(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯乾燥機の形式には、一般的にドラム式と縦軸式とが存在する。そのうち、ドラム式は、ドラムを洗濯物出入用の開口が前方を向く横軸状に配置して回転駆動するものであり、縦軸式は、回転槽を洗濯物出入用の開口が上方を向く縦軸状に配置して回転駆動するものである。そして、それらの乾燥方式には、電熱ヒータ方式とヒートポンプ方式とがある。
【0003】
そのうち、電熱ヒータ方式は、ファンと電熱ヒータとにより温風を生成して洗濯物を加熱し、それによって温風に含まれた湿気を水冷式の除湿器により取除くものであり、もしくは除湿せずに機外に放出するものである。
一方、ヒートポンプ方式は、圧縮機と、凝縮器、減圧手段、及び蒸発器で構成したサイクル(冷凍サイクル)を用いるもので、そのうちの凝縮器とファンとにより温風を生成して洗濯物を加熱し、それによって温風に含まれた湿気を蒸発器により取除くものであり、温風は循環させる(機外に放出しない)ものである。
【0004】
ヒートポンプ方式は、電熱ヒータ方式に比して、電力の消費量が少なく、除湿のための水を必要とすることもない上に、温風を機外に放出しないので室内環境を損ねることもなく、更に、洗濯物の傷みや収縮も少ない利点を有する。
このヒートポンプ方式は、一般にドラム式の洗濯乾燥機に採用されてきたが、縦軸式の洗濯乾燥機に採用する考えもある(例えば特許文献1〜4参照)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態につき、
図1から
図4を参照して説明する。
まず、
図2には、縦軸式洗濯乾燥機の全体的構成を示しており、外箱1の内部に水槽2を配置し、水槽2の内部に回転槽3を配置している。このうち、外箱1は、直方体状を成すものであり、底部1aの中央部一帯に開口部4を有している。これに対して、水槽2は、有底の円筒状を成すもので、外箱1の上部から複数本(1本のみ図示)の吊り棒5a及び複数個(これも1個のみ図示)のスプリング5bを有して成る弾性吊持機構5により、軸方向が上下となる縦軸状に吊持して、揺動可能に弾性支持している。
【0011】
回転槽3は、水槽2より径小な有底の円筒状を成すもので、水槽2の内部にこれも軸方向が上下となる(洗濯物出入用の開口が上方を向く)縦軸状で回転可能に配置しており、底部の中心部を回転槽駆動軸6に取付けている。回転槽駆動軸6は、水槽2の底部外下方に取付けた例えば直結形のモータを主体とする駆動機構7から水槽2の内下部に突出しており、その内部を撹拌体駆動軸8が水密に貫通している。この撹拌体駆動軸8は更に回転槽3の底部の中心部を水密に貫通して回転槽3の内下部に突出しており、その突出端部に、回転槽3の内下部に位置して撹拌体9の中心部を取付けている。
【0012】
回転槽駆動軸6及び撹拌体駆動軸8は、駆動機構7により選択回転されるようになっており、よって、回転槽3及び撹拌体9も駆動機構7によりそれぞれ回転槽駆動軸6及び撹拌体駆動軸8を介して選択回転されるようになっている。
水槽2の底部から外箱1外へは、水槽2内から排水するための、途中に排水弁10を有する排水配管11を設けている。
【0013】
一方、回転槽3の上端開口縁部にはリング状の回転バランサ12を装着しており、水槽2の上端開口縁部には同じくリング状の槽カバー13を装着している。この槽カバー13には、これの内部開口を開閉する内蓋14を設けている。
前記外箱1上にはトップカバー15を被着しており、このトップカバー15は中央部一帯に洗濯物出入口16を有し、この洗濯物出入口16を開閉する外蓋17を設けている。又、このトップカバー15の前部には、使用者が洗濯乾燥機の運転に係る操作をするための操作部18を上面に設け、その操作に基づく洗濯乾燥機の運転を制御する制御装置19を下面に設けている。
【0014】
他方、トップカバー15の後部には隆起部15aを形成していて、この隆起部15aに給水弁20を設けると共に、循環ファン21を内設している。循環ファン21は、ファンケーシング21aの内部に送風羽根21bを設け、この送風羽根21bを回転駆動するモータ21cをファンケーシング21aの外部に設けたものであり、この循環ファン21をケース状の給気ダクト22で囲っている。
【0015】
この場合、循環ファン21の吸入口21dは、
図1に示すように、給気ダクト22の底部を気密に貫通して、前記トップカバー15の底部15bにおける開口部23をも貫通しており、この吸入口21dに、リントフィルタ24を介して、吸入ダクト25の先端部を接続している。
【0016】
吸入ダクト25は、前記外箱1の底部1a上から上方へ延びるL字状を成すもので、
図3に示すように、前記水槽2の後方外部に配管している。この吸入ダクト25の上記先端部とは反対側の基端部には熱交換器ケース26の出口部26aを接続しており、この熱交換器ケース26の内部に、熱交換器である凝縮器27と蒸発器28とを配設している。その配設位置は、凝縮器27が吸入ダクト25側、蒸発器28がそれとは反対側である。
【0017】
凝縮器27と蒸発器28は、
図4に示すように、圧縮機29及び減圧手段である絞り弁30とでヒートポンプ装置31を構成するもので、このヒートポンプ装置31においては、接続パイプ32によって、圧縮機29、凝縮器27、絞り弁30、蒸発器28、及び圧縮機29の順に、それらをサイクル接続しており(冷凍サイクル)、圧縮機29が作動することによって、サイクルに封入した冷媒を循環させるようになっている。なお、この場合、減圧手段としては、絞り弁30に代え、キャピラリチューブを用いるようにしても良い。
【0018】
このヒートポンプ装置31において、凝縮器27と蒸発器28は、前記熱交換器ケース26に絞り弁(減圧手段)30と共に収容した状態で前記外箱1の
図1に示す右側の底部1a上に配置しており、圧縮機29は、同外箱1の
図1に示す左側の底部1a上に配置している。すなわち、ヒートポンプ装置31全体として、外箱1の底部1a上に配置している。
【0019】
更にこの場合、ヒートポンプ装置31は、その全部を台板33に載置して上記外箱1の底部1a上に配置しており、台板33は外箱1の底部1a上を
図1の左右方向に移動可能で、その移動方向の一方(
図1で右側)の外箱1側壁には、ヒートポンプ装置31を台板33ごと出し入れするための出入口(ヒートポンプ出入口)34を形成し、この出入口34を通常は閉塞板35で閉塞している。
【0020】
前記熱交換器ケース26の入口部26bには、排出ダクト36の先端部を接続しており、この排出ダクト36の基端部は、前記水槽2の周側部の上部に形成した温風出口37に、例えば蛇腹状の可撓ホース36aを介して接続している。
なお、前記熱交換器ケース26は、前記吸入ダクト25及び上記排出ダクト36に対してその各接続を解離できるようにしており、その各接続を解離し且つ前記閉塞板35を取外した状態で、熱交換器ケース26を含むヒートポンプ装置31の全体は、前記台板33ごと前記外箱1の出入口34から出し入れできるもので、それにより、ヒートポンプ装置31の組立てやメンテナンスが外箱1外で容易にできるようになっている。
【0021】
そして、前記給気ダクト22は、底部中の、前記循環ファン21の吸入口21dの貫通部分から少し離間した部位に吹出口38を有しており、この吹出口38を、例えば蛇腹状の可撓ホース39を介して、前記水槽2の槽カバー13に形成した温風入口40に接続している。この結果、前記循環ファン21は、温風入口40の近傍に配置されている。
【0022】
更に、上記構成にて、排出ダクト36、熱交換器ケース26、吸入ダクト25、循環ファン21(ファンケーシング21a)、給気ダクト22、及び可撓ホース39により、前記水槽2の温風出口37と温風入口40とを接続して、水槽2の外部に循環路41を構成している。なお、
図4には、ヒートポンプ装置31と併せて、前記水槽2及び回転槽3と、循環路41(排出ダクト36、熱交換器ケース26、吸入ダクト25、循環ファン21、及び給気ダクト22)を概略的に示している。
【0023】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
上記構成の洗濯乾燥機においては、まず、使用者により操作部18が操作されて運転のコースが設定され、運転の開始が指示されると、制御装置19が、設定された運転のコースに応じた洗濯運転、乾燥運転、或いはその両運転を行う洗濯乾燥運転を実行する。その1つとして、洗濯乾燥運転の実行が開始された場合には、洗濯行程、脱水行程、乾燥行程を順に実行する。
【0024】
洗濯行程では、給水弁20を開放させることにより水槽2内に給水し、その後に回転槽3を低速で正逆両方向に交互に回転させる動作が行われる。
脱水行程では、排水弁10を開放させて水槽2内の水を排出した後、回転槽3を高速で一方向に回転させる動作が行われる。
乾燥行程では、回転槽3を低速で正逆両方向に交互に回転させつつ、回転槽3内に温風を供給する動作が行われる。
【0025】
回転槽3内に温風を供給する動作は、詳しくは、循環ファン21を駆動すると共に、ヒートポンプ装置31の圧縮機29を駆動することで行われる。そのうちの循環ファン21の駆動により、回転槽3内の空気が
図1及び
図4に矢印で示すように水槽2内から循環路41の排出ダクト36を経て熱交換器ケース26内に流入される。
【0026】
一方、ヒートポンプ装置31の圧縮機29の駆動により、ヒートポンプ装置31に封入された冷媒が圧縮機29により圧縮されて高温高圧の冷媒となり、その高温高圧の冷媒が凝縮器27を流れて熱交換器ケース26内の空気と熱交換する。その結果、熱交換器ケース26内を通る空気が加熱され、反対に、凝縮器27内の冷媒は温度が低下して液化される。この液化された冷媒が、次に、絞り弁30を通って減圧された後、蒸発器28を流れ、気化する。それにより、蒸発器28は熱交換器ケース26内を通る空気を冷却する。蒸発器28を通過した冷媒は圧縮機29に戻る。
【0027】
これらにより、前記水槽2内から熱交換器ケース26内に流入した空気は、蒸発器28で冷却されて除湿され、その後に凝縮器27で加熱されて温風化される。そして、その温風が
図1及び
図4に矢印で示すように給気ダクト22を経て水槽2内に供給され、更に回転槽3内に供給される。
【0028】
回転槽3内に供給された温風は、回転槽3内の洗濯物を加熱してその水分を奪った後、水槽2内から排出ダクト36を経て熱交換器ケース26内に流入する。かくして、蒸発器28及び凝縮器27を有する熱交換器ケース26と回転槽3との間を回転槽3内の空気が循環することにより、回転槽3内の衣類が乾燥される。従って、このときに、水槽2と回転槽3は、乾燥室として機能する。又、水槽2の温風入口40は、循環空気を回転槽3内に戻す戻し口として機能する。
【0029】
このように本実施形態の洗濯乾燥機は、外箱1の内部に、水槽2と、これの内部に位置して回転駆動される回転槽3とを、ともに縦軸状に配置し、回転槽3内の空気を水槽2外に出して回転槽3内に戻す循環路41並びに循環ファン21を具えると共に、循環路41内に位置して循環空気を除湿する蒸発器28と、循環空気を加熱する凝縮器27と有して、それらを圧縮機29及び絞り弁(減圧手段)30と接続して構成されるヒートポンプ装置31を具えたものであり、このものにおいて、ヒートポンプ装置31を外箱1の底部1a上に配置している。
【0030】
これにより、縦軸式で且つ乾燥方式にヒートポンプ方式を採用した洗濯乾燥機における重心位置を低くできると共に、重量のあるヒートポンプ装置31を洗濯乾燥機の上部よりも振幅の小さな洗濯乾燥機設置面近くに配置できるので、洗濯乾燥機運転時の振動の低減に寄与することができる。又、その振動の低減に寄与できる分、ヒートポンプ装置31の各機器(凝縮器27、蒸発器28、絞り弁30、及び圧縮機29)を接続した接続パイプ32並びにその各接続部分への、振動によるダメージも少なくすることができる。
【0031】
更に、洗濯乾燥機の外箱1内の下部は、スペースに比較的余裕のあるものであり、そこにヒートポンプ装置31の上記各機器を配置するため、その各機器には高能力の大形のものを使用することができて、充分な乾燥性能を得ることができる。
加えて、本実施形態の洗濯乾燥機においては、循環ファン21を、循環空気を回転槽3内に戻す戻し口である温風入口40の近傍に配置している。これにより、循環ファン21から回転槽3内への温風の供給が送風損失を少なくしてできる。
【0032】
以上に対して、
図5及び
図6は第2及び第3の実施形態を示すもので、それぞれ、第1の実施形態と同一又は同様の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0033】
[第2の実施形態]
図5に示す第2の実施形態においては、蒸発器28を、凝縮器27の上方にドレンパン51を介して重ね配置することにより、排水配管11より上方に配置している。
ドレンパン51は、蒸発器28での循環空気の除湿に伴い発生して滴下する露を受けるもので、その受けた露は、ドレンパン51から排水配管11に通じるドレンパイプ(図示せず)を介して排水配管11に排水するようにしている。
【0034】
このようにすることにより、蒸発器28での循環空気の除湿に伴い発生して滴下する露を、ポンプ等を使用することなく自然に排水できるので、製品コストの削減並びに電力消費量の低減に寄与できる。
【0035】
[第3の実施形態]
図6に示す第3の実施形態においては、循環路41、中でも排出ダクト36に、回転槽3内から出た空気の一部を排出する排気口61を設けている。
【0036】
このようにすることにより、回転槽3内の洗濯物の水分を奪って高湿となった空気の一部を排出し、それに代わって、外箱1が不可避的に有する隙間等から外箱1外の低湿空気を取り込むことができるので、ヒートポンプ装置31の乾燥負荷を軽減でき、その分、圧縮機29から蒸発器28及び凝縮器27の小形化ができて、それらを配置しやすくできると共に、製品コストの削減ができる。
なお、この第3の実施形態においても、第2の実施形態の構成を採用するようにしても良い。
【0037】
以上説明した洗濯乾燥機は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば外箱1の底部1aは外箱本体とは別の独立した部品であっても良いなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0038】
そのほか、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。