYによる禁止のインディケーションに応じて、アドレスコントローラ52は、ビジー信号BSYが書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションの許可のインディケーションを提供するまでの間、その書き込みオペレーションまたは読み出しオペレーションをキューイングするか、またはアドレスコントローラ52は、異なるかまたは同じ書き込みオペレーションもしくは読み出しオペレーションのために、量子メモリセルアレイ54の異なる行を選択するか、いずれかが可能である。一例として、ビジー信号BSYは、複数の異なるビジー信号を含むことができ、それらは、読み出しオペレーション、書き込みオペレーションに対応するもの、および読み出しオペレーションと書き込みオペレーションの両方における異なるそれぞれの列群のためのものである。従って、タイミングコントローラ62は、量子メモリセルアレイ54への制御された効率的アクセスを提供することが可能であり、これにより、アドレス競合、ならびにそれぞれの書き込み電流WWLとBWLおよび読み出し電流WRLとBRLを誘起するための磁束の不足を十分に軽減する。
【0022】
図4は、タイミング
図150の一例を示している。タイミング
図150は、
図2の例における量子メモリシステム50のような、量子メモリシステムの読み出しオペレーションに関連したタイミングを示している。読み出しオペレーションは、
図3の例における量子メモリセルアレイ100のような、各行における個別の異なるデータワードにそれぞれ関連付けられた複数の列群を含み得る量子メモリセルアレイに関連付けることができる。従って、
図4の例の以下の説明では、
図2および
図3の例を参照する。さらに、
図4の例の以下の説明において理解されるべきことは、タイミング
図150は、一定のスケールで示されたものではなく、理想的なタイミング図として示しているということである。従って、これらの信号に関して相互に発生し得る、または発生する必要があり得るオン遅延およびオフ遅延は、
図4の例では示されていないことは理解されなければならない。
【0023】
時刻T
0において、ワード読み出し電流WRL
0を、複数のワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートし、さらに、その列群に関連したビット読み出し電流群BRLを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によるなどして同様にアサートする。従って、所与の1クロックサイクルにわたるなどして、0番の行および列群に関連付けられた所与のデータワードをセンスレジスタ60によって読み出すことができる。(例えば、1クロックサイクル後に)読み出しオペレーションが終了したら、時刻T
1において、ワード読み出し電流WRL
0およびビット読み出し電流群BRLはディアサートされる(de-asserted)。ワード読み出し電流WRL
0を供給したフラックスポンプは、時刻T
1から、
図4の例に信号F_WRL
0で示す再蓄積を開始し、さらに、ビット読み出し電流群BRLを供給したフラックスポンプ群は、
図4の例に信号F_BRLで示す再蓄積を同様に開始する。
【0024】
0番のワード線の磁束F_WRL
0およびビット線群の磁束F_BRLの再蓄積中は、それぞれの読み出しオペレーションのためのワード読み出し電流WRL
0およびビット読み出し電流群BRLを再び印加することは不可能となる。
図4の例では、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0の再蓄積に関連した時間は、量子メモリセルアレイ54の特性に基づくなどして、ビット読み出し電流群BRLの磁束F_BRLの再蓄積に関連した時刻T
2までの持続時間(例えば、約6クロックサイクル)と比較して、はるかに長い時刻T
7までの持続時間(例えば、約50クロックサイクル)を有し得る。しかしながら、ビット読み出し電流群BRLに対する磁束量子化デルタは、量子メモリセルアレイ54の選択された行に沿った量子メモリセルの各々の範囲内で生成されるので、そのビット線群においてDC永久電流レベルが回復するようにビット読み出し電流群BRLの磁束F_BRLの再蓄積を終えるまでは、その列群に関連した他のデータワードにアクセスすることはできない。従って、時刻T
0から時刻T
2までは、読み出しオペレーションを禁止すべきであることをアドレスコントローラ52に示すために、その列群に基づく読み出しに関連したビジー信号BSY
Rをアサートすることができる。さらに、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0を再蓄積中であることを示すインディケーションを、アドレスコントローラ52に提供することができ、これにより、0番のワード線に関連した読み出しオペレーションは禁止される。例えば、タイミングコントローラ62は、別個のビジー信号(図示せず)を供給することができ、またはタイミングコントローラ62は、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0の再蓄積の所定の持続時間中はクロック信号を維持することができる。
【0025】
時刻T
2において、読み出しオペレーションを許可することが可能であることをアドレスコントローラ52に示すために、ビジー信号BSY
Rをディアサートする。時刻T
3において、ワード読み出し電流WRL
1を、複数のワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートし、さらに、その列群に関連したビット読み出し電流群BRLを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。従って、所与の1クロックサイクルにわたるなどして、1番の行に関連付けられた所与のデータワードをセンスレジスタ60によって読み出すことができる。(例えば、1クロックサイクル後に)読み出しオペレーションが終了したら、時刻T
4において、ワード読み出し電流WRL
1およびビット読み出し電流群BRLをディアサートする。ワード読み出し電流WRL
1を供給したフラックスポンプは、時刻T
4から、
図4の例に信号F_WRL
1で示す再蓄積を開始し、さらに、ビット読み出し電流群BRLを供給したフラックスポンプ群は、
図4の例に信号F_BRLで示す再蓄積を同様に開始する。
【0026】
1番のワード線の磁束F_WRL
1およびビット線群の磁束F_BRLの再蓄積中は、それぞれの読み出しオペレーションのためのワード読み出し電流WRL
1およびビット読み出し電流群BRLを再び印加することは不可能となる。前述の場合と同様に、ワード読み出し電流WRL
1の磁束F_WRL
1の再蓄積に関連した時間は、ビット読み出し電流群BRLの磁束F_BRLの再蓄積に関連した時刻T
6までの持続時間(例えば、約6クロックサイクル)と比較して、はるかに長い時刻T
10までの持続時間(例えば、約50クロックサイクル)を有し得る。従って、時刻T
3から時刻T
6までは、読み出しオペレーションを禁止すべきであることをアドレスコントローラ52に示すために、読み出しに関連したビジー信号BSY
Rをアサートすることができる。さらに、ワード読み出し電流WRL
1の磁束F_WRL
1を再蓄積中であることを示すインディケーションを、アドレスコントローラ52に提供することができ、これにより、1番のワード線に関連した読み出しオペレーションは禁止される。
【0027】
時刻T
7において、読み出しオペレーションにワード読み出し電流WRL
0を使用可能であることを示すために、0番の行に関連した磁束F_WRL
0に対応した信号をディアサートする。従って、時刻T
7において、ワード読み出し電流WRL
0を、ワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートし、さらに、その列群に関連したビット読み出し電流群BRLを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。従って、所与の1クロックサイクルにわたるなどして、0番の行に関連付けられた所与のデータワードをセンスレジスタ60によって読み出すことができる。(例えば、1クロックサイクル後に)読み出しオペレーションが終了したら、時刻T
8において、ワード読み出し電流WRL
0およびビット読み出し電流群BRLをディアサートする。ワード読み出し電流WRL
0を供給したフラックスポンプは、時刻T
8から、
図4の例に信号F_WRL
0で示す再蓄積を開始し、さらに、ビット読み出し電流群BRLを供給したフラックスポンプ群は、
図4の例に信号F_BRLで示す再蓄積を同様に開始する。
【0028】
0番のワード線の磁束F_WRL
0およびビット線群の磁束F_BRLの再蓄積中は、それぞれの読み出しオペレーションのためのワード読み出し電流WRL
0およびビット読み出し電流群BRLを再び印加することは不可能となる。前述の場合と同様に、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0の再蓄積に関連した時間は、ビット読み出し電流群BRLの磁束F_BRLの再蓄積に関連した時刻T
9までの持続時間(例えば、約6クロックサイクル)と比較して、はるかに長い時刻T
11までの持続時間(例えば、約50クロックサイクル)を有し得る。従って、時刻T
7から時刻T
9までは、読み出しオペレーションを禁止すべきであることをアドレスコントローラ52に示すために、ビジー信号BSY
Rをアサートすることができる。さらに、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0を再蓄積中であることを示すインディケーションを、アドレスコントローラ52に提供することができ、これにより、0番のワード線に関連した読み出しオペレーションは禁止される。例えば、タイミングコントローラ62は、別個のビジー信号(図示せず)を供給することができ、またはタイミングコントローラ62は、ワード読み出し電流WRL
0の磁束F_WRL
0の再蓄積の所定の持続時間中はクロック信号を維持することができる。
【0029】
図5は、タイミング
図200の他の例を示している。タイミング
図200は、
図2の例における量子メモリシステム50のような、量子メモリシステムの書き込みオペレーションに関連したタイミングを示している。書き込みオペレーションは、
図3の例における量子メモリセルアレイ100のような、各行における個別の異なるデータワードにそれぞれ関連付けられた複数の列群を含み得る量子メモリセルアレイに関連付けることができる。従って、
図5の例の以下の説明では、
図2および
図3の例を参照する。さらに、
図5の例の以下の説明において理解されるべきことは、タイミング
図200は、一定のスケールで示されたものではなく、理想的なタイミング図として示しているということである。従って、これらの信号に関して相互に発生し得る、または発生する必要があり得るオン遅延およびオフ遅延は、
図5の例では示されていないことは理解されなければならない。また、
図5の例は、
図4の例とは独立に示しており、よって、
図5に示す時間は、
図4の例に示す時間とは無関係である。
【0030】
図5の例では、書き込みオペレーションは、トグル書き込みオペレーションであってよく、よって、書き込みの前に、そのデジタルワードの各ビットの状態を読み出すことができ、そして、状態の変更が必要なビットのみが書き込まれる。そこで、時刻T
0において、ワード読み出し電流WRL
0を、ワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートし、さらに、その列群(例えば、網掛けなしの量子メモリセル群102)に関連したビット読み出し電流群BRLを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。従って、所与の1クロックサイクルにわたるなどして、0番の行に関連付けられた所与のデータワードをセンスレジスタ60によって読み出すことができる。(例えば、1クロックサイクル後に)読み出しオペレーションが終了したら、時刻T
1において、ワード読み出し電流WRL
0およびビット読み出し電流群BRLをディアサートする。ワード読み出し電流WRL
0を供給したフラックスポンプは、
図4の例で前述したのと同様にして、再蓄積を時刻T
1から開始する。
【0031】
さらに、時刻T
1から開始して、ワード書き込み電流WWL
0を、ワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートする。ワード書き込み電流WWL
0を供給するフラックスポンプは、
図5の例に信号F_WWL
0で示す再蓄積を、時刻T
1の直後の時刻T
2から開始する。時刻T
2の(例えば、数クロックサイクル)後の時刻に、時刻T
3から開始して、偶数番の列群(例えば、網掛けなしの量子メモリセル群102)に関連したビット書き込み電流群BWL
Eを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。書き込みオペレーションは、トグル書き込みオペレーションであり得るので、一例として、本明細書で記載する書き込みオペレーションでは、関連した偶数番のビット書き込み電流群BWL
E(例えば、論理状態の変更が必要なもの)のみを印加することができる。偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eを供給するフラックスポンプ群は、
図5の例に信号F_BWL
Eで示す再蓄積を、時刻T
3の直後の時刻T
4から開始する。ワード書き込み電流WWL
0の供給は、時刻T
5まで継続することができ、このとき、磁束F_WWL
0は、その後の時刻T
6まで再蓄積される。同様に、ビット書き込み電流群BWL
Eの供給は、時刻T
7まで継続することができ、ビット書き込み電流群BWL
Eの磁束F_BWL
Eは、その後の時刻T
10まで再蓄積される。
【0032】
従って、ワード書き込み電流WWL
0および偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの印加に基づいて、0番の行および偶数番の列群に関連付けられた所与のデータワードに、データを書き込むことができる。前述のように、
図5の例における書き込みオペレーションは、トグル書き込みオペレーションとすることができ、よって、書き込みの前に、そのデジタルワードの各ビットの状態を読み出すことができ、そして、状態の変更が必要なビットのみが書き込まれる。従って、
図5の例では、それぞれの量子メモリセル群102の磁区(magnetic domain)が交互に反対の状態に変化するように、ワード書き込み電流WWL
0と偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eを、タイミングをずらしたものとして示している。さらに、
図5の例では、ワード書き込み電流WWL
0と偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの時間差印加を、ワード書き込み電流WWL
0から始まるものとして示しているが、これに代えて、ワード書き込み電流WWL
0と偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの時間差印加は、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの印加から始めて、その後に続いてワード書き込み電流WWL
0を印加することが可能であることは理解されるべきである。
【0033】
0番のワード線の磁束F_WWL
0および偶数番のビット線群の磁束F_BWL
Eの再蓄積中は、それぞれの書き込みオペレーションのためのワード書き込み電流WWL
0および偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eを再び印加することは不可能となる。偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eは、量子メモリセルアレイ54のすべての行に供給されるので、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの磁束F_BWL
Eの再蓄積を終えるまでは、偶数番の列群に関連した他のデータワードにアクセスすることはできない。さらに、書き込みオペレーションは、ワード書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流WWL
0)とビット書き込み電流群(例えば、偶数番のビット書き込み電流群BWL
E)の両方の印加を伴うので、ワード書き込み電流およびビット書き込み電流群を印加中の時間全体にわたって、他の書き込みオペレーションを実行することは不可能である。従って、時刻T
1から時刻T
10までは、偶数番の列群に関連した書き込みオペレーションを禁止すべきであることをアドレスコントローラ52に示すために、偶数番の列群に基づく書き込みに関連したビジー信号BSY
WEをアサートすることができる。さらに、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eがアサートされなくなるタイミングに関するインディケーションを、アドレスコントローラ52に提供することができ、これにより、本明細書においてより詳細に説明されるように、奇数番の列群を介した異なる行における書き込みオペレーションを許可する。例えば、タイミングコントローラ62は、別個のビジー信号(図示せず)を供給することができ、またはタイミングコントローラ62は、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eの印加中はクロック信号を維持することができる。
【0034】
時刻T
7において、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Eがディアサートされたら、奇数番の列群に関連した書き込みオペレーションが許可されることを、タイミングコントローラ62によってアドレスコントローラ52に示すことができる。そこで、時刻T
7において、ワード読み出し電流WRL
1を、ワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートし、さらに、その列群に関連したビット読み出し電流群BRLを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。従って、所与の1クロックサイクルにわたるなどして、1番の行に関連付けられた所与のデータワードをセンスレジスタ60によって読み出すことができる。(例えば、1クロックサイクル後に)読み出しオペレーションが終了したら、時刻T
8において、ワード読み出し電流WRL
1およびビット読み出し電流群BRLをディアサートする。ワード読み出し電流WRL
1を供給したフラックスポンプは、
図4の例で前述したのと同様に、再蓄積を時刻T
8から開始する。
【0035】
さらに、時刻T
8から開始して、ワード書き込み電流WWL
1を、ワード用フラックスポンプ56の各々によってアサートする。ワード書き込み電流WWL
1を供給するフラックスポンプは、
図5の例に信号F_WWL
1で示す再蓄積を、時刻T
8の直後の時刻T
9から開始する。時刻T
9の(例えば、数クロックサイクル)後の時刻に、時刻T
11から開始して、奇数番の列群(例えば、網掛け付きの量子メモリセル群102)に関連したビット書き込み電流群BWL
Oを、それぞれのビット用フラックスポンプ群58によって同様にアサートする。書き込みオペレーションは、トグル書き込みオペレーションであり得るので、一例として、本明細書で記載する書き込みオペレーションでは、関連した奇数番のビット書き込み電流群BWL
O(例えば、論理状態の変更が必要なもの)のみを印加することができる。奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oを供給するフラックスポンプ群は、
図5の例に信号F_BWL
Oで示す再蓄積を、時刻T
11の直後の時刻T
12から開始する。ワード書き込み電流WWL
1の供給は、その後のある時刻まで継続することができ、このとき、磁束F_WWL
1は、さらに後の時刻まで再蓄積される。同様に、ビット書き込み電流群BWL
Eの供給は、その後のある時刻まで継続することができ、ビット書き込み電流群BWL
Oの磁束F_BWL
Oは、さらに後の時刻まで再蓄積される。
【0036】
従って、ワード書き込み電流WWL
1および奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oの印加に基づいて、1番の行および奇数番の列群に関連付けられた所与のデータワードに、データを書き込むことができる。前述のように、
図5の例における書き込みオペレーションは、トグル書き込みオペレーションとすることができ、よって、書き込みの前に、そのデジタルワードの各ビットの状態を読み出すことができ、そして、状態の変更が必要なビットのみが書き込まれる。従って、
図5の例では、それぞれの量子メモリセル群102の磁区が交互に反対の状態に変化するように、ワード書き込み電流WWL
1と奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oを、タイミングをずらしたものとして示している。さらに、
図5の例では、ワード書き込み電流WWL
1と奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oの時間差印加を、ワード書き込み電流WWL
1から始まるものとして示しているが、これに代えて、ワード書き込み電流WWL
1と奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oの時間差印加は、奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oの印加から始めて、その後に続いてワード書き込み電流WWL
1を印加することが可能であることは理解されるべきである。
【0037】
1番のワード線の磁束F_WWL
1および奇数番のビット線群の磁束F_BWL
Oの再蓄積中は、それぞれの書き込みオペレーションのためのワード書き込み電流WWL
1および奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oを再び印加することは不可能となる。奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oは、量子メモリセルアレイ54のすべての行に供給されるので、奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oの磁束F_BWL
Oの再蓄積を終えるまでは、奇数番の列群に関連した他のデータワードにアクセスすることはできない。さらに、書き込みオペレーションは、ワード書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流WWL
1)とビット書き込み電流群(例えば、奇数番のビット書き込み電流群BWL
O)の両方の印加を伴うので、ワード書き込み電流およびビット書き込み電流群を印加中の時間全体にわたって、他の書き込みオペレーションを実行することは不可能である。従って、時刻T
8からその後のある時刻まで(例えば、磁束F_BWL
Oの再蓄積に関連した時間が終了するまで)は、奇数番の列群に関連した書き込みオペレーションを禁止すべきであることをアドレスコントローラ52に示すために、奇数番の列群に基づく書き込みに関連したビジー信号BSY
WOをアサートすることができる。さらに、奇数番のビット書き込み電流群BWL
Oがアサートされなくなるタイミングに関するインディケーションを、アドレスコントローラ52に提供することができ、これにより、前述のように、偶数番の列群を介した異なる行における書き込みオペレーションを許可する。例えば、タイミングコントローラ62は、別個のビジー信号(図示せず)を供給することができ、またはタイミングコントローラ62は、偶数番のビット書き込み電流群BWL
Oの印加中はクロック信号を維持することができる。
【0038】
本明細書で記載するように、
図4および
図5の例において、タイミングコントローラ62は、量子メモリセルアレイ54に関連した読み出しオペレーションおよび書き込みオペレーションを許可または禁止するために、それぞれの読み出しオペレーションおよび書き込みオペレーションに関連した時間を維持するように構成することができる。従って、タイミングコントローラ62は、読み出しオペレーションおよび/または書き込みオペレーションにおいて量子メモリセルアレイ54をアドレス指定するためのアドレスコントローラ52に対して、量子メモリセルアレイ54の使用不可能な行群および列群に関するインディケーションを提供するために、タイマ(群)66によるなどして、ビジー信号(例えば、ビジー信号BSY
R、BSY
WE、およびBSY
WO、ならびに/または他の様々なもの)の各種組み合わせを供給することができる。なお、タイミング
図150およびタイミング
図200は、
図4および
図5の例に限定されないことは理解されるべきである。例えば、追加または代替のビジー信号を生成することができ、また、ここで示したオペレーションおよびオペレーションの順序は、単なる例として提示するものであり、よって、タイミングコントローラ62は、後続の読み出しオペレーションおよび/または書き込みオペレーションを選択的に許可および禁止するために、読み出しオペレーションおよび書き込みオペレーションの任意の組合せを追跡するように構成することができる。従って、タイミングコントローラ62は、様々な形態のいずれによって動作することも可能である。
【0039】
図6は、タイミングコントローラ250の一例を示している。タイミングコントローラ250は、
図2の例におけるタイミングコントローラ62に相当し得るものであって、
図4の例で説明したような読み出しオペレーション、および
図5の例で説明したような書き込みオペレーションのタイミングを監視するように構成することができる。従って、
図6の例の以下の説明では、
図2〜5の例を参照する。さらに、タイミングコントローラ250は、単一のビジー信号BSYを生成するための単一のタイミングコントローラに相当し得る。従って、
図2の例におけるタイミングコントローラ62は、個々に別々のビジー信号BSY(例えば、ビジー信号BSY
R、WL_BSY
W0、およびWL_BSY
W1、ならびに/または他の様々なもの)をそれぞれ生成することが可能な複数のタイミングコントローラ250を含み得る。
【0040】
タイミングコントローラ250は、保留アクセスアドレスレジスタ264を含む。保留アクセスアドレスレジスタは、要求に関連したアドレス情報、およびその要求が承認待機中であるかどうかを示す要求関連情報を記憶するためのメモリとして構成される。保留アクセスアドレスレジスタ264は、アドレス保留メモリ266および要求保留メモリ268を含む。従って、アクセス要求信号REQおよびその要求に関連したアドレスADDRを受信したことに応じて、アドレス保留メモリ266は、アクセスが要求されているアドレスを記憶して、この値を信号ADPによって使用可能とし、要求保留メモリ268は、アクセスが要求されていて保留中であることを示すように設定される。要求保留メモリ268は、信号ADPで示されるアドレスへのアクセス要求の状態を、信号REQPによって示す。信号REQPが論理値「0」を有する場合は、保留中のアクセス要求はない。一方、信号REQPが論理値「1」を有する場合には、信号ADPで示されるアドレスへの保留中の要求が存在し、非ビジー状態を待って承認待機中である。
【0041】
タイミングコントローラ250は、保留中のアクセスが要求のメモリ位置へのアクセスを許可されるタイミングを決定するために使用されるA−and−not−B論理ゲート(A-and-not-B logic gate)262を含む。A−and−not−B論理ゲート262は、アクセス要求を許可するための条件が満たされたタイミングを、信号RGによって示す。必要な条件は、保留中のアクセス要求が受け入れられることを信号HRが示していなければならないことと、ビジー追跡状態(busy tracking state)がアクティブでないことを信号TMRAが示していなければならないことである。
【0042】
タイミングコントローラ250は、保留中のアクセス要求がタイミングコントローラ250によって無視されるべきであるタイミングを決定するために使用されるAND論理ゲート270を含む。AND論理ゲート270は、アクセス要求を無視するための条件が満たされたタイミングを、信号IGNによって示す。必要な条件は、保留中のアクセス要求が存在することを信号REQPが示していることと、保留中のアクセス要求のアドレスにマッチングしないアドレスの回復をタイミングコントローラ250がビジー追跡中(busy tracking)であることを信号BDADDRが示していることである。
【0043】
タイミングコントローラ250は、アドレス保留メモリ266に記憶されたアドレスへのアクセス要求がもはや保留中とみなされないことを示すために、要求保留メモリ268のメモリをクリアするタイミングを決定するために使用されるOR論理ゲート272を含む。OR論理ゲート272は、アドレス保留メモリ266のメモリをクリアするための条件が満たされたタイミングを、信号CLPによって示す。必要な条件は、信号RGによる論理「1」で示される保留中のアクセス要求が承認されなければならないこと、または信号IGNによる論理「1」で示される保留中のアクセス要求が無視されなければならないことのいずれかである。
【0044】
タイミングコントローラ250は、量子メモリセルアレイ54の選択された行(例えば、既に選択された行)に関連したアドレス情報を記憶するためのメモリとして構成された回復アドレスレジスタ252を含む。従って、アクセス要求が承認されたことを示すインディケーションを信号RGによって受信したことに応じて、回復アドレスメモリ252は、信号ADPで示されるアクセスが許可されたアドレスを記憶して、この値を信号ADRによって使用可能とする。
【0045】
タイミングコントローラ250は、所定の値からゼロまでカウントダウンして、ゼロの値を保持するように構成されたタイマ254を含む。タイマ254は、信号RGによってインディケーションを受信すると、自身のカウントダウンを開始して、カウンタの現在値を信号TMRによって供給するように構成される。
図6の例では、タイマ254は、回復アドレスレジスタ252に記憶された回復アドレスのビジー状態を追跡するために使用される。信号TMRによって非ゼロ値が示されるときには、回復アドレスレジスタ252に記憶されているアドレスは、ビジーまたは回復中とみなされる。信号TMRによって示される値がゼロに等しいときには、そのアドレスADRに関連したフラックスポンプは回復を終えており、もはやビジーとはみなされない。
【0046】
タイミングコントローラ250は、信号TMRを構成するすべてのビットの論理和を実行し、この関数の結果を信号TMRAによって示すように構成されたOR論理ゲート260を含む。従って、
図6の例では、タイマ254がアクティブにカウントダウン中であることで、回復アドレスがビジーであることを示しているのか、またはタイマ254がその終端値のゼロに達していることで、回復アドレスレジスタ252に記憶されているアドレスが回復を終えて、もはやビジーとはみなされないことを示しているのかを特定するために信号TMRAを用いることができる。
【0047】
タイミングコントローラ250は、さらに、保留アドレスレジスタ266に記憶されるとともに信号ADPによって示される現在選択されている行/アドレスを、回復アドレスレジスタ252に記憶されるとともに信号ADRによって示される既に選択された行/アドレスと比較するように構成された比較器256を含む。比較器256は、この比較の結果を信号ADMによって示し、この場合、論理値「1」は、2つのアドレスがマッチングすることを示し、論理値「0」は、2つのアドレスがマッチングしないことを示す。
【0048】
タイミングコントローラ250は、さらに、保留アクセスアドレスメモリ266に記憶されているアドレスが回復アドレスメモリ252に記憶されている回復アドレスにマッチングすることを信号ADMが示すとき、かつ、回復アドレスメモリ252に記憶されているアドレスが現在回復中であるとともにビジー状態にあることをTMRA信号が示すときに、ビジー信号BPADDRを生成するように構成されたAND論理ゲート258を含む。
【0049】
タイミングコントローラ250は、アドレス保留メモリ266に記憶されるとともに信号ADPによって示されるアドレスにマッチングしないアドレスの回復をタイミングコントローラ250がビジー追跡しているタイミングを特定するために使用されるA−and−not−B論理ゲート276を含む。A−and−not−B論理ゲート276は、タイミングコントローラ250がビジーであることを信号TMRAが示しているタイミング、かつ、保留中のアクセス要求に関連したアドレスが回復中のアドレスにマッチングしないことを示す論理値「0」を信号ADMが有するタイミングを信号BDADDRによって示す。
【0050】
タイミングコントローラ250は、保留中のアクセス要求をタイミングコントローラ250が条件付きで受け入れるべきであるタイミングを決定するために使用されるOR論理ゲート278を含み、OR論理ゲート278は、2つの条件のうちの1つが満たされるときの、この条件付き受け入れを、信号CAによって示す。第1の条件は、すべての先行するタイミングコントローラ(存在する場合)が、保留アクセスアドレス266に記憶されている値にマッチングしないアドレスへのアクセス要求によってビジーであり、かつ、アドレスマッチング信号ADPの回復をアクティブに追跡中である他のタイミングコントローラは存在しないと判断されたときである。入力信号O_BSYは、この第1の条件が満たされたことをタイミングコントローラ250に示すために使用される。第2の条件は、ADP信号によって示されるアドレスが、信号ADRによって示される既に選択されたアドレスにマッチングすることを、信号ADMが示すときである。
【0051】
タイミングコントローラ250は、信号ADPによって示されるアドレスにアクセスするための保留中の要求をタイミングコントローラ250が受け入れるべきタイミングを決定するために、信号REQPと信号CAとの論理積を実行するAND論理ゲート274を含む。AND論理ゲート274は、要求されたアクセスをタイミングコントローラ250が受け入れるべきであることを信号HRによって示すように構成される。
【0052】
図2の例におけるタイミングコントローラ62は、他のタイミングコントローラとは独立に動作する単一のタイミングコントローラ250に相当し得るか、または
図2の例におけるタイミングコントローラ62は、タイミングコントローラ250の数に等しい数またはそれを超える数であり得る複数のアドレスをカバーするように協働して動作する複数のタイミングコントローラ250に相当し得る。
【0053】
タイミングコントローラ250を構成する回路は、いくつかのカテゴリのうちの1つまたは複数のカテゴリに分類することができる。一例として、回路は、アドレスおよびその関連回路(例えば、フラックスポンプ)の回復およびビジー状態を追跡することに関連したものとして分類することができる。他の例として、回路は、キューイングに関連したもの、および/またはビジー状態追跡回路に向けたアクセス要求のキュー許可に関連したものとして分類することもできる。さらに別の例として、回路は、全体として協調的に動作可能とするための、タイミングコントローラ250と、同じタイミングコントローラ250の他のインスタンスとの協調に関連したものとして分類することができる。
【0054】
例えば、アドレス保留メモリ266と回復アドレスレジスタ252は、1つのキューとみなすことができる。アクセス要求に関連したアドレスを、入力信号REQおよびADDRで受信して、その保留中のアクセス要求を無視するか承認するかをキュー許可回路が決定するまでは、アドレス保留メモリ266に記憶する。タイミングコントローラ250内のキュー許可回路が、アクセス要求を承認すると判断する場合には、3つの協調動作が実施される。第1の動作は、アドレス保留メモリ266に記憶されたアドレスを、信号ADPで、このキューに沿って回復アドレスレジスタ252に転送することである。第2の動作は、要求保留メモリ268をクリアすることであり、これにより、アドレス保留メモリ266に記憶された値はもはや保留中とはみなされず、記憶されたアドレスはキューに沿って回復アドレスレジスタ252に移行されたことを示す。第3の動作は、カウントダウンタイマに対して、その所定の値からゼロまでのカウントダウンを開始するように信号RGで通知することである。
【0055】
図7は、タイミングコントローラ300の他の例を示している。タイミングコントローラ300は、
図2の例におけるタイミングコントローラ62に相当し得るものであって、
図4の例で説明したような読み出しオペレーション、および
図5の例で説明したような書き込みオペレーションのタイミングを監視するように構成することができる。従って、
図7の例の以下の説明では、
図2〜5の例を参照する。一例として、タイミングコントローラ300は、
図6の例におけるタイミングコントローラ250に代わるものであり得る。さらに、タイミングコントローラ300は、単一のビジー信号BSYを生成するための単一のタイミングコントローラに相当し得る。従って、
図2の例におけるタイミングコントローラ62は、個々に別々のビジー信号BSY(例えば、ビジー信号BSY
R、BSY
WE、およびBSY
WO、ならびに/または他の様々なもの)をそれぞれ生成することが可能な複数のタイミングコントローラ300を含み得る。
【0056】
タイミングコントローラ300は、ビジーアドレスシフトレジスタ302を含む。ビジーアドレスシフトレジスタ302は、量子メモリセルアレイ54の選択された1つ以上の行(例えば、既に選択された行)に関連したアドレス情報を記憶するためのシフトレジスタメモリとして構成される。
図7の例では、ビジーアドレスシフトレジスタ302は、カレントアドレスレジスタ304と複数のN個のアドレスレジスタ306とを含み、ここで、Nは正の整数である。カレントアドレスレジスタ304は、アドレス信号ADDRとメモリ要求信号REQの両方を受信するように構成される。従って、カレントアドレスレジスタ304は、アドレス信号ADDRで特定されるアドレスにアクセスするためのメモリ要求信号REQによる要求に応じるなどして、(例えば、行および/または関連した列群を含む)アドレス情報を記憶するように構成される。カレントアドレスレジスタは、要求されたアドレスADDRと、アクセス要求が承認されたかどうかを示すインディケーションSUCCESSと、を記憶する。
【0057】
さらに、タイミングコントローラ300は、ビジーアドレスシフトレジスタ302のアドレスレジスタ群306の範囲内での、(アドレス信号ADDRによる)既に選択されたアドレスおよびその関連情報(例えば、SUCCESS)のシフトを、タイミング信号TMRによって制御するように構成されたタイマ308を含み得る。従って、アドレス信号ADDRを受信したことに応じて、ビジーアドレスシフトレジスタ302は、(例えば、行および/または関連した列群を含む)対応したアドレスおよびその関連情報(例えば、SUCCESS)を、タイマ308によってシフトされるキューとして配列されたカレントアドレスレジスタ304およびアドレスレジスタ群306に記憶するように構成することができる。例えば、アドレスレジスタ群306に記憶されている既に選択されたアドレスの各々は、それに関連付けられた所定の時間を有することができ、その所定の時間は、(例えば、読み出し/書き込み電流の印加および磁束再蓄積に基づいて)そのアドレスが使用可能になることに対応している。一例として、アドレスは、時間の経過を記すためにシフトレジスタに記憶することができ、所望の時間が経過したときにアドレスがシフトレジスタから退去することで、そのアドレスがビジーとみなされなくなることが可能であるように、シフトレジスタのサイズを設定することができる。従って、所定の時間の終了(例えば、第Nのアドレスレジスタ306内の最後のアドレスの所定の時間の終了)に基づいて、タイミング信号TMRにより、アドレス信号ADDRで特定されるアドレスおよびその関連情報(例えば、SUCCESS)をカレントアドレスレジスタ304からアドレスレジスタ群306の第1のアドレスレジスタへ、同時に、アドレスレジスタ群306に記憶されたアドレスの各々および各アドレスの関連情報(例えばSUCCESS)をアドレスレジスタ群306の順に次のアドレスレジスタへと、順次シフトさせることができ、このとき、第Nのアドレスレジスタ306内の最後のアドレスは、ビジーアドレスシフトレジスタ302から除去される。アドレスおよびその関連情報がビジーアドレスシフトレジスタ302内に留まる時間量は、そのアドレスに関連したフラックスポンプの回復に要する時間に相当するものと考えられる。また、既に選択されたアドレスのシフトは様々な形態で実現することができ、タイマ308の使用に限定されない(例えば、外部クロック信号に基づくもの、またはサイクルごとにシフトされるキューとすることが可能である)ということも理解されるべきである。
【0058】
タイミングコントローラ300は、さらに複数のN個の比較器306を含み、これらは、メモリ要求信号REQに応じて、アドレス信号ADDRで特定されるとともにカレントアドレスレジスタ304に記憶されている現在選択された行/アドレスを、当該アドレスレジスタ306の各々に記憶されている(関連したアドレスの各々と共に記憶されているインディケーションSUCCESSで示されるように)正常に既に選択された行群/アドレス群と、比較するように構成される。例えば、メモリ要求信号REQを受信したことに応じて、比較器群310は、選択された行/アドレスを、正常にアドレスにアクセスされた当該アドレスレジスタ群306に記憶されたエントリの各々と比較するように構成することができる。各々の比較器306は、論理ORゲート312に結合された出力を有し、これによりビジー信号BSYを出力に供給する。従って、比較器群310のいずれかの比較器が、カレントアドレスレジスタ304内のアドレスと、アドレスレジスタ群306に記憶されたアドレスの1つとのマッチングを判定した場合に、比較器群310の各々の比較器は、そのマッチングを示すために、論理ハイ信号を論理ORゲート312に供給することができる。論理ORゲート312は、選択されたアドレスへのアクセスが禁止されていることに対応した論理状態(例えば、
図7の例では論理ハイ)のビジー信号BSYを供給することができる。例えば、アドレスコントローラ52は、ビジー信号BSYの状態が論理「1」から論理「0」に変わるまでは、メモリ要求信号REQに関連したメモリアクセスをキューイングすることができる。あるいは、アドレスコントローラ52は、メモリ要求信号REQによるそれぞれのメモリアクセスが禁止されることを示すインディケーションに応じて、異なるメモリ要求信号REQからのアクセスなど、異なるメモリアクセスを試みることができる。いずれの場合も、メモリアクセスに成功したことに応じて、カレントアドレスレジスタ304は、アドレス信号ADDRで示されるアドレスを維持するように構成することができ、これにより、アドレス信号ADDRで示されるアドレスは、ビジーアドレスシフトレジスタ302内で維持されることができ、ひいては、メモリアクセスに成功したことに応じて、アドレスレジスタ群306にシフトされることで、本明細書で記載するようなビジーとなる。
【0059】
図8は、タイミングコントローラ350のさらに別の例を示している。タイミングコントローラ350は、
図2の例におけるタイミングコントローラ62に相当し得るものであって、
図4の例で説明したような読み出しオペレーション、および
図5の例で説明したような書き込みオペレーションのタイミングを監視するように構成することができる。従って、
図8の例の以下の説明では、
図2〜5の例を参照する。一例として、タイミングコントローラ350は、
図6および
図7の例におけるタイミングコントローラ250および300に代わるものを含み得るか、または代わるものであり得る。さらに、タイミングコントローラ350は、単一のビジー信号BSYを生成するための単一のタイミングコントローラに相当し得る。従って、
図2の例におけるタイミングコントローラ62は、個々に別々のビジー信号BSY(例えば、ビジー信号BSY
R、BSY
W0、およびBSY
W1、ならびに/または他の様々なもの)をそれぞれ生成することが可能な複数のタイミングコントローラ350を含み得る。さらに、本明細書で記載するように、タイミングコントローラ350は、ビット線およびワード線によるメモリアクセスに関連したタイミングを制御するように構成することができる。
【0060】
タイミングコントローラ350は、ビジーアドレスレジスタ352を含む。ビジーアドレスレジスタ352は、量子メモリセルアレイ54の選択された1つ以上の行(例えば、既に選択された行)に関連したアドレス情報を記憶するように構成される。
図8の例では、タイミングコントローラ350は、さらに、タイミング信号Tを生成するように構成されたリアルタイムロールオーバタイマ(real-time rollover timer)として構成されたタイマ354を含む。アドレス信号ADDRおよびメモリ要求信号REQを受信したことに応じて、ビジーアドレスレジスタ352は、(例えば、行および/または関連した列群を含む)対応したアドレスをビジーアドレスレジスタ352に記憶するように構成することができる。ビジーアドレスレジスタ352は、ADDRで示されるアドレスに関連したワード線回路のビジー状態を示すワード線ビジー信号WL_BSYを生成するように構成することができる。
【0061】
さらに、タイミングコントローラ350は、フラックスポンプ群56および58へのアクセスを制御するためのレジスタ群を含み得る。
図8の例では、レジスタ群は、ビジー持続時間レジスタ356と、ビット線アサート・オフセットレジスタ358と、ビット線ディアサート・オフセットレジスタ360と、ワード線アサート・オフセットレジスタ362と、ワード線ディアサート・オフセットレジスタ364と、を含む。レジスタ356、358、360、362、364の各々は、信号CFGによって供給される、フラックスポンプ群56および58の制御に対応した所定の持続時間を記憶するように構成される。ビジー持続時間レジスタ356は、アドレス信号ADDRに対応する選択されたアドレスの読み出しオペレーションまたは書き込みオペレーションに関連した(例えば、磁束再蓄積を含む)所定の持続時間に対応したレジスタ値BSY
T1を供給することができる。ビット線アサート・オフセットレジスタ358は、フラックスポンプ群58に関連したビット書き込み電流またはビット読み出し電流をアサートすることに関連した所定の持続時間に対応したレジスタ値BL
T1、ひいては、対応するビット書き込み電流またはビット読み出し電流の供給を開始するための時間オフセットを供給することができる。ビット線ディアサート・オフセットレジスタ360は、フラックスポンプ群58に関連したビット書き込み電流またはビット読み出し電流をディアサートすることに関連した所定の持続時間に対応したレジスタ値BL
T2、ひいては、対応するビット書き込み電流またはビット読み出し電流の供給を停止するための時間オフセットを供給することができる。ワード線アサート・オフセットレジスタ362は、フラックスポンプ群56に関連したワード書き込み電流またはワード読み出し電流をアサートすることに関連した所定の持続時間に対応したレジスタ値WL
T1、ひいては、対応するワード書き込み電流またはワード読み出し電流の供給を開始するための時間オフセット、を供給することができる。ワード線ディアサート・オフセットレジスタ364は、フラックスポンプ群56に関連したワード書き込み電流またはワード読み出し電流をディアサートすることに関連した所定の持続時間に対応したレジスタ値WL
T2、ひいては、対応するワード書き込み電流またはワード読み出し電流の供給を停止するための時間オフセットを供給することができる。
【0062】
タイミングコントローラ350は、さらに、フラックスポンプ群56および58へのアクセスを制御することに関連した加算器群を含む。レジスタ値BSY
T1は、レジスタ値BSY
T1をリアルタイムタイミング信号Tに加算するように構成された第1の加算器366に供給され、これにより、
図8の例に値T+BSY
T1として示す所定の時間オフセットを生成する。加算器368は、レジスタ値BL
T1をリアルタイムタイミング信号Tに加算することで所定の時間オフセットT+BL
T1を生成し、加算器370は、レジスタ値BL
T2をリアルタイムタイミング信号Tに加算することで所定の時間オフセットT+BL
T2を生成する。さらに、加算器372は、レジスタ値WL
T1をリアルタイムタイミング信号Tに加算することで所定の時間オフセットT+WL
T1を生成し、加算器374は、レジスタ値WL
T2をリアルタイムタイミング信号Tに加算することで所定の時間をオフセットT+WL
T2を生成する。従って、所定の時間オフセットT+BSY
T1、T+BL
T1、T+BL
T2、T+WL
T1、およびT+WL
T2は、リアルタイムタイミング信号Tと同じレートで、リアルタイムでインクリメントする。
【0063】
所定の時間オフセットT+BSY
T1、T+BL
T1、T+BL
T2、T+WL
T1、およびT+WL
T2の各々を、イベントシーケンサ(event sequencer)376に供給する。イベントシーケンサ376は、ビジー信号BL_BSYと、量子メモリセルアレイ54のそれぞれの部分にアドレスするためにフラックスポンプ群56および58におけるそれぞれのビット線フラックスポンプ群を制御するように構成されたビット線タイミング信号群BL_TMと、量子メモリセルアレイ54のそれぞれの部分にアドレスするためにワード書き込み電流、ワード読み出し電流、およびビット書き込み電流をアサートするためのフラックスポンプ群56および58におけるそれぞれのワード線フラックスポンプ群を制御するように構成されたワード線タイミング信号群WL_TMと、を生成するように構成される。一例として、イベントシーケンサ376は、量子メモリセルアレイ54および/または量子メモリセルアレイ群のバンクへの多重アクセスを提供するために、フラックスポンプ群56および58へのアクセスを制御することが可能である複数のイベントシーケンサのうちの1つであり得る。本明細書で記載するように、イベントシーケンサ376は、(例えば、読み出しオペレーションまたは書き込みオペレーションのための)メモリアクセスが要求されているタイミングを特定するために、メモリ要求信号REQを受信する。イベントシーケンサ376は、さらに、リアルタイムタイミング信号Tおよび所定の時間オフセットT+BSY
T1、T+BL
T1、T+BL
T2、T+WL
T1、T+WL
T2を受信し、これらは、ビット線ビジー信号BL_BSY、ビット線タイミング信号BL_TM、およびワード線タイミング信号WL_TMを生成するための閾値を規定する。ビット線制御回路のビジー状態とワード線制御回路のビジー状態は、それぞれイベントシーケンサ376とビジーアドレスレジスタ352によって独立に追跡できると考えられる。アクセスが要求されると、タイミングコントローラ350は、ビジー信号BSYを生成することができ、これは、そのアクセス要求に関連したアドレスADDRに関連付けられたワード線ビジー信号WL_BSYとビット線ビジー信号BL_BSYとの論理和を実行することによって生成される。
【0064】
図9は、イベントシーケンサ400の一例を示している。一例として、イベントシーケンサ400は、
図8の例におけるイベントシーケンサ376に相当し得る。従って、
図9の例の以下の説明では、
図8の例を参照する。よって、前述のように、イベントシーケンサ400は、所定の時間オフセットT+BSY
T1、T+BL
T1、T+BL
T2、T+WL
T1、T+WL
T2、およびリアルタイムタイミング信号Tを受信し、これにより、ビット線ビジー信号BL_BSY、ビット線タイミング信号BL_TM、およびワード線タイミング信号WL_TMを生成するための閾値を規定する。
【0065】
イベントシーケンサ400は、アクセス要求がメモリ要求信号REQで示されたときに、所定の時間オフセットT+BSY
T1の値を取得するように構成されたビジーディアサート時間レジスタ402を含む。所定の時間オフセットT+BSY
T1の取得値は、(例えば、次のアクセス要求がメモリ要求信号REQで示されるまでの間)閾値BSY
T2として記憶される。イベントシーケンサ400は、リアルタイムタイミング信号Tの値を閾値BSY
T2と比較して、ビジータイミングコントローラ406に供給される信号BSY
OFFを生成するように構成された比較器404を含む。ビジータイミングコントローラ406は、本明細書で記載するように、所与のアドレス(例えば、行)に対する読み出しオペレーションまたは書き込みオペレーションのためのアクセスが可能であるか禁止されるかを示すために、ビット線ビジー信号BL_BSYを生成するように構成されている。
図9の例では、ビジータイミングコントローラ406は、(例えば、ビット線回路を回復させる必要があるため、ビジーアドレスレジスタ352に記憶されているアドレスを使用できないことを示すための)BL_BSY信号をアサートするタイミングを決定するために、信号BSY
OFFおよびメモリ要求信号REQを受信するように構成される。従って、メモリ要求信号REQで示されるメモリ要求があるときには、ビジータイミングコントローラ406は、リアルタイムタイミング信号Tが閾値BSY
T2にマッチングしたことに応じて信号BSY
OFFがアサートされるまでの間は、ビット線ビジー信号BL_BSYをアサートするように構成される。
【0066】
イベントシーケンサ400は、さらに、ビット線フラックスポンプ群58を制御することに関連したコンポーネント群を含む。
図9の例では、イベントシーケンサ400は、アクセス要求がメモリ要求信号REQで示されたときに、所定の時間オフセットT+BL
T1の値を取得するように構成されたビット線アサート時間レジスタ408を含む。所定の時間オフセットT+BL
T1の取得値は、(例えば、次のアクセス要求がメモリ要求信号REQで示されるまでの間)閾値BL
T3として記憶される。比較器410は、リアルタイムタイミング信号Tの値を閾値BL
T3と比較して、信号BL
ONを、ビット線タイミング信号BL_TMを生成するように構成されたビット線タイミングコントローラ412に供給する。信号BL
ONは、ビット線フラックスポンプ群58によって所与のビット線電流をアサートするための時間に対応し得る。同様に、イベントシーケンサ400は、アクセス要求がメモリ要求信号REQで示されたときに、所定の時間オフセットT+BL
T2の値を取得するように構成されたビット線ディアサート時間レジスタ414を含む。所定の時間オフセットT+BL
T2の取得値は、(例えば、次のアクセス要求がメモリ要求信号REQで示されるまでの間)閾値BL
T4として記憶される。比較器416は、リアルタイムタイミング信号Tの値を閾値BL
T4と比較して、信号BL
OFFを、ビット線タイミングコントローラ412に供給する。信号BL
OFFは、ビット線フラックスポンプ群58によって所与のビット線電流をディアサートするための時間に対応し得る。従って、ビット線タイミングコントローラ412は、量子メモリセルアレイ54のそれぞれの部分にアドレスするためのビット線フラックスポンプ群58の制御に、信号BL
ONおよびBL
OFFを使用するように構成される。
【0067】
イベントシーケンサ400は、さらに、書き込み線フラックスポンプ群56を制御することに関連したコンポーネント群を含む。
図9の例では、イベントシーケンサ400は、アクセス要求がメモリ要求信号REQで示されたときに、所定の時間オフセットT+WL
T1の値を取得するように構成された書き込み線アサート時間レジスタ418を含む。所定の時間オフセットT+WL
T1の取得値は、(例えば、次のアクセス要求がメモリ要求信号REQで示されるまでの間)閾値WL
T3として記憶される。比較器420は、リアルタイムタイミング信号Tの値を閾値WL
T3と比較して、信号WL
ONを、書き込み線タイミング信号WL_TMを生成するように構成された書き込み線タイミングコントローラ422に供給する。信号WL
ONは、書き込み線フラックスポンプ群56によって所与の書き込み線電流をアサートするための時間に対応し得る。同様に、イベントシーケンサ400は、アクセス要求がメモリ要求信号REQで示されたときに、所定の時間オフセットT+WL
T2の値を取得するように構成された書き込み線ディアサート時間レジスタ424を含む。所定の時間オフセットT+WL
T2の取得値は、(例えば、次のアクセス要求がメモリ要求信号REQで示されるまでの間)閾値WL
T4として記憶される。比較器426は、リアルタイムタイミング信号Tの値を閾値WL
T4と比較して、信号WL
OFFを、書き込み線タイミングコントローラ412に供給する。信号WL
OFFは、書き込み線フラックスポンプ群56によって所与の書き込み線電流をディアサートするための時間に対応し得る。従って、書き込み線タイミングコントローラ422は、量子メモリセルアレイ54のそれぞれの部分にアドレスするための書き込み線フラックスポンプ群56の制御に、信号WL
ONおよびWL
OFFを使用するように構成される。
【0068】
図6〜8の各例におけるタイミングコントローラ250、300、350は、このように、メモリ要求信号REQで提示されたメモリアドレスについて、そのステータスを、量子メモリセルアレイ54へのアクセス前にアドレスコントローラ52に提供できる個々に異なる方法を提供しており、ひいては、量子メモリシステム50を効率的に管理するための別々の方法を提供している。タイミングコントローラ250、300、350の各々は、個々の読み出しオペレーションおよび書き込みオペレーションに対応した多様なビジー信号BSYを生成するなどのため、所与の1つの量子メモリセルアレイの複数の部分に対して実装することができ、また、いくつかのアドレスレジスタの各々に対応させることができる。例えば、
図8の例におけるタイミングコントローラ350は、量子メモリセルアレイ54の個々のアクセス要求にそれぞれ対応し得る複数のタイミングコントローラ350のうちの1つとすることができる。さらに、タイミングコントローラ250、300、350は、いくつかの異なるアドレスバンクにまたがるように、ひいては複数の量子メモリセルアレイにまたがるように、実装することが可能である。
【0069】
ビジーディアサート時間レジスタ402が、十分に高い値で構成されている場合には、ビット線フラックスポンプ群とワード線フラックスポンプ群の両方の回復のために十分な時間を与えることが可能であると考えられる。ビジーディアサート時間レジスタ402をそのように実装することで、より少ないハードウェア資源で同じ機能を提供することが可能である。
【0070】
なお、イベントシーケンサ400は、任意の一般的用途でイベントタイミング制御および順序制御を提供するために用いることもでき、量子メモリアレイおよびその関連回路を超えた範囲に拡張されるということに留意すべきである。
【0071】
さらに、理解されるべきことは、イベントシーケンサ400は、複数のイベントシーケンサのうちの1つであり得るということであり、このとき、複数のイベントシーケンサの各々は、所定の時間オフセットの同じセットT+BSY
T1、T+BL
T1、T+BL
T2、T+WL
T1、T+WL
T2、およびリアルタイムタイミング信号Tに基づいて、フラックスポンプ群56および58のタイミングを制御することができる。さらに、理解されるべきことは、アクティブなアクセスのすべてのステータスを追跡するための十分な数のアドレスレジスタまたはタイミングコントローラを設けていないシステムでは、所要のアドレスレジスタおよび/またはタイミングコントローラが使用可能になるまでは、さらなるアクセスをすべてブロックするために、(
図10の例に示すような)飽和機構(saturation mechanism)を実装することができるということである。さらに、一例として、タイミングコントローラは、回路面積(例えば、比較器およびレジスタビット)を削減するために、削減されたアドレスセットで動作して、これにより複数のワード線または列線に関連したフラックスポンプ群のビジーステータスを管理し得ることが企図される。従って、所与の量子メモリシステム50は、タイミングコントローラ62に関して様々な異なる形態で構成することが可能である。
【0072】
図10は、アレイコントローラ450の一例を示しており、この場合、複数の回復アドレスの同時のビジー状態追跡を提供するために、追加の支援回路と共に複数のタイミングコントローラ250を協調的に使用する。また、本例は、各タイミングコントローラ250に含まれるキュー許可回路を、アレイコントローラ450の範囲内でいかに連携させるのか、さらには、
図10の例においてコントローラ460、470、480、490として示すN個のタイミングコントローラ250の各々からの個々のビジー保留中(BP)インディケーションおよびアクティブ(ACT)インディケーションを、共同でシステムの挙動に影響を及ぼすように、いかに用いることができるのかをさらに示している。
【0073】
タイミングコントローラは、あるアドレスへのアクセスを許可するときには、そのアドレスに関連したフラックスポンプ群が回復するための十分な時間が与えられないうちに、
図1の例におけるメモリコントローラ14が、同じアドレスへの第2のアクセスを試行しないことを補償するために、そのアドレスの回復状態を追跡しなければならない。各々のタイミングコントローラ250は、最大1つの回復アドレスのビジー状態を追跡する能力を有する。従って、同時回復ウィンドウを用いて複数の同時メモリアクセス要求をメモリコントローラ14に許可するために、複数のタイミングコントローラ250を実装することができる。新たに承認されるアクセス要求の回復状態を追跡するために使用できるタイミングコントローラ250が存在しないときに生じる飽和状態の継続時間を、十分な数のタイミングコントローラ250を使用することで回避または最小限にすることによって、システムは、量子メモリシステム16へのアクセスを不必要にブロックすることを回避することが可能となり得る。
【0074】
複数のタイミングコントローラの連携は、どの1つのタイミングコントローラが、新たなアクセス要求を承認するとともに、そのアドレスに関連した回復状態を追跡する責任を負うのかが決定論的(deterministic)であるように、それらのタイミングコントローラの連携が得られるように、実現することができる。タイミングコントローラ群250およびアレイコントローラ450は、協調的キュー許可機構を実現し、これは、この決定論的挙動を可能とするため、さらには、あるアドレスがビジーであるとみなされるのは、ゼロ個のタイミングコントローラまたは1つのタイミングコントローラのいずれかによってのみ可能であり、複数のタイミングコントローラによることはあり得ないことを保証するために用いられる。この要件の一側面は、あるタイミングコントローラ250が、あるアドレスの回復を既に追跡中である場合に、その同じアドレスへの新たな要求は、この同じタイミングコントローラ250が、その条件付き受け入れによってキューイングしなければならないことである。この要求を新たなアドレスとしてキューイングすることを、第2のタイミングコントローラ250に許可すると、第1のアクセス要求に干渉する可能性があるので、第1のアクセスが完了するとともに関連した回路が回復するまでは、第2のタイミングコントローラ250は待機するように制御され得る。
【0075】
また、システムでは、メモリコントローラの挙動に影響を及ぼすように、個々のタイミングコントローラから報告されたステータスを包括的に用いる方法を提供することもできる。例えば、飽和状態が発生している場合には、新たなアクセス要求の発行を事前にメモリコントローラに通知することが有用であり得る。一方、飽和状態が発生していない場合には、どのタイミングコントローラがビジー状態を検出しているかに関わりなく、そのビジー状態を報告することができる。
【0076】
図10の例では、アレイコントローラ450は、複数のタイミングコントローラ460、470、480、および490を含み、これらは、タイミングコントローラ250に相当する。タイミングコントローラ群250およびアレイコントローラ450は、共同で、キュー許可、ビジー報告、および飽和報告のための協調機構を実現する。従って、これらの協調機構の説明では、
図6と
図10の両方を参照する。
【0077】
タイミングコントローラ(例えば、460、470、480、および490)の各々は、メモリコントローラがメモリアクセスを要求していることを示すREQ入力信号のコピーを受信し、さらに、タイミングコントローラの各々は、アクセスが要求されているアドレスを示すADDR入力信号のコピーを受信する。タイミングコントローラ250のN個のすべてのインスタンスは、アクセス要求を受信すると、その要求を無視すべきか、その要求を承認すべきか、またはその要求を(承認可能となるまでキューに残して)条件付きで受け入れるべきかをそれぞれのタイミングコントローラ250で判断するまでの間、その要求を保留アクセスアドレスレジスタ264に一時的にキューイングすることができる。これらのタイミングコントローラ250の所与の1つは、その要求を承認すべきと判断するか、または少なくとも条件付きで受け入れるべきと判断することができる。他のすべてのタイミングコントローラ250は、その要求を無視すべきであると判断することができ、これらのタイミングコントローラ250に、次の要求に備えて要求保留メモリ268をクリアさせる。
【0078】
アレイコントローラ450は、各タイミングコントローラ250がアクセス要求を無視すべきか条件付きで受け入れるべきかを判断できるようにするために、必要な信号接続と共に必要な論理ゲートを提供する。要求されているアドレスの回復をアクティブに追跡中であるタイミングコントローラ250が、最高の優先度を有し得るとともに、その同じアドレスへの新たに要求されたアクセスをキューイングする決定を下すことが可能であるように、協調的キュー許可機構は、構成される。他のすべてのタイミングコントローラ250は、その新たな要求のキューイングにおいて、より低い優先度を有し得るとともに、その要求を無視する決定を下すことが可能である。さらに、要求されているアドレスの回復をアクティブに追跡中であるタイミングコントローラ250が存在しない場合には、アドレス回復をアクティブに追跡中ではない最小番号のタイミングコントローラが、次に最も高い優先度を有し得るとともに、アクセスが要求されている新たなアドレスを自身のキューに受け入れる決定を下すことが可能であるように、協調的キュー許可機構は、構成される。他のすべてのタイミングコントローラ250は、キュー許可において、より低い優先度を有し得るとともに、その要求を無視する決定を下すことが可能である。最後に、すべてのタイミングコントローラ250がアドレス回復をアクティブに追跡中である場合には、飽和状態が発生している可能性があり、いずれのタイミングコントローラ250によっても受け入れることができない新たな要求が発行されることを防ぐために、この飽和状態をメモリコントローラに通知することができる。
【0079】
OR論理ゲート462、472、482は、より大きい番号のタイミングコントローラからのビジー保留ステータスを集約して、より小さい番号のタイミングコントローラに伝達する。各タイミングコントローラは、そのビジー保留ステータスを、その対応するBP信号によって伝達し、OR論理ゲート482,472、462は、それらのBP信号を合成してBPS信号を生成し、これらのBPS信号は、各段において、より大きい番号のタイミングコントローラが、新たに要求されて一時的に保留中のアクセス要求のアドレスにマッチングするアドレスの回復をビジー追跡中であるかどうかを示す。
【0080】
同様に、AND論理ゲート473および483は、より小さい番号のタイミングコントローラからのビジーディファレンスアドレス(すなわち、BD:BusyDifferent address)ステータスを集約して、より大きい番号のタイミングコントローラに伝達する。各タイミングコントローラは、そのビジーディファレンスアドレスステータスを、その対応するBD信号によって伝達し、AND論理ゲート473および483は、それらのBD信号を合成してBDS信号を生成し、これらのBDS信号は、各段において、より小さい番号のタイミングコントローラが、新たに要求されたアクセスの一時的に保留中のアクセス要求のアドレスにはマッチングしないアドレスの回復をビジー追跡中であるかどうかを示す。
【0081】
A−and−not−B論理ゲート461、471、481は、各々のタイミングコントローラに対してOBD信号を生成し、OBD信号は、そのタイミングコントローラが、そのアクセス要求の条件付き受け入れおよび承認において優先権を有するものとして指定されているか否かを、そのタイミングコントローラに対して示す。
図10の例では、信号BDS
Nと信号OBD
Nを、ANDゲート483の出力に基づく同じ信号として示している。所与のタイミングコントローラが、そのBDS信号によって、より小さい番号のタイミングコントローラのすべてが異なるアドレスをビジー追跡中であることを通知される場合、かつ、そのBPS信号によって、より大きい番号のタイミングコントローラはいずれもこのアドレスを既に追跡中ではないことを通知される場合には、OBD信号は、そのタイミングコントローラが、アドレス回復を現在アクティブに追跡中でない限り、この新たな要求を自身のキューに受け入れるべきであることを、そのタイミングコントローラに示すことができる。
【0082】
アレイコントローラ450は、さらに、BP
0信号またはBPS
0のいずれかが指示されている場合にBSY出力信号を生成するように構成されたOR論理ゲート462を含む。アレイコントローラ450は、さらに、すべてのACT信号が論理値「1」を有する場合にSAT信号を生成するように構成されたAND論理ゲート451を含む。従って、すべてのタイミングコントローラがアドレス回復をビジー追跡中である場合に、SAT信号をアサートすることができ、これにより、SAT信号で示される飽和状態が終了するまでの間は、メモリコントローラがさらなるアクセスを要求することをいずれも禁止することが可能である。
【0083】
図10は、4つのタイミングコントローラ(すなわち、460、470、480、490)で構成されたアレイコントローラ450を示しているが、これは単なる一例にすぎない。アレイコントローラ450を構成し得るタイミングコントローラ250の実際の数は、1つのタイミングコントローラから多数(例えばN個)のタイミングコントローラまで様々であり得る。
図10は、さらに、タイミングコントローラについて3通りの使用シナリオを示すものであり、その3通りの使用シナリオのそれぞれでは、アレイコントローラ450のコンポーネントとして所望の挙動を助けるために、わずかに異なる支援論理ゲートおよび信号接続が必要となる可能性がある。第1の使用シナリオは、タイミングコントローラ250が、連鎖(chain)における第1の(すなわち、最小番号の)タイミングコントローラである場合である。タイミングコントローラ460は、
図10に示す連鎖における第1のタイミングコントローラである。これは第1のタイミングコントローラであるため、BDS入力を受信せず、従って、この信号を自身のBD
0信号と合成するためのAND論理ゲートは必要ない。また、A−and−not−B論理ゲート461は、欠落しているBDS入力信号の代わりに論理「1」を使用しなければならない。第2の使用シナリオは、タイミングコントローラ250が、タイミングコントローラの連鎖における中間のタイミングコントローラである場合である。これを、タイミングコントローラ470とタイミングコントローラ480の両方で、
図10に示している。例えば、タイミングコントローラ470は、アレイコントローラ450においてタイミングコントローラ470が機能するために必要な信号を適切に合成および伝達するために、論理ゲート471、472、473を必要とする。最後に、第3の使用シナリオは、タイミングコントローラ250が、タイミングコントローラの連鎖における最後のタイミングコントローラとして使用される場合である。これを、タイミングコントローラ490によって
図10に示している。タイミングコントローラ490は、連鎖における最後のタイミングコントローラであるため、他の2通りの使用シナリオで使用される論理ゲートをいずれも必要としない。その理由は、このタイミングコントローラが信号源または信号終点のいずれかであるからである。他の2通りの使用シナリオにおけるように、いずれかの信号を合成および伝達する必要がない。
【0084】
上述のこのような構造的および機能的特徴を踏まえて、本発明の種々の態様による方法は、
図11を参照して、より良く理解されるであろう。説明を簡単にするため、
図11の方法は、直列に実行するものとして図示および記載しているが、本発明は、図示の順序に限定されるものではないことは理解および認識されるべきであり、本発明によれば、いくつかの態様により、様々に異なる順序で実施することができ、さらに/または本明細書で図示および記載するものとは異なる態様と、並列に実施することができる。さらに、本発明の一態様による方法を実施するためには、図示の特徴のすべてが必要とされるわけではない。
【0085】
図11は、量子メモリシステム(例えば、量子メモリシステム50)においてデータを読み出しおよび書き込みする方法500の一例を示している。502で、行と列に配列された量子メモリセルのアレイ(例えば、量子メモリセルアレイ54)の選択された行に関連したメモリ要求信号(例えば、メモリ要求信号REQ)を受信する。504で、複数のフラックスポンプ(例えば、フラックスポンプ群56および58)から、書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流群WWLおよびビット書き込み電流群BWL)および読み出し電流(例えば、ワード読み出し電流群WRLおよびビット読み出し電流群BRL)の一方を生成する。書き込み電流および読み出し電流のその一方を、メモリ要求信号に応じて、それぞれ、選択された行へのデータの書き込み、および選択された行からのデータの読み出しのうちの一方のために、量子メモリセルのアレイに供給することができる。506で、書き込み電流および読み出し電流のその一方の印加に関連した所定の時間に基づき、かつ複数のフラックスポンプに関連した磁束再蓄積に関連した所定の時間に基づいて、選択された行に関連したアドレスをビジーアドレスレジスタ(例えば、ビジーアドレスレジスタ64)に記憶する。508で、所定の時間の終了まで、メモリ要求信号による、選択された行および選択された行に関連した列群の少なくとも一方へのアクセスを選択的に禁止する。
【0086】
上記は、本発明の例である。本発明を説明する目的で、コンポーネントまたは方法の考え得るすべての組み合わせについて記載することは、当然のことながら不可能であるが、本発明のさらなる多くの組み合わせおよび置換が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。よって、本発明は、添付の請求項を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのかかる改変、変更、および変形を包含するものである。
以下に、上記各実施形態から把握できる技術思想を記載する。
(付記1)
量子メモリシステムにおいてデータを読み出しおよび書き込みする方法であって、
複数の行と複数の列に配列された量子メモリセルのアレイの選択された行に関連したメモリ要求信号を受信すること、
複数のフラックスポンプから、書き込み電流および読み出し電流の一方を生成することであって、前記書き込み電流および前記読み出し電流の一方が、前記メモリ要求信号に応じて、それぞれ、選択された行へのデータの書き込み、および選択された行からのデータの読み出しのうちの一方のために、前記量子メモリセルのアレイに供給される、前記書き込み電流および読み出し電流の一方を生成すること、
前記書き込み電流および前記読み出し電流の一方の印加に関連した所定の時間に基づき、かつ前記複数のフラックスポンプに関連した磁束再蓄積に関連した所定の時間に基づいて、選択された行に関連したアドレスをビジーアドレスレジスタに記憶すること、
前記所定の時間の終了まで、前記メモリ要求信号による選択された行および選択された複数の行に関連した複数の列の少なくとも一方へのアクセスを選択的に禁止すること、を備える方法。
(付記2)
アクセスを選択的に禁止することは、
前記複数の組の列の第1の組によって、前記読み出し電流または前記書き込み電流に基づき、前記複数の行の第1の行からデータを読み出すこと、または前記複数の行の第1の行にデータを書き込むこと、
前記第1の行および前記複数の組の列の第1の組に関連した前記所定の時間に関連付けられたタイマをインクリメントすること、
前記所定の時間に関連付けられた前記タイマの終了より前に、前記複数の組の列の第2の組によって、前記読み出し電流または前記書き込み電流に基づき、前記複数の行の第2の行からデータを読み出すこと、または前記複数の行の第2の行にデータを書き込むことと、を含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
メモリシステムであって、
中央処理装置(CPU)からのコマンドに応じて、複数のメモリ要求信号を生成するように構成されたメモリコントローラと、
量子メモリシステムと、を備え、
前記量子メモリシステムは、
複数の行と複数の列のアレイで配列された複数の量子メモリセルであって、該複数の量子メモリセルの各々は、書き込みオペレーションでの書き込み電流に応じて、2値論理状態を記憶するように構成されるとともに、読み出しオペレーションでの読み出し電流に応じて、前記2値論理状態を示すインディケーションを提供するように構成されている、前記複数の量子メモリセルと、
前記複数の行および複数の列に対して前記書き込み電流および前記読み出し電流を供給するように構成された複数のフラックスポンプを含むアレイコントローラであって、前記書き込み電流および前記読み出し電流の印加に関連した所定時間かつ前記複数のフラックスポンプに関連した磁束再蓄積に関連した所定の時間に基づいて、複数のメモリ要求信号に応じた前記書き込みオペレーションおよび前記読み出しオペレーションに関連したタイミングを制御するように構成された前記アレイコントローラと、を含む、メモリシステム。
(付記4)
前記アレイコントローラは、
タイミングコントローラであって、該タイミングコントローラは、前記複数のメモリ要求信号のうちの所与の1つに応じて、競合する書き込み電流もしくは競合する読み出し電流の印加に基づき、または前記複数の行と複数の列のアレイの選択された行もしくは複数の列に関連した前記複数のフラックスポンプのうちの1つ以上のフラックスポンプの各々の磁束が不十分であることに基づいて、ビジー信号を生成するように構成され、前記ビジー信号は、前記書き込みオペレーションおよび前記読み出しオペレーションの各々を許可するための第1の状態と、前記書き込みオペレーションおよび前記読み出しオペレーションの各々を禁止するための第2の状態と、を有する、前記タイミングコントローラと、
アドレスコントローラであって、該アドレスコントローラは、前記複数のメモリ要求信号を受信し、前記複数のフラックスポンプを制御して、前記複数の行と複数の列のアレイの選択された行に前記2値論理状態を書き込むための前記書き込み電流を供給するか、または前記複数の行と複数の列のアレイの選択された行から前記2値論理状態を読み出すための前記読み出し電流を供給するためのアドレス信号を生成するように構成されている、前記アドレスコントローラと、を含む、付記3に記載のメモリシステム。
(付記5)
前記複数の行と複数の列のアレイは、複数の行と複数の組の列とのアレイを含み、
前記複数の組の列は、互いに対してインタリーブされ、
前記複数の組の列の各々は、前記複数の行のうちの所与の1行の範囲内の個別で異なるデータワードに関連付けられている、付記3に記載のメモリシステム。
(付記6)
前記アレイコントローラは、前記複数の行の第2の行および前記複数の組の列の第2の組に関連した磁束の再蓄積中である前記所定の時間の間に、前記複数の組の列の第1の組によって、前記複数の行の第1の行からのデータの読み出し、または前記複数の行の第1の行へのデータの書き込みを制御するように構成されている、付記5に記載のメモリシステム。