(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352612
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】吐出においてメルトオンデマンドを用いた接着剤吐出システムと方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/04 20060101AFI20180625BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20180625BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20180625BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
B05C5/04
B05D1/26 Z
B05D7/24 301P
B05C9/14
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-215270(P2013-215270)
(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-100698(P2014-100698A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/718,976
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/790,118
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】レスリー ジェー. ヴァーガ
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−187704(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0261121(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0190365(US,A1)
【文献】
特表2008−529788(JP,A)
【文献】
特開平09−271709(JP,A)
【文献】
特開2000−150119(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/153422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00− 5/04,
7/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤吐出システムであって、
マニホルド通路を有するマニホルドと、そのマニホルド通路に連結されている吐出モジュールとを有し、接着剤を吐出する吐出塗布器と、
前記吐出塗布器に近接して位置決めされる受容器であって、前記吐出塗布器の位置において少量の固体接着剤を受容するようになっている受容チャンバと、溶融した接着剤が前記マニホルド内に溶融後すぐに前記受容器から達するように配置されている出口とを有する受容器と、
前記マニホルドおよび前記受容器に近接して配置されている第1の加熱装置であって、前記少量の固体接着剤を、前記少量の固体接着剤が前記受容器の前記出口を通過して前記マニホルド内に至る前の溶融通路内で要求に応じて前記少量の固体接着剤を溶解して溶融状態にすることにより、前記受容器内で迅速に溶融させるように動作可能である第1の加熱装置と、
前記マニホルド内に配置されているとともに熱エネルギーを印加して前記接着剤を前記マニホルド通路内で液体として維持するようになっている第2の加熱装置と、
を備える、接着剤吐出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置は、さらに、
前記受容器の前記出口に隣接し配置されるサセプタと、
前記サセプタを電磁気的に誘導して前記接着剤を加熱して迅速に溶融させるように前記サセプタに近接して位置付けられている誘導コイルと、
を備える接着剤吐出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置は、さらに、
複数の開口が画定され、前記複数の開口内で前記接着剤に熱エネルギーを印加するようになっている加熱部材を有するヒータユニットであって、前記ヒータユニットによって溶融された前記接着剤が前記受容器の前記出口を通って移動して前記マニホルド内に入るように配置されているヒータユニットを備える接着剤吐出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記マニホルドは前記マニホルド通路と連通しているカートリッジ受け部を有し、前記受容器は、前記固体接着剤を前記第1の加熱装置によって迅速に溶融させることができるように固体接着剤が充填され前記カートリッジ受け部に挿入されるカートリッジである接着剤吐出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置は前記マニホルド内に配置されている接着剤吐出システム。
【請求項6】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置は前記受容器内に配置されている接着剤吐出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置は、前記受容器内に配置される第1の部分と、前記マニホルド内に配置される第2の部分と、を有する接着剤吐出システム。
【請求項8】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記受容器は、前記受容器の前記出口が前記マニホルド内に位置するように前記マニホルド内で少なくとも部分的に入れ子状になっている接着剤吐出システム。
【請求項9】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記受容器は、前記受容器の前記出口が前記マニホルド内に直接的に給送するように前記マニホルドに連結されている接着剤吐出システム。
【請求項10】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第2の加熱装置は、さらに、
前記マニホルドを通って延在し、前記マニホルドおよび前記マニホルド通路を加熱するようになっているヒータカートリッジを有する接着剤吐出システム。
【請求項11】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第2の加熱装置は、さらに、前記マニホルド通路に隣接して配置され前記マニホルド通路を加熱するようになっているエッチングされた抵抗ヒータを有する接着剤吐出システム。
【請求項12】
請求項11に記載の接着剤吐出システムであって、
前記エッチングされた抵抗ヒータは前記マニホルド通路の側壁を画定するように配置されている接着剤吐出システム。
【請求項13】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記吐出モジュールは、さらに、接着剤の微小液滴を迅速に噴射するようになっている噴射モジュールを備える接着剤吐出システム。
【請求項14】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記吐出塗布器は、さらに、前記マニホルド通路と連通している計量ポンプを備え、前記吐出モジュールは前記計量ポンプから前記接着剤を受け取るようになっている接着剤吐出システム。
【請求項15】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記第1の加熱装置、前記第2の加熱装置および前記吐出モジュールに動作可能に接続されているコントローラであって、接着剤を吐出する前記吐出塗布器の作動に応じて前記第1の加熱装置および前記第2の加熱装置を動作させて前記受容器内の接着剤を迅速に溶融させ、前記溶融した接着剤を吐出するのに最小限の量の熱エネルギーが印加されるようにするコントローラを備える接着剤吐出システム。
【請求項16】
請求項1に記載の吐出システムであって、前記吐出システムは、
固体接着剤を前記受容器に供給するステップと、
前記固体接着剤を前記第1の加熱装置によって迅速に加熱して前記接着剤を要求に応じて溶融させるステップと、
前記溶融した接着剤を前記受容器から前記マニホルド内に直接的に送達するステップと、
前記第2の加熱装置によって熱エネルギーを印加して前記溶融した接着剤を液体として維持するステップと、
前記溶融した接着剤を前記吐出モジュールから吐出するステップと、
を有する方法を行うように動作する接着剤吐出システム。
【請求項17】
受容器と、マニホルド通路を有するマニホルドを有する吐出塗布器とを備える接着剤吐出システムによって接着剤を吐出する方法であって、
固体接着剤を前記受容器に供給する工程と、
前記固体接着剤を前記固体接着剤が前記受容器の出口を通過して前記マニホルド内に至る前の溶融通路内で前記マニホルドおよび前記受容器に近接して位置付けられている第1の加熱装置によって要求に応じて迅速に加熱溶解して溶融状態にすることにより、接着剤を溶融させる工程と、
前記溶融した接着剤を前記受容器から前記マニホルド内に直接的に送達する工程と、
前記マニホルドに位置する第2の加熱装置によって熱エネルギーを印加する工程であって、前記溶融した接着剤を前記マニホルド通路内で液体として維持する工程と、
前記溶融した接着剤を前記吐出塗布器から吐出する工程と、
を備える接着剤を吐出する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記第1の加熱装置は、さらに、サセプタと誘導コイルとを有し、
前記固体接着剤を迅速に加熱する工程は、さらに
前記サセプタを前記誘導コイルによって電磁気的に誘導する工程であって、前記サセプタを加熱する工程と、
前記サセプタから前記固体接着剤に熱エネルギーを印加する工程であって、前記固体接着剤を要求に応じて迅速に溶融させる工程と、
を有する接着剤吐出方法。
【請求項19】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記第1の加熱装置は、さらに、複数の開口が画定されるとともに加熱部材を含むヒータユニットを有し、
前記固体接着剤を迅速に加熱する工程は、さらに
前記加熱部材を作動して前記ヒータユニットを熱する工程と、
固体接着剤を前記複数の開口に通す工程であって、前記複数の開口内で前記ヒータユニットから前記固体接着剤に熱エネルギーを印加するとともに前記固体接着剤を要求に応じて迅速に溶融させる工程と、
を有する接着剤吐出方法。
【請求項20】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記マニホルドは、前記マニホルド通路と連通しているカートリッジ受け部を含み、前記受容器は固体接着剤で充填されるカートリッジであり、
前記方法は、さらに、
前記カートリッジを前記カートリッジ受け部に挿入する工程であって、前記固体接着剤を迅速に溶融させるように前記第1の加熱装置に近接した位置に前記固体接着剤を提供する工程を有する接着剤吐出方法。
【請求項21】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記受容器は前記吐出塗布器に連結されており、
前記受容器は、前記吐出塗布器に隣接して位置付けられるかまたは前記吐出塗布器内で入れ子状になっている出口を有し、
前記溶融した接着剤を前記受容器から直接的に送達する工程は、前記接着剤が溶融された後で、接着剤を、前記出口を通して前記マニホルド内に即座に放出する工程を有する接着剤吐出方法。
【請求項22】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記第2の加熱装置は、さらに、前記吐出塗布器内のヒータカートリッジを有し、
前記第2の加熱装置によって熱エネルギーを印加する工程は、さらに、
前記ヒータカートリッジを作動する工程であって、前記マニホルド通路を通る前記溶融した接着剤に熱エネルギーを印加する工程を更に有する接着剤吐出方法。
【請求項23】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記第2の加熱装置は、さらに、前記マニホルド通路に隣接して配置されているエッチングされた抵抗ヒータを有し、
前記第2の加熱装置によって熱エネルギーを印加する工程は、さらに、
前記エッチングされた抵抗ヒータを作動する工程であって、前記エッチングされた抵抗ヒータを流れて通過する前記溶融した接着剤に熱エネルギーを印加する工程を有する接着剤吐出方法。
【請求項24】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、
前記溶融した接着剤を吐出する工程は、さらに、
前記溶融した接着剤の微小液滴を前記吐出塗布器から迅速に噴射する工程を有する接着剤吐出方法。
【請求項25】
請求項17に記載の接着剤吐出方法であって、さらに、
接着剤を吐出する前記吐出塗布器の作動に応じて前記第1の加熱装置および前記第2の加熱装置を動作させる工程であって、要求に応じて接着剤を迅速に溶融させる工程を有する接着剤吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には接着剤吐出システムに関し、より詳細には、吐出において接着剤を溶融させる受容器を用いる接着剤吐出システムおよび方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2012年10月26日に出願された米国仮特許出願第61/718,976号(係属中)の利益を主張し、この出願の開示は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0003】
加熱された接着剤を吐出する従来のシステム(すなわち、ホットメルト接着剤吐出システム)は概して、接着剤を固体形態または液体形態で収納するタンクまたは貯留槽を有する溶融装置と、タンクまたは貯留槽内の接着剤を加熱および/または溶融させるヒータグリッドと、溶融装置から下流の吐出ガンまたはモジュールへの加熱された接着剤の吐出を駆動および制御する、ヒータグリッドおよびタンクまたは貯留槽と連通しているポンプとを備える。1本以上のホースが溶融装置に接続され、加熱された接着剤の吐出を、ポンプの下流に位置付けられる接着剤吐出ガンまたはモジュールに方向付けることができる。さらに、従来の吐出システムは概して、コントローラ(例えばプロセッサおよびメモリ)と、吐出システムとのユーザーインターフェースを提供するとともに吐出システムの種々の構成部材を制御するようにコントローラに電気的に接続されている入力制御部とを備える。
【0004】
従来のホットメルト接着剤吐出システムは通常、受け取った接着剤を溶融させるとともに、接着剤を高温の塗布温度に加熱してからこの加熱された接着剤を吐出するのに十分な温度範囲で動作する。従来から、接着剤スループット要件が(例えば最高毎時9.1キログラム(20ポンド)以上にまで)増大するにつれて、接着剤吐出システムでは、溶融接着剤の所望の最大流量を供給することができることを確実にするために、溶融装置とともに用いられるタンクまたは貯留槽のサイズが増大してきている。しかし、大型のタンクおよび貯留槽では、接着剤吐出システム内で大量のホットメルト接着剤が高温の塗布温度で保持されることになる。接着剤吐出システムが最大スループットで動作していない動作期間中、大量のホットメルト接着剤はタンクまたは貯留槽内でかなりの長期間高温の塗布温度で保持され得るが、このことは、接着剤の劣化および/または炭化、接着剤の結合特性に対する悪影響、接着剤吐出システムの詰まり、および/または更なるダウンタイムにつながる可能性がある。さらに、溶融装置から吐出モジュールまで延在する加熱ホースを設けることによって、接着剤吐出システムの複雑さおよび費用が更に増大し、一方で、接着剤が高温の塗布温度に保持される時間も更に増す。
【0005】
幾つかの他の従来の接着剤吐出システムでは、溶融装置のタンクまたは貯留槽は、サイズが低減されているか、または、必要とするときに要求に応じて吐出モジュールが接着剤を溶融させる(「メルトオンデマンド」とよぶ)ようになっている異なるタイプの溶融装置を設けることによってほぼなくなっている。メルトオンデマンドを用いることによって、炭化および劣化を含むがこれらに限定されない、接着剤を高温の塗布温度で長期間保持することに関連する問題の幾つかが大幅に低減される。そのようなメルトオンデマンドプロセスの一例が、Laskoへの米国特許第6,230,936号に記載されている。Lasko特許に示されているようなシステムは接着剤を必要に応じて溶融させるが、これらのシステムは、低スループット期間中に用いられる場合に持続的に接着剤の再固化を被る。再固化した接着剤の詰まりを、これらの詰まりが生じたときにシステムから排除することは極めて実現困難であるかまたは不可能である。加えて、接着剤に印加されるエネルギーの変換効率が、これらのシステムが抱える問題によって低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのような理由から、メルトオンデマンドを用いながらもエネルギー変換効率を最大限に高める改良されたホットメルト接着剤吐出システムが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施の形態によると、接着剤を要求に応じて溶融させるとともに接着剤を吐出する接着剤吐出システムが提供される。接着剤吐出システムは、接着剤を吐出する吐出塗布器であって、マニホルド通路を有するマニホルドと、前記マニホルド通路に連結されている吐出モジュールとを含む、吐出塗布器を有する。前記接着剤吐出システムはまた、前記吐出塗布器に近接して配置されている受容器を備える。前記受容器は、前記吐出塗布器の位置において少量の固体接着剤を受け入れる受容チャンバを含む。前記受容器はまた、溶融後すぐに溶融した接着剤を前記マニホルド内に送達するように配置されている出口を含む。第1の加熱装置が前記マニホルドおよび前記受容器に近接して位置決めされており、前記第1の加熱装置は、前記接着剤を要求に応じて迅速に溶融させる。前記マニホルド内に配置されている第2の加熱装置が熱エネルギーを印加して前記接着剤を前記マニホルド通路内で液体として維持する。第1の加熱装置および第2の加熱装置の動作は、溶融した接着剤の再固化を防止する。
【0008】
一態様では、第1の加熱装置は、誘導コイルと、誘導コイルによって電磁気的に作動されて熱くなることによって熱エネルギーを印加し、接着剤を迅速に溶融させるサセプタとを含むことができる。代替的には、第1の加熱装置は、複数の開口が画定されるとともに、複数の開口を通って移動する接着剤を加熱する加熱部材を含むヒータグリッドの形態のヒータユニットを含むことができる。別の実施の形態では、マニホルドはカートリッジ受け部を含み、受容器は、固体接着剤が充填されるカートリッジである。カートリッジはカートリッジ受け部内に挿入され、それによって、固体接着剤を第1の加熱装置によって溶融させることができる。これらの代替形態のそれぞれおよび第1の加熱装置の他の構成では、接着剤は溶融され、次に、吐出塗布器によって用いられるようにマニホルド内に即座に放出される。例えば、受容器は、出口がマニホルド内に位置決めされるようにマニホルド内で少なくとも部分的に入れ子状にすることができる。別の例では、受容器は、出口がマニホルド通路内に直接的に給送するよう位置決めされるようにマニホルドに連結することができる。
【0009】
第1の加熱装置は、接着剤吐出システム内の種々の異なる位置に位置付けることができる。例えば、第1の加熱装置は、幾つかの実施の形態ではマニホルド内に位置付けられる。他の実施の形態では、第1の加熱装置は受容器内に位置付けられる。代替的には、第1の加熱装置を、受容器内の第1の部分とマニホルド内の第2の部分とに分けてもよい。上記で説明した誘導コイルおよびサセプタを含む例では、サセプタは受容器内に位置付けられ、誘導コイルはマニホルド内に位置付けられる。第1の加熱装置は、どこに位置付けられるかに関係なく、受容器内の固体接着剤を迅速に加熱および溶融させるように位置決めされたままであり、それによって、溶融した接着剤は吐出塗布器内に流れ込む。
【0010】
別の態様では、第2の加熱装置は、マニホルドを通って延在するとともにマニホルドおよびマニホルド通路を加熱するヒータカートリッジを含むことができる。第2の加熱装置は、マニホルド通路に隣接して位置付けられているエッチングされた抵抗ヒータも含むことができる。より詳細には、エッチングされた抵抗ヒータは、マニホルド通路の側壁の少なくとも一部を画定することができるため、接着剤は、エッチングされた抵抗ヒータを流れて通過して熱エネルギーを受け取る。吐出塗布器は、溶融した接着剤を基材上に放出する任意のタイプの吐出モジュールを含むことができる。このために、吐出塗布器は、溶融した接着剤の微小液滴を基材上に迅速に噴射するように動作する噴射モジュールを含むことができる。別の例では、吐出塗布器は、1以上の吐出モジュールに給送する計量ポンプを含むことができる。その結果、溶融した接着剤は、第1の加熱装置の下流で固化せず、吐出塗布器からの固体材料のパージが必要ではなくなる。
【0011】
本発明による別の実施の形態では、接着剤を吐出する方法が、マニホルド通路を含むマニホルドを有する吐出塗布器を有し、受容器も有する接着剤吐出システムを用いる。固体接着剤が、受容器に供給され、第1の加熱装置によって迅速に加熱される。その結果、接着剤は、吐出が必要になると要求に応じて迅速に溶融される。本方法は、溶融した接着剤を受容器からマニホルド内に直接的に送達することも含む。第2の加熱装置が、熱エネルギーを印加して接着剤をマニホルド内で液体として維持する。吐出塗布器は次に溶融した接着剤を吐出する。本方法は、炭化または固化の問題を回避しながら、接着剤の溶融を要求に応じて提供する。
【0012】
本発明のこれらの目的および利点並びに他の目的および利点は、図面と併せて読まれる本明細書における以下の詳細な説明においてより容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるメルトオンデマンドを用いた接着剤吐出システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】受容器によって供給される複数の吐出モジュールを含む、
図1の接着剤吐出システムの概略正面図である。
【
図3】
図2の接着剤吐出システムの受容器およびマニホルドの正面断面図である。
【
図4】接着剤吐出システムの別の実施形態によるヒータユニットを含む代替的な受容器およびマニホルドの正面断面図である。
【
図5】
図3の接着剤吐出システムと同様の、受容器およびマニホルドの代替的な実施形態の正面断面図である。
【
図6】接着剤吐出システムの別の実施形態によるカートリッジの形態の代替的な受容器およびマニホルドの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に援用されるとともに本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上記の本発明の概説および以下に示す実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0015】
図1から
図3を参照すると、本発明の1つの実施形態による接着剤吐出システム10が示されている。接着剤吐出システム10は、吐出においてメルトオンデマンドプロセスを用いることで接着剤が吐出に必要になると固体接着剤を迅速に溶融させることによって吐出動作を改善するようになっている。このために、吐出地点から離れて位置する貯留槽、タンクおよび/または加熱ホースにおいて溶融ホットメルト接着剤を高温で保管することが接着剤吐出システム10から実質的に排除され、その結果、接着剤の劣化および/または炭化の可能性が大幅に低減する。その上、接着剤は、溶融が吐出において行われるため、溶融の地点と吐出の地点との間の長距離にわたる移送または圧送を必要としない。換言すると、接着剤吐出システム10の受容器12は、吐出塗布器14と同じ位置に位置付けられる。接着剤は、有利には、受容器12に近接して位置付けられる第1の加熱装置16によって溶融され、次に、吐出塗布器14内に含まれる第2の加熱装置18によって液体状態に保たれる。その結果、接着剤は、吐出が必要であるときに要求に応じて迅速に溶融され、受容器12の下流で液体状態において高温で保たれ、接着剤の再固化を防止する。したがって、接着剤吐出システム10は、メルトオンデマンドプロセスの結果としてよりエネルギー効率的でありながらも接着剤の再固化に関連する問題を低減するかまたは排除する。
【0016】
図1を参照すると、接着剤吐出システム10の例示的な実施形態の概略的なレイアウトが示されている。このために、吐出システム10は、上述した吐出塗布器14および受容器12と、固体接着剤を受容器12に供給するようになっている充填システム20とを備える。充填システム20は、いくつもの既知の形態をとることができるが、
図1の例示的な実施形態の充填システム20は、ソリッドポンプ24を有するホッパー22と、ホッパー22から受容器12へ延在するホース26とを含む。ホッパー22は、受容器12に定期的に送達するように、ペレット化された接着剤等の固体の粒状接着剤を保管するようになっている大型の保管トート(tote)を含むことができる。ソリッドポンプ24は、エダクターおよび/またはベンチュリ(図示せず)を有する空気ポンプを含み、固体接着剤を、ホッパー22から、加圧空気によってホース26を通して受容器12へ移動させることができる。ソリッドポンプ24は、本発明の範囲と一致する他の実施形態では、機械的攪拌装置等の非空気圧形式の給送を含む他のタイプの給送機構を含むことができることが理解されるであろう。ホッパー22は、他の実施形態では受容器12に隣接して再配置することもできる。
【0017】
図1および
図2に示されているように、充填システムは、固体接着剤を、吐出塗布器14に隣接して位置付けられる受容器12に送達し、それによって、受容器12は、吐出の必要時等に要求に応じて溶融される少量の固体接着剤を保管することができる。第1の加熱装置16は、受容器12内に概略的に示されているが、他の実施形態では、吐出塗布器14内に位置付けるか、または受容器12および吐出塗布器14のそれぞれの部分に分けてもよいことが理解されるであろう。例示的な実施形態の吐出塗布器14は、マニホルド30と、マニホルド30に連結されている複数の吐出モジュール32とを含む。マニホルド30は、受容器12から溶融した接着剤を受け取り、その溶融した接着剤を吐出モジュール32に供給するようになっている。このために、マニホルド30は、マニホルド30の内部で受容器12と吐出モジュール32との間に延在するマニホルド通路34を含むことができる。マニホルド通路34は、第2の加熱装置18によって加熱され、マニホルド30内の接着剤を高温において溶融した液体状態に維持することができ、それによって、接着剤の固化を防止する。吐出塗布器14は他の実施形態では変更してもよいことが理解されるであろう。例えば、マニホルド30は、1以上の吐出モジュール32に組み込むことができるか、またはマニホルド30は、他の実施形態では、接着剤の吐出に必要な吐出塗布器14の特定のタイプに応じて省くことができる。
【0018】
十分に理解されるように、吐出モジュール32は、接着剤の吐出の選択的な制御を作動するようになっているフローバルブを含む。吐出モジュール32は、種々のタイプの接着剤を基材上に吐出するのに用いられる任意の既知のタイプの吐出モジュール32を含むことができる。一例では、吐出モジュール32は、本願の譲受人によって所有されているとともにその開示が本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす、Clark他への同時係属中の米国特許出願公開第2011/0300295号に記載されている噴射モジュールを含む。このために、吐出モジュール32は、弁部材を弁座(図示せず)に対して迅速に開閉し、吐出出口に向かう接着剤の流れを繰り返し可能にし、次に、
図1に概略的に示されているように、接着剤の微小液滴36を吐出出口から基材38上に押し出すように動作する。したがって、吐出モジュール32は、接着剤の微小液滴を吐出塗布器14から迅速に噴射させるように動作することができる。同様のおよび異なるタイプの接触ノズル/モジュールまたは非接触ノズル/モジュールを含む他のタイプの吐出塗布器を本発明の範囲から逸脱することなく用いることができることが認識されるであろう。
【0019】
接着剤吐出システム10は、受容器12および吐出塗布器14の種々の構成部材を動作させるようになっているコントローラ40も備えることができる。このために、コントローラ40は、第1の加熱装置16および第2の加熱装置18を動作させ、吐出モジュール32にメルトオンデマンドを提供する。一例では、コントローラ40は、一以上の吐出モジュール32における吐出の作動に対応する入力を受け取り、次に、第1の加熱装置16を作動して接着剤を迅速に溶融させ、更なる溶融した接着剤をマニホルド30に供給する。
図3に概略的に示されているように、コントローラ40へのこの入力は、吐出モジュール32から直接送信されるモジュール作動信号であるものとすることができるが、この入力は、レベルセンサーがマニホルド通路34の少なくとも幾つかの部分からの接着剤の取り出しを検出することといった他の代替形態も含むことができる。その結果、吐出モジュール32が動作してマニホルド30から供給された接着剤を吐出するときはいつでも、コントローラ40が第1の加熱装置16および第2の加熱装置18を動作させ、更なる接着剤を溶融し、吐出モジュール32が用いるように少ない供給量の接着剤をマニホルド通路34内で高温に維持する。コントローラ40は、充填システム20等の更なる構成部材に接続することができ、限定はされないが、充填システム20による受容器12の充填、および溶融した接着剤を吐出するように吐出モジュール32を作動することを含む接着剤吐出システム10の更なる動作機能部を制御するように動作することもできることが理解されるであろう。これに関して、接着剤吐出システム10の構成部材の構成、並びに、コントローラ40並びに第1の加熱装置16および第2の加熱装置18の動作によって集合的に、接着剤の高温での吐出を可能にするように印加される熱エネルギーが最小限に抑えられる。
【0020】
図3を特に参照すると、例示的な実施形態の受容器12およびマニホルド30の更なる細部が示されている。より詳細には、この実施形態の受容器12は、接着剤を高温に迅速に加熱するとともに溶融させる第1の加熱装置16を含む。そのような第1の加熱装置16の一例は、吐出塗布器14の要求に応じて接着剤を迅速に溶融させるインダクタ/サセプタタイプの加熱装置を含むことができる。この例を引き続き参照すると、受容器12は、Laskoへの米国特許第6,230,936号(その開示は本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されている構成部材の多くを含むことができる。このために、受容器12は、ノーズアセンブリ46に接続されている遠位端44と、ビーズ、ペレット、または他の固体若しくは半固体の粒子の形態の接着剤52をホース26から受け取る入口50を画定する近位端48(
図2)とを含む本体42を含むことができる。本体42はしたがって、入口50からノーズアセンブリ46まで延在する内部受容チャンバ54を画定し、それによって、少ない供給量の固体接着剤52を受容チャンバ54内で保持して第1の加熱装置16に向かって給送することができる。給送スクリューすなわちオーガ56を、受容チャンバ54内に位置付けられるとともに、ノーズアセンブリ46に向かう接着剤52の移動を作動するようになっているスクリューバレル58に取り付けることができる。これに関して、給送スクリュー56は、モーター(図示せず)によって駆動され、固体接着剤52を、
図3に示されている向きにおいて下方へ回転させるとともに強制的に移動させる。以下で更に詳細に説明するように、給送スクリュー56の駆動運動は、吐出塗布器14における接着剤52の要求に対応するように制御され、それによって、受容器12に対し、所望の量の溶融接着剤52を吐出モジュール32に提供させる。代替的には、他の実施形態では、固体接着剤52が重力によって受容チャンバ54の底部に給送され、第1の加熱装置16によって溶融されるようノーズアセンブリ46内に入るように、給送スクリュー56およびスクリューバレル58を省いてもよいことが理解されるであろう。固体接着剤52を移動させる他のタイプの撹拌装置も本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。
【0021】
引き続き
図3を参照すると、ノーズアセンブリ46は、中央オリフィス62を有する円錐ハウジングコーン60を含む。円錐ハウジングコーン60は、ねじ付きカラー64または同様の接続機構によって本体42の遠位端44に連結することができる。ノーズアセンブリ46は、代替的には、受容器12の他の実施形態では、本体42と(例えば本体42の下端として)一体的に形成してもよく、または他の方法で(例えば非テーパー状に)形を作り変えてもよいことが認識されるであろう。ノーズアセンブリ46は、円錐ハウジングコーン60内に収められる円錐インダクタ66も含む。円錐インダクタ66は、電流を供給して円錐インダクタ66内に収められる円錐サセプタ68の加熱を電磁気的に誘導することができるワイヤーからなる誘導コイルである。円錐サセプタ68は、円錐ハウジングコーン60内の接着剤52に面する有効表面積を増大させるように起伏を付けるかまたは曲げることができる。円錐サセプタ68はまた、溶融した接着剤が、受容器12の、円錐ハウジングコーン60の中央オリフィス62に画定される出口74を通って流れることができるように、円錐ハウジングコーン60の中央オリフィス62と位置合わせされる中央オリフィス70を含む。静止内側コーン76も円錐ハウジングコーン60内に位置付けられ、静止内側コーン76は、摺動ジョイント78が、本体42の遠位端44においてスクリューバレル58の端に接続されている。したがって、円錐ハウジングコーン60は、円錐サセプタ68と静止内側コーン76との間に画定されるとともに本体42の受容チャンバ54から出口74まで延在する溶融通路80を画定する。溶融通路80は、給送スクリュー56によって受容チャンバ54から出るように駆動されるか、または重力若しくは他の撹拌装置によって別様に受容チャンバ54から出るように給送される接着剤52を受け取り、サセプタ68は、固体接着剤52が出口74を通ってマニホルド30に入る前に、接着剤52を溶融通路80内で溶融状態に迅速に溶融させる。
【0022】
この実施形態の受容器12は、ノーズアセンブリ46が吐出塗布器14のマニホルド30内で少なくとも部分的に入れ子状になるように配置されている。その結果、出口74は、接着剤52が溶融通路80内で溶融された後で溶融した接着剤52をマニホルド通路34内に直接的に即座に放出するように、マニホルド30内に位置付けられる。以下で更に詳細に説明するように、マニホルド30も加熱することができ、それによって、ノーズアセンブリ46を加熱されるマニホルド30内で入れ子状にすることで、ノーズアセンブリ46において、接着剤52を溶融させる付加的な熱エネルギーが提供される。このために、第1の溶融装置16の少なくとも一部を、受容器12内ではなくマニホルド30内に位置付けることができる。代替的には、ノーズアセンブリ46は、溶融後に出口74が溶融した接着剤をマニホルド通路34内に直接的に即座に放出し続ける限り、テーパー形状を有することなく、または
図3に示されているようにマニホルド30内へ幾らか入れ子にすることなく再構成してもよい。そのようなテーパー状でなく入れ子状でない構成の一例を、
図4に示されている実施形態を参照して以下で更に詳細に説明する。別の代替的な例では、ヒータグリッド(図示せず)を、グリッド構造で配置されるとともに1以上のインダクタによって誘導される複数のサセプタから形成してもよい。
【0023】
動作時には、コントローラ40において判断されるように吐出モジュール32が吐出するために更なる接着剤52を必要とするときはいつでも、給送スクリュー56が回転して固体接着剤52を溶融通路80内に押しやり、誘導コイル66を用いたサセプタ68の電磁誘導によって発生される熱エネルギーを用いて溶融させる。さらに、コントローラ40は、第1の加熱装置16が既にオフになっているかまたは待機モードになっている場合に、吐出モジュール32が更なる接着剤52を必要としていることに応じて、サセプタ68をオンにする、すなわちサセプタ68における加熱を作動することができる。サセプタ68によって印加される熱エネルギーは、接着剤52を迅速に溶融させるように調整されるが、接着剤52の炭化および劣化を回避するのに十分に緩やかな加熱である。吐出モジュール32が更なる接着剤の要求を停止すると(例えば吐出動作が停止すると)、給送スクリュー56を、接着剤52を溶融通路80内に押しやって通す圧力を除去するように短時間逆回りに駆動することができる。このように流れを逆にすることは、重力によって給送される固体接着剤52が給送スクリュー56を用いることなく受容チャンバ54内に保持される他の実施形態を含め、本発明の実施形態の全てにおいて必要とされるわけではないとし得る。給送スクリュー56は、吐出モジュール32における要件に応じて、種々のレベルの溶融接着剤のスループットを提供するように様々な速度で駆動することができることが理解されるであろう。
【0024】
有利には、受容器12を吐出塗布器14に位置付けることと、ノーズアセンブリ46をマニホルド30内で任意選択的に入れ子状にすることとによって、接着剤52を、要求に応じて溶融させ、受容器12の出口74からマニホルド通路34内へ単に直接的に流すことによって吐出モジュール32に送達することができる。したがって、受容器12と吐出塗布器14との間には加熱ホースまたは他の導管は必要とされない。その上、メルトオンデマンドプロセスは、接着剤で満杯の貯留槽またはタンクを吐出塗布器14から離れた位置で高温に保持する必要なく、溶融した接着剤52を吐出モジュール32に供給することを可能にする。その結果、例示的な実施形態のメルトオンデマンドプロセスは、エネルギー効率的となり(例えば、吐出システム10に供給されるエネルギーの最大限のパーセンテージが塗布器14から吐出される接着剤52において実現される)、別々の溶融装置と塗布器との間に延在するホースを有する他の吐出システムよりも少ない構成部材しか必要としない。加えて、溶融した接着剤を吐出塗布器14から離れた位置において保持する大型の貯留槽またはタンクを排除することによって、接着剤が炭化または固化する可能性を低減する。
【0025】
さらに、マニホルド30も、接着剤が炭化または固化する可能性を低減するようになっている。このために、マニホルド30は、上記で簡単に説明した第2の加熱装置18を含む。第2の加熱装置18は、マニホルド30内に位置付けられるとともにマニホルド通路34を通って流れる接着剤52の温度を維持するように動作可能な1以上のタイプの加熱部材を含むことができる。
図3に示されている例示的な実施形態では、第2の加熱装置18は、マニホルド通路34に隣接して位置決めされるエッチングされた抵抗ヒータ86を含む。エッチングされた抵抗ヒータ86は、電流を受け取り、熱エネルギーを発生させて、マニホルド通路34、およびマニホルド通路34内に位置する接着剤52に印加することができる。エッチングされた抵抗ヒータ86は、マニホルド30内に位置決めすることができるため、マニホルド通路34を画定する側壁の少なくとも一部を画定する。しかし、エッチングされた抵抗ヒータ86は、発生される熱エネルギーがマニホルド通路34に伝達される限り、他の実施形態では位置を変えてもよいことが理解されるであろう。
【0026】
図3に示されているマニホルド30は、マニホルド通路34内の溶融した接着剤52の吐出モジュール32への供給を計量する任意の計量ポンプ88を含む。このために、マニホルド通路34は、任意の計量ポンプ88の下流で別個の通路部分に分岐し、接着剤52の流れを分割し、吐出塗布器14に関連する吐出モジュール32のそれぞれに供給することができる。マニホルド通路34のこの構成は、有利には、メルトオンデマンドを用いながら、受容器12が複数の吐出モジュール32に溶融した接着剤を供給することを可能にする。エッチングされた抵抗ヒータ86はポンプ88の上流に位置付けられるマニホルド通路34の収集部分89に位置決めされるものとして示されているが、エッチングされた抵抗ヒータ86は、本発明の他の実施形態では、ポンプ88の下流で分岐するマニホルド通路34の部分を直接的に加熱するように位置を変えてもよいことが認識されるであろう。収集部分89は、任意選択的なポンプ88(マニホルド30に含まれる場合)の上流かつ吐出モジュール32の上流に位置付けられ、吐出モジュール32が吐出動作を行うために引き出すことができる少量の溶融した接着剤を提供することが理解されるであろう。
【0027】
第2の加熱装置18は、
図3に示されている例示的な実施形態のヒータカートリッジ90も含む。ヒータカートリッジ90はマニホルド30を通って延在し、計量ポンプ88の下流のマニホルド通路34の分岐間に延びる複数の経路を含むことができる。ヒータカートリッジ90は、マニホルド30内の位置に挿入されるかまたは流し込まれ、マニホルド30全体(またはその相当な部分)を加熱するように動作し、マニホルド30は次に、マニホルド通路34内の接着剤52に熱エネルギーを印加し、接着剤52を高温に維持する。エッチングされた抵抗ヒータ86またはヒータカートリッジ90は、吐出システム10の他の実施形態では、組み合わせてではなく単独で用いてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく更なるタイプのヒータを第2の加熱装置18において用いてもよいことが理解されるであろう。マニホルド30内の接着剤52への熱エネルギーの印加は、低スループットの期間中、または吐出周期と吐出周期との間に、受容器12の下流の接着剤52の再固化を防止する。したがって、第2の加熱装置18を第1の加熱装置14と組み合わせて用いることによって、有利には、高スループットおよび低スループットの双方の期間中に複数の吐出モジュール32に供給するようになっているメルトオンデマンドプロセスが可能となる。従来の吐出システムの、接着剤の固化に関連する問題は、本発明の接着剤吐出システム10を用いると低減されるかまたはなくなる。したがって、接着剤吐出システム10の動作は、エネルギー効率に関して最適化され(例えば、最低限の量の熱エネルギーが印加され、接着剤52を高温で吐出することを可能にする)、要求の時点での溶融のために改良される。
【0028】
図4に示されている接着剤吐出システム110の別の例示的な実施形態では、受容器112および吐出塗布器114の代替的な構成が提供される。接着剤吐出システム110のこの実施形態の構成部材の幾つかは、上述した構成部材と同一であるかまたは実質的に同様であり、これらの構成部材(例えばマニホルド30)には、この実施形態では同じ参照符号が付されており、以下では更なる説明はしない。この実施形態では、受容器112は、ヒータグリッド118の形態のヒータユニット118によって画定されている第1の加熱装置116を含む。この実施形態の受容器112の構成部材の多くは、「Adhesive Dispensing Device having Melt Subassembly with Optimized Reservoir and Capacitive Level Sensor」(弊社整理番号:NOR−1496P)と題するClark他への同時係属中の米国特許出願第61/703,454号にも記載されており、この開示は本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。この実施形態の受容器112は、少量の固体接着剤52を保管するとともに、メルトオンデマンドを用いて、
図1から
図3の実施形態を参照して説明した方法と同様の方法で吐出位置において溶融した接着剤52を提供するように動作する。
【0029】
このために、受容器112は、ヒータグリッド118と、ヒータグリッド118の上に位置付けられるとともに固体の粒状接着剤52をヒータグリッド118内に供給するようになっている収納チャンバ120と、収納チャンバ120の上に位置付けられるとともに接着剤52を充填システム20およびホース26から収納チャンバ120内へ送達するようになっている任意選択的なサイクロン分離ユニット122とを含む。Clark出願においてより詳細に説明したように、収納チャンバ120は、収納チャンバ120内の接着剤52のレベルを感知し、吐出塗布器114が接着剤52を吐出するにつれて充填システム20が固体接着剤52を受容器112内に連続的に充填することを確実にするようになっているレベルセンサー124も含むことができる。ヒータグリッド118は、収納チャンバ120とマニホルド30との間のスペースにわたって延在する外周壁126と複数の仕切り128とを含む。ヒータユニット118はしたがって、接着剤52を流すように、ヒータグリッド118を通る、仕切り128間の複数の開口129を画定する。複数の開口129は、ヒータユニット118の他の実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなく、限定はされないが外周壁126から延在するフィン状の構造を含む、グリッド状の仕切りとは異なる構造によって画定してもよいことが理解されるであろう。これに関して、「ヒータユニット」118は、他の実施形態では、接着剤52を加熱するグリッド状ではない構造を含むことができる。ヒータユニット118(この実施形態ではヒータグリッド118として示されている)は、接着剤を接着剤吐出システム110内で流す少なくとも1つの開口129が設けられる限り任意の構造を含むことができる。
【0030】
外周壁126は、ヒータグリッド118に挿入するかまたは流し込むことができるヒータカートリッジ130または別の同様の加熱部材を収めるようになっている。ヒータカートリッジ130は、ヒータグリッド118に熱エネルギーを印加し、熱エネルギーは、外周壁126および仕切り128を通して伝導され、熱エネルギーを、複数の開口129内を流れる接着剤52に伝達し、それによって、要求に応じて接着剤52を迅速に溶融させる。ヒータカートリッジ130およびヒータグリッド118の動作は、吐出塗布器114における吐出動作による必要時に接着剤52を溶融させるようにコントローラ40によって制御することができる。したがって、接着剤52を高温で吐出することを可能にするのに最低限の量の熱エネルギーしか印加されない。前述の実施形態と同様に、前記詳細に述べたとおり、コントローラ40は、吐出モジュール32等の一以上の入力部に連結されている。受容器112は、ヒータグリッド118の開口129の下端に底部開口出口132が画定されている。受容器112は、(ねじファスナー134または他の同様のコネクター等によって)吐出塗布器114のマニホルド30に連結されているため、この出口132はマニホルド通路34(より詳細にはマニホルド通路34の収集部分89)と直接的に連通する。したがって、前述の実施形態と同様に、受容器112は、ヒータグリッド118における溶融後にヒータグリッド118の開口129からマニホルド通路34内へ接着剤52を直接的に即座に給送する出口132を含む。
【0031】
ヒータグリッド118および収納チャンバ120は、最低限の量の接着剤52が吐出塗布器114において用いられる前に高温で保持されるように、比較的小さいサイズにされる。これに関して、受容器112および吐出塗布器114から離れて位置決めされる溶融した接着剤の貯留槽またはタンクがない。その結果、接着剤の炭化の問題がこの接着剤吐出システム110では低減されるかまたはなくなる。前述した実施形態と同様に、マニホルド30はこの場合も、溶融した接着剤52に熱エネルギーを印加し、受容器112の下流で溶融した接着剤52を高温かつ液体状態で維持するように動作し、それによって、接着剤52の再固化を防止する、第2の加熱装置18を含む。第2の加熱装置18は、この場合も同様に、エッチングされた抵抗ヒータ86(この場合はマニホルド30内でマニホルド通路34に隣接して示されている)および/またはマニホルド30全体を加熱するヒータカートリッジ90を含むがこれらに限定されない種々のタイプの加熱部材を含むことができる。したがって、この実施形態の接着剤吐出システム110も、エネルギー効率的なメルトオンデマンド動作を可能にし、接着剤52の炭化および固化を低減するかまたはなくすという利点がある。
【0032】
接着剤吐出システム210の代替的な実施形態が
図5に示されている。接着剤吐出システム210のこの実施形態の構成部材の多くは、
図3に示されている実施形態を参照して上述した構成部材と同一であるかまたは実質的に同様であり、これらの構成部材には、この実施形態では同じ参照符号が付されており、以下では更なる説明はしない。このために、接着剤吐出システム210は、上述した第1の実施形態と同じ受容器12と吐出塗布器14とを備えるが、マニホルド230およびノーズアセンブリ246は、この実施形態では、第1の加熱装置16をマニホルド230内の第1の部分とノーズアセンブリ246内の第2の部分とに分けるように変更されている。より詳細には、円錐インダクタ266は、マニホルド230内であるが円錐サセプタ68に依然として近接している位置に移動しているが、円錐サセプタ68は、ノーズアセンブリ246内にあるままである。上述したように、円錐インダクタ266は、コントローラ40によって電流を供給して円錐サセプタ68およびサセプタ68内の接着剤52の迅速な加熱を電磁気的に誘導することができるワイヤーからなる誘導コイルである。第1の部分(インダクタ266)はマニホルド230内に位置付けられており、第2の部分(サセプタ68)はノーズアセンブリ246内に位置付けられているが、第1の加熱装置16は、上記で説明した実施形態のように要求に応じて接着剤52を迅速に溶融させるよう引き続き同じように動作する。
【0033】
第1の加熱装置16は、図示されていない他の実施形態では接着剤52の迅速な溶融および緩やかな溶融を助けるようにマニホルド230内に位置付けられるヒータカートリッジまたは他のタイプの加熱部材等の付加的な加熱部材を含んでもよいことが理解されるであろう。本発明の範囲と一致する更に他の実施形態では、インダクタ266およびサセプタ68は、位置を入れ変えることができるか、または双方ともマニホルド230内に位置付けることができる。第1の加熱装置16の選択されるレイアウトに関係なく、第1の加熱装置16は受容器12および吐出塗布器14の双方に近接したままであり、それによって、接着剤52が吐出において要求に応じて溶融されることで接着剤52が炭化または劣化する可能性を制限する。
【0034】
図6を参照すると、上記で説明した後者のタイプの構成を含む接着剤吐出システム310の代替的な実施形態が示されている。より詳細には、第1の加熱装置16は、誘導コイルの形態の円錐インダクタ366と、それぞれマニホルド330内のマニホルド通路への入口付近に位置付けられる円錐サセプタ368とを含む。接着剤吐出システム310は、他の実施形態を参照して上述した構成部材と同一であるかまたは実質的に同様である多くの構成部材を含んでおり、これらの構成部材には、この実施形態では同じ参照符号が付されており、以下では更なる説明はしない。
【0035】
この実施形態では、マニホルド330は、上述したような第1の加熱装置16と、円錐インダクタ366および円錐サセプタ368に隣接して形成されるカートリッジ受け部394とを含むように変更されている。他の同様の実施形態では、他のタイプの加熱部材を第1の加熱装置16に用いてもよいことが理解されるであろう。例えば、インダクタ366およびサセプタ368は本発明の範囲から逸脱することなく、
図5と同様にカートリッジ312内にあるものとマニホルド330内にあるものとに分けることができるか、または、
図3と同様にカートリッジ312内に双方の要素366、368がある。カートリッジ受け部394は、マニホルド通路34と連通し、この実施形態では受容器12であるカートリッジ312をぴったりと収めるサイズである。このために、カートリッジ312は、固体接着剤52で充填されるとともに、この固体接着剤52をカートリッジ312の部分に概ね重力によって給送する(受容チャンバ54を画定する)中空のチャンバを含み、カートリッジ312は、カートリッジ受け部394内で入れ子状になり、マニホルド330内の円錐サセプタ368に隣接して位置付けられる。したがって、第1の加熱装置16は、カートリッジ受け部394においてカートリッジ312内に位置する固体接着剤52を迅速に加熱し、要求に応じてその接着剤を溶融させてマニホルド通路34内に供給するように動作可能である。この溶融動作は、他の実施形態に関して詳細に上述した他の溶融動作と実質的に同一である(迅速および緩やか)。前述の実施形態と同様に、マニホルド330は引き続き第2の加熱装置18を含み、第2の加熱装置18は、熱エネルギーを印加して接着剤52をマニホルド330内で液体状態に保つ。その結果、接着剤吐出システム310のこの実施形態は、エネルギー効率的なメルトオンデマンド動作を引き続き達成し、接着剤52の炭化および再固化を有利に低減するかまたはなくす。
【0036】
接着剤52を迅速に溶融させるように第1の加熱装置16を用いる塗布の時点のメルトオンデマンドプロセスと、受容器12の下流に位置する接着剤52の温度を維持する第2の加熱装置18とを組み合わせることは、例示的な実施形態に示されている構成部材のセットとは異なる構成部材のセットを用いる他の実施形態において用いてもよい。例えば、吐出塗布器14は、本願の譲受人によって所有されているとともにその開示が本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす、Varga他への米国特許第8,201,717号の装置に記載されている構成部材の幾つかまたは全てを含むことができる。受容器12および吐出塗布器14を画定するのに用いられる特定の構造に関係なく、本発明の接着剤吐出システムによって可能となるメルトオンデマンドプロセスは、有利には、従来の吐出システムに関連する欠点の多くに対処する。接着剤吐出システムは、吐出塗布器内の接着剤の固化および炭化によって生じる問題を回避しながら、接着剤52に印加される熱エネルギーの有用な変換を最大限に高める。
【0037】
本発明を幾つかの実施形態の記載によって説明し、これらの実施形態をかなり詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に限定するかまたはいかようにも制限することは意図しない。更なる利点および変更形態が当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本発明はその最も広範な態様では、図示および記載される特定の詳細に限定されない。本明細書において開示されている種々の特徴は、特定の用途に必要または所望の任意の組み合わせで用いることができる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく本明細書において記載されている詳細から逸脱することができる。